説明

ベルト・モニタリング・システムおよび方法

ベルト・モニタ・システムは、導電性補強材から形成される補強部材を少なくとも1つ有するベルトを使用する。ベルトモニタは、ベルトとともに配置される。ベルトモニタは、印加信号によって励磁される磁場インダクタを備える。導電性補強部材の電気的な特性における変化によって影響される少なくとも磁場インダクタの一部の電気的な特性が、導電性補強部材の物理的な状態を特定し、それによりベルトの物理的な特性をモニタするためにモニタされる。このモニタリングは、磁場インダクタに隣接してあるいは磁場インダクタとともに配置される検知インダクタによって実行されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは伝動ベルトに関し、より詳細には、そのようなベルトの状態をモニタするシステムおよび方法に関し、特に導電性補強部材を備えたベルトをモニタするベルト・モニタ・システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝動ベルトなどの状態をモニタするための従来の試みは、ベルトに特殊な修正を要求した。例えば、ガートランド(Gartland)の米国特許第6,715,602号明細書は、コンベアベルトの割れの位置と検出を容易にするために搬送ベルトの中に特別の目的をもって埋設される無端ループを含んだ少なくとも1つの専用のセンサを組み入れることを教示する。別の例としては、アーメド(Ahmed)に特許された2つの米国特許第6,523,400号明細書および第6,532,810号明細書であり、閉ループにおける破損の検出を容易にするためにベルト内に埋設されることを求められる専用の閉ループワイヤあるいはストリップを教示する。どちらのケースにおいても、そのようなセンサを埋設することは経費が掛かるとともに、特殊な製造方法、およびベルトの通常の使用には特異な付加的な道具を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、伝動ベルト、搬送ベルトなどの状態を検知するためのシステムおよび方法に向けられている。より詳細には、本発明の実施形態は、ベルト内の従来の導電性補強部材に電磁波を伝搬させることによるベルトの物理的特性のモニタリングに関する。本発明は、ベルトのロバストネス、集結度、強度を傷つける可能性があり、予定されたアプリケーションにおいてベルトのパフォーマンスにネガティブな強い影響を与え得る侵入型のセンサの利用を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ベルト・モニタ・システムの実施形態は、好ましくは炭素繊維コードなどの導電性素材から作られる少なくとも1つの補強部材を有するベルトを備えてもよい。補強材として動力伝達ベルトに組み入れることについては、ここで参照として組み入れられ、共に所有される米国特許第5,807,194号明細書および第6,695,733号明細書において論じられている。代替的に、あるいは付加的に、そのような補強部材は、炭素とガラスのハイブリッド混成ベルトに含まれるような、導電性材料に加えて別の補強材料を有していてもよい。本発明のシステムは、好ましくは更に、例えばベルトと組み合わせて配置されるベルトモニタ(監視)装置を含む。そのようなベルトモニタ装置は、印加される電圧信号などの信号によって励磁される電磁場を生成する例えばプレスされた鉄フェライト・コア・コイルなどを含むことが好ましい。鉄フェライト・コア・コイルは、例えば円環状あるいはU字形である。コイルのコアが円環状であれば、それは分割されていることが好ましい。電磁場は、ベルト内の補強部材の電気特性の変化に影響される。これらベルト内の補強部材の電気特性の変化は、損傷、破断、破損、疲労、温度変化など、ベルトの物理的な状態の変化に起因するものである。これらの変化の影響は、磁場インダクタの電気的特性に更に現れるであろう電磁場の変化として現れ得る。
【0005】
磁場インダクタの少なくとも一部の電気的特性の計測は、例えばプレスされた鉄フェライトコア磁場インダクタのコアの周りに、磁場インダクタに隣接して配置されるであろう検知インダクタを用いて行われるであろう。そのような計測は、限定的にではないが、磁場インダクタに流れる電流の大きさ、磁場インダクタにおける電圧の波形対称性の変化、磁場インダクタにおける電圧と電流の間の位相差、および/または磁場インダクタにおける磁束強度などの電気的特性の計測を含み得る。そのような計測は、例えばデジタル信号処理(DSP)などを含むデータ取得プロセスを採用することにより達成されるであろう。
【0006】
ベルト・モニタ・システムの実施形態は、同期ベルトや補機伝動ベルト、無段変速機(CVT)ベルト、Vベルト(カーボンVベルトを含む)、ファンベルト、カーボンファイバ強化熱可塑性ポリウレタン(TPU)ベルト、熱硬化性/弾性ベルト、無端ベルト、長尺ベルトなどの自動車などに利用されるベルトの状態をモニタするであろう。別の例としては、ベルト・モニタ・システムは、静止機器、駆動機構、搬送ベルトなどの工業的な応用においてベルトとともに用いられるであろう。ベルトは、ベルトと一体的に形成されるかもしれず、ベルトの少なくとも一部に亘って長手方向に延在し得るベルトを強化するためのカーボンファイバやカーボンコードなどの導電ファイバを含むことが好ましい。上述した磁場インダクタが、導電補強ファイバを含有するベルトに隣接して配置されることが好ましく、ファイバは、磁場インダクタを励磁して発生する電磁場に影響を与え得る。例えばベルトの磨耗、ベルトに掛かるストレス、ベルト内のファイバに掛かるストレス、ベルト温度の変化、ベルト材料の変質など、ベルトの状態の変化は、磁場インダクタにより発生する電磁場の変化として現れるであろう。電磁場の変化は、磁場インダクタのインピーダンス、磁場インダクタに流れる電流の大きさ、磁場インダクタにおける電圧の波形対称性、磁場インダクタにおける電圧と電流の間の位相差、磁場インダクタにおける磁束強度などの変化のような磁場インダクタの電気的特性の変化として現れるであろう。
【0007】
運転時において、上述されたようなシステムは、ベルトをモニタするための方法を採用するかもしれず、それは少なくとも1つの導電補強部材を有するベルトに近接して磁場インダクタを配置するステップと;電磁場を発生させるために電流を磁場インダクタに流し励磁するステップと;磁場インダクタ、ベルト、電磁場に隣接して検知インダクタを配置するステップと;ベルトの物理的なパラメータにより影響される電磁場によって影響される検知インダクタの電気的パラメータの変化を計測し;そしてベルトの物理的な状態を計測された検知インダクタの電気的パラメータから特定するステップとを含む。
【0008】
以上の説明は、以下に続く発明の詳細な説明をより良く理解できるようにするため、本発明の特徴及び技術的利点に関してかなり概略的なものである。本発明の更なる特徴及び利点は、これより以下に記載され、それは発明の請求の範囲の主題を構成するものである。当業者であるならば、ここに開示された概念と特定実施形態は、本発明と同じ目的を実行するに当たって、変更したり他の構造物を設計する際のベースとして容易に利用できることを理解すべきである。更に、当業者であるならば、そのような同等な構造物は、添付した請求の範囲に記載の本発明の精神・範囲から逸脱していないことを実感すべきである。その機構や作動方法に関し、本発明を特徴付けるものとして想到される新しい特徴は、更なる目的や利点と共に、添付した図面に関して考慮された以下の説明により、一層理解されるであろう。しかしながら、明確に理解されるべきは、図面の夫々は例証と説明だけの目的で提供されたものであって、本発明の範囲を定義する目的で提供されたものではないということである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
類似した番号が類似した部品を表している明細書に組み込まれかつ明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示すものであって、その説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つものである。図面において:
【0010】
【図1】ベルト・モニタ・システムの一実施形態のダイアグラムである。
【0011】
【図2】歯を有するベルトの一例の切断図である。
【0012】
【図3】ベルトモニタの一実施形態のダイアグラムである。
【0013】
【図4】ベルトモニタの一実施形態の構造のより詳細なダイアグラムである。
【0014】
【図5】ベルト状態検出方法の実施形態のフローチャートである。
【0015】
【図6】本システムおよび方法において採用され得るデジタル信号処理プロセスの一実施形態のフローチャートである。
【0016】
【図7】本システムおよび方法において採用され得る温度調整プロセスの実施形態のフローチャートである。
【0017】
【図8】本システムおよび方法において採用され得るキャリブレーション/データ取得プロセスの一実施形態のフローチャートである。
【0018】
【図9】本システムおよび方法において採用され得る抽出アルゴリズムの一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、図2に示される伝動ベルトや搬送ベルトなどのベルトの状態を検知するための図1、図5にそれぞれ示されるようなシステムおよび方法に向けられている。より詳細には、本発明の実施形態は、以下により詳細に説明されるように、ベルト内の導電性補強部材に電磁波を伝搬させることによるベルトの物理状態のモニタリングに関する。
【0020】
図1を見ると、ベルト・モニタ・システム100の一実施形態は、好ましくは例えばカーボンファイバ、カーボンコードおよび/または類似のものなど、導電性の材料から形成される補強部材120を有するベルト110を備え得る。このような導電性補強部材120は、例えばポリアミド、アラミド、ポリウレタン、ナイロン、ガラス、アクリル、および/またはポリエステルなどの素材から作られた例えば撚られたあるいは編組されたコード、織布または不織布など、導電性を同様に有するあるいは有さないかもしれない、他のベルト補強部材130と混ぜ合わせられ、さもなければ結合されてもよい。例えば、このような導電性補強部材120は、プーリ接触面や背面などのベルト110の表面の少なくとも一部に配置されるであろうベルト110内の従来の織布に混ぜ合わせられているかもしれない。別の例としては、導電性補強部材120は、バック・ファブリック、クロスコードの生地や、ベルト110に埋設される他の何れのファブリック層に織り込まれていてもよく、あるいはベルト110に一体的に配置される。別の例としては、導電性補強部材120は、例えば充填材、ファイバ、硬化材、および/または、いくつもの様々な添加物を含むかもしれない例えばプラスチック、エラストマ、ゴム、ポリウレタンなどに基づくベルト本体材料125に合体、埋設され、あるいは混ぜ合わせられる。本発明のある実施形態では、部材120は、要求される任意の径の連続カーボン繊維フィラメントかもしれず、あるいは、5から9ミクロンの範囲の直径を有する1本以上のカーボン繊維フィラメントである。
【0021】
導電性補強部材120は、少なくともベルト110の一部に亘って長手方向に延在することが好ましい。別の例では、部材120は、ベルト110の全長に沿って延在し、あるいは更にベルト110の全長に沿って複数回掛け回されて延在する。部材120は、ベルト110の少なくとも一部に亘る導電路を提供することが好ましい。この導電路は、複数の導電性補強部材120から構成されるであろう。代替的あるいは付加的に、部材120(あるいは少なくとも部材120の一部)は、横向きに配置されていてもよく、ベルト110の少なくとも一部を横切って延在し、これによりベルトを横軸に沿って補強する。図2を見ると、例えば部材120は、歯200の内部、あるいは隣接して配置されるかもしれない。歯布210は、ベルトや接着処理に用いられる化合物や材料を含んでもよい。歯布210は、積層あるいは複合素材であるかもしれない。例えば、歯布210は、導電コーティングや導電フィルムなどを有する層のような導電層を備えてもよい。更に、このような導電層は、全部ではないが、略全てのベルト表面を覆っていてもよい。「バッククラック」や他のベルト老化と磨耗の兆候は、本発明にしたがって、このような導電的にコーティングされたベルトにおいて検出されるであろう。別の例では、捩りコード230はガラス/カーボンのハイブリッドである。代替的あるいは付加的に、導電部材は、ベルト110などに一体化された横方向、長手方向の補強コードの組合せであってもよい。
【0022】
本システムは更にベルトモニタ140を含むことが好ましく、それはベルト110のスパンの直ぐ近くに隣接させるなど、ベルト110とともに配置されることが好ましい。図3に図表として示されるベルトモニタ140の一実施形態は、マイクロコントローラ310と温度センサ320を備えてもよい。ベルトモニタ140は更に、例えば分割コア、鉄フェライト・コイル・インダクタなどの磁場インダクタ330を備えることが好ましい。磁場インダクタ330は、ベルト110とともに配置されることが好ましく、図4に示されるように、ベルト110の上に配置される。鉄フェライト・コア・インダクタは、例えばトロイダルあるいはU字形である。インダクタコアがトロイダルならば、それはベルトスパンの周りに磁場インダクタを配置できるように分割型であることが好ましい。
【0023】
作動時、磁場インダクタ330は、ベルト状態検出方法の実施形態500のフローチャートである図5の520において、電圧信号などの印加シグナルによって励磁される。この信号は、磁場インダクタ330の端子に用いられるかもしれず、例えば交流電圧波形信号や変動直流電流波形信号などの2極信号であるかもしれない。電圧の印加は、好ましくは磁場インダクタ330による電磁場410の発生を引き起こす。
【0024】
変圧器は、例えば1次および2次巻き線を備える。一般的に、このような変圧器は、1次および2次巻き線の電圧と電流信号の間に位相差を発生させ、それは2次巻き線のインピーダンスが無限大に近づくとき90°へと近づき、オープンターン巻き線として知られている。一方、2次巻き線のインピーダンスが0に近づくとき、前述の位相差も0°に近づく。本発明の一実施形態において、磁場インダクタは変圧器の1次巻き線のように作用する。510に記載されるように磁場インダクタとともに配置されるベルトは、1次巻き線に負荷を掛ける2次巻き線として磁場インダクタに作用する。導電部材、および/あるいは、ベルト内に存在する部材の物理状態によって強い影響を受けるベルトの物理的な特性は、ベルトにより1次巻き線に与えられる負荷に寄与する生成された電磁場に強い影響を与える。良好な状態、あるいは完璧な状態にあるベルトは、磨耗、破損、ストレス、変質などの結果を受けた状態のベルトよりも低いインピーダンスを示すであろう。
【0025】
本発明のある実施形態では、電磁場410は、ベルト110の物理的状態の変化の結果として起こるであろうベルト110内の補強部材120の電気特性の変化に影響されることが好ましい。これらの変化の影響は、例えば電磁場410の変化として現れ、図5の540で説明されるように計測されるであろう。これらの変化の影響は、磁場インダクタ330の電気特性に更に現れるであろう。例えば、ベルト110の構造に対するダメージは、ベルト110のインピーダンスの変化として現れる。したがって、ベルト110が2次巻き線として作用する上述した例では、2次巻き線におけるインピーダンスの変化は、例えばベルト110へのダメージの結果である。このようなダメージは、上述したようにベルト110の本体、ベルトに設けられた歯200、補強部材120、あるいはベルト内の他の材料へのダメージの形をとるかもしれない。
【0026】
ベルトモニタ140は、図3、4に示された実施形態に示されるように、更に検知インダクタ340を備えてもよい。検知インダクタ340は、例えば磁場インダクタ330に隣接して配置され、図4の実施形態に示されるように共通のコアを共用する。図5のフローチャートの550に示されるように、ベルトの物理的状態は、検知インダクタで計測される電気的パラメータから決定できる。より具体的には、磁場インダクタ330の少なくとも一部の電気的な特性の計測は、検知インダクタ340を用いて行われるであろう。そのような計測は、磁場インダクタ330における電流の強さ、磁場インダクタ330における電圧の波形対称性における変化、磁場インダクタ330における電圧と電流の間の位相差、磁場インダクタ330における磁束の強さなどの電気的な特性の計測であってもよい。
【0027】
両極に印加される電圧が例えば正弦電源電圧のとき、磁場インダクタ330における電圧と電流の位相差は90度の位相差となる。すなわち、変圧器の1次巻き線を流れる電流は、電圧を90°遅れさせる。電磁場410への近接によりベルト110に誘起される電流は、通常磁場インダクタ330に印加される電圧のそれから90°遅れており、インダクタ330における誘導電圧や戻り電磁場(EMF)についても同様である。ベルト110および/または補強部材120の物理特性における変化によるインピーダンスの変化のように負荷が2次巻き線(ベルト110)に作用すると、電流が負荷によって誘導される。この誘起された電流は、変圧器を通して1次巻き線(磁場インダクタ330)に反映される。その結果、磁場インダクタ330は、適用された電圧電源からより多くの電流を引き出す。変圧器がフルパワーに近づくと、当初の90°の位相ズレは、徐々に少なくなり、これは、本システムおよび方法にしたがって、ベルト110および/または補強部材120の物理特性の変化を特定するのに利用できる。
【0028】
本発明の様々な実施形態によれば、磁場インダクタ330の実施形態であるフェライトコアにおける磁束の強さは、検知インダクタ340を用いて計測できる。磁束の強さの変化は、ベルト110のインピーダンスにより印加される負荷に関係し、ベルト110および/または補強部材120へのダメージを表す。ベルトモニタ140は、外気温、湿度、圧力などのベルト110に対して存在する何らかの内的あるいは外的な条件を保存および/または補償するために校正(キャリブレーション)されるかもしれない。
【0029】
様々な実施形態によれば、磁場インダクタ330の波形対称性における変化は、1以上のデジタル・シグナル・プロセッシング(DSP)パターン比較法の利用を通して検出・計測されてもよい。そのような比較法の実施形態600の一例が図6に示され、例えば16ビット、ΔΣ、アナログデジタル変換器を採用することで、630において、検知インダクタ340を通した信号を検出してもよい。例えば全波整流を用いた信号の調整640は、信号再現性を維持してもよい。このような信号は、例えば周波数の関数であり、多次元配列(マルチ・ディメンショナル・アレイ)などに保存される。検出され、かつ/または、処理された信号は、650において測定された温度に合わせられてもよい。そのような調整処理の実施形態700は、図7に示される。続くデータは、660において取得されキャリブレーションデータと比較されてもよい。このデータは、非揮発性メモリブロックに保存されてもよい。660におけるデータの取得および比較は、キャリブレーションとデータ取得プロセスを利用して行われるであろう。このようなプロセスの一例は図8に示される。670では、もし処理され温度補正が行われたデータ値が閾値よりも低く、ベルトの破損の兆しがある場合、DSPプロセス600のフローは、630に戻り新なデータを取得する。しかし、もし670において、処理され、温度補正がなされたデータ値が閾値よりも大く、ベルトの破損の兆しがある場合、680において警告が発せられる。
【0030】
図7は、DSPプロセス600のステップ650において採用されるかもしれない温度調整プロセスの実施形態700のフローチャートである。710では、外気温が計測される。715では計測された温度に対して多項式温度補正式が適用される。720において算出された式の結果は、730において、740からの生の取得データから差し引かれる。750で得られた補正データは、650における利用のためにDSPプロセス600へと供給されるであろう。
【0031】
図8は、キャリブレーション/データ取得プロセス800の実施形態のフローチャートであり、それは図6のDSPフロー600において利用されるデータに適用されであろう。810では、スイープ周波数が設定される。820では、磁場インダクタ330のコアを安定させるために割り当てられる。データ取得は、830において初期化される。840では、データ取得が完了したかが判定され、完了していなければ待機状態が起動される。840においてデータ取得が完了していると、温度補正700がステップ850で実行される。860では、860からの温度補正データが、860においてキャリブレーションデータ配列に格納される。870では、スイープ周波数が870でインクリメントされ、880において配列要素がインクリメントされる。890では、インクリメントされた周波数が閾値に等しいか否かが判定される。等しくなければ、キャリブレーション/データ取得プロセスは820に戻る。インクリメントされた周波数が閾値と等しいとキャリブレーション/データ取得プロセス800は終了する。
【0032】
図9は、データ取得およびキャリブレーションプロセス800の一部として採用されるであろう抽出アルゴリズムの実施形態900のフローチャートである。920において、例えばキャリブレーション(校正)データと任意の続けて取得されるデータとの間の変化率を指し示す差分配列が920において構築される。差分配列、任意のキャリブレーションデータや続けて取得されるデータは、周波数、振幅、信号の波形対称性などの情報を含み得る。例えば、920では、新に取得された配列要素Xが校正された(CAL)X要素から差し引かれ、その結果が差分Xとして保存されるであろう。そして930では、配列要素Xがインクリメントされるであろう。一度940において、920における要素の減算が終了したと判定される。データは差分配列から抽出され、差分配列は修正されてもよい。例えば、中身は、二乗絶対値(モジュラス)データを与えるような形で、950において平方されてもよい。このようなデータは、認識感度を高め、それにより小さな変化の検出をより容易にする。複数点移動平均、例えば20点移動平均を、960において例えば単一係数の矩形ウィンドウで抽出される有限インパルス応答フィルタのようなフィルタを採用して算出してもよい。これは、任意のキャリブレーションデータと一連のデータの間の変化を代表するある値をもたらすであろう。このような値は、970において、ベルトの状態を特定するために保存あるいは計算されるであろう、ある閾値と比較されるであろう。ベルト状態の提示は、990において任意の外部装置、システム100内の他の任意のコンポーネント、ベルトモニタ140内の他の任意のコンポーネント、あるいは任意の他のユーザに対して出される警告、信号、情報、データなどによって代表されるであろう。もし警告が970において確認されなければ、データ取得プロセス800が継続される。
【0033】
本発明及びその利点は詳細に説明されてきたが、添付された請求の範囲において定義された本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく様々な変更、置き換え、および変更が可能であることは無論である。更に、本願の範囲は、本願明細書に記載された工程、機械、製造、合成物、手段、方法、及びステップからなる特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。ここで説明した実施形態と実質上同じ機能を演じ、あいは実質上同じ結果をもたらす、既存のあるいは後に開発される工程、機械、製造、合成物、手段、方法、又はステップを本発明に従って利用できることは、当該技術分野において通常の技量をもつ者ならば本発明の開示から容易に理解できる。従って、添付された特許請求の範囲は、それらの範囲に、そのような工程、機械、製造、合成物、手段、方法、又はステップを含むことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性補強材を含む1つの補強部材を少なくとも有するベルトと、
前記ベルトとともに配置され、印加信号によって励磁される磁場インダクタを備えるベルトモニタと、
前記導電性補強部材の物理的な状態を特定し、それにより前記ベルトの物理的な特性をモニタするために、前記導電性補強部材の電気的な特性における変化によって影響される少なくとも前記磁場インダクタの一部の電気的な特性をモニタするための手段と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記導電性補強材に、カーボンファイバのベルト補強材が含まれることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導電性補強材が、非導電性補強材とともに織られていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記導電性補強材が、前記ベルトに一体的に設けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記導電性補強材が、少なくとも前記ベルトの外側の一部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記導電性補強材が、前記ベルトの歯に一体的に設けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記導電性補強材が、前記ベルトの少なくとも一部に長手方向に沿って設けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記導電性補強材が、前記ベルトの少なくとも一部に横方向に設けられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記磁場インダクタが、導電性ワイヤとフェライトコアを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記磁場インダクタが、前記印加信号の印加の結果として電磁場を発生させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
モニタするための前記手段が、前記磁場インダクタに隣接して配置される検知インダクタを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記磁場インダクタの前記電気的特性が、前記検知インダクタに現れる前記磁場インダクタのインピーダンスであることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記磁場インダクタと前記検知インダクタが共通のコアを共有することを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記磁場インダクタの前記電気的特性が、前記磁場インダクタを流れる電圧と電流の間の位相差であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記磁場インダクタの前記電気的特性が、前記磁場インダクタにおける磁束の強さであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁場インダクタの前記電気的特性が、前記磁場インダクタにおける電圧の波形対称性の変化であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記磁場インダクタの前記電気的特性が、前記磁場インダクタを流れる電流の大きさであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記印加信号が、電圧信号であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記ベルトが、同期ベルト、補機伝動ベルト、カーボン無段変速機ベルト、カーボンVベルト、ファンベルト、カーボン熱可塑性ポリウレタンベルト、長尺ベルト、静止機器ベルト、搬送ベルトとからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
導電性補強部材を備えるベルトに隣接して第1インダクタを配置し、
電磁場を生成するために前記第1インダクタに信号を通すこと励磁し、
前記第1インダクタ、前記ベルト、前記電磁場に隣接して第2インダクタを配置し、
前記第2インダクタを用いて、前記導電性補強部材の物理的な状態に影響される前記電磁場に影響を受ける前記第1インダクタの電気的特性を測定し、
前記ベルトの物理的な状態を測定された電気的特性から特定する
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記第1インダクタが導電ワイヤとフェライトコアを備えることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1インダクタと前記第2インダクタが共通のコアを共有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1インダクタの前記電気的特性が前記第2インダクタに現れる前記第1インダクタのインピーダンスであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記電気的特性が、前記第1インダクタに流れる電圧と電流の間の位相差を表すものであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記電気的特性が、前記第1インダクタの磁束の強さを表すものであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記電気的特性が、前記第1インダクタにおける電圧の波形対称性の変化を表すものであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記電気的特性が、前記第1インダクタに流れる電流の大きさを表すものであることを特徴とする請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−510296(P2011−510296A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543132(P2010−543132)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/000233
【国際公開番号】WO2009/091555
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【出願人】(508222597)シュレイダー エレクトロニクス リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】SCHRADER ELECTRONICS LTD
【Fターム(参考)】