説明

ベルトをプーリに取り付けるためのツール

本発明は、伝達システムのプーリのリブ付き溝にベルトを取り付けるためのツールであって、外側の面(101)と、内側のエッジ(15)と、把持エッジ(11)を形成する端部領域とを有するノーズ領域(10)を備えており、前記把持エッジ(11)が、取り付けの際にベルト(20)の外側のエッジ(23)を反対側の内側のエッジ(24)よりも持ち上げることによってベルト(20)の歯(25)の少なくとも一部分のための当接部を定めることを特徴とするツールに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトを伝達システムの一部を形成しているプーリ(例えば、自動車の補機のプーリ)または機械力の伝達を必要とする任意の工業装置に取り付けるためのツールに関する。
【背景技術】
【0002】
この取り付けツールは、さらに詳しくは、例えばはめ込みによって取り付けられ、動作時に充分な張力を維持することができ、そのような張力を伝達装置の予定の寿命の全体にわたって維持することができる特性を有するがゆえに、常設のテンショナを必要とすることなく機能することができる弾性または「はめ込み」ベルトなど、取り付け時に引っ張りを加える必要があるベルトの取り付けに関する。
【0003】
例えば出願EP 0 831 247、FR 2 855 777、またはWO 02/36987に記載の取り付けツールなど、種々のさまざまな種類の取り付けツールが、すでに知られている。
【0004】
そのようなツールは、原理的に、プーリのリブを越えてベルトを案内する必要があるため、プーリの外部に位置するという特徴を共有しており、その場合に、ツールがプーリの両側に重なり(FR 2 855 777)、あるいはプーリの片側に重なり(EP 0 831 247またはWO 02/36987)、かなりの横方向のオフセットを伴う。出願EP 0 831 247においては、ツールが、プーリのリブの各側およびプーリの側面に位置する出っ張りに当接し、引っ張りが、レバーの助けによって、ベルトを平坦に保持しつつ、かつ斜面の効果による案内を利用しつつ行われる。出願WO 02/36987においては、ベルトがツール上に平坦に位置し、ツールによって横方向に案内され、やはりベルトの依然として自由な部分をらせんを形成することによってプーリの側面から離れて位置させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、随意によりプーリに一体化させることが可能であり、コンパクトでありながら取り付けを容易にする取り付けツールの新規な設計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、伝達システムのプーリのリブ付き溝にベルトを取り付けるためのツールであって、取り付けの際にベルトの外側の側面を反対側の内側の側面よりも持ち上げることによってベルトのリブの少なくとも一部分のための当接面を形成するように機能する捕捉エッジを呈するノーズ領域を呈していることを特徴とするツールを提供する。好都合には、捕捉エッジが、半径方向(α=0)に配置され、あるいは捕捉エッジの根元を通過するプーリの半径に対して角度αを形成し、この角度αが、プーリの軸に垂直な平面内で測定され、60°以下、さらに具体的には30°〜45°の範囲にある。
【0007】
取り付けの際に、ベルトがノーズ領域によって引きずられることで、ベルトに力が伝達される一方で、ノーズ領域に接するベルトの側面がベルトの反対側の側面に比べて持ち上げられるがゆえにベルトに傾きが生じ、結果として、依然として自由であるベルトの垂れ下がったストランドがプーリの側面のきわめて近くを逃げることができる。
【0008】
ノーズ領域の捕捉エッジは、平坦な頂点を呈することができ、随意により上流および下流の凸状のエッジを各側に備えることができ、あるいは凸状の外形を呈することができる。
【0009】
好ましくは、捕捉エッジは、プーリのリブ付き溝のリムを越えては延びない。
【0010】
ノーズ領域の捕捉エッジは、プーリのリブ付き溝の幅以上の有効高さHを有することができるが、この幅は、プーリへと取り付けられるベルトの幅にほぼ等しい。
【0011】
好都合には、ノーズ領域の捕捉エッジが、根元において、プーリのリブ付き溝の前記エッジから低下する異形の離脱領域によって延長される。
【0012】
そのような状況において、好都合には、ノーズ領域の捕捉エッジおよび離脱領域が、プーリのリブ付き溝の幅L以上の有効長さH’を有する。
【0013】
好都合には、前記異形の離脱領域が、プーリの半径に対してこの半径およびプーリの軸を含む第1の平面において角度βを形成するほぼ平坦または凸状の領域を呈しており、この角度βが、とくには30°〜60°の範囲にある。
【0014】
離脱領域は、少なくとも凸状の上流および/または下流エッジを呈することができる。
【0015】
好ましくは、ノーズ領域および異形の離脱領域が、ほぼ平坦、凹状、または凸状の接続領域を呈する。
【0016】
好都合には、捕捉エッジの上流のツールが、プーリのリブ付き溝の前記エッジの一部分に沿って延びる真っ直ぐまたは斜めの低い案内壁を呈する。ノーズ領域が、この低い案内壁を含むことができる。
【0017】
好都合には、異形の離脱領域が、取り付けの際にベルトの外側の側面に接触してベルトの滑りを防止する横方向の迫台を自由端に呈する。
【0018】
ツールは、プーリとは別個であってよく、その場合には、プーリの側面に当接する側面を有する。さらに、プーリの溝に当接する底面と、少なくとも前記捕捉エッジにおいてベルトが当接し、おそらくはその上流および/または下流においてもベルトが当接する上面とを呈する領域を有することができる。下部の当接する底面は、好ましくは、前記プーリのリブ付き溝と対をなす外形を呈する。
【0019】
好ましくは、ツールが前記プーリに一体化される。
【0020】
その場合、ツールは、プーリに一体化されており、該プーリが、該プーリの前記横領域よりも小さい面積であり、該プーリの外形の内側に内接させられるオフセットされた横領域を呈しており、該オフセットされた横領域が、前記ノーズ領域の下流においてベルトの垂れ下がるストランドを受けることができるようにする高くされた外エッジを呈することを特徴とする。
【0021】
ツールは、前記プーリに一体化されており、該プーリが、該プーリの前記横エッジの面積よりも小さい面積であり、該プーリの外形の内側に内接させられるオフセットされた横領域、とくには円柱形の領域を呈しており、当該ツールが、プーリのリブ付き溝の前記エッジの一部分に沿って延びる低い案内壁を形成する第1の要素と、前記捕捉エッジおよび前記異形の離脱領域を形成する第2の要素とを備えており、少なくとも前記第2の要素が、前記オフセットされた横領域によって保持され、その傍らを延びる横案内ゾーンを有することを特徴としてもよい。
【0022】
そのような状態において、ツールは、前記離脱領域が、プーリのリブ付き溝と半径方向における高さがほぼ同じである上流の第1の領域と、該上流の領域を前記オフセットされた横領域に接続する中間の第2の領域とを呈することを特徴とすることができる。
【0023】
本発明を、添付の図面を参照しつつ以下の説明を検討することによって、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a−1b】図1aおよび図1bは、プーリに一体化され、ノーズ領域を呈しているツールの実施形態の一部分の正面図および断面図である。
【図1c】図1cは、取り付けられるときのベルトの配置を断面にて示している。
【図1d−1e】図1dおよび図1eは、捕捉エッジの2つの形状を示す2つの正中断面を構成している。
【図2a−2b】図2aおよび図2bは、ノーズ領域を呈する一体型のツールの別の実施形態の2つの斜視図である。
【図2c】図2cは、角度αがどのように定められるのかを示している。
【図3】図3は、2つのプーリを備える簡単な伝達装置に取り付けられる本発明のベルトを示している。
【図4a−4b】図4aおよび図4bは、ノーズ領域および離脱領域を組み合わせている本発明の実施形態の2つの斜視図である。
【図4c】図4cは、角度βがどのように定められるのかを示している。
【図5a−5b】図5aおよび図5bは、ノーズ領域および離脱領域を組み合わせている本発明の実施形態の一変種を斜視図にて示している。
【図6a−6b】図6aおよび図6bは、ノーズ領域および離脱領域を組み合わせている本発明の実施形態の一変種を斜視図にて示している。
【図6c】図6cは、図6aおよび図6bについて高さH’がどのように定められるのかを示している。
【図7a−7b】図7aおよび図7bは、ノーズ領域および離脱領域を組み合わせている本発明の実施形態の一変種を斜視図にて示している。
【図7c】図7cは、図7aおよび図7bについて高さH’がどのように定められるのかを示している。
【図8a−8b】図8aおよび図8bは、プーリの側面の面積よりも小さい面積のオフセット領域を呈しているプーリに合わせられた本発明の一変種の斜視図および側面図である。
【図8c】図8cは、図8aおよび図8bについて高さH’がどのように定められるのかを示している。
【図9a−9b】図9aおよび図9bは、プーリの側面の面積よりも小さい面積のオフセット領域を呈しているプーリに合わせられた本発明の一変種の斜視図および側面図である。
【図10】図10は、ノーズ領域の捕捉エッジが滑り止めの横迫台を呈している本発明の一変種を示している。
【図11a】図11aは、プーリに取り付けられるように構成された別途のツールの好ましい変種の斜視図である。
【図11b−11c】図11bおよび図11cは、プーリに取り付けられた図11aのツールの2つの斜視図である。
【図12】図12は、図11a〜図11cのツールの簡単化された変種を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aが、2つの側面または側面2および3と、中心軸4と、ベルト(例えば、自動車のK型伝達ベルト)のリブを受け入れるために適した幅Lのリブ付き溝5とを有するプーリ1を示している。
【0026】
リブ付き溝5が、2つのリム6および7の間に位置しており、一方のリム6が、半径方向の捕捉ゾーン(図1aおよび図1d)を形成するように配置された捕捉エッジ11を呈しているノーズ領域10を呈している。捕捉エッジ11は、プーリ1の半径12および軸を含む平面内に位置し、かつ丸みを帯びた形状の上流および下流領域11および11の間に位置しているピーク領域11を呈しており、あるいは半径方向を向いた凸状の外形(図1e)を呈しており、すなわち半径12に平行かつ捕捉ゾーン11(図1a)のピークを通過する母線を有する表面あるいは凹状または凸状の母線を呈する表面を有している。図1bにおいて、捕捉エッジ11が、リム6を超えて延びているわけではないことを、見て取ることができる。この例では、外側の面10が、リム6の外側の面6と同一面で終わっている。
【0027】
一般に、ベルト20のリブ25および側面23、24が、それらの経路において鋭いエッジに遭遇することがないようにすることが適切であり、したがって外形を丸みを持たせることが望ましいことに、注意すべきである。
【0028】
捕捉エッジ11は、好ましくはリブ付き溝5の幅L(ベルトの幅lにほぼ等しい)に等しい高さH(図1c)を呈し、外側の側面23を内側の側面24よりも持ち上げることによってベルト20のリブ25を受けるための充分な有効当接長(破線14)を呈することを可能にする。
【0029】
実際に、その位置に鑑み、捕捉エッジ11が、ベルト20が横にずれることがないようにする。
【0030】
しかしながら、捕捉エッジ11の上流においては、ノーズ領域10が、ベルト20の取り付けの際に溝5にはめ込まれるベルト20のための低い横案内壁を構成するように、リム6に沿って延びる真っ直ぐまたは斜めの平らな側面15(図6aおよび図7aも参照のこと)を呈することが好都合である。
【0031】
後方に向かっては、ノーズ領域10の上面が、リム6に合流する漸進的な外形14を後方に向かって呈することができる。この漸進的な外形は、良好な機械的強度をもたらしつつ、ノーズ領域10が過度に重くなることがないようにし、結果として生じる不釣り合いが大きくなりすぎないようにする。
【0032】
図2aおよび図2bは、捕捉ゾーン11がもはや半径方向ではなく、半径12(この場合には、捕捉エッジ11の根元を通過する)を含みかつプーリの軸に対して垂直である平面内で角度αだけ半径12に対して傾けられている変種を示している。この角度αは、通常は、80°未満の値を有するように指定され、とくには60°未満の値を有するように指定され、好ましくは30°〜45°の範囲にあり、図2cにおいて有効高さH’として示されている。好ましくは、H’≧Lである。凹状または凸状の形状(破線による母線11’または11’’)においては、角度αが、捕捉エッジ11の根元および頂上に位置する端点AおよびBの間で定義される。図示の凹状または凸状の形状が、張力の作用のもとでのエッジ11に沿った外へのベルトの滑りの観点から好ましいことに、注意すべきである。平たい側面15を、外へと向いており、ベルトの適切な案内を可能にする領域16(図2b)を介して、捕捉エッジ11へとつなげることができる。
【0033】
図3が、ただ2つのプーリ1および1’を備える例示のための簡単な伝達システムに取り付けられるベルト20を示している。ベルトが、プーリ1’に取り付けられ、さらにリブ付き溝5および捕捉エッジ11に、プーリ1の側面2を横切って延びる垂れ下がったストランド21を下流に(取り付け方向に)呈するように、仮に配置されている。
【0034】
プーリ1を方向Fの方向に回転させることによって、外側の側面23が内側の側面24よりも持ち上げられているベルト20が、ベルト20のゾーン22のリブ25の少なくとも一部と接触する捕捉エッジ11によって押されるため、ベルト20がプーリの溝5に徐々にはまり込む。プーリ1を矢印Fの方向に回転させ続けることで、ベルト20が、徐々に引っ張られつつ、プーリ1の溝5にはまり込む。
【0035】
ベルトを捕捉エッジ11を巡ってねじることによって得られる垂れ下がったストランド21をより容易に配置できるようにするために、溝5の高いリム6から離れて低下する異形の離脱領域30を、ノーズ領域10の捕捉エッジ11から下流に設けることが、好都合である(図4aおよび図4bを参照)。この離脱領域30は、図4aおよび図4bに示されるように平坦であってよく、上流の曲線状の外形31(参照番号32が、下流の曲線状の外形を指している)の中心Cを通過する半径13に対して角度βを形成することができ、この角度βが、例えば30°〜60°の範囲にある。90°に等しい角度βが、傾斜のない形状に相当すると考えられる一方で、ゼロという角度が、垂直な離脱形状に相当すると考えられる。この角度βは、半径13およびプーリ1の軸を含む平面において測定され、外に向かって正であるように測定される(図4c)。平坦な離脱領域30については、角度が、セグメント(32,C)と半径13との間で測定される。
【0036】
離脱領域30は、凸状であってよく、その場合には、βは、やはり半径13とセグメント(32,C)との間の角度として、図4cに示されるように決定される。
【0037】
離脱領域30は、凸状の上流側エッジ31および/または下流側エッジ32を呈することができる。
【0038】
後述のように、領域30の存在が、領域22のベルト20のリブの有用な当接領域の延長を可能にし(したがって、ノーズ領域10の高さを減らすことが可能になる)、有効接触高さH’を、溝5の幅以上になるように好都合に選択することができる。この例(図4a)においては、α=0°であるが、角度αについて、他の何らかの特定の値も実現可能であることに、注意すべきである。
【0039】
図5aおよび図5bが、この例においては丸みを帯びた形状である捕捉エッジ11を巡るベルト20の垂れ下がったストランド21の案内を改善するために、捕捉エッジ11の上流かつ離脱領域30の傍ら17に外へと向けられた凸状の外形16を呈しているノーズ領域10を示している。外へと傾斜している低い案内壁18も、ベルト20の運動に随伴する目的のために捕捉エッジ11から充分に離して設けることができる。この例においては、α=0°であるが、角度αについて、任意の他の特定の値も実現可能であることに、注意すべきである。
【0040】
プーリ1を矢印Fの方向に回転させることで、ベルトのゾーン22が捕捉エッジ11へと押し付けられるため、低い案内壁18は、実際には、補助的な機能しか果たさない。
【0041】
図6aおよび図6bの好ましい変種においては、平坦、凹状、または凸状の移行領域35が、捕捉エッジ11と異形の離脱領域30との間に存在し、ベルトを徐々に案内することを可能にしている。この変種においては、捕捉エッジ11が、好ましくは30°〜45°の範囲にある60°未満の非ゼロの角度αで傾けられている。有効長H’(好ましくは、H’≧L)が、図6cに示されている。有効長H’が、ピーク領域11および移行領域35を包含することを、見て取ることができる。
【0042】
図7aおよび図7bが、凹状の接続ゾーン63を介して捕捉エッジ11につながる円錐台形状の低下したエッジ61を呈しているプーリ1が別の変種を示している(0≦α<60°であり、αは好ましくは30°〜45°の範囲にある)。有効長H’が、捕捉エッジ11の頂上11および円錐台形状のエッジ61の端部64までの接続ゾーン62を包含しており(図7cを参照)、有効長H’は、好ましくはベルト20の幅l以上である。
【0043】
図8aおよび図8bが、プーリに一体化され、プーリの横エッジの面積よりも小さい面積であり、とくにはプーリ1の溝5の直径よりも小さい中間的な直径であるオフセット領域72を呈しているツールを示している。
【0044】
ノーズ領域110が、プーリ1の溝5に隣接かつプーリ1の溝5の上方に位置する低い案内壁120の内側の側面121から下流へと外方向にベルト20を案内するほぼ平坦な上流領域101を有するJ字形の外形を呈している別個の要素である。
【0045】
取り付けの際に、ベルト20の外側の側面23が、内側のエッジ121および内側のエッジ121に連続して位置する領域101に沿って延び、円弧状の領域114において下流に向きを変え、捕捉エッジ111に達する。ベルト20は、上流領域101に隣接し、半径方向においてリブ付き溝5とほぼ同じ高さに位置している平坦または凸状の領域115に当接する。次いで、ベルトは、平坦または凸状の中間領域116によって案内され、随意により中間領域72の出っ張り73と側面75との間に位置する円柱形の領域72によってもたらされる丸みを帯びた部位74に沿って滑る。
【0046】
領域101を捕捉ゾーン111へと接続する円弧状の領域114が、図3に示したやり方で実行される取り付けの際に、ベルト20の回転が伴うことを可能にする。
【0047】
捕捉エッジ111および領域116を領域116のふもと117まで包含する有効長H’(好ましくは、l以上である)を考慮しなければならない。これは、ノーズ領域110の有効高さを減らすように機能する。図示の例では、α=0であるが、この角度は、60°未満、好ましくは30°〜45°に範囲にある非ゼロの値を呈することができる。
【0048】
図示の実施形態においては、各々が互いの連続である2つの別個の要素110および120が存在するが、これらをただ1つの要素を形成するように一体化させてもよい。しかしながら、そのような策は、いかなる特段の機能的利点を呈することなく、重量および不釣り合いを増やしかねない。
【0049】
図9aおよび図9bは、オフセット領域を有するプーリの別の実施形態を示している。
【0050】
ツールが、図1a、図1b;図2a、図2b;図4a、図4b;図5a、図5b;図6a、図6b;または図7a、図7bに示したようなノーズ領域10と、おそらくは離脱領域30とを呈しており、オフセット領域72が、側面75を延長し、ベルトをプーリの主たる側面6に当接させて領域72の外形に保持することを可能にしている低い壁76を呈している。
【0051】
オフセット領域72が、直線領域と丸みを帯びた領域とを交互に有する図示のような三角形の形状であってよく、あるいは他の何らかの外形(例えば、図8aおよび図8bに示されているような円柱形)を有することができることに、注意すべきである。
【0052】
上述のツールは、該当のプーリに一体化されている。まさにその設計ゆえに、中心からずれた重量が生じ、不釣り合いが生じる。特定の変種は、ノーズ領域の高さの削減を可能にすることで、不釣り合いを減少させる。不釣り合いを、フライウエイトおよび/または局所的な開口を設けることによって補償することができ、あるいは図2aおよび図2bならびに図5aおよび図5bのように対称に配置された2つのツールを有することによって、補償することができる。
【0053】
そのようなツールを金属製のプーリよりもはるかに軽い熱硬化性材料のプーリに取り入れることが、とくに好都合である。そのような状況においては、ツールに起因する不釣り合いを、通常は無視できると考えることができ、補償が不要である。
【0054】
角度αの値は、張力の作用のもとでのエッジ11に沿ったベルトの外への滑りによって限定される。この滑りは、ベルトの取り付けの張力が増すにつれて大きくなる。したがって、自動車のK型ベルトにおいては、例えば家庭の電気器具のベルト(洗濯機)の場合よりもはるかに大きい。角度αの値を、捕捉エッジ11の上端に高さh(例えば、h=hであり、ここでhはベルト20の高さである)の迫台90を配置して、ベルト20の外側の側面23を保持することによって増すことができる(図10を参照)。
【0055】
図11a〜図11cは、例えばプラスチック材料または金属で製作され、プーリから独立であってよいツールに関する。このツールは、図1a、図1b;図2a、図2b;図4a、図4b;図5a、図5b;図6a、図6b;または図7a、図7bに関して説明したようなノーズ領域10と、おそらくは離脱領域30とを備えることができる。溝5のリブ付きの形状と対をなすリブ付きの形状80と、好ましくはノーズ領域10を保持するエッジにおいてプーリ1の側面6に当接するエッジ81とによって、プーリ1の溝5に取り付けられる。エッジ81が、取り付けの際にツールが傾くことを防止する。
【0056】
取り付けの際に、ベルトが徐々に引っ張られ、ベルトのリブを受け止める上面82に当接することによって、ツールが動かぬように保持される。取り付けが、図3に示されるとおりに行われ、その後にツールを取り除くことができる。
【0057】
ベルトが当接する上面82は、好都合には、ノーズ領域10を収容する上流のエッジ83から延びる外形を呈し、この外形は、少なくとも捕捉エッジ11に合わせて位置し、エッジ84が、捕捉エッジ11を巡るねじりの運動の際にベルト20に支持点をもたらすために充分な長さにわたって、捕捉エッジ11のふもとを超えて延びている。
【0058】
上面82の外形は、好都合には、プーリ1の溝5のリブとほぼ同じ高さに位置する上流側のエッジ83から、ツールが取り付けの力に耐えるための強度を有することができるように充分な厚さをもたらすべく高くされている下流側のエッジ84まで、漸進的である。
【0059】
図12は、リブ付きの外形80が存在せず、プーリのリブ付き溝5に当接する凹状の当接面85によって置き換えられている点で相違する図11a〜図11cの簡単化された変種を示している。凹状の当接面85は、プーリ1の側面6に当接するエッジ81を定めるために、当接面85の側方に沿って延びている溝86を有している。エッジ81および溝86が、取り付け時のツールの傾きを防止するように機能する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達システムのプーリのリブ付き溝にベルトを取り付けるためのツールであって、
外側の面(10)と、内側の側面(15)と、捕捉エッジ(11)を構成する端部領域とを呈するノーズ領域(10)を呈しており、前記捕捉エッジ(11)が、取り付けの際にベルトの外側の側面(23)を反対側の内側の側面(24)よりも持ち上げることによってベルト(20)のリブ(25)の少なくとも一部分のための当接面を形成するように機能することを特徴とするツール。
【請求項2】
前記捕捉エッジ(11)が、半径方向(α=0)に配置され、あるいは捕捉エッジの根元(A)を通過するプーリ(1)の半径(12)に対して角度αを形成し、該角度αが、プーリの軸に垂直な平面内で測定され、80°未満、とくには60°以下、さらに具体的には30°〜45°の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記ノーズ領域(10)の前記外側の面(10)が、プーリ(1)のリム(6)の外側の面(6)に合わせられていることを特徴とする請求項1または2に記載のツール。
【請求項4】
前記ノーズ領域(10)の前記捕捉エッジ(11)が、平坦な頂上(11)を呈していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のツール。
【請求項5】
前記捕捉エッジの前記頂上の領域(11)が、各側に凸状のエッジ(11、11)を呈していることを特徴とする請求項4に記載のツール。
【請求項6】
前記捕捉エッジ(11)が、凸状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のツール。
【請求項7】
前記ノーズ領域(10)の前記捕捉エッジ(11)が、プーリ(1)のリブ付き溝(5)の幅以上の有効高さHを有していることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載のツール。
【請求項8】
前記ノーズ領域(10)の前記捕捉エッジ(11)が、根元において、プーリ(1)のリブ付き溝(5)の前記エッジ(6)から低下する異形の離脱領域(30)によって延長されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のツール。
【請求項9】
前記ノーズ領域(10)の前記捕捉エッジ(11)および前記離脱領域(30)が、プーリ(1)のリブ付き溝(5)の幅以上の有効長H’を有することを特徴とする請求項8に記載のツール。
【請求項10】
前記異形の離脱領域が、プーリの半径に対して該半径およびプーリの軸を含む第1の平面において角度βを形成するほぼ平坦または凸状の領域を呈しており、該角度βが、とくには30°〜60°の範囲にあることを特徴とする請求項8または9に記載のツール。
【請求項11】
前記離脱領域(30)が、少なくとも凸状の上流および/または下流エッジ(31および/または32)を呈していることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のツール。
【請求項12】
前記ノーズ領域(10)および前記異形の離脱領域(30)が、ほぼ平坦、凹状、または凸状の接続領域(35)を呈していることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のツール。
【請求項13】
前記捕捉エッジ(11)の上流に、プーリ(1)のリブ付き溝(5)の前記エッジ(6)の一部分に沿って延びる真っ直ぐまたは斜めの低い案内壁(15、16、120)を呈していることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載のツール。
【請求項14】
前記ノーズ領域(10)が、前記低い案内壁(15、16)を含んでいることを特徴とする請求項13に記載のツール。
【請求項15】
前記異形の離脱領域(30)が、取り付けの際にベルト(20)の外側の側面(24)に接触してベルトの滑りを防止する横方向の迫台(18)を自由端に呈していることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載のツール。
【請求項16】
当該ツールが、プーリとは別個であり、プーリ(1)の側面(6)に当接する側面(81)、およびプーリ(1)の溝(5)に当接する底面(80、85)と、少なくとも前記捕捉エッジ(30)に配置され、ベルト(20)が当接する上面(82)とを呈する領域を有していることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載のツール。
【請求項17】
前記当接する底面が、前記プーリ(1)のリブ付き溝(5)と対をなす外形(80)を呈していることを特徴とする請求項16に記載のツール。
【請求項18】
前記プーリに一体化されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のツール。
【請求項19】
プーリに一体化されており、該プーリが、該プーリの前記横領域よりも小さい面積であり、該プーリの外形の内側に内接させられるオフセットされた横領域(72)を呈しており、該オフセットされた横領域(72)が、前記ノーズ領域(10)の下流においてベルトの垂れ下がるストランドを受けることができるようにする高くされた外エッジ(76)を呈することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のツール。
【請求項20】
前記プーリに一体化されており、該プーリが、該プーリの前記横エッジの面積よりも小さい面積であり、該プーリの外形の内側に内接させられるオフセットされた横領域(72)、とくには円柱形の領域を呈しており、
当該ツールが、プーリのリブ付き溝(5)の前記エッジの一部分に沿って延びる低い案内壁を形成している第1の要素(120)と、前記捕捉エッジ(111)および前記異形の離脱領域(116)を形成している第2の要素(110)とを備えており、少なくとも前記第2の要素(110)が、前記オフセットされた横領域(72)によって保持され、その傍らを延びる横案内ゾーン(101)を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のツール。
【請求項21】
前記離脱領域(115、116)が、プーリ(1)のリブ付き溝(5)と半径方向における高さがほぼ同じである上流の第1の領域(115)と、該上流の領域を前記オフセットされた横領域(72)に接続する中間の第2の領域(116)とを呈していることを特徴とする請求項20に記載のツール。

【図1a−1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図1d−1e】
image rotate

【図2a−2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a−4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図5a−5b】
image rotate

【図6a−6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7a−7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図8a−8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図9a−9b】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b−11c】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2012−514719(P2012−514719A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544067(P2011−544067)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001458
【国際公開番号】WO2010/079267
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(591136931)
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON
【Fターム(参考)】