説明

プローブユニット、検査装置およびプローブユニット着脱方法

【課題】信号ケーブルが接続されているプローブピンの破損や信号ケーブルの切断を防止しつつ着脱を行う。
【解決手段】プローブピン13をそれぞれ保持可能に構成される共にプローブピン13をプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構4における一対の取付部62にそれぞれ着脱可能に構成された一対の保持部11a,11bを備え、各保持部11a,11bは、互いに近接し、かつ連結部材12によって連結されている状態で各取付部62にそれぞれ着脱可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブピンを保持してプロービング機構に着脱される保持部を備えたプローブユニット、そのプローブユニットを備えてプロービング対象体についての検査を行う検査装置、およびそのプローブユニットの保持部をプロービング機構に着脱するプローブユニット着脱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のプローブユニットとして、特開2001−41975号公報において出願人が開示したプローブユニットが知られている。このプローブユニットは、信号ケーブルがそれぞれ接続された2本のプローブピンを保持するプローブ保持部を、1本の取付用ネジによってプローブ案内機構に固定可能に構成されている。このため、このプローブユニットでは、迅速かつ容易にプローブユニットの交換を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−41975号公報(第4−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のプローブユニットには、改善すべき以下の課題がある。すなわち、このプローブユニットでは、プローブ保持部が2本のプローブピンを保持し、各プローブピンに信号ケーブルがそれぞれ接続されている。このため、4端子法で検査を行う際には、このプローブユニットが2つ用いられる。この場合、各プローブユニットは、2つのプローブ案内機構に個別に固定された状態で移動させられて、これによって検査対象対に対するプローブピンのプロービングが行われる。ここで、例えば、抵抗値の僅かな差に基づいて対象体の良否を判定するような検査を行うときには、ノイズの影響を抑制するために、信号ケーブルとしては、被覆導線の周囲にシールドを設け、さらにシールドの周囲を絶縁材料で覆ったものが用いられる。この場合、この種の信号ケーブルを複数用いるときには、各信号ケーブルの絶縁材料およびシールドを剥がして被覆導線を露出させて、各プローブピンに被覆導線の先端部をそれぞれ接続し、露出している被覆導線の根本部分で各信号ケーブルのシールド同士を半田付け等によって接続する。この場合、被覆導線が露出している部分(シールドによって覆われていない部分)によるノイズの拾い込みを低減するために、この部分の長さが短く規定されている。一方、上記のプローブユニットを2つ用いる場合において、プローブユニットのメンテナンス等を行うときには、2つのプローブユニットを2つのプローブ案内機構に対して個別にそれぞれ着脱する必要があるが、上記したように、被覆導線が露出している部分が短く、かつ露出している被覆導線の根本部分でシールド同士が接続されている。このため、このプローブユニットでは、着脱の作業中に誤って2つのプローブユニットを大きく離反させたときに、信号ケーブルが接続されているプローブピンを破損させたり、信号ケーブルを切断させたりするおそれがあり、この点の改善が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、信号ケーブルが接続されているプローブピンの破損や信号ケーブルの切断を防止しつつ着脱を行い得るプローブユニットおよび検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載のプローブユニットは、プローブピンをそれぞれ保持可能に構成される共に当該プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構における一対の取付部にそれぞれ着脱可能に構成された一対の保持部を備えたプローブユニットであって、前記各保持部は、互いに近接し、かつ連結部材によって連結されている状態で前記各取付部にそれぞれ着脱可能に構成されている。
【0007】
また、請求項2記載のプローブユニットは、請求項1記載のプローブユニットにおいて、前記連結部材を備え、前記各保持部および前記連結部材には、装着時において互いに嵌合し合って位置決めを行うための位置決め用嵌合部がそれぞれ形成されている。
【0008】
また、請求項3記載のプローブユニットは、請求項2記載のプローブユニットにおいて、前記位置決め用嵌合部は、前記各保持部に形成された嵌合用の凹部および凸部のいずれか一方と、前記連結部材に形成されて当該連結部材の装着時において前記いずれか一方に嵌合して当該連結部材を位置決めする前記凹部および前記凸部の他方とで構成されている。
【0009】
請求項4記載のプローブユニットは、請求項1から3のいずれかに記載のプローブユニットにおいて、前記各保持部は、固定用ネジで前記各取付部に固定され、前記連結部材は、前記各保持部を連結している状態において、前記各保持部から取り外した固定用ネジで前記各保持部に固定される。
【0010】
請求項5記載の検査装置は、請求項1から4のいずれかに記載のプローブユニットと、当該プローブユニットの前記各保持部が装着される一対の取付部を有して当該各保持部によって保持されているプローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構と、前記プロービング対象体にプロービングされている前記プローブピンを介して入出力した電気信号に基づいて当該プロービング対象体についての検査を行う検査部とを備えている。
【0011】
請求項6記載の検査装置は、請求項5記載の検査装置において、前記プロービング機構は、前記連結部材によって前記各保持部が連結されていない状態において前記プローブユニットの着脱を指示されたときに、前記各保持部が互いに近接する近接状態となる着脱位置に前記各取付部を移動させる。
【0012】
請求項7記載のプローブユニット着脱方法は、プローブピンをそれぞれ保持可能に構成される共に当該プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構における一対の取付部にそれぞれ着脱可能に構成された一対の保持部を備えたプローブユニットにおける当該各保持部を当該各取付部にそれぞれ着脱するプローブユニット着脱方法であって、前記プロービング機構に対して、前記各取付部に装着されている前記各保持部が互いに近接する近接状態となる取り外し位置に当該各取付部を移動させ、前記各保持部に連結部材を装着して当該各保持部を前記近接状態のまま連結し、当該連結されている状態の当該各保持部を前記各取付部から取り外す。
【0013】
請求項8記載のプローブユニット着脱方法は、プローブピンをそれぞれ保持可能に構成される共に当該プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構における一対の取付部にそれぞれ着脱可能に構成された一対の保持部を備えたプローブユニットにおける当該各保持部を当該各取付部にそれぞれ着脱するプローブユニット着脱方法であって、前記プロービング機構に対して、前記各取付部に装着されている前記各保持部が互いに近接する近接状態となる取付け位置に当該各取付部を移動させ、前記連結部材によって前記近接状態のまま連結されている状態の前記各保持部を前記各取付部に取り付ける。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のプローブユニット、および請求項5記載の検査装置では、各保持部が、互いに近接しかつ連結部材によって連結されている状態でプロービング機構の各取付部にそれぞれ着脱可能に構成されている。このため、取付部に各保持部を着脱する際に、各プローブピンに接続されている各信号ケーブルを互いに近接した状態に維持することができる。したがって、このプローブユニットおよび検査装置によれば、信号ケーブルに接続されているプローブピンの破損や、信号ケーブルの切断を確実に防止しつつ取付部に対するプローブユニットの着脱を行うことができる。
【0015】
また、請求項2記載のプローブユニット、および請求項5記載の検査装置によれば、装着時において互いに嵌合し合って位置決めを行うための位置決め用嵌合部を各保持部および連結部材にそれぞれ形成したことにより、各位置決め用嵌合部同士を嵌合させるだけで各保持部と連結部材との位置決めを行うことができるため、各保持部を連結部材で連結する作業を容易に行うことができる。
【0016】
また、請求項3記載のプローブユニット、および請求項5記載の検査装置によれば、各保持部に形成された凹部および凸部のいずれか一方と、連結部材に形成されて各保持部の凹部および凸部のいずれか一方に嵌合して連結部材を位置決めする凹部および凸部の他方とで位置決め用嵌合部を構成したことにより、簡易な構成でありながら、凹部と凸部とを確実に嵌合させて各保持部と連結部材とを確実に位置決めすることができる。
【0017】
また、請求項4記載のプローブユニット、および請求項5記載の検査装置では、各保持部が固定用ネジで各取付部に固定され、連結部材が各保持部を連結している状態において固定用ネジで各保持部に固定される。このため、このプローブユニットおよび検査装置によれば、取付部に各保持部を確実に装着することができると共に、各保持部を連結部材によって確実に連結することができる。また、このプローブユニットおよび検査装置によれば、例えば、各取付部に対する保持部の固定に用いる固定用ネジを各保持部に対する連結部材の固定に用いることにより、固定用ネジの紛失を確実に防止することができる。
【0018】
また、請求項6記載の検査装置、および請求項7記載のプローブユニット着脱方法では、プロービング機構に対して各保持部が近接状態となる取り外し位置(着脱位置)に各取付部を移動させ、各保持部に連結部材を装着して各保持部を近接状態のまま連結した後に、連結されている状態の各保持部を各取付部から取り外す。このため、この検査装置およびプローブユニット着脱方法によれば、取付部を手作業で取り外し位置(着脱位置)に移動させる構成および方法と比較して、各取付部を取り外し位置(着脱位置)に正確かつ容易に移動させることができる結果、信号ケーブルに接続されているプローブピンの破損や、信号ケーブルの切断を確実に防止しつつ各保持部を各取付部から容易に取り外すことができる。
【0019】
また、請求項6記載の検査装置、および請求項8記載のプローブユニット着脱方法では、プロービング機構に対して各保持部が近接状態となる取付け位置(着脱位置)に各取付部を移動させ、連結部材によって近接状態のまま連結されている各保持部を各取付部に取り付ける。このため、この検査装置およびプローブユニット着脱方法によれば、取付部を手作業で取付け位置(着脱位置)に移動させる構成および方法と比較して、各取付部を取付け位置(着脱位置)に正確かつ容易に移動させることができる結果、信号ケーブルに接続されているプローブピンの破損や、信号ケーブルの切断を確実に防止しつつ各保持部を各取付部に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】プローブユニット3およびプロービング機構4の構成を示す斜視図である。
【図3】プローブユニット3をプロービング機構4の取付部62から取り外した状態の斜視図である。
【図4】連結部材12を表面側から見た斜視図である。
【図5】連結部材12を裏面側から見た斜視図である。
【図6】プローブユニット3の着脱方法を説明する第1の説明図である。
【図7】プローブユニット3の着脱方法を説明する第2の説明図である。
【図8】プローブユニット3の着脱方法を説明する第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、プローブユニット、検査装置およびプローブユニット着脱方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、検査装置の一例としての基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す基板検査装置1は、例えば、プロービング対象体としての回路基板100の導体パターン101の抵抗を4端子法または2端子法で測定し、その測定値に基づいて導体パターン101(回路基板100)の良否を検査可能に構成されている。具体的には、基板検査装置1は、基板支持台2、プローブユニット3、プロービング機構4、測定部5、操作部6、記憶部7および制御部8を備えて構成されている。
【0023】
基板支持台2は、図外のクランプ等を備え、検査対象の回路基板100を支持可能に構成されている。
【0024】
プローブユニット3は、図2に示すように、保持部11a,11b(以下、区別しないときには「保持部11」ともいう)、連結部材12(図4,5参照)および4本のプローブピン13を備えて構成されている。
【0025】
各保持部11は、図2,3に示すように、プローブピン13を保持可能に構成されると共に、プロービング機構4における一対のアーム61の先端部に設けられている各取付部62にそれぞれ着脱することが可能に構成されている。具体的には、各保持部11は、本体部21、2つのリンク機構22、固定板23をそれぞれ備えて構成されている。
【0026】
本体部21は、図2,3に示すように、2つのリンク機構22の基端部を固定可能に構成されると共に、固定板23の先端部を固定可能に構成されている。リンク機構22は、基端部が本体部21に固定され、先端部にプローブピン13を固定可能に構成されている。この場合、リンク機構22は、一例として、4節回転リンク機構であって、プロービング機構4によって行われるプロービングの際に、回路基板100にプローブピン13が接触したときの反力を吸収する機能を有している。
【0027】
固定板23は、プロービング機構4の取付部62に保持部11を固定するための部材であって、図3に示すように、取付部62に形成されている凸部63を嵌合(挿入)させる2つの凹部41が裏面(同図における紙面奥側の面)に形成されると共に、固定用ネジ70を挿通させる挿通孔42が形成されている。この場合、これらの凹部41に各凸部63をそれぞれ嵌合させることにより、固定板23が取付部62に位置決めされ、その状態で、挿通孔42に挿通させた固定用ネジ70の先端部を取付部62に形成されているネジ孔64にねじ込ませることによって保持部11が取付部62に固定(装着)される。
【0028】
また、固定板23には、図3に示すように、後述する連結部材12(図4参照)の凸部51を嵌合(挿入)させる2つの平面視円形の凹部(穴)44が表面(同図における紙面手前側の面)に形成されると共に、固定用ネジ70をねじ込ませるネジ孔43が形成されている。この場合、これらの凹部44(合計で4つの凹部44)に各凸部51をそれぞれ嵌合させることにより、連結部材12が各保持部11に位置決めされ、その状態で、各保持部11から取り外した固定用ネジ70を連結部材12の挿通孔52(図4参照)に挿通させ、挿通させた固定用ネジ70の先端部をネジ孔43にねじ込ませることによって連結部材12が各保持部11に固定(装着)される(図7,8参照)。
【0029】
また、図2,3に示すように、保持部11aの固定板23(以下、保持部11aの固定板23を区別するときには、「固定板23a」ともいう)には、信号ケーブル80を支持するケーブル支持部31が設けられて、このケーブル支持部31には、信号ケーブル80を挿通させるケーブル挿通孔32が形成されている。
【0030】
この場合、信号ケーブル80は、一例として、被覆導線81(図2参照)の周囲に図外のシールドが配設され、さらにシールドの周囲が絶縁体で覆われて構成されている。この基板検査装置1では、4本の信号ケーブル80が保持部11aにおける固定板23aのケーブル挿通孔32に挿通された状態でケーブル支持部31によって支持されている。
【0031】
また、ケーブル支持部31の下部において、各信号ケーブル80の絶縁体およびシールドが剥がされて被覆導線81がそれぞれ露出すると共に、各シールドが半田付け等によって互いに接続されている。また、露出した被覆導線81は、図2に示すように、弛み(遊び)が生じる状態で各プローブピン13に接続されている。また、各信号ケーブル80の基端部(同図における上方の端部)には図外のコネクタが取り付けられており、各信号ケーブル80は、このコネクタを介して測定部5に接続される。
【0032】
連結部材12は、図4,5に示すように、略矩形の板状に構成されている。また、連結部材12の裏面(図4における紙面奥側の面であって、図5における紙面手前側の面)には、保持部11の固定板23に形成されている各凹部44にそれぞれ嵌合可能な略円錐状の4つの凸部51が形成されている。また、連結部材12には、固定用ネジ70を挿通させる挿通孔52が形成されている。この連結部材12は、図8に示すように、互いに近接した状態(近接状態)の各保持部11に装着されることで、各保持部11を近接状態のまま連結する機能を有している。
【0033】
この場合、プロービング機構4によって後述する着脱位置(取付け位置、取り外し位置)に取付部62が移動させられた際に、多少の位置ずれが生じたとしても各保持部11に連結部材12を装着できるように、保持部11の凹部44に凸部51を嵌合させた状態における両者の間、および挿通孔52に固定用ネジ70を挿通させた状態における挿通孔52の内周面と固定用ネジ70との間に、一例として、0.1mm〜0.5mm程度の隙間(遊び)が生じるように凸部51および挿通孔52の寸法が規定されている。なお、各保持部11に形成されている各凹部44および連結部材12に形成されている各凸部51によって位置決め用嵌合部が構成される。
【0034】
プロービング機構4は、図1,2に示すように、2つのアーム61を備え、制御部8の制御に従い、基板支持台2によって支持された回路基板100の表面に沿った方向(XY方向)、および回路基板100に接離する方向(Z方向)に2つのアーム61を移動させて回路基板100の導体パターン101にプローブピン13をプロービングさせる。
【0035】
また、図3に示すように、プロービング機構4における各アーム61の先端部には、プローブユニット3の各保持部11を着脱することが可能な取付部62が設けられている。この場合、取付部62の取付面62aには、プローブユニット3における各保持部11の固定板23に形成されている各凹部41にそれぞれ嵌合可能な凸部63が形成されている。
【0036】
また、図3に示すように、取付部62の取付面62aには、固定用ネジ70をねじ込ませるネジ孔64が形成されている。さらに、取付部62の取付面62aには、連結部材12を各保持部11に装着するために保持部11の固定板23に形成されているネジ孔43に固定用ネジ70をねじ込む際に、固定用ネジ70の先端部が取付部62に突き当たるのを回避するための逃げ穴65が形成されている。
【0037】
この基板検査装置1では、図3に示すように、2つの取付部62の取付面62aが同じ側(同図における紙面手前側)を向き、かつプローブユニット3の保持部11a,11bの各固定板23が各取付部62の取付面62aに対向可能に構成されている。このため、この基板検査装置1では、連結部材12によって連結されている状態の保持部11a,11bの双方を取付部62から一度に取り外したり装着したりすることが可能となっている。
【0038】
測定部5は、回路基板100の導体パターン101にプロービングされた各プローブピン13を介して入出力する電気信号に基づいて導体パターン101の抵抗を4端子法または2端子法で測定する。
【0039】
操作部6は、各種のスイッチやキーを備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号を出力する。記憶部7は、プローブピン13をプロービングさせるべき導体パターン101の位置を示す位置データを記憶する。また、記憶部7は、プローブユニット3をプロービング機構4の取付部62に対して着脱する位置、具体的には、取付部62に装着されている各保持部11が上記した近接状態となる位置(着脱位置、取付け位置、および取り外し位置に相当し、以下、これらを区別しないときには「着脱位置」ともいう)を示す位置データを記憶する。さらに、記憶部7は、導体パターン101の良否の判定に用いる抵抗値の基準値を記憶する。なお、着脱位置は、1つの位置に限定されず、取付部62に装着されている各保持部11が近接状態となるとの条件を満たす限り、複数の位置に規定することもできる。
【0040】
制御部8は、プロービング機構4および測定部5を制御する。また、制御部8は、測定部5と共に検査部として機能して、測定部5によって測定された抵抗値に基づいて導体パターン101(回路基板100)の良否を検査する。
【0041】
次に、プロービング機構4の取付部62に対してプローブユニット3の各保持部11を着脱するプローブユニット着脱方法について、図面を参照して説明する。
【0042】
最初に、取付部62からプローブユニット3の各保持部11を取り外す手順について説明する。まず、操作部6を操作して、着脱を行う旨を指示する。この際に、操作部6が操作信号を出力し、これに応じて、制御部8が、各取付部62に装着されているプローブユニット3の各保持部11が互いに近接する着脱位置に各取付部62を移動させる処理を行う。具体的には、制御部8は、記憶部7から着脱位置を示すデータを読み出す。次いで、制御部8は、読み出したデータに基づいてプロービング機構4を制御して、図2に示すように、取付部62を着脱位置に移動させる。
【0043】
続いて、各信号ケーブル80の基端部に取り付けられている図外のコネクタを測定部5から取り外す。次いで、図6に示すように、各保持部11を各取付部62に固定している固定用ネジ70を取り外す。続いて、近接状態の各保持部11に連結部材12を装着して、連結部材12で各保持部11を連結する。具体的には、図7に示すように、連結部材12の裏面に形成されている各凸部51を保持部11の固定板23に形成されている各凹部44にそれぞれ嵌合(挿入)させるようにして、連結部材12を各保持部11に当接させる。この際に、各凹部44への各凸部51の嵌合によって連結部材12が各保持部11に対して位置決めされて、同図に示すように、連結部材12の各挿通孔52と各保持部11のネジ孔43とが対向(連通)する。
【0044】
次いで、取り外した上記の固定用ネジ70を連結部材12の挿通孔52に挿通させ、固定用ネジ70をネジ孔43にねじ込んで、連結部材12を各保持部11に固定する。この場合、取付部62の取付面62aに逃げ穴65が形成されているため(図3参照)、固定用ネジ70をねじ込む際に、固定用ネジ70の先端部が取付部62に突き当たるのが回避される。これにより、各保持部11が近接状態のまま連結部材12によって連結される。
【0045】
続いて、図8に示すように、連結部材12によって連結されている各保持部11を取付部62から取り外す。この場合、同図に示すように、2つの取付部62の各取付面62aが同じ側(同図における紙面手前側)を向き、各保持部11の各固定板23が各取付面62aに対向しているため、連結部材12によって連結されている各保持部11を取付面62aから離反する向きに(この例では、手前に)一度に引き抜くことで、各保持部11を各取付部62から容易に取り外すことができる。
【0046】
また、各保持部11が連結部材12によって連結されて、各保持部11の近接状態が維持されているため、各保持部11によって保持されている各プローブピン13に接続されている各被覆導線81を含む各信号ケーブル80も互いに近接した状態に維持される。この結果、各信号ケーブル80(各被覆導線81)同士が離間して、被覆導線81に接続されているプローブピン13が破損したり、信号ケーブル80が切断したりする事態が確実に防止される。以上により、取付部62からのプローブユニット3の取外しが完了する。なお、取り外したプローブユニット3に対して点検や洗浄を行う際に、各保持部11を連結部材12で連結したままの状態でこれらの作業を行うことで、プローブピン13の破損や信号ケーブル80の切断を回避することができる。
【0047】
次に、取付部62に対してプローブユニット3の各保持部11を装着する手順について説明する。なお、図8に示すように、各保持部11が連結部材12によって予め連結されているものとする。
【0048】
この場合、取付部62が上記した着脱位置に位置していないときには、上記したように、操作部6を操作して、着脱を行う旨の指示をする。この際には、制御部8が、プロービング機構4を制御して着脱位置に各取付部62を移動させる上記の処理を行う。
【0049】
次いで、連結部材12によって連結されている各保持部11(図8参照)における各固定板23の凹部41(図3参照)に、取付部62の取付面62aに形成されている各凸部63(同図参照)を嵌合(挿入)させるようにして、各固定板23を取付面62aに当接させる。この際に、凹部41への凸部63の嵌合によって固定板23が取付部62に位置決めされる。
【0050】
続いて、連結部材12と各保持部11とを固定している固定用ネジ70を取り外し(図7参照)、次いで、連結部材12を各保持部11から取り外す。続いて、図6に示すように、取り外した上記の固定用ネジ70を各保持部11における固定板23の挿通孔42に挿通させ、固定用ネジ70を取付部62のネジ孔64にねじ込んで、各固定板23(各保持部11)を取付部62に固定する。これにより、図2に示すように、各保持部11が近接状態のまま取付部62に装着される。次いで、各信号ケーブル80の基端部に取り付けられている図外のコネクタを測定部5に接続する。以上により、取付部62に対するプローブユニット3の装着が完了する。
【0051】
このように、このプローブユニット3および基板検査装置1では、各保持部11が、互いに近接しかつ連結部材12によって連結されている状態でプロービング機構4の各取付部62にそれぞれ着脱可能に構成されている。このため、取付部62に各保持部11を着脱する際に、各プローブピン13に接続されている各信号ケーブル80を互いに近接した状態に維持することができる。したがって、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、信号ケーブル80に接続されているプローブピン13の破損や、信号ケーブル80の切断を確実に防止しつつ取付部62に対するプローブユニット3の着脱を行うことができる。
【0052】
また、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、装着時において互いに嵌合し合って位置決めを行うための位置決め用嵌合部を各保持部11および連結部材12にそれぞれ形成したことにより、各位置決め用嵌合部同士を嵌合させるだけで各保持部11と連結部材12との位置決めを行うことができるため、各保持部11を連結部材12で連結する作業を容易に行うことができる。
【0053】
また、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、各保持部11に形成された凹部44と、連結部材12に形成されて各凹部44に嵌合する凸部51とで位置決め用嵌合部を構成したことにより、簡易な構成でありながら、凹部44と凸部51とを確実に嵌合させて各保持部11と連結部材12とを確実に位置決めすることができる。
【0054】
また、このプローブユニット3および基板検査装置1では、各保持部11が固定用ネジ70で取付部62に固定され、連結部材12が各保持部11を連結している状態において各保持部11から取り外した固定用ネジ70で各保持部11に固定される。このため、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、取付部62に各保持部11を確実に装着することができると共に、各保持部11を連結部材12によって確実に連結することができる。また、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、各取付部62に対する保持部11の固定に用いる固定用ネジ70を各保持部11に対する連結部材12の固定に用いるため、固定用ネジ70の紛失を確実に防止することができる。
【0055】
また、この基板検査装置1およびプローブユニット着脱方法では、プロービング機構4に対して各保持部11が近接状態となる取り外し位置(着脱位置)に各取付部62を移動させ、各保持部11に連結部材12を装着して各保持部11を近接状態のまま連結した後に、連結されている状態の各保持部11を各取付部62から取り外す。このため、この基板検査装置1およびプローブユニット着脱方法によれば、取付部62を手作業で取り外し位置(着脱位置)に移動させる構成および方法と比較して、各取付部62を取り外し位置(着脱位置)に正確かつ容易に移動させることができる結果、信号ケーブル80に接続されているプローブピン13の破損や、信号ケーブル80の切断を確実に防止しつつ各保持部11を各取付部62から容易に取り外すことができる。
【0056】
また、この基板検査装置1およびプローブユニット着脱方法では、プロービング機構4に対して各保持部11が近接状態となる取付け位置(着脱位置)に各取付部62を移動させ、連結部材12によって近接状態のまま連結されている各保持部11を各取付部62に取り付ける。このため、この基板検査装置1およびプローブユニット着脱方法によれば、取付部62を手作業で取付け位置(着脱位置)に移動させる構成および方法と比較して、各取付部62を取付け位置(着脱位置)に正確かつ容易に移動させることができる結果、信号ケーブル80に接続されているプローブピン13の破損や、信号ケーブル80の切断を確実に防止しつつ各保持部11を各取付部62に容易に取り付けることができる。
【0057】
なお、プローブユニット、回路基板検査装置およびプローブユニット着脱方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、4端子法での測定(検査)に用いる4本のプローブピン13を保持するプローブユニット3、およびそのプローブユニット3を着脱する方法に適用した例について上記したが、2本のプローブピン13を保持するプローブユニット、およびそのプローブユニット3を着脱する方法に適用することもできる。
【0058】
また、各保持部11に形成されている合計4つの平面視円形の凹部44、および連結部材12に形成されている4つの略円錐状の凸部51によって位置決め用嵌合部を構成した例について上記したが、位置決め用嵌合部を構成する凹部44および凸部51の数や形状はこれに限定されず、任意に規定することができる。
【0059】
また、保持部11に凸部(凸部51と同様の凸部)を形成し、この凸部と嵌合可能な凹部(凹部44と同様の凹部)を連結部材12に形成し、これらの凸部および凹部で位置決め用嵌合部を構成することもできる。
【0060】
また、各取付部62と保持部11との固定に用いる固定用ネジ70を各保持部11と連結部材12との固定に用いる例、つまり2組の固定用ネジに同じ固定用ネジ70を用いる例について上記したが、2組の固定用ネジに異なる固定用ネジを用いることもできる。また、固定用ネジを用いることなく、位置決め用嵌合部を嵌合させるだけで各保持部11と連結部材12とを固定する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 基板検査装置
3 プローブユニット
4 プロービング機構
5 測定部
8 制御部
11a,11b 保持部
12 連結部材
13 プローブピン
41 凹部
51 凸部
62 取付部
70 固定用ネジ
100 回路基板
101 導体パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブピンをそれぞれ保持可能に構成される共に当該プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構における一対の取付部にそれぞれ着脱可能に構成された一対の保持部を備えたプローブユニットであって、
前記各保持部は、互いに近接し、かつ連結部材によって連結されている状態で前記各取付部にそれぞれ着脱可能に構成されているプローブユニット。
【請求項2】
前記連結部材を備え、
前記各保持部および前記連結部材には、装着時において互いに嵌合し合って位置決めを行うための位置決め用嵌合部がそれぞれ形成されている請求項1記載のプローブユニット。
【請求項3】
前記位置決め用嵌合部は、前記各保持部に形成された嵌合用の凹部および凸部のいずれか一方と、前記連結部材に形成されて当該連結部材の装着時において前記いずれか一方に嵌合して当該連結部材を位置決めする前記凹部および前記凸部の他方とで構成されている請求項2記載のプローブユニット。
【請求項4】
前記各保持部は、固定用ネジで前記各取付部に固定され、
前記連結部材は、前記各保持部を連結している状態において、固定用ネジで前記各保持部に固定される請求項1から3のいずれかに記載のプローブユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のプローブユニットと、当該プローブユニットの前記各保持部が装着される一対の取付部を有して当該各保持部によって保持されているプローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構と、前記プロービング対象体にプロービングされている前記プローブピンを介して入出力した電気信号に基づいて当該プロービング対象体についての検査を行う検査部とを備えている検査装置。
【請求項6】
前記プロービング機構は、前記連結部材によって前記各保持部が連結されていない状態において前記プローブユニットの着脱を指示されたときに、前記各保持部が互いに近接する近接状態となる着脱位置に前記各取付部を移動させる請求項5記載の検査装置。
【請求項7】
プローブピンをそれぞれ保持可能に構成される共に当該プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構における一対の取付部にそれぞれ着脱可能に構成された一対の保持部を備えたプローブユニットにおける当該各保持部を当該各取付部にそれぞれ着脱するプローブユニット着脱方法であって、
前記プロービング機構に対して、前記各取付部に装着されている前記各保持部が互いに近接する近接状態となる取り外し位置に当該各取付部を移動させ、
前記各保持部に連結部材を装着して当該各保持部を前記近接状態のまま連結し、当該連結されている状態の当該各保持部を前記各取付部から取り外すプローブユニット着脱方法。
【請求項8】
プローブピンをそれぞれ保持可能に構成される共に当該プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構における一対の取付部にそれぞれ着脱可能に構成された一対の保持部を備えたプローブユニットにおける当該各保持部を当該各取付部にそれぞれ着脱するプローブユニット着脱方法であって、
前記プロービング機構に対して、前記各取付部に装着されている前記各保持部が互いに近接する近接状態となる取付け位置に当該各取付部を移動させ、
前記連結部材によって前記近接状態のまま連結されている状態の前記各保持部を前記各取付部に取り付けるプローブユニット着脱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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