説明

ベルト搬送装置、定着装置、及び画像形成装置

【課題】ローラの軸方向における定着ベルトの偏倚を抑制し、定着ベルトの消耗や破損を防止することができるベルト搬送装置、定着装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着ユニット70は、加熱ローラ71と定着ローラ72に張架された定着ベルト73を少なくとも備え、CPU201によって制御される。加熱ローラ71の両端部側には、定着ベルト73が加熱ローラ71の軸方向に偏倚したことを検知するセンサ761,762が対向配置されている。加圧ローラ74の両端部側には、それぞれ冷却部781,782を有するダクト771,772が対向配置されている。CPU201は、センサ761,762によって定着ベルト73の偏倚方向を検知すると、冷却部781,782のうち、偏倚方向における下流側に配置されている冷却部を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のローラに張架された無端ベルトを、所定の循環経路に沿って移動させるベルト搬送装置、定着装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、トナー像が転写された用紙を加熱、加圧することで、用紙にトナー像を定着させる定着装置を備える。定着装置には、ベルト搬送装置、及び加圧ローラを備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。ベルト搬送装置は、無端状の定着ベルト、ヒータが内蔵された加熱ローラ、及び加熱ローラとともに定着ベルトを張架する定着ローラを有し、所定の循環経路に沿って定着ベルトを移動させる。加熱ローラの軸方向における両端部には、全周にわたって半径方向に突出した規制部材が設けられている。加圧ローラは、定着ベルトを挟んで定着ローラを圧接する。
【0003】
定着ベルトは、定着装置への取り付け誤差や加熱ローラの軸方向における両端部の温度差等により、所定の循環経路に沿って移動する間に、加熱ローラの軸方向における一方の端部側に向かって偏倚し易い。定着ベルトの偏倚を放置すると、定着ベルトが加熱ローラや定着ローラから離脱する。従来の画像形成装置では、軸方向における一方の端部側に偏倚した定着ベルトの一端部を規制部材に当接させることで、定着ベルトの離脱を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−008867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の定着装置では、定着ベルトが、その端部を規制部材に当接させた状態で所定の循環経路に沿って移動し続けることにより、早期に消耗する。また、定着ベルトが、端部側から規制部材の上に乗り上がり、破損することもある。
【0006】
この発明の目的は、ローラの軸方向における温度分布の不均一に起因してベルトが偏倚することに着目し、加熱ローラの軸方向における温度分布を均一化することで、定着ベルトの偏倚を抑制し、定着ベルトの消耗や破損を防止することができるベルト搬送装置、定着装置、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のベルト搬送装置は、複数のローラ、無端ベルト、検知部、冷却部、及び制御部を備える。複数のローラは、軸方向を互いに平行にして配置されている。無端ベルトは、複数のローラに張架される。検知部は、軸方向における無端ベルトの偏倚方向を検知する。冷却部は、軸方向における無端ベルトの両端部の温度を個別に低下させる。制御部は、検知部によって無端ベルトの偏倚方向を検知すると、無端ベルトの偏倚方向における下流側の温度の低下量が上流側の温度の低下量よりも大きくなるように冷却部の動作を制御する。
【0008】
この構成では、複数のローラの軸方向に沿って無端ベルトが偏倚すると、無端ベルトの偏倚方向における下流側の温度の低下量が上流側の温度の低下量よりも大きくなるように送風ファン等の冷却部が動作する。
【0009】
この構成において、軸方向における複数のローラのうち何れかのローラの両端部に半径方向に全周にわたって突出する規制部材をさらに備える構成であることが好ましい。
【0010】
これにより、無端ベルトが急激に偏倚しても規制部材によって複数のローラから離脱することを防止することができる。
【0011】
この発明の定着装置は、上述のベルト搬送装置と、無端ベルトを挟んで複数のローラのうち何れかのローラを圧接する加圧ローラとを備える。
【0012】
これにより、上述のベルト搬送装置を定着装置に適用することができる。
【0013】
この構成において、複数のローラは、加熱ローラと定着ローラとを含み、加熱ローラは、軸方向における全域を加熱する熱源と軸方向における中央部のみを加熱する熱源とを有し、定着ローラは、加圧ローラに圧接され、加圧ローラは、軸方向における全域を加熱する熱源を有し、制御部は、加圧ローラの周面の温度を低下させるように冷却部の動作を制御する構成であることが好ましい。
【0014】
この構成では、加熱ローラは、中央部のみを加熱する熱源を有するため、無端ベルトの偏倚方向における下流側の温度を低下させても、中央部の温度が一定に保たれる。このため、無端ベルトは、偏倚方向における上流側に無端ベルトが戻りにくい。一方、加圧ローラは、偏倚方向における下流側の温度を低下させると、中央部に向かって徐々に温度が変化する。このため、偏倚方向における上流側に無端ベルトが戻りやすい。
【0015】
これにより、加圧ローラの周面の温度を低下させるように冷却部を動作させることで、加熱ローラの周面の温度を低下させるように冷却部を動作させるよりも、無端ベルトの偏倚を短時間で抑制することができる。
【0016】
この発明の画像形成装置は、転写部と、上述の定着装置とを備える。転写部は、画像データを用いて像担持体上に作像されたトナー像を用紙に転写する。定着装置は、無端ベルトと加圧ローラとの間を通過する用紙に対してトナー像を定着させる。
【0017】
これにより、上述の定着装置を画像形成装置に適用することができる。
【0018】
この構成において、制御部は、無端ベルトと加圧ローラとの間を用紙が通過していない時に温度を低下させるように冷却部の動作を制御する構成であることが好ましい。
【0019】
この構成では、用紙にトナー像を定着していないタイミングで、無端ベルトの偏倚を抑制している。
【0020】
これにより、トナー像の定着中において、無端ベルトの温度が一定となるため、良好な画像を用紙に形成することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のベルト搬送装置、定着装置、及び画像形成装置は、ローラの軸方向における定着ベルトの偏倚を抑制し、定着ベルトの消耗や破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】(A)は、(B)のA−A断面図であり、(B)は、同画像形成装置が有する定着ユニットの平面図である。
【図3】同画像形成装置における一部の機構構成を示すブロック図である。
【図4】CPUの偏倚調整処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係るCPUの偏倚調整処理を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態に係る画像形成装置が有する定着ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100は、給紙部80、画像読取部90、及び画像形成部110を備え、原稿から読み取った画像データを用いて、記録媒体である用紙に電子写真方式による多色又は単色の画像形成処理を行う。なお、画像形成装置100は、外部装置から入力される画像データに基づく画像形成処理を行うものであってもよい。
【0024】
画像読取部90は、上面に原稿台92,93を備えている。画像読取部90の上面には、載置トレイ121に載置された原稿を搬送する自動原稿搬送装置120が背面側端部を支軸に開閉自在に装着されている。画像読取部90は、自動原稿搬送装置120の搬送によって原稿台93上を通過する原稿、又はオペレータによる自動原稿搬送装置120の開閉を伴う手動操作によって原稿台92上に載置された原稿から画像データを読み取る。
【0025】
画像形成部110は、露光ユニット1、画像形成ユニット10A〜10D、中間転写ユニット60、二次転写ユニット30、定着ユニット(この発明の定着装置に相当する。)70を備えている。
【0026】
画像形成ユニット10Aは、現像器2A、感光体ドラム(この発明の像担持体に相当する。)3A、クリーナユニット4A、帯電器5Aを備え、ブラック(Bk)の画像を形成する。帯電器5Aは、感光体ドラム3Aの表面を所定の電位に均一に帯電させる。現像器2Aは、露光ユニット1の露光によって感光体ドラム3A上に形成された静電潜像を、Bkのトナー像に顕像化する。クリーナユニット4Aは、感光体ドラム3Aの周面に残留したトナーを回収する。画像形成ユニット10B〜10Dは、画像形成ユニット10Aと同様に構成されており、それぞれシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のトナー像を感光体ドラム3B〜3Dの表面に形成する。
【0027】
露光ユニット1は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射ミラー等の光学系部品を備えたレーザスキャニングユニットである。露光ユニット1は、Bk、C、M、Yのそれぞれの画像データで変調されたレーザ光のそれぞれで画像形成ユニット10A〜10Dの感光体ドラム3A〜3Dの表面を軸方向に沿って露光走査し、静電潜像を形成する。
【0028】
中間転写ユニット60は、中間転写ベルト61、駆動ローラ62、従動ローラ63、一次転写ローラ64A〜64D、及びクリーニングユニット65を有する。中間転写ベルト61は、駆動ローラ62及び従動ローラ63に張架され、画像形成ユニット10D,10C,10B,10Aをこの順に通過する循環経路に沿って移動する。一次転写ローラ64A〜64Dのそれぞれは、中間転写ベルト61を挟んで感光体ドラム3A〜3Dに対向して配置されており、感光体ドラム3A〜3Dの周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト61の表面に一次転写する。
カラー画像形成処理時には、中間転写ベルト61が循環経路に沿って移動する間に、Y,M,C,Bkのトナー像が中間転写ベルト61の表面に順次重ね合わせて転写される。モノクロ画像形成処理時には、中間転写ベルト61が循環経路に沿って移動する間に、Bkのトナー像のみが中間転写ベルト61の表面に転写される。
【0029】
二次転写ユニット(この発明の転写部に相当する。)30は、二次転写ローラ31及び二次転写ベルト32を備えている。二次転写ベルト32は、複数のローラに張架され、所定の循環経路に沿って移動する。二次転写ローラ31は、二次転写ベルト32及び中間転写ベルト61を挟んで駆動ローラ62に対向するように配置されている。二次転写ユニット30は、中間転写ベルト61の表面のトナー像を、中間転写ベルト61と二次転写ベルト32との間の二次転写位置に搬送された用紙へ二次転写する。二次転写後の中間転写ベルト61の表面に残留したトナーは、クリーニングユニット65によって回収される。
【0030】
定着ユニット70は、定着ベルト(この発明の無端ベルトに相当する。)73と加圧ローラ74とのニップ部を通過する時に、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧する。用紙に転写されたトナー像が、用紙の表面に堅牢に定着する。定着ユニット70を通過した用紙は、画像形成部110の上方に配置された排紙トレイ91に排出される。
【0031】
給紙部80は、給紙カセット81及び手差しトレイ82を備えている。給紙カセット81は、画像形成処理に使用する複数枚の用紙を収納しており、露光ユニット1の下側に設けられている。手差しトレイ82は、画像形成装置100の側面に装備されている。給紙部80は、給紙カセット81又は手差しトレイ82から用紙を1枚ずつ用紙搬送路40に給紙する。用紙搬送路40は、給紙部80から中間転写ベルト61と二次転写ユニット30との間及び定着ユニット70を経由して排紙トレイ91に至る間に形成されている。
【0032】
図2(A)に示すように、定着ユニット70は、加熱ローラ71、定着ローラ72、定着ベルト73、及び加圧ローラ74を備えている。筐体701には、加熱ローラ71、定着ローラ72、及び定着ベルト73が格納され、筐体702には、加圧ローラ74が格納されている。なお、この発明のベルト搬送装置は、加熱ローラ71、定着ローラ72、定着ベルト73、及び冷却部781,782(図2(B)参照。)を含む。
【0033】
加熱ローラ71は、内蔵するヒータ711によって軸方向の略全域が加熱され、センサ(不図示)によって周面の温度が計測されている。ヒータ711は、軸方向における全域を加熱するヒータと、全域を加熱するヒータより高温で中央部のみを加熱するヒータとを含む。加熱ローラ71の周面の温度は、定着ベルト73に反映される。ヒータ711の加熱温度は、定着ベルト73の温度がトナーを溶解可能な温度になるように制御されている。
【0034】
定着ベルト73は、加熱ローラ71と定着ローラ72とに張架され、所定の循環経路に沿って移動する。
【0035】
加圧ローラ74は、定着ベルト73を挟んで定着ローラ72と対向する位置に配置されており、所定の圧力で定着ローラ72を圧接する。加圧ローラ74は、内蔵するヒータ741によって軸方向の略全域が加熱され、センサ(不図示)によって周面の温度が計測されている。ヒータ741は、軸方向における全域を加熱するヒータである。加圧ローラ74の周面の温度は、定着ベルト73に反映される。ヒータ741の加熱温度は、定着ベルト73の温度がトナーを溶解可能な温度になるように制御されている。加圧ローラ74には、駆動源であるモータ742(図3参照。)が接続されている。
【0036】
図2(B)に示すように、加熱ローラ71、定着ローラ72、及び加圧ローラ74は、軸方向が正面側(F側)から背面側(R側)に向かう方向に平行となるように配置されている。定着ベルト73は、所定の循環経路に沿って移動する際に、F側の端部又はR側の端部の何れか一方から他方へ向かう方向に偏倚する。
【0037】
加熱ローラ71の両端部側には、所謂フォトセンサであるセンサ(この発明の検知部に相当する。)761,762が対向配置されている。センサ761は、加熱ローラの軸方向のF側の端部に定着ベルト73が偏倚したことを検知し、センサ762は、加熱ローラの軸方向のR側の端部に定着ベルト73が偏倚したことを検知する。
【0038】
加圧ローラ74の下方には、ダクト771,772が配設されている。加圧ローラ74の軸方向において、ダクト771は、加圧ローラ74のF側に対向配置され、ダクト772は、加圧ローラ74のR側に対向配置される。ダクト771,772の吸気口は、定着ユニット70の下方の空間に開放されている。ダクト771,772の排気口は、加圧ローラ74の下側であってニップ部Nから離れた部分(図2(A)では右下部分)の下方に開口している。
【0039】
ダクト771,772のそれぞれの内部には、冷却部781,782のそれぞれが配置されている。冷却部781,782のそれぞれは、冷却用駆動部7811,7821(図3参照。)のそれぞれによって個別に駆動される送風ファンである。
【0040】
冷却用駆動部7811を駆動させると、図2(A)に示すように、ダクト771内には、矢印Kで示すように右下から左下へ向かう斜め方向の気流が形成される。この気流は、ダクト771の排気口から加圧ローラ74のF側の端部に向かって流れ、直接加圧ローラ74のF側の端部を冷却する他に、矢印Lに示すように筐体702と加圧ローラ74との隙間から筐体702の外部へ流れ、定着ベルト73のF側の端部を冷却する。冷却用駆動部7821を駆動させると、同様に、ダクト772内に気流が形成され、この気流によって加圧ローラ74のR側の端部と定着ベルト73のR側の端部とが冷却される。
【0041】
図3に示すように、画像形成装置100は、給紙部80、画像読取部90、及び画像形成部110の他に、CPU(本発明の制御部に相当する。)201、ROM202、RAM203及び操作部300を備える。
【0042】
CPU201は、ROM202に記録されたプログラムを読み出して実行し、画像形成装置100の各部を総括的に制御する。RAM203は、CPU201のワーキングエリアとして活用される。
【0043】
CPU201は、センサ761,762、冷却用駆動部7811,7821に接続されている。CPU201は、センサ761,762の検知結果に基づいて冷却用駆動部7811,7821を制御する。CPU201は、操作部300からの指示信号に基づいて、モータ用ドライバ7421へ駆動データを出力する。モータ用ドライバ7421は、駆動データに基づいて、モータ742に対して選択的に電力供給を行う。
【0044】
操作部300は、画像形成処理の開始指示等を受け付けて、CPU201に各種指示信号を出力する。
【0045】
次に、CPU201における定着ベルト73の偏倚調整処理について図を参照して説明する。CPU201は、所定の画像形成処理枚数毎(例えば、100枚、200枚の画像形成処理)、所定の時間間隔(例えば、10分、20分毎)に偏倚調整処理を行う。
【0046】
図4に示すように、CPU201は、画像形成処理の実行中の場合には(S11)、偏倚調整処理を終了する。
【0047】
非画像形成処理時に、CPU201は、センサ761,762によって定着ベルト73の偏倚方向を検知する(S12)と、冷却用駆動部7811,7821のうち、定着ベルト73の偏倚方向における下流側に配置された冷却部の冷却用駆動部のみを所定時間駆動させる(S13)。例えば、定着ベルト73がF側に偏倚した場合、センサ761によって定着ベルト73がF側に偏倚したこと検知すると、CPU201は、冷却部781の冷却用駆動部7811のみを駆動させて、冷却部781のみから送風する。
【0048】
CPU201は、センサ761,762によって定着ベルト73の偏倚方向を検知しない場合は、偏倚調整処理を終了する。
【0049】
以上より、CPU201は、非画像形成処理時に、加圧ローラ74及び定着ベルト73を冷却することで、画像形成処理時における定着ベルト73の温度を一定に保ったまま、定着ベルト73の偏倚を抑制することができる。また、定着ベルト73が加熱ローラ71、定着ローラ72から離脱することを防止でき、定着ベルト73の消耗や破損を防止することができ、交換等の手間やコストが削減される。
【0050】
第2の実施形態では、冷却部781,782の両方を駆動させる点で、第1の実施形態と相違する。以下、第1の実施形態との相違点のみを説明する。
【0051】
図4に示すように、CPU201は、画像形成処理の実行中の場合に(S21)、偏倚調整処理を終了する。
【0052】
非画像形成処理時に、CPU201は、センサ761,762によって定着ベルト73の偏倚方向を検知する(S22)と、冷却用駆動部7811,7821のうち、定着ベルト73の偏倚方向における下流側に配置された冷却部の冷却用駆動部を、上流側に配置された冷却部の冷却用駆動部よりも、大きな駆動力で所定時間駆動させる(S23)。例えば、定着ベルト73がF側に偏倚した場合、センサ761によって定着ベルト73がF側に偏倚したこと検知すると、CPU201は、冷却部781の冷却用駆動部7811を冷却部782の冷却用駆動部7821よりも大きな駆動力で駆動させて、冷却部781から強風を送風し、冷却部782から弱風を送風する。
【0053】
CPU201は、センサ761,762によって定着ベルト73の偏倚方向を検知しない場合は、偏倚調整処理を終了する。
【0054】
以上のように、CPU201は、加圧ローラ74及び定着ベルト73の両端部を異なる風量で冷却することで、定着ベルト73の偏倚方向における上流側へ定着ベルト73をより緩慢に偏倚させることができ、定着ベルト73の偏倚を抑制することができる。また、定着ベルト73が加熱ローラ71、定着ローラ72から離脱することを防止でき、定着ベルト73の消耗や破損を防止することができ、交換等の手間やコストが削減される。
【0055】
第3の実施形態では、加熱ローラ71の両端部に規制部材751,752を設けている点で、第1、第2の実施形態と相違する。以下、第1、第2の実施形態との相違点のみについて説明する。
【0056】
加熱ローラ71は、F側の端部の全周にわたって半径方向に突出する規制部材751が設けられ、R側の端部の全周にわたって半径方向に突出する規制部材752が設けられている。加熱ローラ71の軸方向において、規制部材751,752は、定着ベルト73の偏倚を規制する。
【0057】
これにより、定着ベルト73がF側に偏倚すると規制部材751に当接し、R側に偏倚すると規制部材752に当接するため、加熱ローラ71、定着ローラ72から離脱することをより防止することができる。
【0058】
また、センサ761,762によって定着ベルト73の偏倚方向を検出して、定着ベルト73の偏倚方向における下流側を冷却することで、定着ベルト73が規制部材751,752に乗り上げる前に、定着ベルト73の偏倚を抑制することができる。
【0059】
上述の実施形態では、冷却部781,782によって加圧ローラ74を冷却したが、加熱ローラ71を冷却してもよい。加熱ローラ71は、中央部のみを加熱するヒータを有するため、定着ベルト73の偏倚方向における下流側を冷却しても、中央部の温度が一定に保たれる。このため、定着ベルト73は、偏倚方向における上流側に戻りにくい。一方、加圧ローラ74は、偏倚方向における下流側を冷却すると、中央部に向かって徐々に温度が変化する。このため、偏倚方向における上流側に戻りやすい。以上より、加圧ローラ74を冷却した方が、加熱ローラ71を冷却するよりも、定着ベルト73の偏倚を短時間で抑制することができる。
【0060】
また、上述の実施形態では、加圧ローラ74がヒータ741を内蔵する定着ユニット70を例に説明したが、本発明は加圧ローラ74がヒータ741を内蔵しない定着ユニットにも適用可能である。
【0061】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
100…画像形成装置
70…定着ユニット
71…加熱ローラ
72…定着ローラ
73…定着ベルト
74…加圧ローラ
201…CPU
761,762…センサ
781,782…冷却部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向を互いに平行にして配置された複数のローラと、
前記複数のローラに張架された無端ベルトと、
前記軸方向における前記無端ベルトの偏倚方向を検知する検知部と、
前記軸方向における前記無端ベルトの両端部の温度を個別に低下させる冷却部と、
前記検知部によって前記無端ベルトの偏倚方向を検知すると、前記無端ベルトの偏倚方向における下流側の温度の低下量が上流側の温度の低下量よりも大きくなるように前記冷却部の動作を制御する制御部と、を備えるベルト搬送装置。
【請求項2】
前記軸方向における前記複数のローラのうち何れかのローラの両端部に半径方向に全周にわたって突出する規制部材をさらに備える請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のベルト搬送装置と、
前記無端ベルトを挟んで、前記複数のローラのうち何れかのローラを圧接する加圧ローラと、を備える定着装置。
【請求項4】
前記複数のローラは、加熱ローラと定着ローラとを含み、
加熱ローラは、前記軸方向における全域を加熱する熱源と、前記軸方向における中央部のみを加熱する熱源とを有し、
前記定着ローラは、前記加圧ローラに圧接され、
前記加圧ローラは、前記軸方向における全域を加熱する熱源を有し、
前記制御部は、前記加圧ローラの周面の温度を低下させるように前記冷却部の動作を制御する請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
画像データを用いて像担持体上に作像されたトナー像を用紙に転写する転写部と、
請求項3又は請求項4に記載の定着装置であって、前記無端ベルトと前記加圧ローラとの間を通過する前記用紙に対して前記トナー像を定着させる定着装置と、を備える画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記無端ベルトと前記加圧ローラとの間を前記用紙が通過していない時に温度を低下させるように前記冷却部の動作を制御する請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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