説明

ヘアケア組成物

約0.1%〜約20%のスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、α−メチレンラクトン、又はこれらの混合物を含むヘアケア組成物であって、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及びα−メチレンラクトンがそれぞれ、500グラム/モル未満の分子量と、皮膚科学的に許容可能な担体とを有する、ヘアケア組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及び/又はα−メチレンラクトンを含むヘアケア組成物に関する。本発明は、毛幹の内部領域を化学的に修飾する方法に更に関する。本発明は、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及び/又はα−メチレンラクトンを含む第1の組成物と、反応開始剤を含む第2の組成物とを含むキットに更に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイル形成及び保持は、従来的に、少なくとも部分的に毛髪を被覆し、毛髪繊維の表面上で作用するポリマー類及び他の構成成分を含むスタイリング製品を使用することによって達成されてきた。いくつかの不利点が、このアプローチに関連する。時間の経過、湿度の上昇、過度の動き等によるヘアスタイルの崩れは、一日を通して、消費者にヘアスタイルを一新する必要性を感じさせる原因となり得る。これは、多くの場合、更なるスタイリング製品を使用することを必要とする。また、コンディショニング剤も使用されている毛髪に使用する際、従来のスタイリング製品の効果が落ちる場合もある。更に、毛髪の表面へ物質を塗布することにより、毛髪の自然な手触り及び外観を損ない、結果として光沢のない外観、及び/又は堅い若しくは不快な手触りをもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、ヘアコンディショニング剤の使用の有無に関わらず、前述の不利点を回避し、改善された形状保持力及びスタイル持続性を提供するヘアケア組成物提供の必要性が存在する。そのような組成物は、ボリュームの増大したヘアスタイルを追求する消費者に、特に望まれ得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、毛髪に浸透し、毛幹の内部に結合するモノマーを含むヘアケア組成物を提供することによって、前述の必要性を満足させる。したがって、毛髪の内部構造が修飾され、結果として毛幹の改善された剛性がもたらされる。理論に制限されるものではないが、毛髪は、内毛幹を保護する働きをする外層、又は言い換えると、重なり合う角皮セルを含む角皮からなる。内毛幹又は毛皮質は、皮質セルを含む。角皮及び皮質セルの両方は、架橋され、特定のパターンで配列されるタンパク質でできている。角皮及び皮質セルのタンパク質は、毛髪の機械的特性、例えば、剛性、強度、及び弾性を制御する役割を果たし得る。出願者らは、比較的低い分子量を有する選択されたモノマー類が、角皮及び毛皮質に浸透し、還元ケラチン性タンパク質と、互いとの両方を結合することができると考える。したがって、予備生成されたポリマーを毛髪の外層に塗布するのではなくむしろ、本発明は、毛幹の内部領域に浸透することができる比較的小さな分子の塗布を説明しており、この分子はより大きな分子を形成するために、毛髪と、及び/又は互いに結合し得る。これは、言い換えると、毛髪の剛性を内部的に改善し、ボリュームを増加し、かつより長時間にわたるスタイル保持力を改善したスタイル形成を可能にする。
【0005】
本発明は、他のアプローチに勝るいくつかの利点を提供する。ケラチン性タンパク質を有するモノマーから形成される錯体は、長期間にわたり安定した状態を保つため、本発明の組成物で処理された毛髪は、毛髪を複数回洗浄した後及び/又は濡れた後にも、改善された剛性を継続して呈し得る。更に毛髪は、縮れ又は柔弱性等の水分及び/又は湿気の負の影響を呈することがより少ない。また、毛髪は、スタイリングがより容易となり、必要なスタイリング製品の使用がより少なく、及び/又はより長時間にわたりスタイルを持続し得る。
【0006】
以下では、本発明のいくつかの非限定的な実施形態について記載する。
【0007】
本発明の第1の実施形態によると、約0.1%〜約20%のスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、α−メチレンラクトン、又はこれらの混合物を含むヘアケア組成物であって、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及びα−メチレンラクトンがそれぞれ、500グラム/モル未満の分子量と、皮膚科学的に許容可能な担体とを有する、ヘアケア組成物が提供される。
【0008】
本発明の別の実施形態によると、毛髪に、第1の実施形態による第1の組成物を塗布する工程と、毛髪に反応開始剤を塗布する工程とを含む、毛幹の内部領域を化学的に修飾する方法が提供される。
【0009】
本発明の更に別の実施形態によると、第1の実施形態による第1の組成物と、反応開始剤を含む第2の組成物とを含むキットであって、第1の組成物及び第2の組成物が、キット内に別々にパッケージ化される、キットが提供される。
【0010】
本発明の更に別の実施形態によると、第1の実施形態による第1の組成物と、反応開始剤を含む第2の組成物と、組成物に関連する広告資料とを含む、商品が提供される。広告資料は、組成物を使用する前のある人の外観と、組成物を使用した後の同一人物の外観を比較する画像を含んでもよい。
【0011】
本発明の更に別の実施形態によると、第1の実施形態による第1の組成物と、反応開始剤を含む第2の組成物とを含むキットの販売方法であって、消費者がキットを入手できるようにする工程と、組成物が、改善されたスタイル保持力、改善されたスタイル持続性、ボリュームの改善された外観、水分に対する改善された耐性、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、毛髪への1つ以上の効果をもたらし得るという情報を消費者に提供する工程とを含む、販売方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の全ての実施形態において、特に記載のない限り、全ての百分率は総組成物の重量による。特に規定のない限り、全ての比は重量比である。全ての範囲は、包括的及び結合可能である。有効数字の数は、表示されている量を限定するものでもなく、測定値の精度を限定するものでもない。特に指示がない限り、全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものと理解される。特に指示がない限り、全ての測定は、25℃において周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%における条件を意味する。列挙する成分に関連するこのような全ての重量は、活性レベルに基づき、かつ特に指定のない限り、市販の物質に含まれている場合がある担体や副生成物は含まない。
【0013】
本明細書で使用される際、「毛髪」とは、人頭及び頭皮上の毛髪を意味する。「毛幹」とは、個々の毛髪を意味し、「毛髪」という用語と同義的に使用され得る。
【0014】
本明細書で使用される際、「毛幹の内部領域」とは、角皮の内部を含む、毛幹のいずれかの非表面部分を意味する。「非表面部分」とは、外部環境と直接接触していない毛髪の部分を意味すると理解され得る。
【0015】
本明細書で使用される際、「頭皮近位」とは、距離的に、延ばした又は実質的にまっすぐに伸ばした毛幹の、毛髪の末端部より頭皮に近い部分を意味する。したがって、毛髪の約50%が、頭皮近位であると見なされ、毛髪の約50%が頭皮遠位であると見なされる。「頭皮近位xcm」とは、一方の終点が頭皮上にある、又は頭皮に直接隣接し、第2の終点が延ばした又は実質的にまっすぐに伸ばした毛髪の長さに沿って「x」センチメートルと測定される、毛髪に沿った距離「x」を意味する。
【0016】
本明細書で使用される際、「皮膚科学的に許容可能な担体」とは、記載の組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等がなく、ヒトのケラチン組織と接触する使用に適していることを意味する。
【0017】
本明細書で使用される際、「誘導体」とは、アミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル、及び/又は所与の化合物のアルコール誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用される際、「モノマー」とは、反応開始剤の存在下で重合させることができる、別個の非重合化学部位を意味する。
【0019】
本明細書で使用される際、「エチレンモノマー」とは、オレフィン炭素−炭素二重結合(C=C)を含み、反応開始剤の存在下で重合させることができる、化学種を意味する。
【0020】
本明細書で使用される際、「多価カチオン」とは、+2〜+7の正味イオン電荷を有する元素を意味する。
【0021】
本明細書で使用される際、「化学的に修飾する」又はその文法上の相当語句は、第2の化学部位、例えば、ケラチンタンパク質、毛髪の別の構成成分、及び/又は別のモノマー若しくは架橋剤に安定的に付着する、モノマー及び/又は架橋剤等の化学部位を意味する。
【0022】
「安定的に付着する」とは、いったん形成されると、濡れ、洗浄、スタイリング、及び他の種類の毛髪処理を経ても不変である、共有結合及び非共有結合形態の両方の化学結合を含むと理解される。広くは、安定的に付着した化学部位は、毛髪を損傷する、又は実質的に破壊することなく毛髪から除去され得ない。
【0023】
本明細書で使用される際、「曲げ剛性」とは、カトー繊維一本曲げ方法(Kato Single Fiber Bending Method)によって測定される。曲げ剛性を測定する一実施例は、次の通りである。本発明の組成物が塗布される領域から6本の別個の毛髪を選択する。RSコンポーネンツプレス(RS Components Press)−ソケット(Sock)番号622−032を使用して、個々の繊維の一方の末端部に真ちゅうフェルールを実装する。毛髪を、フェルールのふもとから55mmの長さに切断する。KES−FBシステム測定プログラムのバージョン6.35WEによって実行されるKES−FB2−SH繊維一本曲げ試験システム(KES-FB2-SH Single Fiber Bending Tester System)(カトーテック社)を使用し、次の設定、試料=毛髪、感度=2.5、カウント=1、曲率=2.5、反復回数=1を使用して、「毛髪繊維一本曲げ方法(Single Hair Fiber Bending Method)」を実行する。次の通りに試料を取り付ける。裏側チャックを固定し、確認スイッチをOSCに設定し、メーターの指数が+10Vであることを確認する。設定は、感度(初期)=0.0008N/10V(0.08gf/10V)、速度スイッチ=1、速度ダイヤル=2である。背側チャック内に、真ちゅうフェルールのない毛髪試料末端部を、縦方向に対して中心に定置する。側面のつまみでほんの少し背側チャックを締める。前側チャックを通して繊維を引っ張り、繊維がまっすぐであり、緊張又はたるみがないことを確認する。つまみでチャックを締める。チャックホルダーを開き、囲いを閉める。次の通りに測定を実行する。確認つまみをBALに設定し、電圧計の指数、0Vを取得する。確認つまみをMESに設定し、電圧計の指数、0Vを取得する。それぞれの毛髪を3回測定し、それぞれの評価の前に試料を再度取り付けて、6本の毛髪試料セットに対して合計18の読み取り値を取得する。18の読み取り値を平均して、「gf」が抵抗力のグラムを意味する、gf・cm/繊維の試料セットの「曲げモーメント」の測定値を取得する。(典型的な曲げモーメント値は、およそ0.002N.cm/繊維(0.2gf・cm/繊維)である。)本明細書に記載されるように本発明の組成物を塗布した後の同一試料セットに対して、手順を繰り返す。本発明に記載される処理後の同一試料セットの平均曲げモーメントが、初期測定値の平均曲げモーメントを少なくとも20%超える場合、曲げ剛性が改善される。
【0024】
「カール保持力」は、次の通りに測定されてもよい。重量がおよそ1gであり、約25.4cm(10インチ)の長さを有する毛髪の見本を使用し、毛髪を水で完全に濡らし、十分にくしで梳いて絡んだ毛髪をほぐす。毛髪の上部分を、例えば輪ゴムで、長さが15.2cm(6インチ)及び直径が1.3cm(0.5インチ)のセラミック製のロッドに取り付ける。毛髪を、実質的に毛髪のらせん毎の重なりがなく、それぞれのらせん間に隙間がない状態で、ロッドの周囲にらせん状に巻き付ける。毛髪の残りがおよそ5.1cm(2インチ)になった際に、ロッドの周囲に巻き付けるのを止め、この毛髪の残りは次いで、当該技術分野に精通する者によって理解されるように、毛髪にパーマを適用するために、末端部が折り畳まれた紙で包まれる。包まれた最後の5.1cm(2インチ)をセラミック製のロッドの周囲に継続して巻き、ロッド及び紙の端部にのみ接触する接着テープを使用して、毛髪の下部分をロッドに付着させる。毛髪がこのカールした位置にセットされるように、8〜20時間、又は乾燥するまで放置する。ロッドから毛髪見本を取り外し、垂直に吊るす。所望により、毛髪は、温度が約32℃であり、相対湿度が約80%である環境内に吊るされてもよい。上から下までのカールした毛髪の全長を測定し、時間ゼロでの長さとして記録する(長さ(時間0))。60分後に測定を繰り返し、時間60での毛髪の全長として記録する(長さ(時間60))。カール保持数(CRN)を次のように計算する。
カール保持数(Curl Retention Number)(時間60)=[長さ(時間60)−長さ(時間0)]/[長さ(時間0)
【0025】
平均カール保持数を取得するために、更に4つの見本に対してこの方法を繰り返し、異なる全長の5つの測定値を平均する。「改善されたカール保持力」とは、本発明の組成物が塗布された毛髪の5つの見本セットの平均カール保持数が、同一方法で処理されたが本発明の組成物が塗布されていない、5つの参照比較見本セットの平均カール保持数より少なくとも20%少ないことを意味する。
【0026】
本明細書で使用される際、「改善されたスタイル保持力及び/又は持続性」とは、本発明の組成物が毛髪に塗布された後に形成された、形状化された、及び/又は得られたヘアスタイルが、組成物が塗布されていない同一の毛髪と比較して、より長い時間維持されることを意味する。
【0027】
本明細書で使用される際、「ボリュームの改善された外観」とは、毛髪が、発明の組成物が塗布された後、組成物が塗布される前と比較して、視覚的に著しくより優れたボリューム、すなわち、頭皮とヘアスタイルの最外層との間の距離、及び/又は個々の毛髪間の距離を呈することを意味する。
【0028】
本明細書で使用される際、「水分に対する改善された耐性」とは、毛髪が、本発明の組成物が塗布された後、組成物が塗布される前と比較して、水蒸気(すなわち、50%を超える相対湿度)への暴露を受けて、ボリュームの喪失、スタイルの崩れ、縮れの増大等の視覚的に著しい影響を呈さないことを意味する。
【0029】
本明細書で使用される際、「アルカリ保存性」とは、ASTM D 1121に記載されるように測定される相対強度及びpHを調整するために使用される塩基の明確な濃度を意味し、本発明の塩基は、当該方法で使用される不凍液で置換される。
【0030】
本明細書で使用される際、「キット」とは、本明細書に記載されるように、第1の組成物及び別々にパッケージ化された第2の組成物を含む、梱包単位を意味する。
【0031】
本明細書で使用される際、「別々にパッケージ化された」とは、第1の組成物が第2の組成物と物理的に接触する、又は混ざることを防ぐ、パッケージングのいずれかの形状を意味する。「別々にパッケージ化された」とは、個々の組成物が、別々の容器に、又は別の方法で組成物が物理的に接触しないように分割された単一容器にパッケージ化されることを意味してもよい。
【0032】
本明細書で使用される際、「用具」とは、組成物の毛髪への塗布及び/又は毛髪の取り扱いを容易にするために使用される道具を意味する。用具の例には、くし、有向送達のための手段(例えば、塗布器又はチューブ)、毛髪を覆うもの(例えば、ビニール袋、シャワーキャップ等)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用される際、「エネルギー送達装置」とは、毛髪及び頭皮を含むケラチン組織にエネルギーを送達するために使用される、いずれかの装置を意味する。「エネルギーの送達」とは、ケラチン組織の表面が、毛幹及び/又は毛包を含む組織の所望の層に浸透し得る、エネルギー送達装置から放出されるエネルギーに暴露されることを意味する。エネルギーには、光、熱、音(超音波を含む)、電気エネルギー、磁気エネルギー、電磁気エネルギー(ラジオ波及びマイクロ波を含む)の形のエネルギー、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0034】
I.組成物
本発明は、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及び/又はα−メチレンラクトンを含む組成物を含む。2つ以上の組成物を意図する実施形態を参照する際、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及び/又はα−メチレンラクトンを含む組成物は、「第1の組成物」と称されてもよい。組成物は、約7.0以下、あるいは約2.0〜約7.0、及びあるいは約3.0〜約6.0のpHを有し得る。全ての実施形態において、pHを参照して使用される際、「約」とは、±0.1pH単位を意味することが理解される。
【0035】
本明細書で使用される際、「スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物」とは、スルホプロピル(メタ)アクリレートの誘導体類、塩類、及び/又は異性体類を含むことが理解される。本発明のスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物類は、非重合形態であることが理解され、スルホプロピル(メタ)アクリレートのポリマー類は含まない。有用なスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物の一例は、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、CAS 31098−20−1である。また、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物類は、スルホプロピルアクリレートエステル類、スルホアルキルプロペノエート、アクリル酸プロピルエステルスルホネート類、プロペン酸スルホアルキルエステル、及び/又はスルホアルキルプロペン酸エステルとしても既知であり得る。組成物は、約0.1%〜約20%、あるいは約1%〜約15%、あるいは約5%〜約10%、あるいは約0.1%〜約10%、及びあるいは約10%〜約20%のスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物を含んでもよい。
【0036】
本明細書で使用される際、「α−メチレンラクトン」とは、下記の一般的な構造を有する化合物の誘導体類、塩類、及び/又は異性体類を含むことが理解される。
【0037】
【化1】

【0038】
図中、nは、1〜最大6、あるいは1〜最大4を有する、及びあるいは1である、正の整数であり、Rは、水素、又はC1〜C4のアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルハライド、アルキルエーテル、アリル、若しくはアリール部分である。有用なα−メチレンラクトンの一例は、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、CAS #547−65−9である。有用なα−メチレンラクトン類の他の例には、α−メチレン−γ−バレロラクトン、α−メチレン−ε−カプロラクトン、3−メチリデンオキサム−2−オン、(5S)−S−(ヒドロキシメチル)−3−メチリデン−オキソラン−2−オン、3−メチリデン−1−オキサスピロ−[4,5]−デカン−2−オン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のα−メチレンラクトン類は、非重合形態であることが理解され、α−メチレンラクトン類のポリマー類を含まない。組成物は、約0.1%〜約20%、あるいは約1%〜約15%、あるいは約5%〜約10%、あるいは約0.1%〜約10%、及びあるいは約10%〜約20%のα−メチレンラクトンを含んでもよい。
【0039】
スルホプロピル(メタ)アクリレート及びα−メチレンラクトン化合物類は、毛幹に浸透するのに適した寸法であり、500g/モル以下、あるいは約100g/モル〜約500g/モル、あるいは約100g/モル〜約400g/モル、及びあるいは約200g/モル〜約400g/モルの分子量を有し、「g/モル」は、化合物のモルあたりのグラムを意味する。
【0040】
組成物は、毛幹に浸透するのに適した寸法、並びに500g/モル以下、あるいは約50g/モル〜約500g/モル、あるいは約75g/モル〜約400g/モル、及びあるいは約100g/モル〜約400g/モルの分子量を有する、少なくとも1つのエチレンモノマーを更に含んでもよい。本発明の第1の組成物に使用するのに適したエチレンモノマーの例には、メサコン酸、2−ペンテン酸、チグリン酸、チグリン酸エステル類、フラン−3−アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、マレアミド酸、3−アミノクロトン酸、クロトン酸エステル類、無水イタコン酸、トリメチルシリルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート類、N−ビニルアセタミド、2−アセタミドアクリル酸、ビニルスルホン酸、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N−メチル−N−ビニルアセタミド、ビニルプロピオネート、ビニルアニソール、ビニルクロトネート、メチル−3−ヒドロキシ−2−メチレンブチレート、並びにこれらの塩類、異性体類、誘導体類、及び混合物が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、約0.1%〜約20%、あるいは約1%〜約15%、あるいは約5%〜約10%、あるいは約0.1%〜約10%、及びあるいは約10%〜約20%のエチレンモノマーを含んでもよい。
【0041】
一実施形態においては、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、α−メチレンラクトン、及び/又はこれらの混合物の重量パーセントと、モノマーの重量パーセントとの比率は、約1:12〜約12:1、あるいは約1:10〜約10:1、あるいは約1:5〜約5:1、あるいは約12:1〜約1:1、あるいは約10:1〜約1:1、及びあるいは約5:1〜約1:1である。
【0042】
第1の組成物は、毛幹に浸透するのに適した寸法、並びに500g/モル以下、あるいは約100g/モル〜約500g/モル、あるいは約100g/モル〜約400g/モル、及びあるいは約200g/モル〜約400g/モルの分子量を有する、少なくとも1つの架橋剤を更に含んでもよい。本発明の第1の組成物に使用するのに適した架橋剤の例には、1,4−ビスアクリロイルピペラジン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリ−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
一実施形態においては、スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、α−メチレンラクトン、及び/又はこれらの混合物の重量パーセントと、架橋剤の重量パーセントとの比率は、約50:1〜約10:1、あるいは約40:1〜約10:1、及びあるいは約20:1〜約10:1である。
【0044】
第1の組成物は、約0.01%〜約1%の少なくとも1つの有機又は無機触媒を更に含んでもよい。適した有機触媒の非制限的な例には、2−ピロリジノエタノール、1−ピぺリジン−エタノール、4−メチルモルホリン、2−モルホリノエタノール、テトラメチルエチレンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。適した無機触媒の非制限的な例には、セリウム(IV)、コバルト(III)、マンガン(III)、鉄(III)、ニッケル(II)、銅(II)の塩類及び/又は水和物類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
本発明は、いくつかの実施形態においては、エチレンモノマー及び/又は架橋剤のケラチン及び/又は別のモノマーへの結合を促進するのに有用な、反応開始剤を含む第2の組成物を更に含んでもよい。第2の組成物は、約0.001%〜約5%、あるいは約0.01%〜約1%、及びあるいは約0.1%〜約1%の反応開始剤を含んでもよい。反応開始剤の適した分類の例には、ペルオキシ二硫酸塩類、ペルオキシド類、過酸類、ホスフェート類、マンガン酸塩類、ボレート類、ビス−アルキルアミジン類、亜硫酸塩類、ペルオキシエステル類、ビス−シアノカルボン酸類、α−アミノ酢酸類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適した反応開始剤の非制限的な例には、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酢酸、硝酸アンモニウムセリウム(IV)、及びこれらの混合物が挙げられる。第2の組成物は、更に、7.0を超える、あるいは約7.0〜約12.0、あるいは約8.0〜約12.0、及びあるいは約9.0〜約11.0のpHを有してもよい。別の実施形態においては、第2の組成物は、約7.0以下のpHを有してもよい。
【0046】
本発明は、第1及び第2の組成物とは別にパッケージ化され、本明細書に開示される組成物の1つ、又はいずれかの組み合わせのpHを調整するのに有用である、塩基を含む第3の組成物を含んでもよい。第3の、又はpHを調整する組成物は、7.0を超える、あるいは約7.0〜約12.0、あるいは約8.0〜約12.0、及びあるいは約9.0〜約11.0のpHを有してもよい。追加的に、又は代わりに、第3の組成物は、約1〜約40、及びあるいは約10〜約30のアルカリ保存性を有する。適した塩基類の分類の非制限的な例には、アンモニウム塩類、アミン類、水酸化物類、メタケイ酸塩類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適した塩基類の非制限的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、エタノールアミン、アミノメチルプロパノール、炭酸アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
第3の組成物は、約0.1%〜約10%、及びあるいは約0.5%〜約5%の少なくとも1つの有機又は無機塩を更に含んでもよい。有機塩類の例には、ホスフェート類、ボレート類、ケイ酸塩類、重炭酸塩類、炭酸塩類、塩素酸塩類、硝酸塩類、ハロゲン化物類(塩化物を含むが、これに限定されない)、及び/又はスルホネート類から選択される、少なくとも1つのアニオンを、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、カドミウム、カルシウム、アンモニウム(テトラアルキルアンモニウム及びアリールアンモニウム等)、ホスホニウム、バリウム、リチウム、及び/又はマグネシウムから選択される、少なくとも1つのカチオンと反応させることによって形成される塩類が挙げられるが、これに限定されない。適した有機塩類の非制限的な例には、モノブチルナトリウム及びリン酸ジブチル類、並びにモノエチルナトリウム及びリン酸ジエチル類が挙げられる。一実施形態においては、塩は、無機カチオンを含む。一実施形態においては、無機カチオンは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム、銀、ランタン、並びにこれらの錯体及び混合物からなる群から選択される、多価カチオンである。
【0048】
本発明は、毛幹に浸透し、二硫化結合を還元するのに有用な第4の組成物を含んでもよい。第4の、又は還元組成物は、約1%〜約12%、あるいは約4%〜約10%、及びあるいは約8%〜約10%の還元剤を含む。適した還元剤の例には、チオグリコール酸ナトリウム、無水チオ硫酸ナトリウム、粉末メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素、亜硫酸アンモニウム、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオ乳酸アンモニウム、モノチオグリコール酸グリセリル、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセロール、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、ジチオグリコール酸ジアンモニウム、チオグリコール酸ストロンチウム、チオグリコール酸カルシウム、亜鉛ホルムスルホキシレート、チオグリコール酸イソオクチル、DL−システイン、チオグリコール酸モノエタノールアミン、ホスフィン類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
皮膚科学的に許容可能な担体
本発明の組成物は、約60%〜約99.9%、あるいは約70%〜約95%、及びあるいは約80%〜約90%の皮膚科学的に許容可能な担体を含んでもよい。本発明の組成物と共に使用するのに適した担体には、例えば、ヘアスプレー、ムース、トニック、ジェル、及び洗い流さないコンディショナーの製剤に使用されるものが挙げられる。担体は、水、有機油、揮発性シリコーン等のシリコーン、アミノ若しくは非アミノシリコーンゴム又は油、及びこれらの混合物、鉱油、オリーブ油、ヒマシ油、菜種油、ココヤシ油、小麦粉芽油、スイートアーモンド油、アボカド油、マカダミア油、アプリコット油、ベニバナ油、ククイノキ油、アマナズナ油、タマヌ油、レモン油等の植物油及びこれらの混合物、ワックス、並びにC2〜C10アルカン類、アセトン、メチルエチルケトン、揮発性有機C1〜C12アルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、及びミリスチン酸イソプロピル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール等のC10〜C30脂肪族アルコール類等のC1〜C20酸類並びにC1〜C8アルコール類のエステル類、ラウリン酸及びステアリン酸等のC10〜C30脂肪族酸類、ラウリン酸ジエタノールアミド等のC10〜C30脂肪族アミド類、C10〜C30安息香酸脂肪族アルキル類等のC10〜C30脂肪族アルキルエステル類、ヒドロキシプロピルセルロース等の有機化合物、並びにこれらの混合物を含んでもよい。一実施形態においては、担体は、水、脂肪族アルコール類、揮発性有機アルコール類、及びこれらの混合物を含む。
【0050】
任意成分
本発明の組成物は、任意の構成成分が、本明細書に記載される必須の構成成分と物理的及び化学的に適合性がある、あるいは製品の安定性、美的感覚、若しくは性能を過度に損なわないという条件で、ヘアケア又はパーソナルケア製品での使用が既知である、あるいはそれに使用するのに効果的である、1つ以上の任意の構成成分を更に含んでもよい。任意の構成成分の非制限的な例は、国際化粧品原料事典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)、第9版、2002年、及びCTFA化粧品原料ハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)、第10版、2004年に開示され、両文献は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。このような任意の構成成分のいくつかの非制限的な例は、以下に開示され、可塑剤、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性であってもよい)、中和剤、噴射剤、ヘアコンディショニング剤(例えば、シリコーン流体、脂肪族エステル類、脂肪族アルコール類、長鎖炭化水素類、カチオン性界面活性剤等)、皮膚軟化剤、様々なラノリン化合物類等の滑沢剤及び浸透剤、ビタミン類、タンパク質類、防腐剤、染料、毛髪染料、漂白剤、還元剤及び他の着色剤、日焼け止め剤、増粘剤(例えば、キサンタンガム等のポリマー増粘剤)、毛髪又は皮膚を処理するための生理活性化合物類(例えば、ふけ防止活性剤、毛髪成長活性剤)、粘土を含む非ポリマー増粘剤、並びに香料を含む。
【0051】
本発明の組成物は、組成物に所望の粘度を提供するのを助長するために、約0.1%〜約10%、及びあるいは約0.2%〜約5.0%のゲル化剤を更に含んでもよい。適した任意のゲル化剤の非制限的な例には、架橋カルボン酸ポリマー類、中和されていない架橋カルボン酸ポリマー類、中和されていない変性架橋カルボン酸ポリマー、架橋エチレン/無水マレイン酸コポリマー類、中和されていない架橋エチレン/無水マレイン酸コポリマー類(例えば、モンサント(Monsanto)から市販されるEMA 81)、中和されていない架橋アリルエーテル/アクリレートコポリマー類(例えば、アライド・コロイズ(Allied Colloids)から市販されるサルケア(Salcare)(商標)SC90)、ポリアクリル酸ナトリウムの中和されていない架橋コポリマー類、鉱油、及びPEG−1トリデセス−6(例えば、アライド・コロイズ(Allied Colloids)から市販されるサルケア(Salcare)(商標)SC91)、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の中和されていない架橋コポリマー類(例えば、インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ(International Specialty Products)から市販されるスタビライズ(Stabileze)(商標)QM−PVM/MAコポリマー)、疎水変性非イオン性セルロースポリマー類、疎水変性エトキシル化ウレタンポリマー類(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide)から市販されるアルカリ膨張性ポリマー類のユーケア(Ucare)(商標)ポリホーブシリーズ(Polyphobe Series))、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本文脈においては、「中和されていない」という用語は、任意のポリマー及びコポリマーゲル化剤材料が、中和されていない酸モノマー類を含むことを意味する。好ましいゲル化剤には、ヘアコンディショニング製品に使用するのに適した、水溶性の中和されていない架橋エチレン/無水マレイン酸コポリマー類、水溶性の中和されていない架橋カルボン酸ポリマー類、水溶性の疎水変性非イオン性セルロースポリマー類、及び界面活性剤/脂肪族アルコールゲル網状組織が含まれる。
【0052】
II.使用方法
本発明は、更に、本発明の組成物を使用して、毛幹の内部を化学的に修飾する方法を記載する。方法は、本明細書に記載されるように、第1の組成物及び反応開始剤を毛髪に塗布する工程を含む。反応開始剤は、第2の組成物の一部を形成してもよい。組成物は、指、手、用具、及び/又はエネルギー送達装置によるものを含む、様々な手段で塗布されてもよい。組成物は、濡れた状態の毛髪に塗布されても乾いた状態の毛髪に塗布されてもよい。塗布される量は様々であり、毛髪の太さ及び長さ、並びに所望の効果に依存する。一実施形態においては、組成物は、毛髪の実質的に全て、及びあるいは毛髪の一部分に塗布されてもよい。一実施形態においては、組成物は、頭皮近位、例えば、頭皮近位約0cm〜約10cm、及びあるいは約0cm〜約5cmの毛髪の部分に塗布されてもよい。これは、例えば、処理と処理の間に新しく生えた毛髪の根元を「タッチアップ」するのに望まれる。
【0053】
一実施形態においては、モノマーを含む第1の組成物、及び反応開始剤を含む第2の組成物は、毛髪に塗布する前に混合され単一組成物として毛髪に塗布される。例えば、第1及び第2の組成物は、毛髪に塗布する前に、一分間未満、共に混合されてもよい。所望により、混合物を塗布した後に、毛髪に熱が適用されてもよい。あるいは、モノマーを含む第1の組成物は、事前に混合されることなく、反応開始剤を含む第2の組成物を塗布する前に、毛髪に塗布されてもよい。あるいは、反応開始剤を含む第2の組成物は、モノマーを含む第1の組成物を塗布する前に、毛髪に塗布される。第1の組成物の塗布と第2の組成物の塗布との間の時間間隔は、様々であってもよく、約5分間〜約60分間、あるいは約15分間〜約45分間を含んでもよく、及びあるいは約30分間であってもよい。所望により、組成物の塗布間の時間全体、又は一時的に毛髪に熱が適用されてもよい。
【0054】
また、適した反応開始剤は、光エネルギーを含んでもよい。したがって、一実施形態においては、第1の組成物が毛髪に塗布され、毛髪が光エネルギーに暴露されてもよい。非制限的な一実施例は、光源下で約5分間〜約30分間、組成物が毛髪上にある状態で放置することを含む。
【0055】
方法は、第3の、又はpH調整組成物を毛髪に塗布する工程を更に含んでもよい。第3の組成物は、組成物の混合物の最終的なpHが7.0を超える、あるいは7.0〜約12.0、あるいは約8.0〜約12.0、及びあるいは約9.0〜約11.0となるように、第1及び/又は第2の組成物と混合されてもよい。
【0056】
方法は、第4の、又は還元組成物を毛髪に塗布する工程を更に含んでもよい。一実施形態においては、還元組成物は、本明細書に記載される1つ以上の組成物の前に塗布され、約5分間〜約60分間、好ましくは約15分間、毛髪上にある状態で放置され、当該時間が経過した後、組成物は、例えば水で洗い流すことによって毛髪から実質的に除去される。所望により、組成物が毛髪上にある間中、又は一時的に毛髪に熱が適用されてもよい。
【0057】
本発明の1つ以上の組成物で処理した後、毛髪は、例えば、毛髪のスタイル及び/又は毛髪の状態における、改善された形状保持力及び/又は持続性、ボリュームの改善された外観、湿気の影響に対する改善された耐性を含むが、これらに限定されない、1つ以上の効果を呈し得る。例には、スタイルの終日保持力、優れたカール鮮明度、改善されたボリューム及び/又は豊かさ、まっすぐな毛髪をカールする能力、及び/又はカールした毛髪をまっすぐにする能力が挙げられる。
【0058】
III.キット
本発明は、本明細書に記載されるように、第1の組成物及び第2の組成物を含むキットを更に記載する。第1及び第2の組成物は、キット内の別々の容器にパッケージ化されてもよく、あるいは2つの組成物が混ざることを防ぐことができる、単一容器にパッケージ化されてもよい。パッケージングは、第1及び/又は第2の組成物の1回使用、又は1回用量に適した寸法であってもよい。キットは、指示される処理レジメンに適した1回用量を複数含んでもよい。
【0059】
キットは、pH調整剤、還元組成物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの追加組成物を更に含んでもよい。一実施形態においては、pH調整剤は、本明細書に記載されるようにアルカリ保存性を有し、容器の内容物が第1及び/又は第2の組成物と混合される際に、結果として生じる組成物の混合物のpHが7.0を超えるような容量を有する容器内にパッケージ化される。
【0060】
キットは、シャンプー、コンディショナー、中和剤、着色剤、ジェル、ムース、ポマード等のスタイリング助成剤、用具、エネルギー送達装置、処理レジメンに従うための取扱説明書、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの追加構成要素を更に含んでもよい。エネルギー送達装置の例には、UV、可視光線、及び赤外光を含む光源、温度変化要素、ヘアドライヤー、アイロン及びホットカーラー等の加熱器、超音波装置等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
キットは、毛髪処理レジメンに従うための取扱説明書を更に含んでもよい。処理レジメンは、本明細書に記載される使用の1つ以上の方法を含んでもよく、プロのスタイリストによる処理を対象としてもよく、又は専門的な訓練を受けていないスタイリストである消費者による処理を対象としてもよい。
【0062】
IV.商品
本発明は、本明細書に記載されるように、第1の組成物及び/又は第2の組成物と、組成物に関連する情報とを含む商品を更に記載する。情報は、パッケージング、例えば組成物を含むキットに直接又は間接的に付着した印刷物であってもよい。あるいは、情報は、少なくとも1つの組成物の近くに直接又は間接的に定置されてもよい。あるいは、情報は、塗布器及び/又は組成物に関連付けられた電子又は同報メッセージであってもよい。情報は、組成物を使用する前のある人の外観と、組成物を使用した後の同一人物の外観を比較する画像を含んでもよい。適した情報の一例は、細い及び/又は柔弱な毛髪を有する消費者が、毛髪のボリュームを改善するため、及び/又は長時間にわたる、より豊かな見た目を作り出すために、組成物を毛髪に塗布するようにするものであろう。適した情報の別の例は、プロのヘアスタイリストが、毛髪のボリューム、スタイリングの容易さ、スタイルの保持力等を改善するために、処理がより長持ちすることを望む顧客に組成物を使用するようにするものであろう。
【0063】
V.販売方法
本発明は、本明細書に記載されるように、第1の組成物及び第2の組成物を含むキットの販売方法であって、消費者がキットを入手できるようにする工程と、組成物が、毛髪ボリュームの改善された外観、毛髪の水分に対する改善された耐性、スタイリングの改善された容易さ、及び/又はヘアスタイルの改善された保持力を含むが、これらに限定されない、毛髪への1つ以上の効果をもたらし得るという情報を消費者に提供する工程とを含む、販売方法を更に含む。例には、スタイルの終日保持力、優れたカール鮮明度、改善されたボリューム及び/又は豊かさ、まっすぐな毛髪をカールする能力、及び/又はカールした毛髪をまっすぐにする能力が挙げられる。
【実施例】
【0064】
I.以下に、哺乳類の毛髪の形状保持力及び持続性を改善するために、本発明の組成物を使用する方法の非制限的な一実施例を記載する。
【0065】
処理される毛髪又は毛髪の一部を、洗浄シャンプーで洗う。毛髪を十分にすすいでタオルで乾かし、毛髪を十分にくしで梳いて絡んだ毛髪をほぐす。本明細書に記載されるように、十分な量(処理する毛髪の量に基づいて推定される)の第4の組成物を塗布し、毛幹に浸透させ、二硫化結合を開裂する。毛髪を引っ張らないようにし、組成物が皮膚及び/又は頭皮並びに目に接触しないように、優しくマッサージして組成物を毛髪に揉み込む。所望により、くし又は他の適した用具を使用して、ローションを均等に分配してもよい。プロのスタイリスト等の当該技術分野に精通するものによって既知であるように、被覆せずに、二硫化結合を実質的に開裂するのに適した時間、組成物が毛髪上にある状態で放置する。適した時間の一例は、35℃±5℃の温度で10分間である。温水で毛髪から組成物をすすぐ。毛髪が湿った状態であり、びしょ濡れではなくなるまで、毛髪をタオルで軽く叩く。毛髪をドライヤーで乾かしたり、くしで梳いたりしてはいけない。
【0066】
約50mLの第1の組成物(組成物I−以下に記載される)、約1.0mLの第2の組成物(組成物II−以下に記載される)、及び約49mLのpH調整組成物(組成物III−以下に記載される)を約30秒間、かき混ぜる、又は勢いよく振盪することによって、共に混合する。本実施例において上述されるように、適した量の混合物を湿った毛髪に塗布する。組成物が皮膚及び/又は頭皮並びに目に接触しないように、混合物を毛髪に優しく揉み込む。被覆せずに、35℃±5℃で約30分間、組成物が毛髪上にある状態で放置する。毛髪を優しく洗い(好ましくは、洗浄シャンプーを用いて)、水で完全にすすぐ。洗浄及び水洗をもう一度繰り返す。所望により、毛髪にコンディショナーを塗布してもよい。所望により、毛髪を更に乾かし、スタイリングしてもよい。
【0067】
【表1】

1 イソプロピルラウリルサルコシネート(味の素(Ajinomoto))
【0068】
次の通りに、継続的にかき混ぜて成分を混合する。適した混合容器に水を添加する。約80℃に加熱する。成分4、5、6、8、及び10を添加し、溶解するまでかき混ぜる。成分2、3、及び7を添加し、温度を再び約80℃に到達させる。成分9及び11〜15を添加する。約30分間、温度を約80℃に維持する。約30℃に冷却する。成分16〜20を添加し、溶解するまで継続してかき混ぜる。
【0069】
【表2】

【0070】
全ての成分を組み合わせ、十分に混合する。
【0071】
【表3】

【0072】
適した混合容器に水を添加する。成分25〜30を添加し、溶解するまで継続してかき混ぜる。
【0073】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0074】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において、本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0075】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、この発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに種々の他の変更及び修正が可能であることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1%〜約20%のスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、α−メチレンラクトン、又はこれらの混合物を含むヘアケア組成物であって、該スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及び該α−メチレンラクトンがそれぞれ、500グラム/モル未満の分子量と、皮膚科学的に許容可能な担体とを有する、ヘアケア組成物。
【請求項2】
エチレンモノマー、架橋剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1%〜約20%の少なくとも1つの追加の化合物を更に含み、該追加の化合物が、500g/モル未満の分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約0.1%〜約20%のエチレンモノマー及び架橋剤のそれぞれを更に含み、該エチレンモノマー及び該架橋剤がそれぞれ、500g/モル未満の分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記α−メチレンラクトンが、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−バレロラクトン、α−メチレン−ε−カプロラクトン、3−メチリデンオキサム−2−オン、(5S)−S−(ヒドロキシメチル)−3−メチリデン−オキソラン−2−オン、3−メチリデン−1−オキサスピロ−[4,5]−デカン−2−オン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレンモノマーが、メサコン酸、tert−2−ペンテン酸、チグリン酸、チグリン酸エステル類、フラン−3−アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、マレアミド酸、3−アミノクロトン酸、クロトン酸エステル類、無水イタコン酸、トリメチルシリルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート類、N−ビニルアセタミド、2−アセタミドアクリル酸、ビニルスルホン酸、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N−メチル−N−ビニルアセタミド、ビニルプロピオネート、ビニルアニソール、ビニルクロトネート、メチル−3−ヒドロキシ−2−メチレンブチレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記架橋剤が、1,4−ビスアクリロイルピペラジン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
第2の化合物がエチレンモノマーであり、前記スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、前記α−メチレンラクトン、又は前記これらの組み合わせの重量パーセントと、エチレンモノマーの重量パーセントとの比率が、約1:12〜約12:1である、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の化合物が架橋剤であり、前記スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、前記α−メチレンラクトン、又は前記これらの組み合わせの重量パーセントと、架橋剤の重量パーセントとの比率が、約50:1〜約10:1である、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物のpHが約7.0以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
約0.01%〜約0.1%の触媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記触媒が、2−ピロリジノエタノール、1−ピペリジン−エタノール、4−メチルモルホリン、2−モルホリノエタノール、テトラメチルエチレンジアミン、セリウム(IV)、コバルト(III)、マンガン(III)、鉄(III)、ニッケル(II)、銅(II)の塩類及び/又は水和物類、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
毛幹の内部領域を化学的に修飾する方法であって、
a)約0.1%〜約20%のスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、α−メチレンラクトン、又はこれらの混合物を含む、第1の組成物を毛髪に塗布する工程であって、該スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及び該α−メチレンラクトンがそれぞれ、500グラム/モル未満の分子量と、皮膚科学的に許容可能な担体とを有する工程と、
b)該毛髪に、反応開始剤を含む第2の組成物を塗布する工程と
を含む、方法。
【請求項13】
前記反応開始剤が、ペルオキシ二硫酸塩類、ペルオキシド類、過酸類、ホスフェート類、マンガン酸塩類、ボレート類、ビス−アルキルアミジン類、亜硫酸塩類、ペルオキシエステル類、ビス−シアノカルボン酸類、α−アミノ酢酸類、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酢酸、硝酸アンモニウムセリウム(IV)、及びこれらの混合物からなる群から選択される組成物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応開始剤が、光エネルギーである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の組成物が塗布された前記毛髪が、前記光エネルギーに約5分間〜約30分間暴露される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
チオグリコール酸ナトリウム、無水チオ硫酸ナトリウム、粉末メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素、亜硫酸アンモニウム、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオ乳酸アンモニウム、モノチオグリコール酸グリセリル、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセロール、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、ジチオグリコール酸ジアンモニウム、チオグリコール酸ストロンチウム、チオグリコール酸カルシウム、亜鉛ホルムスルホキシレート、チオグリコール酸イソオクチル、DL−システイン、チオグリコール酸モノエタノールアミン、ホスフィン類、及びこれらの混合物からなる群から選択される還元剤を含む組成物を前記毛髪に塗布する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び前記第2の組成物が、前記毛髪への塗布前に混合される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記毛髪に熱を適用する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の組成物が、前記第1の組成物の約5分〜約60分後に塗布される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の組成物が、前記第2の組成物の約5分〜約60分後に塗布される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の組成物及び前記第2の組成物が、前記毛髪の頭皮近位の部分に塗布される、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
化学修飾後、前記毛髪が、改善されたスタイル保持力、改善されたスタイル持続性、ボリュームの改善された外観、水分に対する改善された耐性、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの効果を呈する、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、エチレンモノマー、架橋剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、約0.1%〜約20%の少なくとも1つの追加の化合物を更に含み、前記追加の化合物が、500g/モル未満の分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の組成物が、約0.1%〜約1%の触媒を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
a)約0.1%〜約20%のスルホプロピル(メタ)アクリレート化合物、α−メチレンラクトン、又はこれらの混合物を含む第1の組成物であって、該スルホプロピル(メタ)アクリレート化合物及び該α−メチレンラクトンがそれぞれ、500グラム/モル未満の分子量と、皮膚科学的に許容可能な担体とを有する第1の組成物と、
b)反応開始剤を含む第2の組成物と
を含むキットであって、
該第1の組成物及び該第2の組成物が、別々にパッケージ化される、キット。

【公表番号】特表2010−518106(P2010−518106A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549197(P2009−549197)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/053014
【国際公開番号】WO2009/088520
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】