説明

ベルト搬送装置及び画像形成装置

【課題】 停止と起動を繰り返す画像形成装置において、ベルトの凸部であるリブと凸部を規制する規制部材であるリブガイドの接触によるリブに発生する繰り返しのダメージを抑制することを目的としている。
【解決手段】 ベルト5を張架する駆動ローラ40及びテンションローラ41と、ベルト5の内周面で幅方向端部に設けられたリブ5aと、駆動ローラ40及びテンションローラ41の幅方向端部に設けられ、ベルト5が該ベルト5の回転方向と直交する方向に寄った場合にリブ5aが当接して該リブ5aの位置を規制するコロ100,102と、ベルト5の回転停止時にコロ100,102がリブ5aと接触可能な規制位置から退避させるカム部材101とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式を用いたカラー複写機やカラープリンタ等の画像形成装置、及びその画像形成装置に使用されるベルト搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー画像形成装置に用いられている中間転写ベルトの幅方向の寄り規制手段としては特許文献1に示すように中間転写ベルトの内周面両端部に沿って設けられたリブ部材と駆動ローラの両端部に回転自在に設けられたリブガイドによって規制するものがある。
【0003】
また、特許文献2では、中間転写ベルトの片側に幅方向の寄り規制手段として内周面片端部に沿って弾性体であるリブ部材が設けられる。更に中間転写ベルトを張架する複数のローラの片端部に回転自在に設けられベルトの端部がベルトテンションによりベルト内側に屈曲しないようにリブを落とし込む溝を持った張架ローラと略同径のリブガイド部材を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−223971号公報
【特許文献2】特開2003−215943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2で示されるように駆動ローラと同軸上に配置されたリブガイドによって寄り規制を実施する。このような構成では、通常、駆動ローラの表面にはベルトを安定的に搬送するために摩擦係数μの大きなゴム層が設けられている。このため駆動ローラ上ではベルトの幅方向への寄り力は大きくなる。そして、寄り力が大きくなるとリブがリブガイドに規制される力が強くなりベルトやリブへの負荷が大きくなり破損等の耐久性に問題が発生する。
【0006】
これを解決するためにはベルトやリブに、強度が高く耐久性の高い材料、例えばポリイミドを使用する。或いは、ベルトが駆動ローラ長手方向に移動しないようアクチュエータを用いて駆動ローラのアライメントのフィードバック制御を用いる等、コストの面で不利になってしまう。
【0007】
また、ベルトの寄り力はリブがリブガイドに突き当たることによって寄り規制を行っているため寄り力が大きくなっていくとリブがリブガイドに乗り上がろうとしてしまう。リブがリブガイドに乗り上がってしまうと、ベルトが駆動ローラの表面から微小に浮き上がってベルトの駆動半径が変化してしまう。駆動半径が変化するとベルトの搬送速度が変化して、色ズレが発生する可能性がある。
【0008】
特に、ベルトのリブのガイドへの乗り上がりは、駆動ローラが回転停止と回転起動を繰り返すことで問題が発生し易いことが分かっている。リブがリブガイドに寄り規制されながら駆動ローラが回転され、その後、駆動ローラが停止したときに、リブは、前記説明のように、リブガイドに乗り上がろうとしている。或いは、僅かに乗り上がっている状態である。従って、停止後にもリブは、リブガイドにより規制される方向に力を受け続けている。この停止時間が長いほど、リブは力を受け続け、リブがリブガイドにならって変形する。またはリブとベルトの接着面にズレが生じるといった状態となる。
【0009】
この変形やズレは、ベルトの周方向において、リブとリブガイドとが接触する部分のみに発生する。次に駆動ローラが回転起動するときには、変形やズレが発生しているリブの部分から、そうでない停止の影響を受けていないリブの部分が瞬間的にリブガイドにより規制される。これにより、停止の影響を受けていないリブの部分は、リブガイドにより大きな力を受けて、さらに乗り上げが発生し易くなる。これが、駆動ローラが回転停止と回転起動を繰り返すと問題が発生し易くなる理由である。
【0010】
停止と起動を繰り返す画像形成装置において、装置の寿命耐久初期においては、発生した部分的な変形やズレは、駆動ローラの回転中に解消され、色ずれ等の画像も発生することはない。しかし、装置の寿命耐久後期において、繰り返しのダメージによりリブの劣化が進み、より、乗り上げの影響が顕著に発生するようになる。従って、この問題は、装置の寿命に大きく影響する。
【0011】
そこで本発明は、停止と起動を繰り返す画像形成装置において、ベルトの凸部であるリブと凸部を規制する規制部材であるリブガイドの接触によるリブに発生する繰り返しのダメージを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための本発明に係るベルト搬送装置の代表的な構成は、回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架する複数の張架部材と、前記ベルトの内周面で幅方向端部に設けられた凸部と、前記張架部材の少なくとも1つの幅方向端部に設けられ、前記ベルトが該ベルトの回転方向と直交する方向に寄った場合に前記凸部が当接して前記凸部の位置を規制する規制部材と、前記ベルトの回転停止時に前記規制部材が前記凸部と接触可能な規制位置から退避させる退避手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、ベルトが停止と起動を繰り返す場合に、ベルトの回転停止時に、規制部材を凸部と接触可能な規制位置から退避させることにより、ベルトの凸部に部分的なダメージを与えることを軽減できる。これにより、装置の寿命にわたる繰り返しのダメージによる凸部の劣化を防止でき、凸部の乗り上げの画像への影響を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の構成を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係るベルト搬送装置の構成を示す断面説明図である。
【図3】本発明に係るベルト搬送装置の構成を示す平面説明図である。
【図4】本発明に係るベルト搬送装置の構成を示す平面模式図である。
【図5】ベルトの寄り力を説明する模式説明図である。
【図6】ベルトの内周面で幅方向端部に設けられた凸部が、該凸部の位置を規制する規制部材に対して乗り上げる乗り上げ量を説明する模式説明図である。
【図7】本発明に係るベルト搬送装置の第1実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図8】第1実施形態のカム部材のカム面の構成を示す斜視説明図である。
【図9】第1実施形態の規制部材の構成を示す斜視説明図である。
【図10】第1実施形態のカム部材のカム面に沿って規制部材が凸部と接触可能な規制位置から退避する様子を説明する断面説明図である。
【図11】第1実施形態のカム部材のカム面に沿って規制部材が凸部と接触可能な規制位置から退避する様子を説明する断面説明図である。
【図12】本発明に係るベルト搬送装置の第2実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図13】第2実施形態の加圧部材の構成を示す斜視説明図である。
【図14】第2実施形態の加圧部材の構成を示す斜視説明図である。
【図15】第2実施形態の加圧部材の加圧力が弱められることにより規制部材が凸部と接触可能な規制位置から退避する様子を説明する断面説明図である。
【図16】本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の他の構成を示す断面説明図である。
【図17】本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の更に他の構成を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図により本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0016】
先ず、図1〜図11を用いて本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。図1は本実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置13の断面図である。図2は感光体ドラムユニット20及び中間転写ユニット21を示す断面図である。感光体ドラムユニット20は、静電潜像が形成される像担持体となる感光体ドラム1と、廃トナーボックス16とを一体化したものである。
【0017】
中間転写ユニット21は、回転可能な無端状のベルトとなる中間転写ベルトとしてのベルト5と、該ベルト5を張架して回転可能な複数の張架部材となる駆動ローラ40、テンションローラ41、アイドラローラ42を有する。更に該ベルト5を挟んで感光体ドラム1とは反対側に配置され、該感光体ドラム1上(像担持体上)に形成されたトナー画像を該ベルト5に転写する一次転写手段となる一次転写ローラ12等を一体化したものである。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置13として、ロータリー(現像器回転)方式の4サイクルフルカラーレーザープリンタを例に説明する。
【0019】
<画像形成動作>
駆動ローラ40と第1の従動ローラとしてのテンションローラ41及び第2の従動ローラとしてのアイドラローラ42に張架されたベルト5の回転と同期して感光体ドラム1を図1の矢印方向に回転させる。この感光体ドラム1の表面を帯電手段となる帯電ローラ2によって均一に帯電するとともに、露光装置3によってイエロー画像の露光を行い、感光体ドラム1上にイエローの静電潜像を形成する。
【0020】
この静電潜像の形成と同時に感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段となるロータリー現像装置4を駆動してイエローの現像器4Yを現像位置に配置する。そして、感光体ドラム1上の静電潜像にイエロートナーが付着するように感光体ドラム1上の帯電極性と同極性でほぼ同電位の電圧を印加して静電潜像にイエロートナーを付着させて現像する。
【0021】
その後、中間転写ユニット21内の一次転写ローラ12にトナーと逆極性の電圧を印加して感光体ドラム1上のイエロートナー画像をベルト5上に一次転写する。
【0022】
上述のようにしてイエロートナー画像の一次転写が終了すると、次の現像器4M,4C,4Kが順次回転移動してくる。そして、感光体ドラム1に対向する現像位置に位置決めされ、イエローの場合と同ようにして、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について、静電潜像の形成、現像、一次転写を順次行い、ベルト5上に4色のトナー画像を重ね合わせる。
【0023】
この間、ベルト5に転写されたトナー画像をシート等の転写材に転写する二次転写手段となる二次転写ローラ11は、ベルト5とは非接触の状態にある。この時、クリーニングユニットとしての帯電ブラシ22、帯電ローラ23もベルト5とは非接触状態に位置する。
【0024】
そして、ベルト5上に4色のトナー画像を形成する。その後、図1に示すように、二次転写ローラ11がベルト5に当接される。更にベルト5の回転と同期して、転写材積載装置19からピックアップローラ18により転写材が1枚ずつ分離給送され、再給送手段である搬送ローラ対7によって所定の位置で待機していた転写材がベルト5と二次転写ローラ11とのニップ部に送り込まれる。
【0025】
ここで搬送ローラ対7の直前には転写材の先端を検知して該搬送ローラ対7の回転駆動力を一時遮断し、転写材を所定の位置で待機させる図示しないレジセンサが設けられている。
【0026】
更に、二次転写ローラ11にはトナーと逆極性の電圧が印加されており、ベルト5上のトナー画像は一括して搬送されてきた転写材の表面に二次転写していく。
【0027】
このようにして二次転写された転写材は定着器8に至り、ここで複数色のトナー画像の定着を行った後、排出ローラ対9によって画像形成装置13の上部の排出トレイ10に排出され、画像形成動作を完了する。
【0028】
一方、一次転写後にクリーニング用の帯電ブラシ22と帯電ローラ23がベルト5に当接され、ベルト5に残った残留トナーに転写時と逆の電荷を与える。
【0029】
逆の電荷を付与された残留トナーは、感光体ドラム1に静電的に付着され、その後、感光体ドラム1のクリーニング用のクリーニングブレード6により回収される。
【0030】
ここで駆動ローラ40は幅方向で二次転写ローラ11よりも幅が広く、クリーニング用の帯電ブラシ22と帯電ローラ23よりも幅が広い。駆動ローラ40は電気抵抗の低いゴムで表面をコーティングされ二次転写ローラ11及びクリーニング用の帯電ブラシ22、帯電ローラ23の対向電極としての機能を持ち合わせている。
【0031】
<中間転写ユニット及び感光体ドラムユニット>
図2は中間転写ユニット21と感光体ドラムユニット20の縦断面図である。図3は図2の中間転写ユニット21と感光体ドラムユニット20を上方より見た横断面図である。
【0032】
図2及び図3において、中間転写ユニット21の駆動ローラ40とテンションローラ41及びアイドラローラ42により張架されたベルト5の投影上方面に感光体ドラムユニット20を配置する。更に、該感光体ドラムユニット20の装置正面には廃トナーボックス16を配置している。また中間転写ユニット21の駆動ローラ40にはベルト5上の残留トナーに転写時と逆極性の電荷付与するためのクリーニング用の帯電ブラシ22と帯電ローラ23が設けられている。
【0033】
感光体ドラムユニット20には軸受202,206により感光体ドラム1がその両端を回転自在に保持され、カップリング49を介して装置本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源から所定の回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0034】
また、感光体ドラム1には軸受25を介して帯電ローラ2が回転可能に設けられており、圧縮バネ26により所定の力で感光体ドラム1に圧接され、該感光体ドラム1に従動回転するようになっている。
【0035】
次にベルト搬送装置となる中間転写ユニット21の構成について説明する。中間転写ユニット21は感光体ドラム1に対向して配置される。ベルト5は駆動ローラ40とテンションローラ41及びアイドラローラ42により張架されている。
【0036】
駆動ローラ40は軸受201,205により回転自在に保持され、駆動ギア48を介して装置本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源から所定の回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0037】
テンションローラ41の両端に設けられた軸受203には圧縮バネ44がそれぞれ設けられ、ベルト5に所定の張力を与えるようになっている。
【0038】
ベルト5を挟んで、感光体ドラム1と対向する位置には、一次転写ローラ12が設けられる。そして、一次転写ローラ12の両端に設けられた軸受46を介して圧縮バネ47により所定の力でベルト5を挟んで感光体ドラム1に圧接され、該感光体ドラム1に従動回転するようになっている。
【0039】
一次転写ローラ12の両端に設けられた軸受46の少なくとも一方は導電性の部材で構成され、一次転写ローラ12に所定のバイアスを印加することにより、感光体ドラム1の表面上のトナーがベルト5上に一次転写される。
【0040】
<フルカラー画像の各色トナー画像の位置合わせ>
ベルト5には、該ベルト5の搬送方向の位置を検出し、該ベルト5上に重ね合わせる各色トナー画像の位置合わせを行うために位置検出手段が設けられている。
【0041】
位置検出手段は、ベルト5の幅方向で画像形成領域外に光反射体のマーカー71を貼付し、これに対向する所定の位置に反射型の光センサ70を配置し、この光反射体のマーカー71からの反射光を光センサ70により検知する。これによりベルト5の搬送方向の画像書き出し位置を検知し、この検知信号に同期して露光装置3による感光体ドラム1への画像データ書き込みタイミングを制御している。
【0042】
従って、ベルト5の搬送速度は画像書き出しタイミングを同期させるために安定していなければならない。ベルト5の搬送速度が不安定になると画像書き出しタイミングを同期できず、色ずれ画像が発生してしまう。
【0043】
<中間転写ベルトの寄り防止機構>
次に本発明の特徴であるベルト5の寄り防止機構について説明する。
【0044】
ベルト5はポリフッ化ビニリデン(PVDF)或いはポリイミド(PI)などの樹脂フィルムで構成され、駆動ローラ40、テンションローラ41、アイドラローラ42の3本のローラにより張架されている。
【0045】
駆動ローラ40の表面には回転力を確実にベルト5に伝達するために摩擦係数μの大きなゴム層等がアルミパイプ等の表面にコーティングされている。
【0046】
テンションローラ41はアルミパイプ等で構成され表面は滑らかで摩擦係数μが低く抑えられている。
【0047】
図3及び図4に示すように、ベルト5の内周面で幅方向両端部(幅方向端部)にはポリウレタンフォームやウレタンゴム等の弾性体で構成された凸部となるリブ5aが帯状に該ベルト5の全周に亘って連続して設けられている。リブ5aは該リブ5aの真直性を保つようにベルト5の幅方向両端部で内周面側に両面テープ等の粘着剤で貼付されている。
【0048】
駆動ローラ40の幅方向両端部(幅方向端部)には、ベルト5が該ベルト5の回転方向と直交する方向(幅方向)に寄った場合にリブ5aが当接して該リブ5aの位置を規制する規制部材として回転部材となるコロ100が設けられている。コロ100の外径は駆動ローラ40の外径と略同径であり、該コロ100の片面にはリブ5aに対向して該リブ5aが接触する接触面となる斜面100aがコロ100の軸方向に対して所定の傾斜角度αを有して形成されている。
【0049】
また、テンションローラ41の幅方向両端部(幅方向端部)には、ベルト5が該ベルト5の回転方向と直交する方向(幅方向)に寄った場合にリブ5aが当接して該リブ5aの位置を規制する規制部材として回転部材となるコロ102が設けられている。コロ102の外径はテンションローラ41の外径と略同径であり、該コロ102の片面にはリブ5aに対向して該リブ5aが接触する接触面となる斜面102aがコロ102の軸方向に対して所定の傾斜角度αを有して形成されている。
【0050】
本実施形態では、複数の張架部材となる駆動ローラ40、テンションローラ41、アイドラローラ42のうちで駆動ローラ40及びテンションローラ41のそれぞれの幅方向端部に規制部材であって回転部材となるコロ100,102を設ける。そして、ベルト5が該ベルト5の回転方向と直交する方向(幅方向)に寄った場合にリブ5aが該コロ100,102の斜面100a,102aに当接して該斜面100a,102aに乗り上げる。そして、乗り上げた分だけ張力が増加し、その増加した張力によりリブ5aが該斜面100a,102aに沿って下降して該ベルト5の寄りを戻す構成とした。
【0051】
他に複数の張架部材となる駆動ローラ40、テンションローラ41、アイドラローラ42のうちの少なくとも1つの幅方向端部に規制部材であって回転部材となるコロを設ける。そして、ベルト5が該ベルト5の回転方向と直交する方向(幅方向)に寄った場合にリブ5aが該コロの斜面に当接して該斜面に乗り上げる。そして、乗り上げた分だけ張力が増加し、その増加した張力によりリブ5aが該斜面に沿って下降して該ベルト5の寄りを戻す構成としても良い。
【0052】
本実施形態のアイドラローラ42は、ベルト5の内周面で幅方向両端部に設けたリブ5aを規制しないように該リブ5aから十分に離れた位置に設置している。
【0053】
ベルト5のリブ5aは該ベルト5に寄り力が発生した場合、コロ100,102の斜面100a,102aに規制されて該ベルト5は各ローラから脱落することなく安定して搬送移動していく。即ち、このコロ100,102は、リブ5aの移動を規制する規制部材である。規制部材は、回転部材でなくても良い。
【0054】
図5にベルト5の寄り力fの概念図を示す。駆動ローラ40からのベルト駆動力(ベルト張力)をF、各ローラとベルト5との摩擦係数をμ、ベルト駆動力(ベルト張力)Fにより発生する各ローラの軸方向に垂直な抗力をTとすると、ベルト5の寄り力fは以下の数1式で表わされる。
【0055】
[数1]
f=μ×T
【0056】
従って、ベルト5の寄り力fは、各ローラの傾き、各ローラとベルト5との摩擦係数μ、ベルト駆動力(ベルト張力)Fが大きいほど大きくなる。
【0057】
図6は駆動ローラ40及びテンションローラ41のそれぞれの幅方向両端部に設けられたコロ100,102の斜面100a,102aにベルト5のリブ5aが突き当たり、ベルト5の寄り力fを規制する概念図である。コロ100,102の斜面100a,102aにより寄り規制されたリブ5aはベルト5の寄り方向(図6の右方向)に対して距離xだけ移動し、斜面100a,102aに沿ってベルト5の外周方向(図6の上方向)に距離yだけ移動する。
【0058】
コロ100,102の斜面100a,102aの該コロ100,102の軸方向(図6の左右方向)に対する傾斜角度をα、ベルト5の寄り量となる距離をx、リブ5aの乗り上げ量となる距離をyとする。すると、リブ5aの乗り上げ量となる距離yは以下の数2式で表わされる。
【0059】
[数2]
y=x × tan α
【0060】
従って、リブ5aの乗り上げ量となる距離yは、コロ100,102の斜面100a,102aの該コロ100,102の軸方向(図6の左右方向)に対する傾斜角度αが小さいほど小さくなる。
【0061】
逆に、傾斜角度αが大きいと、コロ100,102の斜面100a,102aは該コロ100,102の軸方向(図6の左右方向)に対して略垂直面となる。そして、ベルト5の寄り力fがコロ100,102の斜面100a,102aに対して略垂直抗力となって大きな規制力を確保できる。
【0062】
しかし、リブ5aが該斜面100a,102aに対して乗り上がったときの乗り上げ量となる距離yが大きくなる。このため、通常は、コロ100,102の斜面100a,102aの該コロ100,102の軸方向(図6の左右方向)に対する傾斜角度αを10°〜30°の範囲で設定して、該コロ100,102の半径方向への乗り上げ量となる距離yを小さくしている。
【0063】
図7に、駆動ローラ40の幅方向端部の断面図を示す。駆動ローラ40は軸受201,205により回転軸40aの幅方向端部が回転自在に保持されている。駆動ローラ40の幅方向端部には該駆動ローラ40の外径と略同径の外径を有し、片面に斜面100aが形成されたコロ100が駆動ローラ40の回転軸40aに回転自在に挿通されている。
【0064】
そして、回転軸40a上で駆動ローラ40とコロ100との間には、ベルト5の回転停止時にコロ100がリブ5aと接触可能な規制位置から退避させる退避手段となるカム部材101が駆動ローラ40の回転軸40aに挿通される。そして、該駆動ローラ40と一体的に回転するように固定されている。
【0065】
図8は、カム部材101が駆動ローラ40に組み付けられている状態の斜視図である。カム部材101は、駆動ローラ40に対して回転しないように固定されている。カム部材101のコロ100側(図8の左側)には、カム面が設けられており、該カム面は、天面101a、斜面101b、底面101cが互いに連続して形成されている。天面101aはコロ100に最も近接した位置に形成され、底面101cはコロ100から最も離間した位置に形成される。斜面101bは天面101aと底面101cとを接続した面として形成される。天面101a、斜面101b、底面101cからなるカム面は、カム部材101の円周端面に沿って4箇所設けられている。
【0066】
図9にコロ100の駆動ローラ40側から見た斜視図を示す。コロ100の駆動ローラ40側には、カム部材101のカム面に対応する4つの突起部100bが径方向に90°ずつずれた位置に設けられている。
【0067】
コロ100のカム部材101側(図9の右側)には、該カム部材101のカム面に対向して突起部100bがコロ100の円周端面に径方向に沿って4箇所設けられている。コロ100のそれぞれの突起部100bは、カム部材101の約1/4回転で、該カム部材101の天面101aから底面101cへ当接摺動しつつ移動する。そして、図10に示すように、コロ100は突起部100bがカム部材101の天面101aから底面101cへ当接摺動しつつ移動する間に該コロ100の軸方向(図10の左右方向)に、該コロ100の退避動作の退避量となる距離Eだけ移動する。
【0068】
カム部材101は天面101a、斜面101b、底面101cが連続して形成されたカム面を有する。更に、該カム面に当接摺動する突起部100bを有するコロ100を有する。更に、該コロ100の斜面100aに当接摺動するリブ5aを有する。
【0069】
図8〜図11により、ベルト5の動作について説明する。駆動ローラ40の通常回転方向は図8の矢印D方向である。コロ100はリブ5aとの摺擦抵抗により回転抵抗を受けているため、駆動ローラ40の通常回転時の突起部100bの位置は、図10の実線で示す天面101aに当接した状態である。
【0070】
駆動ローラ40が停止し、通常回転方向とは逆方向に1/4周回転以上回転する。すると、駆動ローラ40と一体的に回転するカム部材101の回転により突起部100bは天面101aから斜面101bを経て底面101cまで当接摺動しつつ移動して図10の破線で示す底面101cに当接する。この時、コロ100は駆動ローラ40の軸方向(図11の左右方向)で該駆動ローラ40側(図11の右側)に天面101aと底面101cとのカム部材101の軸方向の離間距離であって退避量となる距離Eだけ退避移動する。
【0071】
図11により、駆動ローラ40の通常回転時から停止と逆回転するまでのリブ5aとコロ100の動きを詳細に説明する。図11(a)は、駆動ローラ40の通常回転時において該駆動ローラ40の端部に設けられたコロ100の斜面100aにリブ5aが当接する様子を示す部分拡大図である。図11(a)ではベルト5が図11(a)の右方向に寄り力fを受けている様子を示す。
【0072】
リブ5aはベルト5の内周面で幅方向端部に貼着されているため、該ベルト5の寄り方向(図11(a)の右方向)に移動しようとする力を受ける。しかし、リブ5aの下端部がコロ100の斜面100aに当接しているため移動を規制されている。コロ100の斜面100aは該コロ100の軸方向(図11(a)の左右方向)に対して傾斜角度αを有して形成されている。このため、リブ5aは、コロ100の斜面100aに沿って該コロ100に乗り上げる方向に力を受けている。
【0073】
ベルト5には、リブ5aがコロ100に乗り上げる力に勝る力の張力が働いている。そして、リブ5aは、ベルト5の寄り力fにより生じるコロ100の斜面100aに沿った乗り上げ力と、該ベルト5の張力との力関係の均衡により図11(a)に示す位置に保持されている。
【0074】
駆動ローラ40の回転が停止すると、回転停止直後は、リブ5aは図11(a)に示す状態を維持する。しかし、該リブ5aはスポンジ等の弾性体であるため、時間の経過と共に、図11(b)に示すように、ベルト5の寄り力fと張力とによって押し潰されて弾性変形を生じる。リブ5aの硬度にもよるが通常は3分〜5分程度で変形する。さらに、1時間以上の時間が経つと、両面テープ等で接着したリブ5aとベルト5の内周面との接着面にズレが生じることもある。
【0075】
これらの変形やズレは、通常、ベルト5の数周分の回転で解消されるが、長い間の耐久においては、リブ5aの弾性性能または、リブ5aとベルト5の内周面との接着部の劣化が進み、変形やズレが残ってしまう場合が生じる。
【0076】
リブ5aの変形は、ベルト5の走行性に影響し、色ズレ問題を引き起こす。本実施形態では、駆動ローラ40が通常回転停止直後に1/4周以上逆回転することで、コロ100を該コロ100の軸方向で駆動ローラ40側(図11の右側)に退避移動するものである。
【0077】
図11(c)は、駆動ローラ40の逆回転により、コロ100が図11(c)の矢印G方向に退避量となる距離Eだけ退避した状態である。本実施形態の退避動作によれば、駆動ローラ40が通常回転の停止直後に逆回転することにより、図11(a)の通常回転状態から、図11(b)に示すように、リブ5aが変形する状態になることはなくなる。これにより、駆動ローラ40の通常回転の停止時にリブ5aに変形の負荷をかけることはない。
【0078】
尚、コロ100の退避動作の退避量となる距離Eは、コロ100の斜面100aの該コロ100の軸方向に対する傾斜角度をα、リブ5aのベルト5の内周面(内面)からの高さをHとすると、以下の数3式で表わされる値に設定される。
【0079】
[数3]
E=H/tan α
【0080】
コロ100の退避動作の退避量となる距離Eが大きすぎる場合は、次の通常回転開始時にコロ100が図11(a)に示す規制位置に復帰してリブ5aを規制するまでの時間ロスが生じ、ベルト5の位置規制の遅れ(蛇行現象)を生む可能性がある。
【0081】
即ち、本実施形態において、退避手段となるカム部材101によるコロ100の退避動作は、ベルト5の通常回転停止後に駆動ローラ40が所定の回転角度となる1/4周以上逆回転する。これにより、該カム部材101の天面101a、斜面101b、底面101cが連続して形成されたカム面に沿って当接摺動する突起部100bを有するコロ100がリブ5aと接触する図11(a)に示す規制位置から図11(c)に示す退避位置に退避する。
【0082】
テンションローラ41に設けられたコロ102に関しても駆動ローラ40に設けられたコロ100と同様である。即ち、ベルト5の通常回転停止時にコロ102をリブ5aと接触する規制位置から退避位置に退避させる退避手段として、コロ102とテンションローラ41との間にカム部材101を設ける。そして、該カム部材101の天面101a、斜面101b、底面101cが連続して形成されたカム面に沿って当接摺動する突起部をコロ102に設けることが出来る。
【0083】
ただし、駆動ローラ40の表面には摩擦係数μの大きなゴム層が設けられており、テンションローラ41の表面は滑らかなアルミパイプ等で構成されて摩擦係数μが小さい。従って、ベルト5の通常回転停止時には、駆動ローラ40とベルト5とが摩擦力により保持される。これにより、駆動ローラ40に設けられたコロ100の方が、テンションローラ41に設けられたコロ102よりも、リブ5aにより与えられる力が大きくなる。ゆえに、カム部材101によるコロ100,102のそれぞれの退避動作は、駆動ローラ40に設けられたカム部材101によるコロ100の退避動作による効果が大きい。
【0084】
本実施形態では、複数の張架部材となる駆動ローラ40、テンションローラ41及びアイドラローラ42により張架されて搬送移動するベルト5を有する。更に、駆動ローラ40の幅方向両端部に設けられたコロ100と、テンションローラ41の幅方向両端部に設けられたコロ102とを有する。
【0085】
そして、ベルト5は内周面で幅方向両端部に沿って弾性体からなるリブ5aを帯状に備える。そして、該リブ5aをコロ100,102の斜面100a,102aにそれぞれ突き当てることによって該ベルト5の寄りを規制する。そして、該ベルト5の通常回転停止時にリブ5aを規制するコロ100,102を退避させる退避手段となるカム部材101を設けた。
【0086】
ベルト5が回転停止と起動を繰り返す場合に、駆動ローラ40の通常回転停止後に駆動ローラ40が所定の回転角度となる1/4周以上逆回転する。
【0087】
これにより、該カム部材101のカム面に沿って当接摺動する突起部100bを有するコロ100(102)がリブ5aと接触する図11(a)に示す規制位置から図11(c)に示す退避位置に退避する。カム部材101のカム面は天面101a、斜面101b、底面101cが連続して形成されている。
【0088】
これにより、ベルト5のリブ5aに部分的なダメージを与えることを軽減できる。そして、繰り返しのダメージによるリブ5aの劣化を防止できる。そして、図11(a)に示すようにリブ5aがコロ100,102の斜面100a,102aに沿って乗り上げることによる画像への影響を改善することができる。
【実施例2】
【0089】
次に図12〜図15を用いて本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
前記第1実施形態では、ベルト5の通常回転停止時にコロ100,102をリブ5aと接触する規制位置から退避位置に退避させる退避手段として、コロ100,102と駆動ローラ40、テンションローラ41との間にそれぞれカム部材101を設けて構成した。本実施形態では、ベルト5の通常回転停止時にコロ103をリブ5aと接触する規制位置から退避位置に退避させる退避手段として、コロ103と駆動ローラ40、テンションローラ41との間にそれぞれ加圧部材となるコイル状の加圧バネ105を設けて構成した。
【0091】
図12は本実施形態に係るベルト5の寄り規制部の構成を示す断面説明図、図13及び図14は本実施形態に係るベルト5の寄り規制部を構成する部品を説明する斜視説明図、図15は加圧バネ105によるコロ103の退避動作を説明する図である。
【0092】
本実施形態に係る画像形成装置13として、ロータリー(現像器回転)方式の4サイクルフルカラーレーザープリンタを例に説明する。装置全体の構成は前記第1実施形態と同様の箇所に関しては説明を省略する。
【0093】
図12に、駆動ローラ40の幅方向端部の断面図を示す。駆動ローラ40の幅方向端部には、ベルト5が該ベルト5の回転方向と直交する方向(幅方向)に寄った場合にリブ5aが当接して該ベルト5の寄りを戻す回転部材となるコロ103が駆動ローラ40の回転軸40aに回転自在に挿通されている。コロ103は駆動ローラ40の外径と略同径の外径を有し、片面にリブ5aが接触する接触面となる斜面103aが該コロ103の軸方向(図12の左右方向)に対して所定の傾斜角度αを有して形成されている。
【0094】
駆動ローラ40の回転軸40a上で該駆動ローラ40とコロ103との間には、ベルト5の通常回転停止時に該コロ103をリブ5aと接触する規制位置から退避位置へと退避させる退避手段であって加圧部材となるコイル状の加圧バネ105が設けられている。加圧バネ105は、コロ103を駆動ローラ40の回転軸40a方向外側に加圧するように設けられている。コロ103は加圧バネ105の弾性力により該コロ103の退避方向(図12の右方向)とは反対方向に加圧されている。
【0095】
駆動ローラ40の端部内側には、リング部材104が固定して設けられており、コロ103に設けられた爪部103bがリング部材104の内壁面104aに摺動自在に係止されている。
【0096】
図13は、加圧バネ105が駆動ローラ40に組み付けられている状態を示す斜視図である。加圧バネ105は、その一端105aが駆動ローラ40に対して回転しないように固定され、他端105bがコロ103に対して回転しないように固定されている。
【0097】
リング部材104の内周面には、コロ103の爪部103bの側面に当接して該コロ103の回転角度を規制する回転止めの突起104bが互いに180度ずれた位置に二箇所設けられている。突起104bにより、コロ103の回転は、1/2周回転に規制される。図14にコロ103と加圧バネ105の組み合わせを駆動ローラ40側から見た斜視図を示す。コロ103の駆動ローラ40側には、加圧バネ105が位置しており、加圧バネ105の他端105bはコロ103に係止されている。コロ103には、爪部103bが二箇所設けられており、該爪部103bは、駆動ローラ40のリング部材104に係止されて組み付けられているときに抜け止めと回転角度を規制する役割を兼ねる。
【0098】
図15により加圧バネ105の動作について説明する。図15(a)は、駆動ローラ40が停止しているときの加圧バネ105の状態を示しており、図15(b)は、駆動ローラ40が通常回転をしているときの加圧バネ105の状態を示している。加圧バネ105の一端105a及び他端105bは、それぞれ、コロ103と駆動ローラ40に固定されている。
【0099】
図15(b)に示す加圧バネ105は、駆動ローラ40が、図13の矢印D方向に通常回転している場合である。このときコロ103は、斜面103aとリブ5aとの摺動により駆動ローラ40の通常回転方向である矢印D方向とは逆の図15(b)の矢印G方向に回転する力を受けている。従って、加圧バネ105の他端105bも図15(b)の矢印G方向に力を受けて、該他端105bは、図15(b)の位置に回転されている。
【0100】
これにより、加圧バネ105の巻きを緩める方向に回転力が作用して該加圧バネ105の弾性力を高める。これにより、加圧バネ105に発生する力Jは、図15(b)に示す駆動ローラ40が通常回転をしているときの加圧バネ105に発生する力Jの方が、図15(a)に示す駆動ローラ40が停止しているときの加圧バネ105に発生する力Jよりも増大する。
【0101】
本実施形態の退避手段となる加圧バネ105によるコロ103の退避動作は以下の通りである。ベルト5の回転停止時となる駆動ローラ40の回転停止時に図15(a)に示すように、加圧バネ105の加圧力が弱められることによりコロ103がリブ5aと接触する規制位置から退避位置へと退避する。
【0102】
すなわち、図15(a)に示すように、駆動ローラ40の回転停止時に加圧バネ105によりコロ103を駆動ローラ40の回転軸40a方向外側に向けて押す力を弱める。逆に図15(b)に示すように、駆動ローラ40の通常回転時に加圧バネ105によりコロ103を駆動ローラ40の回転軸40a方向外側に向けて押す力を強くする。
【0103】
これにより、駆動ローラ40の停止時にコロ103が、リブ5aに与えるダメージを軽減する。さらに、本実施形態の利点は、駆動ローラ40の停止時にコロ103はリブ5aから完全に離間するわけではなく、コロ103を駆動ローラ40の回転軸40a方向外側に向けて押す力を弱めるだけである。このため、コロ103は、リブ5aに接触する位置に留められ、次の起動時直後にリブ5aを規制し始め、ベルト5の蛇行現象を直ぐに押え込むことができ、画像色ズレの問題に対して有利な構成となる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様な効果を得ることが出来る。
【実施例3】
【0104】
次に図16を用いて本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の第3実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
前記各実施形態では、図1に示すように、1個の感光体ドラム1を有し、該感光体ドラム1に対向して4つの現像器4Y,4M,4C,4Kが回転するロータリー方式の現像装置4を有する画像形成装置13に装備されるベルト5に適用した一例について説明した。
【0106】
しかし、本発明はこれに限定されるものではない。図16に示すようなイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する複数の像担持体となる感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを有するタンデム方式の画像形成装置13に装備されるベルト5においても応用することができる。尚、以下の説明では感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを感光体ドラム1で代表させて説明する。他の画像形成ユニットを構成する部品も同様である。
【0107】
本実施形態においても、ベルト搬送装置となる中間転写ユニット21は感光体ドラム1に対向して配置される。静電潜像が形成される像担持体となる感光体ドラム1の周囲には、該感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段が設けられる。
【0108】
画像形成手段としては、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する帯電ローラ2Y,2M,2C,2Kを有する。更に、一様に帯電された感光体ドラム1の表面に画像情報に応じたレーザ光を照射する露光装置3を有する。更に、該露光装置3により露光されて形成された静電潜像にトナーを供給してトナー画像を現像する現像器31Y,31M,31C,31Kを有する。
【0109】
更に、該現像器31により感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像をベルト5に一次転写する一次転写ローラ12Y,12M,12C,12Kを有する。更に、ベルト5にトナー画像を転写した後の感光体ドラム1の表面に残留したトナーを掻き取って回収するクリーニングブレード6Y,6M,6C,6Kを有する。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得るものである。
【実施例4】
【0110】
次に、図17を用いて本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の第4実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記各実施形態では、本発明に係るベルト搬送装置を中間転写ユニット21として備えた画像形成装置13の構成の一例を示した。本実施形態では、本発明に係るベルト搬送装置を転写材搬送ユニット51として備えた画像形成装置13の構成の一例を示す。
【0111】
前記各実施形態では、ベルト5は中間転写体となるベルト5として説明した。他に本実施形態のように転写材担持体として用いられるベルト5であっても良い。即ち、当業者には周知の通り、静電潜像が形成される像担持体となる感光体ドラム1上に形成したトナー画像を、その感光体ドラム1と対向して周回移動可能なベルト5上に担持されて搬送される転写材53に転写する。その後、トナー画像が転写された転写材53をベルト5から分離して、トナー画像を転写材53上に定着させて記録画像を得る方式の画像形成装置13としても良い。
【0112】
図17は、このような方式の画像形成装置13の一例の概略断面構成を示す。図17の例では、画像形成装置13は、複数の画像形成手段として、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像を形成する各画像形成ユニット54Y,54M,54C,54Kを有する。各画像形成ユニット54は各感光体ドラム1上(像担持体上)に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する。
【0113】
各画像形成ユニット54において感光体ドラム1上にトナー画像を形成するプロセスは、前記各実施形態で説明したものと同様である。このため前記各実施形態の画像形成装置13と同一若しくは相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0114】
本実施形態においても、ベルト搬送装置となる転写材搬送ユニット51は感光体ドラム1に対向して配置される。静電潜像が形成される像担持体となる感光体ドラム1の周囲には、該感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段が設けられる。
【0115】
画像形成手段としては、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する帯電器55Y,55M,55C,55Kを有する。更に、一様に帯電された感光体ドラム1の表面に画像情報に応じたレーザ光を照射する図示しない露光装置を有する。更に、該露光装置により露光されて形成された静電潜像にトナーを供給してトナー画像を現像する現像器56Y,56M,56C,56Kを有する。
【0116】
更に、該現像器56により感光体ドラム1の表面に形成されたトナー画像をベルト5上に担持されて搬送される転写材53に転写する転写手段となる転写装置57Y,57M,57C,57Kを有する。更に、転写材53にトナー画像を転写した後の感光体ドラム1の表面に残留したトナーを掻き取って回収するクリーニングブレード6Y,6M,6C,6Kを有する。
【0117】
各画像形成ユニット54における感光体ドラム1上へのトナー画像の形成と同期するように、図示しない転写材供給ユニットから転写材53が送り出される。そして、感光体ドラム1に対向して配置されるベルト搬送装置となる転写材搬送ユニット51に設けられるベルト5上に供給される。そして、各感光体ドラム1上に形成された各色のトナー画像が、ベルト5を介して各感光体ドラム1に対向して配置された転写手段となる転写装置57の作用によって、ベルト5により搬送される転写材53上に順次転写される。
【0118】
この転写工程が終了すると、転写材53は、ベルト5から分離されて図示しない定着手段となる定着装置に搬送され、ここで、未定着トナー画像の定着処理を受けた後、機外に排出される。
【0119】
このように、転写材担持体として用いられるベルト5を備える画像形成装置13にも適用出来る。前記各実施形態で説明した回転可能な無端状のベルト5の回転停止時に、張架部材となる駆動ローラ40、テンションローラ41、アイドラローラ42の少なくとも1つの幅方向端部に前述したベルト5の寄り防止機構が設けられる。
【0120】
そして、ベルト5が該ベルト5の回転方向と直交する方向(幅方向)に寄った場合がある。その場合にベルト5の内周面で幅方向端部に設けられた凸部となるリブ5aが当接して該ベルト5の寄りを戻す。その寄りを戻す回転部材となるコロ100,102をベルト5の内周面で幅方向端部に設けられた凸部となるリブ5aと接触する規制位置から退避位置へと退避させる。このような前述と同様な退避手段を好適に適用し得る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得るものである。
【符号の説明】
【0121】
5 …ベルト
5a …リブ(凸部)
40 …駆動ローラ(張架部材)
41 …テンションローラ(張架部材)
100 …コロ(規制部材)
101 …カム部材(退避手段)
102 …コロ(規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架する複数の張架部材と、
前記ベルトの内周面で幅方向端部に設けられた凸部と、
前記張架部材の少なくとも1つの幅方向端部に設けられ、前記ベルトが該ベルトの回転方向と直交する方向に寄った場合に前記凸部が当接して前記凸部の位置を規制する規制部材と、
前記ベルトの回転停止時に前記規制部材が前記凸部と接触可能な規制位置から退避させる退避手段と、
を有することを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項2】
前記退避手段は、前記規制部材と前記張架部材との間に設けられたカム部材を有し、
前記退避手段による前記規制部材の退避動作は、前記ベルトの回転停止後に前記張架部材が所定の回転角度を逆回転することで前記カム部材のカム面に沿って前記規制部材が前記凸部と接触可能な規制位置から退避することを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
前記凸部が接触する前記規制部材の接触面が該規制部材の軸方向に対して所定の傾斜角度を有して構成され、
該傾斜角度をα、前記凸部の前記ベルトの内面からの高さをH、前記規制部材の退避動作の退避量をEとしたとき、
E=H/tan α
に設定したことを特徴とする請求項2に記載のベルト搬送装置。
【請求項4】
前記退避手段は、前記規制部材と前記張架部材との間に設けられた加圧部材を有し、
前記規制部材は、前記加圧部材により退避方向とは反対方向に加圧され、
前記退避手段による前記規制部材の退避動作は、前記ベルトの回転停止時に前記加圧部材の加圧力が弱められることにより前記規制部材が前記凸部と接触可能な規制位置から退避することを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項5】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に対向して配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載のベルト搬送装置と、
前記ベルト搬送装置に設けられる前記ベルトを挟んで前記像担持体とは反対側に配置され、該像担持体上に形成されたトナー画像を前記ベルトに転写する一次転写手段と、
前記ベルトに転写されたトナー画像を転写材に転写する二次転写手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に対向して配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載のベルト搬送装置と、
前記ベルト搬送装置に設けられる前記ベルトにより搬送される転写材に、前記像担持体上に形成されたトナー画像を転写する転写手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−41109(P2013−41109A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177883(P2011−177883)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】