説明

プロジェクタ装置及びプロジェクタ制御方法

【課題】プロジェクタ装置からの映像の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させ、投影光によりプレゼンタの目を傷つけるのを防止すること。
【解決手段】本発明のプロジェクタ装置は、所定出力の投影光にて映像を被投影面に投影するプロジェクタ投影部12と、プロジェクタ投影部12により映像が投影された前記被投影面を撮影するカメラ部14と、プロジェクタ投影部12による投影動作時に、カメラ部14の出力信号から、プロジェクタ投影部12から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得するカメラ制御部15と、取得された前記撮影データから特定部位を認識する特定部位認識部19と、前記特定部位認識部で前記特定部位が認識された場合に、前記投影部を制御して投影光の出力を低減又は停止させるプロジェクタ制御部13と、
を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定出力の投影光にて映像を被投影面に投影する投影部と前記投影部により映像が投影された前記被投影面を撮影する撮影部とを備えたプロジェクタ装置、及びプロジェクタ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スクリーンなどの被投影面に映像を投影するプロジェクタ装置が急速に普及している。プロジェクタ装置の普及により、プレゼンタが、被投影面に投影される映像の前に立って当該映像についての説明を行うプレゼンテーションが広く行われている。
【0003】
このようなプレゼンテーションでは、プレゼンタは、被投影面に投影される映像の前で当該映像について説明を行うため、プロジェクタ装置から出力された投影光がプレゼンタの目に直接入射する場合がある。したがって、プロジェクタ装置から出力された投影光によりプレゼンタの目を傷つけてしまう恐れがあった。
【0004】
そこで、プロジェクタ装置からの映像の投影方向に存在するプレゼンタを検出することによって、投影光の出力を低減するプロジェクタ装置も開発されている。このプロジェクタ装置では、映像が投影される被投影面を撮影し、撮影データを解析することによって、映像の投影方向に存在するプレゼンタを検出する(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−305481号公報
【特許文献2】特開2006−162808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように、映像の被投影面の撮影データを解析することによって、映像の投影方向に存在するプレゼンタを検出しようとする場合、当該撮影データがプロジェクタ装置からの投影光の影響を受けるので、当該撮影データを解析してもプレゼンタの存在を検出できない場合があるという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、プロジェクタ装置からの映像の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させ、投影光によりプレゼンタの目を傷つけるのを防止することが可能なプロジェクタ装置及びプロジェクタ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプロジェクタ装置は、所定出力の投影光にて映像を被投影面に投影する投影部(プロジェクタ投影部12)と、前記投影部により映像が投影された前記被投影面を撮影する撮影部(カメラ部14)と、前記投影部による投影動作時に、前記撮影部の出力信号から、前記投影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得する撮影制御部(カメラ制御部15)と、取得された前記撮影データから特定部位を認識する特定部位認識部(特定部位認識部19)と、前記特定部位認識部で前記特定部位が認識された場合に、前記投影部を制御して投影光の出力を低減又は停止させる投影制御部(プロジェクタ制御部13)と、を具備することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、投影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データから特定部位を認識することにより、映像の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させることができ、プロジェクタ装置からの投影光によりプレゼンタの目を傷つけるのを防止できる。
【0010】
また、本発明は、上記プロジェクタ装置において、前記撮影制御部は、前記投影部から前記投影光が出力される出力期間において前記撮影部に前記被投影面を撮影させずに、前記投影光の出力が休止される出力休止期間において前記撮影部に前記被投影面を撮影させてもよい。
【0011】
この構成によれば、投影光の出力休止期間において映像の被投影面を撮影させるので、投影部からの投影光の影響を受けない撮影データから、特定部位を認識することができる。この結果、映像の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させることができる。また、投影光の出力期間において映像の被投影面の撮影を休止するので、撮影部の撮影による消費電力の消耗を防止することができる。
【0012】
また、本発明は、上記プロジェクタ装置において、前記撮影制御部は、前記投影部から投影光が出力される出力期間と前記投影光の出力が休止される出力休止期間との両方で前記撮影部に前記被投影面を撮影させ、前記出力休止期間における前記撮影部の出力信号から、前記投影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得してもよい。
【0013】
この構成によれば、投影光の出力期間及び出力休止期間の両方で映像の被投影面を撮影するので、撮影部の撮影と撮影休止に係る制御量を軽減することができる。また、投影光の出力休止期間における撮影部の出力信号から撮影データを取得するので、投影光の影響を受けない撮影データから特定部位を認識することができる。この結果、映像の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明は、上記プロジェクタ装置において、前記撮影部に入射される所定色の撮影光を遮断する遮断部(遮断部143R、143G、143B)を更に具備し、前記投影制御部は、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光を時分割で前記投影部から出力させ、前記撮影制御部は、前記投影部から出力される投影光の色と同一色の撮影光を遮断するように、前記遮断部を配置してもよい。
【0015】
この構成によれば、投影部から出力される投影光の色と同一色の撮影光を遮断するように遮断部を配置することにより、投影部からの投影光の影響を受けない撮影データから特定部位を認識することができ、映像の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明は、上記プロジェクタ装置において、前記撮影部は、少なくとも赤色、緑色、青色の撮影光を受光する受光素子(受光素子142R、142G、142B)を具備し、前記投影制御部は、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光を時分割で前記投影部から出力させ、前記撮影制御部は、前記投影部から出力される投影光の色と異なる色の撮影光を受光する受光素子の出力信号から、前記撮影データを取得してもよい。
【0017】
この構成によれば、投影部から出力される投影光の色と異なる色の撮影光を受光する受光素子の出力信号から、撮影データを取得することにより、投影部からの投影光の影響を受けない撮影データから特定部位を認識することができる。この結果、投影光の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明は、上記プロジェクタ装置において、前記撮影部の出力信号から取得された前記撮影データを記憶する撮影データ記憶部(撮影データ記憶部17)と、前記撮影部の出力信号から今回の撮影データと、前記撮影データ記憶部に記憶された前回の撮影データとの差分を検出する差分検出部(差分検出処理部16)と、前記特定部位認識部は、前記差分検出部で前記差分が検出された場合に、前記今回の撮影データから前記特定部位を認識してもよい。
【0019】
また、本発明は、上記プロジェクタ装置において、前記特定部位は、人間又は動物の目、顔、体などの部位であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明のプロジェクタ制御方法は、所定出力の投影光にて映像を被投影面に投影する投影部と、前記投影部により映像が投影された前記被投影面を撮影する撮影部と、を備えたプロジェクタ装置のプロジェクタ制御方法であって、前記投影部による投影動作時に、前記撮影部の出力信号から、前記投影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得する工程と、取得された前記撮影データから特定部位を認識する工程と、前記特定部位認識部で前記特定部位が認識された場合に、前記投影部を制御して投影光の出力を低減又は停止させる工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プロジェクタ装置からの映像の投影方向に存在するプレゼンタの検出精度を向上させ、投影光によりプレゼンタの目を傷つけるのを防止することが可能なプロジェクタ装置及びプロジェクタ制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクタ装置の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクタ装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクタ装置のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクタ制御方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の変更例1に係るプロジェクタ装置のタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るカメラ部の構成図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るプロジェクタ装置のタイミングチャートである。
【図8】本発明の変更例2に係るカメラ部の構成図である。
【図9】本発明の変更例2に係るプロジェクタ装置のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。
【0024】
[第1の実施形態]
(全体概略構成)
図1は、第1の実施形態に係るプロジェクタ装置の使用形態を示す図である。図1に示すように、プロジェクタ装置1は、投影光2を出力し、スクリーンなどの被投影面3に映像を投影する装置であり、プレゼンタ4によるプレゼンテーションなどに広く用いられる。また、プロジェクタ装置1は、映像の被投影面3を撮影し、撮影データから特定部位を認識することによって、映像の投影方向に存在するプレゼンタ4を検出し、投影光2によりプレゼンタ4の目を傷つけるのを防止する。
【0025】
(機能構成)
次に、第1の実施形態に係るプロジェクタ装置の機能構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係るプロジェクタ装置の機能ブロック図である。図2に示すように、プロジェクタ装置1は、データ処理部11、プロジェクタ投影部12、プロジェクタ制御部13、カメラ部14、カメラ制御部15、差分検出処理部16、撮影データ記憶部17、特定部位記憶部18、特定部位認識部19を具備する。
【0026】
データ処理部11は、被投影面3に投影される映像の映像データについて、デコード、A/D変換、スケーリングなどの処理を施す。
【0027】
プロジェクタ投影部12は、投影光2を出力し、被投影面3に映像を投影する。具体的には、プロジェクタ投影部12は、ランプ、赤、緑、青の各色LED、レーザなどの光源と、DMD(Digital Mirror Device)、Lcos(Liquid crystal on silicon)などの光変調素子と、投影レンズなどから構成されている。プロジェクタ投影部12は、投影する映像の映像データに基づいて、光源からの光を光変調素子で変調し、変調された光を投影光2として出力する。
【0028】
プロジェクタ制御部13は、プロジェクタ投影部12からの投影光2の出力を制御する。具体的には、プロジェクタ制御部13は、プロジェクタ投影部12から投影光2を出力する期間である投影ON期間(出力期間)と、プロジェクタ投影部12からの投影光2の出力を休止する期間である投影OFF期間(出力休止期間)との切り替えを制御する。
【0029】
例えば、プロジェクタ制御部13は、図3に示すように、プロジェクタ投影部12の投影ON期間と投影OFF期間とを切り替える。図3においては、DLP(Digital Light Processing)方式等により、プロジェクタ投影部12から赤色光、緑色光、青色光の少なくとも3色の投影光2を時分割で出力する場合に、各色光の境界における混色を避けるために、60分の1秒の投影OFF期間が挿入されている。プロジェクタ制御部13は、投影OFF期間を非常に短い時間とすることにより、被投影面3に投影された映像のちらつきを、人間の目で認識できない程度に抑えることができる。
【0030】
なお、プロジェクタ制御部13は、プロジェクタ投影部12に光変調素子として設けられたDMDのマイクロミラーの反射方向を制御することによって、上述の投影ON期間と投影OFF期間を切り替えることができる。また、プロジェクタ投影部12に設けられた光源を高速に点灯、消灯することによって、上述の投影ON期間と投影OFF期間を切り替えてもよい。
【0031】
また、プロジェクタ制御部13は、プロジェクタ投影部12の投影ON期間と投影OFF期間とを示す投影情報を、カメラ制御部15に通知する。
【0032】
また、プロジェクタ制御部13は、特定部位認識部19からの通知に従って、プロジェクタ投影部12からの投影光2の出力を低減させる、又は、投影光2の出力を停止させる。
【0033】
カメラ部14は、被投影面3を撮影し、撮影信号を出力する。具体的には、カメラ部14は、撮影レンズと、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(相補型金属酸化物半導体)などの固体撮像素子などから構成されており、撮影レンズから入射した撮影光を固体撮像素子に結像させ、撮影信号を出力する。
【0034】
カメラ制御部15は、カメラ部14を制御し、カメラ部14の出力信号から、プロジェクタ投影部12からの投影光2の影響を受けない撮影データを取得する。具体的には、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12からの投影光2の投影ON期間においてカメラ部14において被投影面3を撮影させずに、投影光2の投影OFF期間においてカメラ部14に被投影面3を撮影させる。
【0035】
例えば、カメラ制御部15は、プロジェクタ制御部13から通知されたプロジェクタ投影部12の投影情報に基づいて、カメラ部14により被投影面3を撮影する期間である撮影ON期間と、カメラ部14による被投影面3の撮影を休止する状態であるである撮影OFF期間との切り替えを制御する。図3において、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12が投影ON期間の場合、カメラ部14を撮影OFF期間とし、プロジェクタ投影部12が投影OFF期間の場合、カメラ部14を撮影ON期間とする。
【0036】
撮影データ記憶部17は、カメラ部14の出力信号から取得された、プロジェクタ投影部12からの投影光2の影響を受けない撮影データを記憶する。
【0037】
差分検出処理部16は、カメラ部14の出力信号から取得された今回の撮影データと、撮影データ記憶部17で記憶された前回の撮影データとを比較し、今回の撮影データと前回の撮影データとの差分の有無を判定する。
【0038】
特定部位記憶部18は、特定部位の画像データ、特徴点データなどの特定部位データを記憶する。特定部位とは、プロジェクタ投影部12からの投影光2により悪影響を受ける恐れのある人間や動物の部位であり、目、顔、体などである。例えば、特定部位記憶部18は、プロジェクタ装置1を用いてプレゼンテーションを行うプレゼンタ4の特定部位の画像データ、特徴点データなどを記憶してもよい。なお、プレゼンタ4の特定部位の画像データ、特徴点データは、カメラ部14によりプレゼンタ4を事前に撮影しておくことにより取得可能である。
【0039】
特定部位認識部19は、カメラ部14の出力信号から取得された今回の撮影データと、特定部位記憶部18に記憶された特定部位データとを照合する。今回の撮影データと特定部位データとが一致する場合、プロジェクタ制御部13に対して、プロジェクタ投影部12からの投影光2の出力を低減させる、又は投影光2の出力を停止させるように指示する。
【0040】
(動作)
次に、以上のように構成されたプロジェクタ装置におけるプロジェクタ制御方法について説明する。図4は、第1の実施形態に係るプロジェクタ制御方法を示すフローチャートである。図4において、プロジェクタ装置1のカメラ部14は、プロジェクタ投影部12からの投影光2の出力休止期間において被投影面3を撮影するものとする。
【0041】
プロジェクタ装置1の差分検出処理部16は、カメラ部14の出力信号から取得された今回の撮影データと、撮影データ記憶部17に記憶された前回の撮影データとを比較する(ステップS11)。今回の撮影データと前回の撮影データとが一致する場合、差分検出処理部16は、前回と今回の撮影データの取得タイミングの間に、映像の投影方向に物体が侵入していないと判断し、本動作は、ステップS11に戻る。一方、今回の撮影データと前回の撮影データとが一致しない場合、差分検出処理部16は、前回と今回の撮影データの取得タイミングの間に、映像の投影方向に物体が侵入したと判断し、本動作は、ステップS12に進む。
【0042】
プロジェクタ装置1の特定部位認識部19は、カメラ部14の出力信号から取得された今回の撮影データと、特定部位記憶部18に記憶された特定部位データとを照合する(ステップS12)。今回の撮影データと特定部位データとが一致しない場合、特定部位認識部19は、映像の投影方向に侵入した物体が、投影光2により悪影響を与える人間や動物の特定部位ではないと判断し、本動作は、ステップS11に戻る。一方、今回の撮影データと特定部位データとが一致する場合、特定部位認識部19は、映像の投影方向に侵入した物体が、投影光2により悪影響を与える人間や動物の特定部位であると判断し、本動作は、ステップS13に進む。
【0043】
プロジェクタ装置1のプロジェクタ制御部13は、プロジェクタ投影部12からの投影光2の出力を低減させる、又は、投影光2の出力を停止させる(ステップS13)。
【0044】
(作用・効果)
第1の実施形態に係るプロジェクタ装置によれば、投影光2の投影OFF期間において映像の被投影面3を撮影することにより、プロジェクタ投影部12からの投影光2の影響を受けない撮影データを取得することができる。このため、投影光2の影響を受けない撮影データから特定部位を認識することができる。この結果、映像の投影方向に存在するプレゼンタ4の検出精度を向上させることができ、プロジェクタ装置1からの投影光2によりプレゼンタ4の目を傷つけるのを防止できる。
【0045】
また、第1の実施形態に係るプロジェクタ装置では、投影光2の投影ON期間において被投影面3の撮影を休止するので、カメラ部14の撮影による消費電力の消耗を防止することができる。
【0046】
(変更例1)
次に、第1の実施形態に係るプロジェクタ装置1の変更例1について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。第1の実施形態に係るカメラ制御部15は、図3に示すように、プロジェクタ投影部12が投影OFF期間の場合にのみカメラ部14を撮影ON期間としたが、変更例1に係るカメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12が投影ON期間の場合にもカメラ部14を撮影ON期間とする。
【0047】
図5は、変更例1に係るプロジェク装置のタイミングチャートである。図5に示すように、カメラ制御部15は、カメラ部14を常時撮影ON期間とする。一方で、カメラ制御部15は、投影OFF期間におけるカメラ部14の出力信号から、プロジェクタ投影部12からの投影光2の影響を受けない撮影データを取得する。
【0048】
差分検出処理部16は、カメラ制御部15によって取得された今回の撮影データと、撮影データ記憶部17で記憶された前回の撮影データとを比較し、今回の撮影データと前回の撮影データとの差分の有無を判定する。
【0049】
変更例1に係るプロジェクタ装置1によれば、カメラ制御部15は、カメラ部14を常時撮影ON期間とすることにより、カメラ部14の撮影ON期間と撮影OFF期間との高速切り替えに伴うカメラ制御部15の制御量を軽減することができる。また、カメラ制御部15が、投影光2の投影OFF期間における撮影データのみを取得することにより、プロジェクタ投影部12からの投影光2の影響を受けない撮影データから特定部位を認識することができる。この結果、映像の投影方向に存在するプレゼンタ4の検出精度を向上させることができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るプロジェクタ装置1について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。第1の実施形態では、投影光2の投影OFF期間(出力休止期間)における撮影データに基づいて映像の投影方向に存在するプレゼンタ4を検出したが、第2の実施形態では、投影光2の投影ON期間(出力期間)における撮影データに基づいてプレゼンタ4を検出する。
【0051】
第2の実施形態では、プロジェクタ制御部13は、フィールドシーケンシャル方式を用いて投影光2を出力するように、プロジェクタ投影部12からの投影光2の出力を制御する。具体的には、図7に示すように、プロジェクタ制御部13は、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光2を時分割で出力するように、投影光2の出力を制御する。
【0052】
例えば、プロジェクタ制御部13は、光源としてランプを用いる場合、光源と、DMDやLcosなどの光変調素子との間に、少なくとも赤色、緑色、青色を含むカラーホイールを設け、当該カラーホイールを回転させることによって、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光2を時分割で出力することができる。また、プロジェクタ制御部13は、光源として、赤色、緑色、青色の各色LEDや各色レーザを用いる場合、各色LEDや各色レーザを時分割で点灯させることによって、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光2を時分割で出力することができる。
【0053】
また、プロジェクタ制御部13は、プロジェクタ投影部12からどのタイミングでどの色の投影光2が出力されるかを示す投影情報を、カメラ制御部15に通知する。
【0054】
図6は、第2の実施形態に係るカメラ部の構成図である。図6に示すように、カメラ部14は、撮影レンズ141と、カラーカットフィルタ143と、固体撮像素子142とから構成される。
【0055】
撮影レンズ141は、被投影面3の撮影光を入射するレンズである。
【0056】
固体撮像素子142は、撮影レンズ141から後述するカラーカットフィルタ143を介して入射された撮影光を結像させ、撮影信号を出力する。固体撮像素子142は、CCDやCMOSなどから構成される。なお、固体撮像素子142の上面には、少なくとも赤色、青色、緑色の撮影光を受光する受光素子が多数配列される(不図示)。ただし、本実施形態では、後述するカラーカットフィルタ143によって所定色の撮影光が遮断されるので、遮断された色の撮影光は受光素子では受光されない。
【0057】
カラーカットフィルタ143は、撮影レンズ141と固体撮像素子142との間に配置され、撮影レンズ141から入射される所定色の撮影光を遮断する。具体的には、カラーカットフィルタ143は、赤色の撮影光を遮断する遮断部143R、緑色の撮影光を遮断する遮断部143G、青色の撮影光を遮断する遮断部143Bを少なくとも具備する。遮断部143R、143G、143Bの配置は、後述するように、カメラ制御部15によって制御される。
【0058】
第2の実施形態に係るカメラ制御部15は、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光2が時分割で出力される出力期間で、被投影面3を撮影するように、カメラ部14を制御する。
【0059】
また、カメラ制御部15は、投影光2の色と同一色の撮影光を遮断するように、カラーカットフィルタ143の各色光の遮断部143R、143G、143Bを配置する。具体的には、カメラ制御部15は、プロジェクタ制御部13から通知されたプロジェクタ投影部12の投影情報に基づいて、各色光の遮断部143R、143G、143Bを配置の配置を変更する。
【0060】
例えば、図7において、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12から赤色の投影光2の出力期間においては、赤色の撮影光を遮断するように、撮影レンズ141からの撮影光の入射位置に遮断部143Rを配置する。また、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12から緑色の投影光2の出力期間においては、緑色の撮影光を遮断するように、撮影レンズ141からの撮影光の入射位置に遮断部143Gを配置する。また、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12から青色の投影光2の出力期間においては、青色の撮影光を遮断するように、撮影レンズ141からの撮影光の入射位置に遮断部143Bを配置する。
【0061】
第2の実施形態に係るプロジェクタ装置1によれば、プロジェクタ投影部12から出力される投影光2の色と同一色の撮影光を遮断するように遮断部143R、143G、143Bを配置することにより、プロジェクタ投影部12からの投影光2の影響を受けない撮影データを解析することができる。この結果、映像の投影方向に存在するプレゼンタ4の検出精度を向上させることができる。
【0062】
(変更例2)
次に、第2の実施形態に係るプロジェクタ装置の変更例2について、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。変更例2においては、第2の実施形態と同様に、投影光2の出力期間における撮影データに基づいてプレゼンタ4を検出するが、第2の実施形態とは、撮影データの取得方法が異なる。
【0063】
図8(a)は、変更例2に係るカメラ部の構成図である。図8(a)に示すように、カメラ部14は、撮影レンズ141と、固体撮像素子142とから構成される。また、図8(b)は、変更例2に係るカメラ部の固体撮像素子の上面に配列された受光素子を示す図である。
【0064】
図8(b)に示すように、固体撮像素子142の上面には、赤色、青色、緑色の撮影光をそれぞれ受光する受光素子142R、142G、142Bが多数配列されている。受光素子142Rは、撮影レンズ141から入射された赤色の撮影光を受光する。固体撮像素子142は、赤色の撮影光、緑色の撮影光、青色の撮影光をそれぞれ受光した受光素子142R、142G、142Bの撮影信号を出力する。
【0065】
変更例2に係るカメラ制御部15は、図9に示すように、プロジェクタ制御部13から通知されたプロジェクタ投影部12の投影情報に基づいて、プロジェクタ投影部12から出力される投影光2の色とは異なる色の撮影光を受光する受光素子142R、142G、142Rの出力信号から、撮影データを取得する。
【0066】
例えば、図9において、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12から赤色の投影光2の出力期間においては、緑色の撮影光を受光する受光素子142Gと青色の撮影光を受光素子142Bとの出力信号からのみ撮影データを取得する。また、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12から緑色の投影光2の出力期間においては、赤色の撮影光を受光する受光素子142Rと青色の撮影光を受光素子142Bとの出力信号からのみ撮影データを取得する。さらに、カメラ制御部15は、プロジェクタ投影部12から青色の投影光2の出力期間においては、赤色の撮影光を受光する受光素子142Rと緑色の撮影光を受光する受光素子142Gとの出力信号からのみ撮影データを取得する。
【0067】
変更例2に係るプロジェクタ装置1によれば、プロジェクタ投影部12から出力される投影光2の色と異なる色の撮影光を受光する受光素子142R、142G、142Rの出力信号から、撮影データを取得することにより、プロジェクタ投影部12からの投影光2の影響を受けない撮影データから特定部位を認識することができる。この結果、映像の投影方向に存在するプレゼンタ4の検出精度を向上させることができる。
【0068】
[その他の実施形態]
上述の実施形態及び変更例に係るプロジェクタ装置では、今回の撮影データと前回の撮影データとを比較し、差分の有無を判定する差分検出処理部16を設けたが、かかる差分検出処理部16を省略してもよい。すなわち、図4におけるステップS11は省略可能である。
【0069】
また、上述の実施形態及び変更例に係るプロジェクタ装置では、特定部位の画像データ、特徴点データなどの特定部位データを記憶する特定部位記憶部18を設けたが、かかる特定部位記憶部18を省略してもよい。すなわち、図4におけるステップS12において、特定部位認識部19は、今回の撮影データと特定部位記憶部18に記憶された特定部位データとを照合するが、特定部位記憶部18に記憶された特定部位データとの照合を行わずに、例えば、撮影データ中の複数点の輝度等の測定値や変化量に基づいて、映像の投影方向に特定部位が侵入したことを検知してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態及び変更例に係るプロジェクタ装置は、データ処理部11で処理される映像データ中に特定部位が存在するか否かを判定し、映像データ中に特定部位が存在する場合は、今回の撮影データから認識された特定部位が映像データ中に存在する特定部位と一致するか否かを判定してもよい。また、プロジェクタ装置は、今回の撮影データから認識された特定部位が映像データ中に存在する特定部位と一致する場合は、被投影面3に投影された映像内に人間や動物の特定部位が存在するにすぎないため、投影光2の出力を変更せず、一致しない場合は、映像の投影方向に人間や動物の特定部位が侵入したと判断して、投影光2の出力を低減、又は、投影光2の出力を停止してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…プロジェクタ装置、2…投影光、3…被投影面、4…プレゼンタ、11…データ処理部、12…プロジェクタ投影部、13…プロジェクタ制御部、14…カメラ部、15…カメラ制御部、16…差分検出処理部、17…撮影データ記憶部、18…特定部位記憶部、19…特定部位認識部、141…撮影レンズ、142…固体撮像素子、142R、142G、142B…受光素子、143…カラーカットフィルタ、143R、143G、143B…遮断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定出力の投影光にて映像を被投影面に投影する投影部と、
前記投影部により映像が投影された前記被投影面を撮影する撮影部と、
前記投影部による投影動作時に、前記撮影部の出力信号から、前記投影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得する撮影制御部と、
取得された前記撮影データから特定部位を認識する特定部位認識部と、
前記特定部位認識部で前記特定部位が認識された場合に、前記投影部を制御して投影光の出力を低減又は停止させる投影制御部と、
を具備することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項2】
前記撮影制御部は、前記投影部から前記投影光が出力される出力期間において前記撮影部に前記被投影面を撮影させずに、前記投影光の出力が休止される出力休止期間において前記撮影部に前記被投影面を撮影させることを特徴とする請求項1に記載にプロジェクタ装置。
【請求項3】
前記撮影制御部は、前記投影部から投影光が出力される出力期間と前記投影光の出力が休止される出力休止期間との両方で前記撮影部に前記被投影面を撮影させ、前記出力休止期間における前記撮影部の出力信号から、前記投影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項4】
前記撮影部に入射される所定色の撮影光を遮断する遮断部を更に具備し、
前記投影制御部は、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光を時分割で前記投影部から出力させ、
前記撮影制御部は、前記投影部から出力される投影光の色と同一色の撮影光を遮断するように、前記遮断部を配置することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項5】
前記撮影部は、少なくとも赤色、緑色、青色の撮影光を受光する受光素子を具備し、
前記投影制御部は、少なくとも赤色、緑色、青色の投影光を時分割で前記投影部から出力させ、
前記撮影制御部は、前記投影部から出力される投影光の色と異なる色の撮影光を受光する受光素子の出力信号から、前記撮影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項6】
前記撮影部の出力信号から取得された前記撮影データを記憶する撮影データ記憶部と、
前記撮影部の出力信号から今回の撮影データと、前記撮影データ記憶部に記憶された前回の撮影データとの差分を検出する差分検出部と、
前記特定部位認識部は、前記差分検出部で前記差分が検出された場合に、前記今回の撮影データから前記特定部位を認識することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプロジェクタ装置。
【請求項7】
前記特定部位は、人間又は動物の目、顔、体などの部位であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプロジェクタ装置。
【請求項8】
所定出力の投影光にて映像を被投影面に投影する投影部と、前記投影部により映像が投影された前記被投影面を撮影する撮影部と、を備えたプロジェクタ装置のプロジェクタ制御方法であって、
前記投影部による投影動作時に、前記撮影部の出力信号から、前記投影部から出力される投影光の影響を受けない撮影データを取得する工程と、
取得された前記撮影データから特定部位を認識する工程と、
前記特定部位認識部で前記特定部位が認識された場合に、前記投影部を制御して投影光の出力を低減又は停止させる工程と、
を具備することを特徴とするプロジェクタ制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−43689(P2011−43689A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192074(P2009−192074)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】