ヘッジトリマ
【課題】腕受けで固定される腕の位置がひじまたは上腕に近くなるよう腕受けの長さが十分に確保でき、腕を左右上下方向に固定する効果のあるヘッジトリマを提供する。
【解決手段】ハウジング11の後部に形成された主ハンドル12と、主ハンドル12の後部に回動自在に設けられた腕受け20と、主ハンドル12の前方に設けられたガード15と、を備えたヘッジトリマにおいて、腕受け20は主ハンドル12の上を回動して腕受け位置と収納位置に位置づけられ、腕受け20が収納位置にある時、腕受け20の腕受け連結部20bが主ハンドル12の前方でガード15より後方に位置する。
【解決手段】ハウジング11の後部に形成された主ハンドル12と、主ハンドル12の後部に回動自在に設けられた腕受け20と、主ハンドル12の前方に設けられたガード15と、を備えたヘッジトリマにおいて、腕受け20は主ハンドル12の上を回動して腕受け位置と収納位置に位置づけられ、腕受け20が収納位置にある時、腕受け20の腕受け連結部20bが主ハンドル12の前方でガード15より後方に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木の枝等を剪定するための携帯用剪定機(ヘッジトリマ)の手当て、腕受け等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動機或いは原動機エンジンを備えた従来のヘッジトリマには、ヘッジトリマ本体の後部に形成された主ハンドルと、ヘッジトリマ本体の前部に位置する補助ハンドルとが設けられ、通常の剪定作業を行う場合、一方の手で主ハンドルを握り他方の手で補助ハンドルを握ってヘッジトリマを保持あるいは操作する。更に、主ハンドルの後部に作業者の手、腕或いはひじを支持するためのひじ当て(以下腕受けという)が設けられており、この腕受けは、作業者の手元から離れた高所、低所にある木の枝等の剪定作業を行う場合に、片手での操作を容易にし、手や腕の疲労を軽減することが可能である。(たとえば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−191888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のヘッジトリマでは、腕受け(特許文献1においてはひじ当て)の形状が腕の丸みに沿う形状ではないので、腕をヘッジトリマの作業方向に固定する効果がなく、操作性が低下していた。また、腕受けを収納する時、腕受けの先端部を主ハンドルの下部に形成した凹部に収納する必要があるので、腕受けの長さが制約され、手や腕の疲労の軽減に十分な効果がなかった。ここでヘッジトリマの作業方向とは、ヘッジトリマの左右方向を意味し、生垣等の上面を水平に剪定する場合は水平方向であり、生垣等の側面を鉛直方向に選定する場合は鉛直方向である。また、生垣等を斜め方向に剪定したり、円弧を描くように剪定する場合は、それぞれの場合における鋸刃の進行方向をいう。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するために成されたものであって、その目的は、腕受けで固定される腕の位置がひじまたは上腕に近くなるよう腕受けの長さが十分に確保でき、腕をヘッジトリマの作業方向に固定する効果のあるヘッジトリマを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、ハウジングの後部に形成された主ハンドルと、該主ハンドルの後部に回動自在に設けられた腕受けと、該主ハンドルの前方に設けられたガードと、を備えたヘッジトリマにおいて、該腕受けは該主ハンドルの上を回動して腕受け位置と収納位置に位置づけられ、該腕受けが収納位置にある時、該腕受けの腕受け連結部が該主ハンドルの前方で該ガードより後方に位置することを特徴とする。
【0007】
ここで、該腕受け連結部は該腕受け位置において作業者の腕を左右方向に規制可能であることが好ましい。
【0008】
また、該腕受け位置は、調節可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヘッジトリマによれば、作業者の手元から離れた高所、低所にある木の枝等の剪定作業を行う場合に、片手での操作が容易で、手や腕の疲労を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るヘッジトリマの使用状態を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るヘッジトリマの正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2のB矢視側面図である。
【図5】腕受け位置を説明する図である。
【図6】図2のA−A矢視断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るヘッジトリマの正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るヘッジトリマの正面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るヘッジトリマの正面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図11のD−D矢視断面図である。
【図14】図6の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明のヘッジトリマ10を片手で使用する時の使用方法を示しており、作業者は主ハンドル12を握り、腕受け20で腕あるいはひじを受け、作業者の手元から離れた高所、低所にある木の枝等の剪定作業を行うのである。以下の説明では、図1の右側をヘッジトリマ10の前方といい、左側をヘッジトリマ10の後方という。また、図3に示すように、図3の上方向をヘッジトリマ10の左方、下方向を右方という。
【0012】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図2、図3において、11はヘッジトリマ10のハウジングであり、通常樹脂で成形された左右一対の半割りハウジング部材を重ね合わせて組み立てたハウジング11の中に駆動源である不図示のモータを内蔵している。ハウジング11の前方には、長手方向に沿って櫛歯状に刃が形成された上下一対の刈刃14,14が設けられ、後方には、ハウジング11と一体に形成された主ハンドル12が設けられている。ハウジング11の前方には補助ハンドル13が支軸によりハウジング11に固定されている。15はガードであって、刈り取られた枝葉から作業者を保護するものであり、16はトリガーレバーであって、これを指で操作することにより電源コード17からの電気がオン、オフされて前記モータを回転、非回転とすることができる。
【0013】
20は主ハンドル12の後部に回動自在に軸支された腕受けであり、腕受け20は、2本の腕受け側部20a,20aがU字状の腕受け連結部20bによって連結されて一体に構成されており、図2の実線で示す腕受け位置にある時は、長手方向の略中央で屈折された山形(くの字)形状を呈している。さらに説明すれば、正面視において腕受け20は、山形の頂点20d、20dから一方側は腕受け側部20a,20aによって、他方側は腕受け連結部20bによって構成され、図4に示すように、腕受け連結部20bの後方視の形状は図4の下方に丸い半円状に形成され、その半円形状によって作業者の腕がヘッジトリマ10の作業方向で規制されることにより、片手操作時の操作性を向上することができる。
【0014】
30は腕受け20を固定するための固定手段であり、図6及び図14に示すように、レバー31、軸32、圧縮コイルバネ33等で主に構成され、腕受け20を後述する収納位置及び作業者の好みの腕受け位置(図5のP,Q,R)に設定するものである。腕受け20の腕受け側部20a,20aの端部20c,20eに設けられた孔と、該孔と連通し、主ハンドル12の後部がハウジング11の後部に交わる近傍(以下、単に主ハンドル12の後部という)に設けられた孔12aには軸32が貫通して設けられ、腕受け20は軸32によって主ハンドル12の後部に回動自在に取り付けられている。腕受け20の端部20c,20eと主ハンドル12の後部の互いに当接して対向する面S,Sにはセレーション加工が施されている。端部20cには圧縮コイルバネ33とワッシャ33a,33a及び円柱部材33bを収納する外側に向いた凹部20fが設けられている。圧縮コイルバネ33は円柱部材33bの外周に案内され、ワッシャ33a,33aに挟まれて設置され、円柱部材33bとワッシャ33a,33aには軸32が貫通し、一方のワッシャ33aはレバー31の基部に対向し、他方のワッシャ33aは凹部20fの底である腕受け側部20aに対向している。円柱部材33bの軸方向の長さは圧縮コイルバネ33の密着高さより少し長めに設定されている。円柱部材33bはワッシャを必要枚数重ねて代用してもよい。レバー31の基部と軸32の一端は小さなピン36で回動自在に結合され、軸32の他端は鍔部が設けられ、この鍔部によってC方向への軸32の移動が規制されている。レバー31の基部にはレバー31の長手方向に平行に設けられたカム面31aと長手方向と直交する方向に設けられたカム面31baがあり、ピン36とカム面31a間の距離はピン36とカム面31b間の距離より長く設定され、レバー31が図14の実線の位置にある時はワッシャ33aにカム面31aが当接し、レバー31が図14の二点鎖線の位置にある時はワッシャ33aにカム面31bが当接する。上記のように構成されているので、軸32の長さを適当に設定することにより、レバー31が図14の実線の位置にある時は、面S,Sに設けられたセレーションは堅く結合され、腕受け20は主ハンドル12の後部に固定され回動できない。また、レバー31が図14の二点鎖線の位置にある時は、面S,Sに設けられたセレーションは圧縮コイルバネ33のバネ力のみで係止しているため、圧縮コイルバネ33のバネ力に抗してセレーションの凹凸を乗り越えて腕受け20は軸32を中心にして主ハンドル12の後部において回動することができる。
【0015】
図2、図3に二点鎖線で示す腕受け20は、片手操作をしない場合に収納された位置(収納位置)にある腕受け20であり、腕受け位置から軸32を中心にして主ハンドル12の上を前方に回動して収納位置に収納される。この時、腕受け20の腕受け連結部20bは主ハンドル12の前方でガード15より後方に位置しているので、腕受け20の長さを長くすることができ、これにより片手操作時に腕受け20と腕が接触する箇所を、主ハンドル12からより離れた位置にすることができるため、腕にかかる負荷を少なくすることが可能である。また、腕受け側部20a,20aの間の距離は主ハンドル12の左右方向の厚さより十分大きく形成することで作業者が主ハンドル12を把持する際に邪魔にならない様になっている。
【0016】
以上のように構成されたヘッジトリマ10の片手操作で行う剪定作業について説明する。今、腕受け20が図2の二点鎖線で示す収納位置にあるとすると、作業者はレバー21を図6の二点鎖線で示す位置に指で操作し立てる。すると、腕受け20の端部20c,20eと主ハンドル12の後部のそれぞれ対向する面S,Sに加工されているセレーションは圧縮コイルバネ33のバネ力だけで圧縮されているのでその圧縮力は強くなく、セレーションの凹凸を乗り越えて腕受け20は主ハンドル12の後部において軸32を中心にして回動可能となる。腕受け20を回動し収納位置から腕受け位置へ持ってきた後、レバー31を図6の実線で示す位置に操作すると、てこの原理で軸32が矢印C方向へレバー31によって引っ張られ、腕受け20の端部20c,20eと主ハンドル12の後部はきつく締め付けられるので、セレーションにより腕受け20は主ハンドル12の後部に固定され、腕受け位置に固定される。腕受け20を上記のようにセットした後、作業者は手で主ハンドル12を握り、腕またはひじを腕受け20で受け、トリガーレバー16を操作してモータの電源を入れ剪定作業を始める。腕受け20は腕の丸みに沿った形状をしているので、片手でヘッジトリマ10を作業方向に動かして剪定作業を行う場合に、腕がヘッジトリマ10の作業方向で腕受け20に固定され剪定作業の効率が向上する。また、鋸刃14を鉛直に立て垣根の鉛直面の剪定を行う場合も腕が作業方向で腕受け20に固定され効率が向上する。さらに、腕受け20と腕が接触する箇所が主ハンドル12から離れているので、腕への負荷が少なくなり、作業者の疲労が低減される。なお、腕受け20を収納位置へ戻す場合は、作業者はレバー31を図6の二点鎖線で示すように操作して腕受け20と主ハンドル12の固定を解除し、軸32を中心にして腕受け20をハウジング11の上まで回動させて腕受け20を収納位置へ移動させ、レバー31で固定する。
【0017】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2について図面を用いて説明する。実施の形態2は、実施の形態1における腕受け20の固定手段に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0018】
図7、図8において、40は腕受け20を腕受け位置で固定するための固定手段であり、カム41、軸42で主に構成され、腕受け20を作業者の好みの腕受け位置(図5のP,Q,R)に設定するものである。ハウジング11の後端には軸42が貫通する不図示の孔が設けられ、上記孔は孔12aよりヘッジトリマ10の後方に位置している。カム41は図7の正面視で多角形をしており、多角形の各面がカム面を形成し、多角形の中心から偏芯してネジ孔が設けられ、図8に示すように、上記孔を貫通した軸42の両側にはカム41,41がネジ止めされ、カム41のカム面の真上に腕受け20の腕受け側部20a,20aが位置するように構成される。そして、カム41のカム面に腕受け側部20a,20aを当接させることで、腕受け20の図7における反時計方向への回動を規制して腕受け位置に固定する。この時、カム41のカム面は正多角形でもよいが、カム面の大きさがそれぞれ異なる多角形であってもよく、後者のほうが腕受け位置の調整角度を大きく変更することが可能である。
【0019】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3について図面を用いて説明する。実施の形態3は、実施の形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0020】
図9、図10に示すように、腕受け50は収納位置にある時補助ハンドルの役目を兼ね備えるものである。したがって、実施の形態3のヘッジトリマ10は補助ハンドル13を必要としない。腕受け50は腕受け20と同様に、正面視においてくの字状に、平面視においてU字状に形成され、くの字状の腕受け側部50a,50aとU字の底部に相当する腕受け連結部50bが一体に形成されている。また、腕受け50は図9のE矢視において、腕の丸みに沿うように半円状に形成されている点も腕受け20同様である。しかし、腕受け50は補助ハンドル13の役目を兼ね備えるために、腕受け側部50a,50aの長さは、二点鎖線で示す収納位置にある時に、補助ハンドルとして使用しやすい位置に来るよう調整されている。しかし、腕受け連結部50bが主ハンドル12の前方でガード15より後方に位置することは実施の形態1と同様である。また、レバー31によって腕受け50は収納位置、腕受け位置に固定される点も実施の形態1と同様である。
【0021】
以上のように構成されたヘッジトリマ10の操作について説明する。通常の剪定作業の場合は、作業者は一方の手で主ハンドル12を握り、他方の手で収納位置にある腕受け50の腕受け連結部50bを握り、トリガーレバー16を操作してモータの電源を入れ剪定作業を始める。片手操作で行う剪定作業については実施の形態1と同様なので省略する。
【0022】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4について図面を用いて説明する。実施の形態4は、実施の形態1における腕受け20に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0023】
図11乃至図13に示すように、腕受け60は、腕受け20の腕受け側部20a,20aから腕受け連結部20bにかけて軟質材のカバー61をかぶせたものである。カバー61は管状であり、管の孔は図13の断面図で分かるように、外周面に対して偏芯して設けられ、所定以上の回動力により腕受け20の周りで回転することができるようになっている。したがって、図13で示すように、カバー61の断面の厚い部分が互いに腕受け20の左右方向の内側に向けられた時は、腕の入る間隔は狭くなり、腕の細い人でもしっかり腕を固定することが可能となる。
【0024】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されるものではなく、多様な変更又は改良を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態において、腕受け連結部20bの後方視の形状は下方に丸い半円状に形成されていたが、腕受け連結部20bが作業者の腕を左右方向に規制することができる形状であれば半円状に限定されない。例えば、V字状であってもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 ヘッジトリマ
11 ハウジング
12 主ハンドル
13 補助ハンドル
14 鋸刃
15 ガード
16 トリガーレバー
17 電源コード
20 腕受け
20a 腕受け側部
20b 腕受け連結部
20d 頂点
30 固定手段
31 レバー
32 軸
33 圧縮コイルバネ
40 固定手段
41 カム
50 腕受け
60 腕受け
61 カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、木の枝等を剪定するための携帯用剪定機(ヘッジトリマ)の手当て、腕受け等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動機或いは原動機エンジンを備えた従来のヘッジトリマには、ヘッジトリマ本体の後部に形成された主ハンドルと、ヘッジトリマ本体の前部に位置する補助ハンドルとが設けられ、通常の剪定作業を行う場合、一方の手で主ハンドルを握り他方の手で補助ハンドルを握ってヘッジトリマを保持あるいは操作する。更に、主ハンドルの後部に作業者の手、腕或いはひじを支持するためのひじ当て(以下腕受けという)が設けられており、この腕受けは、作業者の手元から離れた高所、低所にある木の枝等の剪定作業を行う場合に、片手での操作を容易にし、手や腕の疲労を軽減することが可能である。(たとえば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−191888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のヘッジトリマでは、腕受け(特許文献1においてはひじ当て)の形状が腕の丸みに沿う形状ではないので、腕をヘッジトリマの作業方向に固定する効果がなく、操作性が低下していた。また、腕受けを収納する時、腕受けの先端部を主ハンドルの下部に形成した凹部に収納する必要があるので、腕受けの長さが制約され、手や腕の疲労の軽減に十分な効果がなかった。ここでヘッジトリマの作業方向とは、ヘッジトリマの左右方向を意味し、生垣等の上面を水平に剪定する場合は水平方向であり、生垣等の側面を鉛直方向に選定する場合は鉛直方向である。また、生垣等を斜め方向に剪定したり、円弧を描くように剪定する場合は、それぞれの場合における鋸刃の進行方向をいう。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するために成されたものであって、その目的は、腕受けで固定される腕の位置がひじまたは上腕に近くなるよう腕受けの長さが十分に確保でき、腕をヘッジトリマの作業方向に固定する効果のあるヘッジトリマを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、ハウジングの後部に形成された主ハンドルと、該主ハンドルの後部に回動自在に設けられた腕受けと、該主ハンドルの前方に設けられたガードと、を備えたヘッジトリマにおいて、該腕受けは該主ハンドルの上を回動して腕受け位置と収納位置に位置づけられ、該腕受けが収納位置にある時、該腕受けの腕受け連結部が該主ハンドルの前方で該ガードより後方に位置することを特徴とする。
【0007】
ここで、該腕受け連結部は該腕受け位置において作業者の腕を左右方向に規制可能であることが好ましい。
【0008】
また、該腕受け位置は、調節可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヘッジトリマによれば、作業者の手元から離れた高所、低所にある木の枝等の剪定作業を行う場合に、片手での操作が容易で、手や腕の疲労を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るヘッジトリマの使用状態を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るヘッジトリマの正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2のB矢視側面図である。
【図5】腕受け位置を説明する図である。
【図6】図2のA−A矢視断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るヘッジトリマの正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るヘッジトリマの正面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るヘッジトリマの正面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図11のD−D矢視断面図である。
【図14】図6の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明のヘッジトリマ10を片手で使用する時の使用方法を示しており、作業者は主ハンドル12を握り、腕受け20で腕あるいはひじを受け、作業者の手元から離れた高所、低所にある木の枝等の剪定作業を行うのである。以下の説明では、図1の右側をヘッジトリマ10の前方といい、左側をヘッジトリマ10の後方という。また、図3に示すように、図3の上方向をヘッジトリマ10の左方、下方向を右方という。
【0012】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図2、図3において、11はヘッジトリマ10のハウジングであり、通常樹脂で成形された左右一対の半割りハウジング部材を重ね合わせて組み立てたハウジング11の中に駆動源である不図示のモータを内蔵している。ハウジング11の前方には、長手方向に沿って櫛歯状に刃が形成された上下一対の刈刃14,14が設けられ、後方には、ハウジング11と一体に形成された主ハンドル12が設けられている。ハウジング11の前方には補助ハンドル13が支軸によりハウジング11に固定されている。15はガードであって、刈り取られた枝葉から作業者を保護するものであり、16はトリガーレバーであって、これを指で操作することにより電源コード17からの電気がオン、オフされて前記モータを回転、非回転とすることができる。
【0013】
20は主ハンドル12の後部に回動自在に軸支された腕受けであり、腕受け20は、2本の腕受け側部20a,20aがU字状の腕受け連結部20bによって連結されて一体に構成されており、図2の実線で示す腕受け位置にある時は、長手方向の略中央で屈折された山形(くの字)形状を呈している。さらに説明すれば、正面視において腕受け20は、山形の頂点20d、20dから一方側は腕受け側部20a,20aによって、他方側は腕受け連結部20bによって構成され、図4に示すように、腕受け連結部20bの後方視の形状は図4の下方に丸い半円状に形成され、その半円形状によって作業者の腕がヘッジトリマ10の作業方向で規制されることにより、片手操作時の操作性を向上することができる。
【0014】
30は腕受け20を固定するための固定手段であり、図6及び図14に示すように、レバー31、軸32、圧縮コイルバネ33等で主に構成され、腕受け20を後述する収納位置及び作業者の好みの腕受け位置(図5のP,Q,R)に設定するものである。腕受け20の腕受け側部20a,20aの端部20c,20eに設けられた孔と、該孔と連通し、主ハンドル12の後部がハウジング11の後部に交わる近傍(以下、単に主ハンドル12の後部という)に設けられた孔12aには軸32が貫通して設けられ、腕受け20は軸32によって主ハンドル12の後部に回動自在に取り付けられている。腕受け20の端部20c,20eと主ハンドル12の後部の互いに当接して対向する面S,Sにはセレーション加工が施されている。端部20cには圧縮コイルバネ33とワッシャ33a,33a及び円柱部材33bを収納する外側に向いた凹部20fが設けられている。圧縮コイルバネ33は円柱部材33bの外周に案内され、ワッシャ33a,33aに挟まれて設置され、円柱部材33bとワッシャ33a,33aには軸32が貫通し、一方のワッシャ33aはレバー31の基部に対向し、他方のワッシャ33aは凹部20fの底である腕受け側部20aに対向している。円柱部材33bの軸方向の長さは圧縮コイルバネ33の密着高さより少し長めに設定されている。円柱部材33bはワッシャを必要枚数重ねて代用してもよい。レバー31の基部と軸32の一端は小さなピン36で回動自在に結合され、軸32の他端は鍔部が設けられ、この鍔部によってC方向への軸32の移動が規制されている。レバー31の基部にはレバー31の長手方向に平行に設けられたカム面31aと長手方向と直交する方向に設けられたカム面31baがあり、ピン36とカム面31a間の距離はピン36とカム面31b間の距離より長く設定され、レバー31が図14の実線の位置にある時はワッシャ33aにカム面31aが当接し、レバー31が図14の二点鎖線の位置にある時はワッシャ33aにカム面31bが当接する。上記のように構成されているので、軸32の長さを適当に設定することにより、レバー31が図14の実線の位置にある時は、面S,Sに設けられたセレーションは堅く結合され、腕受け20は主ハンドル12の後部に固定され回動できない。また、レバー31が図14の二点鎖線の位置にある時は、面S,Sに設けられたセレーションは圧縮コイルバネ33のバネ力のみで係止しているため、圧縮コイルバネ33のバネ力に抗してセレーションの凹凸を乗り越えて腕受け20は軸32を中心にして主ハンドル12の後部において回動することができる。
【0015】
図2、図3に二点鎖線で示す腕受け20は、片手操作をしない場合に収納された位置(収納位置)にある腕受け20であり、腕受け位置から軸32を中心にして主ハンドル12の上を前方に回動して収納位置に収納される。この時、腕受け20の腕受け連結部20bは主ハンドル12の前方でガード15より後方に位置しているので、腕受け20の長さを長くすることができ、これにより片手操作時に腕受け20と腕が接触する箇所を、主ハンドル12からより離れた位置にすることができるため、腕にかかる負荷を少なくすることが可能である。また、腕受け側部20a,20aの間の距離は主ハンドル12の左右方向の厚さより十分大きく形成することで作業者が主ハンドル12を把持する際に邪魔にならない様になっている。
【0016】
以上のように構成されたヘッジトリマ10の片手操作で行う剪定作業について説明する。今、腕受け20が図2の二点鎖線で示す収納位置にあるとすると、作業者はレバー21を図6の二点鎖線で示す位置に指で操作し立てる。すると、腕受け20の端部20c,20eと主ハンドル12の後部のそれぞれ対向する面S,Sに加工されているセレーションは圧縮コイルバネ33のバネ力だけで圧縮されているのでその圧縮力は強くなく、セレーションの凹凸を乗り越えて腕受け20は主ハンドル12の後部において軸32を中心にして回動可能となる。腕受け20を回動し収納位置から腕受け位置へ持ってきた後、レバー31を図6の実線で示す位置に操作すると、てこの原理で軸32が矢印C方向へレバー31によって引っ張られ、腕受け20の端部20c,20eと主ハンドル12の後部はきつく締め付けられるので、セレーションにより腕受け20は主ハンドル12の後部に固定され、腕受け位置に固定される。腕受け20を上記のようにセットした後、作業者は手で主ハンドル12を握り、腕またはひじを腕受け20で受け、トリガーレバー16を操作してモータの電源を入れ剪定作業を始める。腕受け20は腕の丸みに沿った形状をしているので、片手でヘッジトリマ10を作業方向に動かして剪定作業を行う場合に、腕がヘッジトリマ10の作業方向で腕受け20に固定され剪定作業の効率が向上する。また、鋸刃14を鉛直に立て垣根の鉛直面の剪定を行う場合も腕が作業方向で腕受け20に固定され効率が向上する。さらに、腕受け20と腕が接触する箇所が主ハンドル12から離れているので、腕への負荷が少なくなり、作業者の疲労が低減される。なお、腕受け20を収納位置へ戻す場合は、作業者はレバー31を図6の二点鎖線で示すように操作して腕受け20と主ハンドル12の固定を解除し、軸32を中心にして腕受け20をハウジング11の上まで回動させて腕受け20を収納位置へ移動させ、レバー31で固定する。
【0017】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2について図面を用いて説明する。実施の形態2は、実施の形態1における腕受け20の固定手段に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0018】
図7、図8において、40は腕受け20を腕受け位置で固定するための固定手段であり、カム41、軸42で主に構成され、腕受け20を作業者の好みの腕受け位置(図5のP,Q,R)に設定するものである。ハウジング11の後端には軸42が貫通する不図示の孔が設けられ、上記孔は孔12aよりヘッジトリマ10の後方に位置している。カム41は図7の正面視で多角形をしており、多角形の各面がカム面を形成し、多角形の中心から偏芯してネジ孔が設けられ、図8に示すように、上記孔を貫通した軸42の両側にはカム41,41がネジ止めされ、カム41のカム面の真上に腕受け20の腕受け側部20a,20aが位置するように構成される。そして、カム41のカム面に腕受け側部20a,20aを当接させることで、腕受け20の図7における反時計方向への回動を規制して腕受け位置に固定する。この時、カム41のカム面は正多角形でもよいが、カム面の大きさがそれぞれ異なる多角形であってもよく、後者のほうが腕受け位置の調整角度を大きく変更することが可能である。
【0019】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3について図面を用いて説明する。実施の形態3は、実施の形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0020】
図9、図10に示すように、腕受け50は収納位置にある時補助ハンドルの役目を兼ね備えるものである。したがって、実施の形態3のヘッジトリマ10は補助ハンドル13を必要としない。腕受け50は腕受け20と同様に、正面視においてくの字状に、平面視においてU字状に形成され、くの字状の腕受け側部50a,50aとU字の底部に相当する腕受け連結部50bが一体に形成されている。また、腕受け50は図9のE矢視において、腕の丸みに沿うように半円状に形成されている点も腕受け20同様である。しかし、腕受け50は補助ハンドル13の役目を兼ね備えるために、腕受け側部50a,50aの長さは、二点鎖線で示す収納位置にある時に、補助ハンドルとして使用しやすい位置に来るよう調整されている。しかし、腕受け連結部50bが主ハンドル12の前方でガード15より後方に位置することは実施の形態1と同様である。また、レバー31によって腕受け50は収納位置、腕受け位置に固定される点も実施の形態1と同様である。
【0021】
以上のように構成されたヘッジトリマ10の操作について説明する。通常の剪定作業の場合は、作業者は一方の手で主ハンドル12を握り、他方の手で収納位置にある腕受け50の腕受け連結部50bを握り、トリガーレバー16を操作してモータの電源を入れ剪定作業を始める。片手操作で行う剪定作業については実施の形態1と同様なので省略する。
【0022】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4について図面を用いて説明する。実施の形態4は、実施の形態1における腕受け20に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0023】
図11乃至図13に示すように、腕受け60は、腕受け20の腕受け側部20a,20aから腕受け連結部20bにかけて軟質材のカバー61をかぶせたものである。カバー61は管状であり、管の孔は図13の断面図で分かるように、外周面に対して偏芯して設けられ、所定以上の回動力により腕受け20の周りで回転することができるようになっている。したがって、図13で示すように、カバー61の断面の厚い部分が互いに腕受け20の左右方向の内側に向けられた時は、腕の入る間隔は狭くなり、腕の細い人でもしっかり腕を固定することが可能となる。
【0024】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されるものではなく、多様な変更又は改良を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態において、腕受け連結部20bの後方視の形状は下方に丸い半円状に形成されていたが、腕受け連結部20bが作業者の腕を左右方向に規制することができる形状であれば半円状に限定されない。例えば、V字状であってもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 ヘッジトリマ
11 ハウジング
12 主ハンドル
13 補助ハンドル
14 鋸刃
15 ガード
16 トリガーレバー
17 電源コード
20 腕受け
20a 腕受け側部
20b 腕受け連結部
20d 頂点
30 固定手段
31 レバー
32 軸
33 圧縮コイルバネ
40 固定手段
41 カム
50 腕受け
60 腕受け
61 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの後部に形成された主ハンドルと、該主ハンドルの後部に回動自在に設けられた腕受けと、該主ハンドルの前方に設けられたガードと、を備えたヘッジトリマにおいて、該腕受けは該主ハンドルの上を回動して腕受け位置と収納位置に位置づけられ、該腕受けが収納位置にある時、該腕受けの腕受け連結部が該主ハンドルの前方で該ガードより後方に位置することを特徴とするヘッジトリマ。
【請求項2】
該腕受け連結部は該腕受け位置において作業者の腕を左右方向に規制可能であることを特徴とする請求項1に記載のヘッジトリマ。
【請求項3】
該腕受け位置は、調節可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッジトリマ。
【請求項1】
ハウジングの後部に形成された主ハンドルと、該主ハンドルの後部に回動自在に設けられた腕受けと、該主ハンドルの前方に設けられたガードと、を備えたヘッジトリマにおいて、該腕受けは該主ハンドルの上を回動して腕受け位置と収納位置に位置づけられ、該腕受けが収納位置にある時、該腕受けの腕受け連結部が該主ハンドルの前方で該ガードより後方に位置することを特徴とするヘッジトリマ。
【請求項2】
該腕受け連結部は該腕受け位置において作業者の腕を左右方向に規制可能であることを特徴とする請求項1に記載のヘッジトリマ。
【請求項3】
該腕受け位置は、調節可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッジトリマ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−75431(P2012−75431A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226624(P2010−226624)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]