説明

プロジェクタ

【課題】光源装置を光学部品用筐体に固定するネジを緩めやすくすることができ、光源装置を容易に取り外すことができるプロジェクタの提供。
【解決手段】プロジェクタは、光源装置40と、光学部品用筐体45とを備える。光学部品用筐体45には、光源装置40を固定するためのネジ孔453Aを有する固定部452が設けられている。光源装置40は、ネジ孔453Aに螺合されることで光源装置40を光学部品用筐体45に固定するネジ63と、ネジ63の挿抜方向の移動を規制する留め具64とを備える。そして、ネジ63の挿抜方向の移動可能な距離D2は、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されている状態において、ネジ孔453Aに螺合する部分の長さD1以上に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに関し、特に光源装置を着脱可能なプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置と、複数の光学部品を内部に収納配置する光学部品用筐体とを備え、光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、形成した画像光を拡大投射するプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクタでは、光源装置は、光学部品用筐体に形成された取付孔(ネジ孔)にネジが鉛直方向に螺合されることで光学部品用筐体に固定されている。また、この際、光源装置、及び光学部品用筐体は、光源装置に電力を供給するためにコネクタを介して接続される。
【0003】
【特許文献1】特開2006−220857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなプロジェクタでは、ネジを緩めて光源装置を光学部品用筐体から取り外す際にネジが外装筐体内部に脱落すると、脱落したネジがプロジェクタを構成する電子部品をショートさせる場合等があるので、光源装置は、ネジの挿抜方向(以下、挿抜方向とする)の移動を規制する移動規制部を備え、ネジが脱落しないように構成されていることが好ましい。
【0005】
ここで、移動規制部にてネジの挿抜方向の移動を完全に規制すると、ネジを緩めるように回転させるに従って光源装置は光学部品用筐体から離間する方向に移動することとなる。しかしながら、コネクタは接続を維持しようとするので、光源装置は、コネクタを中心として光学部品用筐体に対して傾く。このため、ネジに対してはネジ孔に近接する方向に負荷が加わり、ネジを緩めにくくなるという問題がある。
また、負荷に抗してネジを緩めてネジ孔から抜けた場合であっても、ネジに対してはネジ孔に近接する方向に負荷が加わっているので、再度、ネジの先端のネジ山がネジ孔と噛み合ってしまい、光源装置を取り外しにくくなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、光源装置を光学部品用筐体に固定するネジを緩めやすくすることができ、光源装置を容易に取り外すことができるプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、複数の光学部品を内部に収納配置する光学部品用筐体とを備え、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、形成した画像光を拡大投射するプロジェクタであって、前記光学部品用筐体には、前記光源装置を固定するためのネジ孔を有する固定部が設けられ、前記光源装置は、前記ネジ孔に螺合し、前記光源装置を前記光学部品用筐体に固定するネジと、前記ネジの挿抜方向の移動を規制する移動規制部とを備え、前記ネジの挿抜方向の移動可能な距離は、前記光源装置が前記光学部品用筐体に固定されている状態において、前記ネジ孔に螺合する部分の長さ以上とされていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、ネジは、ネジ孔から抜けた後で移動規制部にて挿抜方向の移動が規制されるので、光源装置、及び光学部品用筐体の位置関係を維持した状態でネジを回転させて緩めることができる。したがって、ネジに対してはコネクタによる負荷が加わらないので、光源装置を光学部品用筐体に固定するネジを緩めやすくすることができ、光源装置を容易に取り外すことができる。
【0009】
本発明では、前記挿抜方向は、水平方向とされていることが好ましい。
ここで、ネジの挿抜方向を鉛直方向とすると、ネジに対しては自重によりネジ孔に近接する方向に微小な負荷が加わるので、再度、ネジの先端のネジ山がネジ孔と噛み合ってしまい、光源装置を取り外しにくくなるという問題がある。
しかしながら、本発明によれば、ネジの挿抜方向は、水平方向とされているので、ネジに対しては自重によりネジ孔に近接する方向に負荷が加わることがない。したがって、ネジの挿抜方向を鉛直方向とした場合と比較して光源装置を更に容易に取り外すことができる。
【0010】
本発明では、前記光源装置は、光を射出する光源装置本体と、前記光源装置本体を収納するとともに、前記固定部に固定される光源装置用筐体とを備え、前記固定部は、前記光源装置本体における光射出側の先端を通り、前記光源装置本体の光軸と垂直な面の近傍位置に設けられ、前記ネジの基端部分は、前記光源装置用筐体における前記光学部品用筐体とは反対側の端部近傍に位置することが好ましい。
【0011】
ここで、プロジェクタにおいて、光源装置を着脱可能に構成する場合には、例えば、プロジェクタの外装筐体に開口部を形成し、この開口部を介して光源装置を着脱する構成が考えられる。この際、光学部品用筐体に設けられる固定部は、光源装置本体の光学部品用筐体に対する位置ズレを小さくするために、光源装置本体における光射出側の先端を通り、光源装置本体の光軸と垂直な面(以下、固定基準面とする)の近傍位置に設けられていることが好ましい。
このような場合において、例えば、光源装置用筐体における光学部品用筐体側の端部近傍にネジの基端部分が位置する短いネジを用いて光源装置を光学部品用筐体に固定すると、ネジのネジ頭が開口部に対して遠い位置となるので、プロジェクタの使用者は、ネジを緩めにくいという問題がある。
【0012】
これに対して、光学部品用筐体に光源装置用筐体全体を収納する筒状の収納部を設け、この収納部における開口部側の端部に固定部を設ける。そして、光源装置用筐体における光学部品用筐体とは反対側の端部近傍にネジの基端部分が位置する短いネジを用いて光源装置を光学部品用筐体に固定すると、ネジのネジ頭は開口部に対して近い位置となるので、プロジェクタの使用者は、ネジを緩めやすくなる。しかしながら、このように構成すると、固定部は、固定基準面から離間した位置となるので、光源装置本体の光学部品用筐体に対する位置ズレが大きくなるという問題がある。また、光学部品用筐体に光源装置用筐体全体を収納する筒状の収納部を設けるので、光学部品用筐体が大きくなるという問題がある。
【0013】
本発明によれば、固定部は、固定基準面の近傍位置に設けられ、光源装置用筐体における光学部品用筐体とは反対側の端部近傍に基端部分(ネジ頭)が位置する長いネジを用いて光源装置を光学部品用筐体に固定するので、ネジのネジ頭を開口部に対して近い位置とすることができる。さらに、光源装置本体の光学部品用筐体に対する位置ズレを小さくすることができ、光学部品用筐体を小さくすることができる。
【0014】
本発明では、前記光源装置用筐体は、前記ネジの基端部分を回転自在に支持する支持部を備えることが好ましい。
ここで、上述のように構成すると、ネジの基端部分と、ネジ孔に螺合するネジの先端部分との距離が大きくなる。したがって、ネジの基端部分が自由になっている場合には、ネジを回転させる際にネジの先端部分に大きな負荷が加わることとなる。
本発明によれば、光源装置用筐体は、ネジの基端部分を支持する支持部を備えるので、ネジの先端部分に加わる負荷を軽減させることができる。したがって、ネジや、ネジ孔等の破損を防止することができる。
【0015】
本発明では、前記光源装置、及び前記光学部品用筐体を収納する外装筐体を備え、前記外装筐体は、前記光源装置を外部に露出させる開口部と、前記開口部を閉塞する蓋部材とを備え、前記蓋部材には、前記光源装置が前記光学部品用筐体に固定されていない状態において、前記ネジの基端部分と干渉する突起部が形成されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、光源装置が光学部品用筐体に固定されていない状態においては、ネジの基端部分は開口部側に突出し、蓋部材の突起部と干渉する。すなわち、光源装置が光学部品用筐体に固定されている状態でなければ蓋部材にて開口部を閉塞することができないので、プロジェクタの使用者は、蓋部材にて開口部を閉塞することができるか否かにより、光源装置が光学部品用筐体に固定されているか否かを判断することができる。したがって、光源装置の交換時における安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの概略構成〕
図1は、プロジェクタ1を前面側から見た斜視図である。
プロジェクタ1は、外部機器等から入力される画像情報に応じて画像光を形成し、形成した画像光をスクリーン等の投射面上に投影するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筐体2と、外装筐体2の前面における略中央位置に露出し、画像情報に応じて形成された画像光を投射する投射レンズ3と、外装筐体2内に収納される光学装置4(図3参照)とを備えている。
外装筐体2は、全体略直方体形状を有し、側面(図1中手前側の側面)における略中央位置には、略矩形状の開口部21が形成され、この開口部21には、略矩形状の蓋部材5が嵌合されている。すなわち、蓋部材5は、開口部21を閉塞している。
【0018】
図2は、プロジェクタ1の蓋部材5を取り外した状態を示す分解斜視図である。
開口部21は、図2に示すように、後述する光学装置4を構成する光源装置40を外部に露出させるものであり、プロジェクタ1の使用者は、この開口部21を介して光源装置40を着脱する。
なお、図示は省略するが、外装筐体2内において、光学装置4以外の空間には、プロジェクタ1内部の各構成部材を冷却する冷却ファン等を備えた冷却装置、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源装置、およびプロジェクタ1内部の各構成部材を制御する制御装置等が配置される。
【0019】
〔光学装置の構成〕
図3は、光学装置4の光学系を示す模式図である。
光学装置4は、前述した制御装置から入力される画像信号に応じた画像光を形成し、形成した画像光を投射面上に投射する。この光学装置4は、外装筐体2の背面に沿って延出するとともに、外装筐体2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。
このような光学装置4は、図3に示すように、光源装置40と、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44と、これら各装置41〜44を内部に収納配置するとともに、光源装置40が固定される光学部品用筐体45と、この光学部品用筐体45に取り付けられる前述した投射レンズ3とを備えて構成されている。
【0020】
光源装置40は、放射状の光線を射出する光源ランプ401と、光源ランプ401から射出された放射光を反射して所定位置に収束させる楕円面鏡からなるリフレクタ402と、リフレクタ402にて収束される光束を照明光軸Aに対して平行化する平行化凹レンズ403とを備えている。また、光源ランプ401と、リフレクタ402とは、光源ランプ401の発光中心、及びリフレクタ402の楕円面の第1焦点が略一致するように位置調整されて光源装置本体400として一体化されている。
照明光学装置41は、第1レンズアレイ411、第2レンズアレイ412、偏光変換素子413及び重畳レンズ414を備えて構成されている。
【0021】
第1レンズアレイ411及び第2レンズアレイ412は、それぞれ対応する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有し、第1レンズアレイ411は、光源装置40から入射した光束を複数の部分光束に分割して、第2レンズアレイ412近傍に結像させる。
第2レンズアレイ412は、光路後段に位置する重畳レンズ414とともに、第1レンズアレイ411の各小レンズから射出された像を、電気光学装置44の後述する液晶パネル441の画像形成領域に結像させる。
偏光変換素子413は、第2レンズアレイ412から入射した各部分光束を、略1種類の直線偏光光に変換する。
【0022】
色分離光学装置42は、2枚のダイクロイックミラー421,422及び反射ミラー423を備え、照明光学装置41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する。
リレー光学装置43は、色分離光学装置42で分離された赤色光を、後述する赤色光用の液晶パネル441Rまで導くものであり、入射側レンズ431、リレーレンズ433及び反射ミラー432,434を備えている。
【0023】
電気光学装置44は、入射した光束を画像信号に応じて変調して画像光を形成する。この電気光学装置44は、3つの液晶パネル441(赤色光側の液晶パネルを441R、緑色光側の液晶パネルを441G、青色光側の液晶パネルを441Bとする)と、各液晶パネル441の光路前段側に配置される3つの入射側偏光板442と、各液晶パネル441の光路後段側に配置される3つの射出側偏光板443と、クロスダイクロイックプリズム444とを備えて構成されている。
【0024】
3つの入射側偏光板442は、色分離光学装置42で分離された各色光のうち、偏光変換素子413で揃えられた偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収する。
3つの液晶パネル441は、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、入力される画像情報に応じて液晶の配向状態が制御されることで、入射側偏光板442から射出された偏光光の偏光方向を変調する。
3つの射出側偏光板443は、液晶パネル441を介して射出された光束のうち、一定方向の偏光光(例えば、入射側偏光板442における光束の透過軸と直交する偏光軸を有する光束)を透過し、その他の光を吸収する。
【0025】
クロスダイクロイックプリズム444は、各射出側偏光板443から射出された変調光を合成して画像光を形成する。このクロスダイクロイックプリズム444は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状を有し、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、液晶パネル441Gから射出され、かつ、射出側偏光板443を介した色光を透過し、液晶パネル441R,441Bから射出され、かつ、射出側偏光板443を介した各色光を反射する。これにより、赤色光、緑色光及び青色光が合成された画像光(カラー画像)が形成される。
【0026】
光学部品用筐体45は、内部に所定の照明光軸Aが設定され、上述した各装置41〜44を照明光軸Aに対する所定位置に配置するとともに、上述した光源装置40が固定される合成樹脂製の箱状部材である。
投射レンズ3は、筒状の鏡筒(図示略)内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、電気光学装置44で形成された画像光を拡大投射する。
【0027】
〔光源装置、及び光学部品用筐体の詳細構成〕
図4は、蓋部材5、光源装置40、及び光学部品用筐体45を示す分解斜視図である。図5は、光学部品用筐体45に固定されている状態における光源装置40の断面図である。図6は、光学部品用筐体45に固定されていない状態における光源装置40の断面図である。
光学部品用筐体45には、図4に示すように、蓋部材5側、すなわち開口部21(図2参照)側の端部に光源装置40を収納するためのアウターハウジング451が形成されている。このアウターハウジング451は、断面矩形の筒状に形成され、光源装置40側の端部には、固定部452が2箇所に設けられている。そして、各固定部452には、水平方向に沿ってネジ孔453Aが形成されたナット453が挿入されている。すなわち、各固定部452は、ネジ孔453Aを有している。
また、各固定部452は、光源装置本体400における光射出側の先端を通り、光源装置本体400の光軸(照明光軸A)と垂直な固定基準面Bの近傍位置に設けられている。
【0028】
光源装置40は、アウターハウジング451の固定部452に固定される光源装置用筐体としてのインナーハウジング6を備え、このインナーハウジング6は、蓋部材5側の第1ハウジング61と、光学部品用筐体45側の第2ハウジング62と、2つのネジ63と、2つの留め具64と、コネクタ65とを組み合わせて構成されている。
第1ハウジング61は、図4、及び図5に示すように、光源装置本体400を覆う断面矩形の筒状に形成され、各ネジ63を収納し支持する円筒状の支持部611と、取手部612とを備える。
【0029】
支持部611は、光源装置本体400の光軸に沿って延出し、各ネジ63の基端部分を回転自在に支持している。
取手部612は、第1ハウジング61における背面(蓋部材5側の面)に形成された略直方体状の部分であり、プロジェクタ1の使用者が光源装置40を着脱する際に把持する部分である。なお、取手部612は、光源装置40を着脱する際に、使用者による力をコネクタ65に効率的に付加するために照明光軸Aに対してコネクタ65側に形成されている。
【0030】
各ネジ63は、各ナット453と対向する位置に設けられ、水平方向に沿って各ナット453に螺合されることで光源装置40を光学部品用筐体45に固定する。すなわち、各ネジ63の挿抜方向は、水平方向とされている。
また、各ネジ63は、図5に示すように、各ネジ63の先端部分に形成されるネジ山631と、基端部分に形成されるネジ頭632と、ネジ山631、及びネジ頭632を接続する略円柱状の軸部633とを備える。
ここで、各ネジ63の長さは、ネジ63がナット453に螺合され、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されている状態において、ネジ頭632が第1ハウジング61における光学部品用筐体45とは反対側の端部近傍に位置する長さとされている。
【0031】
ネジ山631は、ナット453に螺合される部分である。なお、本実施形態では、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されている状態において、ネジ孔453Aに螺合するネジ山631の挿抜方向の長さを距離D1とする。
軸部633は、ネジ山631と略同径に形成される大径部633Aと、大径部633A、及びネジ山631の間に形成され、大径部633A、及びネジ山631と比較して径が小さい小径部633Bとを有している。なお、大径部633Aの挿抜方向の長さは、支持部611の挿抜方向の長さと略同等である。
【0032】
移動規制部としての各留め具64は、ネジ63の挿抜方向の移動を規制するものであり、図5に示すように、第1ハウジング61、及び第2ハウジング62に挟み込まれるように配置されている。各留め具64は、リング状に形成され、各ネジ63の小径部633Bが挿通されている。また、各留め具64の内径は、小径部633Bより大きく、大径部633A、及びネジ山631より小さい径とされている。
コネクタ65は、第1ハウジング61の下面側に設けられている。そして、コネクタ65がアウターハウジング451の下面側に設けられたコネクタ(図示略)と接続することで、前述した電源装置から光源装置40に電力が供給される。
【0033】
第2ハウジング62は、前述した光源装置本体400、コネクタ65、及び平行化凹レンズ403を所定位置に収納配置するものであり、図5に示すように、光学部品用筐体45側の端部には、光学部品用筐体45の各固定部452と当接し、光源装置本体400の光学部品用筐体45に対する位置決めを行う2つの当接部621が設けられている。各当接部621には、ネジ63を挿通するための挿通孔621Aが各ナット453と対向する位置にそれぞれ形成されている。なお、各挿通孔621Aの内径は、ネジ63のネジ山631よりも大きい径とされている。
【0034】
各挿通孔621Aは、第1ハウジング61側に周縁部分が突出する形状とされ、各挿通孔621Aと、第1ハウジング61との間隔は、各留め具64の挿抜方向における厚みと略同等に設定されている。すなわち、各留め具64は、第1ハウジング61、及び第2ハウジングの間で略移動しないので、各ネジ63の挿抜方向の移動可能な距離は、各ネジ63の小径部633Bの挿抜方向における長さ(距離D2)となる。また、距離D2は、前述した距離D1以上に設定されている。
【0035】
蓋部材5には、図4に示すように、各ネジ63のネジ頭632と対向する位置に、光源装置40側に向かって突出する突起部51が形成されている。突起部51の突出量は、図5に示すように、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されている状態において、各ネジ63のネジ頭632と干渉せず、図6に示すように、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されていない状態において、各ネジ63のネジ頭632と干渉する突出量とされている。
【0036】
〔光源装置の着脱方法〕
次に、光源装置40の着脱方法について、図4〜図6を参照して説明する。
光源装置40が光学部品用筐体45に固定されている状態(図5)において、光源装置40を光学部品用筐体45から取り外すには、まず、蓋部材5を開口部21(図2参照)から取り外し、各ネジ63を、緩める方向に回転させる。各ネジ63は、回転させることで固定部452から離間する方向に移動し、距離D1だけ移動することで固定部452から離間する(図6)。なお、距離D2は、距離D1以上とされているので、ネジ山631は挿通孔621Aに収納され、各ネジ63を蓋部材5側に引き出そうとしても留め具64にて移動が規制される。
そして、取手部612を把持して光源装置40を蓋部材5側に引き出すことで、コネクタ65をアウターハウジング451の下面側に設けられたコネクタから離間させて光源装置40を光学部品用筐体45から取り外す。
【0037】
また、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されていない状態において、光源装置40を光学部品用筐体45に固定するには、まず、光源装置40を光学部品用筐体45側に押し込み、コネクタ65をアウターハウジング451の下面側に設けられたコネクタに接続する。なお、図6に示すように、この状態においては、蓋部材5にて開口部21を閉塞しようとすると突起部51がネジ頭632と干渉するので閉塞することができない。
そして、各ネジ63を、締める方向に回転させることで、ナット453に螺合して光源装置40を光学部品用筐体45に固定する。なお、図5に示すように、この状態においては、突起部51がネジ頭632と干渉しないので蓋部材5にて開口部21を閉塞することができる。
【0038】
本実施形態に係るプロジェクタ1によれば、次のような効果がある。
(1)ネジ63の挿抜方向の移動可能な距離D2は、ネジ孔453Aに螺合するネジ山631の挿抜方向の長さD1以上に設定されている。これにより、ネジ63は、ネジ孔453Aから抜けた後で留め具64にて挿抜方向の移動が規制されるので、光源装置40、及び光学部品用筐体45の位置関係を維持した状態でネジ63を回転させて緩めることができる。したがって、ネジ63に対してはコネクタ65による負荷が加わらないので、光源装置40を光学部品用筐体45に固定するネジ63を緩めやすくすることができ、光源装置40を容易に取り外すことができる。
【0039】
(2)ネジ63の挿抜方向は、水平方向とされているので、ネジ63に対しては自重によりネジ孔453Aに近接する方向に負荷が加わることがない。したがって、ネジの挿抜方向を鉛直方向とした場合と比較して光源装置40を更に容易に取り外すことができる。
(3)固定部452は、固定基準面Bの近傍位置に設けられ、インナーハウジング6における光学部品用筐体45とは反対側の端部近傍にネジ頭632が位置する長いネジ63を用いて光源装置40を光学部品用筐体45に固定するので、ネジ63のネジ頭632を開口部21に対して近い位置とすることができる。さらに、光源装置本体400の光学部品用筐体45に対する位置ズレを小さくすることができ、光学部品用筐体45を小さくすることができる。
【0040】
(4)支持部611は、各ネジ63の基端部分を回転自在に支持しているので、ネジ63の先端部分に加わる負荷を軽減させることができる。したがって、ネジ63や、ネジ孔453A等の破損を防止することができる。
(5)蓋部材5における突起部51の突出量は、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されている状態において、各ネジ63のネジ頭632と干渉せず、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されていない状態において、各ネジ63のネジ頭632と干渉する突出量とされている。したがって、プロジェクタ1の使用者は、蓋部材5にて開口部21を閉塞することができるか否かにより、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されているか否かを判断することができ、光源装置40の交換時における安全性を高めることができる。
【0041】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、起動規制部として留め具64を用いていたが、例えば、ネジに拡幅部を形成する等してもよく、要するに、ネジの挿抜方向の移動を規制するものであればよい。
前記実施形態では、ネジ63の挿抜方向は、水平方向とされていたが、これ以外の方向としてもよく、例えば、鉛直方向としてもよい。しかしながら、鉛直方向とすると、ネジに対しては自重によりネジ孔に近接する方向に微小な負荷が加わるので、水平方向とする本発明が好ましい。
【0042】
前記実施形態では、支持部611は、円筒状に形成され、各ネジ63の軸部633全体を支持していたが、一部のみを支持するようにしてもよい。要するに、支持部は、ネジの基端部分を回転自在に支持していればよい。
前記実施形態では、固定部452、及び当接部621は、固定基準面Bの近傍位置に設けられ、インナーハウジング6における光学部品用筐体45とは反対側の端部近傍にネジ頭632が位置する長いネジ63を用いて光源装置40を光学部品用筐体45に固定していた。これに対して、固定部、及び当接部の位置や、ネジの長さを自由に設定しても良い。なお、ネジの長さを短くした場合には、光源装置に支持部を設けなくてもよい。
【0043】
前記実施形態では、蓋部材5には、光源装置40が光学部品用筐体45に固定されていない状態において、ネジ63の基端部分と干渉する突起部51が形成されていた。これに対して、例えば、蓋部材に新たな部材を取り付けることでネジの基端部分と干渉するようにしてもよい。要するに、蓋部材にて開口部を閉塞することができるか否かにより、光源装置が光学部品用筐体に固定されているか否かを判断できればよい。
前記実施形態では、透過型の液晶パネル441を採用していたが、これに限らず、反射型の液晶パネルを採用してもよく、あるいは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を採用してもよい。なお、DMDは米国テキサスインスツルメンツ社の商標である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、プロジェクタに利用でき、特に光源装置を着脱可能なプロジェクタに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタを前面側から見た斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの蓋部材を取り外した状態を示す分解斜視図。
【図3】前記実施形態における光学装置の光学系を示す模式図。
【図4】前記実施形態における蓋部材、光源装置、及び光学部品用筐体を示す分解斜視図。
【図5】前記実施形態における光学部品用筐体に固定されている状態における光源装置の断面図。
【図6】前記実施形態における光学部品用筐体に固定されていない状態における光源装置の断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…プロジェクタ、2…外装筐体、5…蓋部材、6…インナーハウジング(光源装置用筐体)、21…開口部、40…光源装置、45…光学部品用筐体、51…突起部、63…ネジ、64…留め具(移動規制部)、400…光源装置本体、452…固定部、453A…ネジ孔、611…支持部、B…固定基準面、D1…距離、D2…距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、複数の光学部品を内部に収納配置する光学部品用筐体とを備え、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、形成した画像光を拡大投射するプロジェクタであって、
前記光学部品用筐体には、前記光源装置を固定するためのネジ孔を有する固定部が設けられ、
前記光源装置は、
前記ネジ孔に螺合し、前記光源装置を前記光学部品用筐体に固定するネジと、
前記ネジの挿抜方向の移動を規制する移動規制部とを備え、
前記ネジの挿抜方向の移動可能な距離は、前記光源装置が前記光学部品用筐体に固定されている状態において、前記ネジ孔に螺合する部分の長さ以上とされていることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記挿抜方向は、水平方向とされていることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記光源装置は、
光を射出する光源装置本体と、
前記光源装置本体を収納するとともに、前記固定部に固定される光源装置用筐体とを備え、
前記固定部は、前記光源装置本体における光射出側の先端を通り、前記光源装置本体の光軸と垂直な面の近傍位置に設けられ、
前記ネジの基端部分は、前記光源装置用筐体における前記光学部品用筐体とは反対側の端部近傍に位置することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクタにおいて、
前記光源装置用筐体は、
前記ネジの基端部分を回転自在に支持する支持部を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記光源装置、及び前記光学部品用筐体を収納する外装筐体を備え、
前記外装筐体は、
前記光源装置を外部に露出させる開口部と、
前記開口部を閉塞する蓋部材とを備え、
前記蓋部材には、前記光源装置が前記光学部品用筐体に固定されていない状態において、前記ネジの基端部分と干渉する突起部が形成されていることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−175503(P2009−175503A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14737(P2008−14737)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】