説明

ベンゾクロメン誘導体

本発明は、式(I)


式中、種々のパラメーターは、明細書中に引用した通りの意味を有する、
で表されるベンゾクロメン誘導体、これらの化合物を含む液晶媒体、およびこれらの媒体の電気光学的ディスプレイ、特にVAN LCDにおける使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾクロメン誘導体、好ましくはメソゲン性ベンゾクロメン誘導体、特に液晶ベンゾクロメン誘導体および、これらのベンゾクロメン誘導体を含む液晶媒体に関する。本発明はさらに、液晶ディスプレイ、特にアクティブマトリックスによりアドレスされた液晶ディスプレイ(AMDまたはAM LCD(「アクティブマトリックスアドレス液晶ディスプレイ」)および極めて特にいわゆるVAN(「垂直配向ネマティック」)液晶ディスプレイ、ECB(「電気的に制御された複屈折」)液晶ディスプレイの態様に関し、ここで負の誘電異方性(Δε)を有するネマティック液晶を用いる。
【0002】
このタイプの液晶ディスプレイにおいて、液晶は、光学特性が電圧を印加する際に可逆的に変化する誘電体として用いられている。液晶を媒体として用いる電気光学的ディスプレイは、当業者に知られている。これらの液晶ディスプレイは、種々の電気光学的効果を用いる。これらの最も一般的なものは、液晶ダイレクターの均一であり、事実上平面状の初期配向および約90°ねじれたネマティック構造を有するTN(「ねじれネマティック」)効果、180°またはこれ以上ねじれたネマティック構造を有するSTN(「超ねじれネマティック」)効果およびSBE(「超ねじれ複屈折効果」)効果である。これらのおよび同様の電気光学的効果において、正の誘電異方性(Δε)を有する液晶媒体が用いられる。
【0003】
正の誘電異方性を有する液晶媒体を必要とする前述の電気光学的効果に加えて、負の誘電異方性を有する液晶媒体を用いる他の電気光学的効果、例えばECB効果およびこの従属形態DAP(「配向相の変形」)、VANおよびCSH(「色超ホメオトロピック」)がある。
【0004】
コントラストの優れた低い視野角依存性を有する電気光学的効果は、軸対称マイクロ画素(micropixel)(ASM)を用いる。この効果において、各々の画素における液晶は、ポリマー材料により円筒形状に包囲されている。この方式は、プラズマチャネルによるアドレッシングとの組み合わせに特に適する。従って、特に、コントラストの良好な視野角依存性を有する大面積PA(「プラズマアドレス」)LCDを、達成することができる。
【0005】
近年ますます用いられているIPS(「面内切換」)効果は、用いられるディスプレイモードに依存して、誘電的に正の、または誘電的に負の媒体のいずれかにおいて染料を用いることができるゲスト/ホストディスプレイと同様に、誘電的に正の、および誘電的に負の液晶媒体を共に用いることができる。
【0006】
一般的な液晶ディスプレイにおける、即ちこれらの効果に基づくディスプレイにおけるのを含む動作電圧が、可能な限り低くなければならないため、誘電異方性の大きい絶対値を有する液晶媒体を用い、これは、一般的に主に、および通常さらに極めて実質的に、対応する符号を有する誘電異方性を有する液晶化合物からなり、即ち誘電的に正の媒体の場合において正の誘電異方性を有する化合物および、誘電的に負の媒体の場合において負の誘電異方性を有する化合物からなる。(誘電的に正の、または誘電的に負の)媒体のそれぞれのタイプにおいて、多くとも顕著な量の誘電的に中性の液晶化合物が、典型的に用いられる。媒体の誘電異方性と反対の誘電異方性の符号を有する液晶化合物が、一般的に、極めて少量で用いられるか、または完全に用いられない。
【0007】
ここでの例外は、MIM(「金属−絶縁体−金属」)ディスプレイのための液晶媒体により形成され(Simmons, J G., Phys. Rev. 155 No.3, 657〜660頁およびNiwa, J.G. et al., SID 84 Digest, 304〜307頁、1984年6月)、ここで、液晶媒体は、薄膜トランジスタのアクティブマトリックスによりアドレスされる。ダイオード切換の非線形特性曲線を用いる、このタイプのアドレッシングにおいて、TFTディスプレイとは対照的に、蓄電キャパシタを、液晶ディスプレイ素子(画素)の電極と共に充電することは、可能ではない。従って、アドレッシングサイクルの間の電圧降下の効果の低下には、誘電定数の最も高い可能な基礎的な値が必要である。従って、例えばMIM−TNディスプレイにおいて用いられているように、誘電的に正の媒体において、分子軸に垂直な誘電定数(ε)は、可能な限り大きくなければならない。その理由は、これにより、画素の基礎的なキャパシタンスが決定されるからである。このために、例えばWO 93/01253、EP 0 663 502およびDE 195 21 483に記載されているように、負の誘電異方性を有する化合物を、誘電的に正の液晶媒体において、誘電的に正の化合物に加えて同時に用いる。
【0008】
他の例外は、例えばDE 41 00 287において、誘電的に負の液晶化合物を含む誘電的に正の液晶媒体が、電気光学的特性曲線の急峻度を増大させるために用いられている、STNディスプレイにより形成される。
液晶ディスプレイの画素を、直接、時間的に連続して、即ち時間マルチプレックスモードで、または非線形電気特性曲線を有するアクティブ素子のマトリックスにより、アドレスすることができる。
【0009】
今日まで最も一般的なAMDは、別個のアクティブ電子切換素子、例えば三極切換素子、例えばMOS(「金属酸化物ケイ素」)トランジスタもしくは薄膜トランジスタ(TFT)またはバリスターあるいは二極切換素子、例えばMIM(「金属絶縁体金属」)ダイオード、環状ダイオードまたは背面ダイオードを用いる。TFTにおいて、種々の半導体材料、主にケイ素、しかしまたセレン化カドミウムを用いる。特に、非晶質ケイ素または多結晶質ケイ素を用いる。
【0010】
本出願において、好ましいのは、液晶層に垂直な電場を有する液晶ディスプレイおよび負の誘電異方性(Δε<0)を有する液晶媒体である。これらのディスプレイにおいて、液晶の端部配向は、ホメオトロピックである。完全に接続された状態において、即ち対応して高い電圧を印加する際に、液晶ダイレクターは、層平面に平行に配向する。
【0011】

【化1】

式中
−X−Y−は、−CO−O−または−O−CO−である、
で表される環状ラクトンは、JP 2001-026 587 (A)に開示されている。これらの化合物は、広いスメクティック相により特徴づけられ、JP 2001-026 587 (A)における強誘電液晶混合物において用いるために提案されている。
【0012】
米国特許第5,648,021号には、式
【化2】

で表されるフッ素化フェナントレンおよび式
【化3】

で表されるフッ素化9,10−ジヒドロフェナントレンが開示されている。
これらはまた、広いスメクティック相を有し、同様に強誘電液晶混合物において用いるために提案されている。
【0013】
DE 100 64 995には、式
【化4】

式中、
およびLは、各々、互いに独立して、HまたはFである、
で表されるフッ素化フェナントレンが提示されており、これらを、ネマティック液晶混合物において、特にECBディスプレイのために用いることが提案されている。LおよびLが共にHであり、1つのアルキル末端基および1つのアルコキシ末端基を含む例の化合物は、わずかにのみ負のΔεを有し、一方LおよびLが共にFであり、1つのアルコキシ末端基を含む例の化合物は、一層大きく負のΔεを有するが、一般的には、一層大きい回転粘度、顕著に低い溶解性およびさらにほとんどの場合において不適切なUV安定性を有する。
【0014】
従って、他のメソゲン性化合物に対する要求およびまた特に、誘電異方性の大きい絶対値、特定の用途に対応する光学異方性(Δn)の値、広いネマティック相、UV、熱および電圧に対する良好な安定性並びに低い回転粘度を有する、負の誘電異方性を有する液晶媒体についての要求の両方があることが、明らかである。
【0015】
このことは、本発明における式I
【化5】

式中、
Yは、−CO−、−CS−、−CH−、−CF−または−CHF−、好ましくは−CF−であり、
およびLは、各々、互いに独立して、H、F、Clまたは−CN、好ましくはHまたはFであり、好ましくはLおよびLの少なくとも一方がFであり、特に好ましくはLおよびLは、共にFであり、
【0016】
【化6】

は、各々、互いに独立して、および1回よりも多く存在する場合には、また互いに独立して、
(a)さらに1つもしくは2つの隣接していないCH基が、−O−および/または−S−により置換されていてもよい、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、
(b)1,4−シクロヘキセニレン基、
(c)さらに1つもしくは2つの隣接していないCH基が、Nにより置換されていてもよい、1,4−フェニレン基、または
(d)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、1,3−ビシクロ[1.1.1]ペンチレン、スピロ[3.3]ヘプタン−2,4−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群から選択された基、
好ましくは
【化7】

であり、
【0017】
およびRは、各々、互いに独立して、H、ハロゲン、−CN、−SCN、−SF、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHFあるいは、CNもしくはCFにより単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されており、ここでさらに、1つまたは2つ以上のCH基が、各々、互いに独立して、O原子もS原子も、互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、
【化8】

−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−により置換されていてもよい、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基であり、
好ましくは、RおよびRの1つは、1〜12個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシ、2〜12個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルもしくはアルケニルオキシであり、他方は、第1のものと独立して、同様に1〜12個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシ、2〜12個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルもしくはアルケニルオキシであるか、または、あるいはまた、F、Cl、Br、−CN、−SCN、−SF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFもしくは−OCHFであり、
【0018】
およびZは、各々、互いに独立して、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、単結合またはこれらの基の2つの組み合わせであり、ここで、2つのO原子はいずれも、互いに結合しておらず、
好ましくは、−(CH−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHO−、−CFO−または単結合であり、
特に好ましくは、−CHO−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF=CF−、−CFO−または単結合であり、
【0019】
nおよびmは、各々0、1または2であり、ここで、
n+mは、0、1、2または3、好ましくは0、1または2、特に好ましくは0または1であり、
ただし、Yが−CO−である場合には、LおよびLの少なくとも1つは、Hではない、
で表されるメソゲン性化合物を用いることにより、達成される。
【0020】
特に好ましいのは、従属式I−1〜I−3
【化9】

式中、パラメーターは、式Iの下に前に定義した通りであり、
およびLは、好ましくは共にFである、
で表される式Iで表される液晶化合物である。
【0021】
好ましいのは、好ましくは式I−1〜I−3で表され、式中
n+mの合計が0または1、好ましくは0である
化合物からなる群から選択された、式Iで表される化合物である。
【0022】
好ましい態様は、式Iで表され、式中、合計n+mが1であり、好ましくは、
mまたはnが、1であり、
【化10】

が、
【化11】

であり、
が、好ましくは、−(CH−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−O−CH−、−O−CF−または単結合であり、
特に好ましくは、−O−CH−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF=CF−、−O−CF−または単結合であり、
、L、RおよびRが、式Iの下に上記で定義した通りであり、LおよびLが、好ましくは共にFである化合物により表される。
【0023】
特に好ましいのは、好ましくは、式I−1〜I−3で表され、式中
nおよびmが、共に0であり、
、L、RおよびRが、対応する式の下に上記で定義した通りであり、LおよびLが、好ましくは共にFである化合物からなる群から選択された、式Iで表される化合物である。
【0024】
分枝した翼基Rおよび/またはRを含む、式Iで表される化合物は、時々、通常の液晶ベース材料への一層良好な溶解性のために、しかしこれらが光学的に活性である場合には、特にキラルなドーパントとして、重要であり得る。このタイプのスメクティック化合物は、強誘電材料の成分として適する。S相を有する式Iで表される化合物は、例えば熱的にアドレスされたディスプレイに適する。
【0025】
および/またはRが、アルキル基および/またはアルコキシ基である場合には、これは、直鎖状または分枝状であってもよい。これは、好ましくは、直鎖状であり、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシ、さらにメチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシである。
【0026】
オキサアルキルまたはアルコキシアルキルは、好ましくは、直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0027】
および/またはRが、1つのCH基が−CH=CH−により置換されているアルキル基である場合には、これは、直鎖状であるかまたは分枝状であってもよい。これは、好ましくは、直鎖状であり、2〜10個の炭素原子を有する。従って、これは、特に、ビニル、プロプ−1−もしくは−2−エニル、ブト−1−、−2−もしくは−3−エニル、ペント−1−、−2−、−3−もしくは−4−エニル、ヘクス−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−エニル、ヘプト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−エニル、オクト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−もしくは−7−エニル、ノン−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−エニルまたはデク−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−もしくは−9−エニルである。
【0028】
および/またはRが、1つのCH基が−O−により置換されており、1つが−CO−により置換されているアルキル基である場合には、これらは、好ましくは隣接している。従って、これらは、アシルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を含む。これらは、好ましくは直鎖状であり、2〜6個の炭素原子を有する。従って、これらは、特に、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0029】
および/またはRが、1つのCH基が非置換または置換−CH=CH−により置換されており、隣接するCH基がCOまたはCO−OまたはO−COにより置換されているアルキル基である場合には、これは、直鎖状または分枝状であってもよい。これは、好ましくは、直鎖状であり、4〜13個の炭素原子を有する。従って、これは、特に、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、10−アクリロイルオキシデシル、メタクリロイルオキシメチル、2−メタクリロイルオキシエチル、3−メタクリロイルオキシプロピル、4−メタクリロイルオキシブチル、5−メタクリロイルオキシペンチル、6−メタクリロイルオキシヘキシル、7−メタクリロイルオキシヘプチル、8−メタクリロイルオキシオクチルまたは9−メタクリロイルオキシノニルである。
【0030】
および/またはRが、CNまたはCFにより単置換されているアルキルまたはアルケニル基である場合には、この基は、好ましくは直鎖状である。CNまたはCFによる置換は、任意の所望の位置においてである。
【0031】
および/またはRが、ハロゲンにより少なくとも単置換されているアルキルまたはアルケニル基である場合には、この基は、好ましくは直鎖状であり、ハロゲンは、好ましくはFまたはClである。多置換の場合において、ハロゲンは、好ましくはFである。得られた基はまた、パーフルオロ基を含む。単置換の場合において、フッ素または塩素置換基は、任意の所望の位置においてとすることができるが、好ましくはω位においてである。
【0032】
分枝状基は、一般的に、1つより多くない鎖分枝を含む。好ましい分枝状基Rは、イソプロピル、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、イソブチル(=2−メチルプロピル)、2−メチルブチル、イソペンチル(=3−メチルブチル)、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシおよび1−メチルヘプチルオキシである。
【0033】
および/またはRが、2つまたは3つ以上のCH基が−O−および/または−CO−O−により置換されているアルキル基である場合には、これは、直鎖状または分枝状であってもよい。これは、好ましくは、分枝状であり、3〜12個の炭素原子を有する。従って、これは、特に、ビスカルボキシメチル、2,2−ビスカルボキシエチル、3,3−ビスカルボキシプロピル、4,4−ビスカルボキシブチル、5,5−ビスカルボキシペンチル、6,6−ビスカルボキシヘキシル、7,7−ビスカルボキシヘプチル、8,8−ビスカルボキシオクチル、9,9−ビスカルボキシノニル、10,10−ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(メトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6−ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7−ビス(メトキシカルボニル)ヘプチル、8,8−ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(エトキシカルボニル)ブチルまたは5,5−ビス(エトキシカルボニル)ヘキシルである。
【0034】
特に好ましいのは、式Iで表され、式中n=0または1であり、m=0であり、Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニルまたは1E−ペンテニルである化合物、およびこれらの化合物を含む媒体である。これらの化合物の中で、アルキル置換化合物を、特に好ましく用いる。
式Iで表される化合物は、以下のスキーム(スキームI〜XX)に従って調製される。
【0035】
環状ラクトンを、スキームIに従って、好適な方式でハロゲン化したアリールフェニルエステルの分子内環化により、ウルマン(Ullmann)タイプのカップリング反応により、調製することができる(Houben Weyl, Methoden der Organischen Chemie[有機化学の方法]、New York, 1993)。あるいはまた、これらを、スキームIIおよびスキームIIIに示すように、パラジウムで触媒された分子内クロスカップリング反応により、得ることができる。
【0036】
あるいはまた、スキームIIIaに示すように、ネギシ(Negishi)反応の例を用いて、クロスカップリングをまた、第1の段階で、対応して保護されたフェノール類およびカルボン酸エステル類を用いて行うことができる(Negishi, E. et al., J. Org. Chem. (1977) 42, 1821〜1823頁)。
スキームI
【化12】

式中、スキームIa〜Id、II、III、IIIa、IV〜XXと同様にして、他に明白に述べない限り、
RおよびR’は、各々、互いに独立して、式Iの下に
【化13】

について上記で定義した通りであり、
Halは、ハロゲン、好ましくはBrまたはIである。
A:Hasan, I. et al., Chem. Rev. (2002), 102, 1359〜1469頁、
B:Hennings, D.D. et al., Org. Lett. (1999), 1, 1205〜1208頁。
【0037】
エステル前駆体を、標準的な反応(Houben-Weyl)により、商業的に入手できる4−ブロモ−3−フルオロ−1−ヨードベンゼンから、または(R=メチルである場合には、4−ブロモ−2−フルオロトルエンもしくは4−ブロモ−2−フルオロフェノール(ABCR, Karlsruhe, Germany)から)合成する。
アルキル側鎖を、有利には、スキームIaに示すように、ソノガシラ(Sonogashira)カップリングにより、前駆体中に導入する。
アルコキシ側鎖を含む前駆体は、有利には、スキームIbに従って得られる。
【0038】
スキームIaまたはIbに従って得られた中間体の2種のタイプを、アルキル化合物についての例によりスキームIcに示すように、フェノールまたはカルボン酸のいずれかに変換し、その後エステル化することができる。
【0039】
スキームIa
【化14】

スキームIb
【化15】

スキームIc
【化16】

【0040】
ブロモフェノールを、その後のスズキ(Suzuki)カップリングのために、スキームIdに従って保護し、ボロン酸に変換することができる。
スキームId
【化17】

スキームII
【化18】

C:Bringmann, G. et al., Org. Synth. (2002), 79, 72〜83頁。
スキームIII
【化19】

D:Alo, B.I. et al., J. Org. Chem. (1991), 56, 3763〜3768頁。
【0041】
ラクトン類(1a)を、スキームIVに示すように、EP 1 061 113と同様にして、ベンゾクロメン類(1b)に、または、あるいはまた、ラウェソン(Lawesson)の試薬を用いて、続いてDASTとの反応により、ジフルオロベンゾクロメン類(1c)に変換することができる(Bunelle, W.H. et al., J. Org. Chem. (1990), 55, 768〜770頁)。
【0042】
あるいはまた、ラクトン類(1a)を、スキームV(Ringom, R. and Bennecke, T., Acta. Chem. Scand. (1999), 53, 41〜47頁)に従って、THF中のLiAlHと反応させ、その後DASTと反応させて、フルオロベンゾクロメン類(1d)を得ることができる。
【0043】
クロスカップリングを最初の段階において、対応して保護されたフェノール類およびカルボン酸エステル類を用いて行う、前述の代替の合成を、16頁のスキームIIIaに、ネギシ反応の例を用いて示す。
【0044】
スキームIIIa
【化20】

式中、
PGは、保護基であり、
Xは、ハロゲン、好ましくはBrであり、
およびXは、互いに独立して、ハロゲンであり、
は、好ましくはCl、BrまたはI、特に好ましくはBrまたはI、極めて特に好ましくはBrであり、
R”は、アルキル、好ましくはメチルであり、
RおよびR’は、各々、互いに独立して、スキームIについて上記で定義した通りである。
【0045】
保護基の除去の後に、ラクトンを、例えば、不活性溶媒中で単に加熱することにより、または酸もしくは塩基で処理することにより、得ることができる。
スキームIV
【化21】

スキームV
【化22】

【0046】
式Iで表され、式中
【化23】

がR、R
【化24】

であり、ここで、
【化25】

環がまた複素環式環であってもよい化合物を、スキームVI〜XXに従って得ることができる。
【0047】
スキームVI
【化26】

スキームVII
【化27】

スキームVIII
【化28】

スキームIX
【化29】

【0048】
4−ブロモ−3−フルオロ−1−ヨードベンゼンおよび4−ブロモ−2−フルオロフェノールは、同様に、スキームI〜Vに示す反応順序と同様にして、対応する標的化合物に変換することができる多種の誘導体のための合成的な成分として適する。
【0049】
シクロヘキシル誘導体は、例えば、スキームXに従って得られる。4−ブロモ−3−フルオロ−1−ヨードベンゼンのn−ブチルリチウムを用いた金属化(metallation)およびシクロヘキサノン類上への付加により、フェニルシクロヘキサノール類が得られ、これから、4−ブロモ−2−フルオロ−1−シクロヘキシルベンゼン誘導体が、水の除去および水素添加の後に得られる。
スキームX
【化30】

【0050】
アリール誘導体が、例えば、スキームXIに従って得られる。4−ブロモ−3−フルオロ−1−ヨードベンゼンの対応するボロン酸での直接的なスズキカップリングにより、1−アリール−4−ブロモ−2−フルオロ誘導体の調製が可能である。
スキームXI
【化31】

【0051】
4−ブロモ−3−フルオロ−1−ヨードベンゼンのフェニルアセチレン類でのソノガシラカップリングにより、スキームXIIに示すように、4−ブロモ−2−フルオロトランが得られる。これらは、スキームXIIIに示すように、水素添加してエチレン架橋化合物を得るか、またはV.O. Rogatchov, V.D. Filimonov, M.S. Yusubov, Synthesis (2001), 7, 1001-1003の方法により、ジケトン類に変換し、これから、テトラフルオロエチレン架橋化合物を、四フッ化硫黄との反応により得ることができる。
スキームXII
【化32】

スキームXIII
【化33】

【0052】
4−ブロモ−2−フルオロフェノールから、ヒドロキシル化合物およびトリフレート類を、スキームXIVに従って、合成的な成分として得ることができる。4−ブロモ−2−フルオロフェノールを、ここで、好適な保護基「PG」(例えばベンジル)を用いて保護し;スキームI〜Vによる対応する反応およびその後の保護基の除去(例えばPGとしてベンジルについての水素添加により)により、フェノール類およびこれらからのトリフレート類(トリフルオロメタンスルホン酸類、TfO−)の調製が可能である。
【0053】
スキームXIV
【化34】

式中、スキームXV〜XXにおけるように、
Gは、Y−OまたはO−Yであり、
Yは、式Iの下に上記で定義した通りである。
【0054】
このようにして得られたフェノール類を、スキームXVに従ってエステル類およびエーテル類に変換することができる。
スキームXV
【化35】

式中、Rは、スキームXVI〜XXと同様に、式Iの下にRについて定義した通りである。
【0055】
CFO架橋化合物は、スキームXVIに示すように、WO 02/48 073およびWO 01/64 667に従って得られる。
スキームXVI
【化36】

【0056】
スキームXIVに従って得られたトリフレート類の、エテンボロン酸とのスズキカップリングにより、スチルベン類の調製が可能である(スキームXVII)。
スキームXVII
【化37】

【0057】
ジフルオロスチルベン類は、L. Lu, D. J. Burton, Tetrahedron Lett. 1997, 38, 7673-7676により記載されているように、スティレ(Stille)反応により同様に入手可能である(スキームXVIII)。
スキームXVIII
【化38】

【0058】
S. Cacchi, P.G. Ciattini, E. Morera, G. Ortar, Tetrahedron Lett. (1986), 27, 3931-3934の方法によるトリフレート類のカルボニル化により、カルボン酸エステル類(スキームXIX)が得られる。対応するカルボン酸類への鹸化の後に、このフェノール類との反応により、例えばフェニルエステル類の調製が可能である。
スキームXIX
【化39】

【0059】
スキームXIXに従って得られたカルボン酸エステル類を、スキームXXに示すように、WO 02/480 73およびWO 01/64 667に従って、ジフルオロベンジルエーテル類に変換することができる。
スキームXX
【化40】

【0060】
式Iで表され、式中RおよびR’が、それぞれ式Iの下でRおよびRについて示したそれぞれの意味を有する好ましい化合物の構造の例を、以下の頁に示す。
【0061】
【化41】

【0062】
【化42】

【0063】
【化43】

【0064】
【化44】

【0065】
【化45】

【0066】
【化46】

【0067】
【化47】

【0068】
【化48】

【0069】
【化49】

【0070】
【化50】

【0071】
【化51】

【0072】
【化52】

【0073】
【化53】

【0074】
【化54】

【0075】
【化55】

【0076】
【化56】

【0077】
本発明の液晶媒体は、1種または2種以上の式Iで表される化合物を含む。
【0078】
好ましい態様において、本発明の液晶媒体は、以下のものを含む。
a)式I
【化57】

式中、
Yは、−CO−、−CS−、−CH−、−CF−または−CHF−、好ましくは−CF−であり、
およびLは、各々、互いに独立して、H、F、Clまたは−CN、好ましくはHまたはFであり、好ましくはLおよびLの少なくとも一方がFであり、特に好ましくはLおよびLは、共にFであり、
【0079】
【化58】

は、各々、互いに独立して、および1回よりも多く存在する場合には、また互いに独立して、
(a)さらに1つもしくは2つの隣接していないCH基が、−O−および/または−S−により置換されていてもよい、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、
(b)1,4−シクロヘキセニレン基、
(c)さらに1つもしくは2つの隣接していないCH基が、Nにより置換されていてもよい、1,4−フェニレン基、または
(d)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、1,3−ビシクロ[1.1.1]ペンチレン、スピロ[3.3]ヘプタン−2,4−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群から選択された基、
好ましくは
【化59】

であり、
【0080】
およびRは、各々、互いに独立して、H、ハロゲン、−CN、−SCN、−SF、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHFあるいは、CNもしくはCFにより単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されており、ここでさらに、1つまたは2つ以上のCH基が、各々、互いに独立して、O原子もS原子も、互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、
【化60】

−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−により置換されていてもよい、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基であり、
好ましくは、RおよびRの1つは、1〜12個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシ、2〜12個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルもしくはアルケニルオキシであり、他方は、第1のものと独立して、同様に1〜12個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシ、2〜12個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルもしくはアルケニルオキシであるか、または、あるいはまた、F、Cl、Br、−CN、−SCN、−SF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFもしくは−OCHFであり、
【0081】
およびZは、各々、互いに独立して、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、単結合またはこれらの基の2つの組み合わせであり、ここで、2つのO原子はいずれも、互いに結合しておらず、
好ましくは、−(CH−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHO−、−CFO−または単結合であり、
特に好ましくは、−CHO−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF=CF−、−CFO−または単結合であり、
【0082】
nおよびmは、各々0、1または2であり、ここで、
n+mは、0、1、2または3、好ましくは0、1または2、特に好ましくは0または1である、
で表される1種または2種以上の誘電的に負の化合物、
【0083】
b)式II
【化61】

式中、
21およびR22は、各々、互いに独立して、式Iの下でRについて上記で定義した通りであり、
21およびZ22は、各々、互いに独立して、式Iの下でZについて上記で定義した通りであり、
【0084】
存在する環の少なくとも一方
【化62】

好ましくは
【化63】

は、
【化64】

であり、他方は、各々、互いに独立して、
【化65】

好ましくは
【化66】

であり、
【0085】
特に好ましくは、
【化67】

は、
【化68】

であり、
【化69】

は、存在する場合には、
【化70】

であり、
極めて特に好ましくは、
【化71】

および存在する場合には、
【化72】

の1つは、
【化73】

好ましくは
【化74】

であり、
【0086】
21およびL22は、共にC−Fであるか、または2つのうちの一方がNであり、他方がC−Fであり、好ましくは共にC−Fであり、
lは、0、1または2、好ましくは0または1である、
で表される1種または2種以上の誘電的に負の化合物;
並びに随意に
【0087】
c)式III
【化75】

式中、
31およびR32は、各々、互いに独立して、式Iの下でRについて上記で定義した通りであり、
31、Z32およびZ33は、各々、互いに独立して、−CHCH−、−CH=CH−、−COO−または単結合であり、
【化76】

は、各々、互いに独立して、
【化77】

であり、
oおよびpは、互いに独立して、0または1であり、
【0088】
しかし好ましくは、
31およびR32は、各々、互いに独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシまたは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルであり、
【化78】

は、各々、互いに独立して、
【化79】

であり、
【0089】
極めて特に好ましくは、これらの環の少なくとも2つは、
【化80】

であり、
ここで、極めて特に好ましくは、2つの隣接する環、好ましくは
【化81】

は、直接結合している、
で表される1種または2種以上の誘電的に中性の化合物。
【0090】
液晶媒体は、好ましくは、ビフェニル単位を含まない、式Iで表される1種または2種以上の化合物を含む。
液晶媒体は、特に好ましくは、式Iで表され、
式中、2つの隣接する環、好ましくは
【化82】

が直接結合している、1種または2種以上の化合物を含む。
【0091】
ちょうど記載した態様と同一であってもよい、好ましい態様において、液晶媒体は、式I−3で表される化合物からなる群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0092】
液晶媒体は、好ましくは、式II−1〜II−3で表される化合物からなる群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【化83】

式中、
21、R22、Z21、Z22
【化84】

およびlは、各々、式IIの下に上記で定義した通りである。R21は、好ましくは、好ましくは1〜5個の炭素原子を有するアルキルであり、R21は、好ましくは、好ましくは各々1〜5個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、Z22およびZ21は、存在する場合には、好ましくは単結合である。
【0093】
液晶媒体は、特に好ましくは、式III−1〜III−3:
【化85】

式中、R31、R32、Z31、Z32
【化86】

は、各々、式IIIの下に上記で定義した通りである、
で表される化合物からなる群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0094】
液晶媒体は、特に好ましくは、式III−1a〜III−1d、III−1e、III−2a〜III−2gおよびIII−3a〜III−3d:
【化87】

式中、nおよびmは、各々、互いに独立して、1〜5であり、oおよびpは、各々、これらの両方に、および互いに独立して、0〜3である、
【0095】
【化88】

【0096】
【化89】

式中、R31およびR32は、各々、式IIIの下に上記で定義した通りであり、好ましくは、式III−1の下に上記で定義した通りであり、特に化合物III−2gおよびIII−3cにおけるフェニル環は、随意に、フッ素化されていてもよく、しかし化合物が、式IIおよびこの従属式で表される化合物と同一であるようにではない、
で表される化合物からなる群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。R31は、好ましくは、1〜5個の炭素原子を有する、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有するn−アルキルであり、R32は、好ましくは、1〜5個の炭素原子を有するn−アルキルもしくはn−アルコキシまたは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルである。これらの中で、特に好ましいのは、式III−1a〜III−1dで表される化合物である。
【0097】
式III−2gおよびIII−3cで表される好ましいフッ素化化合物は、式III−2g’およびIII−3c’
【化90】

式中、R31およびR33は、各々、式IIIの下に上記で定義した通りであり、好ましくは、式III−2gまたはIII−3cの下に上記で定義した通りである、
で表される化合物である。
【0098】
本出願において、他に明白に述べない限り、化合物の用語は、1種の化合物および複数種の化合物を共に意味するものと解釈される。
【0099】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、各々の場合において少なくとも−20℃〜80℃、好ましくは−30℃〜85℃および極めて特に好ましくは−40℃〜100℃のネマティック相を有する。用語「ネマティック相を有する」は、ここでは、先ずスメクティック相および結晶化が、対応する温度において低温で観察されず、第2にまた透明化が、ネマティック相から加熱する際に生じないことを意味するものと解釈される。低温における検査を、対応する温度において、流動粘度計において行い、電気光学的用途に対応する層の厚さを有する試験セル中で、少なくとも100時間にわたり、貯蔵によりチェックする。対応する温度(T)における貯蔵安定性(tstore(T))を、すべての3つの試験セルが変化を示さなくなるまでの時間として提示する。高温において、透明点を、慣用の方法により毛細管において測定する。
さらに、本発明の液晶媒体は、低い光学異方性値により特徴づけられる。
【0100】
「アルキル」の用語は、好ましくは、1〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状アルキル基、特に直鎖状基メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルを包含する。2〜5個の炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0101】
「アルケニル」の用語は、好ましくは、2〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状アルケニル基、特に直鎖状基を包含する。特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。さらに好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0102】
「フルオロアルキル」の用語は、好ましくは、末端フッ素を有する直鎖状基、即ちフルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを包含する。しかし、他の位置のフッ素は、除外されない。
「オキサアルキル」または「アルコキシアルキル」の用語は、好ましくは、式C2n+1−O−(CHで表され、式中、nおよびmは、各々、互いに独立して、1〜6である直鎖状基を包含する。nは、好ましくは1であり、mは、好ましくは1〜6である。
【0103】
ビニル末端基を含む化合物およびメチル末端基を含む化合物は、低い回転粘度を有する。
【0104】
本出願において、誘電的に正の化合物の用語は、>1.5のΔεを有する化合物を意味し、誘電的に中性の化合物は、−1.5≦Δε≦1.5である化合物を意味し、誘電的に負の化合物は、<−1.5のΔεを有する化合物を意味する。化合物の誘電異方性を、ここでは、10%の化合物を液晶ホストに溶解し、この混合物のキャパシタンスを1kHzにおいて、ホメオトロピック表面配向を有する、層の厚さが約20μmである少なくとも1つの試験セルおよび、均一な表面配向を有する、層の厚さが約20μmである少なくとも1つの試験セル中で決定することにより、決定する。測定電圧は、典型的には、0.5V〜1.0Vであるが、それぞれの液晶混合物の容量性しきい値よりも常に低い。
【0105】
適用的に(applicationally)関係のある物理的パラメーターを決定するために用いられるホスト混合物は、Merck KGaA, GermanyからのZLI−4792である。例外として、誘電的に負の化合物の誘電異方性の決定を、同様にMerck KGaA, GermanyからのZLI−2857を用いて行う。検査されるべきそれぞれの化合物についての値を、特性、例えば検査されるべき化合物の添加の後のホスト混合物の誘電定数の変化および用いられる化合物の100%への外挿から得る。
【0106】
検査されるべき化合物のために用いられる濃度は、10%である。検査されるべき化合物の溶解性が、この目的のために不適切である場合には、用いられる濃度を、例外として、当該濃度が溶解性限界よりも低くなるまで、即ち5%、2.5%などに低下させる。
【0107】
しきい値電圧の用語は、通常、10%相対的コントラスト(V10)についての光学的しきい値に関する。しかし、負の誘電異方性を有する液晶混合物に関連して、しきい値電圧の用語を、本出願において、他に明白に述べない限り、フレデリクスしきい値としても知られている、容量性しきい値電圧(V)について用いる。
【0108】
本出願におけるすべての濃度は、他に明白に述べない限り、重量パーセントで示し、全体としての対応する混合物に関する。すべての物理的特性は、"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals", 1997年11月の状況、Merck KGaA, Germanyに従って決定し、決定されており、他に明白に述べない限りは、20℃の温度に該当する。Δnを、589nmにおいて決定し、Δεを、1kHzにおいて決定する。
【0109】
負の誘電異方性を有する液晶媒体の場合において、しきい値電圧を、レシチンによりホメオトロピックに配向した液晶層を有するセル中で、容量性しきい値Vとして決定した。
【0110】
本発明の液晶媒体は、所要に応じて、また他の添加剤および随意にまたキラルなドーパントを、慣用の量で含むことができる。用いられるこれらの添加剤の量は、合計で、全体の混合物の量を基準として、0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%である。用いられる個別の化合物の濃度は、各々の場合において、好ましくは0.1〜3%である。これらのおよび同様の添加剤の濃度は、液晶媒体中の液晶化合物の濃度および濃度範囲を示す際には、考慮しない。
【0111】
この組成物は、複数種の化合物、好ましくは3〜30種、特に好ましくは6〜20種および極めて特に好ましくは10〜16種の化合物からなり、これを、慣用の方式で混合する。一般的に、少ない方の量で用いる成分の所望の量を、有利には高温で、主要成分を構成する成分中に溶解する。選択された温度が主要成分の透明点よりも高い場合には、溶解プロセスの完了は、観察するのが特に容易である。しかし、液晶混合物を他の慣用の方法において、例えばプレミックスを用いて、またはいわゆる「マルチボトル(multibottle)」システムから調製することも、可能である。
【0112】
好適な添加剤により、本発明の液晶相を、これらをすべてのタイプのディスプレイ並びに、特に前に開示したECBディスプレイおよびIPSディスプレイにおいて用いることができるように、改変することができる。
【0113】
以下の例は、本発明を、限定を表さずに例示する作用を奏する。例において、液晶物質の融点T(C,N)、スメクティック(S)相からネマティック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)を、摂氏度で示す。種々のスメクティック相を、対応する添え字により特徴づけする。
【0114】
本明細書中の百分率は、他に明白に述べない限り、重量パーセントであり、物理的特性は、他に明白に述べない限り、20℃における値である。
本出願において示すすべての温度数値は、℃であり、すべての温度差異は、他に明白に述べない限り、対応して差異の度である。
【0115】
合成例およびスキームにおいて、略語は、以下の意味を有する:
BuLi n−ブチルリチウム、
DAST 三フッ化ジエチルアミノ硫黄、
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド、
DMAP ジメチルアミノピリジン、
DMF N,N−ジメチルホルムアミド、
dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、
dppp 1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、
LDA リチウムジイソプロピルアミド、
MBT MBTエーテル、メチルtert−ブチルエーテルおよび
THF テトラヒドロフラン。
【0116】
本出願において、および以下の例において、液晶化合物の構造を頭文字により示し、その化学式への変換は、以下の表AおよびBに従って得られる。すべての基C2n+1およびC2m+1は、それぞれn個およびm個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基である。表Bにおけるコードは自明である。表Aにおいて、基本構造にかかわる頭文字のみを示す。各場合において、基本構造にかかわる頭文字の後に、ハイフンで分離して、置換基R、R、L、LおよびLに関するコードが示されている:
【0117】
【表1】

【0118】
表A:
【化91】

【0119】
【化92】

【0120】
【化93】

【0121】
表B:
【化94】

【0122】
【化95】

【0123】
【化96】

【0124】
【化97】

【0125】
【化98】

【0126】
【化99】

【0127】
【化100】

【0128】
【化101】

【0129】
【化102】

【0130】
【化103】

【0131】
【化104】

【0132】

以下の例は、本発明を、これを限定せずに説明することを意図する。本明細書中、百分率は、重量パーセントである。すべての温度を、摂氏度で示す。Δnは、光学異方性(589nm、20℃)を示し、Δεは、誘電異方性(1kHz、20℃)を示し、H.R.は、電圧保持比(100℃において、オーブン中で5分後、1V)を示す。V10、V50およびV90(それぞれしきい値電圧、ミッドグレー(mid-grey)電圧および飽和電圧)並びにV(容量性しきい値電圧)を、各々20℃において決定した。
【0133】
物質例
例1:(4,7−ジフルオロ−8−メチル−3−ペンチル−6H−ベンゾ[c]クロメン−6−オン)
1.1 4−ブロモ−2−フルオロ−1−ペンチルベンゼンの調製
【化105】

190g(0.600mol)の4−ブロモ−2−フルオロ−1−ヨードベンゼンおよび65.3mlの1−ペンチンを、900mlのTHFおよび1.2lのトリエチルアミンの混合物に溶解し、10℃に冷却し、1.14g(6mmol)のヨウ化銅(I)および8.42g(12mmol)の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を加えた。バッチを、室温で一晩撹拌し、水およびMTBエーテルを、その後加え、混合物を、さらに5分間撹拌した。反応混合物を、吸引を伴ってセライト(Celite)(登録商標)を通して濾過し、相を分離した。水性相を、MTBエーテルで2回抽出し、混ぜ合わせた有機相を、3回水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗製の生成物を、n−ヘプタンを用いてシリカゲルを通して濾過し、129gの4−ブロモ−2−フルオロ−1−ペント−1−イニルベンゼンが、黄色液体として得られた。THF中のパラジウム/活性炭(10%)上での水素添加により、131g(100%)の4−ブロモ−2−フルオロ−1−ペンチルベンゼンが、黄色液体として得られた。
【0134】
1.2 6−ブロモ−2−フルオロ−3−ペンチルフェノールの調製
【化106】

132g(0.583mol)の4−ブロモ−2−フルオロ−1−ペンチルベンゼンを、900mlのTHFに溶解し、LDAをTHFに溶解した2モル溶液295mlを、−70℃で滴加した。1時間後、65.9ml(0.590mol)のホウ酸トリメチルを加え、混合物を、さらに1時間撹拌し、次に150mlの50パーセント酢酸を用いて、−15℃で酸性化した。バッチを、その後30℃に加温し、139ml(1.61mol)の35パーセント過酸化水素溶液を、滴加した。1時間後、混合物を、水で希釈し、有機相を、分離して除去した。混ぜ合わせた有機相を、硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で2回および水で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。
【0135】
粗製の生成物の、n−ヘプタン/1−クロロブタン(3:1)を用いた、シリカゲルを通しての濾過により、86.0g(理論値の61%)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−ペンチルフェノールが、無色結晶として得られた。
【0136】
1.3 6−ブロモ−2−フルオロ−3−メチル安息香酸の調製
【化107】

50ml(0.385mol)の4−ブロモ−2−フルオロトルエンを、750mlのTHFに溶解し、LDAをTHFに溶解した2M溶液231ml(0.462mol)を、−70℃で滴加した。70分後、37.2g(0.846mol)の二酸化炭素を通じ、バッチを、放置して融解させた。濃塩酸を用いた酸性化の後に、溶液を、MTBエーテルで抽出し、混ぜ合わせた有機相を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。1−クロロブタンからの粗製の生成物の結晶化により、44.1g(49%)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−メチル安息香酸が、白色結晶として得られた。
【0137】
1.4 6−ブロモ−2−フルオロ−3−メチル安息香酸6−ブロモ−2−フルオロ−3−ペンチルフェニルの調製
【化108】

43.2g(0.165mol)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−ペンチルフェノール、40.5g(0.173mol)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−メチル安息香酸および3.52g(29mmol)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンを、最初に300mlのジクロロメタン中に導入し、35.7g(0.172mol)のN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを80mlのジクロロメタンに溶解した溶液を加えた。バッチを、室温で一晩撹拌し、その後4.16g(33mmol)のシュウ酸を加えた。1時間後、沈殿した固体を濾別し、濾液を、減圧下で蒸発させた。粗製の生成物を、n−ヘプタン/1−クロロブタン(1:1)を用いてシリカゲルを通して濾過し、72.7g(理論値の91%)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−メチル安息香酸6−ブロモ−2−フルオロ−3−ペンチルフェニルが、無色油状物として得られた。
【0138】
1.5 4,7−ジフルオロ−8−メチル−3−ペンチル−6H−ベンゾ[c]クロメン−6−オンの調製
【化109】

56.2g(118mmol)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−メチル安息香酸6−ブロモ−2−フルオロ−3−ペンチルフェニルを、650mlのDMFに溶解し、混合物を、48時間、75.1g(1.18mmol)の銅粉末の存在下で還流させた。その後、混合物を、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を混ぜ合わせ、NaSO上で乾燥し、蒸発させた。粗製の生成物を、1−クロロブタンから再結晶し、9.60gのラクトンが、無色固体として得られた。これは、26%の収率に相当する。
化合物の物理的特性を、以下の表に示す。
【0139】
例2〜120
以下のものを、例1と同様にして調製する:
【化110】

注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0140】
【表2】

【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
【表5】

【0144】
例121:(4,7−ジフルオロ−8−メチル−3−ペンチル−6H−ベンゾ[c]クロメン)
4,7−ジフルオロ−8−メチル−3−ペンチル−6H−ベンゾ[c]クロメンの調製
【化111】

2.00g(6.33mmol)の例1からの化合物を、12mlのTHFに溶解した。2.56ml(23mmol)の三フッ化ホウ素/THF複合体を、この溶液に氷冷しながら加えた。次に、12mlのジエチレングリコールジメチルエーテルおよび、分割して、0.58g(15mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを、連続して加え、混合物を、室温(約20℃)で16時間撹拌した。反応溶液を、氷水を用いて加水分解し、MTBエーテルで抽出し、抽出物を混ぜ合わせ、NaSO上で乾燥し、蒸発させた。粗製の生成物を、n−ヘプタンから再結晶し、1.60gのベンゾクロメンの無色結晶が得られた。これは、83%の収率に相当する。
【0145】
例122〜240
以下のものを、例121と同様にして調製する:
【化112】

注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0146】
【表6】

【0147】
【表7】

【0148】
【表8】

【0149】
【表9】

【0150】
例241:(8−エトキシ−4,6,6,7−テトラフルオロ−3−ペンチル−6H−ベンゾ[c]クロメン)
8−エトキシ−4,6,6,7−テトラフルオロ−3−ペンチル−6H−ベンゾ[c]クロメンの調製
【化113】

4.00g(11.5mmol)の例80からの化合物および5.14g(12.7mmol)のラウェソンの試薬を、60mlのクロロベンゼンに溶解し、混合物を、48時間還流させた。その後、バッチを蒸発させ、慣用の精製を施し、2.90g(8.00mmol)の対応するチオノラクトンが、オレンジ色の固体として得られた。これは、69%の収率に相当する。
【0151】
チオノラクトンを、40mlのジクロロメタンに溶解した。次に、2.1ml(16.1mmol)のDASTを加え、混合物を、約20℃で16時間撹拌し、慣用の精製を施した。粗製の生成物を、n−ヘプタン/酢酸エチル(9:1)の混合物を用いてシリカゲルを介して精製し、エタノールから再結晶し、0.46gのジフルオロベンゾクロメンが得られた。これは、15%の収率に相当する。
【0152】
例242〜360
以下のものを、例241と同様にして調製する:
【化114】

注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0153】
【表10】

【0154】
【表11】

【0155】
【表12】

【0156】
【表13】

【0157】
例361a:(3−ブトキシ−4,6,6,7−テトラフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)−6H−ベンゾ[c]クロメン)
361.1 4−ブロモ−2−フルオロ−1−(4−ペンチルシクロヘクス−1−エニル)ベンゼンの調製
【化115】

200g(0.665mol)の1−ブロモ−3−フルオロ−4−ヨードベンゼンを、800mlのテトラヒドロフランに溶解し、n−ブチルリチウムをヘキサンに溶解した15パーセント溶液440ml(0.698mmol)を、−70℃で滴加した。30分後、117g(0.698mol)の4−ペンチルシクロヘキサノンを200mlのテトラヒドロフランに溶解した溶液を加え、バッチを、60分間放置して撹拌し、水を用いて加水分解し、濃塩酸を用いて酸性化した。有機相を分離して除去し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を、減圧下で除去した。その後、粗製の生成物を、1.4lのトルエンに溶解し、6gのトルエンスルホン酸を加えた後に、水分離器上で、反応の水がもはや分離して除去されなくなるまで加熱した。溶液を、水で洗浄し、蒸発させ、残留物を、n−ヘプタンを用いてシリカゲルを介して濾過し、124g(58%)の4−ブロモ−2−フルオロ−1−(4−ペンチルシクロヘクス−1−エニル)ベンゼンが、黄色固体として得られた。
【0158】
361.2 4−ブロモ−2−フルオロ−1−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼンの調製
【化116】

124g(0.382mol)の4−ブロモ−2−フルオロ−1−(4−ペンチルシクロヘクス−1−エニル)ベンゼンを、5バールおよび50℃において、白金/活性化炭素触媒上のテトラヒドロフラン中で完全に水素添加した。濾過および減圧下での溶媒の除去により、114g(80%)のシスおよびトランス−4−ブロモ−2−フルオロ−1−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼンの混合物が、黄色油状物として得られた。異性化のために、これを、200mlのジクロロメタンに溶解し、12.5g(95.7mmol)の塩化アルミニウムを220mlのジクロロメタンに懸濁させた懸濁液に滴加した。30分後、300mlの水を加え、有機相を分離して除去し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、n−ペンタンを用いてシリカゲルを介して濾過し、52.8%のトランス−4−ブロモ−2−フルオロ−1−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼンの含量および9.7%のシス−4−ブロモ−2−フルオロ−1−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼンの含量を有する85.2gの粗製の生成物が、黄色液体として得られ、これを、次の段階においてさらに精製せずに用いた。
【0159】
361.3 トランス−6−ブロモ−2−フルオロ−3−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸の調製
【化117】

85.2g(0.163mol)の前の段階からの粗製の生成物を、最初に、400mlのテトラヒドロフラン中に、−70℃で導入し、ヘキサン中の15パーセントのn−ブチルリチウム213mlおよび100mlのテトラヒドロフラン中の46ml(0.326mmol)のジイソプロピルアミンから調製した、リチウムジイソプロピルアミドの溶液を、滴加した。1時間後、22.9g(0.521mol)の二酸化炭素を通じた。バッチを、放置して融解させ、濃塩酸を用いて酸性化し、MTBエーテルで2回抽出した。混ぜ合わせた有機相を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を、減圧下で除去した。n−ヘプタンからの結晶化により、17g(28%)のトランス−6−ブロモ−2−フルオロ−3−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸が、無色結晶として得られた。
【0160】
361.4 トランス−6−ブロモ−2−フルオロ−3−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸メチルの調製
【化118】

17.1g(46.0mmol)のトランス−6−ブロモ−2−フルオロ−3−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸を、70mlのアセトンに溶解し、7.66g(55.4mmol)の炭酸カリウムおよび3.14ml(50.6mmol)のヨウ化メチルを加え、混合物を、一晩還流させた。バッチを濾過し、溶媒を蒸留して除去し、18g(100%)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸メチルが、無色油状物として得られ、これを、さらに精製せずにさらに反応させた。
【0161】
361.5 1−ブロモ−4−ブトキシ−3−フルオロ−2−(2−メトキシエトキシメトキシ)ベンゼンの調製
【化119】

例841.1および841.4と同様にして、4−ブロモ−2−フルオロフェノールにより、6−ブロモ−3−ブトキシ−2−フルオロフェノールが、茶色油状物として得られた(80%、2段階)。
【0162】
60.4ml(0.355mol)のエチルジイソプロピルアミンを、氷冷しながら、500mlのジクロロメタンに溶解した77.4g(0.294mol)の6−ブロモ−3−ブトキシ−2−フルオロフェノールに加え、40.3ml(0.355mol)の塩化2−メトキシエトキシメチルを滴加し、混合物を、室温で一晩放置して撹拌した。バッチを、水を用いて加水分解し、ジクロロメタンで抽出し、蒸発させ、粗製の生成物を、n−ヘプタン/MTBエーテル(3:1)を用いてシリカゲルを介して濾過し、103g(99%)の1−ブロモ−4−ブトキシ−3−フルオロ−2−(2−メトキシエトキシメトキシ)ベンゼンが、黄色油状物として得られた。
【0163】
361.6 3−ブトキシ−4,7−ジフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)−ベンゾ[c]クロメン−6−オンの調製
【化120】

16.4g(0.046mol)の1−ブロモ−4−ブトキシ−3−フルオロ−2−(2−メトキシエトキシメトキシ)ベンゼンを、20mlのテトラヒドロフランに溶解し、n−ブチルリチウムをヘキサンに溶解した15パーセント溶液31.6ml(0.052mol)を、−70℃で加えた。5.94g(0.027mol)の臭化亜鉛を30mlのテトラヒドロフランに溶解した溶液を加えた後、バッチを放置して融解させ、得られた溶液を、沸点において、60mlのテトラヒドロフラン中の18g(0.046mol)の6−ブロモ−2−フルオロ−3−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸メチルおよび730mg(1.00mmol)のPd(dppf)Clの混合物に加えた。バッチを、4時間還流させ、室温で一晩撹拌し、希塩酸を用いて酸性化し、MTBエーテルで抽出した。
【0164】
混ぜ合わせた有機相を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。粗製の生成物を、n−ペンタン/MTBエーテル(3:1)を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー分離し、14.6g(55%)の4’−ブトキシ−3,3’−ジフルオロ−2’−(2−メトキシエトキシメトキシ)−4−(4−ペンチルシクロヘキシル)ビフェニル−2−カルボン酸メチルが、黄色油状物として得られた。これを、56mlのテトラヒドロフランに溶解し、11mlの濃塩酸を加え、混合物を、室温で一晩撹拌した。沈殿した生成物を、吸引しながら濾別し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥し、7.6g(68%)の3−ブトキシ−4,7−ジフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)−ベンゾ[c]クロメン−6−オンが、無色結晶として得られた。
【0165】
361.7 3−ブトキシ−4,7−ジフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)−ベンゾ[c]クロメン−6−チオンの調製
【化121】

11.7g(25.6mmol)の3−ブトキシ−4,7−ジフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)−ベンゾ[c]クロメン−6−オンおよび11.4g(28.2mmol)のラウェソンの試薬を、130mlのクロロベンゼン中で16時間還流させた。その後、溶液を、シリカゲルを通して濾過し、蒸発させ、粗製の生成物を、MTBエーテルからの結晶により精製し、7.9g(65%)の3−ブトキシ−4,7−ジフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾ[c]クロメン−6−チオンが、黄色結晶として得られた。
【0166】
361.8 3−ブトキシ−4,6,6,7−テトラフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)−6H−ベンゾ[c]クロメンの調製
【化122】

2.00g(4.18mmol)の3−ブトキシ−4,7−ジフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾ[c]クロメン−6−チオンを、20mlのジクロロメタンに溶解し、−70℃に冷却し、ピリジンに溶解したフッ化水素の65%溶液0.55ml(20mmol)を加え、2.56g(8.36mmol)の1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインを12mlのジクロロメタンに懸濁させた懸濁液を、分割して加えた。2時間後、バッチを、放置して融解させ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、粗製の生成物を、ヘプタン/トルエン(1:2)を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー分離した。n−ヘプタンからの結晶化により、1.0g(52%)の3−ブトキシ−4,6,6,7−テトラフルオロ−8−(4−ペンチルシクロヘキシル)−6H−ベンゾ[c]クロメンが、融点が99℃である無色結晶として得られた。
【0167】
化合物は、以下の相挙動を示し:C 99℃ N 130.5℃ I、148℃の外挿された透明点並びに、20℃において0.153の外挿された複屈折および−16.7の外挿された誘電異方性を有する。
【0168】
例361bおよび362〜390
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化123】

式中、
【化124】

は、
【化125】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0169】
【表14】

【0170】
例391〜420
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化126】

式中、
【化127】

は、
【化128】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0171】
【表15】

【0172】
例421〜450
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化129】

式中、
【化130】

は、
【化131】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792に溶解した10%溶液から外挿した。
【0173】
【表16】

【0174】
例451〜480
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化132】

式中、
【化133】

は、
【化134】

であり、
は、−CF=CF−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0175】
【表17】

【0176】
例481〜510
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化135】

式中、
【化136】

は、
【化137】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0177】
【表18】

【0178】
例511〜540
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化138】

式中、
【化139】

は、
【化140】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0179】
【表19】

【0180】
例541〜570
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化141】

式中、
【化142】

は、
【化143】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0181】
【表20】

【0182】
例571〜600
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化144】

式中、
【化145】

は、
【化146】

であり、
は、−CF=CF−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0183】
【表21】

【0184】
例601〜630
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化147】

式中、
【化148】

は、
【化149】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0185】
【表22】

【0186】
例631〜660
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化150】

式中、
【化151】

は、
【化152】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0187】
【表23】

【0188】
例661〜690
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化153】

式中、
【化154】

は、
【化155】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0189】
【表24】

【0190】
例691〜720
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化156】

式中、
【化157】

は、
【化158】

であり、
は、−CF=CF−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0191】
【表25】

【0192】
例721〜750
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化159】

式中、
【化160】

は、
【化161】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0193】
【表26】

【0194】
例751〜780
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化162】

式中、
【化163】

は、
【化164】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0195】
【表27】

【0196】
例781〜810
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化165】

式中、
【化166】

は、
【化167】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0197】
【表28】

【0198】
例811〜840
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化168】

式中、
【化169】

は、
【化170】

であり、
は、−CF=CF−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0199】
【表29】

【0200】
例841:(8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−ベンジルオキシベンゾ[c]クロメン−6−オン)
841.1 4−ブロモ−1−エトキシ−2−フルオロベンゼンの調製
【化171】

100g(0.524mol)の4−ブロモ−2−フルオロフェノールおよび66.7g(0.612mol)の臭化エチルを、2lのエチルメチルケトンに溶解し、185g(1.34mol)の炭酸カリウムの存在下で、24時間還流させた。その後、溶液を濾過し、濾液を蒸発させ、粗製の生成物を、n−ヘキサンを用いてシリカゲルを通して濾過し、114g(理論値の99%)の4−ブロモ−1−エトキシ−2−フルオロベンゼンが、無色液体として得られた。
【0201】
841.2 6−ブロモ−3−エトキシ−2−フルオロ安息香酸の調製
【化172】

上記した(例1.3の下で)合成と同様にして、236gの4−ブロモ−1−エトキシ−2−フルオロベンゼンにより、190g(理論値の64%)の6−ブロモ−3−エトキシ−2−フルオロ安息香酸が、無色結晶として得られた。
【0202】
841.3 1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼンの調製
【化173】

上記した(例2.1または872.1の下で)合成と同様にして、250g(1.31mol)の4−ブロモ−2−フルオロフェノールおよび179ml(1.51mol)の臭化ベンジルにより、366g(97%)の1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼンが、無色結晶として得られた。
【0203】
841.4 3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−フルオロフェノールの調製
【化174】

上記した(例1.2の下で)合成と同様にして、366g(1.27mol)の1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼンにより、270g(理論値の72%)の3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−フルオロフェノールが、無色結晶として得られる。
【0204】
841.5 6−ブロモ−3−エトキシ−2−フルオロ安息香酸3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−フルオロフェニルの調製
【化175】

上記した(例1.4の下で)合成と同様にして、253g(0.851mol)の3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−フルオロフェノールおよび246g(0.936mol)の6−ブロモ−3−エトキシ−2−フルオロ安息香酸により、405g(理論値の87%)の6−ブロモ−3−エトキシ−2−フルオロ安息香酸3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−フルオロフェニルが、無色結晶として得られる。
【0205】
841.6 8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−ベンジルオキシベンゾ[c]クロメン−6−オンの調製
【化176】

103g(0.188mol)の6−ブロモ−3−エトキシ−2−フルオロ安息香酸3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−フルオロフェニルを、1lのDMFに溶解し、119g(1.88mol)の銅粉末の存在下で、72時間還流させた。その後、バッチを、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、混ぜ合わせた抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。THFからの粗製の生成物の結晶により、15g(理論値の21%)の8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−ベンジルオキシベンゾ[c]クロメン−6−オンが、淡い黄色の結晶として得られた。
【0206】
例842〜881
以下のものを、例841と同様にして調製する:
【化177】

式中、
【化178】

は、
【化179】

であり、
は、−O−CH−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0207】
【表30】

【0208】
例872:(8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−(トランス−4−ビニルシクロヘキシルメトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメン)
872.1 8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−6H−ベンゾ[c]クロメンの調製
【化180】

2.00g(5.24mmol)の3−ベンジルオキシ−8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−6−オン、例841の化合物を、12mlのTHFに溶解し、2.37ml(23.0mmol)の三フッ化ホウ素/THF複合体を、氷冷しながら加えた。その後、24mlのエチレングリコールジメチルエーテルおよび次に分割して530mgの水素化ホウ素ナトリウムを加えた。その後、混合物を、室温で18時間撹拌し、次に氷上に移送した。混合物に、慣用の精製を施し、1.5g(理論値の78%)の3−ベンジルオキシ−8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−6H−ベンゾ[c]クロメンが、無色結晶として得られた。これらをTHFに溶解し、0.6gのPd/C(5%)の存在下で1バールの圧力において水素添加し、濾過し、蒸発させ、1.2g(理論値の99%)の8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−6H−ベンゾ[c]クロメンが、無色結晶として得られた。
【0209】
872.2 8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−(トランス−4−ビニルシクロヘキシルメトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメンの調製
【化181】

1.2g(4.32mmol)の8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−6H−ベンゾ[c]クロメン、2.16g(8.64mmol)のヨウ化(トランス−4−ビニルシクロヘキシル)メチルおよび650mg(5mmol)の炭酸カリウムを、15mlのアセトン中で、16時間還流させた。次に、混合物を、MTBエーテル中に移送し、慣用の精製を施し、460mg(理論値の27%)の8−エトキシ−4,7−ジフルオロ−3−(トランス−4−ビニルシクロヘキシルメトキシ)−6H−ベンゾ[c]クロメンが、無色結晶として得られた。
【0210】
例873〜902
以下のものを、例872と同様にして調製する:
【化182】

式中、
【化183】

は、
【化184】

であり、
は、−O−CH−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0211】
【表31】

【0212】
例903〜934
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化185】

式中、
【化186】

は、
【化187】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0213】
【表32】

【0214】
例935〜966
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化188】

式中、
【化189】

は、
【化190】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0215】
【表33】

【0216】
例967〜998
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化191】

式中、
【化192】

は、
【化193】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0217】
【表34】

【0218】
例999〜1030
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化194】

式中、
【化195】

は、
【化196】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0219】
【表35】

【0220】
例1031〜1062
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化197】

式中、
【化198】

は、
【化199】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0221】
【表36】

【0222】
例1063〜1093
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化200】

式中、
【化201】

は、
【化202】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0223】
【表37】

【0224】
例1094〜1125
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化203】

式中、
【化204】

は、
【化205】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0225】
【表38】

【0226】
例1126〜1157
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化206】

式中、
【化207】

は、
【化208】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0227】
【表39】

【0228】
例1158〜1190
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化209】

式中、
【化210】

は、
【化211】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0229】
【表40】

【0230】
例1191〜1222
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化212】

式中、
【化213】

は、
【化214】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0231】
【表41】

【0232】
例1223〜1254
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化215】

式中、
【化216】

は、
【化217】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0233】
【表42】

【0234】
例1255〜1286
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化218】

式中、
【化219】

は、
【化220】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0235】
【表43】

【0236】
例1287〜1318
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化221】

式中、
【化222】

は、
【化223】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0237】
【表44】

【0238】
例1319〜1350
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化224】

式中、
【化225】

は、
【化226】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0239】
【表45】

【0240】
例1351〜1382
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化227】

式中、
【化228】

は、
【化229】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0241】
【表46】

【0242】
例1383〜1385
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化230】

式中、
【化231】

は、
【化232】

であり、
は、単結合である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0243】
【表47】

【0244】
例1415〜1446
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化233】

式中、
【化234】

は、
【化235】

であり、
は、−CH−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0245】
【表48】

【0246】
例1447〜1478
以下のものを、例241および例361aと同様にして調製する:
【化236】

式中、
【化237】

は、
【化238】

であり、
は、−CF−O−である。
注:値は、ZLI−4792またはZLI−2857に溶解した10%溶液から外挿した(Δε)。
【0247】
【表49】

【0248】
混合物例
液晶混合物を調製し、これらの適用的な特性を検査する。
【0249】
例M−1
以下の表に示す組成を有する液晶混合物を調製し、検査した。これは、同様に表に示す特性を有する。
【表50】

液晶媒体は、極めて良好な適用的な特性を有する。
【0250】
例M−2
以下の表に示す組成を有する液晶混合物を調製し、検査した。これは、同様に表に示す特性を有する。
【表51】

液晶媒体は、極めて良好な適用的な特性を有する。
【0251】
例M−3
以下の表に示す混合物を調製し、検査する。
【表52】

液晶媒体は、優れた適用的な特性を有する。
【0252】
例M−4
以下の表に示す混合物を調製し、検査する。
【表53】

液晶媒体は、例えば以下の比較例(CM−1)と比較して明らかなように、優れた適用的な特性を有する。
【0253】
比較例CM−1
本発明の化合物を含まない、以下の表に示す混合物を調製し、検査する。
【表54】

液晶媒体は、透明点、複屈折および誘電異方性について、例4の媒体に類似した値を有する。しかし、これは、顕著に一層高い回転粘度および同時に一層高いしきい値電圧を有し、従って明らかに劣った適用的な特性を有する。
【0254】
例M−5
以下の表に示す混合物を調製し、検査する。
【表55】

液晶媒体は、例えば以下の比較例(CM−2)と比較して明らかなように、優れた適用的な特性を有する。
【0255】
比較例CM−2
本発明の化合物を含まない、以下の表に示す混合物を調製し、検査する。
【表56】

液晶媒体は、透明点、複屈折および誘電異方性について、例5の媒体に類似した値を有する。しかし、これは、顕著に一層高い回転粘度および同時に一層高いしきい値電圧を有し、従って比較的好適でない適用的な特性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
Yは、−CO−、−CS−、−CH−、−CF−または−CHF−であり、
およびLは、各々、互いに独立して、H、F、Clまたは−CNであり、
【化2】

は、各々、互いに独立して、および1回よりも多く存在する場合には、また互いに独立して、
(a)さらに1つもしくは2つの隣接していないCH基が、−O−および/または−S−により置換されていてもよい、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、
(b)1,4−シクロヘキセニレン基、
(c)さらに1つもしくは2つの隣接していないCH基が、Nにより置換されていてもよい、1,4−フェニレン基、または
(d)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、1,3−ビシクロ[1.1.1]ペンチレン、スピロ[3.3]ヘプタン−2,4−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群から選択された基
であり、
およびRは、各々、互いに独立して、H、ハロゲン、−CN、−SCN、−SF、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHFあるいは、CNもしくはCFにより単置換されているか、またはハロゲンにより少なくとも単置換されており、ここでさらに、1つまたは2つ以上のCH基が、各々、互いに独立して、O原子もS原子も、互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、
【化3】

−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−により置換されていてもよい、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基であり、
およびZは、各々、互いに独立して、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、単結合またはこれらの基の2つの組み合わせであり、ここで、2つのO原子はいずれも、互いに結合しておらず、
nおよびmは、各々0、1または2であり、ここで、
n+mは、0、1、2または3であり、
ただし、Yが−CO−である場合には、LおよびLの少なくとも1つは、Hではない、
で表される化合物。
【請求項2】
式I−1a〜I−3b
【化4】

式中、パラメーターは、請求項1において定義した通りである、
で表される化合物からなる群から選択されている、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項3】
Yが−CF−であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
およびLが共にFであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
およびZが共に単結合であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて定義された式Iで表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、液晶媒体。
【請求項7】
ネマティック相を有し、請求項1〜5のいずれかにおいて定義された式Iで表される1種または2種以上の化合物を含むが、ここで、請求項1における定義とは対照的に、Yが−CO−である場合であっても、LおよびLは、共にHであってもよいことを特徴とする、液晶媒体。
【請求項8】
式II
【化5】

式中、
21およびR22は、各々、互いに独立して、請求項1における式Iの下でRについて定義した通りであり、
21およびZ22は、各々、互いに独立して、請求項1における式Iの下でZについて定義した通りであり、
【化6】

は、各々、互いに独立して、
【化7】

であり、
およびLは、共にC−Fであるか、または2つのうちの一方がNであり、他方がC−Fであり、
lは、0または1である、
で表される1種または2種以上の誘電的に負の化合物
を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の液晶媒体。
【請求項9】
式II−1
【化8】

式中、R21、R22、Z21、Z22
【化9】

およびlは、請求項8において定義した通りである、
で表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の液晶媒体。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の液晶媒体の、電気光学的ディスプレイにおける使用。
【請求項11】
請求項6〜9のいずれかに記載の液晶媒体を含む、電気光学的ディスプレイ。
【請求項12】
VAN LCDであることを特徴とする、請求項11に記載のディスプレイ。

【公表番号】特表2006−520327(P2006−520327A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501636(P2006−501636)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000731
【国際公開番号】WO2004/076438
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】