説明

プロポリス飲料の製造方法

【課題】微粉末状のプロポリス粉末を含む溶液を超微粉末化装置に投入して、該プロポリス微粉末をナノメーターサイズにまで超微粉末化することにより、プロポリス粉末中の有効成分を前記溶液中に抽出して飲料とする。
【解決手段】プロポリス原塊から従来公知の抽出法、あるいは前記従来公知の抽出法を複数組み合わせた抽出法により抽出した微粉末状のプロポリス粉末2〜10重量%を含む溶液を、超高圧で加圧して超微粉末化装置に圧送して、該プロポリス粉末を更に粉砕して、疎水性物質を含むプロポリス粉末全体を超微粉末化することにより、前記溶液中における分散性と親水性化を図ると共に、前記超微粉末化されたプロポリス粉末からプロポリスの有効成分を前記溶液中に抽出して飲料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来公知の水抽出法、アルコール抽出法、ミセル化抽出法、または超臨界抽出法等により、あるいは前記各抽出法を複数組み合わせた抽出法により、プロポリス原塊から抽出した微粉末状のプロポリス粉末を含む溶液を超高圧で加圧して超微粉末化装置に圧送して、該溶液中のプロポリス粉末を超微粉末化して、前記溶液中における分散性と親水性化を図ると共に、フラボノイド類等のプロポリスの有効成分を該溶液中に抽出して、飲料とするプロポリス飲料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロポリスは、蜜蜂が主にユーカリ、松等の木の芽、木の皮から採取した樹液と花粉や蜜ロウおよび蜜蜂の唾液中の酵素とが混合されてできた膠状物質である。プロポリスの薬理作用は、抗菌作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、免疫能増強作用等が知られている。前記プロポリスの薬理作用を享受すべく、現在多くの人が前記プロポリスを液状あるいは粉末状等の形で、所謂健康食品として飲食している。
【0003】
プロポリスを飲料とする場合、プロポリスの脂質、タンパク質、フラボノイド類等の大部分の有効成分が疎水性物質であることから、プロポリス飲料とすると、経時的に多量の沈殿物が発生して、飲料容器の底に前記沈殿物が残留し、人体が充分にプロポリスの有効成分を摂取することができない。そして、前記沈殿物が残留しないものとして、下記の特許文献1に開示されたプロポリスエキス含有飲料およびその製造方法が公知である。
【0004】
【特許文献1】特開平10−327827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1は、水に対して分散性がよく、長期間保存しても沈殿物の生成を抑制できるという効果がある旨開示されている。しかしながら、特許文献1には、エキス中のプロポリス粉末を超微粉末化して水中での分散性をよくするという技術思想は全く開示されておらず、また前記プロポリス粉末を超微粉末化することにより、プロポリスの有効成分の人体への吸収性を高めるという技術思想も開示されていないので、特許文献1の方法では、プロポリス粉末の水中への分散性および親水性は充分ではなく、プロポリス粉末が完全に水中に分散されず、継紛のまま残ったものが多く、沈殿物が生成されると共に、プロポリスの有効成分の抽出が充分でないため、該プロポリスの有効成分の人体への吸収性が悪いという課題があった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、従来公知の水抽出法、アルコール抽出法、ミセル化抽出法、または超臨界抽出法等により、あるいは前記各抽出法を複数組合わせた抽出法により、プロポリス原塊から抽出した微粉末状のプロポリス粉末を含む溶液を超微粉末化装置に投入して、該溶液中において、前記プロポリス粉末をナノメーターサイズにまで超微粉末化して、フラボノイド類等のプロポリスの有効成分を前記溶液中に抽出すると共に、該溶液中における分散性と親水性化を図り、該プロポリス粉末が溶液中において継粉の状態で残るのを阻止して、該溶液中にほぼ完全に分散させて飲料とすることにより、沈殿物がなく、且つ人体への吸収性のよいプロポリス飲料の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プロポリス原塊から従来公知の抽出法、あるいは前記従来公知の抽出法を複数組み合わせた抽出法により抽出した微粉末状のプロポリス粉末2〜10重量%を含む溶液を超高圧で加圧して、超微粉末化装置に圧送して、該プロポリス粉末を更に粉砕して、疎水性物質を含むプロポリス粉末全体を超微粉末化することにより、前記溶液中における分散性と親水性化を図ると共に、前記超微粉末化されたプロポリス粉末からプロポリスの有効成分を前記溶液中に抽出して飲料とすることにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプロポリス飲料の製造方法によれば、微粉末状のプロポリス粉末を含む溶液を超微粉末化装置に投入して、フラボノイド類等のプロポリスの有効成分を劣化させることなく超微粉末化して、プロポリス粉末中のプロポリスの有効成分を前記溶液中に抽出する一方、該溶液中における分散性と親水性化を図り、該プロポリス粉末が溶液中において継粉の状態で残るのを阻止して、沈殿物を生ずることなく、該溶液をそのまま飲料とすることができる。そして、前記超微粉末化されて前記溶液中に抽出されたプロポリスの有効成分を含む溶液を、所謂健康飲料として摂取することができるので、人体への吸収性がよく、健康増進に寄与することができるという優れた効果を奏する。然もプロポリス粉末が超微粉末化されているため、プロポリス粉末全体の表面積が大きくなり、少ないプロポリス粉末でも濃度の濃い飲料物が得られる。
【実施例】
【0009】
本発明の実施例につき、詳細に説明する。本発明は、従来公知の水抽出法、アルコール抽出法、ミセル化抽出法、または超臨界抽出法等により、あるいは前記各抽出法を複数組み合わせた抽出法により、プロポリス原塊から抽出して微粉末状に加工されたプロポリス粉末を含む溶液を、超高圧で加圧して超微粉末化装置に圧送して、該超微粉末化装置により前記溶液中のプロポリス粉末全体を、ナノメーターサイズにまで超微粉末化して、プロポリス粉末中のプロポリスの有効成分を前記溶液中に抽出して飲料とする。
【0010】
前記超微粉末化装置としては、特に限定する必要はないが、例えば特許第2788010号「乳化装置」を、または特許第3151706号「噴流衝合装置」を、本発明のプロポリス飲料の製造方法の超微粉末化装置として使用することが推奨される。前記装置はいずれも超高圧での流体同士の衝突を利用して乳化や微細な粒子の分散などの流体の均質化及び/又は粉砕による流体の微粒子化を行うものである。本発明においては、これら装置を、プロポリス粉末の超微粉末化装置として使用する。すなわち、超微粉末化装置は、前記溶液を超高圧に加圧して前記超微粉末化装置に圧送して、前記溶液を高圧のもとで衝突させてプロポリス粉末を粉砕して、プロポリス粉末全体をナノメーターサイズにまで超微粉末化する。
【0011】
また更に、前記超微粉末化装置としては、前記2件の特許の流体同士の衝突によるものの外、例えば株式会社スギノマシン(富山県魚津市本江2410番地)の販売している粉砕・分散・乳化用の「アルティマイザーシステム」の「スリットチャンバー方式」のものを使用することもできる。この「スリットチャンバー方式」の超微粉末化装置は、超高圧で加圧したプロポリス微粉末が、ダイヤモンドとダイヤモンドの隙間(スリット)を通過する際の圧縮、せん断、乱流により超微粉末化されるものである。
【0012】
すなわち、前記超微粉末化装置内へ圧送されたプロポリス微粉末を含む溶液は、圧送方向が対向する前記溶液の2つの流れが激しく衝突すると共に、該溶液中のプロポリス粉末同士が衝突して、前記溶液に瞬時に強大なエネルギーが加わり、このエネルギーにより、該溶液中のプロポリス粉末全体をナノメーターサイズにまで超微粉末化して、フラボノイド類等のプロポリスの有効成分を前記溶液中に抽出する。
【0013】
前記超微粉末化装置に投入された溶液中のプロポリス粉末の超微粉末化が所定の粒径、例えばナノメーターサイズにまで達しない場合は、一旦貯留槽等に貯留された溶液を、複数回超微粉末化装置に高圧で圧送して、超微粉末化工程を繰返すことにより、所定の粒径にまで超微粉末化されたプロポリス粉末を得ることができる。
【0014】
本発明方法において、前記超微粉末化装置に投入する溶液中に含まれる微粉末状のプロポリス粉末の量は、本発明者のテストの結果、2〜10重量%が好ましいことが判った。溶液中のプロポリス粉末の量が10重量%以上であると、該プロポリス粉末によって超微粉末化装置が目詰まりを起こして使用できないため、それ以下の2〜10重量%とすることが推奨される。
【0015】
なお、前記溶液の高圧による衝突により、該溶液中の水分子間のクラスターと呼ばれる水素結合が一瞬解かれ、クラスターの小さい水が生成されるが、該クラスターの小さい水は前記衝突後、瞬時に再び元の水に戻る。しかしながら、本発明においては、溶液の衝突、すなわち前記溶液中の水分子の衝突と、プロポリス微粉末との衝突を同時に行うことにより、前記クラスターの小さい水が生成されると同時に、該クラスターの小さくなった水に、前記超微粉末化されたプロポリス粉末が瞬間的に取り込まれて、分散性と親水性が促進され、本来なら瞬時に再び元の水に戻るのが、前記超微粉末化されたプロポリス粉末のために元の水に戻るのが阻止され、結果的にはクラスターの小さい水の状態が保持されることになるのではないかと、本発明者は推測した。
【0016】
前記本発明者の推測が正しいことを立証するため、本発明者はねじ付きキャップを備えた容器に、前記超微粉末化装置を用いて超微粉末化された10重量%のプロポリス粉末を含有するプロポリス溶液を入れ、該容器を強く数回に亘って振とうしたところ、前記キャップが雌・雄ねじによって強く締め付けられたにも拘らず、該プロポリス溶液が、前記雌・雄ねじ間の超微細な隙間を通って容器外へ漏出してきた。一方、前記プロポリス溶液を入れた容器の振とうテスト後、該容器からプロポリス溶液を排出し、然る後、前記容器に新たに水道水を入れ、該容器を強く数回に亘って振とうしても、該水道水の漏出は認められなかった。この振とうテストにより、超微粉末化されたプロポリス粉末を取り込んだ水は、その水分子が小さいままの状態であると推測できた。なお、前記振とうテストは数回繰返したが、すべて前記と同一結果であった。
【0017】
本発明方法によりプロポリスの有効成分を抽出して得られた溶液を、そのまま飲料として摂取することにより、プロポリス粉末が超微粉末化されているため、微粉末の状態で残ることなく、また継粉の状態にもならず、前記溶液中に完全に分散されることにより沈殿せず、均等に分散して浮遊するため、振とうすることなく、飲用に供され、且つ人体への吸収性も高く、然もプロポリス粉末が超微粉末化されているため、プロポリス粉末全体の表面積が大きくなり、少ないプロポリス粉末でも濃度の濃い飲料物が得られる。なお、本発明方法によって得られたプロポリス飲料が飲みにくい場合は、天然水等により希釈するか、あるいは香料や糖類等の添加物を使用してもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロポリス原塊から従来公知の抽出法、あるいは前記従来公知の抽出法を複数組み合わせた抽出法により抽出した微粉末状のプロポリス粉末2〜10重量%を含む溶液を超高圧で加圧して、超微粉末化装置に圧送して、該プロポリス粉末を更に粉砕して、疎水性物質を含むプロポリス粉末全体を超微粉末化することにより、前記溶液中における分散性と親水性化を図ると共に、前記超微粉末化されたプロポリス粉末からプロポリスの有効成分を前記溶液中に抽出して飲料とすることを特徴とするプロポリス飲料の製造方法。

【公開番号】特開2007−274971(P2007−274971A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105877(P2006−105877)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(507054858)株式会社 アンフィニ (2)
【Fターム(参考)】