説明

ベルト取付け治具及びベルト取付け方法

【課題】 プーリを容易に回転させることができない場合でも、ベルトの取付け作業を速やかに行うことができるベルト取付け治具及びベルト取付け方法を提供する。
【解決手段】 ベルト取付け治具4は、プーリ3の径方向外側に配置されてプーリ3の回転軸3bを中心に回転可能な治具本体10と、治具本体10からプーリ3の一方の面に沿って延びるプーリガイド11と、プーリ3の外周部に沿って延びるベルト保持部20と、プーリ3の他方の面側においてベルト保持部20からプーリ3の径方向内側へ傾斜して延びるベルト支持部21と、このベルト支持部21からプーリ3の他方の面に沿って突出するガイド部22とを有する。そして、治具本体10を回転させることによりベルト保持部20を周方向に回転させて、ベルト支持部21に支持されたベルト1のVリブをプーリ3のプーリ溝に係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の複数のプーリにベルトを取り付ける為のベルト取付け治具及びベルト取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベルトを複数のプーリに取り付ける為のベルト取付け治具としては種々のものがあるが、例えば、2つのプーリ間にベルトを架け渡す場合には、2つのプーリを夫々回転させながら取り付けるように構成された治具がよく用いられる。一方、特許文献1には、プーリの一方の面に沿って延びる脚部と、プーリの一方の面側に位置してベルトをプーリの外周部へ案内する案内部とを有し、プーリの外周部に沿って移動可能なベルト取付け治具(マウンティングツール)が開示されている。この治具を用いれば、プーリを回転させなくても、治具をプーリの周方向に移動させながら案内部によりベルトをプーリの外周部へ案内することで、ベルトをプーリに取り付けることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−184813号公報(図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車用エンジンのクランクプーリ等、重量が大きく回転させることが困難なプーリにベルトを取り付ける場合には、各プーリを回転させてベルトを移動させながらベルトをプーリに取り付ける従来の取付け治具は使用できない。一方、特許文献1に記載のベルト取付け治具を用いれば、この治具をプーリの外周部に沿って移動させることにより、プーリを回転させなくてもベルトをプーリに取り付けることができるため、回転させることが困難なプーリにもベルトを取り付けることができる。しかし、この治具をプーリの周方向に案内する為の部材としては、プーリの一方の面側に関しては脚部が設けられているものの、他方の面側に関しては何ら設けられていないため、ベルトに強い引張り力が作用する状態で治具をプーリの外周部に沿って安定的に移動させることは容易ではなく、ベルトの取付け作業を速やかに行うことができない。
【0005】
本発明の目的は、プーリを容易に回転させることができない場合でも、ベルトの取付け作業を速やかに行うことができるベルト取付け治具及びベルト取付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
第1の発明のベルト取付け治具は、ベルト長手方向に延びる複数のVリブを有するベルトを、前記複数のVリブが夫々係合する複数のプーリ溝を有する2以上の複数のプーリに架け渡して取り付ける為のベルト取付け治具であって、前記複数のプーリに含まれる所定のプーリの径方向外側に配置され、この所定のプーリの回転軸を中心に回転可能な治具本体と、前記治具本体から前記所定のプーリの一方の面に沿って延びる第1のガイド部と、前記治具本体に一体的に設けられ、且つ、前記複数のプーリ溝が形成された前記所定のプーリの外周部に沿って延びて前記ベルトを内側から保持する板状のベルト保持部と、前記所定のプーリの他方の面側において、前記ベルト保持部から前記所定のプーリの径方向内側へ傾斜して延びるベルト支持部と、このベルト支持部から前記所定のプーリの他方の面に沿って突出する第2のガイド部とを有することを特徴とするものである。
【0007】
このベルト取付け治具は、複数のプーリのうちの所定のプーリ以外のプーリにベルトを架けてから、最後に、前記所定のプーリにベルトを取り付けていく際に用いられる。そして、このベルト取付け治具によれば、ベルトを内側から保持するベルト保持部を、治具本体と一体的にプーリの回転軸を中心に回転させてプーリの周方向に移動させることにより、ベルトをプーリの外周部へ移動させて、Vリブをプーリ溝に係合させることができるため、回転させることが困難なプーリに対しても容易にベルトを取り付けることができる。
【0008】
また、所定のプーリの外周部に取り付けられる前のベルトの部分はベルト保持部からプーリの径方向内側へ傾斜するベルト支持部により支持されるため、ベルト支持部により、大きく屈曲せずに緩やかに曲がった状態でベルトを支持しながら、このベルトをベルト保持部からプーリの外周部へスムーズに移動させることが可能になる。さらに、所定のプーリの一方の面に沿って延びる第1のガイド部と、他方の面に沿って延びる第2のガイド部によりプーリの周方向に案内された状態で、治具本体がプーリの回転軸を中心に回転するようになっているため、治具本体を安定的に回転させることができ、ベルトの取付け作業を速やかに行うことができる。また、ベルトを第2のガイド部に押しつけながら治具本体を回転させることにより、ベルトを反転させることなくプーリに取り付けることが可能になる。
【0009】
第2の発明のベルト取付け方法は、前述の第1の発明のベルト取付け治具を用いて、ベルト長手方向に延びる複数のVリブを有するベルトを、前記複数のVリブが夫々係合する複数のプーリ溝を有する2以上の複数のプーリに架け渡して取り付けるベルト取付け方法であって、前記複数のプーリに含まれる所定のプーリを除く他のプーリに前記ベルトを架ける第1工程と、前記第1のガイド部と第2のガイド部を夫々前記所定のプーリの両面に当接又は近接させた状態で、前記治具本体を前記所定のプーリの回転軸を中心に回転自在に設置する第2工程と、前記ベルトを前記ベルト保持部から前記ベルト支持部及び前記第1のガイド部に沿わせる第3工程と、前記治具本体を前記所定のプーリの回転軸を中心に回転させて、前記ベルトを前記ベルト保持部から前記所定のプーリの外周部へ移動させながら、ベルトのVリブを前記所定のプーリのプーリ溝に係合させる第4工程とを備えたことを特徴とするものである。このベルト取付け方法によれば、前述の第1の発明と同様に、ベルト保持部及びベルト支持部によりベルトを所定のプーリの外周部へスムーズに移動させることができる。
【0010】
第3の発明のベルト取付け方法は、前記第2の発明において、前記第1工程の前に、前記所定のプーリの何れか一方の面に、リング状のサポート部材を装着し、前記第4工程において、前記第1のガイド部と前記第2のガイド部の何れか一方と前記所定のプーリとの間に前記サポート部材を介在させた状態で、治具本体を前記所定のプーリの回転軸を中心に回転させることを特徴とするものである。従って、第1のガイド部及び第2のガイド部が、所定のプーリの両面に、より確実に近接又は当接するため、所定のプーリと第1のガイド部及び第2のガイド部との間のがたつきを防止でき、治具本体を安定的に移動させることができる。さらに、プーリの一方の面にサポート部材を装着することにより、サポート部材でプーリを補強することができる。
【0011】
第4の発明のベルト取付け方法は、前記第2又は第3の発明において、前記所定のプーリの面に、取付け孔を有する連結金具を前記取付け孔が前記所定のプーリの回転軸の位置に一致するように取り付け、前記第2工程において、前記治具本体の回転軸を前記取付け孔に嵌合させて、前記治具本体を前記連結金具を介して前記所定のプーリに連結することを特徴とするものである。このように、連結金具を介して治具本体を所定のプーリに連結することにより、治具本体を所定のプーリの回転軸を中心に確実に回転させることができる。また、所定のプーリを人力等により簡単に回転させることができる場合には、治具本体を所定のプーリと一体的に回転させることが可能になり、ベルトの取付け作業がより容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図1〜図6を参照して説明する。尚、図1、図2における手前側を前方と定義して以下説明する。本実施形態は、2つのプーリにベルトを架け渡して取り付ける場合に本発明を適用した一例である。本実施形態のベルト1は、内側部分においてベルト長手方向に延びる複数のVリブ1a(図4参照)を有するVリブドベルトであり、このベルト1が架け渡される2つのプーリ2,3の外周部には、夫々、ベルト1のVリブ1aが係合するプーリ溝(プーリ2のプーリ溝は図示省略、プーリ3のプーリ溝3aは図3、図4参照)が形成されている。また、2つのプーリ2,3のうち、径が大きい方のプーリ2は、例えば、自動車用エンジンのクランクプーリなどの重量の大きなプーリであり、このプーリ2を人力で回転させることは困難である。一方、径が小さい方のプーリ3は、ウォーターポンプ等の補機用のプーリであり、このプーリ3は人力で容易に回転させることが可能になっている。そして、本実施形態では、ベルト1を径の大きなプーリ2に架けた状態で、図1〜図4に示す次述のベルト取付け治具4を用いてベルト1を径の小さなプーリ3に架けることにより、ベルト1を2つのプーリ2,3に架け渡して取り付ける。
【0013】
図1〜図4に示すように、複数のVリブ1aを有するベルト1を2つのプーリ2,3に取り付ける為のベルト取付け治具4は、プーリ3の径方向外側に配置され、このプーリ3の回転軸3b(図2参照)を中心に回転可能な治具本体10と、この治具本体10からプーリ3の後面に沿って延びるプーリガイド11(第1のガイド部)と、治具本体10に固定され、且つ、プーリ3の前面側に位置する板状の保持部材12とを備えている。
【0014】
図2〜図4に示すように、治具本体10は、プーリ3の外周部から径方向外側に延びるように配置される金属製の板状の部材であり、この治具本体10には、前後方向(図2の紙面垂直方向)に延びるロッド15が設けられている。尚、プーリ3の前面には、操作具50の回転軸51が嵌合する取付け孔16aを有する正面視略矩形状の連結金具16が、取付け孔16aの位置がプーリ3の回転軸3bと一致するように2つのボルト14で固定されている。そして、この連結金具16を介してプーリ3に操作具50(図4参照)が連結されており、この操作具50はプーリ3の回転軸3bを中心にプーリ3と一体的に回転可能である。尚、図4における連結金具16は、その断面がわかりやすいように、この連結金具16の長手方向が上下方向である状態での断面で示されている。また、治具本体10に設けられたロッド15には、操作具50の把持部52に固定的に設けられた筒部53が外嵌可能である。従って、ロッド15に筒部53を外嵌させた状態で、操作具50をプーリ3の回転軸3bを中心に回転させることにより、治具本体10がプーリ3と一体的に回転して、プーリ3の周方向に移動するようになっている。
【0015】
治具本体10の後面部には、断面L字形の連結部材17が4つのボルト18を介して連結されており、この連結部材17の後方へ突出する突出部17aには、下方へ延びるプーリガイド11がボルト19で固定されている。このプーリガイド11は、プーリ3の後面に沿ってプーリ3の外周部よりもさらに径方向内側へ延びている。尚、治具本体10と連結部材17を連結する4つのボルト18は、治具本体10に上下方向に延びるように形成された2つの長穴10aに挿通されており、長穴10a内におけるボルト18の位置を適宜調節することにより、プーリガイド11の治具本体10に対する位置を調整できるようになっている。
【0016】
保持部材12は、複数のプーリ溝3aが形成されたプーリ3の外周部に沿って延びるベルト保持部20と、プーリ3の前面においてベルト保持部20からプーリ3の径方向内側へ傾斜して延びるベルト支持部21と、このベルト支持部21からプーリ3の前面に沿って突出するガイド部22(第2のガイド部)とが一体形成された板状の部材である。
【0017】
この保持部材12は、治具本体10の下端部に溶接止めされている。そして、ベルト保持部20は、プーリ3の外周部に形成された複数のプーリ溝3aの径方向外側に近接して配置され、治具本体10と一体的にプーリ3の周方向に移動可能である。そして、ベルト1がプーリ3に取り付けられる際には、プーリ溝3aにVリブ1aが係合する直前のベルト1の部分がこのベルト保持部20により内側から保持される。
【0018】
ベルト支持部21は、ベルト保持部20の周方向端部(図2における右端部)の前側部分からプーリ3の径方向内側へ傾斜して延びている。そして、ベルト1の取付け時には、このベルト支持部21により、ベルト保持部20で保持される直前のベルト1の部分を大きく屈曲させることなく緩やかに曲げた状態で支持して、ベルト1をスムーズにベルト保持部20へ移動させることができるようになっている。
【0019】
ガイド部22は、ベルト支持部21からプーリ3の前面に沿って周方向に延びている。そして、図4に示すように、プーリ3の両面の外側に、プーリガイド11とガイド部22が夫々位置している。従って、治具本体10は、プーリガイド11とガイド部22によりプーリ3の周方向に案内された状態で、プーリ3の回転軸3bを中心に回転するように構成されている。
【0020】
次に、このベルト取付け治具4を用いてベルト1をプーリ3に取り付けるベルト取付け方法について説明する。
まず、図2、図4に示すように、プーリ3の前面にリング状のサポート部材30を装着する。このサポート部材30は、プーリ3の補強、及び、プーリ3とガイド部22との間に介在することにより、プーリ3の両面とプーリガイド11及びガイド部22とを近接又当接させることを目的として装着されるものである。そして、図1のように、径の大きなプーリ3にベルト1を架ける(第1工程)。また、径の小さなプーリ3の前面には、その取付け孔16aの位置がプーリ3の回転軸3bに一致するように連結金具16を固定する。
【0021】
次に、図4に示すように、ガイド部22とプーリ3の前面との間にサポート部材30を介在させて、プーリ3の両面とプーリガイド11及びガイド部22とを近接又は当接させた状態で、治具本体10に設けられたロッド15に操作具50の筒部53を外嵌させてから、操作具50の回転軸51を連結金具16の取付け孔16aに嵌合させて、プーリ3の径方向外側に、治具本体10をプーリ3の回転軸3bを中心に回転可能に設置する(第2工程)。
【0022】
また、治具本体10をプーリ3の径方向外側に設置すると同時に、図1、図2に示すように、ベルト1を、ベルト保持部20からベルト支持部21及びガイド部22に沿わせる(第3工程)。そして、操作具50の把持部52を握って操作具50を回転させることにより、図5に示すように、治具本体10をプーリ3の回転軸3bを中心に図1の時計回りの方向にプーリ3と一体的に回転させて、ベルト1を内側から保持するベルト保持部20をプーリ3の周方向に移動させる。そして、ベルト支持部21により支持されているベルト1の部分をベルト保持部20からプーリ3の外周部へプーリ3に対して相対的に移動させながら、ベルト1のVリブ1aをプーリ3のプーリ溝3aに係合させていく(第4工程)。尚、治具本体10(操作具50)の回転軸51は、プーリ3の前面に取り付けられた連結金具16を介してプーリ3に連結されており、治具本体10とプーリ3とが確実に連結されているため、これら治具本体10とプーリ3とを一体的に回転させることは容易である。
【0023】
ここで、治具本体10がプーリ3の回転軸3bを中心に回転してプーリ3の周方向に移動する際に、治具本体10はプーリガイド11及びガイド部22によりプーリ3の周方向に案内されるため、治具本体10を安定的に回転させることができる。さらに、ガイド部22とプーリ3との間にリング状のサポート部材30が介在しており、プーリ3の両面とプーリガイド11及びガイド部22とが近接又は当接していることから、プーリガイド11及びガイド部22とプーリ3との間のがたつきが防止されて、治具本体10をより安定的に回転させることができる。
【0024】
また、ベルト1は、ベルト保持部20からベルト支持部21に沿って配置され、さらに、ベルト支持部21は、プーリ3の前面側においてベルト保持部20からプーリ3の径方向内側に傾斜して延びているため、ベルト1を大きく屈曲させることなく緩やかに曲げた状態で支持して、このベルト1の部分をスムーズにベルト保持部20へ移動させることができる。また、治具本体10を回転させるときの抵抗も小さくなる。さらに、ベルト1を、ベルト支持部21から突出するガイド部22の前面に強く押しつけながら治具本体10を回転させることにより、ベルト1を反転させることなくプーリ3の外周部に取り付けていくことが可能である。
【0025】
尚、図5に示すように、治具本体10を回転させていくと、ベルト1に作用する引張り力が大きくなっていくが、そのときに、ベルト1の背面(Vリブ1aが形成された面と反対側の面)を手前に向けることにより、ベルト1の捻れを防止することができる。
【0026】
そして、図6に示すように、ベルト1のVリブ1aが完全にプーリ溝3aに係合して、ベルト1がプーリ3に取り付けられると、ベルト取付け治具4及び連結金具16をプーリ3から取り外し、ベルト1の取付け作業を終了する。
【0027】
以上説明したベルト取付け治具4及びこのベルト取付け治具4を用いたベルト取付け方法によれば、次のような効果が得られる。
ベルト1を内側から保持するベルト保持部20を、治具本体10と一体的に回転させてプーリ3の周方向に移動させることにより、ベルト保持部20により保持されたベルト1の部分をプーリ3の外周部へ移動させて、Vリブ1aをプーリ溝3aに係合させることができるため、一方のプーリ2を回転させることが困難な場合でも、容易にベルト1を取り付けることができる。
【0028】
プーリ3に取り付けられる前のベルト1の部分はベルト保持部20からプーリ3の径方向内側へ傾斜するベルト支持部21により支持されるため、ベルト支持部21により、ベルト1が大きく屈曲せず緩やかに曲がった状態でベルト1を支持しながら、このベルト1をベルト保持部20からプーリ3の外周部へスムーズに移動させることが可能になる。
【0029】
また、プーリ3の後面に沿って延びるプーリガイド11と、プーリ3の前面に沿って延びるガイド部22によりプーリ3の周方向に案内された状態で、治具本体10がプーリ3の回転軸3bを中心に回転するため、治具本体10を安定的に回転させることができ、ベルト1の取付け作業を速やかに行うことができる。さらに、プーリ3の前面とガイド部22との間にリング状のサポート部材30を介在させることにより、プーリガイド11とガイド部22とを、より確実にプーリ3の両面に近接又は当接させることができるため、プーリ3の両面とプーリガイド11及びガイド部22との間のがたつきを防止でき、治具本体10をより安定的に回転させることができる。さらに、サポート部材30によりプーリ3が補強されるという効果も得られる。
【0030】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。
1]前記実施形態においては、リング状のサポート部材30をプーリ3の前面部に装着しているが、サポート部材30をプーリ3の後面部に装着して、プーリ3とプーリガイド11との間に介在させるようにしてもよい。さらには、サポート部材30をプーリ3の両面に装着してもよい。
【0031】
2]前記実施形態では、2つのプーリ2,3のうち一方のプーリ3を容易に回転させることができるようになっているが、両方のプーリ2,3とも容易に回転させることができない場合でも本発明を適用できる。この場合には、治具本体10及び保持部材12をプーリ3に対して相対的に回転させて、ベルト保持部20、ベルト1とプーリ3との間において、プーリ3の外周部に沿って移動させることで、ベルト保持部20に保持されたベルト1をプーリ3の外周部に移動させて、ベルト1をプーリ3に取り付けることができる。
【0032】
3]3以上のプーリにベルトを架け渡して取り付ける場合にも本発明を適用できる。この場合には、最後に架けられるプーリにベルトを取り付けるときに、本発明のベルト取付け治具及びベルト取付け方法を用いればよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るベルト取付け治具によりベルトをプーリに取り付ける前の状態を示す図である。
【図2】プーリ及びベルト取付け治具の正面図である。
【図3】図2のプーリ及び保持部材のIII-III線矢視図である。
【図4】図2のIV-IV線断面図である。
【図5】ベルト取付け治具によるベルト取付け途中の状態を示す図である。
【図6】ベルトの取付けが終了した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ベルト
1a Vリブ
2 プーリ
3 プーリ
3a プーリ溝
3b 回転軸
4 ベルト取付け治具
10 治具本体
11 プーリガイド
16 連結金具
20 ベルト保持部
21 ベルト支持部
22 ガイド部
30 サポート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト長手方向に延びる複数のVリブを有するベルトを、前記複数のVリブが夫々係合する複数のプーリ溝を有する2以上の複数のプーリに架け渡して取り付ける為のベルト取付け治具であって、
前記複数のプーリに含まれる所定のプーリの径方向外側に配置され、この所定のプーリの回転軸を中心に回転可能な治具本体と、
前記治具本体から前記所定のプーリの一方の面に沿って延びる第1のガイド部と、
前記治具本体に一体的に設けられ、且つ、前記複数のプーリ溝が形成された前記所定のプーリの外周部に沿って延びて前記ベルトを内側から保持する板状のベルト保持部と、
前記所定のプーリの他方の面側において、前記ベルト保持部から前記所定のプーリの径方向内側へ傾斜して延びるベルト支持部と、
このベルト支持部から前記所定のプーリの他方の面に沿って突出する第2のガイド部と、
を有することを特徴とするベルト取付け治具。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト取付け治具を用いて、ベルト長手方向に延びる複数のVリブを有するベルトを、前記複数のVリブが夫々係合する複数のプーリ溝を有する2以上の複数のプーリに架け渡して取り付けるベルト取付け方法であって、
前記複数のプーリに含まれる所定のプーリを除く他のプーリに前記ベルトを架ける第1工程と、
前記第1のガイド部と第2のガイド部を夫々前記所定のプーリの両面に当接又は近接させた状態で、前記治具本体を前記所定のプーリの回転軸を中心に回転自在に設置する第2工程と、
前記ベルトを前記ベルト保持部から前記ベルト支持部及び前記第1のガイド部に沿わせる第3工程と、
前記治具本体を前記所定のプーリの回転軸を中心に回転させて、前記ベルトを前記ベルト保持部から前記所定のプーリの外周部へ移動させながら、ベルトのVリブを前記所定のプーリのプーリ溝に係合させる第4工程と、
を備えたことを特徴とするベルト取付け方法。
【請求項3】
前記第1工程の前に、前記所定のプーリの何れか一方の面に、リング状のサポート部材を装着し、
前記第4工程において、前記第1のガイド部と前記第2のガイド部の何れか一方と前記所定のプーリとの間に前記サポート部材を介在させた状態で、治具本体を前記所定のプーリの回転軸を中心に回転させることを特徴とする請求項2に記載のベルト取付け方法。
【請求項4】
前記所定のプーリの面に、取付け孔を有する連結金具を前記取付け孔が前記所定のプーリの回転軸の位置に一致するように取り付け、
前記第2工程において、前記治具本体の回転軸を前記取付け孔に嵌合させて、前記治具本体を前記連結金具を介して前記所定のプーリに連結することを特徴とする請求項2又は3に記載のベルト取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−64125(P2006−64125A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249513(P2004−249513)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】