説明

ヘッドランプクリーナ及びその取付構造

【課題】部品コストを低減すると共に組み付け工数を削減する。
【解決手段】ヘッドランプクリーナの取付構造12は、ヘッドランプクリーナユニット18に一体に設けられたブラケット20と、ブラケット20にスライド可能に支持されたスライダ22とを備えている。ブラケット20には、フロントバンパカバー14に形成された取付穴16の短辺部16A,16Bと車体外側から係止される一対の係止部34,36と、一方の係止部34が形成された弾性腕片40と、一対の短辺部16A,16Bと一対の係止部34,36とが係止されているときにフロントバンパカバー14に車体内側から当接される第一リブ42及び第二リブ44が形成されている。一方、スライダ22には、弾性腕片40の弾性変形を規制する変形規制部60が形成されている。この構成によれば、2部品で済むので、部品コストを低減できると共に組み付け工数を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプクリーナ及びその取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドランプクリーナを車体に取り付けるための取付構造としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、特許文献1には、ブラケットと、固定部材と、クリップを備えたヘッドランプクリーナの取付構造の例が開示されている。
【特許文献1】特開2006−335274号公報
【特許文献2】特開2002−264782号公報
【特許文献3】特開2006−44436号公報
【特許文献4】特開2008−94242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、ヘッドランプクリーナを車体に取り付けるために、ブラケットと、固定部材と、クリップの3部品が必要である。従って、部品点数が多いため、部品コストが高くなると共に組み付け工数が多くなるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであって、部品コストを低減できると共に組み付け工数を削減できるヘッドランプクリーナ及びその取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のヘッドランプクリーナの取付構造は、車体に設けられ、板厚方向に貫通して形成された取付穴を有する取付壁部と、前記取付穴から車体外側に突出されるノズル部を有するヘッドランプクリーナユニットに一体に設けられ前記取付壁部に対する車体内側に配置されるブラケットと、前記ブラケットに形成され、前記取付穴の周辺部における互いに対向する部分と車体外側から係止される一対の係止部と、前記ブラケットに形成され、前記一対の係止部のうちの一方の係止部が先端側に形成されると共に前記一方の係止部が前記周辺部と係脱されるように弾性変形可能な弾性腕片と、前記ブラケットに形成され、前記周辺部における互いに対向する部分と前記一対の係止部とが係止されているときに前記取付壁部に車体内側から当接される当接部と、前記弾性腕片に対して離間側に移動された第一取付位置と、前記第一取付位置に対する前記弾性腕片側に移動された第二取付位置とを取り得るように前記ブラケットにスライド可能に支持されたスライダと、前記スライダに形成され、前記スライダが前記第一取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を許容し、前記スライダが前記第二取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を規制する変形規制部と、を備えている。
【0006】
請求項1に記載のヘッドランプクリーナの取付構造では、上記構成より、例えば、次の要領でヘッドランプクリーナユニットを車体の取付壁部に取り付けることができる。
【0007】
すなわち、先ず、スライダをブラケットに対して第一取付位置に位置させる。これにより、弾性腕片の弾性変形が変形規制部によって許容される。
【0008】
そして、一方の係止部に対して他方の係止部が取付壁部側に位置するようにブラケットを傾けた状態でブラケットを車体内側から取付壁部に近づけて、他方の係止部が取付穴を通過するようにし、この他方の係止部を取付穴に対する車体外側に位置させる。
【0009】
続いて、ブラケットの傾きを元に戻しながら、他方の係止部を取付穴の周辺部に車体外側から係止させる。また、このとき、一方の係止部が取付穴の周辺部と干渉しないように弾性腕片を弾性変形させながら、一方の係止部が取付穴を通過するようにし、この一方の係止部を取付穴に対する車体外側に位置させる。
【0010】
そして、弾性腕片を元の形状に復帰させ、一方の係止部を取付穴の周辺部に車体外側から係止させる。また、このようにして、取付穴の周辺部と一対の係止部とが係止されると、当接部が車体内側から取付壁部に当接される。これにより、一対の係止部と当接部とによって取付壁部が板厚方向の両側から挟持された状態となる。
【0011】
そして、スライダをブラケットに対して第二取付位置に位置させる。これにより、弾性腕片の弾性変形が変形規制部によって規制され、ブラケット、ひいては、このブラケットが一体に設けられたヘッドランプクリーナユニットが取付壁部に強固に固定される。
【0012】
このように、請求項1に記載のヘッドランプクリーナの取付構造によれば、ブラケット及びスライダによってヘッドランプクリーナユニットを取付壁部に固定することができるので、従来の構造よりも部品点数が少なくて済む。これにより、部品コストを低減できると共に組み付け工数を削減できる。
【0013】
請求項2に記載のヘッドランプクリーナの取付構造は、請求項1に記載のヘッドランプクリーナの取付構造において、前記ブラケットが、前記スライダのスライド方向に互いに離間された第一係合部及び第二係合部を有し、前記スライダが、前記第一取付位置にあるときに前記第一係合部と前記スライド方向に係合され、前記第二取付位置にあるときに前記第二係合部と前記スライド方向に係合される被係合部を有する、構成とされている。
【0014】
請求項2に記載のヘッドランプクリーナの取付構造では、スライダが第一取付位置にあるときには第一係合部と被係合部が係合される。従って、ブラケットを取付壁部に取り付ける前の段階では、スライダを第一取付位置に位置させた状態に維持できるので、弾性腕片の弾性変形が変形規制部によって不用意に規制されることを抑制できる。これにより、ブラケットの取付壁部への取付時の作業性を良好とすることができる。
【0015】
一方、スライダが第二取付位置にあるときには第二係合部と被係合部が係合される。従って、ヘッドランプクリーナユニットを取付壁部に取り付けた後では、スライダを第二取付位置に位置させた状態に維持できるので、弾性腕片が弾性変形されることを変形規制部によって抑制できる。これにより、ヘッドランプクリーナユニットを取付壁部に強固に固定した状態に維持できる。
【0016】
このように、請求項2に記載のヘッドランプクリーナの取付構造によれば、ブラケットの取付壁部への取付時の作業性を良好としつつ、ヘッドランプクリーナユニットを取付壁部に強固に固定した状態に維持することができる。
【0017】
請求項3に記載のヘッドランプクリーナの取付構造は、請求項1又は請求項2に記載のヘッドランプクリーナの取付構造において、前記当接部が、前記スライダをスライド可能に支持するガイド部を兼ねる、構成とされている。
【0018】
請求項3に記載のヘッドランプクリーナの取付構造によれば、当接部がスライダをスライド可能に支持するためのガイド部を兼ねる構成とされているので、ブラケットの構造を簡素化できる。
【0019】
また、前記課題を解決するために、請求項4に記載のヘッドランプクリーナは、車体の取付壁部に板厚方向に貫通して形成された取付穴から車体外側に突出されるノズル部を有するヘッドランプクリーナユニットと、前記ヘッドランプクリーナユニットに一体に設けられ前記取付壁部に対する車体内側に配置されるブラケットと、前記ブラケットに形成され、前記取付穴の周辺部における互いに対向する部分と車体外側から係止される一対の係止部と、前記ブラケットに形成され、前記一対の係止部のうちの一方の係止部が先端側に形成されると共に前記一方の係止部が前記周辺部と係脱されるように弾性変形可能な弾性腕片と、前記ブラケットに形成され、前記周辺部における互いに対向する部分と前記一対の係止部とが係止されているときに前記取付壁部に車体内側から当接される当接部と、前記弾性腕片に対して離間側に移動された第一取付位置と、前記第一取付位置に対する前記弾性腕片側に移動された第二取付位置とを取り得るように前記ブラケットにスライド可能に支持されたスライダと、前記スライダに形成され、前記スライダが前記第一取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を許容し、前記スライダが前記第二取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を規制する変形規制部と、を備えている。
【0020】
請求項4に記載のヘッドランプクリーナでは、上記構成より、例えば、次の要領でヘッドランプクリーナユニットを車体の取付壁部に取り付けることができる。
【0021】
すなわち、先ず、スライダをブラケットに対して第一取付位置に位置させる。これにより、弾性腕片の弾性変形が変形規制部によって許容される。
【0022】
そして、一方の係止部に対して他方の係止部が取付壁部側に位置するようにブラケットを傾けた状態でブラケットを車体内側から取付壁部に近づけて、他方の係止部が取付穴を通過するようにし、この他方の係止部を取付穴に対する車体外側に位置させる。
【0023】
続いて、ブラケットの傾きを元に戻しながら、他方の係止部を取付穴の周辺部に車体外側から係止させる。また、このとき、一方の係止部が取付穴の周辺部と干渉しないように弾性腕片を弾性変形させながら、一方の係止部が取付穴を通過するようにし、この一方の係止部を取付穴に対する車体外側に位置させる。
【0024】
そして、弾性腕片を元の形状に復帰させ、一方の係止部を取付穴の周辺部に車体外側から係止させる。また、このようにして、取付穴の周辺部と一対の係止部とが係止されると、当接部が車体内側から取付壁部に当接される。これにより、一対の係止部と当接部とによって取付壁部が板厚方向の両側から挟持された状態となる。
【0025】
そして、スライダをブラケットに対して第二取付位置に位置させる。これにより、弾性腕片の弾性変形が変形規制部によって規制され、ブラケット、ひいては、このブラケットが一体に設けられたヘッドランプクリーナユニットが取付壁部に強固に固定される。
【0026】
このように、請求項4に記載のヘッドランプクリーナによれば、ブラケット及びスライダによってヘッドランプクリーナユニットを取付壁部に固定することができるので、従来の構造よりも部品点数が少なくて済む。これにより、部品コストを低減できると共に組み付け工数を削減できる。
【発明の効果】
【0027】
以上詳述したように、本発明によれば、部品コストを低減できると共に組み付け工数を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0029】
図1には、本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナ10及びその取付構造12が示されている。また、図2〜図4Aは、それぞれ図1の2−2線矢視図、図1の3−3線断面図、図1の4A−4A線断面図である。
【0030】
図1に示されるように、車体に設けられた取付壁部としてのフロントバンパカバー14は、板厚方向に貫通して形成された取付穴16を有している。
【0031】
一方、ヘッドランプクリーナ10は、ヘッドランプクリーナユニット18と、ブラケット20と、スライダ22とを備えて構成されている。
【0032】
ヘッドランプクリーナユニット18は、例えば、取付穴16を介して出し入れされるノズル部24を有し、このノズル部24から図示しないヘッドランプ等に向けてウォッシャ液を噴射可能な構成とされている。なお、このヘッドランプクリーナユニット18は、従来公知の構成であり、例えば、上述の特許文献1(特開2006−335274号公報)等に記載のものが用いられる。
【0033】
ブラケット20は、ブラケット本体部26と、一対の係止部34,36と、挟持部38と、弾性腕片40と、当接部及びガイド部としての第一リブ42と、当接部としての第二リブ44と、位置決め部46,48とを一体に有する構成とされている。
【0034】
ブラケット本体部26は、短辺を構成する一対の壁部28A,28Bと、長辺を構成する一対の壁部28C,28Dとを有する概略角筒状の角筒部28と、この角筒部28における基端側に形成された円筒状の円筒部30とを有して構成されている。角筒部28には、上述のノズル部24が出し入れされる開口部28Eが形成されている。この開口部28Eは、上述の取付穴16と略同じ形状及び取付穴16よりも若干小さな大きさに構成されている。
【0035】
そして、このブラケット本体部26は、ヘッドランプクリーナユニット18のシリンダ部32(ノズル部24を移動可能に支持する部分)に一体に設けられ、フロントバンパカバー14に対する車体内側に配置される構成とされている。
【0036】
一方の係止部34は、後述する弾性腕片40の先端側から外側に突出して形成されており、取付穴16の周辺部における互いに対向する部分の一方(一方の短辺部16A)と係止される構成とされている。
【0037】
他方の係止部36は、ブラケット本体部26の壁部28Bの先端側から外側に突出して形成されており、取付穴16の周辺部における互いに対向する部分の他方(他方の短辺部16B)と係止される構成とされている。
【0038】
挟持部38は、図1,図2に示されるように、壁部28Bから外側に突出して形成されている。この挟持部38は、係止部36とフロントバンパカバー14の板厚方向に対向するように係止部36に対する車体内側に位置されている。また、この挟持部38は、係止部36とで上述の短辺部16Bを挟持する構成とされている。
【0039】
弾性腕片40は、壁部28Aに一対のスリット50が開口部28E側から車体内側に向けて形成されることにより、壁部28Aの板厚方向に弾性を有する舌片状に構成されている。つまり、この弾性腕片40は、係止部34が取付穴16の周辺部(短辺部16A)と係脱されるように、ブラケット本体部26に対して弾性変形可能とされている。
【0040】
また、この弾性腕片40における長手方向中央部には、図1に示されるように、外側へ突出する突出部52が形成されている。この突出部52における幅方向中央部には、弾性腕片40の長手方向に沿ってスリット54が形成されている。また、このスリット54の長手方向中央部は、長手方向両側部よりも幅方向に狭く形成されている。そして、これにより、スリット54の長手方向中央部の幅方向両側には、一対の係止縁部56が形成されている。
【0041】
第一リブ42は、壁部28C,28Dにおける係止部34側に形成されており、第二リブ44は、壁部28C,28Dにおける係止部36側に形成されている。この第一リブ42及び第二リブ44は、いずれもブラケット20の取付方向に沿った突条に構成されており、上述の一対の短辺部16A,16Bと一対の係止部34,36とが係止されているときにフロントバンパカバー14に車体内側から当接される構成とされている。
【0042】
また、第一リブ42は、後述するように、スライダ22をスライド可能に支持するガイド部としての機能も有している。
【0043】
位置決め部46,48は、開口部28Eの四隅に位置されるようにブラケット本体部26に形成されており、後述するように、ブラケット20がフロントバンパカバー14に取り付けられたときには、取付穴16の内周面と当接される構成とされている。
【0044】
スライダ22は、スライダ本体部58と、変形規制部60と、リブ62とを一体に有する構成とされている。
【0045】
スライダ本体部58は、図1,図3に示されるように、第一リブ42にスライド可能に支持されたスライド部64を有して構成されている。そして、このスライダ本体部58を有するスライダ22全体は、弾性腕片40に対して離間側(車体内側)に移動された第一取付位置(図4Aで示される位置)と、第一取付位置に対する弾性腕片40側に移動された第二取付位置(図4Bで示される位置)とを取り得る構成とされている。
【0046】
変形規制部60は、図1に示されるように、スライダ本体部58における中央部からフロントバンパカバー14側に突出して形成されている。そして、この変形規制部60は、スライダ22が上述の第一取付位置にあるときには、上述のスリット54から退出された状態とされて、弾性腕片40の弾性変形を許容する構成とされている。また、この変形規制部60は、スライダ22が上述の第二取付位置にあるときには、上述のスリット54に挿入された状態とされ、一対の係止縁部56と弾性腕片40の弾性方向に係止されることにより、弾性腕片40の弾性変形を規制する構成とされている。
【0047】
リブ62は、変形規制部60の先端側からスライダ本体部58の後端側に掛けて形成されており、変形規制部60のスライダ本体部58に対する支持剛性を確保する役割(変形規制部60の外側への変形を防止する役割)を果たしている。そして、このリブ62は、スライダ22が上述の第一取付位置にあるときには、上述のスリット54から退出された状態とされ、スライダ22が上述の第二取付位置にあるときには、上述のスリット54に挿入された状態とされる。
【0048】
また、上述のブラケット本体部26の壁部28Aには、図4Aに示されるように、スライダ22のスライド方向に互いに離間した位置に第一係合部及び第二係合部としての第一係合孔66及び第二係合孔68が形成されている。
【0049】
一方、スライダ22には、被係合部としての係合突起70が形成されている。係合突起70は、図4Aに示されるように、スライダ22が第一取付位置にあるときには、第一係合孔66とスライダ22のスライド方向に係合される構成とされている。また、この係合突起70は、図4Bに示されるように、スライダ22が第二取付位置にあるときには、第二係合孔68とスライダ22のスライド方向に係合される構成とされている。
【0050】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0051】
本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナの取付構造12では、上記構成より、例えば、次の要領でヘッドランプクリーナユニット18をフロントバンパカバー14に取り付けることができる。
【0052】
すなわち、先ず、図1,図4Aに示されるように、スライダ22をブラケット20に対して第一取付位置に位置させ、係合突起70を第一係合孔66と係合させる。これにより、スライダ22が第一取付位置に固定される。また、このときには、変形規制部60がスリット54から退出された状態とされるので、弾性腕片40の弾性変形が許容される。
【0053】
そして、図5の上段に示されるように、係止部34に対して係止部36がフロントバンパカバー14側に位置するようにブラケット20を傾けた状態とする。また、この状態で、ブラケット20を車体内側からフロントバンパカバー14に近づけて、係止部36が取付穴16を通過するようにし、この係止部36を取付穴16に対する車体外側に位置させる。また、挟持部38は、取付穴16に対する車体内側に位置させる。
【0054】
続いて、図5の中段に示されるように、ブラケット20の傾きを元に戻しながら、係止部36を取付穴16の周辺部(短辺部16B)に車体外側から係止させると共に、この係止部36と挟持部38とで取付穴16の周辺部(短辺部16B)を挟持させる。また、このとき、係止部34が取付穴16の周辺部(短辺部16A)と干渉しないように弾性腕片40をブラケット本体部26に対して弾性変形させながら、係止部34が取付穴16を通過するようにし、この係止部34を取付穴16に対する車体外側に位置させる。
【0055】
そして、図5の下段に示されるように、弾性腕片40を元の形状に復帰させ、係止部34を取付穴16の周辺部(短辺部16A)に車体外側から係止させる。また、このようにして、取付穴16の周辺部(一対の短辺部16A,16B)と一対の係止部34,36とが係止されると、図2に示されるように、第一リブ42及び第二リブ44が車体内側からフロントバンパカバー14に当接される。これにより、一対の係止部34,36、第一リブ42及び第二リブ44によってフロントバンパカバー14が板厚方向の両側から挟持された状態となる。
【0056】
また、このときには、位置決め部46,48が取付穴16の内周面と当接されることで、ブラケット20、ひいては、図1に示されるヘッドランプクリーナユニット18がフロントバンパカバー14における予め定められた位置に位置決めされる。また、このときには、ヘッドランプクリーナユニット18のフロントバンパカバー14に対する回転が規制された状態となる。
【0057】
そして、図4Bに示されるように、スライダ22をブラケット20に対して第二取付位置に位置させる。これにより、変形規制部60がスリット54に挿入された状態とされ、この変形規制部60が図1に示される一対の係止縁部56と弾性腕片40の弾性方向に係止されることにより、弾性腕片40の弾性変形が規制される。そして、これにより、ブラケット20、ひいては、このブラケット20が一体に設けられたヘッドランプクリーナユニット18が、フロントバンパカバー14に強固に固定される。
【0058】
このように、本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナの取付構造12によれば、ブラケット20及びスライダ22によってヘッドランプクリーナユニット18をフロントバンパカバー14に固定することができるので、従来の構造よりも部品点数が少なくて済む(つまり、2部品で済む)。これにより、部品コストを低減できると共に組み付け工数を削減できる。
【0059】
また、本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナの取付構造12によれば、上述のように、一対の係止部34,36、第一リブ42及び第二リブ44によってフロントバンパカバー14を板厚方向の両側から挟持した状態からスライダ22をスライドさせることより、ワンタッチでブラケット20をフロントバンパカバー14に固定することができる。従って、ブラケット20のフロントバンパカバー14への取付作業が容易であるので、この取付時の作業性を良好とすることができる。
【0060】
また、本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナの取付構造12では、スライダ22が第一取付位置にあるときには第一係合孔66と係合突起70が係合される。従って、ブラケット20をフロントバンパカバー14に取り付ける前の段階では、スライダ22を第一取付位置に位置させた状態に維持できるので、弾性腕片40の弾性変形が変形規制部60によって不用意に規制されることを抑制できる。これにより、ブラケット20のフロントバンパカバー14への取付時の作業性を良好とすることができる。
【0061】
一方、スライダ22が第二取付位置にあるときには第二係合孔68と係合突起70が係合される。従って、ヘッドランプクリーナユニット18をフロントバンパカバー14に取り付けた後では、スライダ22を第二取付位置に位置させた状態に維持できるので、弾性腕片40が弾性変形されることを変形規制部60によって抑制できる。これにより、ヘッドランプクリーナユニット18をフロントバンパカバー14に強固に固定した状態に維持できる。
【0062】
このように、本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナの取付構造12によれば、ブラケット20のフロントバンパカバー14への取付時の作業性を良好としつつ、ヘッドランプクリーナユニット18をフロントバンパカバー14に強固に固定した状態に維持することができる。
【0063】
さらに、本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナの取付構造12によれば、第一リブ42がスライダ22をスライド可能に支持するためのガイド部を兼ねる構成とされているので、ブラケット20の構造を簡素化できる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0065】
例えば、上記実施形態において、取付穴16は、フロントバンパカバー14に形成されていたが、ヘッドランプの周辺部に配置される取付壁部としての外装部材等に形成されていても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、壁部28Aに弾性腕片40が形成され、壁部28Bに弾性腕片40が形成されていなかったが、壁部28A,28Bの両方に弾性腕片40がそれぞれ形成されていても良い。つまり、一対の係止部34,36は、壁部28A,28Bの両方にそれぞれ形成された弾性腕片40の先端側にそれぞれ形成されていても良い。
【0067】
また、上記実施形態において、ヘッドランプクリーナユニット18は、ノズル部24が取付穴16を介して出し入れされる構成とされていたが、ノズル部24が取付穴16から車体外側に突出されたままの構成とされていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッドランプクリーナ及びその取付構造を示す図である。
【図2】図1の2−2線矢視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4A】図1の4A−4A線断面図(スライダが第一取付位置にある状態を示す図)である。
【図4B】図4Aに示されるスライダが第二取付位置にある状態を示す図である。
【図5】図1に示されるブラケットがフロントバンパカバーに取り付けられる様子を順に説明する図である。
【符号の説明】
【0069】
10 ヘッドランプクリーナ
12 取付構造
14 フロントバンパカバー(取付壁部)
16 取付穴
16A,16B 短辺部(取付穴の周辺部における互いに対向する部分)
18 ヘッドランプクリーナユニット
20 ブラケット
22 スライダ
24 ノズル部
34 一方の係止部
36 他方の係止部
40 弾性腕片
42 第一リブ(当接部、ガイド部)
44 第二リブ(当接部)
60 変形規制部
66 第一係合孔(第一係合部)
68 第二係合孔(第二係合部)
70 係合突起(被係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられ、板厚方向に貫通して形成された取付穴を有する取付壁部と、
前記取付穴から車体外側に突出されるノズル部を有するヘッドランプクリーナユニットに一体に設けられ前記取付壁部に対する車体内側に配置されるブラケットと、
前記ブラケットに形成され、前記取付穴の周辺部における互いに対向する部分と車体外側から係止される一対の係止部と、
前記ブラケットに形成され、前記一対の係止部のうちの一方の係止部が先端側に形成されると共に前記一方の係止部が前記周辺部と係脱されるように弾性変形可能な弾性腕片と、
前記ブラケットに形成され、前記周辺部における互いに対向する部分と前記一対の係止部とが係止されているときに前記取付壁部に車体内側から当接される当接部と、
前記弾性腕片に対して離間側に移動された第一取付位置と、前記第一取付位置に対する前記弾性腕片側に移動された第二取付位置とを取り得るように前記ブラケットにスライド可能に支持されたスライダと、
前記スライダに形成され、前記スライダが前記第一取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を許容し、前記スライダが前記第二取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を規制する変形規制部と、
を備えたヘッドランプクリーナの取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記スライダのスライド方向に互いに離間された第一係合部及び第二係合部を有し、
前記スライダは、前記第一取付位置にあるときに前記第一係合部と前記スライド方向に係合され、前記第二取付位置にあるときに前記第二係合部と前記スライド方向に係合される被係合部を有する、
請求項1に記載のヘッドランプクリーナの取付構造。
【請求項3】
前記当接部は、前記スライダをスライド可能に支持するガイド部を兼ねる、
請求項1又は請求項2に記載のヘッドランプクリーナの取付構造。
【請求項4】
車体の取付壁部に板厚方向に貫通して形成された取付穴から車体外側に突出されるノズル部を有するヘッドランプクリーナユニットと、
前記ヘッドランプクリーナユニットに一体に設けられ前記取付壁部に対する車体内側に配置されるブラケットと、
前記ブラケットに形成され、前記取付穴の周辺部における互いに対向する部分と車体外側から係止される一対の係止部と、
前記ブラケットに形成され、前記一対の係止部のうちの一方の係止部が先端側に形成されると共に前記一方の係止部が前記周辺部と係脱されるように弾性変形可能な弾性腕片と、
前記ブラケットに形成され、前記周辺部における互いに対向する部分と前記一対の係止部とが係止されているときに前記取付壁部に車体内側から当接される当接部と、
前記弾性腕片に対して離間側に移動された第一取付位置と、前記第一取付位置に対する前記弾性腕片側に移動された第二取付位置とを取り得るように前記ブラケットにスライド可能に支持されたスライダと、
前記スライダに形成され、前記スライダが前記第一取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を許容し、前記スライダが前記第二取付位置にあるときに前記弾性腕片の弾性変形を規制する変形規制部と、
を備えたヘッドランプクリーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−111162(P2010−111162A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283247(P2008−283247)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】