説明

プロピレンオキサイドの精製方法

【課題】プロピレンオキサイド(以下POと省略)放散塔頂蒸気が有するエネルギーとPO放散塔底液が有するエネルギーの有効利用をはかったPOの精製方法の提供。
【解決手段】プロピレンを分子状酸素含有ガスと接触気相酸化して生成したPOを含有する反応生成ガスをPO吸収塔102へ導入して吸収液と向流接触させ、PO吸収塔頂部からのガスはプロピレン酸化反応工程へ循環し、POを含むPO吸収塔底液はPO放散塔111へ供給してPO放散塔頂からPOを放散させ、PO及び水を含む留出液を凝縮させ、脱水塔129で水分を分離し、軽質分分離塔140で軽質分を分離し、ついでPO精留塔150でPOを精留する工程からなるPOの精製方法において、PO放散塔から放散される放散物をPO精留塔の加熱源に使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレンを分子状酸素含有ガスで接触気相酸化して得られるプロピレンオキサイドを精製する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレンを分子状酸素含有ガスで接触気相酸化して得られるエチレンオキサイドの精製方法については、以下の方法等が知られており、その改良方法も開発されている。
エチレンオキサイドの精製工程において、反応生成ガスを水を主とする吸収液に吸収させエチレンオキサイド水溶液として回収し、この水溶液からエチレンオキサイドを放散せしめてエチレンオキサイドを得ている。一般には、エチレンと分子状酸素含有ガスとを銀触媒上で接触気相酸化して生成するエチレンオキサイドを含む反応ガスをエチレンオキサイド吸収塔へ導びき水を主とする吸収液と向流接触させエチレンオキサイド水溶液として回収し、ついでエチレンオキサイド放散塔へ送り、エチレンオキサイド放散塔底部を加熱蒸気で加熱することによってエチレンオキサイドを水溶液から放散させ、エチレンオキサイド放散塔底部から実質的にエチレンオキサイドを含まない水溶液は吸収液として循環使用し、エチレンオキサイド放散塔頂部から放散されるエチレンオキサイド、水、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)の他ホルムアルデヒド等の低沸点不純物およびアセトアルデヒド、酢酸等の高沸点不純物を含む放散物を脱水工程、軽質分分離工程および重質分離工程の各々を経て精製しエチレンオキサイドを製造することができる。
【0003】
エチレンオキサイドの精製方法を、図1を用いてさらに具体的に説明する。エチレンを銀触媒の存在下、分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化して生成するエチレンオキサイドを含む反応生成ガスを導管1を通して、充填塔あるいは棚段塔型式のエチレンオキサイド吸収塔2の下部へ供給し、導管3からエチレンオキサイド吸収塔2の上部へ吸収液を導入し、反応生成ガスと向流接触させ、反応生成ガス中の99重量%以上のエチレンオキサイドを回収し、エチレンオキサイド吸収塔2の塔頂から吸収しなかったエチレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)アルデヒド類、酸性物質等のガスは導管4を通して二酸化炭素吸収工程および/または酸化反応工程へ循環される。この吸収工程においてエチレンオキサイドの他、エチレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン、)ならびにエチレン酸化反応工程で生成したホルムアルデヒド等の低沸点不純物、アセトアルデヒド、酢酸等の高沸点不純物もその実質量が同時に吸収される。エチレンオキサイド吸収塔2の塔底液を導管5を通して熱交換器6へ送りエチレンオキサイド放散塔底液と熱交換して温度70〜110℃に高め、導管7によりフラッシュタンク8へ送られ一部エチレンオキサイド、水を含む不活性ガスの軽質分ガスが導管9により分離される。軽質分ガスをフラッシュした残部の吸収液を導管10を通して塔頂圧力0.1〜2kg/cm2G、塔頂温度85〜120℃のエチレンオキサイド放散塔11の上部へ供給し、エチレンオキサイド放散塔11の加熱器12により水蒸気またはダウサム(ダウ社、熱媒体商品)等の加熱媒体で導管13を通して加熱するか、または直接エチレンオキサイド放散塔11の底部へ水蒸気を導入する加熱方式により加熱し、吸収液中に含まれるエチレンオキサイドの99重量%以上を放散せしめ、エチレンオキサイド放散塔11の底部からエチレンオキサイドを実質的に含まない温度100〜150℃のエチレンオキサイド放散塔底液の一部は導管14および導管15を通して熱交換器6でエチレンオキサイド吸収塔2の塔底液と熱交換し、導管16を通して、さらに導管18および導管19に冷却水が通る冷却器17により冷却し、ついで吸収液中のエチレングリコール濃度を調節するため新鮮な水を導管21を通して導入し、必要により、吸収液中のpHを調節するため水酸化カリウム水溶液を添加し、吸収液中の消泡剤濃度を調節するため消泡剤をエチレンオキサイド吸収塔2へそれぞれ導入することができる。エチレンを分子状酸素で酸化する酸化工程およびエチレンオキサイド放散工程の間で吸収液中にエチレンオキサイドと水との加水反応で生成する副生エチレングリコールおよびホルムアルデヒド等の低沸点不純物、アセトアルデヒドおよび酢酸等の高沸点不純物の増加を防ぐためエチレンオキサイド放散塔11の塔底部から導管14および22を通してエチレンオキサイド放散塔11の底液を抜き出し、副生エチレングリコール濃縮工程に送られる。
【0004】
一方、エチレンオキサイド放散塔11の塔頂部から放散されるエチレンオキサイドを含む放散蒸気は導管23を通して、導管25および導管26に冷却水が通る凝縮器24へ送り、凝縮液は導管27を通してエチレンオキサイド放散塔11の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管28を通して脱水塔29へ供給される。
脱水塔29の加熱器30により水蒸気またはダウサム(ダウ社商品)等の加熱媒体で導管31を通して加熱するか、または直接脱水塔29の下部へ水蒸気を導入する加熱方式により加熱し、脱水塔29の塔底から導管32を通して実質的にエチレンオキサイドを含まない水が抜き出される。
【0005】
脱水塔29の塔頂部からエチレンオキサイドを含む蒸気は導管33を通して、導管35および導管36に冷却水またはブラインが通る凝縮器34へ送り、凝縮液は導管37を通して脱水塔29の塔頂部へ還流し、凝縮器34の未凝縮蒸気は導管39を通して再エチレンオキサイド吸収塔(図示していない)へ供給される。凝縮器34の凝縮液の他部は導管38を通して軽質分分離塔40へ供給される。
軽質分分離塔40の加熱器41により水蒸気またはダウサム(ダウ社商品)等の加熱媒体で導管42を通して加熱する方式により加熱し、軽質分分離塔40の塔頂部から軽質分を含むエチレンオキサイド蒸気は導管43を通して凝縮器44へ送り、凝縮液は導管47を通して軽質分分離塔40の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管48を通してエチレンオキサイドを回収するため再エチレンオキサイド吸収塔(図示していない)へ供給される。
【0006】
一方、軽質分を分離されたエチレンオキサイドは軽質分分離塔40の塔底から導管49を通してエチレンオキサイド精留塔50へ供給される。
エチレンオキサイド精留塔50の加熱器58へ導管58から圧力0.5〜3.0kg/cm2Gの水蒸気を供給し、エチレンオキサイド精留塔50の塔底温度35〜85℃、エチレンオキサイド精留塔底圧力1.2〜8.2kg/cm2Gで精留を行ない、エチレンオキサイド精留塔頂から塔頂温度29〜81℃、塔頂圧力1.0〜8.0kg/cm2Gのエチレンオキサイド蒸気を導管51を通して、凝縮器52へ送りエチレンオキサイド蒸気は液化し、液化した一部は導管56を通してエチレンオキサイド精留塔50の塔頂部へ還流液として導入し、液化した他部は導管57を通してエチレンオキサイド製品として抜き出される。
エチレンオキサイド精留塔50の凝縮器52の未凝縮蒸気は導管55を通してエチレンオキサイドを回収するため再エチレンオキサイド吸収塔(図示してない)へ供給される。
エチレンオキサイド精留塔50の塔底液はアセトアルデヒド、水、および酢酸等の高沸点不純物の重質分分離のため必要により導管67を通して抜き出される。
【0007】
特許文献1及び2には、上記の従来方法を改善してエネルギーの有効利用を図ったエチレンオキサイドの精製方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−103072
【特許文献2】特開昭62−103073
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のエチレンオキサイドの精製方法は、いずれも若干の変更を加えれば、プロピレンオキサイドの精製方法としても応用できる。その従来のエチレンオキサイドの精製方法では、エチレンオキサイド放散塔頂蒸気の凝縮熱の回収やエチレンオキサイド放散塔底部から抜き出された液が有する熱エネルギーを回収する点については十分でなく、大量の熱量が系外に廃棄されるという問題があった。従来の方法は100〜150℃のエチレンオキサイド放散塔底液をエチレンオキサイド吸収塔底液と熱交換させ、熱量の回収を行なった後、冷却してエチレンオキサイド吸収塔の吸収液としていた。また、エチレンオキサイドの精製方法はエチレンオキサイド精留塔における加熱蒸気量を多量に消費する問題があった。
したがって、本発明の課題は、プロピレンオキサイド放散塔頂蒸気が有するエネルギー又はプロピレンオキサイド放散塔底液が有するエネルギーの有効利用をはかったプロピレンオキサイドの精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段について検討した結果、以下の発明を見出した。
[1] プロピレンを分子状酸素含有ガスと接触気相酸化して生成したプロピレンオキサイドを含有する反応生成ガスをプロピレンオキサイド吸収塔へ導入して吸収液と向流接触させ、プロピレンオキサイド吸収塔頂部からのガスはプロピレン酸化反応工程へ循環し、プロピレンオキサイドを含むプロピレンオキサイド吸収塔底液はプロピレンオキサイド放散塔へ供給してプロピレンオキサイド放散塔頂からプロピレンオキサイドを放散せしめ、プロピレンオキサイドおよび水を含む留出液を凝縮させ、脱水塔で水分を分離し、軽質分分離塔で軽質分を分離し、ついでプロピレンオキサイド精留塔でプロピレンオキサイドを精留する工程からなるプロピレンオキサイドの精製方法において、
プロピレンオキサイド放散塔から放散される放散物をプロピレンオキサイド精留塔の加熱源に使用することを特徴とするプロピレンオキサイドの精製方法。
【0011】
[2] プロピレンを分子状酸素含有ガスと接触気相酸化して生成したプロピレンオキサイドを含有する反応生成ガスをプロピレンオキサイド吸収塔へ導入して吸収液と向流接触させ、プロピレンオキサイド吸収塔頂部からのガスの一部はプロピレン酸化反応工程へ循環し、プロピレンオキサイドを含むプロピレンオキサイド吸収塔底液はプロピレンオキサイド放散塔へ供給してプロピレンオキサイド放散塔頂からプロピレンオキサイドを放散せしめ、プロピレンオキサイドおよび水を含む留出液を凝縮させ、脱水塔で水分を分離し、軽質分分離塔で軽質分を分離し、ついでプロピレンオキサイド精留塔でプロピレンオキサイドを精留する工程からなるプロピレンオキサイドの精製方法において、
プロピレンオキサイド放散塔から放散される放散物をプロピレンオキサイド精留塔の加熱源に使用し、
プロピレンオキサイド放散塔底部から抜き出した液はプロピレンオキサイド吸収塔へ導き、吸収液として循環使用し、
残部は吸収液に含まれるプロピレングリコールを濃縮するために副生プロピレングリコール濃縮塔へ送り、
プロピレンオキサイド放散塔底部から抜き出した液を熱交換器でプロピレンオキサイド吸収塔底液と熱交換した後、ヒートポンプを用いて吸収液の持つ熱エネルギーを回収して水蒸気を発生させてプロピレンオキサイド精留塔の加熱源に使用し、
ヒートポンプにより冷却された吸収液をさらに冷却器で冷却した後、プロピレンオキサイド吸収塔の吸収液とすることを特徴とするプロピレンオキサイドの精製方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法によれば、プロピレンオキサイド放散塔頂部から放散された蒸気の熱エネルギーをプロピレンオキサイド精留塔リボイラーに導入することにより、さらにプロピレンオキサイド放散塔底部から抜き出した液を熱交換器でプロピレンオキサイド吸収塔底液と熱交換した後、ヒートポンプを用いて吸収液の持つ熱エネルギーを回収して水蒸気を発生させてプロピレンオキサイド精留塔リボイラーに導入することにより、プロピレンオキサイド精留塔を加熱するに要する外部からの加熱熱量を大幅に減少することが可能となる。さらに、プロピレンオキサイド放散塔頂部で発生した蒸気を冷却する冷却水の熱負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】公知のエチレンオキサイド精製方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明のプロピレンオキサイド精製方法の一実施態様を示すフローチャートである。
【図3】本発明のプロピレンオキサイド精製方法の一実施態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が適用できるプロピレンオキサイドの接触気相酸化方法としては、例えば、金属酸化物等を含有するような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法等が挙げられる。このような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法については、例えば、WO2011/075458、WO2011/075459、WO2012/005822、WO2012/005823、WO2012/005824、WO2012/005825、WO2012/005831、WO2012/005832、WO2012/005835、WO2012/005837等に記載されている。その製法において用いる触媒としては、下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)及び(j)からなる群から選ばれる少なくとも2種を含む触媒が挙げられる。
(a)銅酸化物
(b)ルテニウム酸化物
(c)マンガン酸化物
(d)ニッケル酸化物
(e)オスミウム酸化物
(f)ゲルマニウム酸化物
(g)クロミウム酸化物
(h)タリウム酸化物
(i)スズ酸化物
(j)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分
好ましくは(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒であり、より好ましくは(a)銅酸化物、(b)ルテニウム酸化物及び(j)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分を含有する触媒である。
【0015】
上記の製造方法で得られるプロピレンオキサイドを含むガス混合物には、通常0.5%〜5%のプロピレンオキサイドの他に、未反応プロピレン、未反応酸素、希釈ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン、エタン等)、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、生成水、炭酸ガス、一酸化炭素、有機酸類等が含まれる。
【0016】
本発明において、プロピレンオキサイド吸収塔へ供給される吸収液の温度は5〜40℃、好ましくは10〜35℃であり、吸収液の組成はpHが5〜12、好ましくは6〜11、プロピレングリコール濃度が1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、消泡剤濃度が0.1ppm以上、好ましくは1〜100ppm、残り水の範囲に制御される。吸収液中のプロピレングリコール濃度を一定に保持するためプロピレンオキサイド吸収塔とプロピレンオキサイド放散塔とを循環する吸収液の一部をプロピレンオキサイド放散塔底部から抜き出し副生プロピレングリコール濃縮塔へ送り、必要により新鮮な水が導入され制御される。pHの調節は、たとえばカリウム、ナトリウムのようなアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩等の吸収液に溶解する化合物を添加することにより行うのが好ましく、添加剤は具体的には水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが好ましい。
【0017】
消泡剤は、プロピレンオキサイド等に不活性であり、吸収液の消泡効果を有するものであればいかなる消泡剤でも使用でき、代表的な例としては水溶性シリコンエマルションが吸収液への分散性、希釈安定性、熱安定性が優れているので効果的である。
【0018】
プロピレンオキサイド吸収塔の操作条件は、反応生成ガス中のプロピレンオキサイド濃度が0.5〜5容量%、好ましくは1.0〜4容量%であり、プロピレンオキサイド吸収塔の操作圧は2〜40kg/cm2G、好ましくは10〜30kg/cm2Gである。プロピレンオキサイド放散塔の操作条件は、プロピレンオキサイド放散塔頂圧力0.1〜2kg/cm2G、好ましくは0.3〜0.6kg/cm2G、プロピレンオキサイド放散塔頂温度85〜120℃、プロピレンオキサイド放散塔底温度100〜150℃、プロピレンオキサイド放散塔底プロピレンオキサイド濃度は10ppm以下、好ましくは0.5ppm以下である。
【0019】
本発明において、プロピレンオキサイド脱水塔へ供給される供給蒸気の温度は5〜60℃、好ましくは10〜50℃であり、供給蒸気のプロピレンオキサイド濃度は80〜98重量%の範囲である。プロピレンオキサイド脱水塔の操作条件は、脱水塔頂点圧力0〜2kg/cm2G、好ましくは0.3〜0.6kg/cm2G、脱水塔頂温度10〜40℃、脱水塔底温度100〜130℃の範囲である。脱水塔底プロピレンオキサイド濃度は100ppm以下、好ましくは10ppm以下の範囲である。
【0020】
本発明において、軽質分分離塔へ供給される供給液の温度は0〜50℃、好ましくは5〜30℃であり、供給源の組成は大部分がプロピレンオキサイドで、わずかの水等を含んでいる。軽質分分離塔の操作条件は、軽質分分離塔頂圧力は1〜10kg/cm2G好ましくは3〜7kg/cm2Gの範囲である。軽質分分離塔頂温度30〜90℃、軽質分分離塔温度30〜90℃の範囲である。軽質分分離塔底プロピレンオキサイド濃度は99.5重量%以上、好ましくは99.95重量%以上の範囲である。
【0021】
本発明において、プロピレンオキサイド精留塔は棚段塔型式および充填塔型式がある。棚段塔型式の蒸留塔の棚段としては種々あるがバブルキャップトレイ、ユニフラックストレイ、ターボグリッドトレイ、リップトレイ、フレキシトレイ、シーブトレイ、バラストトレイ等が挙げられる。また、充填塔型式の精留塔の充填物としては、ラシヒリング、ボールリング、サドル型リング、スパイラルリング、マクマホンパッキング、インターロックスメタルパッキング、一論理段数あたり10mmHg以下の圧力損失を有する充填物、織物または編物構造の金網積層板等が挙げられる。本発明においてプロピレンオキサイド精留塔および軽質分分離塔は一理論段数あたり20mmHg以下、好ましくは15mmHg以下の圧力損失を有する棚段塔形式および充填塔形式が好ましい。
【0022】
本発明において、プロピレンオキサイド精留塔へ供給される供給液の温度は30〜90℃、好ましくは50〜70℃であり、供給液の組成はプロピレンオキサイド濃度が99.5重量%以上、好ましくは99.95重量%以上の範囲に制御される。プロピレンオキサイドの精留塔の操作条件は、精留塔頂圧力1.0〜8.0kg/cm2G、好ましくは2.0〜5.0kg/cm2G、精留塔頂温度40〜65℃、精留塔底温度45〜70℃、精留塔底プロピレンオキサイド濃度は30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%の範囲である。本発明において、プロピレンオキサイド精留塔底液は、水等の高沸点不純物からなる重質分である。
【0023】
一方、プロピレンオキサイド吸収塔底液はプロピレンオキサイド放散塔底部からの液と熱交換された後、フラッシュタンクにて軽質分ガスを分離した後、プロピレンオキサイド放散塔頂部へ供給されてプロピレンオキサイドは放散される。本発明においてプロピレンオキサイド放散塔から放散されるものは、大部分が水、プロピレンオキサイド、少量が二酸化炭素および微量の酸素、プロピレン、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン等からなる放散物である。
【0024】
本発明の第1の特徴は、プロピレンオキサイド放散塔より放散する蒸気が有する熱エネルギーを回収し、その回収熱エネルギーの有効利用を図ることである。その手段として、プロピレンオキサイド放散塔の蒸気を、プロピレンオキサイド精留塔の加熱器へ送り、熱交換し放散物を液化し、凝縮した液はプロピレンオキサイド放散塔へ還流し、未凝縮ガスは脱水塔へ供給する方法が採用される。
【0025】
本発明の第2の特徴は、プロピレンオキサイド放散塔底部から抜き出した液は熱交換器でプロピレンオキサイド吸収塔底液と熱交換した後、ヒートポンプを用いて吸収液の持つ熱エネルギーを回収した後、冷却器へ送られる。
本発明に用いるヒートポンプの作動流体としての冷媒は、ヒートポンプのプロセスで蒸発、凝縮を繰り返して循環使用されるため、その選択に当たっては熱力学的性質の他に熱的及び化学的に安定であること及び取り扱い上からは臭気、毒性及び爆発性を有しないことが要求される。本発明で使用できる冷媒としては、R−11、R−12、R−22、R−113及びR−114等のフッ化炭化水素、プロパン、ペンタン等の炭化水素類等が挙げられるが、ヒートポンプ作動温度条件を考慮すると、R−12、R−114が最も適している。
【0026】
本発明のヒートポンプの操作条件としてはプロピレンオキサイド放散塔底部から出てプロピレンオキサイド吸収塔底液と熱交換器により熱回収されたプロピレンオキサイドを実質的に含まないプロピレンオキサイド放散塔底液が50〜60℃の温度で冷媒の蒸発器へ入り、冷媒を蒸発させ、その結果プロピレンオキサイド放散塔底液の温度が5〜20℃低下し、冷媒蒸発器を出た後、冷却され、プロピレンオキサイド吸収液としてプロピレンオキサイド吸収塔に導入される。
プロピレンオキサイド放散塔底液により冷媒蒸発器で蒸発した冷媒は、遠心式、スクリュー式又は往復動式圧縮機により冷媒の飽和温度が80〜100℃を有する圧力にまで圧縮される。昇圧された冷媒は下記の2つの方法により熱を外部に与え、凝縮してポンプにより冷媒蒸発器に送られ、循環使用される。
(1) 他の精留塔、例えばプロピレンオキサイド精留塔(塔底温度50〜70℃)のリボイラーへ冷媒の蒸気を直接送り、凝縮させ、その凝縮熱を精留塔底液へ与える。
(2) 冷媒凝集器へ冷媒蒸気を送り、冷媒凝集器内の流体、例えば水に凝集潜熱を与え、冷媒は凝縮する。
この冷媒により熱量を与えられた流体、例えば水は冷媒の温度より5〜10℃低い温度にまで昇温され、フラッシュにより低圧水蒸気を発生させ、その蒸気を利用することができる。
本発明において、プロピレンオキサイド放散塔底部からの高温の液はプロピレンオキサイド吸収塔の底部からの低温の液と熱交換し、熱回収され、プロピレンオキサイド吸収塔へ供給される。
【実施例】
【0027】
以下、本発明をさらに詳しく述べるために、図面に基づいて具体的な実施態様を説明する。しかし本発明はこの実施態様のみによって本発明の範囲を規制するものでない。
図2において、プロピレンを分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化して生成するプロピレンオキサイドを含む反応生成ガスを導管101を通して、充填塔あるいは棚段塔形式のプロピレンオキサイド吸収塔102の下部へ供給し、導管103からプロピレンオキサイド吸収塔102の上部へ吸収液を導入し、反応生成ガスと向流接触させ、反応生成ガス中の99重量%以上のプロピレンオキサイドを回収し、プロピレンオキサイド吸収塔102の塔頂から吸収しなかったプロピレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)、アルデヒド、酸性物質等のガスは導管104を通して二酸化炭素吸収工程および/または酸化反応工程へ循環される。この吸収工程においてプロピレンオキサイドの他、プロピレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)ならびにプロピレン酸化反応工程で生成したアクロレイン、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン等もその実質量が同時に吸収される。プロピレンオキサイド吸収塔102の塔底液を導管105を通して熱交換器106へ送りプロピレンオキサイド放散塔底液と熱交換して温度70〜110℃に高め、導管107により気液分離タンク108へ送られ一部プロピレンオキサイドおよび水を含む不活性ガスの軽質分ガスが導管109により分離される。軽質分ガスをフラッシュした残部の吸収液を導管110を通して塔頂圧力0.1〜2kg/cm2G、温度85〜120℃のプロピレンオキサイド放散塔111の上部へ供給し、プロピレンオキサイド放散塔111の加熱器112より水蒸気またはダウサム(ダウ社商品)等の加熱媒体で導管113を通して加熱するか、または直接プロピレンオキサイド放散塔111の底部へ水蒸気を導入する加熱方式により加熱し、吸収液中に含まれるプロピレンオキサイドの99重量%以上を放散せしめ、プロピレンオキサイド放散塔111の底部よりプロピレンオキサイドを実質的に含まない温度100〜130℃の放散塔底液の一部は導管114および導管115を通して熱交換器106でプロピレンオキサイド吸収塔102の塔底液と熱交換し、導管116を通して、さらに導管118および導管119に冷却水が通る冷却器117により冷却し、ついで吸収液中のプロピレングリコール濃度を調節するため新鮮な水を導管121を通して導入し、必要により、吸収液中のpHを調節するため水酸化カリウム水溶液を添加し、吸収液中の消泡剤濃度を調節するため消泡剤をプロピレンオキサイド吸収塔102へそれぞれ導入することができる。
【0028】
プロピレンを分子状酸素で酸化する酸化工程およびプロピレンオキサイド放散工程の間で吸収液中にプロピレンオキサイドと水との加水反応で生成する副生プロピレングリコール等の増加を防ぐためプロピレンオキサイド放散塔111の塔底より導管114および122を通してプロピレンオキサイド放散塔111の底液を抜き出し、副生プロピレングリコール濃縮工程に送られる。
【0029】
一方、プロピレンオキサイド放散塔111の塔頂部より放散されるプロピレンオキサイドを含む放散蒸気は導管123を通して、プロピレンオキサイド精留塔150の加熱器160へ送り加熱源とした後、凝縮液および未凝縮蒸気は導管161を通して導管162および導管163に冷却水が通る凝縮器164へ送り、凝縮液は導管165を通してプロピレンオキサイド放散塔111の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管166を通して脱水塔129へ供給される。
脱水塔129の加熱器130により水蒸気またはダウサム(ダウ社商品)等の加熱媒体で導管131を通して加熱するか、または直接脱水塔129の下部へ水蒸気を導入する加熱方式により加熱し、脱水塔129の塔底から導管132を通してプロピレンオキサイドを実質的に含まない水が抜き出される。
【0030】
脱水塔129の塔頂部からプロピレンオキサイドを含む蒸気は導管133を通して、導管135および導管136に冷却水またはブラインが通る凝縮器134へ送り、凝縮液の一部は導管137を通して脱水塔129の塔頂部へ還流し、凝縮器134の未凝縮蒸気は導管139を通して再プロピレンオキサイド吸収塔(図示していない)へ供給される。凝縮器134の凝縮液の他部は導管138を通して軽質分分離塔140へ供給される。軽質分分離塔140の塔頂部から軽質分ガスを含むプロピレンオキサイド蒸気は導管143を通して凝縮器144へ送り、凝縮液は導管147を通して軽質分分離塔140の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管148を通してプロピレンオキサイドを回収するため再プロピレンオキサイド吸収塔(図示してない)へ供給される。
軽質分分離塔140の塔底液は導管149を通してプロピレンオキサイド精留塔150へ供給される。
【0031】
プロピレンオキサイド精留塔150の加熱器160へプロピレンオキサイド放散塔111の塔頂部からの放散物を供給し、プロピレンオキサイド精留塔150の加熱器158により水蒸気またはダウサム(ダウ社商品)等の加熱媒体で導管159を通して加熱する方式により加熱し、プロピレンオキサイド精留塔150の塔底温度35〜80℃、プロピレンオキサイド精留塔底圧力1.1〜8.1kg/cm2Gで精留を行ない、プロピレンオキサイド精留塔頂から塔頂温度35〜75℃、塔頂部圧力1〜8kg/cm2Gのプロピレンオキサイド蒸気を導管151を通して、プロピレンオキサイド凝縮器152へ送り、プロピレンオキサイドを液化し、一部は導管156を通してプロピレンオキサイド精留塔150の塔頂部へ還流液として供給し、他部は導管157を通してプロピレンオキサイド製品として抜き出される。プロピレンオキサイド精留塔150の塔底液はアセトアルデヒド、水、および酢酸等の高沸点不純物の重質分分離のため必要により導管167を通して抜き出される。
【0032】
図3において、プロピレンを分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化して生成するプロピレンオキサイドを含む反応生成ガスを導管201を通して、充填塔あるいは棚段塔形式のプロピレンオキサイド吸収塔202の下部へ供給し、導管203からプロピレンオキサイド吸収塔202の上部へ吸収液を導入し、反応生成ガスと向流接触させ、反応生成ガス中の99重量%以上のプロピレンオキサイドを回収し、プロピレンオキサイド吸収塔102の塔頂から吸収しなかったプロピレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)、アルデヒド、酸性物質等のガスは導管204を通して二酸化炭素吸収工程および/または酸化反応工程へ循環される。この吸収工程においてプロピレンオキサイドの他、プロピレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)ならびにプロピレン酸化反応工程で生成したアクロレイン、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン等もその実質量が同時に吸収される。プロピレンオキサイド吸収塔202の塔底液を導管205を通して熱交換器206へ送りプロピレンオキサイド放散塔底液と熱交換して温度70〜110℃に高め、導管207により気液分離タンク208へ送られ一部プロピレンオキサイドおよび水を含む不活性ガスの軽質分ガスが導管209により分離される。軽質分ガスをフラッシュした残部の吸収液を導管210を通して塔頂圧力0.1〜2kg/cm2G、温度85〜120℃のプロピレンオキサイド放散塔211の上部へ供給し、プロピレンオキサイド放散塔211の加熱器212より水蒸気またはダウサム(ダウ社商品)等の加熱媒体で導管213を通して加熱するか、または直接プロピレンオキサイド放散塔211の底部へ水蒸気を導入する加熱方式により加熱し、吸収液中に含まれるプロピレンオキサイドの99重量%以上を放散せしめ、プロピレンオキサイド放散塔211の底部よりプロピレンオキサイドを実質的に含まない温度100〜130℃の放散塔底液の一部は導管214および導管215を通して熱交換器206でプロピレンオキサイド吸収塔202の塔底液と熱交換し、導管216を通して、さらに導管218および導管219に冷却水が通る冷却器217により冷却し、ついで吸収液中のプロピレングリコール濃度を調節するため新鮮な水を導管221を通して導入し、必要により、吸収液中のpHを調節するため水酸化カリウム水溶液を添加し、吸収液中の消泡剤濃度を調節するため消泡剤をプロピレンオキサイド吸収塔202へそれぞれ導入することができる。
【0033】
プロピレンを分子状酸素で酸化する酸化工程およびプロピレンオキサイド放散工程の間で吸収液中にプロピレンオキサイドと水との加水反応で生成する副生プロピレングリコール等の増加を防ぐためプロピレンオキサイド放散塔211の塔底より導管214および222を通してプロピレンオキサイド放散塔211の底液を抜き出し、副生プロピレングリコール濃縮工程に送られる。
【0034】
冷媒蒸発器(216)でプロピレンオキサイド放散塔底部液と熱交換し、蒸発した冷媒は、導管(271)を通して圧縮機(270)に送られ、圧縮された後、導管(272)を通して、冷媒凝縮器(273)に送られ、外部の流体に熱を与え、凝縮する。凝縮した冷媒は導管(274)を通して再度冷媒蒸発器(716)へ送られる。
冷媒凝縮器(273)に導管(276)、導管(277)及びタンク(275)に導管(278)から供給された水を循環させることにより導管(259)により水蒸気を回収することができる。この回収水蒸気はプロピレンオキサイド製造工程の加熱源に有効に使用することができる。特に、この水蒸気はプロピレンオキサイド精留塔(250)の加熱源として使用することができる。
【0035】
一方、プロピレンオキサイド放散塔211の塔頂部より放散されるプロピレンオキサイドを含む放散蒸気は導管223を通して、プロピレンオキサイド精留塔250の加熱器260へ送り加熱源とした後、凝縮液および未凝縮蒸気は導管261を通して導管262および導管263に冷却水が通る凝縮器264へ送り、凝縮液は導管265を通してプロピレンオキサイド放散塔211の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管266を通して脱水塔229へ供給される。
脱水塔229の加熱器230により水蒸気またはダウサム(ダウ社商品)等の加熱媒体で導管231を通して加熱するか、または直接脱水塔229の下部へ水蒸気を導入する加熱方式により加熱し、脱水塔229の塔底から導管232を通してプロピレンオキサイドを実質的に含まない水が抜き出される。
【0036】
脱水塔229の塔頂部からプロピレンオキサイドを含む蒸気は導管233を通して、導管235および導管236に冷却水またはブラインが通る凝縮器234へ送り、凝縮液の一部は導管237を通して脱水塔229の塔頂部へ還流し、凝縮器234の未凝縮蒸気は導管239を通して再プロピレンオキサイド吸収塔(図示していない)へ供給される。凝縮器234の凝縮液の他部は導管238を通して軽質分分離塔240へ供給される。軽質分分離塔240の塔頂部から軽質分ガスを含むプロピレンオキサイド蒸気は導管243を通して凝縮器244へ送り、凝縮液は導管247を通して軽質分分離塔240の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管248を通してプロピレンオキサイドを回収するため再プロピレンオキサイド吸収塔(図示してない)へ供給される。
軽質分分離塔240の塔底液は導管249を通してプロピレンオキサイド精留塔250へ供給される。
【0037】
プロピレンオキサイド精留塔250の加熱器260へプロピレンオキサイド放散塔211の塔頂部からの放散物を供給し、プロピレンオキサイド精留塔150の加熱器158にプロピレンオキサイド吸収液からヒートポンプを用いて熱回収され、タンク(275)から発生された水蒸気を導管259を通して加熱する方式により加熱し、プロピレンオキサイド精留塔250の塔底温度35〜80℃、プロピレンオキサイド精留塔底圧力1.1〜8.1kg/cm2Gで精留を行ない、プロピレンオキサイド精留塔頂から塔頂温度35〜75℃、塔頂部圧力1〜8kg/cm2Gのプロピレンオキサイド蒸気を導管251を通して、プロピレンオキサイド凝縮器252へ送り、プロピレンオキサイドを液化し、一部は導管256を通してプロピレンオキサイド精留塔250の塔頂部へ還流液として供給し、他部は導管257を通してプロピレンオキサイド製品として抜き出される。プロピレンオキサイド精留塔250の塔底液はアセトアルデヒド、水、および酢酸等の高沸点不純物の重質分分離のため必要により導管267を通して抜き出される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の方法によって、プロピレンオキサイド放散塔頂蒸気が有するエネルギー又はプロピレンオキサイド放散塔底液が有するエネルギーの有効利用をはかったプロピレンオキサイドの精製方法が提供される。
【符号の説明】
【0039】
2,102,202 プロピレンオキサイド吸収塔
6,106,206 熱交換器
8,108,208 気液分離タンク
11,111,211 プロピレンオキサイド放散塔
12,112,212 プロピレンオキサイド放散塔加熱器
116,216 冷媒蒸発器
17,117,217 冷却器
24 プロピレンオキサイド放散塔凝縮器
29,129,229 脱水塔
30,130,230 脱水塔加熱器
34,134,234 脱水塔凝縮器
40,140,240 軽質分分離塔
41,141,241 軽質分分離塔加熱器
44,144,244 軽質分分離塔凝縮器
50,150,250 プロピレンオキサイド精留塔
52,152,252 プロピレンオキサイド精留塔凝縮器
58,158,258 プロピレンオキサイド精留塔加熱器
160,260 プロピレンオキサイド精留塔加熱器
164,264 プロピレンオキサイド放散塔凝縮器
270 冷媒圧縮機
273 冷媒凝縮器
275 フラッシュタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンを分子状酸素含有ガスと接触気相酸化して生成したプロピレンオキサイドを含有する反応生成ガスをプロピレンオキサイド吸収塔へ導入して吸収液と向流接触させ、プロピレンオキサイド吸収塔頂部からのガスはプロピレン酸化反応工程へ循環し、プロピレンオキサイドを含むプロピレンオキサイド吸収塔底液はプロピレンオキサイド放散塔へ供給してプロピレンオキサイド放散塔頂からプロピレンオキサイドを放散せしめ、プロピレンオキサイドおよび水を含む留出液を凝縮させ、脱水塔で水分を分離し、軽質分分離塔で軽質分を分離し、ついでプロピレンオキサイド精留塔でプロピレンオキサイドを精留する工程からなるプロピレンオキサイドの精製方法において、
プロピレンオキサイド放散塔から放散される放散物をプロピレンオキサイド精留塔の加熱源に使用することを特徴とするプロピレンオキサイドの精製方法。
【請求項2】
プロピレンを分子状酸素含有ガスと接触気相酸化して生成したプロピレンオキサイドを含有する反応生成ガスをプロピレンオキサイド吸収塔へ導入して吸収液と向流接触させ、プロピレンオキサイド吸収塔頂部からのガスの一部はプロピレン酸化反応工程へ循環し、プロピレンオキサイドを含むプロピレンオキサイド吸収塔底液はプロピレンオキサイド放散塔へ供給してプロピレンオキサイド放散塔頂からプロピレンオキサイドを放散せしめ、プロピレンオキサイドおよび水を含む留出液を凝縮させ、脱水塔で水分を分離し、軽質分分離塔で軽質分を分離し、ついでプロピレンオキサイド精留塔でプロピレンオキサイドを精留する工程からなるプロピレンオキサイドの精製方法において、
プロピレンオキサイド放散塔から放散される放散物をプロピレンオキサイド精留塔の加熱源に使用し、
プロピレンオキサイド放散塔底部から抜き出した液はプロピレンオキサイド吸収塔へ導き、吸収液として循環使用し、
残部は吸収液に含まれるプロピレングリコールを濃縮するために副生プロピレングリコール濃縮塔へ送り、
プロピレンオキサイド放散塔底部から抜き出した液を熱交換器でプロピレンオキサイド吸収塔底液と熱交換した後、ヒートポンプを用いて吸収液の持つ熱エネルギーを回収して水蒸気を発生させてプロピレンオキサイド精留塔の加熱源に使用し、
ヒートポンプにより冷却された吸収液をさらに冷却器で冷却した後、プロピレンオキサイド吸収塔の吸収液とすることを特徴とするプロピレンオキサイドの精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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