説明

プロセスチーズ類及びプロセスチーズ類の製造方法

少量の摂取で十分な高血圧抑制効果を得ることを目的として、通常のチーズよりも高血圧抑制効果の強いプロセスチーズ類を提供する。具体的には、ニュージーランド産チェダーチーズやスイス産エメンタールチーズなどACE変換酵素阻害活性が420unit/g以上あるナチュラルチーズを用いて、ACE変換酵素阻害活性350unit/g以上を有するプロセスチーズ類を製造する。そして、好ましくは、原料として低塩若しくは無塩ナチュラルチーズを用い、あるいは溶融塩としてカリウム塩を用いてナトリウム含量をプロセスチーズ類100g中990mg以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はプロセスチーズ類、具体的にはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を高めたプロセスチーズ類及び当該プロセスチーズ類の製造方法に関する。
【背景技術】
高血圧は脳卒中や心臓病の危険因子であり、食餌療法や生活習慣改善、さらには降圧剤服用による薬物療法で治療される。しかしながら、薬物療法には必ず何らかの副作用が伴い、好ましくは薬物療法に頼らないのがよい。その一方で、近年、食品中に存在するペプチドの中には、降圧ペプチドと呼ばれ、高血圧を抑制し血圧を正常な範囲に維持する効果をもつものがあることが知られるようになった(例えば、非特許文献1〜3参照)。そのメカニズムは、当該降圧ペプチドがアンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を阻害することにある。ACEは血液中のペプチドであるアンジオテンシンIを昇圧作用のあるアンジオテンシンIIに変換したり、降圧作用のあるキニンを不活性化する酵素で、昇圧を促す酵素である。また、食品中に存在する降圧ペプチドを添加した高血圧抑制効果の高い飲料も市販されている(非特許文献4参照)。
チーズ中にも降圧ペプチドが含まれており、ラットを使用した動物実験においてチーズを給餌することで高血圧が抑制されることが確認されている。それ自体日常の食生活に取り入れられているチーズを摂取することで効果があるならば、降圧ペプチドを添加した飲料より自然な食生活で高血圧を抑制できると言える。そこで、本発明者らが市販プロセスチーズ類のACE阻害活性を測定したところ、その結果は表1の通りとなった。
【表1】


【非特許文献1】 齋藤忠夫,他4名(T,Saito,et al.),ゴーダチーズ中の抗高血圧ペプチドの分離及び構造的分析(Isolation and Strucutural Analysis of Antihypertensive Peptides That Exist Natually in Gouda Cheese),「酪農科学誌(Journal of Dairy Science)」(米国),Vol.83,No.7,2000,p.1434−1440
【非特許文献2】 メイゼル,他2名(H.MEISEL,et al.),ミルク製品中のACE阻害活性(ACE−inhibitory activities in milk products),「ミルク情報誌(Milchwissenschaft)」(独国),52(6)1997,p.307−311
【非特許文献3】 伊藤 整,他5名,チーズ中のアンジオテンシン変換酵素インヒビター,「医学と生物学」,第115巻,第6号,1987年,p.375−377
【非特許文献4】 Dr.アミールの血圧講座、[online]、カルピス株式会社、[平成14年8月14日検索]、インターネット<URL:http://ameel.calpis.co.jp/as/index.html>
しかしながら、チーズの消費量が欧米ほどでない日本では、習慣的に一定量のチーズを毎日摂取し続けるのは定着しにくいことも予想される。また、チーズを多く食べ過ぎるとチーズ中の食塩の摂取が逆に高血圧を促進することにもなる。高血圧抑制を目的とする清涼飲料(ドリンク)の例では、一日の摂取量をACE阻害活性に換算して5000unitに設定している。これを表1に示す市販チーズで補うことにすれば、一日の目標摂取量は22〜32gとなる。これは、日本人の平均摂取量である約5.5gに比べてかなり多く、これらの状況からすると現在のプロセスチーズの摂取により高血圧の抑制に寄与するには非常に困難であると言える。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とするところは、少量の摂取で十分な高血圧抑制効果が得られるよう通常のチーズよりも高血圧抑制効果の強いプロセスチーズ類を提供することにある。
【発明の開示】
本発明のプロセスチーズ類は、アンジオテンシン変換酵素阻害活性が350unit/g以上であることを特徴としている。また、本発明のプロセスチーズ類は、前記プロセスチーズ類において、アンジオテンシン変換酵素阻害活性が420unit/g以上のナチュラルチーズを原料としたことを特徴としている。さらに、本発明のプロセスチーズ類は、上記プロセスチーズ類において、ナトリウム含量がプロセスチーズ類100g中990mg以下であることを特徴としている。また、本発明のプロセスチーズ類は、上記プロセスチーズ類において、カリウム含量がプロセスチーズ類100g中80mg以上150mg以下であることを特徴としている。
本発明のプロセスチーズ類の製造方法は、アンジオテンシン変換酵素阻害活性が350unit/g以上であるプロセスチーズ類の製造方法であって、アンジオテンシン変換酵素活性が420unit/g以上のナチュラルチーズを少なくとも1種以上原料とすることを特徴としている。
また、本発明のプロセスチーズ類の製造方法は、上記製造方法において、原料であるナチュラルチーズとして低塩若しくは無塩ナチュラルチーズを用い、得られるプロセスチーズ類のナトリウム含量をプロセスチーズ類100g中990mg以下とすることを特徴としている。
また、本発明のプロセスチーズ類の製造方法は、上記各製造方法において、原料である溶融塩としてカリウム塩を用いて、得られるプロセスチーズ類のナトリウム含量をプロセスチーズ類100g中990mg以下とすることを特徴とし、さらに、これらの場合において、得られるプロセスチーズ類のカリウム含量をプロセスチーズ類100g中80mg以上150mg以下とすることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の目的は、ACE阻害活性が350unit/g以上の高血圧抑制効果の強いプロセスチーズ類を提供することであり、本発明は、常食できる範囲のチーズ量で高血圧抑制効果を達成しようとするものである。ACE阻害活性の一日摂取総量は、上記飲料と同量必要であると考えると約5000unitである。上記したように、日本人の平均的なチーズ摂取量は約5.5gである。チーズによりACE阻害活性の一日摂取総量を摂取すると仮定すれば、5.5gのチーズは製品サイズとしては余りにも小さく、乳タンパクやカルシウム摂取量とのバランスからしても少量である。一方、一個当りの重量が20〜25gである市販チーズも存在するが、この量は平均的な日本人の一日摂取量に比べて多すぎる。従って、今後のチーズ摂取量の増加を考慮したとしても、一日チーズ摂取量は概ね10〜15gと考えられる。とすれば、必要なプロセスチーズ類のACE阻害活性(比活性)は333〜500unit/gとなる。従って、本発明の目的を達成するには、少なくとも350unit/g以上、好ましくは500unit/g以上、より好ましくは700unit/g以上のACE阻害活性が必要である。もちろん、欧米人のチーズ摂取量は日本人のそれに比べて多く、この比活性は十分に高血圧抑制効果を発揮する値である。なお、本発明においてACE阻害活性は、実施例に記載の方法により測定された値により定義される。
本発明においてプロセスチーズ類とは、プロセスチーズ、チーズフード、チーズスプレッド、チーズディップ、チーズデザート等主原料にナチュラルチーズを使用する製品をいう。
高血圧抑制効果の強いプロセスチーズ類を作るには、原料ナチュラルチーズが高血圧抑制効果の強いナチュラルチーズから選択される必要がある。この場合において、一般的な配合例や通常の製造工程における失活等を考慮するとACE阻害活性が420unit/gの原料チーズを使用した場合、製品プロセスチーズ類のACE阻害活性の計算値は357unit/g、つまり約350unit/gとなり、ACE阻害活性が420unit/g以上の原料チーズを用いれば、350unit/g以上のプロセスチーズが得られる。従って、本発明においては、原料のナチュラルチーズは、ACE阻害活性が420unit/g以上、好ましくは500unit/g以上、より好ましくは700unit/g以上のものが用いられる。
また、プロセスチーズ類の製造においては、原料チーズは複数の種類が組み合わせられる場合が多い。それは風味の調整、熟度の調整、原料チーズそれぞれの品質変動の緩和等を目的としている。本発明においても複数の種類を組み合わせることができ、原料チーズトータルとしてのACE阻害活性が420unit/g以上、好ましくは500unit/g以上、より好ましくは700unit/g以上になるように複数の原料チーズが組み合わせられる。組み合わせるチーズの種類は特に制限されない。チェダー、チェシャー、コルビー、モンテレージャック等のチェダータイプチーズ、ゴーダ、サムソー、マリボー等のゴーダタイプチーズ、エダムタイプチーズ、パルメザン、ロマノ、グラナパダノ等の超硬質チーズ、エメンタール、グリュイエール等のスイスタイプチーズ、カマンベール、ブリー等の白カビチーズ、スティルトン、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、ダナブルー等の青カビチーズ、リンバーガー等の細菌による表面熟成チーズ、クリームチーズ、マスカルボーネ、カッテージ、モッツァレラ等の熟成しないタイプのチーズ、リコッタ等のホエーチーズなどが例示される。
チーズ中に降圧ペプチドが含まれているといってもその量はどんなチーズでも同じではない。チーズの種類や熟成日数で異なる。発明者らが上市されている原料チーズを測定した結果では、熟成しないチーズ(カッテージチーズ、クリームチーズ、クワルク等のフレッシュチーズや未成熟カード)はタンパク質の分解程度が少ないので含有ペプチド量が少なく、高血圧抑制効果が弱い。それだけでなく、熟成タイプのチーズにおいても、チーズの種類、熟成月数が同じでも製造法(メーカー)の違いによって高血圧抑制効果が大きく異なることが分かった。チーズの熟成月数は一応の目安にはなるものの、それだけでは一概に高血圧抑制効果の強さを判断できず、個々のチーズの高血圧抑制効果を測定して選択する必要がある。発明者らがナチュラルチーズのACE阻害活性を測定した結果の一部を表2に示す。表2からの例では、ニュージーランド産チェダーチーズ、スイス産エメンタールチーズの中に高血圧抑制効果の高いチーズが特異的に存在することが分かり、本発明の目的を達成するには、ニュージランド産チェダーチーズ又はスイス産エメンタールチーズあるいは両者を組み合わせて用いるのが好都合である。これらの高血圧抑制効果が特異的に高いチーズは、少なくともACE阻害活性を420unit/g以上有しているからである。そして、これらのチーズを使う場合でも、ACE阻害活性が好ましくは500unit/g以上、より好ましくは700unit/g以上のものを用いるのがよい。
【表2】

一方、ナトリウムが血圧を上昇させる作用を持つことはよく知られている。例えば、プロセスチーズ中には食塩(製品中1.1〜1.5w/w%)、リン酸塩、クエン酸塩等の溶融塩(製品中2〜2.5w/w%)に主に由来するナトリウムが含まれている。従って、製品プロセスチーズ中のナトリウムを低減すればペプチドの持つ高血圧抑制効果をさらに活かすことができる。標準のプロセスチーズのナトリウム含量はチーズ100g中1100mg(5訂日本食品成分表による)である。また、ナトリウム含量が100g中980mg以下であれば低塩ナトリウム食品として扱われ、高血圧の予防にも好ましい。従って、製品プロセスチーズ中ナトリウム含量を990mg/チーズ100g以下に調整するのがよい。
また、ナトリウム含量は少ないほどよいが、ナトリウムは風味上、細菌的保存性の確保上ある程度の量は必要である。さらに、溶融塩もプロセスチーズの乳化のために必須の添加物であるので、溶融塩の不使用は困難である。このため、原料プロセスチーズの一部として無塩のナチュラルチーズや低塩ナチュラルチーズを適宜組み合わせてナトリウム含量を減じるのがよい。なお、溶融塩は乳化剤と称される場合もある。
さらに、溶融塩に由来するナトリウムは、溶融塩の一部をナトリウム塩からカリウム塩等に置換することで減らすこともできる。カリウムは血圧を降下させる作用を持つため、カリウム塩への置換は本発明の目的達成には有効な方法である。しかしながら、カリウム塩には独特のえぐ味があるため、カリウムとして150mg/チーズ100g以内になるように使用する。ちなみに、通常のプロセスチーズ中のカリウム含量は60mg/チーズ100g前後であり、ナトリウム含量を減らすためにはこれよりも多量にカリウムを含ませる必要がある。そこで、本発明においてはカリウム含量は80mg/チーズ100g以上150mg/チーズ100g以下とするのがよい。
さらに本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は何ら以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
ニュージーランド産チェダーチーズ(熟成月数12ヶ月、ACE阻害活性940unit/g)を原料チーズとして使用して以下の工程によりプロセスチーズを調整した。配合は次の通りである。
〔配合表〕
ニュージランド産チェダーチーズ 8.5kg
溶融塩(ポリリン酸ナトリウム) 0.1kg
溶融塩(リン酸水素二ナトリウム) 0.1kg
水(加温のための蒸気を含む) 1.3kg
〔工程〕
原料チーズは予めミートチョッパで粗く粉砕しておく。20リットル容ケットル型ニーダーに原料を全て投入し(ただし、水の量は加温のための蒸気量を除いた量とする)、120rpmの回転数で撹拌しながら蒸気を吹き込み約10分間で85℃まで加温した。溶けて流動性を持つようになったチーズを200gずつ容器に採取し、密封して5℃の冷蔵庫で一晩冷却した。
このものの風味、組成は良好であった。また、下記のとおり、ACE阻害活性を測定したところ820unit/gであり、市販プロセスチーズに比較してACE阻害活性が十分に高められたプロセスチーズを製造できた。
〔ACE阻害活性の測定〕
(サンプルの前処理)
細断したチーズ100gにフィルターろ過した純水500mlを加え、ミキサーにて5分間撹拌する。その後、7000rpmで30分間遠心分離して、水層部分を分取し、沈殿層と上層の油分を取り除く。水層部分をろ過して、サンプル液とする。
(ACE阻害活性の測定)
サンプル液を1Nの水酸化ナトリウムで中和する。酵素液(Angiotensin Converting Enzyme:2unit/ml)0.1mlと中和したサンプル液0.04mlを混合し、37℃に加温する。次いで、基質液(HIPPURYL−HIS−LEU;N−Benzoyl−Gly−His−Leu)0.1mlを添加し、よく撹拌する。37℃で60分間保持して反応させる。反応後、1N塩酸を0.13ml添加してよく撹拌し、反応を停止させる。次に、酢酸エチル0.85mlを加えて1分間振とうした後、3000rpmで10分間遠心分離する。上清0.7mlを回収して、遠心エバポレーターで溶媒を除去する(約30分間)。これに蒸留水0.5mlを加えて残留物を溶解して、波長228nmにおける吸光度を測定する。そして、以下の式1によりACE活性阻害(unit/g)を求める。なお、式中Aは酵素を用いた場合における対照の吸光度、Bは酵素を用いなかった場合における対照の吸光度、Cは酵素を用いた場合におけるサンプル液の吸光度、Dは酵素を用いなかった場合におけるサンプル液の吸光度である。また、対照にはサンプル液の替わりに水を用いた。
【式1】

【実施例2】
ニュージーランド産チェダーチーズ(熟成月数7ヶ月、ACE阻害活性709unit/g)及びスイス産エメンタールチーズ(熟成月数9ヶ月、ACE阻害活性525unit/g)を原料チーズとして、チーズスプレッドを調整した。配合は次の通りである。なお、工程は実施例1と同様である。
〔配合表〕
ニュージーランド産チェダーチーズ 3.0kg
スイス産エメンタールチーズ 3.0kg
植物性油脂(ナタネ油) 1.0kg
溶融塩(ポリリン酸ナトリウム) 0.15kg
溶融塩(クエン酸ナトリウム) 0.05kg
水(加温のための蒸気を含む) 2.8kg
このものの風味、組織は良好であった。また、ACE阻害活性を測定したところ370unit/gであり、市販プロセスチーズや市販チーズスプレッドに比較してACE阻害活性が十分に高められたチーズスプレッドを製造できた。
【実施例3】
ニュージーランド産チェダーチーズ(熟成月数17ヶ月、ACE阻害活性1141unit/g、食塩含量2.0w/w%)と、ナトリウム分低減のためニュージーランド産低塩チェダーチーズ(熟成月数0.5ヶ月、ACE阻害活性140unit/g、食塩含量0.5w/w%)を原料チーズとして、プロセスチーズを調整した。配合は次の通りである。なお、工程は実施例1と同様である。
〔配合表〕
ニュージーランド産チェダーチーズ 6.5kg
ニュージーランド産低塩チェダーチーズ 1.5kg
溶融塩(ポリリン酸ナトリウム) 0.2kg
水(加温のための蒸気を含む) 1.8kg
このものの風味、組織は良好であった。また、ACE阻害活性を測定したところ760unit/gであり、市販プロセスチーズに比較してACE阻害活性が十分に高められたプロセスチーズを製造できた。また、このもののナトリウム含量は、950mg%(チーズ100g中ナトリウム950mg)であった。
【実施例4】
ニュージーランド産チェダーチーズ(熟成月数7ヶ月、ACE阻害活性709unit/g、食塩含量2.0w/w%)及びスイス産エメンタールチーズ(熟成月数9ヶ月、ACE阻害活性525unit/g、食塩含量1.8w/w%)を原料チーズとしてプロセスチーズを調整した。配合は次の通りである。なお、工程は実施例1と同様である。
〔配合表〕
ニュージーランド産チェダーチーズ 6.0kg
スイス産エメンタールチーズ 2.0kg
溶融塩(ポリリン酸ナトリウム) 0.15kg
溶融塩(ポリリン酸カリウム) 0.05kg
水(加温のための蒸気を含む) 1.8kg
このものの風味、組織は良好であった。また、ACE阻害活性を測定したところ760unit/gであり、市販プロセスチーズに比較してACE阻害活性が十分に高められたプロセスチーズを製造できた。また、このもののナトリウム含量は850mg%であり、カリウム含量は120mg%であった。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、従来品よりも高血圧抑制効果が十分に高められたプロセスチーズが提供され、当該チーズの摂取が日常の食生活の中で自然と血圧をコントロールする。特に低ナトリウム化されたプロセスチーズは、ナトリウム塩の摂取量をもコントロールし、より一層と血圧のコントロールに寄与する。すなわち、本発明のプロセスチーズは血圧降下作用を有し、血圧を正常に保つことを助ける特定保健用食品や血圧降下作用を標榜可能な機能性食品として利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンジオテンシン変換酵素阻害活性が350unit/g以上であることを特徴とするプロセスチーズ類。
【請求項2】
アンジオテンシン変換酵素阻害活性が420unit/g以上のナチュラルチーズを原料としたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のプロセスチーズ類。
【請求項3】
ナトリウム含量がプロセスチーズ類100g中990mg以下であることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項の何れかに記載のプロセスチーズ類。
【請求項4】
カリウム含量がプロセスチーズ類100g中80mg以上150mg以下であることを特徴とする請求の範囲第1〜3項の何れかに記載のプロセスチーズ類。
【請求項5】
アンジオテンシン変換酵素阻害活性が350unit/g以上であるプロセスチーズ類の製造方法であって、アンジオテンシン変換酵素活性が420unit/g以上のナチュラルチーズを少なくとも1種以上原料として用いることを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
【請求項6】
原料であるナチュラルチーズとして低塩若しくは無塩ナチュラルチーズを用い、得られるプロセスチーズ類のナトリウム含量をプロセスチーズ類100g中990mg以下とすることを特徴とする請求の範囲第5項に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
【請求項7】
原料である溶融塩としてカリウム塩を用い、得られるプロセスチーズ類のナトリウム含量をプロセスチーズ類100g中990mg以下とすることを特徴とする請求の範囲第5項又は第6項の何れかに記載のプロセスチーズ類の製造方法。
【請求項8】
得られるプロセスチーズ類のカリウム含量をプロセスチーズ類100g中80mg以上150mg以下とすることを特徴とする請求の範囲第7項に記載のプロセスチーズ類の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/032642
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542826(P2004−542826)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012747
【国際出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【出願人】(000006138)明治乳業株式会社 (265)
【Fターム(参考)】