説明

ベローズ形無推力伸縮管継手

【課題】 内圧推力に対抗する過大なアンカーを不要とし、内部構造がシンプルで、突起物がなく、軸直角方向にも使え、内圧推力を担保するベローズ形無推力伸縮管継手を提供することである。
【解決手段】 押圧力受け座部材10とガイドフランジ4との両部材に当接するよう付勢される押圧ガイド部材15を介して、配管の伸縮によるガイドフランジの変位に拘わらずに、前記押圧ガイド部材15と前記押圧力受け座部材10との接触状態を維持して、内圧推力を常時タイロッド7に担保させる推力担保手段100を形成する構成のベローズ形無推力伸縮管継手BT1とし、押圧ガイド44と押圧力受け座51との接触状態を維持して、内圧推力を常時タイロッド7に担保させる推力担保手段110を形成する構成のベローズ形無推力伸縮管継手BT2とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズ形伸縮管継手に係り、伸縮継手の変位に対応容易なベローズ形無推力伸縮管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配管部材を介して各種の製造設備や貯蔵設備同士を連結して、蒸気、ガス、LNG、水、油等を移送する際には、配管の伸縮を吸収するために伸縮管継手が用いられている。また、伸縮を吸収するためのベローズを装着したベローズ形伸縮管継手が一般に知られている。
【0003】
ベローズ形伸縮管継手としては、主として軸方向変位を吸収する軸方向型、軸曲げ変位を吸収する軸曲げ型、軸直角方向の変位を吸収する軸直角型、全平面の変位を吸収する万能型が知られている。さらに、それぞれ一個のベローズを用いる単式、複数のベローズを用いる複式のベローズ形伸縮管継手が用いられている。
【0004】
設備間に拘束された配管の温度が変化すると、配管が伸縮しようとする力が生じて、連結された設備に負荷が掛かる。これを緩和するために単式または複式伸縮管継手を設けると、今度は内圧推力によって伸縮管継手を擁する両コーナーが広がろうとし、コーナーを介して繋がる配管が反る形で力が派生し、それが設備や機器などに掛かる。このようなことから温度変化する配管において機器に掛かる力が許容を超える場合には適切な位置に単式または複式伸縮管継手を設け、その機能を発揮するためにコーナー部に内圧推力に対抗するアンカーを敷設している。
【0005】
上記の構成であれば、コーナーが広がらないことから、コーナーを介して接続した配管が反らず機器に掛かる力を抑えることができる。
【0006】
ベローズ形伸縮管継手の基本型である単式ベローズ形伸縮管継手BT3の一例を図12に示す。図に示すようにベローズ形伸縮管継手BT3は端管2、2間にベローズ1を介装して連結した構成であり、それぞれの端管2にはフランジ3とガイドフランジ4が設けられている。また、ガイドフランジ4は端管2に固着されている(必要に応じてリブ5を設ける)と共に両側のガイドフランジ4、4間に張架したタイロッド7で、ベローズ1を一定間隔以内に保持する構成となっている。
【0007】
前記タイロッド7は、軸方向の伸びを抑制するためのガイドであって、万一配管設備のアンカに故障が生じた場合に、継手が損傷しないようにするための制限ボルトの役割を有している。そのために、最大伸び代を制限するための第一ナット7aと第二ナット7bを有しており、一対でロックナットを形成して設定した長さを固定する構成としている。また、6はセットボルトであって、配管設備を設置完了するまで装着しておき、設置後にナット6aを緩めて取り外すものである。
【0008】
内圧推力を打ち消すベローズ形伸縮継手(バランス形という)BT4の基本形を図13に示す。このベローズ形伸縮継手BT4は直管バランス・ストレート型、直管バランス・ティー型、曲管バランス・エルボ型の基本型であって、複数組のベローズ1A、1B、1Cを連結して、それらを個別に、または全体で一定間隔以内に保持するタイロッド7A、7Bを備える構成とされている。
【0009】
また、それぞれのタイロッドを装着するために、ガイドフランジ4Aと、これとは別に設ける第二ガイドフランジ4Bを備えている。
【0010】
従来、単式及び複式ベローズ形伸縮管継手におけるタイロッドは、ベローズの異常な伸びきりを予防するための安全装置の役割で通常はフリーの状態にしている。バランス形ベローズ形伸縮管継手においては、ベローズ間の力の伝達部品として機能している。
【0011】
内圧推力を打ち消す伸縮継手としての直管バランス・ストレート型は内部構造が複雑なので、軸直角方向には使えず、また、粉粒体やスラリー流体の配管には使えない。直管バランス・ティー型は軸直角方向に大きな突起物があり大きなスペースを必要とすることに加えて、突起部への流体を封入することから、封入を嫌う場合には使えない。曲管バランス・エルボ型は伸縮方向に対向する方向に指定される大きな突起物があり、その方向に大きなスペースを必要とする上に、突起部への流体を封入することから封入を嫌う場合には使えない。
【0012】
直管バランス・ストレート型は内部構造が凹凸のはめ込み式になっているので軸方向に限定して使用している。直管バランス・ティー型はストリーム側のベローズは単式のようにシンプルになり軸直角方向にも対応出来るが、ティー状の大きな突起物を必要とする。
曲管バランス・エルボ型も単式のようにシンプルになり軸直角方向にも対応出来るが、伸縮方向に対向する方向に長い突起物を必要とする。
【0013】
そのために、簡単な構成で内圧推力を打ち消す伸縮継手が求められており、例えば、作動側ベローズとバランス側ベローズとをテンションロッドを介して連結すると共に、テンションロッドの傾き方向に転動可能な座金を備えたエキスパンションベローズが既に出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【0014】
また、軸方向とこれに直交する二軸方向の三軸の過大変位を吸収するために、ベローズの中間外周部に設ける内側ガイドリンク外側ガイドリンクとを円弧状係合部を介して当接するようにし、フランジから突設するアームに設ける長孔部に外側ガイドリンクを摺動可能に保持するとしたベローズ形伸縮管継手が既に出願されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−14457号公報
【特許文献2】特開平10−141565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の単式及び複式のベローズ形伸縮継手においては、内圧推力とベロー反力により、アンカーポイントに大きな力が掛かる問題が生じる。
【0016】
また、複数のベローズを用いる圧力均衡形伸縮継手では、大型な装置となって、圧縮機出入口配管のような狭い場所には不向きである。特に内面が複雑であって、粉粒体やスラリー流体の配管装置としては不向きである。
【0017】
そのために、アンカーポイントに内圧推力を掛けない、内部構造のシンプルなコンパクトな構成の伸縮管継手が求められている。
【0018】
本発明の目的は、上記問題を解決するために、内圧推力に対抗する過大なアンカーを不要とし、内部構造がシンプルで、突起物がなく、軸直角方向にも使え、内圧推力を担保するベローズ形無推力伸縮管継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、ベローズを介して配管同士を接続し、ベローズの両端に連結する端管のベローズを挟む両側に設けるガイドフランジ同士を張架するタイロッドを複数備える伸縮管継手であって、前記タイロッドの両端を両側のガイドフランジを通過して延設し、この延設部に該延設部を嵌装する押圧力受け座部材を配設し、前記タイロッドの先端部に設けるナット部材により止着すると共に、前記押圧力受け座部材とガイドフランジとの間、および、前記押圧力受け座部材と前記端管との間に配設され、且つ、前記押圧力受け座部材とガイドフランジとの両部材に当接するよう付勢される押圧ガイド部材を介して、配管の伸縮によるガイドフランジの変位に拘わらずに、前記押圧ガイド部材と前記押圧力受け座部材との接触状態を維持して、内圧推力を常時タイロッドに担保させる推力担保手段を形成するベローズ形無推力伸縮管継手としたことを特徴としている。
【0020】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、配管の伸縮によって生じる内圧推力を、ガイドフランジ、押圧ガイド部材、押圧力受け座部材、ナット部材から形成される推力担保手段を介してタイロッドに伝達するので、内圧推力を常時タイロッドで確実に担保するベローズ形無推力伸縮管継手を得ることができる。
【0021】
請求項2に係る発明は、前記押圧力受け座部材が、中央部にタイロッド挿通孔を有し、端管に対向する側に前記押圧ガイド部材と当接する当接面を有していると共に、前記当接面を、ガイドフランジ表面から立ち上がり端管に向かう方向に傾斜した傾斜面として、該傾斜面とガイドフランジ表面とで形成される開口角度を鋭角にし、前記押圧ガイド部材に、前記傾斜面に当接する第一当接部とガイドフランジに当接する第二当接部を設け、該第二当接部を介してガイドフランジ表面を移動自在とすると共に、前記傾斜面に前記第一当接部を圧接する方向に付勢する付勢部材を配設したことを特徴としている。
【0022】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、配管の伸縮によりガイドフランジが変位しても、ガイドフランジ面と押圧力受け座部材の傾斜面との開口角度を鋭角とすることで、押圧ガイド部材をくさび状に食い込ませるように付勢し、ガイドフランジの変位を確実にタイロッドに伝達可能となって、内圧推力を常時タイロッドに担保させることができる。さらに、傾斜面で当接させるので、内圧推力の軸方向とは直交する方向の水平方向分力が小さくなって、タイロッドの大きさを適当な大きさとすることができる。
【0023】
請求項3に係る発明は、前記押圧力受け座部材を断面矩形の方形押圧力受け座とし、前記押圧ガイド部材を断面矩形の押圧ガイドブロックとし、前記端管の外周部のフランジとガイドフランジの間に設けるリブ部材を前記押圧ガイドブロックの両側面部をガイドする左右一対のガイド片を有するリブ部材とすると共に、前記方形押圧力受け座と前記押圧ガイドブロックとの当接部の側面部を凹凸の嵌め合い構成としたことを特徴としている。
【0024】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、配管の伸縮に応じて移動する押圧ガイドブロックをガイドすると共に、押圧ガイドブロックと方形押圧力受け座の両部材の回転を防止することができる。
【0025】
請求項4に係る発明は、前記押圧ガイドブロックの第二当接部の上部に段差を設けて付勢部材装着部を配設し、この付勢部材装着部の両側を前記ガイド片で覆い、さらに上部を覆うカバー部材を設けたことを特徴としている。
【0026】
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、付勢部材を作動領域に保持しておくことができ、付勢部材を適正に作動させることができる。
【0027】
請求項5に係る発明は、前記押圧ガイドブロックに該押圧ガイドブロックの変位に拘らずに前記タイロッドの挿通を許可する長孔状もしくはU字状の溝部を設け、前記方形押圧力受け座の頂部に球面状凹部を設けて、該球面状凹部に合致する球面座金を介装して前記ナット部材を止着し、前記方形押圧力受け座が前記タイロッドに対して偏芯可能としていることを特徴としている。
【0028】
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、配管の芯ズレに対しても対応可能となり、押圧ガイドブロックと方形押圧力受け座とを常に面接触状態に当接させることができる。
【0029】
請求項6に係る発明は、前記タイロッドの頂部同士を連結する張架部材を装着していることを特徴としている。
【0030】
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、円周上に複数設けるタイロッドを一体的に変位させることができ、一本の所定のタイロッドに掛かる負荷を軽減することができる。また、付勢部材の異常な付勢力からタイロッドを保護することができる。
【0031】
請求項7に係る発明は、前記リブ部材に、治具係止孔を有する治具係止部材を前記付勢部材装着部の両側に対向させて一対配設したことを特徴としている。
【0032】
上記の構成を有する請求項7に係る発明によれば、付勢力の強い付勢部材であっても、付勢部材と押圧ガイド部材と押圧力受け座部材とを一体的に押し込む治具を用いて、付勢部材を圧縮してタイロッドに容易に装着可能となる。
【0033】
請求項8に係る発明は、前記押圧ガイド部材をローラ状の押圧ガイドローラとし、前記押圧力受け座部材を前記押圧ガイドローラに対応した横長押圧力受け座とし、前記端管の外周部のフランジとガイドフランジの間の、前記タイロッドが配設される円周上の所定位置にアームリブを設け、前記タイロッドを前記アームリブに至る近辺まで延設すると共に、
前記アームリブに軸支される基端部と、前記タイロッドの先端部に連結されるアーム連結部と、前記ガイドフランジと前記タイロッドに装着する前記横長押圧力受け座との両方に当接するように付勢される前記押圧ガイドローラを支持する先端部とを備えるアーム部材を設け、配管の伸縮によって前記アームリブが移動すると前記アーム連結部を回転中心としてアーム部材が回動するリンク機構を形成し、該リンク機構を介して前記アーム部材の先端に設ける押圧ガイドローラが、前記ガイドフランジの変位量に拘わらずに前記横長押圧力受け座に当接して、内圧推力を常時タイロッドに担保させる推力担保手段を形成することを特徴としている。
【0034】
上記の構成を有する請求項8に係る発明によれば、配管の伸縮によって生じる内圧推力を推力担保手段を介してタイロッドに伝達するので、内圧推力を常時タイロッドで確実に担保することができる。
【0035】
請求項9に係る発明は、前記アーム部材が、前記アームリブおよび前記タイロッド先端を挟持するように相対向して設けるニ片のアーム部材からなっており、それぞれのアーム部材が、前記アームリブに回動自在に軸支される基端部と該基端部から配管の半径方向外側に延設され前記アーム連結部を有する第一アームと、該第一アームの先端側からベローズに向けてL型に屈曲する第二アームを有していると共に、それぞれの第二アームの先端部同士を貫通して連結する渡し板を設け、前記渡し板の両側にそれぞれ支持ロッドを緩合状態に、かつ球面座金を介して装着し、前記押圧ガイドローラの軸方向の両端部を二本の前記支持ロッドの先端に装着したことを特徴としている。
【0036】
上記の構成を有する請求項9に係る発明によれば、タイロッドが配設される円周上の所定位置の、端管のフランジとガイドフランジの間に設けるアームリブを挟む二片のアーム部材を用いているので、二片のアーム部材の中央にタイロッドが位置することになり、アーム部材の先端部に設ける押圧ガイドの圧力をタイロッドに容易に、また確実に伝達することができる。
【0037】
請求項10に係る発明は、前記支持ロッドの径よりも大きな径の挿通孔を介して前記押圧ガイドローラを摺動自在に装着すると共に、該押圧ガイドローラを前記渡し板方向に付勢するバネ部材を設け、前記押圧ガイドローラと前記渡し板との間に前記タイロッドを配置して、前記押圧ガイドローラと前記押圧力受け座との接触は許可するが前記タイロッドとの接触は許可しない切り込み部を前記押圧ガイドローラに設けたことを特徴としている。
【0038】
上記の構成を有する請求項10に係る発明によれば、押圧ガイドを常時タイロッド方向に付勢するバネ部材を介して、押圧ガイドが、ガイドフランジと押圧力受け座とに常時接する構成とすることができる。
【0039】
請求項11に係る発明は、前記タイロッド先端にエクステンション部材を装着して、該エクステンション部材に前記アーム部材を接続することを特徴としている。
【0040】
上記の構成を有する請求項11に係る発明によれば、配管設置時の初期状態において、エクステンション部材を介してアーム連結部位置を調節して、押圧ガイドをガイドフランジと押圧力受け座とに常時接するように配設することができる。
【0041】
請求項12に係る発明は、前記基端部と前記アーム連結部までのアーム長さよりも、前記アーム連結部から前記第二アームが屈曲して設けられている前記第一アームの先端側までのアーム長さを長くするリンク機構とすることで、配管の伸縮によるアームリブの移動変位を拡大して前記押圧ガイドを移動することを特徴としている。
【0042】
上記の構成を有する請求項12に係る発明によれば、配管の伸縮変位量を拡大して押圧ガイドを移動させることができるので、伸縮変位に敏感に対応可能なベローズ形無推力伸縮管継手となる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、ベローズ両側の端管の変位を利用して、内圧推力及びベローズ反力をタイロッドが常時担保する構成としたので、単式ベローズ形式にも拘わらず、過大なアンカーを不要とし、内部構造がシンプルで、突起物がなく、軸直角方向にも使え、内圧推力及びベロー反力を担保するベローズ形無推力伸縮管継手を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明に係るベローズ形無推力伸縮管継手の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
まず、図1から図7により本発明に係る第一実施形態のベローズ形無推力伸縮管継手BT1の構成について説明する。図1は全体の概略説明図であり、図2は図1のA−A矢視図を示し、図3には図1のB−B矢視図を示す。図4は要部拡大図であり、図5、図6には要部断面図を示し、図7に凹凸の嵌め合い構成を示す要部拡大図を示している。
【0046】
本発明に係る第一実施形態のベローズ形無推力伸縮管継手BT1は、図1に示すように、前述した従来の単式ベローズ形伸縮管継手BT3(図12参照)と同様に端管2、2間にベローズ1を介装して連結した構成であって、それぞれの端管2にはフランジ3とガイドフランジ4が設けられている。ガイドフランジ4は端管2に固着されており、両側のガイドフランジ4、4間にタイロッド7を複数張架している。
【0047】
端管2に接続される配管に伸縮が生じ長さが変位するとその変位が端管2を移動し、ガイドフランジ4が移動しようとする。本実施の形態においては、推力担保手段100を介して配管の伸縮により生じる内圧推力を常時タイロッド7に担保させる構成としたものである。
【0048】
推力担保手段100は、タイロッド7の先端部に設けるナット部材13、14とガイドフランジ4との間にタイロッド7を嵌装するように設けられる押圧力受け座部材10と該押圧力受け座部材10が備える当接面(傾斜面10a)と当接する第一当接部15aを有する押圧ガイド部材15と、該押圧ガイド部材15を前記押圧力受け座部材方向に付勢する付勢部材16を備える構成とされている。
【0049】
押圧ガイド部材15は、押圧力受け座部材10が備える当接面と当接する第一当接部15aと、ガイドフランジ4に当接する第二当接部15bを有しており、付勢部材16を介して前記第一当接部15aを常時当接面(傾斜面10a)に圧接する構成とされている。
【0050】
この際に、前記押圧力受け座部材10が、中央部にタイロッド挿通孔10d(図5参照)を有し、前記当接面として端管に対向する側に傾斜面10aを設け、該傾斜面10aと前記ガイドフランジ面とで形成される開口角度を鋭角にし、この鋭角な開口部に付勢部材16を介して前記押圧ガイド部材15を楔状に押し込むようにして、前記ガイドフランジ4の変位に拘わらずに、前記傾斜面10aに前記第一当接部15aを圧接する構成としている。
【0051】
また、前記傾斜面10aと前記第一当接部15aとの当接部の側面部を凹凸の嵌め合い構成とすることで、押圧力受け座部材10と押圧ガイド部材15とが回転せずに正しく確実に当接し、この当接した状態を維持することができる。この凹凸嵌め合い構成は、いずれか一方の部材に、他方の部材を嵌合して収容するガイド部を突出して設けることで構築することができる。
【0052】
上記した構成であれば、配管の伸縮により生じる内圧推力を、ガイドフランジ4から押圧ガイド部材15を介して、押圧力受け座部材10からナット部材13、14に伝達し、タイロッド7に担保させる構成となる。また、当接面を、ガイドフランジ表面から立ち上がり端管2に向かう方向に傾斜した傾斜面10aとしているので、内圧推力の軸方向とは直交する方向の水平方向分力が小さくなって、タイロッド7の大きさを適当な大きさとすることができる。
【0053】
この際に、傾斜面10aと第一当接部15aとの当接部と、第二当接部15bとガイドフランジ4との当接部とに低摩擦部材35(図4の想像線に示す)を装着して摺動容易な構成とすると、配管の収縮によってガイドフランジ4が変位しても、押圧ガイド部材15がガイドフランジ上を容易に摺動し、押圧力受け座部材10に確実に当接する構成となり好適である。
【0054】
また、図3に示すように、タイロッド7および推力担保手段100(100A、100B、100C、100D)を円周上4箇所に等配した構成としている。この配設する数量は円周上3箇所でも6箇所でもよく、配管のサイズと内圧推力の大きさによって適宜選択することができる。また、複数のタイロッド7と推力担保手段100とを、円周上等配して設けることで、内圧推力が配管の周囲全体で均等に負荷されることになって、異常な変形が生じずに好適である。
【0055】
この第一の実施形態では、前記押圧力受け座部材10を断面矩形の方形押圧力受け座(10A、10B)とし、前記押圧ガイド部材15を断面矩形の押圧ガイドブロック(15A、15B)としている。また、前記端管2の外周部のフランジ3とガイドフランジ4の間に設けるリブ部材として、前記押圧ガイドブロック(15A、15B)の側面をガイドする一対のガイド片を有するリブ部材5Aを設けると共に、前記方形押圧力受け座(10A、10B)と前記押圧ガイドブロック(15A、15B)との当接部の側面部を凹凸の嵌め合い構成としている。また、この凹凸嵌め合い構成としては、図3および図7(a)に示すように、側部にガイド部10bを備えて凹んだ中央の凹部に傾斜面10aを有する方形押圧力受け座10Aと、前記凹部に収容される大きさの押圧ガイドブロック15Aを用いることができる。また、図7(b)に示すように、側部にガイド部15dを備えて凹んだ中央の凹部に第一当接部15aを有する押圧ガイドブロック15Bと、前記凹部に収容される大きさの方形押圧力受け座10Bを用いることもできる。いずれの構成であっても、方形押圧力受け座と押圧ガイドブロックとを凹凸の嵌め合い構成とすることで、傾斜面10aと第一当接部15aとが当接する状態を維持して、方形押圧力受け座10A、10Bの回転を防止することができる。
【0056】
そのために、配管の伸縮に連動して押圧ガイド部材15(押圧ガイドブロック15A、15B)が半径方向に移動しても、押圧力受け座部材10(方形押圧力受け座10A、10B)と押圧ガイド部材15(押圧ガイドブロック15A、15B)とが回転せずに正しく確実に当接し、この当接した状態を維持することができる。ここで、8はリブ基部であって、該リブ基部8に一対のガイド片を固着してリブ部材5Aが形成されている。
【0057】
また、押圧ガイド部材15(押圧ガイドブロック15A、15B)と端管2の間に付勢部材16を配設しているが、このために第二当接部15bの上部に段差を設けて付勢部材装着部を配設している。この付勢部材装着部は、この両側を前述したガイド片を有するリブ部材5Aで覆い、さらに付勢部材16の上部をカバー部材17(図5、図6参照)で覆う構成としている。
【0058】
そのために、付勢部材16をこの付勢部材装着部に収納可能となり、種々のタイプの付勢部材16を採用して装着することが可能である。例えば、図5に示すコイルスプリング16Aを収納することも、図6に示す座屈板16Bを収納して使用することができる。
【0059】
また、その他の付勢部材や付勢装置を用いることも可能であって、付勢部材16のタイプを特に限定するものではない。
【0060】
いずれの方式であっても、ベローズ1の伸縮範囲の全領域に亘って、押圧ガイド部材15を押圧力受け座部材10方向に付勢し、常時当接させておく付勢部材16を装着しておくことが肝要となる。
【0061】
また、押圧ガイド部材15(押圧ガイドブロック15A、15B)に該押圧ガイド部材の変位に拘らずに前記タイロッド7の挿通を許可する長孔状もしくはU字状の溝部15c(図3、図7参照)を設け、押圧力受け座部材10の頂部に球面状凹部10c(図5参照)を設けて、該球面状凹部10cに合致する球面座金11を介装してナット部材13、14を止着する構成としている。ワッシャ12を介して、この二個のナット部材13、14を互いに締結することで、ナットの緩みを防止するロックナット状態に締結することができる。そのために、タイロッド挿通孔10dを介してタイロッド7に嵌装した状態で止着される押圧力受け座部材10(方形押圧力受け座10A、10B)が、タイロッド7に対して調芯可能となり、配管に多少の芯ズレが生じても、前記押圧力受け座部材10(方形押圧力受け座10A、10B)と押圧ガイド部材15(押圧ガイドブロック15A、15B)とが常に面接触する構成となる。
【0062】
さらに、図1、図2に示すように、前記タイロッド7の頂部に設ける連結部材21同士を連結する張架部材22を装着することで、円周上等配して複数設けられるタイロッド7を一体的に変位させることができ、一本の所定のタイロッドに掛かる負荷を軽減することができる。また、張架部材22にターンバックル23を配設すると、円周上の複数のタイロッドが相対互助となり、タイロッドの撓みを防止することが可能となる。
【0063】
上記したように、端管2の外周部に略等配して複数のタイロッド7を設けると共に、それぞれのタイロッド7に推力担保手段100(例えば、100A、100B、100C、100D)を介装し、さらに、球面座金11を介装する押圧力受け座部材10を備えるタイロッド7の頂部同士を、ターンバックル23を備える張架部材22で連結する構成としているので、付勢部材の異常な付勢力が生じても、複数のタイロッド7を一体的に変位させることができ、タイロッド7の破損を防止することができる。
【0064】
また、リブ部材5Aに、治具係止孔20aを有する耳状の治具係止部材20を前記付勢部材装着部の両側に対向させて一対配設している。この構成であれば、付勢力の強い付勢部材16であっても、治具係止孔20aに治具の一部を係止して(引っ掛けて)付勢部材16と押圧ガイド部材15と押圧力受け座部材10とを一体的に押し込む治具(不図示)を用いて、付勢部材16を圧縮して容易に組み付けることが可能となり、装置の組み付け作業を安全に行うことができる。この治具係止部材20は、リブ部材5Aを形成するガイド片もしくはリブ基部8のいずれかに、または両者に跨って固着することができる。
【0065】
次に、図8から図11により本発明に係る第二実施形態のベローズ形無推力伸縮管継手BT2の構成について説明する。図8は全体の概略説明図であり、図9は図8のC−C矢視図を示し、図10には図8のD−D矢視図を示している。
【0066】
本発明に係るベローズ形無推力伸縮管継手BT2も、前述したベローズ形無推力伸縮管継手BT1と同様に端管2、2間にベローズ1を介装して連結した構成であって、それぞれの端管2にはフランジ3とガイドフランジ4が設けられている。ガイドフランジ4は端管2に固着されており(必要に応じてリブ5を設ける)、両側のガイドフランジ4、4間にタイロッド7を張架している。
【0067】
端管2に接続される配管に伸縮が生じ長さが変位するとその変位が端管2を移動し、アームリブ3が移動しようとする。本実施の形態においては、この変位を利用して推力担保手段110を介してガイドフランジ4、4の変位をタイロッド7に伝達する構成としたものである。
【0068】
そのために、前記タイロッド7が配設される円周上の所定位置の、前記端管2のフランジ3とガイドフランジ4の間にアームリブ38を設け、前記タイロッド7を前記アームリブ38に至る近辺まで延設して、前記アームリブ38に軸支される端部39と、前記タイロッド7の先端部に連結されるアーム連結部40と、前記ガイドフランジ4と前記タイロッド7に装着する押圧力受け座51との両方に当接するように付勢される押圧ガイド14を支持する先端部とを備えるアーム部材41を設ける構成とした。
【0069】
また、配管の伸縮によってアームリブ38が移動するとアーム連結部40を回転中心としてアーム部材41が回動するリンク機構を形成し、該リンク機構を介して前記アーム部材41の先端に設ける押圧ガイド44が、ガイドフランジ4の変位をタイロッド7に伝達する構成とし、内圧推力を常時タイロッド7に担保させる推力担保手段110を形成する構成としている。
【0070】
この構成であれば、配管の伸縮によって生じる内圧推力を、推力担保手段110を介してタイロッド7に伝達するので、内圧推力を常時タイロッドで確実に担保することができる。また、内部構造が複雑でなく、突起物もないので、内筒30を設けることも可能である。
【0071】
さらに、この推力担保手段110を、配管の円周上の複数箇所に等配して設ける構成としている。例えば、円周上に等配して4箇所に設ける(図9、図10参照)配設数量は、配管のサイズによって異なり、大きな配管径であれば、4個以上例えば円周上に等配して6〜8箇所に設けてもよい。
【0072】
さらに、前記リンク機構が、配管の伸縮によるアームリブ38の移動変位を拡大して前記押圧ガイド44を移動するように、基端部39からアーム連結部40までのアーム長さT1と、アーム連結部40から前記第二アームが屈曲して設けられている前記第一アームの先端側までのアーム長さT2とのアーム比を1以上(好ましくは2倍以上で5倍以下)としている。
【0073】
この構成であれば、配管の伸縮変位量を拡大して押圧ガイド44を移動させることができ、伸縮変位に敏感に対応可能となる。
【0074】
また、アーム部材41は、アームリブ38およびタイロッド7先端を挟持するように相対向して設けるニ片のアーム部材41a、41bから構成されており、それぞれのアーム部材が、前記アームリブ38に回動自在に軸支される基端部39と該基端部39から配管の半径方向外側に延設され前記アーム連結部40を有する第一アーム111と、該第一アーム111からベローズに向けてL型に屈曲する第二アーム112を有している。
【0075】
さらに、それぞれの第二アーム112の先端部同士を貫通して連結する渡し板42を設け、前記渡し板42の両側にそれぞれ支持ロッド43を緩合状態に、かつ球面座金13a(図4参照)を介して装着し、押圧ガイド14をローラ状部材とし、該ローラ状部材の軸方向の両端部を二本の前記支持ロッド43の先端に装着している。
【0076】
また、押圧ガイド44の移動に拘らずに常時ガイドフランジ4および押圧力受け座51に当接するよう付勢手段を装着しているが、この構成について図11より詳細に説明する。
【0077】
図11(a)に示すように、推力担保手段110は、端管2に固定されたアームリブ38に枢止連結されるアーム部材41と、アーム部材41の先端部に装着する渡し板42と、渡し板42を貫通するように設ける支持ロッド43と、支持ロッド43の自由端側に装着されるローラ状の押圧ガイド44を備えている。
【0078】
前記押圧ガイド44が備える挿通孔は、前記支持ロッド43の径よりも少し大きな径としており、支持ロッド43に対して押圧ガイド44を摺動自在に装着している。さらに前記押圧ガイド44を前記渡し板42方向に付勢するバネ部材45を設け、前記押圧ガイド44と前記渡し板42との間に前記タイロッド7を配置して、前記押圧ガイド44と前記押圧力受け座51との接触は許可するが前記タイロッド7との接触は許可しない切り込み部44aを前記押圧ガイド44に設けている。
【0079】
また、タイロッド7先端にエクステンション部材50を装着して、該エクステンション部材にアーム部材41を接続する構成としている。つまり、エクステンション部材50と第一アーム111とをアーム連結部40にて枢止連結状態に接続している。エクステンション部材50を用いずに、タイロッド7の先端を延設してアーム連結部40を設ける構成としてもよいが、長さを調節可能とするエクステンション部材50を用いることで、装置サイズに応じた適当なタイロッド長さに調節可能となる。いずれにしても、タイロッド7とアーム部材とを枢止連結することで、アーム部材41はアーム連結部40を回転中心して回動自在である。さらに、タイロッド7の所定位置には、固定部材52を介して押圧力受け座51が装着されている。
【0080】
図11(b)に示すように、支持ロッド43の径よりも大きな径の取付孔42aに支持ロッド43を挿入すると共に、球面座金43aと球面ナット43bを介して支持ロッド43を装着することで、前記支持ロッド43は渡し板42に対して揺動可能となる。また、ナット43cと43dとで固定ナットを形成しており、所定の揺動範囲に設定して固定可能である。
【0081】
前記支持ロッド43の自由端側に装着される押圧ガイド44は、前記支持ロッドの径よりも大きな径の挿通孔を介して前記支持ロッド43に遊嵌されており、支持ロッド43の軸方向に摺動自在である。また、軸端に装着するバネ部材45と停止ナット45aにより支持ロッド43からの抜け出しが防止されている。さらに、支持ロッド43の自由端側がベローズ1から遠ざかるようにした姿勢で、押圧ガイド44がガイドフランジ4に当接する状態とし、バネ部材45の付勢力によって、押圧ガイド44がガイドフランジ4に押圧される構成としている。
【0082】
上記したように、支持ロッド43は球面座金と球面ナットを介して渡し板42に装着されているので、押圧ガイド44は、ガイドフランジ4との接触によって、負荷を確実に伝達可能であって、バネ部材45の付勢力による押圧力とリンク機構の変位による押圧力とにより負荷を伝達することができる。
【0083】
また、内圧推力の負荷をアンカーポイントに掛けないためには、前述したリンク機構のアーム長さ比と前記バネ部材45の付勢力を適当な範囲としておくことは明らかである。つまり、配管の伸縮によりアームリブ38が移動しても、バネ部材45の伸縮範囲内の変動域にあるような構成とすることが肝要である。
【0084】
押圧ガイド44を備える推力担保手段110として本実施の形態では、図9のC−C矢視図に示すように、四つの推力担保手段110A、110B、110C、110Dを円周上等配して設けている。また、アーム部材41は相対向して設けられるニ片のアーム部材41a、41bを有しており、基端部39にてアームリブ38に回動自在に軸支され、先端部に渡し板42が貫通して設けられている。
【0085】
アーム部材41a、41bを貫通して設けられている渡し板42の両側にそれぞれ支持ロッド43a、43bが装着されている。そして、この二本の支持ロッド43a、43bの先端部にローラ状の押圧ガイド44が装着されている。
【0086】
ローラ状の押圧ガイド44の中央部付近にタイロッド7が位置するので、このタイロッド7との干渉を避けるための切り込み部44aを設けている。また、タイロッド7との接触は許可しないが、前記押圧ガイド44と前記タイロッド7に装着された押圧力受け座51との接触は許可する程度の幅を有する切り込み部44aとすることで、ローラ状の押圧ガイド44がタイロッド7に近接しても、押圧ガイド44とタイロッド7とが直接接しない構成としている。さらに、タイロッド7の所定位置に押圧力受け座51を設けることで、ローラ状の押圧ガイド44が常時当接する構成としておくことが可能となる。そのために、配管が伸縮して、ベローズ1が収縮し、ガイドフランジ4が移動して、リンク機構が作用すると、押圧ガイド44が配管の半径方向外側に移動して、押圧力受け座51に押圧することで、ガイドフランジ4を介してタイロッド7に加圧力が負荷され、内圧推力を確実に担保することが可能となる。
【0087】
前記押圧力受け座51は、図中の想像線に示すように、ローラ状の押圧ガイド44の外形に相当する矩形状としている。しかし、特にその形状を限定するものではなく、円形の大きな受け座とすることも可能であって、ローラ状の前記押圧ガイド44に当接して力をタイロッド7に伝達する構成であればよい。
【0088】
さらに、ローラ状の押圧ガイド44と当接する面をローラ状外周に係合する傾斜面51aとし、この傾斜面51aとガイドフランジ面との開口角度を鋭角とすることで、押圧力受け座面とガイドフランジ4の面とがくさび型ガイドを形成し、ローラ状の押圧ガイド44が食い込む構成とすることができる。この構成であれば、内圧推力をタイロッド7が確実に担保可能となって、アンカーポイントに内圧推力が負担されず、ベローズ1が損傷することもない。
【0089】
また、前述したように、前記押圧ガイド44を押圧力受け座51に当接させる方向に付勢するバネ部材45を備えると共に、前記押圧ガイド44を支持ロッド43に球面座金43aと球面ナット43bを介して揺動可能に装着しているので、アームリブ38の位置に拘らずに、押圧ガイド44が、常時傾斜面51aとガイドフランジ4面に当接する構成としておくことができる。この構成であれば、端管2の変位、つまりガイドフランジ4の移動を前記押圧ガイド44を介して、常時タイロッド7に伝達し、内圧推力をタイロッド7が確実に担保可能となる。
【0090】
上記したように本発明によれば、押圧ガイド部材15と押圧力受け座部材10との接触状態を維持して、内圧推力を常時タイロッド7に担保させる推力担保手段100を備えるベローズ形無推力伸縮管継手BT1、あるいは、押圧ガイド44と押圧力受け座51との接触状態を維持して、内圧推力を常時タイロッド7に担保させる推力担保手段110を備えるベローズ形無推力伸縮管継手BT2としているので、いずれの方式であっても、押圧力受け座部材とガイドフランジとの両部材に当接するよう付勢される押圧ガイド部材を介して、配管の伸縮によるガイドフランジの変位に拘わらずに、前記押圧ガイド部材と前記押圧力受け座部材との接触状態を維持して、内圧推力を常時タイロッドに担保させる構成のベローズ形無推力伸縮管継手となる。
【0091】
そのために、いずれの構成のベローズ形無推力伸縮管継手であっても、単式ベローズ形式にも拘わらず、内圧推力はタイロッド7で引受けることから内圧推力に対抗する過大なアンカーが不要となり経済的であるといえる。また、内部構造が複雑で、突起物がないことから、大きなスペースを必要とせず、内筒30を設けることができ、粉粒体やスラリー流体にも使用可能となる。
【0092】
さらに、単式であることから軸直角方向にも使用することができ、従来のバランス式伸縮管継手において複数組必要であったベローズを一組で良くすることができる。そのために内部構造を単純化でき、粉粒体やスラリー流体にも使用可能なベローズ形無推力伸縮管継手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係るベローズ形無推力伸縮管継手の第一実施形態の概略説明図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】図3のC−C矢視図である。
【図5】図3のD−D矢視図である。
【図6】変形例を示す要部断面図である。
【図7】凹凸の嵌め合い構成を示す要部拡大図であって、(a)は凹状の方形押圧力受け座と、凸状の押圧ガイドブロックとの組み合わせを示し、(b)は凸状の方形押圧力受け座と、凹状の押圧ガイドブロックとの組み合わせを示している。
【図8】本発明に係るベローズ形無推力伸縮管継手の第二実施形態の概略説明図である。
【図9】図7のE−E矢視図である。
【図10】図7のF−F矢視図である。
【図11】推力担保手段の概略説明図であり、(a)は側面図を示し、(b)は要部拡大図を示している。
【図12】従来の単式ベローズ伸縮管継手の断面図である。
【図13】従来のバランス形のベローズ伸縮管継手の概略説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ベローズ
2 端管
3 フランジ
4 ガイドフランジ
7 タイロッド
10 押圧力受け座部材
10A、10B 方形押圧力受け座
10a 傾斜面(当接面)
15 押圧ガイド部材
15A、15B 押圧ガイドブロック
38 アームリブ
41 アーム部材
42 渡し板
43 支持ロッド
44 押圧ガイド
51 押圧力受け座
51a 傾斜面(当接面)
100 推力担保手段(第一実施形態)
110 推力担保手段(第二実施形態)
BT1 ベローズ形無推力伸縮管継手(第一実施形態)
BT2 ベローズ形無推力伸縮管継手(第二実施形態)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズを介して配管同士を接続し、ベローズの両端に連結する端管のベローズを挟む両側に設けるガイドフランジ同士を張架するタイロッドを複数備える伸縮管継手であって、
前記タイロッドの両端を両側のガイドフランジを通過して延設し、この延設部に該延設部を嵌装する押圧力受け座部材を配設し、前記タイロッドの先端部に設けるナット部材により止着すると共に、
前記押圧力受け座部材とガイドフランジとの間、および、前記押圧力受け座部材と前記端管との間に配設され、且つ、前記押圧力受け座部材とガイドフランジとの両部材に当接するよう付勢される押圧ガイド部材を介して、配管の伸縮によるガイドフランジの変位に拘わらずに、前記押圧ガイド部材と前記押圧力受け座部材との接触状態を維持して、内圧推力を常時タイロッドに担保させる推力担保手段を形成することを特徴とするベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項2】
前記押圧力受け座部材が、中央部にタイロッド挿通孔を有し、端管に対向する側に前記押圧ガイド部材と当接する当接面を有していると共に、前記当接面を、ガイドフランジ表面から立ち上がり端管に向かう方向に傾斜した傾斜面として、該傾斜面とガイドフランジ表面とで形成される開口角度を鋭角にし、
前記押圧ガイド部材に、前記傾斜面に当接する第一当接部とガイドフランジに当接する第二当接部を設け、該第二当接部を介してガイドフランジ表面を移動自在とすると共に、前記傾斜面に前記第一当接部を圧接する方向に付勢する付勢部材を配設したことを特徴とする請求項1に記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項3】
前記押圧力受け座部材を断面矩形の方形押圧力受け座とし、前記押圧ガイド部材を断面矩形の押圧ガイドブロックとし、前記端管の外周部のフランジとガイドフランジの間に設けるリブ部材を前記押圧ガイドブロックの両側面部をガイドする左右一対のガイド片を有するリブ部材とすると共に、前記方形押圧力受け座と前記押圧ガイドブロックとの当接部の側面部を凹凸の嵌め合い構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項4】
前記押圧ガイドブロックの第二当接部の上部に段差を設けて付勢部材装着部を配設し、この付勢部材装着部の両側を前記ガイド片で覆い、さらに上部を覆うカバー部材を設けたことを特徴とする請求項3に記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項5】
前記押圧ガイドブロックに該押圧ガイドブロックの変位に拘らずに前記タイロッドの挿通を許可する長孔状もしくはU字状の溝部を設け、前記方形押圧力受け座の頂部に球面状凹部を設けて、該球面状凹部に合致する球面座金を介装して前記ナット部材を止着し、前記方形押圧力受け座が前記タイロッドに対して偏芯可能としていることを特徴とする請求項3または4に記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項6】
前記タイロッドの頂部同士を連結する張架部材を装着していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項7】
前記リブ部材に、治具係止孔を有する治具係止部材を前記付勢部材装着部の両側に対向させて一対配設したことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項8】
前記押圧ガイド部材をローラ状の押圧ガイドローラとし、前記押圧力受け座部材を前記押圧ガイドローラに対応した横長押圧力受け座とし、前記端管の外周部のフランジとガイドフランジの間の、前記タイロッドが配設される円周上の所定位置にアームリブを設け、前記タイロッドを前記アームリブに至る近辺まで延設すると共に、
前記アームリブに軸支される基端部と、前記タイロッドの先端部に連結されるアーム連結部と、前記ガイドフランジと前記タイロッドに装着する前記横長押圧力受け座との両方に当接するように付勢される前記押圧ガイドローラを支持する先端部とを備えるアーム部材を設け、
配管の伸縮によって前記アームリブが移動すると前記アーム連結部を回転中心としてアーム部材が回動するリンク機構を形成し、該リンク機構を介して前記アーム部材の先端に設ける押圧ガイドローラが、前記ガイドフランジの変位量に拘わらずに前記横長押圧力受け座に当接して、内圧推力を常時タイロッドに担保させる推力担保手段を形成することを特徴とする請求項2に記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項9】
前記アーム部材が、前記アームリブおよび前記タイロッド先端を挟持するように相対向して設けるニ片のアーム部材からなっており、それぞれのアーム部材が、前記アームリブに回動自在に軸支される基端部と該基端部から配管の半径方向外側に延設され前記アーム連結部を有する第一アームと、該第一アームの先端側からベローズに向けてL型に屈曲する第二アームを有していると共に、
それぞれの第二アームの先端部同士を貫通して連結する渡し板を設け、前記渡し板の両側にそれぞれ支持ロッドを緩合状態に、かつ球面座金を介して装着し、
前記押圧ガイドローラの軸方向の両端部を二本の前記支持ロッドの先端に装着したことを特徴とする請求項8に記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項10】
前記支持ロッドの径よりも大きな径の挿通孔を介して前記押圧ガイドローラを摺動自在に装着すると共に、該押圧ガイドローラを前記渡し板方向に付勢するバネ部材を設け、前記押圧ガイドローラと前記渡し板との間に前記タイロッドを配置して、前記押圧ガイドローラと前記押圧力受け座との接触は許可するが前記タイロッドとの接触は許可しない切り込み部を前記押圧ガイドローラに設けたことを特徴とする請求項8または9に記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項11】
前記タイロッド先端にエクステンション部材を装着して、該エクステンション部材に前記アーム部材を接続することを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のベローズ形無推力伸縮管継手。
【請求項12】
前記基端部と前記アーム連結部までのアーム長さよりも、前記アーム連結部から前記第二アームが屈曲して設けられている前記第一アームの先端側までのアーム長さを長くするリンク機構とすることで、配管の伸縮によるアームリブの移動変位を拡大して前記押圧ガイドを移動することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のベローズ形無推力伸縮管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−215607(P2008−215607A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149122(P2007−149122)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(507045409)
【Fターム(参考)】