説明

ヘッドホンアンプ

【課題】 ヘッドホンにより、サラウンド再生、フロント再生および通常のヘッドホン再生を行う場合に、その仮想音源の位置および再生モードが容易にわかるようにする。
【解決手段】 複数チャンネルのオーディオ信号により形成される音像を、複数の仮想音源位置のどれかに定位させるように信号処理を行うDSP17と、このDSP17によって処理された信号をヘッドホン90に入力するためのD/Aコンバータ18L、18Rとを設ける。DSP17によって処理された信号により形成される仮想音源位置を切り換える仮想音源位置切換手段17、42と、この仮想音源位置切換手段17、42により切り換えられた複数の仮想音源位置と、リスナの位置との関係を連動させて表示する位置表示手段DLF〜DRB、DLH、DRHとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘッドホンアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
映画などの映像に伴うオーディオ信号は、多チャンネルステレオ化され、リスナの左前方、中央前方、右前方、左後方および右後方にそれぞれ配置されたスピーカにより再生することを想定した信号とされている。したがって、このオーディオ信号によると、映像中の音源と、実際に聞こえてくる音像の位置とが一致し、さらにリスナの周囲に自然な広がりを持った音場が確立される。
【0003】
しかし、このようなオーディオ信号もヘッドホンを使用して鑑賞すると、音像は頭の中に定位し、極めて不自然な音像の定位となってしまう。
【0004】
そこで、それぞれのスピーカからリスナの両耳までの伝達関数をシミュレートし、これをデジタルフィルタなどによりオーディオ信号に合成した後、ヘッドホンにより聴取するという方法が考えられている。
【0005】
この方法によれば、音像は頭外に定位するとともに、音場はリスナの周囲に広がりを持って形成されるようになり、スピーカ再生の場合と同等の音場を再現することができる(以下、これを「サラウンド再生」と呼ぶ)。
【0006】
また、オーディオ信号が2チャンネルのステレオ信号であっても、同様の処理を行うことにより、音像は頭外に定位し、リスナの左右前方に配置された2チャンネルのスピーカから再生されているかのように再生することができる(以下、これを「フロント再生」と呼ぶ)。
【0007】
図6は、サラウンド再生およびフロント再生の処理を行うようにしたヘッドホンアンプの前面パネルの一例を示す。そして、サウンドモードスイッチSSMがノンロックタイプのプッシュスイッチにより構成され、このモードスイッチSSMを押すごとに、再生モードが、
サラウンド再生モード→フロント再生モードード→処理なし→サラウンド再生モード→フロント再生モード→…
のように、順に繰り返し切り換わる。なお、「処理なし」は、通常のヘッドホン再生である。
【0008】
また、操作パネルには、各再生モードを示す文字「Surround」、「Front」、「OFF」が例えば刻印されるとともに、その文字の前にLED(D1〜D3)が設けられ、これらLED(D1〜D3)の点灯により再生モードが示される。
【0009】
したがって、このヘッドホンアンプによれば、リスナは好みの再生モードで、あるいはオーディオ信号の内容に見合った最適な再生モードで音楽などを聴くことができる。
【0010】
なお、先行技術文献として例えば以下のものがある。
【特許文献1】特開平2−185200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、図6に示すような操作パネルの表示方法では、再生モードごとの聴感上の微妙な効果の違いを的確に表現することが、非常に困難である。すなわち、再生モードごとの聴感上の効果は、文章ではなんとでも表現できるが、これを、ヘッドホンアンプの前面パネルのような限られたスペースに、リスナ(ユーザ)がイメージしやすく、しかも、簡潔な単語あるいは熟語で的確に表現することは、困難である。
【0012】
この発明は、このような問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明においては、
2チャンネルまたは複数チャンネルのオーディオ信号についてデジタル信号処理を行い、当該信号処理を行った信号をヘッドホンに入力することによって複数の仮想音源位置の仮想音像を切り換えて定位させるヘッドホンアンプであって、
上記2チャンネルまたは複数チャンネルのオーディオ信号を複数の上記仮想音源位置に上記仮想音像を定位させるように複数の信号処理を行う仮想音像信号処理手段と、
上記仮想音像信号処理手段によって処理されたデジタル信号を上記ヘッドホンに入力するための2チャンネルのアナログオーディオ信号に変換するD/A変換手段と、
上記仮想音像信号処理手段によって信号処理された信号に基づいてリスナが上記ヘッドホンで再生した場合の定位させる上記仮想音源位置の仮想音像を切り換える仮想音源位置切換手段と、
上記仮想音源位置切換手段によって切り換えられた複数の上記仮想音源位置と上記ヘッドホン再生の上記リスナの位置関係を連動させて同時に一つの表示部に表示する位置表示手段と
を備えることを特徴とするヘッドホンアンプ
とするものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、サラウンド再生、フロント再生およびヘッドホン再生の状態が視覚的に、かつ、仮想的なスピーカの位置あるいは音源の位置により表示されるので、聴感上の効果を視覚的にイメージすることができる。また、デザイン面の向上を得ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、ヘッドホンアンプの信号系の一例について、図1により説明する。なお、この例においては、入力信号が、2チャンネルステレオのアナログオーディオ信号、あるいはデジタルオーディオ信号の場合である。そして、そのデジタルオーディオ信号は、
(1) CDプレーヤなどから得られるEIAJ制定のフォーマットによる2チャンネルステレオのデジタルオーディオ信号。
(2) DVDプレーヤなどから得られるドルビーデジタルあるいはMPEG2の5チャンネルのデジタルオーディオ信号。
(3) DVDプレーヤなどから得られるドルビーデジタルの疑似5チャンネルのデジタルオーディオ信号(ドルビープロロジック(登録商標)で再生される2チャンネルのデジタルオーディオ信号)。
の場合であり、また、光信号の状態で供給されるものとする。
【0016】
そして、2チャンネルステレオのアナログオーディオ信号が、アナログ入力ジャック(入力コネクタ)11L、11Rを通じてA/Dコンバータ12に供給されてデジタルオーディオ信号にA/D変換され、この信号が入力セレクタ15に供給される。また、上記(1)〜(3)項のデジタルオーディオ信号が、光コネクタ13に供給されて電気信号に変換されてからデジタルオーディオインターフェイス14を通じて入力セレクタ15に供給される。
【0017】
そして、入力セレクタ15において、これに供給されたデジタルオーディオ信号の一方が選択され、その選択された信号がサラウンドデコーダ16に供給される。このデコーダ16においては、これに供給された信号が、リスナの左前方、中央前方、右前方、左後方、右後方に配置されたスピーカに対応するデジタルオーディオデータにデコードされ、あるいはそのままのデジタルオーディオデータとされる。
【0018】
そして、デコーダ16からのデジタルオーディオデータがDSP17に供給されて、上述したヘッドホンにおいてサラウンド再生、フロント再生あるいは通常のヘッドホン再生(処理なし)のための処理が行われる。
【0019】
この場合、その処理方法として、例えば、本出願人が出願した「特願平9−208927号」における方法を使用することができる。すなわち、入力信号が多チャンネルステレオのデジタルオーディオデータのときには、
(A) そのデジタルオーディオデータを2チャンネルのデジタルオーディオデータに変換するとともに、この2チャンネルのデジタルオーディオデータからD/A変換されたアナログオーディオ信号をリスナの左前方および右前方に配置した2つのスピーカに供給したとき、もとの多チャンネルのアナログオーディオ信号をリスナの左前方、中央前方、右前方、左後方、右後方に配置したスピーカに供給したときに得られる再生音場と同等の再生音場が形成されるように、2チャンネルのデジタルオーディオデータに変換する。
【0020】
(B) (A)項の処理に続いて、その2チャンネルのデジタルオーディオデータからD/A変換されたアナログオーディオ信号をヘッドホンに供給したとき、そのアナログオーディオ信号をリスナの左前方および右前方に配置した2つのスピーカに供給しときに得られる再生音場と同等の再生音場が形成されるように、2チャンネルのオーディオデータに変換する。
【0021】
さらに、入力信号が2チャンネルステレオのデジタルオーディオデータのときには、上記(B)項の変換処理だけを行う。
【0022】
以上の処理がDSP17において実行され、DSP17からは、スピーカ再生時と同等の再生音場の得られる2チャンネルのデジタルオーディオデータLV、RV、すなわち、仮想スピーカを実現するデジタルオーディオデータLV、RVが出力される。
【0023】
そして、これらデータLV、RVがD/Aコンバータ18L、18Rに供給されてアナログオーディオ信号にD/A変換され、これら信号が、ローパスフィルタ19L、19Rおよび出力アンプ21L、21Rを通じて左および右チャンネルのヘッドホンジャック(出力コネクタ)22L、22Rに取り出される。そして、このジャック22L、22Rに取り出されたオーディオ信号が、2チャンネルステレオ用のヘッドホン90の左および右チャンネルの音響ユニット(電気/音響変換ユニット)90L、90Rに供給され、音響出力とされる。
【0024】
さらに、システム制御用としてマイクロコンピュータ30が設けられる。そして、デジタルインターフェイス14からこれに供給されたデジタルオーディオ信号が、上記(1)〜(3)項のうちのどの信号(コーディグモード)であるかなどを示す信号がマイクロコンピュータ30に供給され、マイクロコンピュータ30から入力セレクタ15にその入力切り換え用の制御信号が供給される。
【0025】
また、サラウンドデコーダ16およびDSP17とマイクロコンピュータ30との間で、所定のデータあるいはコマンドがやりとりされ、デコーダ16およびDSP17の処理内容が指定されるとともに、その処理に関係する情報がマイクロコンピュータ30に送られる。
【0026】
さらに、マイクロコンピュータ30には、図2により説明する各種のLEDおよび操作スイッチが接続される。すなわち、図2は、このヘッドホンアンプの前面パネルの一例を示すもので、この前面パネルには、ヘッドホンジャック22(22L、22R)が設けられるとともに、入力セレクトスイッチ41、再生モードを切り換えるためのモードスイッチ42、再生音場の臨場感を切り換えるためのエフェクトモードスイッチ43が設けられる。なお、これらスイッチ41〜43は、タクトスイッチのようなノンロックタイプのプッシュスイッチとされる。
【0027】
また、前面パネルには、入力セレクトスイッチ41に対応してLED(D11〜D13)が設けられるとともに、そのLED(D11〜D13)の側に入力などを示す文字「Digital In」、「Analog In」、「Test Tone」が例えば刻印される。
【0028】
さらに、前面パネルには、再生音場を示す方形の枠線51が例えば刻印されるとともに、その中央に、リスナを頭上から見下ろしたときの形をデフォルメした図形52が例えば刻印される。また、この図形52から見て、その左前方、中央前方、右前方、左後方および右後方の位置に、LED(DLF、DCF、DRF、DLB、DRB)が設けられ、図形52の左耳および右耳に対応する位置に、LED(DLH、DRH)が設けられる。
【0029】
さらに、前面パネルには、5チャンネルステレオが、(2)、(3)項のどちらであるかを表示するためのLED(D21、D22)が設けられるとともに、そのLED(D21、D22)の側に信号モードを示す文字「Dolby Digital」(登録商標)、「ProLogic」(登録商標)が例えば刻印される。
【0030】
また、前面パネルには、エフェクトモードスイッチ43に対応してLED(D31〜D33)が設けられるとともに、そのLED(D31〜D33)の側に効果などを示す文字「Standard」、「Music」、「Movie」が例えば刻印される。
【0031】
このような構成において、入力セレクトスイッチ41を押すと、マイクロコンピュータ30により、入力セレクタ15の切り換え、サラウンドデコーダ16の処理およびLED(D11〜D13)の点灯が、スイッチ41を押すごとに、次の(11)〜(13)の状態に順に繰り返し切り換えられていく。
【0032】
(11) デジタル入力。入力セレクタ15は、デジタルインターフェイス14からのデジタルオーディオ信号を選択してデコーダ16に供給する。LED(D11)だけが点灯する。
(12) アナログ入力。入力セレクタ15は、A/Dコンバータ12からのデジタルオーディオ信号を選択してデコーダ16に供給する。LED(D12)だけが点灯する。
(13) テストトーン。スイッチ42、43の切り換えにかかわらず、デコーダ16において、テスト用のピンクノイズのデジタルオーディオデータが形成される。なお、このピンクノイズについては後述する。
【0033】
また、サウンドモードスイッチ42を押すと、マイクロコンピュータ30により、デコーダ16の処理およびLED(DLF〜DRH、D21、D22)の点灯が、スイッチ42を押すごとに、次の(21)〜(23)の状態に順に繰り返し切り換えられていく。
【0034】
(21) サラウンド再生モード。DSP17において、上述した(A)、(B)項の処理が実行され、仮想スピーカを実現するデジタルオーディオデータLV、RVが形成され、このデータLV、RVがD/Aコンバータ18L、18Rによりアナログオーディオ信号にD/A変換されてヘッドホン90の音響ユニット90L、90Rに供給される。
したがって、この場合には、図3Aの左側に示すように、リスナ1の左前方、中央前方、右前方、左後方および右後方に配置したスピーカ2LF、2CF、2RF、2LB、2RBによりサラウンド再生を行った場合と同等の再生音場を得ることができる。あるいは仮想音源2LF〜2RBによる再生音場が形成される。
そして、このとき、マイクロコンピュータ30によりLED(DLF〜DRH)の点灯が制御され、図3Aの右側に●印で示すように、LED(DLF〜DRB)が点灯し、このときの仮想音源2LF〜2RBの位置が表示されるとともに、サラウンド再生モードであることが表示される。
また、この場合、入力されたデジタルオーディオ信号の種類にしたがって、LED(D21、D22)の一方が点灯され、上記(2)あるいは(3)項のステレオ再生であることが表示される。
【0035】
(22) フロント再生モード。DSP17において、上述した(B)項の処理が実行され、仮想スピーカを実現するデジタルオーディオデータLV、RVが形成され、このデータLV、RVがD/Aコンバータ18L、18Rによりアナログオーディオ信号にD/A変換されてヘッドホン90の音響ユニット90L、90Rに供給される。
したがって、この場合には、図3Bの左側に示すように、リスナ1の左前方および右前方に配置したスピーカ2LF、2RFによりフロント再生を行った場合と同等の再生音場を得ることができる。あるいは仮想音源2LF、2RFによる再生音場が形成される。
そして、このとき、マイクロコンピュータ30によりLED(DLF〜DRH)の点灯が制御され、図3Bの右側に●印で示すように、LED(DLF、DRF)が点灯し、このときの仮想音源2LF、2RFの位置が表示されるとともに、フロント再生モードであることが表示される。
【0036】
(23) 通常の再生モード(処理なし)。DSP17においては、上述した(A)、(B)項の処理は実行さず、もとのデジタルオーディオデータがほぼそのままデータLV、RVとして出力され、このデータLV、RVがD/Aコンバータ18L、18Rによりアナログオーディオ信号にD/A変換されてヘッドホン90の音響ユニット90L、90Rに供給される。
したがって、この場合には、図3Cの左側に示すように、リスナ1が通常のヘッドホン3により再生を行ったことになる。あるいはヘッドホン3が音源となる。
そして、このとき、マイクロコンピュータ30によりLED(DLF〜DRH)の点灯が制御され、図3Cの右側に●印で示すように、LED(DLH、DRH)が点灯し、音源3の位置が表示されるとともに、通常のヘッドホン再生であることが表示される。
【0037】
さらに、エフェクトモードスイッチ43を押すと、マイクロコンピュータ30により、サラウンドデコーダ16の処理およびLED(D31〜D33)の点灯が、スイッチ43を押すごとに、次の(31)〜(33)の状態に順に繰り返し切り換えられていく。
【0038】
(31) 標準的な臨場感とされる。LED(D31)だけが点灯する。
(32) 音楽に適した臨場感とされる。LED(D32)だけが点灯する。
(33) 映画に適した臨場感とされる。LED(D33)だけが点灯する。
【0039】
なお、入力セレクトスイッチ41の操作により、(13)項のテストトーンを選択した場合には、上記のようにデコーダ16において、テスト用のピンクノイズのデジタルオーディオデータが形成されるが、このピンクノイズのデジタルオーディオデータは、このデータからD/A変換したアナログ信号をスピーカに供給したとき、リスナの左前方、中央前方、右前方、右後方および左後方のスピーカから、例えば1秒ごとに順番にピンクノイズが出力されていくように変化する信号とされる。
【0040】
そして、このピンクノイズのデジタルオーディオデータがDSP17に供給されて(A)、(B)項の処理によりサラウンド再生のデジタルオーディオデータとされ、このデジタルオーディオデータがD/Aコンバータ18L、18Rに供給されてアナログオーディオ信号にD/A変換され、この信号がローパスフィルタ19L、19Rおよびアンプ21L、21Rを通じてヘッドホン90の音響ユニット90L、90Rに供給される。
【0041】
したがって、リスナはピンクノイズを聴取することになるとともに、このとき、そのピンクノイズが、リスナの左前方、中央前方、右前方、右後方および左後方のスピーカから、1秒ごとに順番に切り換わって出力されているように知覚することになる。
【0042】
また、このとき、LED(DLF〜DRB)の点灯が制御され、図4に●印で示すように、LED(DLF)→LED(DCF)→LED(DRF)→LED(DRB)→LED(DLB)の順番で1秒ごとに点灯させられる。
【0043】
したがって、ピンクノイズの仮想音源がリスナの左前方、中央前方、右前方、右後方および左後方に順に移動していくとともに、そのとき、その仮想音源の位置がLED(DLF〜DRB)により表示されることになる。
【0044】
以上のようにして、上述のヘッドホンアンプによれば、ヘッドホン90によりスピーカ再生の場合と同等のサラウンド再生およびフロント再生と、通常のヘッドホン再生とを実現することができるが、その場合、図3にも示すように、それぞれの再生モードにおける仮想音源の位置およびその再生モードがLED(DLF〜DRH)の点灯により視覚的に表示されるので、聴感上の効果を視覚的にイメージすることができる。また、図2からもわかるように、デザイン面の向上を得ることができる。
【0045】
さらに、テストトーンのときには、ピンクノイズが出力されている仮想的なスピーカの位置のLEDが点灯するので、機器の状態をより明確に確認できる。また、仮想音像の位置に対応してLED(DLF〜DRF)が順番に点灯していくので、機器のデモなどのとき、効果的である。
【0046】
図5は、マイクロコンピュータ30が、再生モードにしたがってLED(DLF〜DRH)の点灯を(21)〜(23)項に示すように制御するためのルーチンの一例を示す。
【0047】
すなわち、サウンドモードスイッチ42が押されると、マイクロコンピュータ30のCPU(図示せず)の処理が、ルーチン100のステップ101からスタートし、次にステップ102において、このときの再生モードが(21)〜(23)項のどれであるかが判別される。そして、(21)項のとき、すなわち、サラウンド再生モードのときには、処理はステップ102からステップ111に進み、このステップ111において、LED(DLF〜DRB)が図3Aの右側に●印で示すように点灯されて仮想音源の位置およびサラウンド再生モードであることが表示される。
【0048】
続いて、処理はステップ112に進み、このステップ112において、デジタルインターフェイス14からの信号によりデジタルオーディオ信号の種類が判別され、(2)項の5チャンネルのデジタルオーディオ信号のときには、処理はステップ112からステップ113に進み、このステップ113において、LED(D21)が点灯される。そして、その後、処理はステップ141に進み、このルーチン100を終了する。
【0049】
また、ステップ112において、デジタルオーディオ信号が(3)項の疑似5チャンネルのデジタルオーディオ信号のときには、処理はステップ112からステップ114に進み、このステップ114において、LED(D22)が点灯される。そして、その後、ステップ141によりルーチン100を終了する。
【0050】
さらに、ステップ102において、現在の再生モードが(22)項のとき、すなわち、フロント再生モードのときには、処理はステップ102からステップ121に進み、このステップ121において、LED(DLF、DRF)が図3Bの右側に●印で示すように点灯されて仮想音源の位置およびフロント再生モードであることが表示される。そして、その後、処理はステップ141に進み、このルーチン100を終了する。
【0051】
また、ステップ102において、現在の再生モードが(23)項のとき、すなわち、通常のヘッドホン再生のときには、処理はステップ102からステップ131に進み、このステップ131において、LED(DLH、DRH)が図3Cの右側に●印で示すように点灯されてヘッドホン再生のモードであることが表示される。そして、その後、処理はステップ141に進み、このルーチン100を終了する。
【0052】
こうして、このルーチン100によれば、このルーチン100が実行されたときの仮想音源の位置および再生モードをLED(DLF〜DRH)の点灯により表示することができる。
【0053】
なお、上述においては、LED(DLF〜DRH)の点灯により仮想音源の位置および再生モードを視覚的に表示したが、LCDに、枠線51および図形52を表示するとともに、仮想音源を示す図形を表示することもできる。
【0054】
また、上述においては、ヘッドホンアンプ単体の場合であるが、例えば、パーソナルコンピュータの場合であって、プログラム処理により形成あるいは再現された3Dサウンドなどのデジタルオーディオデータの場合には、枠線51および図形52を例えばCRTディスプレイに表示するとともに、仮想音源を示す図形もそのCRTディスプレイに表示することができる。
【0055】
さらに、ヘッドホンがD/Aコンバータを内蔵していて、デジタルオーディオデータを供給すると、その内蔵のD/Aコンバータによりデジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号にD/A変換し、そのアナログオーディオ信号を音響ユニットに供給するように構成されている場合には、DSP17からのデジタルオーディオデータを供給することもできる。
【0056】
〔略語の一覧〕
A/D :Analog to Digital
CD :Compact Disc
CPU :Central Processing Unit
D/A :Digital to Analog
DSP :Digital Signal Processor
EIAJ :Electronic Industry Association of Japan
LED :Light Emitting Diode
MPEG :Motion Picture Experts Group
MPEG2:MPEG Phase 2
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の一形態を示す系統図である。
【図2】この発明の一形態を示す正面図である。
【図3】この発明を説明するための図である。
【図4】この発明を説明するための図である。
【図5】この発明の一形態を示すフローチャートである。
【図6】この発明を説明するための正面図である。
【符号の説明】
【0058】
11Lおよび11R…アナログ入力ジャック、12…A/Dコンバータ、13…光コネクタ、14…デジタルオーディオインターフェイス、15…入力セレクタ、16…サラウンドデコーダ、17…DSP、18Lおよび18R…D/Aコンバータ、22(22L、22R)…ヘッドホンジャック、30…マイクロコンピュータ、41…入力セレクトスイッチ、42…サウンドモードスイッチ、43…エフェクトモードスイッチ、51…枠線、52…図形、100…表示制御ルーチン、D11〜D33およびDLF〜DRH…LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2チャンネルまたは複数チャンネルのオーディオ信号についてデジタル信号処理を行い、当該信号処理を行った信号をヘッドホンに入力することによって複数の仮想音源位置の仮想音像を切り換えて定位させるヘッドホンアンプであって、
上記2チャンネルまたは複数チャンネルのオーディオ信号を複数の上記仮想音源位置に上記仮想音像を定位させるように複数の信号処理を行う仮想音像信号処理手段と、
上記仮想音像信号処理手段によって処理されたデジタル信号を上記ヘッドホンに入力するための2チャンネルのアナログオーディオ信号に変換するD/A変換手段と、
上記仮想音像信号処理手段によって信号処理された信号に基づいてリスナが上記ヘッドホンで再生した場合の定位させる上記仮想音源位置の仮想音像を切り換える仮想音源位置切換手段と、
上記仮想音源位置切換手段によって切り換えられた複数の上記仮想音源位置と上記ヘッドホン再生の上記リスナの位置関係を連動させて同時に一つの表示部に表示する位置表示手段と
を備えることを特徴とするヘッドホンアンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドホンアンプにおいて、
上記複数の仮想音場位置は、上記リスナの上記ヘッドホンを中心として左前方、中央前方、右前方、左後方、右後方に定位させる第1モードと、上記リスナの上記ヘッドホンを中心として左前方、右前方に定位させる第2のモードと、リスナの周囲に定位させる第3のモードである
ことを特徴とするヘッドホンアンプ。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドホンアンプにおいて、
上記表示手段に表示された仮想位置を上記仮想位置切換手段と連動して、光源の点灯で表示する
ことを特徴とするヘッドホンアンプ。
【請求項4】
請求項2に記載のヘッドホンアンプ。
上記表示手段に表示する上記リスナの位置をキャラクタで表示する
ことを特徴とするヘッドホンアンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−333516(P2006−333516A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217646(P2006−217646)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【分割の表示】特願平9−351267の分割
【原出願日】平成9年12月19日(1997.12.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】