説明

プロバイオティクス微生物の組成物、それを含む顆粒、その調製方法およびその使用

本発明は、生菌のまたは再生可能なプロバイオティクス微生物と、酵母壁および/または不活化酵母と、場合によっては、特にビタミンおよび/または微量元素および/またはアミノ酸および/または動物栄養用の他の添加剤を含む栄養補助剤とを含むプロバイオティクス組成物または予混合物に関する。本発明は、前記組成物を含む動物栄養用の顆粒、および前記顆粒を調製する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、酵母壁および/または不活化酵母の存在が、特にプロバイオティクス微生物の安定化を可能にする、生菌のまたは再生可能なプロバイオティクス微生物と酵母壁および/または不活化酵母とを含むプロバイオティクス組成物または予混合物である。この組成物または予混合物は、動物飼料用となる顆粒の調製に使用できる。
【背景技術】
【0002】
「プロバイオティクス」という用語は、それらが十分な量で消費されると、宿主生物の腸内細菌叢の特性が従来の栄養効果を越えて改善され、それによって宿主生物に好ましい影響を及ぼす生菌の微生物を指す。それらは、動物飼料中での抗生物質使用の代替となる。それらは、食品または栄養補助食品のいずれかに存在する細菌または酵母であることが最も多い。
【0003】
プロバイオティクスには、主に、
- 乳酸菌(ラクトバシラス(lactobacilles)およびラクトコッカス(lactocoques))、
- ヒトまたは動物由来のビフィズス菌、
- サッカロマイセス属タイプの酵母を含む種々の酵母、
- 枯草菌(Bacillus subtilis)およびセレウス菌(Bacillus cereus)を含む他の芽胞形成菌
の4種類がある。
【0004】
たとえ幾つかの治療効果がそれらに起因すると考えられるとしても、加熱により死滅した微生物は、プロバイオティクスの定義に相当しない。
【0005】
より広い意味では、「プロバイオティクス」という用語は、そのような微生物を含む食品も指す。
【0006】
プロバイオティクスは、特により健康的で、より自然な、より環境に優しい食物への回帰が考慮され、ヒト消費用および動物飼料の両方のために、特に抗生物質の代替物としてますます使用されている。動物栄養では、これらの微生物は、一般に、ビタミン、微量元素およびアミノ酸をさらに含む予混合物を介して顆粒状飼料に添加される。
【0007】
しかしながら、プロバイオティクス微生物を顆粒へ導入するのは容易ではなく、実際、プロバイオティクス微生物は、顆粒化工程中に死滅することが最も多い。顆粒製造におけるこのステップは、温度が60℃と100℃との間で、圧力が0.5から3.5バールまでの範囲の蒸気の存在下で実施され、一般に微生物は、その温度と湿気の条件では死滅してしまう。
【0008】
特許出願EP0694610では、着色剤であるアスタキサンチンを産生するファフィア・ロドチーマ(Phaffia rhodozyma)種の酵母の顆粒化に対する耐性が、グルコースなどの糖類の存在下で乾燥されることにより改善され、養殖マスおよびサケに赤色を与えるための魚類飼料に使用される。
【0009】
しかしながら、この場合は、機能を果たすために動物に摂取されるまで生菌でいなければならないプロバイオティクス酵母を含んでいなかった。
【0010】
驚いたことにかつ意外にも、本発明者らは、プロバイオティクス微生物が、小麦全粒粉または炭酸カルシウムなど予混合物用に従来使用されている他の担体の代わりに、酵母壁および/または不活化酵母と混合することにより、予混合物中での経時的な安定性の増加を示しうることを見出した。このように経時的な安定性が改善されると、顆粒化に対する耐性がより強くなる。
【0011】
薬理学および農業食糧部門における酵母壁の使用は、すでに記載がある。これらの細胞壁は、医薬錠剤の製造において、賦形剤として、特に崩壊特性を有する結合剤(Ozekiら、AAPS PharmSciTech、2003年;4(3):E41)または被膜産物構成要素(EP1159882、Yuasaら、Int J. Pharm.、2002年、4月26日; 237(1-2):15〜22頁)として使用される。しかしながら、本出願企業が知る限りでは、生菌のまたは再生可能な微生物の安定性を改善するために酵母壁を使用する可能性は、現在まで想起されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP0694610
【特許文献2】EP1159882
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Ozekiら、AAPS PharmSciTech、2003年;4(3):E41
【非特許文献2】Yuasaら、Int J. Pharm.、2002年、4月26日; 237(1-2):15〜22頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、プロバイオティクス微生物を摂取する動物の健康に期待される効果が実現するような経時的に安定したプロバイオティクス微生物に対する真の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の主題は、
- プロバイオティクス酵母と、バシラス属(bacillis)を除き、ラクトバシラスから選択される乳酸菌、およびビフィズス菌を含むタイプのプロバイオティクス細菌と、それらの混合物とを含む群から選択される、0.5から75%までの生菌のまたは再生可能なプロバイオティクス微生物(a)と、
- 酵母壁および不活化酵母から選択される、10から95%までの化合物(b)と、
- 特にビタミン、および/または微量元素、および/またはアミノ酸、および/または動物飼料用の他の添加剤を含む、0から95%までの栄養補助剤(c)と
を含み、パーセンテージが組成物の全重量に対する乾燥重量として表されているプロバイオティクス組成物または予混合物である。
【0016】
本発明では、「再生可能な」または「生存可能な」微生物という表現は、栄養培地の存在下で、分裂しコロニーを形成する能力を回復する微生物を意味すると理解される。
【0017】
プロバイオティクス酵母の一例としては、サッカロマイセス属の酵母、好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種、またはクリベロマイセス(Kluyveromyces)属の酵母、例えばクリベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)種およびそれらの混合物を含む群から選択されるプロバイオティクス酵母が言及されうる。
【0018】
サッカロマイセス・セレビシエ株の好ましい例は、NCYCに番号47で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエSc47株、パストゥールコレクション(CNCM)に番号I-1077で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、パストゥールコレクション(CNCM)に番号I-1079で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、MUCLコレクションに番号39 885で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、CBSコレクションに番号39 493.94で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、MUCLコレクションに番号39434で寄託されているクリベロマイセス・マルキシアヌス株、およびそれらの混合物である。
【0019】
最も好ましくは、本発明による組成物は、NCYCに番号47で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエSc47株に相当する酵母を含む。
【0020】
したがって、最も特定的な実施形態によると、前記プロバイオティクス組成物または予混合物は、
- 0.5から75%までの、好ましくは5から30%までの生菌のまたは再生可能な酵母、
- 10から80%までの、好ましくは25から50%までの酵母壁および/または不活化酵母、
- 0から95%までの、好ましくは5から80%までの栄養補助剤を含み、パーセンテージは組成物の全重量に対する乾燥重量として表されている。
【0021】
この組成物は、単胃動物の飼料として特に好適である。
【0022】
酵母壁の方は、あらゆる種類の食品用酵母、例えばサッカロマイセス・セレビシエから選択できる。より特定的には、酵母壁は、Prodessa社、Biospringer社およびAlltech社から、それぞれPRONARDY(登録商標)、SAFMANNAN(登録商標)またはBIOMOS(登録商標)という商標で市販されている酵母から取得される。
【0023】
酵母壁は当業者に公知の方法により取得が可能で、より特定的には、酵母細胞の自己溶菌後に、酵母壁を含む不溶性部分を可溶性部分から物理的手段により分離することが言及されてよい。
【0024】
本発明の状況では、不活化酵母は、いかなる発酵能力も有しない酵母であると見なされる。それが食品用、例えば食品用サッカロマイセス属である限り、いかなるタイプの不活化酵母でも使用できる。それらは、当業者に公知の方法、より特定的には熱処理によって取得される。
【0025】
本発明の最も有利な実施形態によると、不活化酵母は95%を超える乾物含量を有する。
【0026】
不活化酵母および酵母壁の混合物が使用される場合、酵母の由来は同一または異なっていてよい。
【0027】
本発明のプロバイオティクス組成物は非常に良好な均質性を有する。
【0028】
任意の理論に縛られることは望まないが、酵母壁および/または不活化酵母が本発明による組成物または予混合物中に存在すると、プロバイオティクス微生物の水分含量を低減させ、この水分含量を経時的に安定させることにより、プロバイオティクス微生物を安定させることが可能になる。他方では、特に小麦全粒粉または炭酸カルシウムを含む、従来技術に記載のある従来の予混合物担体が使用される場合、この水分含量は大幅に増加する。さらに、炭酸塩の使用は、摩損性および分離の問題を引き起こしうる。
【0029】
したがって、特定の実施形態によると、以下の試験Aに従って測定したプロバイオティクス微生物の乾物含量の変動、すなわちVAは、プラスである。
【0030】
(試験A)
T0の時点で、つまりプロバイオティクス微生物を酵母壁および/または不活化酵母と混合する前に、プロバイオティクス微生物の乾物含量をISO1741法により測定する。DM0の値が得られる。
【0031】
T=14日の時点で、つまりプロバイオティクス微生物を酵母壁および/または不活化酵母と混合した14日後に、プロバイオティクス微生物の乾物含量を測定する。DMTの値が得られる。
【0032】
そして、次の計算:V=[(DMT-DM0)/DM0]×100を行う。
【0033】
好ましくは、プロバイオティクス微生物の乾物含量の変動Vは0.5%を超え、好ましくは1%を超える。
【0034】
特定の実施形態によると、本発明による組成物または予混合物は、特にビタミンおよび/または微量元素および/またはアミノ酸および/または動物飼料用の他の添加剤を含む栄養補助剤を追加的に含む。
【0035】
組成物中に導入するビタミンは、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、B2、B5、B6、B12、C、PP、ビオチン、葉酸、コリン、ビタミンK3、パントテン酸、およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0036】
組成物中に導入する微量元素は食品用ミネラル塩でありうる。それらは銅、亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素、セレンおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0037】
組成物中に導入するアミノ酸は、メチオニン、リジン、L-スレオニン、トリプトファンおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0038】
上述のプロバイオティクス組成物または予混合物は、動物飼料に直接導入することができる。一般的に、本発明による組成物は、プロバイオティクス微生物の量が完成飼料1kg当たり5×107〜5×1010CFU(コロニー形成単位)で、好ましくは完成飼料の1kg当たり5×108から1×1010CFUまでの量で、飼料に導入される。
【0039】
例えば、本発明による組成物のプロバイオティクス微生物が、BIOSAF(登録商標)という商標でLesaffre社によって市販されている酵母サッカロマイセス・セレビシエSc47である場合、本発明による組成物は、完成飼料の1kg当たり2.5〜8×109CFUのサッカロマイセス・セレビシエSc47を有するように動物飼料に導入されよう。
【0040】
上述のプロバイオティクス組成物は、特に動物飼料用のプロバイオティクス顆粒にも使用できる。
【0041】
したがって、別の実施形態によると、本発明は、
- 上述のプロバイオティクス組成物または予混合物と、
- 対象とする動物種に好適な栄養混合物と
を含むプロバイオティクス顆粒に関する。
【0042】
一般的に、本発明の顆粒は、重量で1000分の1のプロバイオティクス微生物からなる。
【0043】
栄養混合物とは、当業者が動物飼料用の顆粒の調製に従来使用している混合物であり、その組成は対象とする動物種に依存するが、従来は、例えば小麦全粒粉などの植物粉および/または大豆油もしくは菜種油の油かすおよび/またはビートパルプおよび/または糖蜜および/または尿素を、当業者に周知の割合で含む。その後、予混合物は原料(飼料)に導入されるが、その性質および量は動物種に依存する。
【0044】
この栄養混合物は、場合によっては、本発明のプロバイオティクス組成物に関して以下に記載される、ビタミンおよび/または微量元素および/またはアミノ酸および/または動物飼料用の他の添加剤で富栄養化される。
【0045】
本発明の顆粒は、
- 本発明によるプロバイオティクス組成物または予混合物を調製するステップ、
- 組成物または予混合物を、好ましくは少なくとも14日の待機期間の後、対象とする動物種に好適な栄養混合物中に導入するステップ、
- すでに得られた混合物に、温度が60℃と100℃との間で、圧力が0.5から3.5バールまでの範囲の蒸気を射出し、圧縮するステップ
を含む方法により調製する。
【0046】
有利には、プロバイオティクス微生物を含む組成物または予混合物は、栄養混合物に導入する前に、少なくとも15日間、好ましくは少なくとも1か月間静置させておく。
【0047】
本発明の方法によって得られた顆粒は、非常に良好なプロバイオティクス微生物の生存率を有する。
【0048】
特定の実施形態によると、顆粒化中のプロバイオティクス微生物の生存率は、顆粒化後のCFU数(CFUaf)と顆粒化前のCFU数(CFUbe)との比率に100を掛けた比率に相当する比率Sにより測定できる。本発明による顆粒中の微生物の生存率は、比率Sの値が20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくはさらに70%以上である。
【0049】
本発明は、プロバイオティクス顆粒の安定性を改善する方法であって、プロバイオティクス微生物と、酵母壁および/または不活化酵母と、場合によっては、特にビタミンおよび/または微量元素および/またはアミノ酸および/または動物飼料用の他の添加剤を含む栄養補助剤とを含むプロバイオティクス組成物または予混合物を調製するステップを含む方法にも関し、この組成物は、蒸気射出顆粒化ステップおよび圧縮の前に栄養混合物に導入される。
【0050】
上記で言及したように、顆粒化温度に対する耐性は、特に、本発明による組成物中に存在するプロバイオティクス微生物の乾物含量を増加または維持することにあると見出された。
【0051】
本発明の、または本発明の方法によって得られた顆粒は、動物飼料として使用することを目的とする。
【発明の効果】
【0052】
本発明は、動物飼料中のプロバイオティクス微生物の最終的な生菌量が、本発明による組成物、またはその顆粒の製造に使用された量の少なくとも20%に相当することが考慮された、プロバイオティクス微生物の供給制御を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、以下の実施例および図において、より正確に記述、例証されよう。これらの実施例は、本発明の主題を例証するためにだけに示され、いかなる様式においてもそれに対する制限を構成しないことが明白に理解される。
【実施例】
【0054】
(実施例1:使用した材料)
本発明の実施例は以下の材料を用いて実行される。
【0055】
プロバイオティクス酵母はBIOSAF(登録商標)という商標で市販されているものである(実施例の残りの部分では、BIOSAF(登録商標)という用語のみを使用する)。BIOSAF(登録商標)製品は、酵母サッカロマイセス・セレビシエ株Sc47、1×1010CFU/gのBIOSAF(登録商標)(NCYC-47)の生菌細胞の濃縮物である。この製品は主に動物飼料用であり、微粒剤の形で提供され、80℃までの熱安定性を示す。
【0056】
使用した酵母壁は、サッカロマイセス・セレビシエの細胞壁からなり、自己溶菌後の遠心分離により調製する。
【0057】
使用した不活化酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ細胞壁からなり、熱処理により調製する。
【0058】
その物理的特性を以下の表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
(実施例2)
(2.1 予混合物の調製)
その組成が下記の表2に示されている種々の混合物(予混合物1〜3)を、手作業で調製した。
【0061】
【表2】

【0062】
パーセンテージは、予混合物の全重量の重量により計算する。
【0063】
予混合物3は、従来技術の顆粒組成物中に含まれる組成物に相当する。
【0064】
(2.2 乾物含量の変動)
予混合物1〜3の各々に存在するBIOSAFの乾物含量は、ISO1741の公式規格により、T=1日目、2日目、7日目および14日目の時点で測定した。得られた結果を図1に表す。
【0065】
試験Aによる乾物含量の変動を下記の表に示す。
V=[(DMT-DM0)/DM0]×100
【0066】
【表3】

【0067】
BIOSAF(登録商標)と予混合物の他の化合物との間の接触時間は、平衡状態がもたらされる製品の湿気に対応するため、重大な役割を果たすことに留意することが重要である。時間的要因がBIOSAF(登録商標)-小麦全粒粉混合物に好ましくないなら、酵母壁および/または不活化酵母に基づく担体の場合には、接触時間は最低14日間に違いない。
【0068】
(実施例3)
過去の研究には、混合することによって、周囲の湿気をより多く吸収させることが可能になり、BIOSAF(登録商標)製品にダメージをもたらす可能性があることが示されている。したがって、前記酵母壁の肯定的な影響を確認するために、工業条件下で酵母壁-BIOSAF(登録商標)予混合物を製造することが必須であった。
【0069】
(3.1 工業的工程による予混合物の調製)
BIOSAFを高さが5〜6メートルのサイロに貯蔵する。製造中は、直径が10cmの垂直の空気コンベヤ(濃縮相での移送)を通して、酵母をミキサーまで50メートルにわたり輸送する。空気(事前に処理され、乾燥および冷却されている)の流入は、空気による栓と製品による栓との連続によりコンベヤを通して製品を押し出すことを可能にする。コンベヤの出口では、混合物を同時に導入するすき先型ミキサーに搬入される前に、計量バスケットにより製品の重量を確認する。使用するミキサーはすき先型ミキサーであり、その回転速度は120回転/分であり、混合時間は60秒である。その後、最終予混合物を袋包装またはバルク包装に送出する。
【0070】
工業的に調製した予混合物の組成を以下の表に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
(3.2 乾物含量の変動)
実施例2と同様に、これらの種々の予混合物について、BIOSAF(登録商標)の乾物含量の変動を時間の関数として測定した。
【0073】
手作業で調製した予混合物と同様に、小麦全粒粉を含む予混合物(予混合物3a)において、BIOSAF(登録商標)の乾物含量は減少し、93%から91.7%にまで変化する。
【0074】
本発明による予混合物中の乾物含量は、予混合物1a(14%の酵母壁)では安定したままであるが、予混合物5(44%の酵母壁)との接触1か月後に0.3%増加する。
【0075】
酵母壁がBIOSAF(登録商標)の湿気に与える影響は、混合物を工業条件下で調製した場合あまり顕著ではないが、それでもBIOSAF(登録商標)の乾物含量には、従来の予混合物担体(例えば小麦に基づく)で見られるような減少はない。
【0076】
(実施例4)
(4.1 顆粒の調製)
顆粒化の試みは、固定された水平の円盤状ダイ(直径および厚さがそれぞれ4および20mmのチャンネルを有する(すなわち圧縮比が5である)3kWのプレス機KAHL.14-175)を備えた実験室用プレス機で実施した。32枚の回転羽根を備えた包装機(INRA社、Nantes、フランス)は、長さが544mmであり、3.75Lの容積を有する。2.2kWのモーターは、生産量を調整する調速機により制御される。温度は、包装機のレベル(80℃および90℃)に設定する。
【0077】
2つのバッチの顆粒を上記で定義された条件下で調製した。第1のバッチの顆粒は80℃の蒸気射出温度で、第2のバッチは90℃の蒸気射出温度で調製した。
【0078】
予混合物は調製直後に使用した。
【0079】
顆粒の組成を以下に示す。
【0080】
【表5】

【0081】
(4.2 顆粒化に対する耐性に関する研究)
顆粒の各バッチについて、BIOSAF(登録商標)の生存率を測定した。結果を以下に示す。
【0082】
【表6】

【0083】
計算方法:
%耐性または生存率 = 顆粒中の再生可能な細胞の量(CFU/g)×100/顆粒化直前の顆粒化組成物中の再生可能な細胞の量(CFU/g)。
【0084】
結果は非常に低い生存率を示し、本発明による予混合物5へと導入したBIOSAF(登録商標)のバッチ(顆粒2)と比較して、予混合物3aへと導入したBIOSAF(登録商標)(顆粒1)の顆粒化への耐性が非常に低いことを実証する。
【0085】
(実施例5)
実施例4と同様に、その組成を実施例3で示した予混合物3aおよび5を使用して、顆粒を調製した。しかしながら、これらの予混合物は顆粒化の1か月前に調製した。
【0086】
【表7】

【0087】
(4.2 顆粒化に対する耐性に関する研究)
顆粒の各バッチについて、BIOSAF(登録商標)の生存率を決定することにより、顆粒化に対する耐性を評価した。結果を以下に表す。
【0088】
【表8】

【0089】
この結果らか、本発明による顆粒が、顆粒化に対する耐性を有し、したがって6倍高い生存率を有することは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
- プロバイオティクス酵母と、ラクトバシラスから選択される乳酸菌、およびビフィズス菌を含むタイプのプロバイオティクス細菌(ただし、バシラス属を除く)と、それらの混合物とを含む群から選択される、0.5から75%までの生菌のまたは再生可能なプロバイオティクス微生物(a)と、
- 酵母壁および不活化酵母から選択される、10から95%までの化合物(b)と、
- 特にビタミン、および/または微量元素、および/またはアミノ酸、および/または動物飼料用の他の添加剤を含む、0から95%までの栄養補助剤(c)と
を含み、パーセンテージが組成物の全重量に対する乾燥重量として表されているプロバイオティクス組成物または予混合物。
【請求項2】
- 5から30%までの生菌のまたは再生可能な微生物(a)、
- 15から80%まで、さらにより好ましくは25から75%までの酵母壁および/または不活化酵母(b)、
- 5から80%までの栄養補助剤(c)
を含むことが好ましく、パーセンテージが組成物の全重量に対する乾燥重量として表されている、請求項1に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項3】
前記プロバイオティクス酵母が、サッカロマイセス属の酵母、好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ種、またはクリベロマイセス属の酵母、好ましくはクリベロマイセス・マルキシアヌス種、およびそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記酵母が、NCYCに番号47で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエSc47株、パストゥールコレクション(CNCM)に番号I-1077で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、パストゥールコレクション(CNCM)に番号I-1079で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、MUCLコレクションに番号39 885で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、CBSコレクションに番号39 493.94で寄託されているサッカロマイセス・セレビシエ株、MUCLコレクションに番号39434で寄託されているクリベロマイセス・マルキシアヌス株、およびそれらの混合物を含む群から選択される菌株に相当することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
- 0.5から75%までの、好ましくは5から30%までの生菌のまたは再生可能な酵母、
- 10から80%までの、好ましくは25から50%までの酵母壁および/または不活化酵母、
- 0から95%までの、好ましくは5から80%までの栄養補助剤
を含み、パーセンテージが組成物の全重量に対する乾燥重量として表されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物。
【請求項6】
前記酵母壁および/または不活化酵母がサッカロマイセス属から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
試験A[試験Aにおいては、T0時点で(つまり前記プロバイオティクス微生物を前記酵母壁および/または不活化酵母と混合する前に)、前記プロバイオティクス微生物の乾物含量がISO1741法により測定され、DM0の値が得られ、T=14日の時点で(つまり前記プロバイオティクス微生物を前記酵母壁および/または不活化酵母と混合した14日後に)、前記プロバイオティクス微生物の乾物含量が測定され、DMTの値が得られ、そして、以下の計算:V=[(DMT-DM0)/DM0]×100が行われる]により測定された前記プロバイオティクス微生物の乾物含量の変動がプラスである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
- 請求項1から7のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物または予混合物、
- 対象とする動物飼料に好適な栄養混合物
を含む、プロバイオティクス顆粒。
【請求項9】
前記プロバイオティクス微生物の生存率Sが、20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である、請求項8に記載の顆粒。
【請求項10】
顆粒を調製する方法であって、
- 請求項1から7のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物または予混合物を調製するステップ、
- プロバイオティクス組成物または予混合物を、好ましくは少なくとも14日間の待機期間の後、対象とする動物飼料に好適な栄養混合物中に導入するステップ、
- 前記ステップで得られた混合物に、温度が60℃と100℃との間で、圧力が0.5から3.5バールの範囲の蒸気を射出し、圧縮するステップ
を含む方法。
【請求項11】
プロバイオティクス顆粒の安定性を改善する方法であって、プロバイオティクス微生物と、酵母壁および/または不活化酵母と、場合によっては、特にビタミンおよび/または微量元素および/またはアミノ酸および/または動物飼料用の他の添加剤を含む栄養補助剤とを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物または予混合物を調製するステップを含み、この組成物が、蒸気射出顆粒化ステップおよび圧縮の前に、対象とする動物種に好適な栄養混合物に導入される方法。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載のプロバイオティクス組成物または予混合物の、動物飼料としての使用。
【請求項13】
請求項8または9に記載の顆粒の、または請求項10に記載の方法により調製された顆粒の、動物飼料としての使用。

【公表番号】特表2009−537131(P2009−537131A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510500(P2009−510500)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000835
【国際公開番号】WO2007/135278
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508342493)
【Fターム(参考)】