説明

ベルトコンベア用スカート装置

【課題】石炭を搬送する際の落炭防止や発塵防止に優れるベルトコンベア用スカート装置を提供する。
【解決手段】集合槽12の下部にスカート支持部2を取り付け、前記スカート支持部2の下方に円筒パイプ4、好ましくは鋼製の円筒パイプ、を上下の取り付け位置が調整可能となるように装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトコンベアから搬送物が落下するのを防止するベルトコンベア用スカート装置に関し、特に、石炭を搬送する際の落炭防止や発塵防止に優れるものに関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、原料地区における石炭の移動経路を説明する模式図で、石炭aは、石炭ヤードからローダー90により切り出され、定量切出装置(CFW)100まで搬送される。
【0003】
定量切出装置(CFW)100で一定量とされた石炭が砕炭機200に搬送され、その後、コークス炉300に投入される。
【0004】
石炭の石炭ヤードからコークス炉までの移動は全てベルトコンベアによるので、ベルトコンベアは原料設備のほぼ90%を占め、装備数850本、総延長は80kmにも達し、ベルトコンベアからの石炭の落下(以下、落炭)や、発塵は環境防災に大きな影響を与える。
【0005】
特許文献1は、ベルトコンベヤ装置に関し、スカートによる運搬物の飛散防止効果とベルト及びキャリバーの耐久性を確保するため、ベルト裏面側に軸線がベルトの長手方向に沿って配置される複数のキャリバーとベルト裏面との間隔を、スカートの下部となる領域では、ベルト中央部の領域よりも小さくしたものが記載されている。
【0006】
特許文献2は、ベルトコンベア用スカート装置に関し、ベルトが搬送物の落下衝撃により振動しても、スカートがその振動に追従できるように、スカート支持部をベルトを支持するキャリアローラのフレームに取り付け、更に当該支持部にスカートを弾性体を介して上下動自在に装着したものが記載されている。
【0007】
図3は定量切出装置(CFW)100における落炭や発塵を防止する方法の一例を説明する図で、配合槽101の下部のスカート部107とフィーダベルト103の隙間はスカート102で覆われ、フィーダベルト103とスケールベルト106のテール部には飛散防止シュート105が取り付けられている。
【0008】
図4は、図3に示した定量切出装置(CFW)の、フィーダベルト103の進行方向と直角方向の断面構造を示す図で、石炭aの落炭や発塵を防止するため、スカート102の下端部はフィーダベルト103の上面と接するように配置される。
【特許文献1】特開2001−310811号公報
【特許文献2】特開平7−277463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、原料ヤードから定量切出装置(以下、CFW)に移送される石炭は、配合槽の上方のベルトコンベアから配合槽内に落下するので、配合槽下部のスカート部とフィーダベルトの隙間をスカートで覆っても、落下の衝撃力により既にスカート部に堆積している石炭がスカートを押し拡げて落炭が発生する。
【0010】
特許文献1,2記載のベルトコンベア用スカート装置においてスカートはいずれもゴム製で、上述した現象を防止することはできない。
【0011】
そこで、本発明は、フィーダベルトを傷めることなく、フィーダベルト上の原料漏洩の防止が可能な、剛性の高いスカートを備えたベルトコンベア用スカート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は以下の手段により達成可能である。
1.スカートとして円筒パイプを用いることを特徴とするベルトコンベア用スカート装置。
2.ベルトコンベア上に搬送物を上方より逐次供給する集合槽に取り付けられるベルトコンベア用スカート装置であって、集合槽の下部にスカート支持部を取り付け、前記スカート支持部の下方に円筒パイプを上下の取り付け位置調整可能に装着したことを特徴とするベルトコンベア用スカート装置。
3.円筒パイプが鋼製であることを特徴とする1又は2記載のベルトコンベア用スカート装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ゴム製のスカートを用いた場合に対し、以下の効果が得られ、産業上、極めて有用である。
1.稼動開始時に調整した後は、調整が不要である。
2.ベルトとスカートが接触する部分の磨耗損傷が抑制される。
3.スカートとベルトの隙間からの原料漏洩が大幅に低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、スカートとして円筒パイプを用いることを特徴とする。以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例に係るベルトコンベア用スカート装置の構成を説明する図で、ベルトコンベアの進行方向と直角方向の断面を示す。図において1はベルトコンベア用スカート装置、2はスカート支持部、3は円筒パイプ固定用部材、4は円筒パイプ、5は調整及び固定用ボルト、6は調整及び固定用ボルトの頭部、7、8,9はナット、10はベルトコンベア、11はベルトコンベア10のキャリアロール、12は集合槽、21は固定用部材、22は固定用コッターピース、23はコッターピン、31は円筒パイプ固定用部材3の補強材を示す。
【0016】
ベルトコンベア用スカート装置1は、スカート支持部2とスカートとしての円筒パイプ4を有し、集合槽12に取り付けられる。
【0017】
スカート支持部2と円筒パイプ4は、円筒パイプ4に溶接などで接合された円筒パイプ固定用部材3と、スカート支持部2に固定された固定用部材21を、固定用ボルト5で結合及びコッターピース22にコッターピン23を打ち込み固定する。
【0018】
円筒パイプ固定用部材3と固定用ボルト5は、円筒パイプ固定用部材3に設けたボルト孔(図では省略)に固定用ボルト5を螺合させて、円筒パイプ固定用部材3をナット8,9で上下方向から締め付けて、固定する。尚、円筒パイプ固定用部材3はナット8,9で固定されるので、ボルト孔の替わりに、ボルト径より大きな径の孔を設けてもよい。
【0019】
円筒パイプ固定用部材3と固定用ボルト5は固定用部材21に設けたボルト孔(図では省略)に、固定用ボルト5を螺合させて、ナット7を螺着させてその位置に固定させる。
【0020】
上述したように、円筒パイプ固定用部材3は、スカート支持部2に固定された固定用部材21にボルトナット接合で結合されるので、円筒パイプを、スカート支持部に対し、上下の取り付け位置調整可能に装着することが可能である。
【0021】
円筒パイプ4には、上方から落下する石炭aにより、外側に押し広げようとする力が働くので、円筒パイプ4の肩部と円筒パイプ固定用部材3の間に補強材31を外側より取り付ける。
【0022】
本発明では、円筒パイプ4の外径Dを、ベルトコンベア用スカート装置1内で、石炭aが矢印cの方向に移動した際、空隙bが生じるように選定することが重要で、空隙bが生じることにより、一時的に円筒パイプとベルトコンベアが離れても落炭を防止することが可能となる。
【0023】
例えば、CFWに本発明に係るベルトコンベア用スカート装置を用いる場合、石炭aの漏洩防止効果は外径D=70mmが最も好ましい。また、鋼製の円筒パイプがベルトコンベアを傷つけることなく、耐摩耗性に優れ好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明例。
【図2】原料地区における石炭の移動経路を説明する模式図。
【図3】CFWの構造を説明する図。
【図4】従来例。
【符号の説明】
【0025】
1 ベルトコンベア用スカート装置
2 スカート支持部
3 円筒パイプ固定用部材
4 円筒パイプ
5 固定用ボルト
6 固定用ボルトの頭部
7、8,9 ナット
10 ベルトコンベア
11 キャリアロール
12 集合槽
21 固定用部材
22 固定用コッタ-ピース
23 コッターピン
31 補強材
90 ローダー
100 定量切出装置(CFW)
101 配合槽
107 スカート部
103 フィーダベルト
102 スカート
106 スケールベルト
105 飛散防止シュート
200 砕炭機
300 コークス炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スカートとして円筒パイプを用いることを特徴とするベルトコンベア用スカート装置。
【請求項2】
ベルトコンベア上に搬送物を上方より逐次供給する集合槽に取り付けられるベルトコンベア用スカート装置であって、集合槽の下部にスカート支持部を取り付け、前記スカート支持部の下方に円筒パイプを上下の取り付け位置調整可能に装着したことを特徴とするベルトコンベア用スカート装置。
【請求項3】
円筒パイプが鋼製であることを特徴とする請求項1又は2記載のベルトコンベア用スカート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−238230(P2007−238230A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60959(P2006−60959)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】