ヘッドクリーニング方法及び装置
【課題】使用可能なインク吸収体の選択の幅を拡大でき、かつ、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面を清掃することができるヘッドクリーニング方法及び装置を提供する。
【解決手段】向きを変えることにより、液体吸収力が切り換わる払拭ウェブ110を使用し、液体吸収力を切り換えて、ヘッド16のノズル面30を2回払拭する。1回目は、高い液体吸収力に設定して払拭し、2回目は、低い液体吸収力に設定して払拭する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなく、ノズル面30を清掃することができる。
【解決手段】向きを変えることにより、液体吸収力が切り換わる払拭ウェブ110を使用し、液体吸収力を切り換えて、ヘッド16のノズル面30を2回払拭する。1回目は、高い液体吸収力に設定して払拭し、2回目は、低い液体吸収力に設定して払拭する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなく、ノズル面30を清掃することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドクリーニング方法及び装置に係り、特に液体吸収体でノズル面を払拭清掃するヘッドクリーニング方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから微小なインクの液滴を吐出させて画像の記録を行うインクジェット記録装置では、連続して記録作業を行うと、ノズルから吐出されて霧状になったインクがノズル付近に付着、堆積して、ノズルが目詰まりを起こすことがある。このため、インクジェット記録装置では、定期的にノズル面のクリーニングが行われる。
【0003】
特許文献1では、このノズル面をクリーニングする方法として、ノズル面をブレードでワイピングしたのち、さらにノズル面をインク吸収体でワイピングする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−205712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、インク吸収体でノズル面をワイピングする方法の場合、使用するインク吸収体の吸収能力が高いと、インク吸収体によってノズルからインクが引き出されてしまい、インク吸収体が通過した後に小さな液滴が残ってしまうという問題がある(このような現象を本明細書では「払拭跡」という。)。
【0006】
一方、使用するインク吸収体の吸収能力が低いと、ノズル面の液滴を吸収しきれずに、ノズル面に大きな液滴が残ってしまうという問題がある(このような現象を本明細書では「拭き残し」という。)。
【0007】
そして、このような払拭跡や拭き残しは、ノズルから吐出される液滴の飛翔に悪影響を及ぼし、画像を劣化させる原因ともなる。
【0008】
これを回避するために、最適な吸収能力を持つインク吸収体を使用してノズル面をワイピングすることも考えられるが、インク吸収体の選択には限りがあるという問題がある。また、ノズルの穴径やノズル面の撥液膜耐性の条件によっては、所要の性能を満たすインク吸収体がない場合もある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、使用可能なインク吸収体の選択の幅を拡大でき、かつ、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面を清掃することができるヘッドクリーニング方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、払拭部材をヘッドのノズル面に押圧当接させ、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃するヘッドクリーニング方法において、第1の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第1の清掃工程と、前記第1の清掃工程後、前記第1の液体吸収力よりも低い第2の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第2の清掃工程と、からなることを特徴とするヘッドクリーニング方法を提供する。
【0011】
液体吸収力の高い払拭部材を用いてヘッドのノズル面を払拭すると、拭き残しは防止できるが、払拭時にノズルからインクを引き出してしまい、払拭跡が発生するおそれがある。一方、液体吸収力の低い払拭部材を用いて払拭すると、払拭跡は防止できるが、拭き残しが発生するおそれがある。そこで、本発明では、第1の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃した後、第1の液体吸収力よりも低い第2の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ノズル面を払拭清掃することができる。また、このように液体吸収力を変えて複数回払拭することにより、最適な液体吸収力の払拭部材を用いて払拭する場合に比べて、払拭部材の選択の幅を広げることができ、コスト削減を図ることもできる。
【0012】
なお、本発明の態様には、液体吸収力を段階的に切り換える態様も含まれる。すなわち、たとえば、第1の清掃工程と第2の清掃工程との間に第1の液体吸収力と第2の液体吸収力との中間の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃する態様も含まれる。また、液体吸収力の高い払拭部材を用いて行う第1の清掃工程を複数回行い、その後、第2の清掃工程を行う態様も含まれる。すなわち、本発明では、少なくとも1回第1の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に第2の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の高い液体吸収力に設定され、前記第2の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0014】
本発明によれば、第1の液体吸収力が、ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の液体吸収力に設定され、第2の液体吸収力が、ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の液体吸収力に設定される。これにより、第1の清掃工程で拭き残しを防止しでき、第2の清掃工程で払拭時に発生する払拭跡を取り除くことができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、第1の液体吸収力を有する払拭部材と第2の液体吸収力を有する払拭部材を揃え、使用する払拭部材を切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0016】
本発明では、第1の液体吸収力を有する払拭部材と第2の液体吸収力を有する払拭部材を揃え、使用する払拭部材を切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。この場合、第1の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、第2の液体吸収力を有する払拭部材に切り換えてヘッドのノズル面を払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ヘッドのノズル面を払拭清掃することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が第1の液体吸収力と第2の液体吸収力とに切り換わる払拭部材を使用し、該払拭部材の向きを切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0018】
本発明では、向きを変えると液体吸収力が第1の液体吸収力と第2の液体吸収力とに切り換えられる払拭部材を使用し、払拭部材の向きを変えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。この場合、第1の液体吸収力に設定される向きでヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、第2の液体吸収力に設定される向きに払拭部材の向きを切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。たとえば、縦に向けて払拭すると第1の液体吸収力に設定され、横に向けて払拭すると第2の液体吸収力に設定される払拭部材を使用し、縦の向きで払拭清掃したのち、払拭部材の向きを横に切り換えて、払拭清掃する。これにより、簡単に払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ヘッドのノズル面を払拭清掃することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材を帯状に形成し、長手方向に沿って走行させることにより、前記ヘッドのノズル面に対する摺接箇所を変えながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項3又は4に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0020】
本発明では、払拭部材を帯状に形成し、長手方向に沿って走行させることにより、ヘッドのノズル面に対する摺接箇所を変えながら、ヘッドのノズル面に沿って摺動させる。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を大きくすることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材を摺動方向と逆方向に走行させながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項5に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0022】
本発明では、払拭部材を摺動方向と逆方向に走行させながら、ヘッドのノズル面に沿って摺動させる。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を更に大きくすることができ、清掃効果を更に向上させることができる。
【0023】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、液体吸収力の異なる複数の払拭部材と、前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、前記押圧手段によって前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる払拭部材を切り換える切換手段と、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、を備え、高い液体吸収力を有する払拭部材から低い液体吸収力を有する払拭部材に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置を提供する。
【0024】
本発明によれば、液体吸収力が異なる複数の払拭部材が備えられており、高い液体吸収力を有する払拭部材から低い液体吸収力を有する払拭部材に切り換えられて、ヘッドのノズル面が複数回払拭清掃される。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ノズル面を払拭清掃することができる。
【0025】
なお、払拭部材は、液体吸収力の異なるものが少なくとも2つ備えられていればよい。したがって、液体吸収力の異なる3以上の払拭部材を用いて払拭するようにしてもよい。この場合、使用する払拭部材が段階的に切り換えられる。また、各払拭部材で行う払拭の回数は、少なくとも1回行われればよく、複数回行われるようにしてもよい。すなわち、本発明では、少なくとも1回高い液体吸収力を有する払拭部材で払拭し、最後に最も低い液体吸収力を有する払拭部材で払拭するように構成されていればよい。
【0026】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭部材と、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭部材とを備え、前記高い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、前記低い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃することを特徴とする請求項7に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0027】
本発明によれば、ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭部材と、ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭部材とが備えられ、高い液体吸収力の払拭部材でヘッドのノズル面が払拭清掃されたのち、低い液体吸収力の払拭部材でヘッドのノズル面が払拭清掃される。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、効率よくノズル面を払拭清掃することができる。
【0028】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項7又は8に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0029】
本発明によれば、払拭部材が走行しながらヘッドのノズル面に押圧当接される。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を大きくすることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0030】
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が切り換わる払拭部材と、前記払拭部材の向きを変える切換手段と、前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、を備え、前記払拭部材の向きを切り換えることにより、前記払拭部材の液体吸収力を高い状態から低い状態に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置を提供する。
【0031】
本発明によれば、向きを変えることにより液体吸収力が変わる払拭部材が備えられており、この払拭部材の向きを変えることにより、払拭部材の液体吸収力が高い状態から低い状態に切り換えられて、ヘッドのノズル面が複数回払拭清掃される。たとえば、縦に向けて払拭すると高い液体吸収力で払拭でき、横に向けて払拭すると低い液体吸収力で払拭できる払拭部材を使用し、縦の向きで払拭清掃したのち、払拭部材の向きを横に切り換えて、払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ノズル面を払拭清掃することができる。
【0032】
なお、払拭部材は、液体吸収力が少なくとも2段階に切り換えられればよい。したがって、液体吸収力を3段階以上に切り換えられるものを使用してもよい。この場合、液体吸収力が段階的に低下するように切り換えられる。また、液体吸収力を複数切り換える場合は、少なくとも最後に液体吸収力の低い状態で払拭するようにすればよい。
【0033】
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は、第1の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力に設定され、第2の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項10に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0034】
本発明によれば、払拭部材は、第1の向きに設定すると、ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力に設定され、第2の向きに設定すると、ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力に設定される。そして、払拭部材を第1の向きに設定して、1回目の払拭清掃が行われたのち、払拭部材を第2の向きに設定して、2回目の払拭清掃が行われる。これにより、簡単に液体吸収力を切り換えることができる。
【0035】
請求項12に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項10又は11に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0036】
本発明によれば、払拭部材が走行しながらヘッドのノズル面に押圧当接される。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を大きくすることができ、清掃効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面を清掃することができる。また、使用可能な払拭部材の選択の幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】インクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す側面図
【図2】インクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す正面図
【図3】ヘッドのノズル面の構成を示す平面図
【図4】ヘッドクリーニング装置の構成を示す側面図
【図5】ヘッドクリーナの正面図
【図6】ヘッドクリーナの平面図
【図7】ヘッドクリーナの側面図
【図8】ヘッドクリーナの背面図
【図9】ヘッドクリーナの昇降動作の説明図
【図10】ヘッドクリーナの走行方向切り換え動作の説明図
【図11】ヘッドクリーニング装置を用いたヘッドのクリーニング方法の工程図
【図12】ヘッドクリーナの第2の実施の形態の平面図
【図13】ヘッドクリーナの第2の実施の形態の側面図
【図14】図13の14−14断面図
【図15】ヘッドクリーナの払拭ウェブの切り換え動作の説明図
【図16】ヘッドクリーナの第2の実施の形態の正面図
【図17】ヘッドクリーナの第3の実施の形態の平面図
【図18】ヘッドクリーナの第4の実施の形態の正面図
【図19】ヘッドクリーナの第5の実施の形態の側面図
【図20】第5の実施の形態のヘッドクリーナに組み込まれた押圧ローラの正面図
【図21】第5の実施の形態のヘッドクリーナに組み込まれた押圧ローラの断面図
【図22】図21の22−22断面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明に係るヘッドクリーニング方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0040】
[インクジェット記録装置(描画部)の構成]
図1は、本発明が適用されたインクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す側面図である。
【0041】
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置では、描画部10において、用紙(記録媒体)12が描画ドラム14の周面に吸着保持されて回転搬送される。そして、描画ドラム14によって回転搬送される用紙12に対して、描画ドラム14の周囲に配置された4本のラインヘッド16C、16M、16Y、16KからC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(クロ)の各色のインクの液滴を吐出させて、用紙12の記録面にカラー画像を描画する(いわゆる、ドラム搬送方式のラインプリンタ)。
【0042】
用紙12を回転搬送する描画ドラム14は、円筒状に形成されており、その両端から突出して設けられた回転軸18をインクジェット記録装置の本体フレーム20に設けられた軸受22に軸支されて(図2参照)、水平に設置されている。この回転軸18には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されており、描画ドラム14は、このモータに駆動されて回転する。
【0043】
また、この描画ドラム14の周面には、グリッパ24が設けられている(本例では、外周面上の2カ所に設置)。用紙12は、このグリッパ24に先端部を把持されて、描画ドラム14の外周面上に保持される。
【0044】
さらに、この描画ドラム14の周面には、図示しない吸着穴が所定の配列パターンで多数形成されており、内部に向けてエアが吸引されている。描画ドラム14の周面に巻き掛けられた用紙12は、この吸着穴から内部に向けてエアが吸引されることにより、描画ドラム14の外周面上に吸着保持される。
【0045】
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置において、用紙12は、前段の工程(たとえば、用紙12の記録面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与する工程)から搬送ドラム26を介して、描画ドラム14に受け渡される。搬送ドラム26は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14に用紙12を受け渡す。
【0046】
また、描画後の用紙12は、搬送ドラム28を介して、後段の工程(たとえば、インクを乾燥させる工程)に受け渡される。搬送ドラム28は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14から用紙12を受け取る。
【0047】
4本のラインヘッド16C、16M、16Y、16K(以下「ヘッド」という)は、用紙幅に対応して形成されており、描画ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。この4本のヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画ドラム14の上方に設置されたヘッド支持フレーム40に取り付けられている。
【0048】
ヘッド支持フレーム40は、図2に示すように、描画ドラム14の回転軸18と直交するように配置された一対のサイドプレート42L、42Rと、その一対のサイドプレート42L、42Rを上端部において連結する連結フレーム44とで構成されている。
【0049】
一対のサイドプレート42L、42Rは、板状に形成されており、描画ドラム14を挟んで互いに対向するように配置されている。この一対のサイドプレート42L、42Rの内側面には、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを取り付けるための取付部46C、46M、46Y、46Kが設けられている(図2では取付部46Y、46Kのみ図示)。
【0050】
取付部46C、46M、46Y、46Kは、描画ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その両端に形成された被取付部48C、48M、48Y、48K(図2では被取付部48Y、48Kのみ図示)を取付部46C、46M、46Y、46Kにビスで固定することにより、ヘッド支持フレーム40に取り付けられる。
【0051】
このようにしてヘッド支持フレーム40に取り付けられた各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置され、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、描画ドラム14の外周面に対向して配置される。また、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、描画ドラム14の外周面から所定高さの位置に位置する(描画ドラム14の外周面とノズル面30C、30M、30Y、30Kとの間に所定のギャップが形成される。)。
【0052】
図3は、ヘッド16(16C、16M、16Y、16K)のノズル面の構成を示す平面図である。同図に示すように、ヘッド16(16C、16M、16Y、16K)のノズル面30(30C、30M、30Y、30K)には、ヘッド16の長手方向に沿ってノズル列32が形成されている。
【0053】
ヘッド支持フレーム40に取り付けられた各ヘッド16は、このノズル面30に形成されたノズル列32が用紙12の搬送方向と直交して配置される。そして、このノズル面30に形成されたノズル列32から描画ドラム14の外周面に向けて垂直にインクの液滴が吐出される。
【0054】
なお、図3に示すヘッド16の例では、ノズル面30にノズル34、34、…が千鳥状に配置されて、ノズル列32が形成されている。このようなノズル34、34、…の配置構成とすることにより、ヘッド16の長手方向(=用紙の搬送方向と直交する方向=用紙の幅方向)に投影される実質的なノズル34の間隔を狭めることができ、ノズル34の高密度化を図ることができる。
【0055】
なお、このヘッド16C、16M、16Y、16Kが取り付けられるヘッド支持フレーム40は、描画ドラム14の回転軸18と平行な方向(=取り付けられたヘッド16C、16M、16Y、16Kの長手方向)に移動可能に設けられており、取り付けられた各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを所定のメンテナンス位置に退避できるように構成されている。この点については後述する。
【0056】
描画部10は、以上のように構成される。この描画部10において、用紙12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して描画ドラム14に受け渡され、描画ドラム14の周面に吸着保持されながら回転搬送される。そして、その搬送過程で各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの下を通過し、通過時に各ヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出されたインクの液滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が形成される。画像記録が終了した用紙12は、描画ドラム14から搬送ドラム28に受け渡され、後段の工程に搬送される。
【0057】
なお、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの駆動制御(インクの吐出制御)、及び、描画ドラム14の駆動制御等は、図示しないシステムコントローラで行われる。このシステムコントローラは、インクジェット記録装置の全体の動作を統括制御し、所定の制御プログラムに従って各部の駆動を制御する。
【0058】
[ヘッド支持フレームの移動機構]
上記のように、ヘッド支持フレーム40は、描画ドラム14の回転軸18と平行な方向に移動可能に設けられている。以下、このヘッド支持フレーム40の移動機構について説明する。
【0059】
ヘッド支持フレーム40は、描画ドラム14の回転軸18と平行に配設された一対のガイドレール50、50にスライダ52、52を介してスライド自在に支持されている。ヘッド支持フレーム40は、このガイドレール50、50に沿ってスライド移動することにより、描画ドラム14の回転軸18と平行な方向にスライド移動する。
【0060】
また、ヘッド支持フレーム40には、ネジ棒54に螺合されたナット部56が連結されている。ネジ棒54は、ガイドレール50と平行に配設されており、その両端部をインクジェット記録装置の本体フレームに設けられた軸受58、58に回動自在に支持されている。このネジ棒54には、ヘッド送りモータ60が連結されており、このヘッド送りモータ60に駆動されて回転する。ヘッド支持フレーム40は、このヘッド送りモータ60を駆動して、ネジ棒54を回転させることにより、ガイドレール50、50に沿ってスライド移動する。すなわち、描画ドラム14の回転軸と平行な方向にスライド移動する。
【0061】
図示しないシステムコントローラは、ヘッド送りモータ60の駆動を制御して、ヘッド支持フレーム40の移動を制御し、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを所定の描画位置からメンテナンス位置へ移動させる。あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動させる。
【0062】
各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置に位置すると、図2に実線で示すように、描画ドラム14の周囲に配置され、描画ドラム14によって回転搬送される用紙12に対して、画像の記録が可能になる。
【0063】
一方、メンテナンス位置に位置すると、図2に破線で示すように、描画ドラム14の周囲から退避する。これにより、描画ドラム14と各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの双方のメンテナンスが可能になる。
【0064】
なお、このメンテナンス位置には、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを保湿するための保湿ユニット62が設けられている。各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、長時間使用しない場合、この保湿ユニット62によってノズル面30C、30M、30Y、30Kが保湿され、乾燥による不吐出が防止される。
【0065】
描画位置とメンテナンス位置との間には、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃するためのヘッドクリーニング装置70が設けられている。
【0066】
各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置からメンテナンス位置に移動する工程(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動する工程)で、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブが押圧当接され、これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。以下、このヘッドクリーニング装置70の構成について説明する。
【0067】
[ヘッドクリーニング装置の構成]
図4は、ヘッドクリーニング装置の構成を示す側面図である。
【0068】
同図に示すように、ヘッドクリーニング装置70は、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kと、ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kとを備えて構成されている。この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kと、ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられており、図示しない支持フレームに取り付けられている。ヘッドクリーニング装置70は、この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kと、ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kとが取り付けられた支持フレームをインクジェット記録装置の本体フレーム(図示せず)に取り付けることにより、描画位置とメンテナンス位置との間に設定された所定の設置位置に設置される。
【0069】
[洗浄液塗布ノズルの構成]
各洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kは、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられている。この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの幅に対応した噴射口を有しており、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射する。
【0070】
洗浄液は、図6に示すように、洗浄液供給パイプ82(82C、82M、82Y、82K)を介して洗浄液タンク84から供給され、その洗浄液供給パイプ82の途中に設けられた洗浄液噴射ポンプ86(86C、86M、86Y、86K)を駆動することにより、各洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから洗浄液が噴射される。
【0071】
各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置からメンテナンス位置に移動する過程(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動する過程)で、この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kからノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液が噴霧されることにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が塗布される。
【0072】
システムコントローラは、洗浄液噴射ポンプ及びヘッド送りモータ60の駆動を制御して、ノズル面30C、30M、30Y、30Kへの洗浄液の塗布を制御する。
【0073】
[ヘッドクリーナの構成]
各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられており、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに帯状に形成された払拭ウェブ110を押圧ローラ118で押圧当接させる。各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置からメンテナンス位置に移動する過程(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動する過程)で、この払拭ウェブ110がノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されることにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
【0074】
なお、各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kの構成は共通しているので、ここでは、ヘッドクリーナ100として、その構成を説明する。
【0075】
図5はヘッドクリーナの正面図、図6はヘッドクリーナの平面図、図7はヘッドクリーナの側面図、図8はヘッドクリーナの背面図である。
【0076】
図5〜8に示すように、ヘッドクリーナ100は、帯状に形成された払拭ウェブ110を押圧ローラ118に巻き掛け、この押圧ローラ118に巻き掛けた払拭ウェブ110を対応するヘッド16(16C、16M、16Y,16K)のノズル面30(30C、30M、30Y、30K)に押圧当接させることにより、ヘッド16のノズル面30を払拭清掃する。
【0077】
このヘッドクリーナ100は、主として、本体フレーム112と、払拭ウェブ110を繰り出す繰出リール114と、払拭ウェブ110を巻き取る巻取リール116と、払拭ウェブ110をヘッド16のノズル面30に押圧当接させる押圧ローラ118と、巻取リール116を回転駆動して、払拭ウェブ110を巻取リール116に巻き取る巻取モータ120と、払拭ウェブ110の使用済み領域を検出する使用済み領域検出センサ122とからなる払拭ウェブ走行駆動ユニット123と、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を回転させて、払拭ウェブ110の走行方向を切り換える走行方向切換モータ124と、払拭ウェブ走行駆動ユニット123をヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動させて、払拭ウェブ110をヘッド16のノズル面30に当接/離間させる昇降用シリンダ126とで構成されている。
【0078】
払拭ウェブ110は、たとえば、ポリエステルやアクリル、ナイロン等の高密度繊維を編み込んで帯状に形成されており、その両端に巻芯110A、110Bが取り付けられている。未使用状態の払拭ウェブ110は、一方の巻芯110Aにロール状に巻かれた状態で提供される。
【0079】
この払拭ウェブ110は、摺動させる向きを変えると、液体吸収力が切り換わるように構成されている。本実施の形態では、長手方向に沿って摺動させると、高い液体吸収力(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の液体吸収力)が得られ、長手方向に直交する方向に摺動させると、液体吸収力が所定量低下(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度まで低下)するように構成されている。たとえば、長手方向に直交する方向に摺動させると、長手方向に沿って摺動させた場合と比較して約20%ほど液体吸収力が低下するように構成される。
【0080】
したがって、この払拭ウェブ110を長手方向に沿う方向に摺動させれば、高い液体吸収力の状態(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の液体吸収力の状態)でノズル面を払拭することができ、長手方向に直交する方向に摺動させれば、低い液体吸収力の状態(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の液体吸収力の状態)でノズル面を払拭することができる。
【0081】
このような払拭ウェブは、たとえば、長手方向に沿う方向と、長手方向と直交する方向とで使用する繊維の材質を変えたり、繊維の太さを変えたり、編み方(あるいは織り方)を変えたり、単位長さ当たりの繊維量を変えたりすることで実現することができる。
【0082】
なお、後述するように、払拭ウェブ110をヘッドクリーナ100に装着する場合は、払拭ウェブ110がロール状に巻かれた巻芯110Aを繰出リール114に装着するとともに、先端の巻芯110Bを巻取リール116に装着することにより行われる。
【0083】
本体フレーム112は、L字状に形成されており、ヘッド16のノズル面30と平行に設けられる底面部112Aと、その底面部112Aに対して垂直に設けられる壁面部112Bとで構成されている。
【0084】
繰出リール114は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直(=対応するヘッドのノズル面と平行)に設けられており、その軸部114Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受130に回転自在に支持されている。後述するように、払拭ウェブ110は、その繰出側の巻芯110Aが、この繰出リール114に装着される。
【0085】
巻取リール116は、繰出リール114と同様に、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部116Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受131に回転自在に支持されている。後述するように、払拭ウェブ110は、その巻取側の巻芯110Bが、この巻取リール116に装着される。
【0086】
この巻取リール116と繰出リール114は、一定の間隔をもって横方向に並列して配置されている。
【0087】
押圧ローラ118は、繰出リール114と巻取リール116の中間位置の上方に配置されており、繰出リール114と巻取リール116の間を走行する払拭ウェブ110が巻き掛けられる。この押圧ローラ118は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部118Aが本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受132に回転自在に支持されている。また、この押圧ローラ118は、周面がポリウレタンやオレフィン等の弾性体で被覆されている。これにより、周面に巻き掛けられた払拭ウェブ110をヘッド16のノズル面30に押圧当接する際、一定の付勢力をもって押圧当接させることができる。
【0088】
繰出リール114から繰り出された払拭ウェブ110は、繰出リール114と押圧ローラ118との間に配置された繰出ガイドローラ134を介して押圧ローラ118に巻き掛けられる。この繰出ガイドローラ134は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部134Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受136に回転自在に支持されている。
【0089】
また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、押圧ローラ118と巻取リール116との間に配置された巻取ガイドローラ138を介して巻取リール116に巻き取られる。この巻取ガイドローラ138は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部136Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受140に回転自在に支持されている。
【0090】
巻取モータ120は、巻取リール116の下方部に配置されており、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に垂直に取り付けられている。この巻取モータ120の出力軸120Aは、壁面部112Bの外側に突出して設けられており、その先端には巻取駆動ギア150が固着されている。
【0091】
上記巻取リール116の軸部116Aも壁面部112Bの外側に突出して設けられており、その先端には巻取従動ギア152が固着されている。この巻取従動ギア152は、巻取アイドルギア154を介して、巻取駆動ギア150に噛み合わされている。
【0092】
巻取アイドルギア154は、本体フレーム112の壁面部112Bの外側に配置されており、その軸部154Aが本体フレーム112の壁面部112Bの外側に設けられた軸受156に回転自在に支持されている。
【0093】
巻取モータ120を駆動すると、巻取駆動ギア150が回転し、その回転が巻取アイドルギア154を介して巻取従動ギア152に伝達される。これにより、巻取リール116が払拭ウェブ110を巻き取る方向に回転する。
【0094】
使用済み領域検出センサ122は、押圧ローラ118と巻取ガイドローラ138との間に配置されており、その間を走行する払拭ウェブ110の使用済み領域を検出する。使用済み領域の検出は、たとえば、払拭ウェブ110のウェット領域を検出して行われる。すなわち、使用済みの領域は、インクや洗浄液を吸収して濡れているので、この濡れた領域(ウェット領域)を検出することにより、使用済み領域を検出する。この使用済み領域検出センサ122は、たとえば、投光部と受光部とを備えたフォトセンサで構成され、投光部から払拭ウェブ110に向けて投光した光の反射光を受光部で受光して、払拭ウェブ110の使用済み領域(ウェット領域)を検出する。システムコントローラは、この使用済み領域検出センサ122を制御して、使用済み領域の検出処理を行う。
【0095】
走行方向切換モータ124は、払拭ウェブ走行駆動ユニット123の下部に設置されている。この走行方向切換モータ124は、本体フレーム112の底面部122Aと平行に設けられた昇降ステージ158の上に設置されており、その出力軸は、本体フレーム112の底面部112Aの下側に垂直に固着されている。払拭ウェブ走行駆動ユニット123は、この走行方向切換モータ124を駆動することにより、底面部112Aに垂直な軸(=対応するヘッド16のノズル面30に垂直な軸)Sの周りを回転する。押圧ローラ118は、この軸Sに対して垂直に設置されるとともに、その幅方向の中心が、この軸S上に位置するように設置される。この結果、払拭ウェブ110は、走行方向切換モータ124を駆動して、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を回転させると、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直な軸Sの周りを回転し、その走行方向が切り換わる。たとえば、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を180度回転させれば、走行方向が逆転する。システムコントローラは、この走行方向切換モータ124の駆動を制御して、対応するヘッド16のノズル面30に対する払拭ウェブ110の走行の切り換えを制御する。
【0096】
昇降用シリンダ126は、昇降ステージ158の下側に設置されている。この昇降用シリンダ126は、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッド126Aは、昇降ステージ158の下面部に垂直に固着されている。払拭ウェブ走行駆動ユニット123は、この昇降用シリンダ126を駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この払拭ウェブ走行駆動ユニット123が、ノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、図9に示すように、押圧ローラ118が、所定の押圧位置(図9(a))と退避位置(図9(b))の間を移動する。
【0097】
押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、押圧ローラ118が、図9(a)に示す「押圧位置」に位置すると、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接される。そして、図9(b)に示す「退避位置」に位置すると、対応するヘッド16のノズル面30から退避する。すなわち、ノズル面30に接触しないように、ノズル面30から離間する。
【0098】
システムコントローラは、この昇降用シリンダ126の動作を制御して、ノズル面30に対する払拭ウェブ110の当接、退避を制御する。
【0099】
ヘッドクリーナ100は、以上のように構成される。
【0100】
上記のように、未使用の払拭ウェブ110は、巻芯110Aにロール状に巻回された状態で提供される。この払拭ウェブ110をヘッドクリーナ100に装填する場合は、まず、払拭ウェブ110がロール状に巻かれた巻芯110Aを繰出リール114に装着する。そして、繰出リール114から少しずつ払拭ウェブ110を繰り出しながら、繰出ガイドローラ134、押圧ローラ118、巻取ガイドローラ138の順に巻き掛け、先端の巻芯(巻取側の巻芯)110Bを巻取リール116に装着する。これにより、払拭ウェブ110がヘッドクリーナ100に装着される。
【0101】
払拭ウェブ110が装着されたヘッドクリーナ100は、巻取モータ120を回転駆動することにより、繰出リール114から繰り出され、巻取リール116に巻き取られる。これにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が長手方向に沿って走行する。
【0102】
また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、昇降用シリンダ126を駆動して、押圧ローラ118を押圧位置に移動させると、ヘッド16のノズル面30に押圧当接され(図9(a)参照)、押圧ローラ118を退避位置に移動させると、ヘッド16のノズル面30から退避する(図9(b)参照)。
【0103】
また、走行方向切換モータ124を駆動して、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を回転させると、走行方向(=摺動させる方向に対する向き)が切り換えられる。
【0104】
なお、本実施の形態では、図10に示すように、払拭ウェブ110の長手方向(=走行方向)が、ヘッド16の長手方向(=移動方向)と平行になる方向を第1の方向、ヘッド16の長手方向に対して所定角度傾斜する方向(本例では45度傾斜する方向)を第2の方向とし、この第1の方向と第2の方向に払拭ウェブ110の走行方向が切り換えられる。
【0105】
払拭ウェブ110は、走行方向を第1の方向に設定し、所定の走行速度Vw1で走行させながら、描画位置からメンテナンス位置に所定の移動速度VH1で移動するヘッド16のノズル面30に押圧当接させると、ヘッド16のノズル面に対して、長手方向(払拭ウェブの長手方向)に沿って摺動される。このとき、払拭ウェブ110は、ヘッド16のノズル面30に対して相対速度V1で摺動される。
【0106】
そして、このようにヘッド16のノズル面に対して、長手方向(払拭ウェブの長手方向)に沿って摺動させると、払拭ウェブ110は、高い液体吸収力の状態でヘッド16のノズル面を払拭することができる。
【0107】
一方、払拭ウェブ110は、走行方向を第2の方向に設定し、所定の走行速度Vw2で走行させながら、描画位置からメンテナンス位置に所定の移動速度VH2で移動するヘッド16のノズル面30に押圧当接させると、ヘッド16のノズル面30に対して、相対的に長手方向(払拭ウェブの長手方向)と直交する方向に摺動される(ヘッド16のノズル面30に対して長手方向(払拭ウェブの長手方向)と直交する方向に相対速度V2で摺動される。)。
【0108】
そして、このようにヘッド16のノズル面に対して、相対的に長手方向(払拭ウェブの長手方向)と直交する方向に摺動させると、払拭ウェブ110は、低い液体吸収力の状態でヘッド16のノズル面を払拭することができる。
【0109】
システムコントローラは、巻取モータ120、走行方向切換モータ124、昇降用シリンダ126、及び、ヘッド送りモータ60の駆動を制御して、ヘッド16のノズル面30を清掃する。
【0110】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0111】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニングは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液を塗布したのち、払拭ウェブ110で払拭することにより行われる。そして、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70では、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭ウェブ110で払拭する際、2回に分けて払拭する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は、走行方向を第1の方向に設定した液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ110で払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、走行方向を第2の方向に設定した液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ110で払拭する。
【0112】
このように、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭することにより、払拭跡や拭き残しを防止することができる。すなわち、1回目の液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ110による払拭でノズル面に存在する大きな液滴を除去し、拭き残しを防止する。そして、その後の2回目の液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ110による払拭で1回目の払拭時に発生した払拭跡を除去するとともに、ノズル穴からのインクの引き出しを防止する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0113】
以下、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70を用いた具体的なヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニング方法について説明する。
【0114】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0115】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。具体的には、次のように行われる。すなわち、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動させると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kの上を通過するので、そのヘッド16C、16M、16Y、16Kの通過に合わせて、各洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから洗浄液を噴射する。これにより、ノズル非形成領域を含むノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液が塗布される。
【0116】
洗浄液の塗布は、1度でもよいし、複数回実行するようにしてもよい。複数回実効する場合は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを複数回往復させて塗布する。
【0117】
洗浄液の塗布が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、一度、描画位置に復帰する。この後、1回目の払拭清掃(第1の清掃工程)が行われる。
【0118】
上記のように、この1回目の払拭は、払拭ウェブ110の走行方向(=摺動させる方向に対する向き)を第1の方向に設定し(図10(a)参照)、液体吸収力の高い状態で行われる。具体的には、次のように行われる。
【0119】
まず、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。すなわち、払拭ウェブ110の未使用領域が、押圧ローラ118に巻き掛けられるように、払拭ウェブ110の位置出しが行われる。この工程は使用済み領域検出センサ122の出力に基づいて行われ、使用済み領域検出センサ122でウェット領域が検出されなくなるまで、払拭ウェブ110を巻取リール116に巻き取ることにより行われる。
【0120】
なお、この段階で払拭ウェブ110の走行方向が第1の方向に設定されていない場合は、走行方向切換モータ124が駆動され、払拭ウェブ110の走行方向が第1の方向に設定される。
【0121】
未使用領域の位置出しが完了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kがメンテナンス位置に向けて送られ、このメンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ110が押し当てられて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。具体的には、次のように行われる。
【0122】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、図11(a)に示すように、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各クリーナ100C、100M、100Y、100Kの押圧ローラ118は、所定の退避位置に位置している。
【0123】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が押圧当接される(図11(b))。
【0124】
押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、巻取モータ120が駆動される。これにより、払拭ウェブ110が一定速度で巻取リール116に巻き取られ、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が一定の走行速度VW1で走行する。
【0125】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度VH1で送られる。
【0126】
この結果、図11(c)に示すように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に払拭ウェブ110が走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ110が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ110によって払拭清掃される。
【0127】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、図11(d)に示すように、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ110の走行が停止される。
【0128】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、払拭ウェブ110の長手方向に沿って摺動されるため、高い液体吸収力の状態でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0129】
1回目の払拭清掃が終了すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、押圧ローラ118の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃(第2の清掃工程)が行われる。
【0130】
まず、走行方向切換モータ124が回転駆動され、図11(e)に示すように、払拭ウェブ110の走行方向が第2の方向に切り換えられる。
【0131】
走行方向の切り換えが行われると、次に、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。この結果、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が押圧当接される。
【0132】
押圧ローラ118が押圧位置に移動し、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が押圧当接されると、巻取モータ120が駆動される。これにより、払拭ウェブ110が一定速度で巻取リール116に巻き取られ、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が一定の走行速度VW2で走行する。
【0133】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度VH2で送られる。
【0134】
この結果、図11(f)に示すように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して所定角度傾斜した方向(第2の方向)に払拭ウェブ110が走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ110が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ110によって払拭清掃される。
【0135】
そして、このようにヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して所定角度傾斜した方向に払拭ウェブ110が走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブ110が摺接されることにより、払拭ウェブ110は、ヘッド16のノズル面30に対して、相対的に長手方向と直交する方向に摺動される。これにより、低い液体吸収力の状態でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。
【0136】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部が押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ110の走行が停止される。
【0137】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ110でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭するので、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0138】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0139】
一方、各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、昇降用シリンダ126が駆動されて、押圧ローラ118が退避位置に位置する。この後、各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。また、走行方向が第1の方向に設定されるように、走行方向切換モータ124が駆動され、走行方向が切り換えられる。
【0140】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0141】
以上説明したように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブ110の液体吸収力を切り替えて、二回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。すなわち、1回目は、払拭ウェブ110を長手方向に沿って摺動させることにより、高い液体吸収力の状態で払拭し、2回目は、払拭ウェブ110を長手方向と直交する方向に摺動させることにより、低い液体吸収力の状態で払拭する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0142】
なお、本例では、払拭ウェブ110の走行方向を第1の方向に設定して行う1回目の払拭清掃を1回だけ行う構成としているが、複数回行うようにしてもよい。この場合、払拭ウェブ110をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させたまま、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを複数回往復移動させる。払拭ウェブ110の走行方向を第2の方向に設定して行う2回目の払拭清掃についても同様に複数回行うようにしてもよい。
【0143】
また、本例では、1回目、2回目共に払拭ウェブ110を走行させながら、摺動させているが、停止させた状態で摺動させるようにしてもよい。なお、本例のように払拭ウェブ110を走行させながら摺動させることにより、常にクリーンな部位を使ってヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、清掃効果を向上させることができる。
【0144】
また、本例では、1回目の払拭清掃時にヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブ110を逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブ110を押圧当接させているが、同方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させるようにしてもよい。なお、本例のように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブ110を逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブ110を押圧当接させることにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対する払拭ウェブ110の相対的な走行速度を上げることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0145】
また、上記の例では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に移動させる工程で洗浄液の塗布と、第1の払拭清掃と、第2の払拭清掃とを行っているが、メンテナンス位置から描画位置に移動させる工程で洗浄液の塗布と、第1の払拭清掃と、第2の払拭清掃とを行うようにしてもよい。また、この往復の工程で洗浄液の塗布と、第1の払拭清掃と、第2の払拭清掃とを行うようにしてもよい。たとえば、描画位置からメンテナンス位置に移動させる工程で洗浄液の塗布を行い、メンテナンス位置から描画位置に戻す工程で第1の払拭清掃を行う。そして、描画位置からメンテナンス位置に移動させる工程で第2の払拭清掃を行う。これにより、清掃時間を短縮することができる。なお、この場合、適宜、払拭ウェブ110の走行方向を切り換える。
【0146】
また、上記の例では、払拭ウェブ110を押圧ローラ118に巻き掛け、この押圧ローラ118をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させることにより、払拭ウェブ110をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させているが、払拭ウェブ110をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させる手段は、これに限定されるものではない。
【0147】
たとえば、円弧状のガイド面を有するガイド部材を本体フレームに固定して設置し、このガイド部材のガイド面に払拭ウェブを巻き掛けて、ヘッドのノズル面に押圧当接させる構成としてもよい。また、このように回転しないガイド部材を用いる場合、ガイド面は必ずしも円弧面である必要はなく、ノズル面と平行に設けられた板状のガイド面を形成し、このガイド面に巻き掛けられた払拭ウェブをヘッドのノズル面に押圧当接させるようにしてもよい。これにより、払拭ウェブをヘッドのノズル面に面接触させることができる。
【0148】
また、上記の例では、帯状に形成された払拭ウェブ110を使用しているが、払拭部材の形態は、これに限定されるものではない。布状に形成された払拭部材を使用するようにしてもよい。なお、この場合も向きを変えることにより、液体吸収力が切り換わる払拭部材を使用し、1回目は高い液体吸収力に設定される向きで、2回目は低い液体吸収力に設定される向きでヘッドのノズル面を払拭する。
【0149】
また、上記の例では、払拭ウェブの液体吸収力を高低2段階に切り換え、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしているが、払拭ウェブの液体吸収力を更に多段階に切り換えられるように構成し、複数回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしてもよい。たとえば、走行方向を切り換えることにより、液体吸収力を3段階(高、中、低)に切り換え可能に構成し、3回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしてもよい。この場合、液体吸収力が段階的に低下するように、液体吸収力が切り換えられて、ヘッドのノズル面が払拭される。
【0150】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い状態でヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い状態でヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0151】
[ヘッドクリーナの第2の実施の形態]
図12はヘッドクリーナの第2の実施の形態の平面図、図13はヘッドクリーナの第2の実施の形態の側面図、図14は、図13の14−14断面図である。
【0152】
図12〜14に示すように、本実施の形態のヘッドクリーナ200(200C、200M、200Y、200K)は、液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブ110L、110Rを備えており、1回目と2回目とで使用する払拭ウェブを切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110L(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の高い液体吸収力の払拭ウェブ)を使用してヘッドのノズル面を払拭し、2回目(第2の清掃工程)は液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110R(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力の払拭ウェブ)を使用してヘッドのノズル面を払拭する。
【0153】
この2つの払拭ウェブ110L、110Rは、それぞれ第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rに駆動されて、ヘッド16の移動方向(=ヘッド16の長手方向)と平行に走行する。
【0154】
第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの構成は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100の払拭ウェブ走行駆動ユニット123の構成と同じである。したがって、ここでは同じ構成要素に同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0155】
第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、共にスライドステージ202の上に設置されている。第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rはスライドステージ202の上に対向して配置されており、互いの繰出リール114と、巻取リール116と、押圧ローラ118と、繰出ガイドローラ134と、巻取ガイドローラ138とが同軸上に配置されている。
【0156】
この第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、それぞれ繰出リール114と、巻取リール116と、押圧ローラ118と、繰出ガイドローラ134と、巻取ガイドローラ138とが、ヘッド16の移動方向と直交するように配置されている。これにより、第1の払拭ウェブ110Lと第2の払拭ウェブ110Rを走行させると、ヘッド16の移動方向と平行に走行する。
【0157】
なお、この第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、それぞれ本体フレーム112の底面部112Aをスライドステージ202にネジ止めされて、スライドステージ202に着脱自在に取り付けられる。払拭ウェブを交換する場合は、各払拭ウェブ走行駆動ユニットをスライドステージ202から取り外して行う。
【0158】
スライドステージ202は、対応するヘッド16のノズル面30と平行に設けられており、昇降ステージ204の上にスライド自在に設けられている。
【0159】
昇降ステージ204は、対応するヘッド16のノズル面30と平行に設けられており、その上面に一対のガイドレール206、206が配設されている。一対のガイドレール206、206は、ヘッド16の移動方向と平行に配設されている。スライドステージ202は、このガイドレール206、206の上にスライダ208、208、…を介してスライド自在に設けられている。
【0160】
また、昇降ステージ204の上には、一対のガイドレール206、206の間にスライド駆動モータ210が設けられている。このスライド駆動モータ210の出力軸には、ピニオン212が固着されている。一方、スライドステージ202の裏面には、一対のガイドレール206、206と平行にラック214が形成されており、ピニオン212に噛み合わされている。
【0161】
スライドステージ202は、このスライド駆動モータ210を駆動することにより、ラック214とピニオン212との作用によって、ガイドレール206、206上をスライドする。システムコントローラは、このスライド駆動モータ210の駆動を制御することにより、スライドステージ202の移動を制御し、スライドステージ202を「第1の位置」と「第2の位置」とに位置させる。
【0162】
図15に示すように、スライドステージ202上に設置された第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、スライドステージ202を第1の位置に位置させると、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lがヘッド16の移動経路上に配置され(同図(a))、第2の位置に位置させると、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rがヘッド16の移動経路上に配置される(同図(b))。したがって、スライドステージ202を第1の位置に位置させると、第1の払拭ウェブ110Lでヘッド16のノズル面30を払拭することができ、第2の位置に位置させると、第2の払拭ウェブ110Rでヘッド16のノズル面30を払拭することができる。
【0163】
昇降ステージ204は、昇降用シリンダ216に駆動されることにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。
【0164】
昇降用シリンダ216は、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッド216Aは、昇降ステージ204の下面部に垂直に固着されている。第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、この昇降用シリンダ216を駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rが、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、各払拭ウェブ走行駆動ユニットに設けられた押圧ローラ118が、所定の押圧位置と退避位置の間を移動する。
【0165】
対応するヘッド16の移動経路上に配置された押圧ローラ118は、押圧位置に移動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接され、退避位置に移動することにより、ヘッド16のノズル面30から離間する。したがって、たとえば、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが対応するヘッド16の移動経路上に配置された場合(スライドステージ202が第1の位置に位置した場合)、昇降用シリンダ216を駆動して、昇降ステージ204を昇降移動させると、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110Lが、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接/離間される。一方、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rが対応するヘッド16の移動経路上に配置された場合(スライドステージ202が第2の位置に位置した場合)、昇降用シリンダ216を駆動して、昇降ステージ204を昇降移動させると、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110Rが、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接/離間される。
【0166】
本実施の形態のヘッドクリーナ200(200C、200M、200Y、200K)は、以上のように構成される。
【0167】
各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kは、図示しない支持フレームに取り付けられて、描画位置とメンテナンス位置との間に設定された所定の設置位置に設置され、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられる(図4参照)。
【0168】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0169】
上記第1の実施の形態のヘッドクリーニング装置と同様にヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニングは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液を塗布したのち、払拭ウェブ110で払拭することにより行われる。そして、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いたヘッドクリーニング装置においても、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭ウェブで払拭する際、2回に分けて払拭する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は、走行方向を液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lを用いてノズル面を払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110Rを用いてノズル面を払拭する。
【0170】
このように、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭することにより、払拭跡や拭き残しを防止することができる。すなわち、1回目の液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lによる払拭でノズル面に存在する大きな液滴を除去し、拭き残しを防止する。そして、その後の2回目の液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110Rによる払拭で1回目の払拭時に発生した払拭跡を除去するとともに、ノズル穴からのインクの引き出しを防止する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0171】
以下、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いた具体的なヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニング方法について説明する。
【0172】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0173】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。
【0174】
洗浄液の塗布が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、一度、描画位置に復帰する。この後、1回目の払拭清掃(第1の清掃工程)が行われる。
【0175】
上記のように、この1回目の払拭は、液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lを用いて行われる。
【0176】
まず、スライド駆動モータ210を駆動して、スライドステージ202を第1の位置に移動させる(スライドステージ202が第1の位置に位置していない場合)。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動経路上に第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが位置する。
【0177】
また、このとき第1の払拭ウェブ110Lの未使用領域の位置出しが行行われていない場合は位置出しが行われる。そして、この未使用領域の位置出しが完了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて所定量送られる。
【0178】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kの押圧ローラ118は退避位置に位置している。
【0179】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ216が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118に巻き掛けられた第1の払拭ウェブ110Lが押圧当接される。
【0180】
第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118に巻き掛けられた第1の払拭ウェブ110Lが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの巻取モータ120が駆動される。これにより、第1の払拭ウェブ110Lが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118Lに巻き掛けられた第1の払拭ウェブ110Lが一定の走行速度で走行する。
【0181】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0182】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に第1の払拭ウェブ110Lが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って第1の払拭ウェブ110Lが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する第1の払拭ウェブ110Lによって払拭清掃される。
【0183】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、第1の払拭ウェブ110Lの走行が停止される。
【0184】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lを用いて払拭する。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0185】
1回目の払拭清掃が終了すると、昇降用シリンダ216が駆動され、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃(第2の清掃工程)が行われる。
【0186】
まず、使用する払拭ウェブの切り換えが行われる。すなわち、スライド駆動モータ210が駆動され、スライドステージ202が第22の位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動経路上に第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rが位置する。
【0187】
また、このとき第2の払拭ウェブ110Rの未使用領域の位置出しが行われていない場合は、第2の払拭ウェブ110Rの位置出しが行われる。そして、この未使用領域の位置出しが完了すると、昇降用シリンダ216が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた第2の払拭ウェブ110Rが押圧当接される。
【0188】
第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた第2の払拭ウェブ110Rが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの巻取モータ120が駆動される。これにより、第2の払拭ウェブ110Rが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた第2の払拭ウェブ110Rが一定の走行速度で走行する。
【0189】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0190】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に第2の払拭ウェブ110Rが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って第2の払拭ウェブ110Rが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する第2の払拭ウェブ110Rによって払拭清掃される。
【0191】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、第2の払拭ウェブ110Rの走行が停止される。
【0192】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110Rを用いて行われるため、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0193】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0194】
一方、各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kは、昇降用シリンダ126が駆動されて、押圧ローラ118が退避位置に位置する。この後、各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。また、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが、ヘッド16の移動経路上に位置するように、スライドステージ202が移動される。
【0195】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0196】
以上説明したように、本実施の形態では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブの液体吸収力を切り替えて、二回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃するので、上記第1の実施の形態と同様に、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0197】
また、このように液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを使用することにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も拡大することができる。
【0198】
なお、本例では、第1の払拭ウェブ110Lを用いて行う1回目の払拭清掃を1回だけ行う構成としているが、複数回行うようにしてもよい。第2の払拭ウェブ110Rを用いて行う2回目の払拭清掃についても同様に複数回行うようにしてもよい。
【0199】
また、本例では、1回目、2回目共に払拭ウェブを走行させながら、摺動させているが、停止させた状態で摺動させるようにしてもよい。なお、本例のように払拭ウェブを走行させながら摺動させることにより、常にクリーンな部位を使ってヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、清掃効果を向上させることができる。
【0200】
また、本例では、払拭ウェブをヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させているが、同方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させるようにしてもよい。なお、本例のように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブを逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させることにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対する払拭ウェブ110の相対的な走行速度を上げることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0201】
また、上記の例では、液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を2回に分けて払拭清掃するようにしているが、液体吸収力の異なる複数の払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を複数回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。たとえば、液体吸収力の異なる3つの払拭ウェブ(高、中、低)を使用し、ヘッドのノズル面を3回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。この場合、液体吸収力が低下するように払拭ウェブが切り換えられて、ヘッドのノズル面が払拭される。
【0202】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0203】
[ヘッドクリーナの第3の実施の形態]
図16はヘッドクリーナの第3の実施の形態の正面図、図17はヘッドクリーナの第3の実施の形態の平面図である。
【0204】
図16、17に示すように、本実施の形態のヘッドクリーナ300(300C、300M、300Y、300K)も上述した第2の実施の形態のヘッドクリーナ200と同様に液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブ110M、110Nを備えており、1回目と2回目とで使用する払拭ウェブを切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。
【0205】
そして、本実施の形態のヘッドクリーナ300は、ヘッド16の移動方向に沿って前後に払拭ウェブ110M、110Nが配置されている点で上述した第2の実施の形態のヘッドクリーナ200と相違している。
【0206】
前段の払拭ウェブ110Mは、液体吸収力の高い払拭ウェブ(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭ウェブ)であり、まず、この前段の払拭ウェブ110Mを使用してヘッド16のノズル面30を払拭する。
【0207】
後段の払拭ウェブ110Nは、液体吸収力の低い払拭ウェブヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭ウェブ)であり、液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mでヘッド16のノズル面30を払拭後、この後段の払拭ウェブ110Nを使用してヘッド16のノズル面30を払拭する。
【0208】
この前段の払拭ウェブ110Mと後段の払拭ウェブ110Nは、それぞれ前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nに駆動されて、ヘッド16の移動方向(=ヘッド16の長手方向)と平行に走行する。
【0209】
前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nと、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの構成は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100の払拭ウェブ走行駆動ユニット123の構成と同じである。したがって、ここでは同じ構成要素に同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0210】
前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nは、それぞれ昇降用シリンダ302M、302Nに駆動されて、個別に昇降移動する。
【0211】
前段の昇降用シリンダ302Mは、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッドは、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの本体フレーム112の底面部112Aに垂直に固着されている。前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mは、この昇降用シリンダ302Mを駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mが、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mに設けられた押圧ローラ118が、所定の押圧位置と退避位置の間を移動する。そして、この押圧ローラ118が所定の押圧位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接される。また、この押圧ローラ118が所定の退避位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが対応するヘッド16のノズル面30から離間する。
【0212】
後段の昇降用シリンダ302Nは、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッドは、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの本体フレーム112の底面部112Aに垂直に固着されている。後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nは、この昇降用シリンダ302Nを駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nが、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nに設けられた押圧ローラ118が、所定の押圧位置と退避位置の間を移動する。そして、この押圧ローラ118が所定の押圧位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接される。また、この押圧ローラ118が所定の退避位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが対応するヘッド16のノズル面30から離間する。
【0213】
本実施の形態のヘッドクリーナ300(300C、300M、300Y、300K)は、以上のように構成される。
【0214】
各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kは、図示しない支持フレームに取り付けられて、描画位置とメンテナンス位置との間に設定された所定の設置位置に設置され、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられる(図4参照)。
【0215】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナ300を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0216】
上記第1の実施の形態のヘッドクリーニング装置と同様にヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニングは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液を塗布したのち、払拭ウェブ110で払拭することにより行われる。そして、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いたヘッドクリーニング装置においても、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭ウェブで払拭する際、2回に分けて払拭する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は、走行方向を液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mを用いてノズル面を払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、液体吸収力の低い後段の払拭ウェブ110Nを用いてノズル面を払拭する。
【0217】
このように、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭することにより、払拭跡や拭き残しを防止することができる。すなわち、1回目の液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mによる払拭でノズル面に存在する大きな液滴を除去し、拭き残しを防止する。そして、その後の2回目の液体吸収力の低い後段の払拭ウェブ110Nによる払拭で1回目の払拭時に発生した払拭跡を除去するとともに、ノズル穴からのインクの引き出しを防止する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0218】
以下、本実施の形態のヘッドクリーナ300を用いた具体的なヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニング方法について説明する。
【0219】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0220】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。
【0221】
洗浄液の塗布が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、一度、描画位置に復帰する。この後、1回目の払拭清掃(第1の清掃工程)が行われる。
【0222】
上記のように、この1回目の払拭は、液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mを用いて行われる。
【0223】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて所定量送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kの前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118は退避位置に位置している。
【0224】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの昇降用シリンダ302Mが駆動され、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが押圧当接される。
【0225】
前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの巻取モータ120が駆動される。これにより、前段の払拭ウェブ110Mが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118Lに巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが一定の走行速度で走行する。
【0226】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0227】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に前段の払拭ウェブ110Mが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って前段の払拭ウェブ110Mが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する前段の払拭ウェブ110Mによって払拭清掃される。
【0228】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、前段の払拭ウェブ110Mの走行が停止される。
【0229】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mを用いて払拭する。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0230】
1回目の払拭清掃が終了すると、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの昇降用シリンダ302Mが駆動され、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃(第2の清掃工程)が行われる。
【0231】
まず、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの昇降用シリンダ302Nが駆動され、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが押圧当接される。
【0232】
後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの巻取モータ120が駆動される。これにより、後段の払拭ウェブ110Nが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが一定の走行速度で走行する。
【0233】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0234】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に後段の払拭ウェブ110Nが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って後段の払拭ウェブ110Nが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する後段の払拭ウェブ110Nによって払拭清掃される。
【0235】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、後段の払拭ウェブ110Nの走行が停止される。
【0236】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、液体吸収力の低い後段の払拭ウェブ110Nを用いて行われるため、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0237】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0238】
一方、各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kは、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの昇降用シリンダ302Nが駆動されて、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118が退避位置に位置する。この後、各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。また、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが、ヘッド16の移動経路上に位置するように、スライドステージ202が移動される。
【0239】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0240】
以上説明したように、本実施の形態では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブの液体吸収力を切り替えて、二回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃するので、上記第1の実施の形態と同様に、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0241】
また、このように液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを使用することにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も拡大することができる。
【0242】
なお、本例では、前段の払拭ウェブ110Mを用いて行う1回目の払拭清掃を1回だけ行う構成としているが、複数回行うようにしてもよい。後段の払拭ウェブ110Nを用いて行う2回目の払拭清掃についても同様に複数回行うようにしてもよい。
【0243】
また、本例では、1回目、2回目共に払拭ウェブを走行させながら、摺動させているが、停止させた状態で摺動させるようにしてもよい。なお、本例のように払拭ウェブを走行させながら摺動させることにより、常にクリーンな部位を使ってヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、清掃効果を向上させることができる。
【0244】
また、本例では、払拭ウェブをヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させているが、同方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させるようにしてもよい。なお、本例のように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブを逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させることにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対する払拭ウェブ110の相対的な走行速度を上げることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0245】
また、上記の例では、液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を2回に分けて払拭清掃するようにしているが、液体吸収力の異なる複数の払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を複数回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。たとえば、液体吸収力の異なる3つの払拭ウェブ(高、中、低)を使用し、ヘッドのノズル面を3回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。この場合、液体吸収力が段階的に低下するように払拭ウェブが切り換えられて、ヘッドのノズル面が払拭される。
【0246】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0247】
また、上記の例では、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nを各々個別に昇降移動させるようにしているが、同時に昇降移動させるようにしてもよい。これにより、一度に前段の払拭ウェブ110Mを用いた払拭清掃と、後段の払拭ウェブ110Nを用いた払拭清掃とを同時に行うことができる。
【0248】
[ヘッドクリーナの第4の実施の形態]
図18は、ヘッドクリーナの第4の実施の形態の正面図である。
【0249】
本実施の形態のヘッドクリーナ400(400C、400M、400Y、400K)も払拭ウェブの液体吸収力を切り換えて、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃する。
【0250】
そして、本実施の形態のヘッドクリーナ400は、払拭ウェブに液体を付与することにより、払拭ウェブの液体吸収力を切り換える。このため、図18に示すように、本実の形態のヘッドクリーナ400には、払拭ウェブ110に洗浄液を付与するための液体付与ノズル410が備えられている。この液体付与ノズル410が設けられている点以外は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100と同じである。したがって、ここでは、この液体付与ノズル410についてのみ説明する。
【0251】
図18に示すように、液体付与ノズル410は、繰出ガイドローラ134と押圧ローラ118との間に設置されている。この液体付与ノズル410は、払拭ウェブ402の幅に対応した噴射口を有しており、繰出ガイドローラ134と押圧ローラ118との間を走行する払拭ウェブ402に液体を噴射して、払拭ウェブ402を湿潤させる。
【0252】
液体は、液体付与ノズル410に接続された液体供給パイプ412を介して液体タンク414から供給され、その液体供給パイプ412の途中に設けられた液体噴射ポンプ416を駆動することにより、液体付与ノズル410から液体が噴射される。
【0253】
なお、液体は、払拭ウェブ402の液体吸収力を低下させることを目的とするものであるから、その目的がかなうものであれば、種類については特に限定されない。したがって、たとえば、洗浄液を付与するようにすることもできる。
【0254】
また、使用する払拭ウェブ402についても、上述した第1の実施の形態の払拭ウェブ110のように、必ずしも摺動させる向きによって液体吸収力が切り換わるようなものを使用する必要はない。
【0255】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナを用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0256】
払拭ウェブの液体吸収力を切り換えて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭する点は上述した第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、1回目(第1の清掃工程)は、通常の状態の払拭ウェブ(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しを生じない高い液体吸収力の払拭ウェブ))で払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、事前に液体を付与して液体吸収力を低下させた状態の払拭ウェブ(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度まで液体吸収力を低下させた状態の払拭ウェブ)で払拭する。具体的には、次のように払拭する。
【0257】
まず、払拭ウェブの非湿潤領域の位置出しが行われる。非湿潤領域が位置出しされると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、クリーナ100C、100M、100Y、100Kの押圧ローラ118は、所定の退避位置に位置している。
【0258】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。この結果、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ402が押圧当接される。
【0259】
この後、巻取モータ120が駆動されて、払拭ウェブ402が一定の速度で巻取リール116に巻き取られるとともに、ヘッド送りモータ60が駆動されて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ402が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、走行する払拭ウェブ402によって払拭清掃される。
【0260】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ402の走行も停止される。これにより、1回目の払拭清掃が終了する。
【0261】
1回目の払拭清掃が終了すると、押圧ローラ118が一旦退避位置に退避する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、押圧ローラ118の設置位置に位置するように戻される。
【0262】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kの一方側の端部が、押圧ローラ118の設置位置に位置すると、押圧ローラ118が押圧位置に移動し、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ402が押圧当接される。
【0263】
この後、巻取モータ120が駆動されて、払拭ウェブ402が一定の速度で巻取リール116に巻き取られるとともに、ヘッド送りモータ60が駆動されて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。また、これと同時に液体噴射ポンプ416が駆動され、液体付与ノズル410から払拭ウェブ402に向けて液体が噴射される。これにより、押圧ローラ118に巻き掛けられる前の払拭ウェブ402に液体が付与され、押圧ローラ118に巻き掛けられる前の払拭ウェブ402の液体吸収力が強制的に低下させられる。そして、このように液体付与ノズル410から払拭ウェブ402に向けて液体を噴射しながら払拭ウェブ402を巻取リール116に巻き取ることにより、事前に液体が付与された湿潤された払拭ウェブ110が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、湿潤された払拭ウェブ110によって払拭清掃される。
【0264】
このように、2回目の払拭清掃は、液体を付与して湿潤させた払拭ウェブ402、すなわち、液体吸収力が強制的に低下させられた払拭ウェブ402を用いて行われる。そして、このように湿潤させた払拭ウェブ402を用いて2回目の払拭清掃を行うことにより、1回目の払拭時に払拭跡が発生している場合であっても、これを効果的に除去することができる。また、このように湿潤させた払拭ウェブ402を用いて2回目の払拭清掃を行うことにより、払拭によってノズル穴からのインクが引き出されるのも防止することができる。
【0265】
各ヘッドクリーナ400C、400M、400Y、400Kは、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの他方側の端部が、押圧ローラ118を通過すると、払拭ウェブ402の走行が停止される。また、これと同時に液体噴射ポンプ416の駆動も停止される。
【0266】
一方、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0267】
払拭ウェブ402の走行が停止されたヘッドクリーナ400C、400M、400Y、400Kは、押圧ローラ118が退避位置に退避され、これにより、クリーニング動作が終了する。
【0268】
この後、ヘッドクリーナ400C、400M、400Y、400Kは、必要に応じて、次回のクリーニングのために、未使用領域の位置出しが行われる。
【0269】
以上説明したように、本実施の形態においても、一度ノズル面30C、30M、30Y、30Kを液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ402で払拭清掃したのち、液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ402でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。また、このように払拭ウェブ402を湿潤させて吸収力を切り換えることにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も拡大することができる。
【0270】
なお、本例では、本体フレーム112に設けられた液体付与ノズル410から払拭ウェブ402に液体を付与して、払拭ウェブ402を湿潤させる用にしているが、払拭ウェブ402を湿潤させる方法は、これに限定されるものではない。たとえば、ヘッド16のノズル面30に付与した洗浄液(特にノズルが形成されていない部分に付与した洗浄液)を払拭ウェブ402に吸収させて、払拭ウェブ402を湿潤させるようにしてもよい。この場合、払拭ウェブ402を所定量巻き戻して使用する。
【0271】
また、本例では、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭するようにしているが、払拭ウェブの液体吸収力を段階的に切り換えることにより、複数回に分けて払拭するようにしてもよい。
【0272】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い状態の払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い状態の払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0273】
[ヘッドクリーナの第5の実施の形態]
図19は、ヘッドクリーナの第5の実施の形態の側面図である。
【0274】
本実施の形態のヘッドクリーナ500は、押圧ローラ510に吸引機構が備えられており、押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブを吸引できるように構成されている。
【0275】
本実施の形態のヘッドクリーナ500は、この押圧ローラ510による払拭ウェブの吸引力を切り換えることにより、払拭ウェブの液体吸収力を切り換える。
【0276】
なお、押圧ローラに吸引機構が備えられている点以外は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100と同じである。したがって、ここでは、この押圧ローラ510の吸引機構についてのみ説明する。
【0277】
図20は、押圧ローラ510の正面図であり、図21は、その断面図である。また、図220は、図21の22−22断面図である。
【0278】
同図に示すように、押圧ローラ510は、内管512と外管514とからなる二重管構造で構成されており、その周面に多数の吸引穴516が形成されている。
【0279】
内管512は、SUS等で形成され、円筒状に形成された胴部512Aと、その胴部512Aの両端に突出して形成されて軸部512B、512Cと、基端部側の軸部512Cに形成されたフランジ部512Dとで構成されている。
【0280】
胴部512Aは、所定の外径をもって形成されており、その頂部に一定の角度範囲で開口部512Eが形成されている。この開口部512Eは、押圧ローラ510の外周に巻き掛けられる払拭ウェブ502の巻き掛け角度(ラップ角)に対応して形成されており、その周囲にはパッキン513Fが取り付けられている。
【0281】
先端側の軸部512Bは、円柱状に形成されており、胴部512Aの先端側の端面の中央から所定量突出して形成されている。
【0282】
基端部側の軸部512Cは、円筒状に形成されており、胴部512Aの基端部側の端面の中央から所定量突出して形成されている。この軸部512Cの内周は、胴部512Aの内周に連通されている。
【0283】
フランジ部512Dは、基端部側の軸部512Cの途中に設けられており、軸部512Cに直交するようにして、軸部512Cに一体成形されている。内管512は、その基端部側の軸部512Cを本体フレーム112の壁面部112Bに形成された押圧ローラ取付穴112bに挿通するとともに、そのフランジ部512Dを図示しないビスで本体フレーム112の壁面部112Bに固定することにより、本体フレーム112の壁面部112Bに取り付けられる。そして、このようにして取り付けられた内管512は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に取り付けられる。
【0284】
外管514は、SUS等で形成され、円筒状に形成された胴部514Aと、その胴部514Aの両端に突出して形成された軸部514B、514Cと、胴部514Aの外周に被覆された弾性被覆514Dとで構成されている。
【0285】
胴部514Aは、円筒状に形成されており、その内径は内管512の胴部512Aの外径とほぼ同じ径に形成されている。この外管514の胴部514Aは、内管512の胴部512Aの外周に嵌められて、その周りを周方向に摺動自在に設けられている。
【0286】
両端の軸部514B、514Cは、円筒状に形成されており、胴部514Aの両側の端面の中央から所定量突出して形成されている。この軸部512Cは、軸受518B、518Cを介して、内管512の軸部512B、512Cの外周に回動自在に支持されている。外管514は、この軸受518B、518Cを介して、内管512の外周に回動自在に支持されている。
【0287】
弾性被覆514Dは、ポリウレタンやオレフィン等の弾性体で構成されており、胴部514Aの外周に一定の厚さをもって形成されている。払拭ウェブ502は、この弾性被覆514Dを介してヘッド16のノズル面30に押圧当接される。これにより、払拭ウェブ502をヘッド16のノズル面30に適切に押圧当接させることができる。
【0288】
吸引穴516は、所定の径(たとえば、直径1mm程度)をもって、外管514の周面に一定の配置パターン(本例では、千鳥状)で多数形成されている。この吸引穴516は、外管514の内部に貫通して形成されている。
【0289】
上記のように、外管514は、内管512の外周部を周方向に摺動自在に設けられている。一方、内管512は、その頂部にのみ開口部512Eが形成されている。したがって、外管514に形成された各吸引穴516は、内管512に形成された開口部512Eの上に位置したときにのみ内管512の内部に連通される。
【0290】
以上のように構成された押圧ローラ510は、その外管514の外周に所定のラップ角で払拭ウェブ502が巻き掛けられる。外管514の外周に巻き掛けられた払拭ウェブ502は、内管512の内部のエアを吸引して、内管512の内部を負圧にすることにより、押圧ローラ510に吸引される。そして、この押圧ローラ510に吸引されることにより、払拭ウェブ502は、押圧ローラ510に巻き掛けられた箇所(=ヘッドのノズル面に当接される箇所)の液体吸収力が高められる。また、この押圧ローラ510による吸引力を調整することにより、押圧ローラ510に巻き掛けられた箇所の液体吸収力を調整することができる。
【0291】
内管512の内部のエアの吸引は、内管512の基端部側の軸部512Cを介して行われる。内管512の基端部側の軸部512Cは、本体フレーム112の壁面部112Bを貫通して設けられており、その先端にはジョイント520を介して吸引パイプ522が連結されている。
【0292】
吸引パイプ522は、図19に示すように、吸引ポンプ524を介して、回収タンク526に接続されている。内管512は、この吸引ポンプ524を駆動することにより、内部のエアが吸引され、内部が負圧にされる。
【0293】
システムコントローラは、この吸引ポンプ524の駆動を制御することにより、押圧ローラ510による払拭ウェブ502の吸収力を制御する。
【0294】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナ500を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0295】
本実施の形態においても、ヘッドのノズル面を2回に分けて払拭する。そして、本実施の形態では、1回目(第1の清掃工程)は、払拭ウェブ502を吸引して、液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ502(ノズル面を払拭しても拭き残しが生じない程度の高い液体吸収力の状態の払拭ウェブ)で払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、払拭ウェブ502の吸引力を弱めて、あるいは、払拭ウェブ502を吸引せずに、液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ502(ノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力の状態の払拭ウェブ)で払拭する。具体的には、次のように払拭する。
【0296】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0297】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。
【0298】
洗浄液の塗布が終了すると、1回目の払拭清掃が行われる。上記のように、この1回目の払拭は、吸収力の高い状態の払拭ウェブを使用して行われる。すなわち、押圧ローラ510で吸引して吸収力を高めた状態の払拭ウェブ502を使用して行われる。具体的には、次のように行われる。
【0299】
まず、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。すなわち、払拭ウェブ502の未使用領域が、押圧ローラ510に巻き掛けられるように、払拭ウェブ502の位置出しが行われる。この工程は使用済み領域検出センサ122の出力に基づいて行われ、使用済み領域検出センサ122でウェット領域が検出されなくなるまで、払拭ウェブ502を巻取リール116に巻き取ることにより行われる。
【0300】
未使用領域の位置出しが完了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kがメンテナンス位置に向けて送られ、このメンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ502が押し当てられて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。具体的には、次のように行われる。
【0301】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ510の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各クリーナ500C、500M、500Y、500Kの押圧ローラ510は、所定の退避位置に位置している。
【0302】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ510が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が押圧当接される。
【0303】
押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、吸引ポンプ524が駆動され、押圧ローラ510内のエアが所定の吸引力で吸引される。この結果、押圧ローラ510の内部が負圧にされ、押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ(=ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接された払拭ウェブ)502が所定の吸引力で吸引される。
【0304】
この後、巻取モータ120が駆動されて、払拭ウェブ502が一定の速度で巻取リール116に巻き取られるとともに、ヘッド送りモータ60が駆動されて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ502が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ502によって払拭清掃される。
【0305】
なお、このとき払拭ウェブ502は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と逆方向に走行する。これにより、相対的な速度差を大きくすることができ、清掃効果を高めることができる。
【0306】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ510の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ502の走行とエアの吸引が停止される。
【0307】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、払拭ウェブ502が吸引されながら行われるため、吸収力の高い状態の払拭ウェブ502でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0308】
1回目の払拭清掃が終了すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ510が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、押圧ローラ510の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃が行われる。
【0309】
まず、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ510が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が押圧当接される。
【0310】
押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、巻取モータ120が駆動され、払拭ウェブ502が一定の速度で巻取リール116に巻き取られる。これにより、押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ(=ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接された払拭ウェブ)502が巻取リール116に向かって走行する。
【0311】
また、この巻取モータ120の駆動に同期して、ヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ502が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ502によって払拭清掃される。
【0312】
また、上記1回目の払拭清掃と異なり、この2回目の払拭清掃では、払拭ウェブ502が吸引されずに、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに摺接される。これにより、吸引力の低い状態の払拭ウェブ502を用いて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。
【0313】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部が押圧ローラ510の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ502の走行が停止される。
【0314】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、払拭ウェブ502を吸引せずに行われるため、吸収力の低い状態の払拭ウェブ502でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0315】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0316】
一方、各ヘッドクリーナ500C、500M、500Y、500Kは、昇降用シリンダ126が駆動されて、押圧ローラ510が退避位置にする。この後、各ヘッドクリーナ500C、500M、500Y、500Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、未使用領域の位置出しが行われる。
【0317】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0318】
以上説明したように、本実施の形態においても、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブ502の液体吸収力を切り替えて、2回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。すなわち、1回目は、払拭ウェブ502を吸引して、吸収力の高い状態の払拭ウェブ502でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃し、2回目は、払拭ウェブ502を吸引せずに、吸収力の低い状態の払拭ウェブ502でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0319】
また、このように吸引によって払拭ウェブ502の吸収力を切り換えることにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も広げることができる。
【0320】
また、本例では、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭するようにしているが、払拭ウェブの液体吸収力を段階的に切り換えることにより、複数回に分けて払拭するようにしてもよい。この場合、押圧ローラ520による払拭ウェブ502の吸引力を段階的に切り換えて、払拭ウェブの液体吸収力を段階的に切り換える。
【0321】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0322】
また、本実施の形態において、液体吸収力は、押圧穴から吸引力を制御して調整するので、使用する払拭ウェブ自体の吸収能力は、低いほうが望ましい(吸収能力が高いと、2回目の払拭時に、払拭跡を発生させるため)。
【0323】
[その他の実施の形態]
本実施の形態のヘッドクリーナには、それぞれ使用済み領域検出センサ122を設けているが、使用済み領域検出センサ122は、必ずしも設置する必要はなく、払拭ウェブの巻き取り、巻き戻し量を制御して、所要の位置出しを行うようにしてもよい。なお、使用済み領域検出センサ122を設置することにより、正確な位置出しが可能になるとともに、払拭ウェブの有無も検出することができるようになる。
【0324】
また、本例では、インク由来の付着物が溶解するために、事前にノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布して、ノズル面30C、30M、30Y、30Kをウェット化しているが、ノズル面30C、30M、30Y、30Kをウェット化する方法は、これに限定されるものではない。たとえば、インクをウェット液に用いることもできる。この場合、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズルからインクを滲み出させて、ノズル面30C、30M、30Y、30Kをウェット化する。また、この場合、キャップでノズル面30C、30M、30Y、30Kを封止して、キャップ内を減圧し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kにインクを吸引して、ノズルからインクを滲み出させる。あるいは、インクタンクからヘッドまでの流路を加圧してノズル面からインクを滲み出させる。
【0325】
また、上記一連の実施の形態では、ラインヘッドのノズル面を払拭清掃する場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。いわゆるシャトルスキャン方式のヘッドのノズル面を払拭清掃する場合にも同様に適用することができる。
【0326】
また、上記一連の実施の形態では、ヘッド側を移動させて、ヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしているが、ヘッドクリーニング装置側を移動させて、ヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0327】
10…描画部、12…用紙(記録媒体)、14…描画ドラム、16(16C、16M、16Y、16K)…ラインヘッド、18…回転軸、20…本体フレーム、22…軸受、24…グリッパ、26…搬送ドラム、28…搬送ドラム、30(30C、30M、30Y、30K)…ノズル面、32(32C、32M、32Y、32K)…ノズル列、34…ノズル、40…ヘッド支持フレーム、42L、42R…サイドプレート、44…連結フレーム、46C、46M、46Y、46K…取付部、48C、48M、48Y、48K…被取付部、50…ガイドレール、52…スライダ、54…ネジ棒、56…ナット部、58…軸受、60…ヘッド送りモータ、62…保湿ユニット、70…ヘッドクリーニング装置、80(80C、80M、80Y、80K)…洗浄液塗布ノズル、82(82C、82M、82Y、82K)…洗浄液供給パイプ、84…洗浄液タンク、86(86C、86M、86Y、86K)…洗浄液噴射ポンプ、100(100C、100M、100Y、100K)…ヘッドクリーナ、110…払拭ウェブ、110A、110B…巻芯、110L…第1の払拭ウェブ、110R…第2の払拭ウェブ、110M…前段の払拭ウェブ、110N…後段の払拭ウェブ、112…本体フレーム、112A…底面部、112B…壁面部、114…繰出リール、114A…軸部、116…巻取リール、116A…軸部、118…押圧ローラ、120…巻取モータ、122…使用済み領域検出センサ、123L…第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット、123R…第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット、123M…前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット、123N…後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット、126…昇降用シリンダ、130…軸受、132…軸受、134…繰出ガイドローラ、134A…軸部、136…軸受、138…巻取ガイドローラ、138A…軸部、140…軸受、150…巻取駆動ギア、152…巻取従動ギア、154…巻取アイドルギア、154A…軸部、156…軸受、200(200C、200M、200Y、200K)…ヘッドクリーナ、202…スライドステージ、204…昇降ステージ、206…ガイドレール、208…スライダ、210…スライド駆動モータ、212…ピニオン、214…ラック、300(300C、300M、300Y、300K)…ヘッドクリーナ、302M…前段の昇降用シリンダ、302N…後段の昇降用シリンダ、400(400C、400M、400Y、400K)…ヘッドクリーナ、402…払拭ウェブ、410…液体付与ノズル、412…液体供給パイプ、414…液体タンク、416…液体噴射ポンプ、500(500C、500M、500Y、500K)…ヘッドクリーナ、502…払拭ウェブ、510…押圧ローラ、512…内管、512A…胴部、512B…軸部、512C…軸部、512D…フランジ部、512E…開口部、514…外管、514A…胴部、514B…軸部、514C…軸部、514D…弾性被覆、516…吸引穴、520…ジョイント、522…吸引パイプ、524…吸引ポンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドクリーニング方法及び装置に係り、特に液体吸収体でノズル面を払拭清掃するヘッドクリーニング方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから微小なインクの液滴を吐出させて画像の記録を行うインクジェット記録装置では、連続して記録作業を行うと、ノズルから吐出されて霧状になったインクがノズル付近に付着、堆積して、ノズルが目詰まりを起こすことがある。このため、インクジェット記録装置では、定期的にノズル面のクリーニングが行われる。
【0003】
特許文献1では、このノズル面をクリーニングする方法として、ノズル面をブレードでワイピングしたのち、さらにノズル面をインク吸収体でワイピングする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−205712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、インク吸収体でノズル面をワイピングする方法の場合、使用するインク吸収体の吸収能力が高いと、インク吸収体によってノズルからインクが引き出されてしまい、インク吸収体が通過した後に小さな液滴が残ってしまうという問題がある(このような現象を本明細書では「払拭跡」という。)。
【0006】
一方、使用するインク吸収体の吸収能力が低いと、ノズル面の液滴を吸収しきれずに、ノズル面に大きな液滴が残ってしまうという問題がある(このような現象を本明細書では「拭き残し」という。)。
【0007】
そして、このような払拭跡や拭き残しは、ノズルから吐出される液滴の飛翔に悪影響を及ぼし、画像を劣化させる原因ともなる。
【0008】
これを回避するために、最適な吸収能力を持つインク吸収体を使用してノズル面をワイピングすることも考えられるが、インク吸収体の選択には限りがあるという問題がある。また、ノズルの穴径やノズル面の撥液膜耐性の条件によっては、所要の性能を満たすインク吸収体がない場合もある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、使用可能なインク吸収体の選択の幅を拡大でき、かつ、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面を清掃することができるヘッドクリーニング方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、払拭部材をヘッドのノズル面に押圧当接させ、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃するヘッドクリーニング方法において、第1の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第1の清掃工程と、前記第1の清掃工程後、前記第1の液体吸収力よりも低い第2の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第2の清掃工程と、からなることを特徴とするヘッドクリーニング方法を提供する。
【0011】
液体吸収力の高い払拭部材を用いてヘッドのノズル面を払拭すると、拭き残しは防止できるが、払拭時にノズルからインクを引き出してしまい、払拭跡が発生するおそれがある。一方、液体吸収力の低い払拭部材を用いて払拭すると、払拭跡は防止できるが、拭き残しが発生するおそれがある。そこで、本発明では、第1の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃した後、第1の液体吸収力よりも低い第2の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ノズル面を払拭清掃することができる。また、このように液体吸収力を変えて複数回払拭することにより、最適な液体吸収力の払拭部材を用いて払拭する場合に比べて、払拭部材の選択の幅を広げることができ、コスト削減を図ることもできる。
【0012】
なお、本発明の態様には、液体吸収力を段階的に切り換える態様も含まれる。すなわち、たとえば、第1の清掃工程と第2の清掃工程との間に第1の液体吸収力と第2の液体吸収力との中間の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃する態様も含まれる。また、液体吸収力の高い払拭部材を用いて行う第1の清掃工程を複数回行い、その後、第2の清掃工程を行う態様も含まれる。すなわち、本発明では、少なくとも1回第1の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に第2の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の高い液体吸収力に設定され、前記第2の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0014】
本発明によれば、第1の液体吸収力が、ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の液体吸収力に設定され、第2の液体吸収力が、ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の液体吸収力に設定される。これにより、第1の清掃工程で拭き残しを防止しでき、第2の清掃工程で払拭時に発生する払拭跡を取り除くことができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、第1の液体吸収力を有する払拭部材と第2の液体吸収力を有する払拭部材を揃え、使用する払拭部材を切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0016】
本発明では、第1の液体吸収力を有する払拭部材と第2の液体吸収力を有する払拭部材を揃え、使用する払拭部材を切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。この場合、第1の液体吸収力を有する払拭部材でヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、第2の液体吸収力を有する払拭部材に切り換えてヘッドのノズル面を払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ヘッドのノズル面を払拭清掃することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が第1の液体吸収力と第2の液体吸収力とに切り換わる払拭部材を使用し、該払拭部材の向きを切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0018】
本発明では、向きを変えると液体吸収力が第1の液体吸収力と第2の液体吸収力とに切り換えられる払拭部材を使用し、払拭部材の向きを変えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。この場合、第1の液体吸収力に設定される向きでヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、第2の液体吸収力に設定される向きに払拭部材の向きを切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。たとえば、縦に向けて払拭すると第1の液体吸収力に設定され、横に向けて払拭すると第2の液体吸収力に設定される払拭部材を使用し、縦の向きで払拭清掃したのち、払拭部材の向きを横に切り換えて、払拭清掃する。これにより、簡単に払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ヘッドのノズル面を払拭清掃することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材を帯状に形成し、長手方向に沿って走行させることにより、前記ヘッドのノズル面に対する摺接箇所を変えながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項3又は4に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0020】
本発明では、払拭部材を帯状に形成し、長手方向に沿って走行させることにより、ヘッドのノズル面に対する摺接箇所を変えながら、ヘッドのノズル面に沿って摺動させる。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を大きくすることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材を摺動方向と逆方向に走行させながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項5に記載のヘッドクリーニング方法を提供する。
【0022】
本発明では、払拭部材を摺動方向と逆方向に走行させながら、ヘッドのノズル面に沿って摺動させる。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を更に大きくすることができ、清掃効果を更に向上させることができる。
【0023】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、液体吸収力の異なる複数の払拭部材と、前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、前記押圧手段によって前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる払拭部材を切り換える切換手段と、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、を備え、高い液体吸収力を有する払拭部材から低い液体吸収力を有する払拭部材に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置を提供する。
【0024】
本発明によれば、液体吸収力が異なる複数の払拭部材が備えられており、高い液体吸収力を有する払拭部材から低い液体吸収力を有する払拭部材に切り換えられて、ヘッドのノズル面が複数回払拭清掃される。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ノズル面を払拭清掃することができる。
【0025】
なお、払拭部材は、液体吸収力の異なるものが少なくとも2つ備えられていればよい。したがって、液体吸収力の異なる3以上の払拭部材を用いて払拭するようにしてもよい。この場合、使用する払拭部材が段階的に切り換えられる。また、各払拭部材で行う払拭の回数は、少なくとも1回行われればよく、複数回行われるようにしてもよい。すなわち、本発明では、少なくとも1回高い液体吸収力を有する払拭部材で払拭し、最後に最も低い液体吸収力を有する払拭部材で払拭するように構成されていればよい。
【0026】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭部材と、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭部材とを備え、前記高い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、前記低い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃することを特徴とする請求項7に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0027】
本発明によれば、ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭部材と、ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭部材とが備えられ、高い液体吸収力の払拭部材でヘッドのノズル面が払拭清掃されたのち、低い液体吸収力の払拭部材でヘッドのノズル面が払拭清掃される。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、効率よくノズル面を払拭清掃することができる。
【0028】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項7又は8に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0029】
本発明によれば、払拭部材が走行しながらヘッドのノズル面に押圧当接される。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を大きくすることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0030】
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が切り換わる払拭部材と、前記払拭部材の向きを変える切換手段と、前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、を備え、前記払拭部材の向きを切り換えることにより、前記払拭部材の液体吸収力を高い状態から低い状態に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置を提供する。
【0031】
本発明によれば、向きを変えることにより液体吸収力が変わる払拭部材が備えられており、この払拭部材の向きを変えることにより、払拭部材の液体吸収力が高い状態から低い状態に切り換えられて、ヘッドのノズル面が複数回払拭清掃される。たとえば、縦に向けて払拭すると高い液体吸収力で払拭でき、横に向けて払拭すると低い液体吸収力で払拭できる払拭部材を使用し、縦の向きで払拭清掃したのち、払拭部材の向きを横に切り換えて、払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを発生させることなく、ノズル面を払拭清掃することができる。
【0032】
なお、払拭部材は、液体吸収力が少なくとも2段階に切り換えられればよい。したがって、液体吸収力を3段階以上に切り換えられるものを使用してもよい。この場合、液体吸収力が段階的に低下するように切り換えられる。また、液体吸収力を複数切り換える場合は、少なくとも最後に液体吸収力の低い状態で払拭するようにすればよい。
【0033】
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は、第1の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力に設定され、第2の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項10に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0034】
本発明によれば、払拭部材は、第1の向きに設定すると、ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力に設定され、第2の向きに設定すると、ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力に設定される。そして、払拭部材を第1の向きに設定して、1回目の払拭清掃が行われたのち、払拭部材を第2の向きに設定して、2回目の払拭清掃が行われる。これにより、簡単に液体吸収力を切り換えることができる。
【0035】
請求項12に係る発明は、前記目的を達成するために、前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項10又は11に記載のヘッドクリーニング装置を提供する。
【0036】
本発明によれば、払拭部材が走行しながらヘッドのノズル面に押圧当接される。これにより、ヘッドのノズル面に対する払拭部材の相対速度を大きくすることができ、清掃効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面を清掃することができる。また、使用可能な払拭部材の選択の幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】インクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す側面図
【図2】インクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す正面図
【図3】ヘッドのノズル面の構成を示す平面図
【図4】ヘッドクリーニング装置の構成を示す側面図
【図5】ヘッドクリーナの正面図
【図6】ヘッドクリーナの平面図
【図7】ヘッドクリーナの側面図
【図8】ヘッドクリーナの背面図
【図9】ヘッドクリーナの昇降動作の説明図
【図10】ヘッドクリーナの走行方向切り換え動作の説明図
【図11】ヘッドクリーニング装置を用いたヘッドのクリーニング方法の工程図
【図12】ヘッドクリーナの第2の実施の形態の平面図
【図13】ヘッドクリーナの第2の実施の形態の側面図
【図14】図13の14−14断面図
【図15】ヘッドクリーナの払拭ウェブの切り換え動作の説明図
【図16】ヘッドクリーナの第2の実施の形態の正面図
【図17】ヘッドクリーナの第3の実施の形態の平面図
【図18】ヘッドクリーナの第4の実施の形態の正面図
【図19】ヘッドクリーナの第5の実施の形態の側面図
【図20】第5の実施の形態のヘッドクリーナに組み込まれた押圧ローラの正面図
【図21】第5の実施の形態のヘッドクリーナに組み込まれた押圧ローラの断面図
【図22】図21の22−22断面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明に係るヘッドクリーニング方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0040】
[インクジェット記録装置(描画部)の構成]
図1は、本発明が適用されたインクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す側面図である。
【0041】
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置では、描画部10において、用紙(記録媒体)12が描画ドラム14の周面に吸着保持されて回転搬送される。そして、描画ドラム14によって回転搬送される用紙12に対して、描画ドラム14の周囲に配置された4本のラインヘッド16C、16M、16Y、16KからC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(クロ)の各色のインクの液滴を吐出させて、用紙12の記録面にカラー画像を描画する(いわゆる、ドラム搬送方式のラインプリンタ)。
【0042】
用紙12を回転搬送する描画ドラム14は、円筒状に形成されており、その両端から突出して設けられた回転軸18をインクジェット記録装置の本体フレーム20に設けられた軸受22に軸支されて(図2参照)、水平に設置されている。この回転軸18には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されており、描画ドラム14は、このモータに駆動されて回転する。
【0043】
また、この描画ドラム14の周面には、グリッパ24が設けられている(本例では、外周面上の2カ所に設置)。用紙12は、このグリッパ24に先端部を把持されて、描画ドラム14の外周面上に保持される。
【0044】
さらに、この描画ドラム14の周面には、図示しない吸着穴が所定の配列パターンで多数形成されており、内部に向けてエアが吸引されている。描画ドラム14の周面に巻き掛けられた用紙12は、この吸着穴から内部に向けてエアが吸引されることにより、描画ドラム14の外周面上に吸着保持される。
【0045】
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置において、用紙12は、前段の工程(たとえば、用紙12の記録面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与する工程)から搬送ドラム26を介して、描画ドラム14に受け渡される。搬送ドラム26は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14に用紙12を受け渡す。
【0046】
また、描画後の用紙12は、搬送ドラム28を介して、後段の工程(たとえば、インクを乾燥させる工程)に受け渡される。搬送ドラム28は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14から用紙12を受け取る。
【0047】
4本のラインヘッド16C、16M、16Y、16K(以下「ヘッド」という)は、用紙幅に対応して形成されており、描画ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。この4本のヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画ドラム14の上方に設置されたヘッド支持フレーム40に取り付けられている。
【0048】
ヘッド支持フレーム40は、図2に示すように、描画ドラム14の回転軸18と直交するように配置された一対のサイドプレート42L、42Rと、その一対のサイドプレート42L、42Rを上端部において連結する連結フレーム44とで構成されている。
【0049】
一対のサイドプレート42L、42Rは、板状に形成されており、描画ドラム14を挟んで互いに対向するように配置されている。この一対のサイドプレート42L、42Rの内側面には、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを取り付けるための取付部46C、46M、46Y、46Kが設けられている(図2では取付部46Y、46Kのみ図示)。
【0050】
取付部46C、46M、46Y、46Kは、描画ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その両端に形成された被取付部48C、48M、48Y、48K(図2では被取付部48Y、48Kのみ図示)を取付部46C、46M、46Y、46Kにビスで固定することにより、ヘッド支持フレーム40に取り付けられる。
【0051】
このようにしてヘッド支持フレーム40に取り付けられた各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置され、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、描画ドラム14の外周面に対向して配置される。また、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、描画ドラム14の外周面から所定高さの位置に位置する(描画ドラム14の外周面とノズル面30C、30M、30Y、30Kとの間に所定のギャップが形成される。)。
【0052】
図3は、ヘッド16(16C、16M、16Y、16K)のノズル面の構成を示す平面図である。同図に示すように、ヘッド16(16C、16M、16Y、16K)のノズル面30(30C、30M、30Y、30K)には、ヘッド16の長手方向に沿ってノズル列32が形成されている。
【0053】
ヘッド支持フレーム40に取り付けられた各ヘッド16は、このノズル面30に形成されたノズル列32が用紙12の搬送方向と直交して配置される。そして、このノズル面30に形成されたノズル列32から描画ドラム14の外周面に向けて垂直にインクの液滴が吐出される。
【0054】
なお、図3に示すヘッド16の例では、ノズル面30にノズル34、34、…が千鳥状に配置されて、ノズル列32が形成されている。このようなノズル34、34、…の配置構成とすることにより、ヘッド16の長手方向(=用紙の搬送方向と直交する方向=用紙の幅方向)に投影される実質的なノズル34の間隔を狭めることができ、ノズル34の高密度化を図ることができる。
【0055】
なお、このヘッド16C、16M、16Y、16Kが取り付けられるヘッド支持フレーム40は、描画ドラム14の回転軸18と平行な方向(=取り付けられたヘッド16C、16M、16Y、16Kの長手方向)に移動可能に設けられており、取り付けられた各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを所定のメンテナンス位置に退避できるように構成されている。この点については後述する。
【0056】
描画部10は、以上のように構成される。この描画部10において、用紙12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して描画ドラム14に受け渡され、描画ドラム14の周面に吸着保持されながら回転搬送される。そして、その搬送過程で各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの下を通過し、通過時に各ヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出されたインクの液滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が形成される。画像記録が終了した用紙12は、描画ドラム14から搬送ドラム28に受け渡され、後段の工程に搬送される。
【0057】
なお、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの駆動制御(インクの吐出制御)、及び、描画ドラム14の駆動制御等は、図示しないシステムコントローラで行われる。このシステムコントローラは、インクジェット記録装置の全体の動作を統括制御し、所定の制御プログラムに従って各部の駆動を制御する。
【0058】
[ヘッド支持フレームの移動機構]
上記のように、ヘッド支持フレーム40は、描画ドラム14の回転軸18と平行な方向に移動可能に設けられている。以下、このヘッド支持フレーム40の移動機構について説明する。
【0059】
ヘッド支持フレーム40は、描画ドラム14の回転軸18と平行に配設された一対のガイドレール50、50にスライダ52、52を介してスライド自在に支持されている。ヘッド支持フレーム40は、このガイドレール50、50に沿ってスライド移動することにより、描画ドラム14の回転軸18と平行な方向にスライド移動する。
【0060】
また、ヘッド支持フレーム40には、ネジ棒54に螺合されたナット部56が連結されている。ネジ棒54は、ガイドレール50と平行に配設されており、その両端部をインクジェット記録装置の本体フレームに設けられた軸受58、58に回動自在に支持されている。このネジ棒54には、ヘッド送りモータ60が連結されており、このヘッド送りモータ60に駆動されて回転する。ヘッド支持フレーム40は、このヘッド送りモータ60を駆動して、ネジ棒54を回転させることにより、ガイドレール50、50に沿ってスライド移動する。すなわち、描画ドラム14の回転軸と平行な方向にスライド移動する。
【0061】
図示しないシステムコントローラは、ヘッド送りモータ60の駆動を制御して、ヘッド支持フレーム40の移動を制御し、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを所定の描画位置からメンテナンス位置へ移動させる。あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動させる。
【0062】
各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置に位置すると、図2に実線で示すように、描画ドラム14の周囲に配置され、描画ドラム14によって回転搬送される用紙12に対して、画像の記録が可能になる。
【0063】
一方、メンテナンス位置に位置すると、図2に破線で示すように、描画ドラム14の周囲から退避する。これにより、描画ドラム14と各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの双方のメンテナンスが可能になる。
【0064】
なお、このメンテナンス位置には、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kを保湿するための保湿ユニット62が設けられている。各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、長時間使用しない場合、この保湿ユニット62によってノズル面30C、30M、30Y、30Kが保湿され、乾燥による不吐出が防止される。
【0065】
描画位置とメンテナンス位置との間には、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃するためのヘッドクリーニング装置70が設けられている。
【0066】
各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置からメンテナンス位置に移動する工程(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動する工程)で、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブが押圧当接され、これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。以下、このヘッドクリーニング装置70の構成について説明する。
【0067】
[ヘッドクリーニング装置の構成]
図4は、ヘッドクリーニング装置の構成を示す側面図である。
【0068】
同図に示すように、ヘッドクリーニング装置70は、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kと、ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kとを備えて構成されている。この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kと、ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられており、図示しない支持フレームに取り付けられている。ヘッドクリーニング装置70は、この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kと、ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kとが取り付けられた支持フレームをインクジェット記録装置の本体フレーム(図示せず)に取り付けることにより、描画位置とメンテナンス位置との間に設定された所定の設置位置に設置される。
【0069】
[洗浄液塗布ノズルの構成]
各洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kは、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられている。この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの幅に対応した噴射口を有しており、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射する。
【0070】
洗浄液は、図6に示すように、洗浄液供給パイプ82(82C、82M、82Y、82K)を介して洗浄液タンク84から供給され、その洗浄液供給パイプ82の途中に設けられた洗浄液噴射ポンプ86(86C、86M、86Y、86K)を駆動することにより、各洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから洗浄液が噴射される。
【0071】
各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置からメンテナンス位置に移動する過程(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動する過程)で、この洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kからノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液が噴霧されることにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が塗布される。
【0072】
システムコントローラは、洗浄液噴射ポンプ及びヘッド送りモータ60の駆動を制御して、ノズル面30C、30M、30Y、30Kへの洗浄液の塗布を制御する。
【0073】
[ヘッドクリーナの構成]
各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられており、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに帯状に形成された払拭ウェブ110を押圧ローラ118で押圧当接させる。各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、描画位置からメンテナンス位置に移動する過程(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動する過程)で、この払拭ウェブ110がノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されることにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
【0074】
なお、各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kの構成は共通しているので、ここでは、ヘッドクリーナ100として、その構成を説明する。
【0075】
図5はヘッドクリーナの正面図、図6はヘッドクリーナの平面図、図7はヘッドクリーナの側面図、図8はヘッドクリーナの背面図である。
【0076】
図5〜8に示すように、ヘッドクリーナ100は、帯状に形成された払拭ウェブ110を押圧ローラ118に巻き掛け、この押圧ローラ118に巻き掛けた払拭ウェブ110を対応するヘッド16(16C、16M、16Y,16K)のノズル面30(30C、30M、30Y、30K)に押圧当接させることにより、ヘッド16のノズル面30を払拭清掃する。
【0077】
このヘッドクリーナ100は、主として、本体フレーム112と、払拭ウェブ110を繰り出す繰出リール114と、払拭ウェブ110を巻き取る巻取リール116と、払拭ウェブ110をヘッド16のノズル面30に押圧当接させる押圧ローラ118と、巻取リール116を回転駆動して、払拭ウェブ110を巻取リール116に巻き取る巻取モータ120と、払拭ウェブ110の使用済み領域を検出する使用済み領域検出センサ122とからなる払拭ウェブ走行駆動ユニット123と、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を回転させて、払拭ウェブ110の走行方向を切り換える走行方向切換モータ124と、払拭ウェブ走行駆動ユニット123をヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動させて、払拭ウェブ110をヘッド16のノズル面30に当接/離間させる昇降用シリンダ126とで構成されている。
【0078】
払拭ウェブ110は、たとえば、ポリエステルやアクリル、ナイロン等の高密度繊維を編み込んで帯状に形成されており、その両端に巻芯110A、110Bが取り付けられている。未使用状態の払拭ウェブ110は、一方の巻芯110Aにロール状に巻かれた状態で提供される。
【0079】
この払拭ウェブ110は、摺動させる向きを変えると、液体吸収力が切り換わるように構成されている。本実施の形態では、長手方向に沿って摺動させると、高い液体吸収力(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の液体吸収力)が得られ、長手方向に直交する方向に摺動させると、液体吸収力が所定量低下(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度まで低下)するように構成されている。たとえば、長手方向に直交する方向に摺動させると、長手方向に沿って摺動させた場合と比較して約20%ほど液体吸収力が低下するように構成される。
【0080】
したがって、この払拭ウェブ110を長手方向に沿う方向に摺動させれば、高い液体吸収力の状態(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の液体吸収力の状態)でノズル面を払拭することができ、長手方向に直交する方向に摺動させれば、低い液体吸収力の状態(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の液体吸収力の状態)でノズル面を払拭することができる。
【0081】
このような払拭ウェブは、たとえば、長手方向に沿う方向と、長手方向と直交する方向とで使用する繊維の材質を変えたり、繊維の太さを変えたり、編み方(あるいは織り方)を変えたり、単位長さ当たりの繊維量を変えたりすることで実現することができる。
【0082】
なお、後述するように、払拭ウェブ110をヘッドクリーナ100に装着する場合は、払拭ウェブ110がロール状に巻かれた巻芯110Aを繰出リール114に装着するとともに、先端の巻芯110Bを巻取リール116に装着することにより行われる。
【0083】
本体フレーム112は、L字状に形成されており、ヘッド16のノズル面30と平行に設けられる底面部112Aと、その底面部112Aに対して垂直に設けられる壁面部112Bとで構成されている。
【0084】
繰出リール114は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直(=対応するヘッドのノズル面と平行)に設けられており、その軸部114Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受130に回転自在に支持されている。後述するように、払拭ウェブ110は、その繰出側の巻芯110Aが、この繰出リール114に装着される。
【0085】
巻取リール116は、繰出リール114と同様に、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部116Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受131に回転自在に支持されている。後述するように、払拭ウェブ110は、その巻取側の巻芯110Bが、この巻取リール116に装着される。
【0086】
この巻取リール116と繰出リール114は、一定の間隔をもって横方向に並列して配置されている。
【0087】
押圧ローラ118は、繰出リール114と巻取リール116の中間位置の上方に配置されており、繰出リール114と巻取リール116の間を走行する払拭ウェブ110が巻き掛けられる。この押圧ローラ118は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部118Aが本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受132に回転自在に支持されている。また、この押圧ローラ118は、周面がポリウレタンやオレフィン等の弾性体で被覆されている。これにより、周面に巻き掛けられた払拭ウェブ110をヘッド16のノズル面30に押圧当接する際、一定の付勢力をもって押圧当接させることができる。
【0088】
繰出リール114から繰り出された払拭ウェブ110は、繰出リール114と押圧ローラ118との間に配置された繰出ガイドローラ134を介して押圧ローラ118に巻き掛けられる。この繰出ガイドローラ134は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部134Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受136に回転自在に支持されている。
【0089】
また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、押圧ローラ118と巻取リール116との間に配置された巻取ガイドローラ138を介して巻取リール116に巻き取られる。この巻取ガイドローラ138は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に設けられており、その軸部136Aが、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に設けられた軸受140に回転自在に支持されている。
【0090】
巻取モータ120は、巻取リール116の下方部に配置されており、本体フレーム112の壁面部112Bの内側に垂直に取り付けられている。この巻取モータ120の出力軸120Aは、壁面部112Bの外側に突出して設けられており、その先端には巻取駆動ギア150が固着されている。
【0091】
上記巻取リール116の軸部116Aも壁面部112Bの外側に突出して設けられており、その先端には巻取従動ギア152が固着されている。この巻取従動ギア152は、巻取アイドルギア154を介して、巻取駆動ギア150に噛み合わされている。
【0092】
巻取アイドルギア154は、本体フレーム112の壁面部112Bの外側に配置されており、その軸部154Aが本体フレーム112の壁面部112Bの外側に設けられた軸受156に回転自在に支持されている。
【0093】
巻取モータ120を駆動すると、巻取駆動ギア150が回転し、その回転が巻取アイドルギア154を介して巻取従動ギア152に伝達される。これにより、巻取リール116が払拭ウェブ110を巻き取る方向に回転する。
【0094】
使用済み領域検出センサ122は、押圧ローラ118と巻取ガイドローラ138との間に配置されており、その間を走行する払拭ウェブ110の使用済み領域を検出する。使用済み領域の検出は、たとえば、払拭ウェブ110のウェット領域を検出して行われる。すなわち、使用済みの領域は、インクや洗浄液を吸収して濡れているので、この濡れた領域(ウェット領域)を検出することにより、使用済み領域を検出する。この使用済み領域検出センサ122は、たとえば、投光部と受光部とを備えたフォトセンサで構成され、投光部から払拭ウェブ110に向けて投光した光の反射光を受光部で受光して、払拭ウェブ110の使用済み領域(ウェット領域)を検出する。システムコントローラは、この使用済み領域検出センサ122を制御して、使用済み領域の検出処理を行う。
【0095】
走行方向切換モータ124は、払拭ウェブ走行駆動ユニット123の下部に設置されている。この走行方向切換モータ124は、本体フレーム112の底面部122Aと平行に設けられた昇降ステージ158の上に設置されており、その出力軸は、本体フレーム112の底面部112Aの下側に垂直に固着されている。払拭ウェブ走行駆動ユニット123は、この走行方向切換モータ124を駆動することにより、底面部112Aに垂直な軸(=対応するヘッド16のノズル面30に垂直な軸)Sの周りを回転する。押圧ローラ118は、この軸Sに対して垂直に設置されるとともに、その幅方向の中心が、この軸S上に位置するように設置される。この結果、払拭ウェブ110は、走行方向切換モータ124を駆動して、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を回転させると、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直な軸Sの周りを回転し、その走行方向が切り換わる。たとえば、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を180度回転させれば、走行方向が逆転する。システムコントローラは、この走行方向切換モータ124の駆動を制御して、対応するヘッド16のノズル面30に対する払拭ウェブ110の走行の切り換えを制御する。
【0096】
昇降用シリンダ126は、昇降ステージ158の下側に設置されている。この昇降用シリンダ126は、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッド126Aは、昇降ステージ158の下面部に垂直に固着されている。払拭ウェブ走行駆動ユニット123は、この昇降用シリンダ126を駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この払拭ウェブ走行駆動ユニット123が、ノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、図9に示すように、押圧ローラ118が、所定の押圧位置(図9(a))と退避位置(図9(b))の間を移動する。
【0097】
押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、押圧ローラ118が、図9(a)に示す「押圧位置」に位置すると、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接される。そして、図9(b)に示す「退避位置」に位置すると、対応するヘッド16のノズル面30から退避する。すなわち、ノズル面30に接触しないように、ノズル面30から離間する。
【0098】
システムコントローラは、この昇降用シリンダ126の動作を制御して、ノズル面30に対する払拭ウェブ110の当接、退避を制御する。
【0099】
ヘッドクリーナ100は、以上のように構成される。
【0100】
上記のように、未使用の払拭ウェブ110は、巻芯110Aにロール状に巻回された状態で提供される。この払拭ウェブ110をヘッドクリーナ100に装填する場合は、まず、払拭ウェブ110がロール状に巻かれた巻芯110Aを繰出リール114に装着する。そして、繰出リール114から少しずつ払拭ウェブ110を繰り出しながら、繰出ガイドローラ134、押圧ローラ118、巻取ガイドローラ138の順に巻き掛け、先端の巻芯(巻取側の巻芯)110Bを巻取リール116に装着する。これにより、払拭ウェブ110がヘッドクリーナ100に装着される。
【0101】
払拭ウェブ110が装着されたヘッドクリーナ100は、巻取モータ120を回転駆動することにより、繰出リール114から繰り出され、巻取リール116に巻き取られる。これにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が長手方向に沿って走行する。
【0102】
また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、昇降用シリンダ126を駆動して、押圧ローラ118を押圧位置に移動させると、ヘッド16のノズル面30に押圧当接され(図9(a)参照)、押圧ローラ118を退避位置に移動させると、ヘッド16のノズル面30から退避する(図9(b)参照)。
【0103】
また、走行方向切換モータ124を駆動して、払拭ウェブ走行駆動ユニット123を回転させると、走行方向(=摺動させる方向に対する向き)が切り換えられる。
【0104】
なお、本実施の形態では、図10に示すように、払拭ウェブ110の長手方向(=走行方向)が、ヘッド16の長手方向(=移動方向)と平行になる方向を第1の方向、ヘッド16の長手方向に対して所定角度傾斜する方向(本例では45度傾斜する方向)を第2の方向とし、この第1の方向と第2の方向に払拭ウェブ110の走行方向が切り換えられる。
【0105】
払拭ウェブ110は、走行方向を第1の方向に設定し、所定の走行速度Vw1で走行させながら、描画位置からメンテナンス位置に所定の移動速度VH1で移動するヘッド16のノズル面30に押圧当接させると、ヘッド16のノズル面に対して、長手方向(払拭ウェブの長手方向)に沿って摺動される。このとき、払拭ウェブ110は、ヘッド16のノズル面30に対して相対速度V1で摺動される。
【0106】
そして、このようにヘッド16のノズル面に対して、長手方向(払拭ウェブの長手方向)に沿って摺動させると、払拭ウェブ110は、高い液体吸収力の状態でヘッド16のノズル面を払拭することができる。
【0107】
一方、払拭ウェブ110は、走行方向を第2の方向に設定し、所定の走行速度Vw2で走行させながら、描画位置からメンテナンス位置に所定の移動速度VH2で移動するヘッド16のノズル面30に押圧当接させると、ヘッド16のノズル面30に対して、相対的に長手方向(払拭ウェブの長手方向)と直交する方向に摺動される(ヘッド16のノズル面30に対して長手方向(払拭ウェブの長手方向)と直交する方向に相対速度V2で摺動される。)。
【0108】
そして、このようにヘッド16のノズル面に対して、相対的に長手方向(払拭ウェブの長手方向)と直交する方向に摺動させると、払拭ウェブ110は、低い液体吸収力の状態でヘッド16のノズル面を払拭することができる。
【0109】
システムコントローラは、巻取モータ120、走行方向切換モータ124、昇降用シリンダ126、及び、ヘッド送りモータ60の駆動を制御して、ヘッド16のノズル面30を清掃する。
【0110】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0111】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニングは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液を塗布したのち、払拭ウェブ110で払拭することにより行われる。そして、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70では、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭ウェブ110で払拭する際、2回に分けて払拭する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は、走行方向を第1の方向に設定した液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ110で払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、走行方向を第2の方向に設定した液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ110で払拭する。
【0112】
このように、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭することにより、払拭跡や拭き残しを防止することができる。すなわち、1回目の液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ110による払拭でノズル面に存在する大きな液滴を除去し、拭き残しを防止する。そして、その後の2回目の液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ110による払拭で1回目の払拭時に発生した払拭跡を除去するとともに、ノズル穴からのインクの引き出しを防止する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0113】
以下、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70を用いた具体的なヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニング方法について説明する。
【0114】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0115】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。具体的には、次のように行われる。すなわち、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動させると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kの上を通過するので、そのヘッド16C、16M、16Y、16Kの通過に合わせて、各洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから洗浄液を噴射する。これにより、ノズル非形成領域を含むノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液が塗布される。
【0116】
洗浄液の塗布は、1度でもよいし、複数回実行するようにしてもよい。複数回実効する場合は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを複数回往復させて塗布する。
【0117】
洗浄液の塗布が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、一度、描画位置に復帰する。この後、1回目の払拭清掃(第1の清掃工程)が行われる。
【0118】
上記のように、この1回目の払拭は、払拭ウェブ110の走行方向(=摺動させる方向に対する向き)を第1の方向に設定し(図10(a)参照)、液体吸収力の高い状態で行われる。具体的には、次のように行われる。
【0119】
まず、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。すなわち、払拭ウェブ110の未使用領域が、押圧ローラ118に巻き掛けられるように、払拭ウェブ110の位置出しが行われる。この工程は使用済み領域検出センサ122の出力に基づいて行われ、使用済み領域検出センサ122でウェット領域が検出されなくなるまで、払拭ウェブ110を巻取リール116に巻き取ることにより行われる。
【0120】
なお、この段階で払拭ウェブ110の走行方向が第1の方向に設定されていない場合は、走行方向切換モータ124が駆動され、払拭ウェブ110の走行方向が第1の方向に設定される。
【0121】
未使用領域の位置出しが完了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kがメンテナンス位置に向けて送られ、このメンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ110が押し当てられて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。具体的には、次のように行われる。
【0122】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、図11(a)に示すように、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各クリーナ100C、100M、100Y、100Kの押圧ローラ118は、所定の退避位置に位置している。
【0123】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が押圧当接される(図11(b))。
【0124】
押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、巻取モータ120が駆動される。これにより、払拭ウェブ110が一定速度で巻取リール116に巻き取られ、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が一定の走行速度VW1で走行する。
【0125】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度VH1で送られる。
【0126】
この結果、図11(c)に示すように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に払拭ウェブ110が走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ110が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ110によって払拭清掃される。
【0127】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、図11(d)に示すように、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ110の走行が停止される。
【0128】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、払拭ウェブ110の長手方向に沿って摺動されるため、高い液体吸収力の状態でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0129】
1回目の払拭清掃が終了すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、押圧ローラ118の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃(第2の清掃工程)が行われる。
【0130】
まず、走行方向切換モータ124が回転駆動され、図11(e)に示すように、払拭ウェブ110の走行方向が第2の方向に切り換えられる。
【0131】
走行方向の切り換えが行われると、次に、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。この結果、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が押圧当接される。
【0132】
押圧ローラ118が押圧位置に移動し、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が押圧当接されると、巻取モータ120が駆動される。これにより、払拭ウェブ110が一定速度で巻取リール116に巻き取られ、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が一定の走行速度VW2で走行する。
【0133】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度VH2で送られる。
【0134】
この結果、図11(f)に示すように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して所定角度傾斜した方向(第2の方向)に払拭ウェブ110が走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ110が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ110によって払拭清掃される。
【0135】
そして、このようにヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して所定角度傾斜した方向に払拭ウェブ110が走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブ110が摺接されることにより、払拭ウェブ110は、ヘッド16のノズル面30に対して、相対的に長手方向と直交する方向に摺動される。これにより、低い液体吸収力の状態でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。
【0136】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部が押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ110の走行が停止される。
【0137】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ110でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭するので、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0138】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0139】
一方、各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、昇降用シリンダ126が駆動されて、押圧ローラ118が退避位置に位置する。この後、各ヘッドクリーナ100C、100M、100Y、100Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。また、走行方向が第1の方向に設定されるように、走行方向切換モータ124が駆動され、走行方向が切り換えられる。
【0140】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0141】
以上説明したように、本実施の形態のヘッドクリーニング装置70では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブ110の液体吸収力を切り替えて、二回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。すなわち、1回目は、払拭ウェブ110を長手方向に沿って摺動させることにより、高い液体吸収力の状態で払拭し、2回目は、払拭ウェブ110を長手方向と直交する方向に摺動させることにより、低い液体吸収力の状態で払拭する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0142】
なお、本例では、払拭ウェブ110の走行方向を第1の方向に設定して行う1回目の払拭清掃を1回だけ行う構成としているが、複数回行うようにしてもよい。この場合、払拭ウェブ110をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させたまま、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを複数回往復移動させる。払拭ウェブ110の走行方向を第2の方向に設定して行う2回目の払拭清掃についても同様に複数回行うようにしてもよい。
【0143】
また、本例では、1回目、2回目共に払拭ウェブ110を走行させながら、摺動させているが、停止させた状態で摺動させるようにしてもよい。なお、本例のように払拭ウェブ110を走行させながら摺動させることにより、常にクリーンな部位を使ってヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、清掃効果を向上させることができる。
【0144】
また、本例では、1回目の払拭清掃時にヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブ110を逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブ110を押圧当接させているが、同方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させるようにしてもよい。なお、本例のように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブ110を逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブ110を押圧当接させることにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対する払拭ウェブ110の相対的な走行速度を上げることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0145】
また、上記の例では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に移動させる工程で洗浄液の塗布と、第1の払拭清掃と、第2の払拭清掃とを行っているが、メンテナンス位置から描画位置に移動させる工程で洗浄液の塗布と、第1の払拭清掃と、第2の払拭清掃とを行うようにしてもよい。また、この往復の工程で洗浄液の塗布と、第1の払拭清掃と、第2の払拭清掃とを行うようにしてもよい。たとえば、描画位置からメンテナンス位置に移動させる工程で洗浄液の塗布を行い、メンテナンス位置から描画位置に戻す工程で第1の払拭清掃を行う。そして、描画位置からメンテナンス位置に移動させる工程で第2の払拭清掃を行う。これにより、清掃時間を短縮することができる。なお、この場合、適宜、払拭ウェブ110の走行方向を切り換える。
【0146】
また、上記の例では、払拭ウェブ110を押圧ローラ118に巻き掛け、この押圧ローラ118をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させることにより、払拭ウェブ110をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させているが、払拭ウェブ110をヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させる手段は、これに限定されるものではない。
【0147】
たとえば、円弧状のガイド面を有するガイド部材を本体フレームに固定して設置し、このガイド部材のガイド面に払拭ウェブを巻き掛けて、ヘッドのノズル面に押圧当接させる構成としてもよい。また、このように回転しないガイド部材を用いる場合、ガイド面は必ずしも円弧面である必要はなく、ノズル面と平行に設けられた板状のガイド面を形成し、このガイド面に巻き掛けられた払拭ウェブをヘッドのノズル面に押圧当接させるようにしてもよい。これにより、払拭ウェブをヘッドのノズル面に面接触させることができる。
【0148】
また、上記の例では、帯状に形成された払拭ウェブ110を使用しているが、払拭部材の形態は、これに限定されるものではない。布状に形成された払拭部材を使用するようにしてもよい。なお、この場合も向きを変えることにより、液体吸収力が切り換わる払拭部材を使用し、1回目は高い液体吸収力に設定される向きで、2回目は低い液体吸収力に設定される向きでヘッドのノズル面を払拭する。
【0149】
また、上記の例では、払拭ウェブの液体吸収力を高低2段階に切り換え、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしているが、払拭ウェブの液体吸収力を更に多段階に切り換えられるように構成し、複数回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしてもよい。たとえば、走行方向を切り換えることにより、液体吸収力を3段階(高、中、低)に切り換え可能に構成し、3回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしてもよい。この場合、液体吸収力が段階的に低下するように、液体吸収力が切り換えられて、ヘッドのノズル面が払拭される。
【0150】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い状態でヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い状態でヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0151】
[ヘッドクリーナの第2の実施の形態]
図12はヘッドクリーナの第2の実施の形態の平面図、図13はヘッドクリーナの第2の実施の形態の側面図、図14は、図13の14−14断面図である。
【0152】
図12〜14に示すように、本実施の形態のヘッドクリーナ200(200C、200M、200Y、200K)は、液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブ110L、110Rを備えており、1回目と2回目とで使用する払拭ウェブを切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110L(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の高い液体吸収力の払拭ウェブ)を使用してヘッドのノズル面を払拭し、2回目(第2の清掃工程)は液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110R(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力の払拭ウェブ)を使用してヘッドのノズル面を払拭する。
【0153】
この2つの払拭ウェブ110L、110Rは、それぞれ第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rに駆動されて、ヘッド16の移動方向(=ヘッド16の長手方向)と平行に走行する。
【0154】
第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの構成は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100の払拭ウェブ走行駆動ユニット123の構成と同じである。したがって、ここでは同じ構成要素に同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0155】
第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、共にスライドステージ202の上に設置されている。第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rはスライドステージ202の上に対向して配置されており、互いの繰出リール114と、巻取リール116と、押圧ローラ118と、繰出ガイドローラ134と、巻取ガイドローラ138とが同軸上に配置されている。
【0156】
この第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、それぞれ繰出リール114と、巻取リール116と、押圧ローラ118と、繰出ガイドローラ134と、巻取ガイドローラ138とが、ヘッド16の移動方向と直交するように配置されている。これにより、第1の払拭ウェブ110Lと第2の払拭ウェブ110Rを走行させると、ヘッド16の移動方向と平行に走行する。
【0157】
なお、この第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、それぞれ本体フレーム112の底面部112Aをスライドステージ202にネジ止めされて、スライドステージ202に着脱自在に取り付けられる。払拭ウェブを交換する場合は、各払拭ウェブ走行駆動ユニットをスライドステージ202から取り外して行う。
【0158】
スライドステージ202は、対応するヘッド16のノズル面30と平行に設けられており、昇降ステージ204の上にスライド自在に設けられている。
【0159】
昇降ステージ204は、対応するヘッド16のノズル面30と平行に設けられており、その上面に一対のガイドレール206、206が配設されている。一対のガイドレール206、206は、ヘッド16の移動方向と平行に配設されている。スライドステージ202は、このガイドレール206、206の上にスライダ208、208、…を介してスライド自在に設けられている。
【0160】
また、昇降ステージ204の上には、一対のガイドレール206、206の間にスライド駆動モータ210が設けられている。このスライド駆動モータ210の出力軸には、ピニオン212が固着されている。一方、スライドステージ202の裏面には、一対のガイドレール206、206と平行にラック214が形成されており、ピニオン212に噛み合わされている。
【0161】
スライドステージ202は、このスライド駆動モータ210を駆動することにより、ラック214とピニオン212との作用によって、ガイドレール206、206上をスライドする。システムコントローラは、このスライド駆動モータ210の駆動を制御することにより、スライドステージ202の移動を制御し、スライドステージ202を「第1の位置」と「第2の位置」とに位置させる。
【0162】
図15に示すように、スライドステージ202上に設置された第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、スライドステージ202を第1の位置に位置させると、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lがヘッド16の移動経路上に配置され(同図(a))、第2の位置に位置させると、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rがヘッド16の移動経路上に配置される(同図(b))。したがって、スライドステージ202を第1の位置に位置させると、第1の払拭ウェブ110Lでヘッド16のノズル面30を払拭することができ、第2の位置に位置させると、第2の払拭ウェブ110Rでヘッド16のノズル面30を払拭することができる。
【0163】
昇降ステージ204は、昇降用シリンダ216に駆動されることにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。
【0164】
昇降用シリンダ216は、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッド216Aは、昇降ステージ204の下面部に垂直に固着されている。第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rは、この昇降用シリンダ216を駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lと第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rが、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、各払拭ウェブ走行駆動ユニットに設けられた押圧ローラ118が、所定の押圧位置と退避位置の間を移動する。
【0165】
対応するヘッド16の移動経路上に配置された押圧ローラ118は、押圧位置に移動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接され、退避位置に移動することにより、ヘッド16のノズル面30から離間する。したがって、たとえば、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが対応するヘッド16の移動経路上に配置された場合(スライドステージ202が第1の位置に位置した場合)、昇降用シリンダ216を駆動して、昇降ステージ204を昇降移動させると、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110Lが、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接/離間される。一方、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rが対応するヘッド16の移動経路上に配置された場合(スライドステージ202が第2の位置に位置した場合)、昇降用シリンダ216を駆動して、昇降ステージ204を昇降移動させると、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110Rが、対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接/離間される。
【0166】
本実施の形態のヘッドクリーナ200(200C、200M、200Y、200K)は、以上のように構成される。
【0167】
各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kは、図示しない支持フレームに取り付けられて、描画位置とメンテナンス位置との間に設定された所定の設置位置に設置され、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられる(図4参照)。
【0168】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0169】
上記第1の実施の形態のヘッドクリーニング装置と同様にヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニングは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液を塗布したのち、払拭ウェブ110で払拭することにより行われる。そして、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いたヘッドクリーニング装置においても、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭ウェブで払拭する際、2回に分けて払拭する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は、走行方向を液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lを用いてノズル面を払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110Rを用いてノズル面を払拭する。
【0170】
このように、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭することにより、払拭跡や拭き残しを防止することができる。すなわち、1回目の液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lによる払拭でノズル面に存在する大きな液滴を除去し、拭き残しを防止する。そして、その後の2回目の液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110Rによる払拭で1回目の払拭時に発生した払拭跡を除去するとともに、ノズル穴からのインクの引き出しを防止する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0171】
以下、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いた具体的なヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニング方法について説明する。
【0172】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0173】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。
【0174】
洗浄液の塗布が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、一度、描画位置に復帰する。この後、1回目の払拭清掃(第1の清掃工程)が行われる。
【0175】
上記のように、この1回目の払拭は、液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lを用いて行われる。
【0176】
まず、スライド駆動モータ210を駆動して、スライドステージ202を第1の位置に移動させる(スライドステージ202が第1の位置に位置していない場合)。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動経路上に第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが位置する。
【0177】
また、このとき第1の払拭ウェブ110Lの未使用領域の位置出しが行行われていない場合は位置出しが行われる。そして、この未使用領域の位置出しが完了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて所定量送られる。
【0178】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kの押圧ローラ118は退避位置に位置している。
【0179】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ216が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118に巻き掛けられた第1の払拭ウェブ110Lが押圧当接される。
【0180】
第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118に巻き掛けられた第1の払拭ウェブ110Lが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの巻取モータ120が駆動される。これにより、第1の払拭ウェブ110Lが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118Lに巻き掛けられた第1の払拭ウェブ110Lが一定の走行速度で走行する。
【0181】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0182】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に第1の払拭ウェブ110Lが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って第1の払拭ウェブ110Lが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する第1の払拭ウェブ110Lによって払拭清掃される。
【0183】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、第1の払拭ウェブ110Lの走行が停止される。
【0184】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、液体吸収力の高い第1の払拭ウェブ110Lを用いて払拭する。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0185】
1回目の払拭清掃が終了すると、昇降用シリンダ216が駆動され、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lの押圧ローラ118の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃(第2の清掃工程)が行われる。
【0186】
まず、使用する払拭ウェブの切り換えが行われる。すなわち、スライド駆動モータ210が駆動され、スライドステージ202が第22の位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動経路上に第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rが位置する。
【0187】
また、このとき第2の払拭ウェブ110Rの未使用領域の位置出しが行われていない場合は、第2の払拭ウェブ110Rの位置出しが行われる。そして、この未使用領域の位置出しが完了すると、昇降用シリンダ216が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた第2の払拭ウェブ110Rが押圧当接される。
【0188】
第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた第2の払拭ウェブ110Rが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの巻取モータ120が駆動される。これにより、第2の払拭ウェブ110Rが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Rの押圧ローラ118に巻き掛けられた第2の払拭ウェブ110Rが一定の走行速度で走行する。
【0189】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0190】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に第2の払拭ウェブ110Rが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って第2の払拭ウェブ110Rが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する第2の払拭ウェブ110Rによって払拭清掃される。
【0191】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、第2の払拭ウェブ110Rの走行が停止される。
【0192】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、液体吸収力の低い第2の払拭ウェブ110Rを用いて行われるため、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0193】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0194】
一方、各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kは、昇降用シリンダ126が駆動されて、押圧ローラ118が退避位置に位置する。この後、各ヘッドクリーナ200C、200M、200Y、200Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。また、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが、ヘッド16の移動経路上に位置するように、スライドステージ202が移動される。
【0195】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0196】
以上説明したように、本実施の形態では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブの液体吸収力を切り替えて、二回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃するので、上記第1の実施の形態と同様に、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0197】
また、このように液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを使用することにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も拡大することができる。
【0198】
なお、本例では、第1の払拭ウェブ110Lを用いて行う1回目の払拭清掃を1回だけ行う構成としているが、複数回行うようにしてもよい。第2の払拭ウェブ110Rを用いて行う2回目の払拭清掃についても同様に複数回行うようにしてもよい。
【0199】
また、本例では、1回目、2回目共に払拭ウェブを走行させながら、摺動させているが、停止させた状態で摺動させるようにしてもよい。なお、本例のように払拭ウェブを走行させながら摺動させることにより、常にクリーンな部位を使ってヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、清掃効果を向上させることができる。
【0200】
また、本例では、払拭ウェブをヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させているが、同方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させるようにしてもよい。なお、本例のように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブを逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させることにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対する払拭ウェブ110の相対的な走行速度を上げることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0201】
また、上記の例では、液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を2回に分けて払拭清掃するようにしているが、液体吸収力の異なる複数の払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を複数回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。たとえば、液体吸収力の異なる3つの払拭ウェブ(高、中、低)を使用し、ヘッドのノズル面を3回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。この場合、液体吸収力が低下するように払拭ウェブが切り換えられて、ヘッドのノズル面が払拭される。
【0202】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0203】
[ヘッドクリーナの第3の実施の形態]
図16はヘッドクリーナの第3の実施の形態の正面図、図17はヘッドクリーナの第3の実施の形態の平面図である。
【0204】
図16、17に示すように、本実施の形態のヘッドクリーナ300(300C、300M、300Y、300K)も上述した第2の実施の形態のヘッドクリーナ200と同様に液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブ110M、110Nを備えており、1回目と2回目とで使用する払拭ウェブを切り換えて、ヘッドのノズル面を払拭清掃する。
【0205】
そして、本実施の形態のヘッドクリーナ300は、ヘッド16の移動方向に沿って前後に払拭ウェブ110M、110Nが配置されている点で上述した第2の実施の形態のヘッドクリーナ200と相違している。
【0206】
前段の払拭ウェブ110Mは、液体吸収力の高い払拭ウェブ(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭ウェブ)であり、まず、この前段の払拭ウェブ110Mを使用してヘッド16のノズル面30を払拭する。
【0207】
後段の払拭ウェブ110Nは、液体吸収力の低い払拭ウェブヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭ウェブ)であり、液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mでヘッド16のノズル面30を払拭後、この後段の払拭ウェブ110Nを使用してヘッド16のノズル面30を払拭する。
【0208】
この前段の払拭ウェブ110Mと後段の払拭ウェブ110Nは、それぞれ前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nに駆動されて、ヘッド16の移動方向(=ヘッド16の長手方向)と平行に走行する。
【0209】
前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nと、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの構成は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100の払拭ウェブ走行駆動ユニット123の構成と同じである。したがって、ここでは同じ構成要素に同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0210】
前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nは、それぞれ昇降用シリンダ302M、302Nに駆動されて、個別に昇降移動する。
【0211】
前段の昇降用シリンダ302Mは、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッドは、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの本体フレーム112の底面部112Aに垂直に固着されている。前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mは、この昇降用シリンダ302Mを駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mが、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mに設けられた押圧ローラ118が、所定の押圧位置と退避位置の間を移動する。そして、この押圧ローラ118が所定の押圧位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接される。また、この押圧ローラ118が所定の退避位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが対応するヘッド16のノズル面30から離間する。
【0212】
後段の昇降用シリンダ302Nは、ヘッドクリーニング装置本体(図示せず)に固定されており、そのロッドは、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの本体フレーム112の底面部112Aに垂直に固着されている。後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nは、この昇降用シリンダ302Nを駆動することにより、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動する。そして、この後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nが、対応するヘッド16のノズル面30に対して垂直に進退移動することにより、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nに設けられた押圧ローラ118が、所定の押圧位置と退避位置の間を移動する。そして、この押圧ローラ118が所定の押圧位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが対応するヘッド16のノズル面30に押圧当接される。また、この押圧ローラ118が所定の退避位置に位置することにより、押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが対応するヘッド16のノズル面30から離間する。
【0213】
本実施の形態のヘッドクリーナ300(300C、300M、300Y、300K)は、以上のように構成される。
【0214】
各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kは、図示しない支持フレームに取り付けられて、描画位置とメンテナンス位置との間に設定された所定の設置位置に設置され、対応するヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対向して設けられる(図4参照)。
【0215】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナ300を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0216】
上記第1の実施の形態のヘッドクリーニング装置と同様にヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニングは、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの全面に洗浄液を塗布したのち、払拭ウェブ110で払拭することにより行われる。そして、本実施の形態のヘッドクリーナ200を用いたヘッドクリーニング装置においても、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭ウェブで払拭する際、2回に分けて払拭する。すなわち、1回目(第1の清掃工程)は、走行方向を液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mを用いてノズル面を払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、液体吸収力の低い後段の払拭ウェブ110Nを用いてノズル面を払拭する。
【0217】
このように、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭することにより、払拭跡や拭き残しを防止することができる。すなわち、1回目の液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mによる払拭でノズル面に存在する大きな液滴を除去し、拭き残しを防止する。そして、その後の2回目の液体吸収力の低い後段の払拭ウェブ110Nによる払拭で1回目の払拭時に発生した払拭跡を除去するとともに、ノズル穴からのインクの引き出しを防止する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0218】
以下、本実施の形態のヘッドクリーナ300を用いた具体的なヘッド16C、16M、16Y、16Kのクリーニング方法について説明する。
【0219】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0220】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。
【0221】
洗浄液の塗布が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、一度、描画位置に復帰する。この後、1回目の払拭清掃(第1の清掃工程)が行われる。
【0222】
上記のように、この1回目の払拭は、液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mを用いて行われる。
【0223】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて所定量送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kの前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118は退避位置に位置している。
【0224】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの昇降用シリンダ302Mが駆動され、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが押圧当接される。
【0225】
前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118に巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの巻取モータ120が駆動される。これにより、前段の払拭ウェブ110Mが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118Lに巻き掛けられた前段の払拭ウェブ110Mが一定の走行速度で走行する。
【0226】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0227】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に前段の払拭ウェブ110Mが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って前段の払拭ウェブ110Mが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する前段の払拭ウェブ110Mによって払拭清掃される。
【0228】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、前段の払拭ウェブ110Mの走行が停止される。
【0229】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、液体吸収力の高い前段の払拭ウェブ110Mを用いて払拭する。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0230】
1回目の払拭清掃が終了すると、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの昇降用シリンダ302Mが駆動され、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mの押圧ローラ118が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃(第2の清掃工程)が行われる。
【0231】
まず、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの昇降用シリンダ302Nが駆動され、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが押圧当接される。
【0232】
後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの巻取モータ120が駆動される。これにより、後段の払拭ウェブ110Nが一定速度で巻取リール116に巻き取られ、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118に巻き掛けられた後段の払拭ウェブ110Nが一定の走行速度で走行する。
【0233】
また、これと同時にヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の移動速度で送られる。
【0234】
この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向に後段の払拭ウェブ110Nが走行しながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って後段の払拭ウェブ110Nが摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する後段の払拭ウェブ110Nによって払拭清掃される。
【0235】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、後段の払拭ウェブ110Nの走行が停止される。
【0236】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、液体吸収力の低い後段の払拭ウェブ110Nを用いて行われるため、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0237】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0238】
一方、各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kは、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの昇降用シリンダ302Nが駆動されて、後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nの押圧ローラ118が退避位置に位置する。この後、各ヘッドクリーナ300C、300M、300Y、300Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。また、第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Lが、ヘッド16の移動経路上に位置するように、スライドステージ202が移動される。
【0239】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0240】
以上説明したように、本実施の形態では、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブの液体吸収力を切り替えて、二回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃するので、上記第1の実施の形態と同様に、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0241】
また、このように液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを使用することにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も拡大することができる。
【0242】
なお、本例では、前段の払拭ウェブ110Mを用いて行う1回目の払拭清掃を1回だけ行う構成としているが、複数回行うようにしてもよい。後段の払拭ウェブ110Nを用いて行う2回目の払拭清掃についても同様に複数回行うようにしてもよい。
【0243】
また、本例では、1回目、2回目共に払拭ウェブを走行させながら、摺動させているが、停止させた状態で摺動させるようにしてもよい。なお、本例のように払拭ウェブを走行させながら摺動させることにより、常にクリーンな部位を使ってヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、清掃効果を向上させることができる。
【0244】
また、本例では、払拭ウェブをヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させているが、同方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接させるようにしてもよい。なお、本例のように、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、払拭ウェブを逆方向に走行させながら、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウェブを押圧当接させることにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対する払拭ウェブ110の相対的な走行速度を上げることができ、清掃効果を向上させることができる。
【0245】
また、上記の例では、液体吸収力の異なる2つの払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を2回に分けて払拭清掃するようにしているが、液体吸収力の異なる複数の払拭ウェブを用いることにより、ヘッドのノズル面を複数回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。たとえば、液体吸収力の異なる3つの払拭ウェブ(高、中、低)を使用し、ヘッドのノズル面を3回に分けて払拭清掃するようにしてもよい。この場合、液体吸収力が段階的に低下するように払拭ウェブが切り換えられて、ヘッドのノズル面が払拭される。
【0246】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0247】
また、上記の例では、前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Mと後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット123Nを各々個別に昇降移動させるようにしているが、同時に昇降移動させるようにしてもよい。これにより、一度に前段の払拭ウェブ110Mを用いた払拭清掃と、後段の払拭ウェブ110Nを用いた払拭清掃とを同時に行うことができる。
【0248】
[ヘッドクリーナの第4の実施の形態]
図18は、ヘッドクリーナの第4の実施の形態の正面図である。
【0249】
本実施の形態のヘッドクリーナ400(400C、400M、400Y、400K)も払拭ウェブの液体吸収力を切り換えて、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭清掃する。
【0250】
そして、本実施の形態のヘッドクリーナ400は、払拭ウェブに液体を付与することにより、払拭ウェブの液体吸収力を切り換える。このため、図18に示すように、本実の形態のヘッドクリーナ400には、払拭ウェブ110に洗浄液を付与するための液体付与ノズル410が備えられている。この液体付与ノズル410が設けられている点以外は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100と同じである。したがって、ここでは、この液体付与ノズル410についてのみ説明する。
【0251】
図18に示すように、液体付与ノズル410は、繰出ガイドローラ134と押圧ローラ118との間に設置されている。この液体付与ノズル410は、払拭ウェブ402の幅に対応した噴射口を有しており、繰出ガイドローラ134と押圧ローラ118との間を走行する払拭ウェブ402に液体を噴射して、払拭ウェブ402を湿潤させる。
【0252】
液体は、液体付与ノズル410に接続された液体供給パイプ412を介して液体タンク414から供給され、その液体供給パイプ412の途中に設けられた液体噴射ポンプ416を駆動することにより、液体付与ノズル410から液体が噴射される。
【0253】
なお、液体は、払拭ウェブ402の液体吸収力を低下させることを目的とするものであるから、その目的がかなうものであれば、種類については特に限定されない。したがって、たとえば、洗浄液を付与するようにすることもできる。
【0254】
また、使用する払拭ウェブ402についても、上述した第1の実施の形態の払拭ウェブ110のように、必ずしも摺動させる向きによって液体吸収力が切り換わるようなものを使用する必要はない。
【0255】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナを用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0256】
払拭ウェブの液体吸収力を切り換えて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを2回に分けて払拭する点は上述した第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、1回目(第1の清掃工程)は、通常の状態の払拭ウェブ(ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しを生じない高い液体吸収力の払拭ウェブ))で払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、事前に液体を付与して液体吸収力を低下させた状態の払拭ウェブ(ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度まで液体吸収力を低下させた状態の払拭ウェブ)で払拭する。具体的には、次のように払拭する。
【0257】
まず、払拭ウェブの非湿潤領域の位置出しが行われる。非湿潤領域が位置出しされると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、クリーナ100C、100M、100Y、100Kの押圧ローラ118は、所定の退避位置に位置している。
【0258】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ118が押圧位置に移動する。この結果、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ402が押圧当接される。
【0259】
この後、巻取モータ120が駆動されて、払拭ウェブ402が一定の速度で巻取リール116に巻き取られるとともに、ヘッド送りモータ60が駆動されて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ402が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、走行する払拭ウェブ402によって払拭清掃される。
【0260】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ118の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ402の走行も停止される。これにより、1回目の払拭清掃が終了する。
【0261】
1回目の払拭清掃が終了すると、押圧ローラ118が一旦退避位置に退避する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、押圧ローラ118の設置位置に位置するように戻される。
【0262】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kの一方側の端部が、押圧ローラ118の設置位置に位置すると、押圧ローラ118が押圧位置に移動し、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ402が押圧当接される。
【0263】
この後、巻取モータ120が駆動されて、払拭ウェブ402が一定の速度で巻取リール116に巻き取られるとともに、ヘッド送りモータ60が駆動されて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。また、これと同時に液体噴射ポンプ416が駆動され、液体付与ノズル410から払拭ウェブ402に向けて液体が噴射される。これにより、押圧ローラ118に巻き掛けられる前の払拭ウェブ402に液体が付与され、押圧ローラ118に巻き掛けられる前の払拭ウェブ402の液体吸収力が強制的に低下させられる。そして、このように液体付与ノズル410から払拭ウェブ402に向けて液体を噴射しながら払拭ウェブ402を巻取リール116に巻き取ることにより、事前に液体が付与された湿潤された払拭ウェブ110が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、湿潤された払拭ウェブ110によって払拭清掃される。
【0264】
このように、2回目の払拭清掃は、液体を付与して湿潤させた払拭ウェブ402、すなわち、液体吸収力が強制的に低下させられた払拭ウェブ402を用いて行われる。そして、このように湿潤させた払拭ウェブ402を用いて2回目の払拭清掃を行うことにより、1回目の払拭時に払拭跡が発生している場合であっても、これを効果的に除去することができる。また、このように湿潤させた払拭ウェブ402を用いて2回目の払拭清掃を行うことにより、払拭によってノズル穴からのインクが引き出されるのも防止することができる。
【0265】
各ヘッドクリーナ400C、400M、400Y、400Kは、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの他方側の端部が、押圧ローラ118を通過すると、払拭ウェブ402の走行が停止される。また、これと同時に液体噴射ポンプ416の駆動も停止される。
【0266】
一方、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0267】
払拭ウェブ402の走行が停止されたヘッドクリーナ400C、400M、400Y、400Kは、押圧ローラ118が退避位置に退避され、これにより、クリーニング動作が終了する。
【0268】
この後、ヘッドクリーナ400C、400M、400Y、400Kは、必要に応じて、次回のクリーニングのために、未使用領域の位置出しが行われる。
【0269】
以上説明したように、本実施の形態においても、一度ノズル面30C、30M、30Y、30Kを液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ402で払拭清掃したのち、液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ402でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。また、このように払拭ウェブ402を湿潤させて吸収力を切り換えることにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も拡大することができる。
【0270】
なお、本例では、本体フレーム112に設けられた液体付与ノズル410から払拭ウェブ402に液体を付与して、払拭ウェブ402を湿潤させる用にしているが、払拭ウェブ402を湿潤させる方法は、これに限定されるものではない。たとえば、ヘッド16のノズル面30に付与した洗浄液(特にノズルが形成されていない部分に付与した洗浄液)を払拭ウェブ402に吸収させて、払拭ウェブ402を湿潤させるようにしてもよい。この場合、払拭ウェブ402を所定量巻き戻して使用する。
【0271】
また、本例では、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭するようにしているが、払拭ウェブの液体吸収力を段階的に切り換えることにより、複数回に分けて払拭するようにしてもよい。
【0272】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い状態の払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い状態の払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0273】
[ヘッドクリーナの第5の実施の形態]
図19は、ヘッドクリーナの第5の実施の形態の側面図である。
【0274】
本実施の形態のヘッドクリーナ500は、押圧ローラ510に吸引機構が備えられており、押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブを吸引できるように構成されている。
【0275】
本実施の形態のヘッドクリーナ500は、この押圧ローラ510による払拭ウェブの吸引力を切り換えることにより、払拭ウェブの液体吸収力を切り換える。
【0276】
なお、押圧ローラに吸引機構が備えられている点以外は、上述した第1の実施の形態のヘッドクリーナ100と同じである。したがって、ここでは、この押圧ローラ510の吸引機構についてのみ説明する。
【0277】
図20は、押圧ローラ510の正面図であり、図21は、その断面図である。また、図220は、図21の22−22断面図である。
【0278】
同図に示すように、押圧ローラ510は、内管512と外管514とからなる二重管構造で構成されており、その周面に多数の吸引穴516が形成されている。
【0279】
内管512は、SUS等で形成され、円筒状に形成された胴部512Aと、その胴部512Aの両端に突出して形成されて軸部512B、512Cと、基端部側の軸部512Cに形成されたフランジ部512Dとで構成されている。
【0280】
胴部512Aは、所定の外径をもって形成されており、その頂部に一定の角度範囲で開口部512Eが形成されている。この開口部512Eは、押圧ローラ510の外周に巻き掛けられる払拭ウェブ502の巻き掛け角度(ラップ角)に対応して形成されており、その周囲にはパッキン513Fが取り付けられている。
【0281】
先端側の軸部512Bは、円柱状に形成されており、胴部512Aの先端側の端面の中央から所定量突出して形成されている。
【0282】
基端部側の軸部512Cは、円筒状に形成されており、胴部512Aの基端部側の端面の中央から所定量突出して形成されている。この軸部512Cの内周は、胴部512Aの内周に連通されている。
【0283】
フランジ部512Dは、基端部側の軸部512Cの途中に設けられており、軸部512Cに直交するようにして、軸部512Cに一体成形されている。内管512は、その基端部側の軸部512Cを本体フレーム112の壁面部112Bに形成された押圧ローラ取付穴112bに挿通するとともに、そのフランジ部512Dを図示しないビスで本体フレーム112の壁面部112Bに固定することにより、本体フレーム112の壁面部112Bに取り付けられる。そして、このようにして取り付けられた内管512は、本体フレーム112の壁面部112Bに対して垂直に取り付けられる。
【0284】
外管514は、SUS等で形成され、円筒状に形成された胴部514Aと、その胴部514Aの両端に突出して形成された軸部514B、514Cと、胴部514Aの外周に被覆された弾性被覆514Dとで構成されている。
【0285】
胴部514Aは、円筒状に形成されており、その内径は内管512の胴部512Aの外径とほぼ同じ径に形成されている。この外管514の胴部514Aは、内管512の胴部512Aの外周に嵌められて、その周りを周方向に摺動自在に設けられている。
【0286】
両端の軸部514B、514Cは、円筒状に形成されており、胴部514Aの両側の端面の中央から所定量突出して形成されている。この軸部512Cは、軸受518B、518Cを介して、内管512の軸部512B、512Cの外周に回動自在に支持されている。外管514は、この軸受518B、518Cを介して、内管512の外周に回動自在に支持されている。
【0287】
弾性被覆514Dは、ポリウレタンやオレフィン等の弾性体で構成されており、胴部514Aの外周に一定の厚さをもって形成されている。払拭ウェブ502は、この弾性被覆514Dを介してヘッド16のノズル面30に押圧当接される。これにより、払拭ウェブ502をヘッド16のノズル面30に適切に押圧当接させることができる。
【0288】
吸引穴516は、所定の径(たとえば、直径1mm程度)をもって、外管514の周面に一定の配置パターン(本例では、千鳥状)で多数形成されている。この吸引穴516は、外管514の内部に貫通して形成されている。
【0289】
上記のように、外管514は、内管512の外周部を周方向に摺動自在に設けられている。一方、内管512は、その頂部にのみ開口部512Eが形成されている。したがって、外管514に形成された各吸引穴516は、内管512に形成された開口部512Eの上に位置したときにのみ内管512の内部に連通される。
【0290】
以上のように構成された押圧ローラ510は、その外管514の外周に所定のラップ角で払拭ウェブ502が巻き掛けられる。外管514の外周に巻き掛けられた払拭ウェブ502は、内管512の内部のエアを吸引して、内管512の内部を負圧にすることにより、押圧ローラ510に吸引される。そして、この押圧ローラ510に吸引されることにより、払拭ウェブ502は、押圧ローラ510に巻き掛けられた箇所(=ヘッドのノズル面に当接される箇所)の液体吸収力が高められる。また、この押圧ローラ510による吸引力を調整することにより、押圧ローラ510に巻き掛けられた箇所の液体吸収力を調整することができる。
【0291】
内管512の内部のエアの吸引は、内管512の基端部側の軸部512Cを介して行われる。内管512の基端部側の軸部512Cは、本体フレーム112の壁面部112Bを貫通して設けられており、その先端にはジョイント520を介して吸引パイプ522が連結されている。
【0292】
吸引パイプ522は、図19に示すように、吸引ポンプ524を介して、回収タンク526に接続されている。内管512は、この吸引ポンプ524を駆動することにより、内部のエアが吸引され、内部が負圧にされる。
【0293】
システムコントローラは、この吸引ポンプ524の駆動を制御することにより、押圧ローラ510による払拭ウェブ502の吸収力を制御する。
【0294】
[ヘッドクリーニング方法]
次に、本実施の形態のヘッドクリーナ500を用いたヘッドのクリーニング方法について説明する。
【0295】
本実施の形態においても、ヘッドのノズル面を2回に分けて払拭する。そして、本実施の形態では、1回目(第1の清掃工程)は、払拭ウェブ502を吸引して、液体吸収力の高い状態の払拭ウェブ502(ノズル面を払拭しても拭き残しが生じない程度の高い液体吸収力の状態の払拭ウェブ)で払拭し、2回目(第2の清掃工程)は、払拭ウェブ502の吸引力を弱めて、あるいは、払拭ウェブ502を吸引せずに、液体吸収力の低い状態の払拭ウェブ502(ノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力の状態の払拭ウェブ)で払拭する。具体的には、次のように払拭する。
【0296】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着しているインク由来の付着物を溶解するためにノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布する。
【0297】
洗浄液の塗布は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kを描画位置からメンテナンス位置に向けて移動(あるいは、メンテナンス位置から描画位置に移動)させるとともに、洗浄液塗布ノズル80C、80M、80Y、80Kから各ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに向けて洗浄液を噴射することにより行われる。
【0298】
洗浄液の塗布が終了すると、1回目の払拭清掃が行われる。上記のように、この1回目の払拭は、吸収力の高い状態の払拭ウェブを使用して行われる。すなわち、押圧ローラ510で吸引して吸収力を高めた状態の払拭ウェブ502を使用して行われる。具体的には、次のように行われる。
【0299】
まず、払拭ウェブの未使用領域の位置出しが行われる。すなわち、払拭ウェブ502の未使用領域が、押圧ローラ510に巻き掛けられるように、払拭ウェブ502の位置出しが行われる。この工程は使用済み領域検出センサ122の出力に基づいて行われ、使用済み領域検出センサ122でウェット領域が検出されなくなるまで、払拭ウェブ502を巻取リール116に巻き取ることにより行われる。
【0300】
未使用領域の位置出しが完了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kがメンテナンス位置に向けて送られ、このメンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ502が押し当てられて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。具体的には、次のように行われる。
【0301】
まず、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて送られる。メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部(メンテナンス位置側の端部)が、押圧ローラ510の設置位置に到達すると一旦停止する。なお、このとき、各クリーナ500C、500M、500Y、500Kの押圧ローラ510は、所定の退避位置に位置している。
【0302】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kが停止すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ510が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が押圧当接される。
【0303】
押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、吸引ポンプ524が駆動され、押圧ローラ510内のエアが所定の吸引力で吸引される。この結果、押圧ローラ510の内部が負圧にされ、押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ(=ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接された払拭ウェブ)502が所定の吸引力で吸引される。
【0304】
この後、巻取モータ120が駆動されて、払拭ウェブ502が一定の速度で巻取リール116に巻き取られるとともに、ヘッド送りモータ60が駆動されて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ502が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ502によって払拭清掃される。
【0305】
なお、このとき払拭ウェブ502は、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と逆方向に走行する。これにより、相対的な速度差を大きくすることができ、清掃効果を高めることができる。
【0306】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部(描画位置側の端部)が、押圧ローラ510の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ502の走行とエアの吸引が停止される。
【0307】
以上により、1回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この1回目の払拭清掃は、払拭ウェブ502が吸引されながら行われるため、吸収力の高い状態の払拭ウェブ502でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、拭き残しを生じることなく、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。
【0308】
1回目の払拭清掃が終了すると、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ510が退避位置に移動する。また、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが描画位置に向けて戻される。描画位置に向けて戻されたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その一方側の端部が、押圧ローラ510の設置位置に位置すると、送りが停止される。この後、2回目の払拭清掃が行われる。
【0309】
まず、昇降用シリンダ126が駆動され、押圧ローラ510が押圧位置に移動する。これにより、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が押圧当接される。
【0310】
押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ502が、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接されると、巻取モータ120が駆動され、払拭ウェブ502が一定の速度で巻取リール116に巻き取られる。これにより、押圧ローラ510に巻き掛けられた払拭ウェブ(=ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接された払拭ウェブ)502が巻取リール116に向かって走行する。
【0311】
また、この巻取モータ120の駆動に同期して、ヘッド送りモータ60が駆動され、ヘッド16C、16M、16Y、16Kが、メンテナンス位置に向けて一定の速度で送られる。この結果、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに沿って払拭ウェブ502が摺接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ502によって払拭清掃される。
【0312】
また、上記1回目の払拭清掃と異なり、この2回目の払拭清掃では、払拭ウェブ502が吸引されずに、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに摺接される。これにより、吸引力の低い状態の払拭ウェブ502を用いて、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。
【0313】
メンテナンス位置に向けて送られたヘッド16C、16M、16Y、16Kは、他方側の端部が押圧ローラ510の設置位置に達すると、送りが停止される。そして、このヘッド16C、16M、16Y、16Kの送り停止に同期して、払拭ウェブ502の走行が停止される。
【0314】
以上により、2回目の払拭清掃が終了する。上記のように、この2回目の払拭清掃は、払拭ウェブ502を吸引せずに行われるため、吸収力の低い状態の払拭ウェブ502でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。これにより、ノズルからインクを引き出すことなく(払拭跡を生じることなく)、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃することができる。また、1回目の払拭清掃時に払拭跡が生じている場合には、これを効果的に拭い去ることができる。
【0315】
2回目の払拭清掃が終了すると、ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、そのままメンテナンス位置に向けて送られる。
【0316】
一方、各ヘッドクリーナ500C、500M、500Y、500Kは、昇降用シリンダ126が駆動されて、押圧ローラ510が退避位置にする。この後、各ヘッドクリーナ500C、500M、500Y、500Kは、必要に応じて次回のクリーニングのために、未使用領域の位置出しが行われる。
【0317】
以上の工程でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kのクリーニングが完了する。
【0318】
以上説明したように、本実施の形態においても、ヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する払拭ウェブ502の液体吸収力を切り替えて、2回に分けてヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。すなわち、1回目は、払拭ウェブ502を吸引して、吸収力の高い状態の払拭ウェブ502でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃し、2回目は、払拭ウェブ502を吸引せずに、吸収力の低い状態の払拭ウェブ502でヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭清掃する。これにより、払拭跡や拭き残しを生じさせることなくノズル面30C、30M、30Y、30Kをクリーニングすることができる。
【0319】
また、このように吸引によって払拭ウェブ502の吸収力を切り換えることにより、使用可能な払拭ウェブの選択の幅も広げることができる。
【0320】
また、本例では、2回に分けてヘッドのノズル面を払拭するようにしているが、払拭ウェブの液体吸収力を段階的に切り換えることにより、複数回に分けて払拭するようにしてもよい。この場合、押圧ローラ520による払拭ウェブ502の吸引力を段階的に切り換えて、払拭ウェブの液体吸収力を段階的に切り換える。
【0321】
なお、この場合においても、各段階での払拭は複数回行うようにようにしてもよい。すなわち、本実施の形態では、少なくとも1回液体吸収力の高い払拭ウェブでヘッドのノズル面を払拭清掃し、最後に液体吸収力の低い払拭ウェブでヘッドのノズル面が払拭清掃されていればよい。
【0322】
また、本実施の形態において、液体吸収力は、押圧穴から吸引力を制御して調整するので、使用する払拭ウェブ自体の吸収能力は、低いほうが望ましい(吸収能力が高いと、2回目の払拭時に、払拭跡を発生させるため)。
【0323】
[その他の実施の形態]
本実施の形態のヘッドクリーナには、それぞれ使用済み領域検出センサ122を設けているが、使用済み領域検出センサ122は、必ずしも設置する必要はなく、払拭ウェブの巻き取り、巻き戻し量を制御して、所要の位置出しを行うようにしてもよい。なお、使用済み領域検出センサ122を設置することにより、正確な位置出しが可能になるとともに、払拭ウェブの有無も検出することができるようになる。
【0324】
また、本例では、インク由来の付着物が溶解するために、事前にノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を塗布して、ノズル面30C、30M、30Y、30Kをウェット化しているが、ノズル面30C、30M、30Y、30Kをウェット化する方法は、これに限定されるものではない。たとえば、インクをウェット液に用いることもできる。この場合、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズルからインクを滲み出させて、ノズル面30C、30M、30Y、30Kをウェット化する。また、この場合、キャップでノズル面30C、30M、30Y、30Kを封止して、キャップ内を減圧し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kにインクを吸引して、ノズルからインクを滲み出させる。あるいは、インクタンクからヘッドまでの流路を加圧してノズル面からインクを滲み出させる。
【0325】
また、上記一連の実施の形態では、ラインヘッドのノズル面を払拭清掃する場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。いわゆるシャトルスキャン方式のヘッドのノズル面を払拭清掃する場合にも同様に適用することができる。
【0326】
また、上記一連の実施の形態では、ヘッド側を移動させて、ヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしているが、ヘッドクリーニング装置側を移動させて、ヘッドのノズル面を払拭清掃するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0327】
10…描画部、12…用紙(記録媒体)、14…描画ドラム、16(16C、16M、16Y、16K)…ラインヘッド、18…回転軸、20…本体フレーム、22…軸受、24…グリッパ、26…搬送ドラム、28…搬送ドラム、30(30C、30M、30Y、30K)…ノズル面、32(32C、32M、32Y、32K)…ノズル列、34…ノズル、40…ヘッド支持フレーム、42L、42R…サイドプレート、44…連結フレーム、46C、46M、46Y、46K…取付部、48C、48M、48Y、48K…被取付部、50…ガイドレール、52…スライダ、54…ネジ棒、56…ナット部、58…軸受、60…ヘッド送りモータ、62…保湿ユニット、70…ヘッドクリーニング装置、80(80C、80M、80Y、80K)…洗浄液塗布ノズル、82(82C、82M、82Y、82K)…洗浄液供給パイプ、84…洗浄液タンク、86(86C、86M、86Y、86K)…洗浄液噴射ポンプ、100(100C、100M、100Y、100K)…ヘッドクリーナ、110…払拭ウェブ、110A、110B…巻芯、110L…第1の払拭ウェブ、110R…第2の払拭ウェブ、110M…前段の払拭ウェブ、110N…後段の払拭ウェブ、112…本体フレーム、112A…底面部、112B…壁面部、114…繰出リール、114A…軸部、116…巻取リール、116A…軸部、118…押圧ローラ、120…巻取モータ、122…使用済み領域検出センサ、123L…第1の払拭ウェブ走行駆動ユニット、123R…第2の払拭ウェブ走行駆動ユニット、123M…前段の払拭ウェブ走行駆動ユニット、123N…後段の払拭ウェブ走行駆動ユニット、126…昇降用シリンダ、130…軸受、132…軸受、134…繰出ガイドローラ、134A…軸部、136…軸受、138…巻取ガイドローラ、138A…軸部、140…軸受、150…巻取駆動ギア、152…巻取従動ギア、154…巻取アイドルギア、154A…軸部、156…軸受、200(200C、200M、200Y、200K)…ヘッドクリーナ、202…スライドステージ、204…昇降ステージ、206…ガイドレール、208…スライダ、210…スライド駆動モータ、212…ピニオン、214…ラック、300(300C、300M、300Y、300K)…ヘッドクリーナ、302M…前段の昇降用シリンダ、302N…後段の昇降用シリンダ、400(400C、400M、400Y、400K)…ヘッドクリーナ、402…払拭ウェブ、410…液体付与ノズル、412…液体供給パイプ、414…液体タンク、416…液体噴射ポンプ、500(500C、500M、500Y、500K)…ヘッドクリーナ、502…払拭ウェブ、510…押圧ローラ、512…内管、512A…胴部、512B…軸部、512C…軸部、512D…フランジ部、512E…開口部、514…外管、514A…胴部、514B…軸部、514C…軸部、514D…弾性被覆、516…吸引穴、520…ジョイント、522…吸引パイプ、524…吸引ポンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭部材をヘッドのノズル面に押圧当接させ、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃するヘッドクリーニング方法において、
第1の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第1の清掃工程と、
前記第1の清掃工程後、前記第1の液体吸収力よりも低い第2の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第2の清掃工程と、
からなることを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項2】
前記第1の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の高い液体吸収力に設定され、
前記第2の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項3】
第1の液体吸収力を有する払拭部材と第2の液体吸収力を有する払拭部材を揃え、使用する払拭部材を切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項4】
摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が第1の液体吸収力と第2の液体吸収力とに切り換わる払拭部材を使用し、該払拭部材の向きを切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項5】
前記払拭部材を帯状に形成し、長手方向に沿って走行させることにより、前記ヘッドのノズル面に対する摺接箇所を変えながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項3又は4に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項6】
前記払拭部材を摺動方向と逆方向に走行させながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項5に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項7】
ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、
液体吸収力の異なる複数の払拭部材と、
前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、
前記押圧手段によって前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる払拭部材を切り換える切換手段と、
前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
を備え、高い液体吸収力を有する払拭部材から低い液体吸収力を有する払拭部材に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置。
【請求項8】
前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭部材と、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭部材とを備え、前記高い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、前記低い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃することを特徴とする請求項7に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項9】
前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項7又は8に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項10】
ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、
摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が切り換わる払拭部材と、
前記払拭部材の向きを変える切換手段と、
前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、
前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
を備え、前記払拭部材の向きを切り換えることにより、前記払拭部材の液体吸収力を高い状態から低い状態に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置。
【請求項11】
前記払拭部材は、第1の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力に設定され、第2の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項10に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項12】
前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項10又は11に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項1】
払拭部材をヘッドのノズル面に押圧当接させ、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃するヘッドクリーニング方法において、
第1の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第1の清掃工程と、
前記第1の清掃工程後、前記第1の液体吸収力よりも低い第2の液体吸収力を有する払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃する第2の清掃工程と、
からなることを特徴とするヘッドクリーニング方法。
【請求項2】
前記第1の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない程度の高い液体吸収力に設定され、
前記第2の液体吸収力は、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない程度の低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項3】
第1の液体吸収力を有する払拭部材と第2の液体吸収力を有する払拭部材を揃え、使用する払拭部材を切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項4】
摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が第1の液体吸収力と第2の液体吸収力とに切り換わる払拭部材を使用し、該払拭部材の向きを切り換えて、前記第1の清掃工程と前記第2の清掃工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項5】
前記払拭部材を帯状に形成し、長手方向に沿って走行させることにより、前記ヘッドのノズル面に対する摺接箇所を変えながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項3又は4に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項6】
前記払拭部材を摺動方向と逆方向に走行させながら、前記ヘッドのノズル面に沿って摺動させることにより、前記ヘッドのノズル面を前記払拭部材で払拭清掃することを特徴とする請求項5に記載のヘッドクリーニング方法。
【請求項7】
ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、
液体吸収力の異なる複数の払拭部材と、
前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、
前記押圧手段によって前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる払拭部材を切り換える切換手段と、
前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
を備え、高い液体吸収力を有する払拭部材から低い液体吸収力を有する払拭部材に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置。
【請求項8】
前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力の払拭部材と、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力の払拭部材とを備え、前記高い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃したのち、前記低い液体吸収力の払拭部材で前記ヘッドのノズル面を払拭清掃することを特徴とする請求項7に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項9】
前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項7又は8に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項10】
ヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置において、
摺動させる方向に対する向きを変えることによって液体吸収力が切り換わる払拭部材と、
前記払拭部材の向きを変える切換手段と、
前記払拭部材を前記ヘッドのノズル面に押圧当接させる押圧手段と、
前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材が前記ヘッドのノズル面に沿って摺動するように、前記ヘッドのノズル面に押圧当接された払拭部材と前記ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
を備え、前記払拭部材の向きを切り換えることにより、前記払拭部材の液体吸収力を高い状態から低い状態に切り換えて、前記ヘッドのノズル面を複数回払拭清掃することを特徴とするヘッドクリーニング装置。
【請求項11】
前記払拭部材は、第1の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭しても拭き残しが発生しない高い液体吸収力に設定され、第2の向きに設定すると、前記ヘッドのノズル面を払拭してもノズルからインクを引き出さない低い液体吸収力に設定されることを特徴とする請求項10に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項12】
前記払拭部材は帯状に形成され、該払拭部材を長手方向に沿って走行させる払拭部材走行駆動手段を有し、該払拭部材走行駆動手段で前記払拭部材を走行させながら前記ヘッドのノズル面に押圧当接させることを特徴とする請求項10又は11に記載のヘッドクリーニング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−234667(P2010−234667A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85585(P2009−85585)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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