説明

ベンチュリスプレー装置、及び美容業及び香水製造業における該装置の利用

本発明は、ベンチュリ管(118)を形成している空気ノズルと出口ノズル(132)とが固定されているヘッド(107)を備えている手動式圧縮空気スプレー装置に関する。ヘッドには、ベンチュリ管と出口ノズルとの間において、噴霧すべき製品を導入するための導管(15)に直接開口している混合チャンバ(119)が形成されている。出口ノズルは、収束区間(120b)と、該収束区間の下流に配設されている拡大区間(120c)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンチュリスプレー装置と、美容業及び香水製造業における該装置の利用とに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、
ディストリビュータであって、
ヘッドと、
合成材料から成る単一部品にそれぞれ成形されていると共に、ヘッドにそれぞれ組み付けられている空気ノズル及び出口ノズルと、
少なくとも部分的に空気ノズル内に形成されている空気入口導管、空気ノズル内に形成されているベンチュリ管、及び出口ノズル内に形成されている出口導管を上流から下流に向かって少なくとも含んでいる空気循環路であって、ベンチュリ管が空気循環路内に真空領域を形成する空気循環路と、
噴霧すべき製品を導入するための導管であって、略垂直方向に従って延在している空気循環路の真空領域と連通している導入するための導管と、
を備えているディストリビュータと、
空気入口導管と連通している手動式圧縮空気発生器と、
噴霧すべき製品を収容するように適合されているリザーバであって、噴霧すべき製品を導入するための導入するための導管と連通しているリザーバと、
を備えているスプレー装置に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、噴霧すべき製品が、導入するための導管と出口導管との間に設けられた複雑で狭い経路に従う必要があり、これによりこのタイプのスプレー装置が、粉末製品を噴霧するのではなく、液体状の製品を噴霧するように動作可能なスプレー装置の実施例を開示する。
【0004】
さらに、特許文献1に開示される出口導管の形態も、粉末製品を噴霧するに適していない。
【0005】
最後に、特許文献1の空気ノズルは、噴霧すべき製品を吸引可能な真空状態を効果的に実現するに適していない形態を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7080761号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特にこれら欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明におけるスプレー装置は、ヘッドが、空気ノズルと出口ノズルとの間において混合チャンバの境界を形成しており、混合チャンバが、真空領域を形成し、且つ、導入導管の上方に直接配置されており、ベンチュリ管が、収束区間を備えており、出口導管が、外部に向かって開口している拡大区間と、拡大区間の上流に配設された混合チャンバに向かって開口している収束区間とを備えていることを特徴とする。
【0009】
上述の配置によって、本発明におけるスプレー装置は、液体状の製品と同様に、粉末製品を効果的に噴霧するように適合されている。さらに、収束区間を備えているベンチュリ管の形態によって、噴霧すべき製品を効果的に吸引することができる。
【0010】
本発明におけるスプレー装置の様々な実施例では、さらなる構成要素を、以下の構成のうち一方の構成及び/又は他方の構成に付加することができる。
−出口導管が、混合チャンバに向かって開口している入口コーンを備えており、入口コーンが、収束区間の上流に配置され、入口コーンの頂角が、収束区間によって形成された頂角よりも大きく、30°〜60°であること。
−ディストリビュータが、混合チャンバ内において導入するための導管の上方に突出している突出部分を備えていること。
−空気ノズルが、突出部分を形成している先細状の形態をした端部を有していること。
−導入するための導管が、突出部分が自身の上方に張り出している第1の部分と、突出部分が自身の上方に張りだしていない第2の部分とを有している通過区間を有していること。
−ヘッドが、水平に延在しているノズルハウジングを備えており、空気ノズル及び出口ノズルが、ノズルハウジング内に入れ子状に配設されていること。
−空気ノズル及び出口ノズルが、ヘッド内に入れ子状に配設されていること。
−ヘッドが、合成材料によって成形されていること。
−空気入口導管が、第1の区間を有しており、ベンチュリ管が、最小区間を有しており、最小区間が、第1の区間の1%〜6.5%の領域を有していること。
−空気入口導管が、空気ノズルに固定されている先端部内に少なくとも部分的に入れ子状に形成され、手動式圧縮空気発生器に接続されていること。
−ディストリビュータが、空気がベンチュリ管に向かって循環することのみを可能とするように適合されている入口バルブであって、空気入口導管に配置されている入口バルブを備えており、入口バルブが、バネによって、ベンチュリ管に方向付けられているバルブシートに向かって誘導されるバルブ部材を備えていること。
−出口導管が、0.25mm〜1.2mmの出口区間(D3)を有していること。
−ヘッドが、混合チャンバ内において垂直に開口しているウエルを備えており、噴霧すべき製品を導入するための導管の境界を少なくとも部分的に形成している浸漬管が、ウエル内に入れ子状に配設されていること。
−浸漬管の内径が、0.6mm〜2mmであること。
−ヘッドが、付加的な外側包囲部分によって覆われていること。
−手動式圧縮空気発生器が、フレキシブルバルブであること。
−手動式圧縮空気発生器が、ピストン式ポンプであること。
【0011】
さらに、本発明の目的は、粉末製品を噴霧するために、上述のように規定されたスプレー装置を利用することである。この粉末製品は、例えば香水製品や化粧品他である。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面に関連する非限定的な実施例によって提供される幾つかの実施例についての以下の説明によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例におけるスプレー装置の概略図である。
【図2】図1に表わすスプレー装置の垂直断面図である。
【図3】図2の表わす垂直断面図の詳細図である。
【図4】図1及び図2に表わすスプレー装置の部分分解図である。
【図5】図3に表わす実施例に類する本発明の第2の実施例の垂直断面図の詳細図である。
【図6】図4に表わす実施例に類する本発明の第2の実施例の部分分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な図面において、同一の参照符号は同一の又は類似する要素を指示している。
【0015】
図1は、出口オリフィス3によって製品を噴霧するように適合されているディストリビュータ2と、弾性材料又は同等の材料から作られている手動式圧縮空気発生器であって、出口オリフィス3近傍において空気流内に製品を噴霧するために、例えば空気流の状態でディストリビュータ2内に空気を吹き込むことができる前記手動式圧縮空気発生器、例えばフレキシブルバルブ4と、噴霧すべき製品を収容するように適合され、ディストリビュータ2と連通しているリザーバ5と、を備えている携帯式スプレー装置を表わす。
【0016】
リザーバ5の中に収容されている噴霧すべき製品6は、例えば粉末製品であり、特に香水製品や美容製品等である。
【0017】
この粉末製品、特に芳香を有しない粉末化粧品の形態をした組成物は、例えば数マイクロメートル〜200マイクロメートルの粒度分布と、0.6〜1の密度とを有している。このことは、例えば鉱物粉体(例えば雲母、鉱物質顔料等)、有機粉末(ポリアミド、PMMA等)、又はこれら鉱物粉末及び有機粉末の混合物を必要とする。この製品は、例えば有機着色剤のような、無機物担体に定着する混合粉末を収容している場合がある。
【0018】
例えばバルブ4が、該バルブが弾性によって膨張した場合に空気がバルブ4内に流入するが、利用者がバルブ4を押圧した場合に空気が外部に向かって流出しないようになっている空気入口バルブ4aを備えていることに留意すべきである。
【0019】
図2〜図4に表わすように、ディストリビュータ2は、例えばプラスチック材料から成形されているヘッド107を備えている場合がある。ヘッド107は、リザーバを閉じるように、クリップ留め又は他の手段によってリザーバ5のネック8に固定されている。シール9が、適用可能であればヘッド107とネック8との間に挿置されている。
【0020】
最後に、ヘッド107が、適用可能であれば、装飾用の付加的な外側包囲部分31(図1〜図4)によって覆われている。この外側包囲部分は、出口オリフィス3の位置に開口部を有し、ヘッド107をバルブ4に接続している先端部を有している。
【0021】
図示する実施例では、ヘッド107が、略水平軸線Xを中心とする略回転体の形態、例えば円筒状の形態をしているノズルハウジング110によって横断されている。
【0022】
ヘッド107は、略垂直軸線Zに従って延在しているウエル114をさらに備えている。このウエルは、ノズルハウジング110によってその境界が形成されている混合チャンバ119内において、上方に向かって直接開口されている。プラスチック材料から作られている浸漬管15が、ウエル114内に強制的に入れ子状に配設されている。この浸漬管15は、噴霧すべき製品6を導入するための導管の境界を形成し、リザーバ5内において下向きに延在し、噴霧すべき製品6の中に浸かっている。浸漬管の内径は、例えば0.6mm〜2mmである。
【0023】
空気ノズル116は、ノズルハウジング110の後端部111で入れ子状に配設されている。この空気ノズルは、合成材料、特に熱可塑材料から作られている一体部品に成形されている。
【0024】
図4に詳細に表わすように、空気ノズル116の外形は、ノズルハウジングの後端部11を介して強制的に入れ子に配設することができるように、ノズルハウジング10に相補的な形状になっている。
【0025】
空気ノズル116は、軸線Xを中心として形成されている開口部によって横断されている。この空気ノズルは、後方から前方に向かって、例えば軸線Xを中心とする直径D1の回転体の形態である円筒状の先端ハウジング117と、当該実施例では肩部118aによって囲まれているテーパ状の収束部分118と、例えば軸線Xを中心とする直径D2の回転体の形態である円筒状の狭窄導管118bと、を形成している。
【0026】
狭窄導管118bは、空気ノズル116の前端部116aにおいてヘッド107の混合チャンバ119内に開口している。空気ノズルの前端部116aは、混合チャンバ119内に突出し、例えばテーパ状の先細形状になっている。
【0027】
図1〜図4に表わす実施例では、例えばプラスチック材料から成形されている先端部122が、先端ハウジング117内に強制的に入れ子状に配設されている。
【0028】
図3に詳細に表わすように、先端部122が、前端部123と後端部124とを備えている。バルブ4が後端部に密閉状態で固定されている。先端部122の前端部123が、空気ノズル116の後端部外側に嵌め込まれている。先端部は、前端部123の内部に形成されていると共に先端ハウジング117内に入れ子状に配設されている管状部分123aをさらに備えている。先端部122には、軸線Xに従って延在している中央開口部が貫通している。この中央開口部は、後端部から前端部に向かって、比較的小さな直径を有していると共にバルブ4内において後方に向かって開口している上流導管125と、前方に向かって拡開しているバルブシート126とを形成している。
【0029】
空気ノズル116は、入口バルブ28を含んでいる。当該入り口は、バルブ部材29、例えばプラスチック材料等から作られているボールと、先細部分18(又は、例えば先細部分18を囲んでいる肩部118a)を支持していると共に、バルブシート126に接触した状態でバルブ部材を後方に向かって誘導するコイルバネ30とを備えている。
【0030】
出口導管120の境界を形成している出口ノズル132が、ノズルハウジングの前端部112において強制的に入れ子状に配設されている。この出口ノズル132が、付加的な外側包囲部分31内において出口3に対向する側に配置されている凹所内に強制的に入れ子状に配設されている。出口ノズル132が、空気ノズル116に接触するに至るまで延在していないので、これら2つのノズルが、ノズルハウジング110内において、混合チャンバ119を構成する自由空間を形成している。出口ノズル132は、自身の前端部に、外側包囲部分31に当接している外部カラー132aを備えている。
【0031】
出口ノズル132は、後方から前方に向かって(すなわち上流側から下流側に向かって)、
混合チャンバ119に向かって開口していると共に、例えば30°〜60°の比較的大きな頂角βを有し収束している入口コーン120aと、
数度(例えば10°よりも小さい)である比較的小さな頂角γを有している収束区間120bと、
適用可能であれば、小さな円筒状部分(参照しない)と、
第1の実施例の区間に類している拡大区間120cであって、比較的小さな頂角δ(例えば15°よりも小さい)を有していると共に、出口オリフィス3を介して外部に向かって開口している拡大区間120cと、
を備えている。
出口導管内に収束区間120b及び拡大区間120cが設けられているので、粉末材料の凝集によって出口導管120の目詰まりが解消されるか、又は制限される。
【0032】
ヘッド107と空気ノズル116と先端部122と出口ノズル132とによって、空気循環路が形成される。当該空気循環路は、上流から下流に向かって(すなわち当該実施例では、後方から前方に向かって)、上流導管25と、入口バルブ28と、先端部122の下流に配設された先端ハウジング117内に形成されている空気入口導管127と、収束区間118及び導管118bと、混合チャンバ119と、出口導管120と、を備えている。
【0033】
空気ノズル116の収束区間118は、実質的に混合チャンバ119に対応している真空領域を形成するベンチュリ管になっている。当該混合チャンバは、空気が空気循環路内において上流から下流に向かって循環する場合に加圧される。ベンチュリ管が合成材料から成形された一の部品内に形成されるという事実を鑑みると、ベンチュリ管の形態は、如何なる取付誤差とも無関係に、ベンチュリ管が発生させる真空状態が完全に形成されるように完全に規定され、一方のスプレー装置から他方のスプレー装置に至るまで複製される。
【0034】
特に図1〜図4に表わす実施例では、空気入口導管127が、例えば2mm〜3mm(特に2.3mm)である直径D1の円筒状に形成され、収束区間118の最小直径D2が、例えば0.5mm〜0.7mm(特に0.6mm)である。直径比D1/D2が10%〜25%であり、より一般的には、対応する断面積の比が1%〜6.5%である。収束区間118の頂角αは、例えば20°〜40°である。
【0035】
適用可能であればヘッド107が装飾された付加的な外側包囲部分31によって覆われることを考慮すると、ヘッド107は、スプレー装置1の外観様式(exterior style)とは無関係である。さらに、空気ノズル116及び出口ノズル132自体が、スプレー装置1の外観様式とヘッド107のタイプとに関連して、幾つかのタイプのスプレー装置1に利用される標準部品である(幾つかのタイプのヘッド107が、特に幾つかのタイプのリザーバ5に適用させるために、用途に応じて利用可能である)。
【0036】
モジュール式装置自体は、製造容易な熱可塑材料から成る少数の部品から構成された状態で製造されている。当該少数の部品が、圧縮空気発生器、ベンチュリ管、導入される製品、利用者への固定具、及び製品のための出口等への接続に関するすべての機能を実施することができる。これらの部品が、例えば互いに対して単に入れ子状に配設することによって組み立てられる。
【0037】
上述の装置は、以下のように動作する。利用者がバルブ4を押した場合に、このバルブの入口バルブ4aが閉じた状態を維持されるので、バルブ内の空気が圧縮され、該空気がディストリビュータの空気循環に従ってディストリビュータ2内部に吸入される。空気が収束区間118によって形成されたベンチュリ管内を通過した後には、(例えば20mbar〜40mbar単位[すなわち20cm〜40cmの水柱に等しい]で大気圧に対して圧力を低減させることによって)空気流が真空状態を生み出す。
【0038】
この真空状態によって、粉末製品が浸漬管を介して吸引される。粉末製品に凝集物が含まれている場合には、浸漬管15によって境界が形成されている導入導管の上方において混合チャンバ119内に突出している先細状の形態をした前端部116aによって、これら凝集物が砕解される(しかしながら、先細状の形態をした当該前端部が、前端部が先細状の形態をしていること、及び前端部が導入導管を通過する区間を完全にオーバーハングしていないことに起因して、粉末製品の混合チャンバ119内への到達を阻害する)。
【0039】
本発明におけるスプレー装置によって、浸漬管15の下端が製品6内に入り込むとすぐに、リザーバ5内の製品6の高さとは無関係に、バルブ4の最初の動作から略一定量の粉末製品を噴霧可能となることに留意すべきである。
【0040】
図5及び図6に表わす本発明の第2の実施例では、スプレー装置1は、上述のように、出口オリフィス3を備えたディストリビュータ2と、本明細書では手動式ポンプ304から構成された手動式圧縮空気発生器と、例えば上述の粉末製品に類している噴霧すべき製品6を収容しているリザーバ5とを備えている。
【0041】
ディストリビュータ2は、例えばプラスチック材料から成形されると共に、特にクリップ又はその他の手段によってリザーバ5のネック8に固定されているヘッド307と、適用可能であればヘッド7とネック8との間に挿置可能とされるシール9とを備えている。
【0042】
円筒状のノズルハウジング310が、ヘッド7内に配置され、前端部312において外部に向かって開口している。ノズルハウジング310は、前端部312から後端部311に向かって略水平軸線Xに従って延在している。後端部では、側壁が上方に突出しているシャフト311aによってノズルハウジングが上方に延在している。
【0043】
上述のように、ヘッド307は、ノズルハウジング310内において上方に向かって開口していると共に、略垂直軸線Zに対して平行に下方に向かって延在しているウエル314を備えている。プラスチック材料又は他の材料から作られている浸漬管15が、ウエル314内に入れ子状に配設されている。浸漬管は、リザーバ5内に収容されている噴霧すべき製品6内に入り込むまで下方に延在している。浸漬管15自体は、上述のように、ノズルハウジング310によってウエル314の上方且つ内側に形成された混合チャンバ319に向かって、噴霧すべき製品を導くための導管を備えている。
【0044】
合成材料、特に熱可塑材料から成る単一部品に成形された空気ノズル316が、ノズルハウジングの後端部311において強制的に入れ子状に配設されている。空気ノズル316は、ノズルハウジング310の内部形状に相補的な円筒状の外部形状を有している。空気ノズルの内部には、直径D1の円筒状の空気入口導管327が軸線Xを中心として形成されている。入口導管327は、シャフト311aの内側において上方に90°の角度で延在し、空気ノズル316の後端部に配置されている穴316bを通過している。
【0045】
空気入口導管327は、テーパ状の収束区間318に至るまで、空気ノズル316内において前方に向かって延在している。収束区間は、例えば20°〜40°の頂角を有しており、空気ノズルの前方端部316aに配置されている直径D2の短い狭窄路318bに至るまで延在している。直径D1及びD2は、本発明の第1の実施例において既に説明した直径に類している。
【0046】
空気ノズルの前方端部316aは、先細状の形態、特にテーパ状の形態をしており、ウエル314の上方において上述の混合チャンバ319内部に突出している。
【0047】
さらに、出口ノズル332が、ノズルハウジングの前方端部312において強制的に入れ子状に配設されている。出口ノズルの後方端部が、混合チャンバ319の境界に到達しており、出口ノズルの前方端部が、ヘッド307の外側壁に当接するようになっている外部カラー332aを備えている。
【0048】
例えば、出口ノズル332が、混合チャンバ319に向かって開口している先細り状の入口コーン320aを備えている。収束区間320bが入口コーンに続き、その後に適用可能であれば短い円筒状の移行通路、及び最後に直径D3の出口オリフィス3の外側に向かって開口している拡開区間320cが続いている。出口通路320及び出口オリフィス3の形状及び大きさは、上述の第2の実施例の出口通路120及び出口オリフィス3の形状及び大きさと同一であるか、又は類似している。
【0049】
さらに、プラスチック材料から成形されている部品334の先端部322が、上述のシャフト311aに入れ子状に配設されている。先端部322は、軸線Zに対して平行な垂直軸線を中心として回転させた略円筒状に形成されており、上方に向かって収束することによってバルブシート326を形成しているテーパ状部分に至るまで、上方に向かって延在している。バルブシート326は、一般にバルブ部材329によって密閉されている。バルブ部材は、シャフト311aの上端を押圧しているコイルバネ30によって上方に向かって誘導されるようになっている。バルブ部材29及びバネ30は、上述のバルブ部材及びバネと同一であるか、又は類している。バルブ部材29が、バネ30及びバルブシート326と共に、バルブシート326の中央に配置された凹所326aを通じて空気が空気入口導管327内に流入することのみを可能とする空気入口バルブ28を形成している。
【0050】
さらに、プラスチック材料から作られる部品334が、略水平に延在しているピストン335を形成しており、例えば軸線Zを中心としてディスク状に形成されている。
【0051】
ピストン335が、周囲に設けられた1つ又は幾つかのリップ336を備えている。プラスチック材料の成形によって作られた倒置したカップ状の押しボタン337が、リップに入れ子状に配設されている。
【0052】
押しボタン337は、例えば上側蓋部338を備えており、軸線Zを中心とした円筒状のスカート339が、上側蓋部から延在している。このスカートの内壁339aは、ピストンのリップ336上を密閉状態を保ったまま滑動することができる。
【0053】
押しボタンの円筒状のスカート339は、その下端において、フランジリング339b(又は適用可能であれば外部ピン)に至るまで外部に向かって径方向に延在している。フランジリングは、軸線Zを中心とした環状の側壁340の円筒状の内面340aによって、非密閉状態で垂直方向に滑動して案内される。該側壁は、ヘッド307と共に単一部品として形成されている。
【0054】
環状の側壁340は、その上端において、押しボタン337の上方へのスライドを制限するために、フランジリング339bに上方に向かって当接している内側リム341(連続しているか不連続になっているか問わない)を備えている。
【0055】
さらに、空気入口バルブ342がピストン335内に形成されている。空気入口バルブは、外部からの空気が、ピストン335の下方に配置された空間を介して、ピストン335と押しボタン337との間に形成された空間に向かって流入することのみを可能とする。例えば、空気入口バルブ342は、上方に膨出しているテーパ状のオリフィス344を備えている。当該オリフィス自体が、例えばピストン335と共に単一部品から成形され且つヒンジ343aを形成している領域によってピストンに接続されたタブによって形成されているバルブ部材343が当接しているバルブシート345の境界を形成している。
【0056】
さらに、コイルバネ346が、ピストン335と押しボタン337の上側蓋部338との間に挿置されている。
【0057】
最後に、ピストン335は、2つの円筒管状の支持部347によって支持されている。当該支持部は、軸線Zに従ってピストンの下面から下方に延在しており、ヘッド307と一体に成形され且つヘッドから上方に向かって延在している2つの円筒状のほぞ348(tenon)に強制的に入れ子状に配設されている。
【0058】
上述の装置は、以下のように動作する。
【0059】
利用者がバネ346の誘導に抗して押しボタン337を押した場合に、利用者は、ピストン335と押しボタン337との間に形成されたチャンバ内に収容されている空気を圧縮する。これにより、この圧縮された空気は、入口バルブ28を通じて、空気入口導管327に向かって、その後にベンチュリ管を形成している収束区間318に向かって、その後にリザーバ5内に収容された粉末製品6を上方に吸引することによって真空状態が生成される混合チャンバ319に向かって排出される。この粉末製品が、上述のように混合チャンバ319内において空気流と共に混合され、その後に出口導管320を通じて外部に向かって噴霧される。
【0060】
利用者が押しボタン337を解放した場合には、バネ346の誘導によって押しボタンが初期位置に復帰する。この動作の間、空気入口バルブ28は閉じた状態を維持するが、空気入口バルブ342が開くので、空気が、ピストン335と押しボタン337との間に形成されたチャンバ内部に向かって流入するようになる。
【符号の説明】
【0061】
2 ディストリビュータ
4 手動式圧縮空気発生器(フレキシブルバルブ)
5 リザーバ
14 ウエル
15 導管(浸漬管)
29 バルブ部材
30 バネ
31 付加的な外側包囲部分
107 ヘッド
116 空気ノズル
116a 突出部分
118 ベンチュリ管
119 真空領域(混合チャンバ)
120 出口導管
120a 入口コーン
120b 収束区間
120c 拡大区間
126 バルブシート
127 空気入口導管
132 出口ノズル
304 手動式圧縮空気発生器(ピストン式ポンプ)
307 ヘッド
316 空気ノズル
316a 突出部分
318 ベンチュリ管
319 真空領域(混合チャンバ)
320 出口導管
320a 入口コーン
320b 収束区間
320c 拡大区間
326 バルブシート
327 空気入口導管
332 出口ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディストリビュータ(2)であって、
ヘッド(107;307)と、
合成材料から成る単一部品にそれぞれ成形されていると共に、前記ヘッドにそれぞれ組み付けられている空気ノズル(116;316)及び出口ノズル(132;332)と、
少なくとも部分的に前記空気ノズル内に形成されている空気入口導管(127;327)、前記空気ノズル内に形成されているベンチュリ管(118;318)、及び前記出口ノズル内に形成されている出口導管(120;320)を上流から下流に向かって少なくとも含んでいる空気循環路であって、前記ベンチュリ管が前記空気循環路内に真空領域(119;319)を形成する前記空気循環路と、
噴霧すべき製品を導入するための導管(15)であって、略垂直方向(Z)に従って延在している前記空気循環路の前記真空領域(119;319)と連通している前記導入するための導管と、
を備えている前記ディストリビュータ(2)と、
前記空気入口導管(127;327)と連通している手動式圧縮空気発生器(4;304)と、
前記噴霧すべき製品を収容するように適合されているリザーバ(5)であって、前記噴霧すべき製品を導入するための前記導入するための導管(15)と連通している前記リザーバ(5)と、
を備えているスプレー装置において、
前記ヘッド(107;327)が、前記空気ノズル(116;316)と前記出口ノズル(132;332)との間において混合チャンバ(119;319)の境界を形成しており、前記混合チャンバが、前記真空領域を形成し、且つ、前記導入導管の上方に直接配置されており、
前記ベンチュリ管(118;318)が、収束区間を備えており、
前記出口導管(120;320)が、外部に向かって開口している拡大区間(120c;320c)と、前記拡大区間の上流に配設された前記混合チャンバに向かって開口している収束区間(120b;320b)とを備えていることを特徴とするスプレー装置。
【請求項2】
前記出口導管(120;320)が、前記混合チャンバ(119;319)に向かって開口している入口コーン(120a;320a)を備えており、
前記入口コーンが、収束区間(120d;320d)の上流に配置され、前記入口コーンの頂角が、前記収束区間によって形成された頂角よりも大きく、30°〜60°であることを特徴とするスプレー装置。
【請求項3】
前記ディストリビュータ(2)が、前記混合チャンバ(119;319)内において前記導入するための導管(15)の上方に突出している突出部分(116a;316a)を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプレー装置。
【請求項4】
前記空気ノズルが、前記突出部分を形成している先細状の形態をした端部(116a;316a)を有していることを特徴とする請求項3に記載のスプレー装置。
【請求項5】
前記導入するための導管が、前記突出部分(116a;316a)が自身の上方に張り出している第1の部分と、前記突出部分が自身の上方に張りだしていない第2の部分とを有している通過区間を有していることを特徴とする請求項3又は4に記載のスプレー装置。
【請求項6】
前記ヘッド(107;307)が、水平に延在しているノズルハウジングを備えており、
前記空気ノズル(116;316)及び前記出口ノズル(132;332)が、前記ノズルハウジング内に入れ子状に配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項7】
前記空気ノズル(116;316)及び前記出口ノズル(132;332)が、前記ヘッド(107;307)内に入れ子状に配設されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項8】
前記ヘッド(107;307)が、合成材料によって成形されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項9】
前記空気入口導管(127;327)が、第1の区間を有しており、
前記ベンチュリ管(118;318)が、最小区間を有しており、
前記最小区間が、前記第1の区間の1%〜6.5%の領域を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項10】
前記空気入口導管(127;327)が、前記空気ノズル(116;316)に固定されている先端部(122;312)内に少なくとも部分的に入れ子状に形成され、前記手動式圧縮空気発生器(4;304)に接続されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項11】
前記ディストリビュータ(2)が、空気が前記ベンチュリ管(118;318)に向かって循環することのみを可能とするように適合されている入口バルブ(28)であって、前記空気入口導管(127;327)に配置されている前記入口バルブを備えており、
前記入口バルブが、バネ(30)によって、前記ベンチュリ管に方向付けられているバルブシート(126;326)に向かって誘導されるバルブ部材(29)を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項12】
前記出口導管(20;120;220;320)が、0.25mm〜1.2mmの出口区間(D3)を有していることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項13】
前記ヘッド(107;307)が、前記混合チャンバ(119;319)内において垂直に開口しているウエル(14)を備えており、
前記噴霧すべき製品を導入するための導管の境界を少なくとも部分的に形成している浸漬管(15)が、前記ウエル内に入れ子状に配設されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項14】
前記浸漬管(15)の内径が、0.6mm〜2mmであることを特徴とする請求項13に記載のスプレー装置。
【請求項15】
前記ヘッド(107)が、付加的な外側包囲部分(31)によって覆われていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項16】
前記手動式圧縮空気発生器が、フレキシブルバルブ(4)であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項17】
前記手動式圧縮空気発生器が、ピストン式ポンプ(304)であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のスプレー装置。
【請求項18】
粉末製品を噴霧するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載のスプレー装置の利用。
【請求項19】
前記粉末製品が、香水製品及び化粧品から選択されることを特徴とする請求項18に記載の利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−532709(P2010−532709A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514082(P2010−514082)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051242
【国際公開番号】WO2009/007657
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】