説明

ベルトクランプ

第1部材(10)と、第1部材に係合するヒンジ(30)を有する第2部材(20)とを備え、第2部材はベルトを受容する凹部(21)を有し、ベルトはクレビスピン(C)の周りに巻き付け可能であり、第1部材を第2部材にクランプするための締め具(40)を備え、第1部材は凹部の中に前記クレビスピンを保持するための側部(11、12)を有するベルトクランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトクランプに関し、特に、クレビスピンの周りに巻かれたベルトを収容するための凹部を有する部材と、第1部材を第2部材にクランプする締め具とを有するベルトクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的にフォークリフトは、積荷を持ち上げるためのフォークに連結されるマストを有する。リフト機構は、典型的にはチェーンを有する。チェーンはクレビスによってマストに固定される。さらに、チェーンは清掃と給油を含む定期的な保守を必要とする。
【0003】
例えばエレベータのためのリフト機構にベルトを用いることが知られている。ベルトをプーリあるいはアンカーに固定するためのクランプが知られている。クランプはベルトを横切って延びるプレートを備え、ボルトはプレートとベルトを貫通して延びる。
【0004】
この技術の代表は、米国特許第4,185,791号明細書(1980年)である。これはベルトがリトラクタから引張られるのを防止するための装置を開示し、クランプホルダとベース部材を備える。ベース部材は、狭い間隔を置いてギャップを形成する面を有し、そのギャップにはベルトが通過し、ベルトがベース部材から離れる角度で前方へ走行する。ホルダはクランプを受容し、クランプはホルダ面からわずかに突出し、一部においてギャップを形成するグリップ面を有する。ホルダはベース部材に枢着され、クランプとホルダは、クランプをベルトに係合しないように保持する方向に、回転軸周りに付勢される。ベルトをギャップを介して突然前方へ引張ろうとする瞬間的な力は、ホルダを後方へ回転あるいは揺動させ、クランプのグリップ面をベルトに係合させる。クランプとクランプホルダの前方へ斜めに横切るくさび面は、クランプをベルトに対してきつく割込ませ、前方へ引張られるのを防止する。
【0005】
フォークリフトのマストあるいは同様な装置において、ベルトをチェーン機構に直接代えてしまうことは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要であるものは、クレビスピンの周りに巻かれたベルトを収容するための凹部を有する部材と、第1部材を第2部材にクランプするための締め具とを有するベルトクランプである。本発明はこの必要性に合致する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主要な特徴は、クレビスピンの周りに巻かれたベルトを収容するための凹部を有する部材と、第1部材を第2部材にクランプするための締め具とを有するベルトクランプである。
【0008】
本発明の他の特徴は、本発明の以下の説明と添付された図面により指摘され明らかにされる。
【0009】
本発明は、第1部材と、第1部材に係合するヒンジを有する第2部材とを備え、第2部材はベルトを受容する凹部を有し、ベルトはクレビスピンの周りに巻き付け可能であり、第1部材を第2部材にクランプするための締め具を備え、第1部材は凹部の中にクレビスピンを保持するための側部を有するベルトクランプである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【図1】ベルトクランプの側面図である。
【図2】ベルトクランプの底面から見た斜視図である。
【図3】ベルトとともにマストに取付けられたベルトクランプの正面図である。
【図4】ベルトに取付けられたベルトクランプを側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はベルトクランプの側面図である。ベルトクランプ100は第2部材20に対してヒンジ関係にある第1部材10を備える。ヒンジ30は部材20の端部に配置される。
【0012】
凹部21はクレビスピンCを受容する。クレビスピンCは平ベルトの端部においてループに係合するために用いられる。図3参照。本発明は典型的にはフォークリフトに用いられるチェーンにとって代わり、ベルト(図3参照)を用いることができ、存在するマスト構造(図示せず)に変更を加えることなくチェーンにとって代わる。さらに、ベルトの唯一の荷重を受ける連結が孔24に係合するネジ付き締め具50であるので、ベルトの置換えは特別な工具あるいは他の変更をマストに加えることなく果たされる。
【0013】
凹部21は、クレビスピンCの周りに巻かれたベルトを収容するように形成される。凹部21は、クレビスピンCの軸Aが面23の内側において距離D1のところに配置されるのに十分な深さを有する。これは、荷重がベルトクランプを開放させようとする傾向を最小にしつつ、ベルトクランプの耐荷重性能を最適化させる。これは、延いては、締め具40に対する耐引張り荷重要求を減少させる。クレビスピンCはベルトクランプに対して固定的に取付けられず、ベルトがクレビスピンCの周りに巻かれた後、凹部21の中に挿入される。
【0014】
図1は開放位置にあるベルトクランプを示す。閉じた部材10が部材20を覆うとき、これによりクランプ力がベルトに作用する。したがって、クランプはベルトの全荷重能力に定められる。
【0015】
図2はベルトクランプの底面から見た斜視図である。部材10は側部11、12を備える。各側部11、12は中央部14から延びる。部材10は “C”形断面を有する。部材20は、ベルトクランプが閉じられたとき、側部11、12の間に嵌合する。各側部11、12はヒンジ30の作用によって第2部材20に近接して整列可能である。
【0016】
中央部14の孔13はボルト40のような締め具を受容する。図3参照。ボルト40はベルトBとクレビスピンCの周りに閉じられたベルトクランプをクランプする。さらに、面25はベルトを部材10に対して締めつけることによってベルトに圧力を付与し、これは装置のクランプ力を高める。
【0017】
部材20は、孔13から延びる締め具40を収容する孔22を備える。図3参照。締め具はベルトを貫通し、部材10、20とともにクランプし、これによりベルトをクランプ内に固定する。
【0018】
ベルトクランプをフォークリフトのような装置に取付けるため、ネジ付き締め具が用いられてネジ付き孔24に係合する。
【0019】
他の構成において、締め具は孔13、22を貫通して延びる必要はなく、これに代えて部材10、20にわたって係合する“C”形クランプを備えてもよい。“C”形クランプは公知である。本発明のクランプにより、締め具を収容するためにベルトに孔を形成することを必要とせずに、クランプを閉じるために締め具40を用いることができ、これはベルトの引張り荷重能力を減少させる。
【0020】
締め具40は公知のボルトとナット41の組み合わせであってもよい。他の構成において、孔22は、ナットの必要性をなくすためにネジが切られていてもよい。
【0021】
さらに他の構成において、第1部材10は、ベルトクランプが閉じ位置にある状態で第2部材20に溶接されてもよい。ベルトを取り除くために、溶接のビードが研削されてもよい。
【0022】
図3は、ベルトとともにマストに取付けられたベルトクランプの正面図である。ネジ付き締め具(図示せず)はクランプを取付け面(MS)に固定する。ヒンジ30は、部材20を部材10に対して押圧する梃の支点として作用するが、ヒンジ30はベルト引張り荷重を受けることに対して必ずしも寄与しない。ベルト引張り荷重の大部分はベルトからクレビスピンCへ伝達され、部材20に伝わり、そして締め具50に伝わる。図5参照。部材10は、凹部21においてクレビスピンCを保持するクランプ力を与える。
【0023】
図4はベルトに取付けられたベルトクランプを側方から見た図である。2つのクランプ100が、その間に連結されたベルトBとともに示されている。本発明の構成により、ベルトの全定格能力を一定のアプリケーションに用いることができる。
【0024】
ここでは、本発明の1つの形態について説明されたが、当業者にとっては、ここで説明された本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、その構成や部分の関係に変形が加えられることは自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材(10)と、
前記第1部材に係合するヒンジ(30)を有する第2部材(20)とを備え、
前記第2部材はベルトを受容する凹部(21)を有し、前記ベルトはクレビスピン(C)の周りに巻き付け可能であり、
前記第1部材を前記第2部材にクランプするための締め具(40)を備え、
前記第1部材は前記凹部の中に前記クレビスピンを保持するための側部(11、12)を有する
ベルトクランプ。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材がそれぞれ、前記締め具を受容するための孔を備える請求項1に記載のベルトクランプ。
【請求項3】
前記第1部材が、前記第1部材が“C”形断面を有するように、第2側部を備える請求項1に記載のベルトクランプ。
【請求項4】
前記凹部が、クレビスピンCの軸Aが面23の内側において距離D1のところに配置されるのに十分な深さを有する請求項1に記載のベルトクランプ。
【請求項5】
前記第2部材が、締め具を受容するために第2の孔をさらに備える請求項1に記載のベルトクランプ。
【請求項6】
前記第2部材がベルトを前記第1部材に対して締めつけるための面をさらに備え、前記面が、ヒンジ30が梃の支点として作用するように配置される請求項1に記載のベルトクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520813(P2012−520813A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500793(P2012−500793)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/000973
【国際公開番号】WO2010/120342
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】