説明

ペイント計量シリンダ

【課題】塗装プラントにおいて色を変更するためのリンス運転の時間を短縮し、リンス運転で用いられるリンス剤の量も可能な限り少なく抑える。
【解決手段】ペイント吐き出しノズル10に塗装プラント1用のペイント材料を供給するためのペイント計量シリンダ2およびこのペイント計量シリンダ2を洗浄するための方法。ペイント計量シリンダ2は、少なくとも二つのリンス剤流出口開口部17、19を有した少なくとも一つのリンスデバイスを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイント計量シリンダ用の少なくとも一つのリンスデバイスを備えた、ペイント吐き出しノズルに塗装プラントのためのペイント材料を供給するペイント計量シリンダに関するものである。さらに、本発明は、着脱可能なヘッド閉鎖部を備えた、ペイント吐き出し開口部に塗装プラントのためのペイント材料を供給するペイント計量シリンダに関するものである。さらに、本発明は、塗装プラント、およびペイント計量シリンダをリンスするための方法に関するものである。
【技術背景】
【0002】
塗装プラントは、何年もの間知られており、さまざまな材料に塗装を施すことに成功していることが証明されている。その焦点は、主としてこのタイプの塗装(対象物の着色)を受けた対象物の視覚性/審美性に置かれている。同様に、材料の保護(たとえば、金属の保護塗装)も主要な目的とすることができる。通常、両方を検討することが役割を果たすことになる。基本的に、このタイプの塗装プラントでは、ペイントは、貯蔵容器から供給され、配管またはホースを通して、ペイント吐き出しノズル(たとえば、スプレーガン)へ移送され、そこで吐き出されるようになっている。ペイントは、当該ペイントを最も微細に分散して吐き出すことを可能とするように、したがって光学的に完全な塗装結果を達成するとともにペイント材料を節約することができるように、ペイント吐き出しノズルから高圧下で、細かく噴霧されたペイントミストの形態で放たれる。必要な圧力が使用構成部品により生成および制御される必要があるので、塗装プラントおよびペイント計量システムにとって重要な経費である。さらに、今日の自動化の流れでは、塗装システムの大部分が自動化されることになるはずであるので、たとえばペイント吐き出しノズルがロボットの腕に搭載されることが多いということを考慮に入れておく必要がある。
【0003】
各人の「好みの色」で塗装された製品に対する顧客の需要が増大している。このことにより、多くの分野において、一つの色当たり少量に生産することが増えている。たとえば、塗装業界の製造業者が、同一の色で塗装することができる対象物を可能な限り多く一つのグループに集めようと努力したとしても、このグループが次々に塗装されるので、一回の生産当たり色を変更する回数は増えることは避けられない。とはいっても、このタイプの色変更は問題である。
【0004】
塗装プラントにおいて色を変更するには、常に、ある長さの時間が必要である。リンス運転中、塗装プラントを塗装に用いることができない。さらに、リンス運転においては、ペイントをできるだけ無駄に廃棄しないようにする必要がある。したがって、塗装プラントのリンス運転で用いられるリンス剤の量も可能な限り少なく抑える必要がある。
【0005】
今日にいたるまで、これらの要求に従って、塗装プラントでの損失を低くするために供給量を最小限に抑えるにための開発が既に複数なされている。
【0006】
公知になっているこのタイプの構成は、ペイント放出弁を通じて歯車ポンプへ接続されているフローカップとして入手可能となっている。このフローカップは、大気圧下に置かれている。歯車ポンプでは、ペイントの圧力が霧化に必要となる高圧に至るまで上昇されるようになっている。高圧下にあるペイント材料は、歯車ポンプから供給ホースを通して噴霧器まで移送され、ここで、ペイントミストの形態で吐き出される。フローカップおよび歯車ポンプを備えたこのタイプの塗装プラントの一つの長所は、設置の構成が簡単であるというところにある。さらに、運転中、ペイントを流体貯蔵庫に補充することもできる。このように、簡単で連続的なペイントの計量が可能である。
しかしながら、記載の利点は、いくつかの欠点によって打ち消されている。
【0007】
たとえば、色変更の場合、フローカップを手動で洗浄しなければならない。したがって、フローカップは、リンス剤で充填され、ブラシを用いて手で洗浄される。これは、骨が折れる仕事でありかつ時間のかかる仕事である。ペイント供給ホース、噴霧器および歯車ポンプを自動的に洗浄することは可能であるが、そのような洗浄には長い時間が必要とされ、かなりの量のリンス剤が必要となる。これは、とくに歯車ポンプの洗浄が困難であるということが原因となっている。大歯車を用いているので、洗浄に困難が伴うような歯車ポンプの角度位置が複数存在する。リンス運転の典型的な時間は約2〜5分である。リンス剤に歯車ポンプを通り抜けさせることを可能とするために部分的にバイパス弁を用い、圧縮空気のパルス波を組み合わせたとしても、リンス剤の消費量は非常に多い。他の欠点は歯車ポンプの使用にある。歯車ポンプは運転による損耗する。このことによって、第一に、損耗した歯車ポンプを周期的に交換する必要があるためその費用が発生する。さらに、損耗により、歯車ポンプの移送効果が確実に減少していく。したがって、ポンプ回転速度、ポンプ動作時間などからペイント吐き出し量を求めることができるよう、塗装プラントの規則的な再調節が必要となる。このこともまた、時間のかかる仕事であり、不利な点であることが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
歯車ポンプの使用に関する問題を回避するために、計量シリンダの使用が既に考えられている。このタイプの計量シリンダは、ピストンが変位可能なように設けられているシリンダ状のチューブである。このピストンは、たとえばラック歯車を通じて電動の駆動装置ユニット接続されている。計量シリンダ内の圧力上昇およびペイント投与は、ピストンが変位することにより計量シリンダ内部の容量を変化させることによって実現されている。このことは、計量シリンダが動作による損耗を実質的になんら受けないため大きな利点となる。歯車ポンプでは絶対に必要であったポンプの再調節もなくて済む。次のペイントの充填は計量シリンダの開口を通じて行われる。公知の計量シリンダの開口は、その計量シリンダのシリンダヘッドのネジを抜くことにより実現される。シリンダ内部の高圧を制御することができるように、シリンダヘッドは、一または複数のネジ部材を用いてシリンダ状のチューブの中へ堅固にネジ留めされるようになっている。この欠点は、計量シリンダの開閉が非常に複雑であり時間のかかる作業であるため、通常、数分の範囲の中断が発生することであり、当然望ましくないことである。
【0009】
また、計量シリンダの場合、色変更の際に計量シリンダを洗浄することが必要である。原則として、この洗浄は、計量シリンダのネジを抜き、リンス剤とブラシとを用いて手で洗浄するようにして行われてよい。しかしながら、その一方で、このタイプの計量シリンダ用の自動リンスデバイスも提案されている。このリンスデバイスは、シリンダヘッドの領域に設置され、ピストンが上側の位置に移動したときに内部を洗浄するようになっている。洗浄はいくつかのリンス用の孔を通じて行われる。リンス剤は、シリンダヘッドの領域に存在するいくつかのリンス用の孔を通じてシリンダチャンバの中へ接線方向に沿って噴霧される。少なくとも一つの第一の孔が上方のカバーの方向に向けられ、少なくとも一つの第二の孔が下方のピストンの方向に向けられている。このことにより、それぞれに対応して、リンス剤がピストン表面またはシリンダヘッド表面に向けて掛けられ、最適に洗浄されることになる。リンス剤は、(ペイントにより汚れると)シリンダの中心においてシリンダヘッドの真ん中に設けられた孔を通って排出される。
【0010】
たとえこのタイプの計量シリンダが基本的な点において機能的であったとしても、このタイプの計量シリンダは、依然として、その動作の点において欠点を有していることが分かっている。具体的にいえば、リンス剤の消費量が非常に多いということである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、取り扱いおよび動作に好適な計量シリンダに関するものである。さらに、本発明は、リンス方法の改良に関するものである。
【0012】
この目的のために、本発明の実施形態は、少なくとも二つのリンス剤流出口開口部を有したリンスデバイスを備えている上述のタイプのペイント計量シリンダを提供している。驚くべきことには、リンス剤流入口開口部の数および配置のみがリンス方法の質、速度および効率に対する要因ではなく、リンス剤流出口開口部もリンス効果に主要な役割を果たしていることが分かってきている。リンス剤流出口開口部の影響は、リンス剤流入口開口部の影響より大きい場合が多い。本発明者等は、たとえば、リンス運転中にシリンダ内側壁またはピストン内側壁からペイント残留物を分離することが問題の解決策の一部でしかないと確証している。さらに、この解決策では、既に分離されたペイント残留物もシリンダ壁から離れて移動し、シリンダ内部から離れて外方に運ばれることとなる。リンス剤は、計量シリンダの中へ接線方向に沿って吹き掛けられると、シリンダヘッド内において、円形状の軌道または螺旋状の軌道に沿ってペイント残留物と一緒に移動する。ペイントの小滴は、遠心力により外方に向けて運ばれる。ここで、ペイント計量シリンダの場合のように、リンス剤流出口開口部が計量シリンダの中央に設けられている場合、計量シリンダ内の流れが、シリンダヘッドカバー内の中央孔の方向に向かう流れ成分を有しているが、この流れは、遠心力のせいで、すべてのペイント粒子を一緒に運んで行くことが出来ない。したがって、一つだけでなく少なくとも二つ以上のリンス剤流出口開口部が設けられれば、ペイント計量シリンダのリンス効果が向上することが明らかである。これらは、ペイント計量シリンダの壁の異なる領域に設けられることが好ましい。
【0013】
少なくとも一つのリンス剤流出口開口部が接線方向に沿って配設されることが好適であり、および/または、少なくとも一つのリンス剤流出口開口部がペイント計量シリンダの中央、とくに軸方向に沿って配設されることが好適である。開口部の軸方向または接線方向の位置調整とは、具体的にいえば、開口部が使用状態にあるとき、開口部、および/または、開口部を流れる流体の主要な流れ方向の機械的な位置調整であると理解されるべきである。中央に配置され、任意選択的に軸方向に沿って配設された開口部から出ていくリンス剤は、大量のペイントを取り除く大まかなリンス運転が行われる場合にとくに好適である。また、この開口部は、ペイント粒子残留物を初期段階で分離する場合にも好適である。接線方向に沿って配設されたリンス剤流出口開口部は、既に分離されたペイント残留物を計量シリンダのキャビティから効果的に運び出すのにとくに好適である。計量シリンダの半径方向外側領域に設けられているこのタイプの接線方向に沿って配設されたリンス剤流出口開口部の場合、渦流を発生させてペイント粒子に作用する遠心力は好ましいものであり、ペイント計量シリンダの内部からペイント粒子を運び出すのに非常に好適である。これらのリンス剤流出口開口部は、同時に開かれてもよいし、または、順々に開かれてもよい。また、それらを混合した形式も可能である。適切な制御可能弁を対応する制御のために設けることができる。
【0014】
少なくとも一つのリンス剤流入口開口部、具体的にいえば接線方向に沿って配設されるたった一つのリンス剤流入口開口部を設けることができる。接線方向に沿った噴霧により、ペイント粒子、とくにペイント計量シリンダの内部の外周壁に付着したペイント粒子を分離する渦が形成される。リンス剤流入口開口部から吐き出されたリンス剤をシリンダ内側壁上で上方および下方に向けて均等に分散することができるので、一つだけの(水平に設けられた)接線方向リンス剤流入口開口部を設けることは完全に理にかなったものである。先行技術では、ピストン表面またはシリンダヘッド内側表面を効果的に洗浄にすることを可能にするためには、吹き込まれたリンス剤が軸方向成分を有していなければならないと今日まで考えられてきた。
【0015】
ペイント計量シリンダのヘッド領域に少なくとも一つのリンスデバイスを設けることが好適である。この場合、ペイント計量シリンダが一つの小さな内部のみを有している場合、このリンスデバイスが有効である。このことにより、リンス運転中に消費されるペイント量を削減することができる。それと同時に、リンス運転もより迅速にそして少ないリンス剤を用いて行うことができる。
【0016】
さらに、少なくとも一つのリンス剤流入口開口部に対して、少なくとも二つの異なる媒体、具体的にいえば二つの異なるリンス剤ならびに/または一つのリンス剤および一つの気体媒体を用いることが可能である。この異なる媒体による洗浄は、同時に(リンス剤/気体混合物)行われてもよいしまたは連続的に(たとえば2つのリンス剤)行われてもよい。異なるリンス剤を用いる場合、これらを異なるプロセス段階で投入することができ、ここでは、これらのリンス剤はそれぞれ対応してリンス機能が最適化されている。提案したリンス剤/気体混合物を吹き込むことによって、リンス運転の効果をさらに向上することができる。空気を追加すること、具体的にいえば圧縮空気パルス(または、他の気体パルス)を追加することが好ましい。具体的にいえば、これによって、リンス運転の速度をあげることができ、リンス剤の必要量を減らすことができる。
【0017】
ペイント計量シリンダのペイント受け入れチャンバを電気的に絶縁された構成とすることが可能である。ピストン、シリンダ形状のチューブおよびシリンダヘッド(スプレーガンを含む)をその環境に対して電気的に絶縁されるように構成することによって、このことを達成することができる。これに加えて、ピストンの駆動装置(たとえば、被駆動大歯車が噛み合うラック歯車)を電気的に絶縁されるように具象化することができる。たとえばラック歯車を備えた具体例では、ラック歯車を絶縁体から構成することができる。したがって、ペイントの損出が少ない静電塗装方法を容易に実現することが可能となる。
【0018】
さらに、着脱可能なヘッド閉鎖部を備えた、ペイント吐き出し開口部に塗装プラント用のペイント材料を供給するためのペイント計量シリンダが提案されており、このペイント計量シリンダは、少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイスがヘッド部の取り付けに用いられるようにさらに形成される。このタイプの迅速に係止可能な閉鎖デバイスを用いることで、ヘッド部を容易にかつ迅速に除去および交換することができる。このことは、時間の観点から生産の中断を最小限に抑えることができるので、ペイント材料のいかなる変更に対しても非常に有利である。ペイント計量シリンダに圧力が生じるので、ネジ付きのカバーストレス(screw−top stresses)がペイント計量シリンダの適切な密閉を達成するために欠かすことができないものであると今日まで考えられてきたが、本発明者等は、迅速に係合可能な閉鎖デバイスを用いることで適切な密閉を達成することができることを立証することができた。
【0019】
迅速に係止可能な閉鎖デバイスを自己係合する迅速に係止可能な閉鎖デバイスとして具象化することが可能である。このことは、少なくとも迅速に係止可能な閉鎖デバイスが前もって適切に閉められたとき、ある動作荷重の下でそれ自体を閉鎖位置に保持するような係止可能な閉鎖デバイスが具象化されることを意味している。適切な突出部、凹部、引き込み用傾斜、アンダーカットなどによりこのような係止可能な閉鎖デバイスを達成することができる。
【0020】
少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイスがバヨネット閉鎖デバイスとして具象化されることが好適である。このタイプのバヨネット閉鎖部材は、実用的であるとともに、迅速に係止可能な閉鎖デバイスとして提示されている目的に対して非常に好適であることが証明されている。バヨネット閉止部材自体が知られているので、作業員の適応時間を最小限に抑えることができる。
【0021】
少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイスを好ましくはヘッド閉鎖部の回転運動により閉じることができるようにすることが可能である。適切なレバーの長さが提供されれば、回転運動により非常に大きな力を正確に実現することができる。具体的にいえば、回転運動により、ヘッド閉鎖部をその他のペイント計量シリンダの部分に堅固に押し付けることができるようになる。
【0022】
さらに、ペイント計量シリンダの堅固な閉鎖を検出するための閉鎖検出デバイスを提供することが可能である。このタイプの閉鎖検出デバイスは、たとえばヘッド閉鎖部が明確に閉まっていない恐れがある場合にシステムが動作すること(ペイントの押し出しおよび/またはリンス運転の実行)を防止することができる。システムが動作してしまえば、システムの部分または作業員に対して危険なこととなり、当然望ましくないことである。
【0023】
着脱可能なヘッド閉鎖部を備えた上述のペイント計量シリンダを既に記載された特徴のうちの一つといかなる所望の方法で組み合わせてもよい。この場合、先の場合と同様、その対応する利点を有することになる。
【0024】
具体的にいえば、既に記載された構成に従うまたはさらなる発展のために提示された可能性に従う少なくとも一つのペイント計量シリンダを備えた塗装プラントは有利である。このタイプの塗装プラントは、既に記載された利点を同様に有している。
【0025】
さらに、第一のリンス段階で供給されるリンス剤が第一のリンス剤流出口開口部から出ていき、第二のリンス段階で供給されるリンス剤も第二のリンス剤流出口開口部から出ていくペイント計量シリンダを洗浄するための方法が提案されている。異なるリンス剤流出口開口部を用いるこのタイプの二段階式の方法が非常に効果的なリンス方法であることが証明されている。具体的にいえば、リンス時間およびリンス剤の消費を著しく削減することができる。このことは、さらなるリンス段階を提供することを除外するものではない。それぞれのリンス段階で供給されるリンス剤は、同一のタイプであってもよいしまたは異なるタイプのものであってもよく、また、任意選択的にさらなる媒体とともに(少なくとも部分的にパルスとして実施することができる圧縮空気と組み合わせて)運ばれてもよい。また、第一のリンス段階と第二のリンス段階との間の時間において、両方のリンス剤流出口開口部を同時に開けておくことも可能である。ペイント計量シリンダのそれぞれの幾何学形状およびそれぞれに用いられるペイントに応じて、それぞれのパラメータ化を調節することができる。
【0026】
具体的にいえば、リンス段階のうちの一つの間、とくに第一のリンス段階の間において、中央に配設された、とくに軸方向に沿って配設されたリンス剤流出口開口部からリンス剤を吐き出させることが可能である。大量のペイントを洗浄するにあたってまたはペイント計量シリンダの内側壁に付着するペイント残留物を初めに効果的に分離するにあたって、第一のリンス段階が非常に効果的である。
【0027】
また、リンス段階のうちの一つの間、とくに第二のリンス段階の間において、接線方向に沿って配設されたリンス剤流出口開口部からからリンス剤を吐き出させることがさらに可能である。このタイプのリンス剤の吐き出しは、既に分離されペイント粒子をペイント計量シリンダの内部から外にガイドするのにとくに好適である。
【0028】
気体圧力パルスによるリンス剤への作用(混合)を、リンス段階のうちの少なくとも一つの間で起こさせることが好ましい。このことにより、リンス運転の効果をさらに向上させることができる。
【0029】
これに加えてまたはこれに代えて、少なくとも二つの異なるリンス剤を用いることが可能である。具体的にいえば、異なるリンス剤を異なるリンス段階で用いることができる。また、ここでも、リンス効果を任意選択的に向上させることができる。
【0030】
本発明にかかる実施形態は、塗装プラントのためのペイント材料をペイント吐き出しノズルに供給するためのペイント計量シリンダに関するものである。このペイント計量シリンダは、少なくとも二つのリンス剤流出口開口部を有した少なくとも一つのリンスデバイスを備えている。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも二つのリンス剤流出口開口部のうちの少なくとも一つが接線方向に沿って配設されており、少なくとも二つのリンス剤流出口開口部のうちの少なくとも一つが中央に配設されている。
【0032】
いくつかの実施形態の態様によれば、少なくとも一つが中央に配設されているリンス流出口開口部が軸方向に沿って配設されている。
【0033】
ペイント計量シリンダは少なくとも一つのリンス剤流入口開口部をさらに備えうる。この少なくとも一つのリンス剤流入口開口部が、接線方向に沿って配設されうる。これに加えて、この少なくとも一つのリンス剤流入口開口部が一つのリンス剤流入口開口部のみでありうる。
【0034】
本発明の特徴によれば、ペイント計量シリンダはヘッド領域を有している。上記の少なくとも一つのリンスデバイスがこのヘッド領域に形成されている。
【0035】
さらに、少なくとも一つのリンス剤流入口開口部が少なくとも二つの異なる媒体を受け取るように接続されうる。これらの異なる媒体が、二つの異なるリンス剤と、一つのリンス剤および一つの気体媒体とのうちの少なくとも一方でありうる。
【0036】
他の実施形態によれば、ペイント計量シリンダが電気的に絶縁されたペイント受け取りチャンバを有しうる。
【0037】
本発明の実施形態は、塗装プラントのためのペイント材料をペイント吐き出し開口部に供給するためのペイント計量シリンダに関するものである。ペイント計量シリンダは、着脱可能に取り付け可能なヘッド閉鎖部と、このヘッド閉鎖部へ取り付けるように構成および配置された少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイスとを備えている。
【0038】
この実施形態の特徴によれば、少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイスは、回転運動によって閉鎖可能なまたはヘッド閉鎖部の回転によって閉鎖可能な、自己係合する迅速に係止可能な閉鎖デバイスであるバイオネット閉鎖デバイスを含みうる。
【0039】
他の実施形態によれば、ヘッド閉鎖部の正しい着座を検出するように閉鎖検出デバイスを構成および配置しうる。
【0040】
ヘッド閉鎖部は、変位可能な要素を有したシリンダヘッド閉鎖部を含みうる。これらの変位可能な要素は、ねじりおよびずらしのうちの一つにより変位可能でありうる。さらに、ペイント計量シリンダがシリンダヘッドを有しうるし、また、シリンダヘッド閉鎖部がシールを具備したカバー要素と回転可能な閉鎖要素とを有しうる。このカバー要素は、シリンダヘッドを閉じるのに軸方向に沿って移動可能でありうる。
【0041】
さらに他の実施形態によれば、ペイント計量シリンダは、少なくとも二つのリンス剤流出口開口部を有した少なくとも一つのリンスデバイスを備えうる。
【0042】
本発明の実施形態は塗装プラントに関するものである。この塗装プラントは、少なくとも二つのリンス剤流出口開口部を具備した少なくとも一つのリンスデバイス有するペイント計量シリンダと、ペイント吐き出しノズルとを備えている。ペイント計量シリンダは、ペイント吐き出しノズルにペイント材料を供給する。
【0043】
本発明の実施形態は塗装プラントに関するものである。この塗装プラントは、着脱可能に取り付け可能なヘッド閉鎖部と、このヘッド閉鎖部へ取り付けるように構成および配置された少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイスとを備えている。ペイント材料は、ヘッド閉鎖部を経由してペイント吐き出し開口部に供給される。
【0044】
本発明の実施形態は、ペイント計量シリンダを洗浄するための方法に関するものである。この方法は、ペイント計量シリンダの第一のリンス剤流出口開口部から出ていく第一のリンス剤を供給することと、ペイント計量シリンダの第二のリンス剤流出口開口部から出て行く第二のリンス剤を供給することとを含んでいる。
【0045】
本発明の特徴によれば、第一の流出口開口部および第二の流出口開口部のうちの一つが中央に配設されている。さらに、第一の流出口開口部は、中央かつ軸方向に沿って配設されている。これに加えてまたはこれに代えて、第一の流出口開口部および第二の流出口開口部のうちの一つが接線方向に沿って配設されている。さらに、第二の流出口開口部が接線方向に沿って配設されている。
【0046】
本発明の実施形態の他の特徴によれば、気体圧力パルスが第一のリンス剤および第二のリンス剤のうちの少なくとも一つに作用することができる。
【0047】
本発明のさらに他の実施形態によれば、第一のリンス剤および第二のリンス剤が異なるリンス剤であるかまたは第一のリンス剤および第二のリンス剤が同一のリンス剤である。
【0048】
本発明の他の例示の実施形態および利点に関しては、本明細書および添付の図面を調べることにより確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明は、当該本発明の例示のみを意図し限定を意図していない実施形態を複数の図面を参照して下記の詳細な説明に記載されており、記載の図面のいくつかの図において、同様な参照数字は同様な部品を表している。
【図1】計量シリンダを備えた塗装プラントを示す概略図である。
【図2】上方から見たときの流体用の開口部の配置を示す概略図である。
【図3】計量シリンダ壁の流体用の開口部の配置を示している。
【図4】上方から見たときのシリンダヘッド閉鎖部を示している。
【図5】計量シリンダ壁内のバヨネット式閉鎖係合を示している。
【図6】シリンダヘッド閉鎖部を示す略式の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書に記載の詳細事項は、例示のみを意図し、本発明の実施形態を分かり易く説明することを目的としており、また、本明細書に記載の詳細事項は、本発明の原理および概念を最も役に立ち、かつ、容易に理解できると思われる説明を提供するために提示されている。この点において、本発明の基本を理解するために必要となる以上の構成上の詳細事項は示されておらず、図面での説明は、本発明の複数の形態を実施する方法を当業者に明らかにするためのものである。
【0051】
図1は、計量シリンダ2をペイント供給源としてまたはペイントを吐き出すためのブースタポンプとして用いている塗装プラントのさまざまな構成部品を示す概略図である。ペイントは、計量シリンダ2のキャビティ3に充填されており、このキャビティは、シリンダ壁4、変位可能なピストン5および着脱可能に取り付けられたシリンダヘッド閉鎖部6によりその範囲が画定されている。シリンダ壁3内でピストン5を変位させることによってキャビティ3の容量を変えることができる。ピストン5を変位させるために、ピストン5はラック歯車7を通じて駆動装置ユニット8に接続されている。この場合、電気モータ9が駆動装置ユニット8の駆動装置として用いられている。計量シリンダ2またはスプレーガンl0から電気モータ9(電源を含む)を電気的に分離するために、ラック歯車7を電気絶縁体からなしてあってもよい。計量シリンダ2またはスプレーガン10を高電圧レベルに設置することが可能となり、したがって静電塗装が可能となる。
【0052】
塗装プラント1の噴霧運転においては、駆動装置ユニット8は、ピストン5を内側に向けて、すなわちシリンダヘッド閉鎖部6の方向に向けて移動させる。キャビティ3の容量が小さくなる。このことにより、キャビティ3にあるペイントが、流出口チャンネル11を経由してペイントライン12の中に移動され、このラインは、電気的に制御可能なシャトル弁13を経由してスプレーガン10へと通じている。ここで、ペイントは、微細なペイントミスト14としてスプレーガン10から噴霧される。スプレーガン10は、手動スプレーガンとして具象化または形成されて、ユーザ(塗装工)によりガイドされるようにしてもよい。また、スプレーガン10をたとえばロボットの腕に搭載することも可能である。
【0053】
計量シリンダ2のキャビティ3内にあるペイントが他の場所に漏洩することができないように、ピストン5とシリンダ壁4との間にピストンリング15が設けられている。同様に、シリンダヘッド閉鎖部6とシリンダ壁4との間にシール用リング16が設けられている。シール用リング16は、シリンダヘッド閉鎖部6の溝状の凹部内に部分的に収納されている。
【0054】
三つのアクセス用開口部17、18、19が、基本的に計量シリンダ2のキャビティ3に通じている。
【0055】
第一のアクセス用開口部は、中心軸開口部17として形成されている。中心軸開口部17は、シリンダヘッド閉鎖部6に形成された流出口チャンネル11に通じ、そこからペイントライン12へと通じている。下記の記載に詳細に説明されているが、塗装プラント1の運転条件に応じて、それは、ペイントの吐き出しまたはリンス液の吐き出しに用いられる。
【0056】
下記の記載に詳細に説明されているように、接線方向流入口開口部18および接線方向流出口開口部19は、リンス剤供給用開口部18およびリンス剤流出口開口部19として設けられている。接線方向流入口開口部18および接線方向流出口開口部19は、シリンダ壁4の接線方向に向けて配設されている。接線方向は、厳密な数学的な意味での接線方向を意味していない。つまり、接線方向供給用開口部18または接線方向流出口開口部19はある半径方向の成分も有している。たとえば、これらの開口部は、正確な接線方向に対して0〜15°、とくに5〜10°の角度を有することができる。
【0057】
接線方向流入口開口部18はリンス剤供給ライン20に接続されており、接線方向流出口開口部19はリンス剤流出口ライン21に接続されている。リンス剤流入口ライン20およびリンス剤流出口ライン21には、それぞれ対応して、ライン20およびライン21の流路を開放または閉鎖することができる気圧式に切り替え可能または電気式に切り替え可能なオン−オフ弁22およびオン−オフ弁23が設けられている。また、接線方向流入口開口部18に圧力パルス源をさらに接続することも可能である。圧力パルス源のための流入口開口部を別個にシリンダ壁4内に設けることも考えられている。
【0058】
塗装プラント1の運転の開始時点では、ピストン5は、駆動装置ユニット8によって、最下側位置に移動される。塗装プラント1の操作者は、ハンドル24を用いてシリンダヘッド閉鎖部6を開く。このためには、シリンダジャケット4を当該シリンダジャケットの軸を中心として接線方向に回転させることが必要となる。次いで、操作者は、計量シリンダ2のキャビティ3へのアクセスが自由になるようにシリンダヘッド閉鎖部6を上方に向けて移動させる。次いで、ユーザはペイントをキャビティ3に充填することができる。次いで、ユーザは、シリンダヘッド閉鎖部6で計量シリンダ2を閉じる。
【0059】
シリンダヘッド閉鎖部6がシリンダジャケット4内に正確に納まったかは、安全スイッチ25が監視するようになっている。シリンダヘッド閉鎖部6がシリンダジャケット4内に正確に納まらなかった場合、塗装運転を開始することができないようになっている。
【0060】
シリンダヘッド閉鎖部6が一種のバイオネット閉鎖部材を用いてシリンダ壁4に取り付けられるようになっているので、開閉を非常に迅速にかつ簡単に行なうことができる。充満作業全体を著しく短縮することができる。
【0061】
塗装運転それ自体は、ピストン5を計量シリンダ2の中へゆっくりと押し込んでいくことにより行われる。ピストン5の駆動装置7、8がいかなる運転上の損耗も基本的には受けないので、供給量を駆動装置ユニットの移動速度により調節することができる。たとえば歯車ポンプでは必要な再調節を必要としない。したがって、吐き出されるペイントの計量を非常に正確に行うことができる。
【0062】
キャビティ3にあるペイントがほとんど完全に吐き出されかつピストン5がその上端位置に達したとき、計量シリンダ2のキャビティ3のリンス運転が行われる。
【0063】
この目的のため、二段階リンス方法が開始される。第一の段階では、第一のオン−オフ弁22が開弁され、シャトル弁13のスイッチ位置が変更される。このスイッチ位置では、リンス剤が、リンス剤供給ライン20および接線方向流入口開口部18を通り、計量シリンダ2のキャビティ3の中へ接線方向に沿って流れていく。流体の流れが形成されると、計量シリンダ2のキャビティ3を画定している面に堆積したペイント粒子が効果的に取り除かれる。シャトル弁13のスイッチ位置では、吹きかけられたリンス剤を、中心軸開口部17、流出口チャンネル11、ペイントライン12(今、リンス吐き出し管12として用いられている)、シャトル弁13および吐き出し管26を経由させて吐き出すことができる。
【0064】
たとえば10秒の時間が過ぎると、弁13が完全に開弁されかつ第二のオン−オフ弁23が開弁されるようにシャトル弁13のスイッチ位置が再び変更される。第一のオン−オフ弁22は変更されずに開弁位置のまま留まっている。ここで、接線方向流入口開口部18を通じて流入したリンス液は、接線方向流出口開口部19およびリンス剤流出口ライン21を通じて排出される。リンス液が接線方向に沿って流入するため、キャビティ3に残っているペイント粒子は、シリンダ壁4に向かう方向の遠心力により外方に向けて移動する傾向がある。したがって、ペイント粒子は、このように中心軸開口部17を避ける傾向がある。ここでリンス剤の流出が接線方向流出口開口部19により行われるため、この第二のリンス段階における遠心力は、もはや欠点として働くのではなく、それとは反対に働きを促進する効果を奏するようになる。
【0065】
リンス運転が終わると、二つのオン−オフ弁22、23が再び閉弁し、シャトル弁13のスイッチ位置が再び変更され、計量シリンダ2のピストン5が駆動装置ユニット8により下方に向けて移動され、そして、計量シリンダ2が再び充填すべく利用可能となる。
【0066】
図2および図3には、さまざまな流入口および流出口の開口部17、18、19の種類および配置が示されている。シリンダ壁4内の接線方向流入口開口部18および接線方向流出口開口部19は、それぞれ基本的に接線方向に沿って配置されている。シリンダ壁4から内側に向けてキャビティ3の中に基本的に何も突出しないように、流入口開口部18または流出口開口部19は一種のシンクとしてシリンダ壁4に具象化されている。図2からとくに明らかなように、接線方向流入口開口部18および接線方向流出口開口部19は互いに反対方向に向けて配設されている。したがって、計量シリンダ2の内部3では渦の形成が増え、洗浄がより向上することになる。さらに、接線方向流入口開口部18および接線方向流出口開口部19は、一方が他方の上に配設され、すなわち、一方が他方からずらされている。これらの二つの接線方向開口部18、19は、相互に悪い影響を与えないので、洗浄効果がさらに増大されることになる。なお、接線方向流入口開口部18および接線方向流出口開口部19がほぼ同一の半径方向位置(互いに対するズレが0°)に配設される必要はない。つまりこれに代えて、たとえば角度が30°、45°、60°、90°、120°、145°、160°、180°、210°、225°、240°、270°、310°、325°、330°の如き異なる半径方向位置を用いてもよい。
【0067】
図2に示されている中心軸開口部17はシリンダヘッド閉鎖部6に形成されている(図1を参照)。これは、シリンダ壁4の半径の中心の位置に基本的に設けられている。しかしながら、たとえば流れ工学または生産工学によれば、わずかなズレが有利に働く場合があることが分かっている。
【0068】
図4〜図6には、シリンダヘッド閉鎖部6のためのバヨネットタイプの閉鎖部材が詳細に示されている。図4は、上方から見たシリンダヘッド閉鎖部6を示す概略平面図である。図6は、シリンダヘッド閉鎖部6を示す概略断面図である。
【0069】
図6にとくに分かり易く示されているように、シリンダヘッド閉鎖部6は、基本的に二つの円板状の主組立体27、28からなっている。上側リング27はハンドル24と複数のピン29とを有しており、これらのピン29は、それぞれ対応するシリンダ壁4の係合用の凹部30の中に突出するようになっている(図5を参照)。上側リング27は、下側円板28に確実に接続されるようになっている。この確実な接続は、上側要素27と下側要素28とを互いに対してねじることができるが、互いに対して上げることができないようなものとして形成されている。流出口チャンネル11は下側円板28の中心の位置に設けられており、この流出口チャンネルは、計量シリンダ2のキャビティ3の片側面に中心軸開口部17を形成している。この場合、流出口チャンネル11の他方の端部には、ネジ山31が設けられ、その上にペイントライン13をネジ込めるようになっている。さらに、下側円板28の半径方向外側の領域には、シール用リング16を配設するための受け入れ用の溝が設けられている。
【0070】
このように構成することにより、シリンダを閉じるのに必要となるリング27の回転運動の際に、この回転にともなって、円板28に取り付けられたシール用リング16が接線方向に向けて回転することを回避することができるようになる。このことにより、シール用リング16の損耗を著しく減らすことができる。
【0071】
シリンダヘッド閉鎖部6がユーザによりシリンダ壁4に取り付けられるようになっている場合、まず、ユーザは、シリンダヘッド閉鎖部6の上側リング27のピン29をシリンダ壁4内の係合用凹部30の軸領域32に取り付ける。次いで、ユーザは、ピン29をシリンダ壁4内の係合用凹部30の挿入用の傾斜33に沿って摺動させるように、ハンドル24を用いて互いに対して二つの円板28、27を回転させる。このようにして、シリンダヘッド閉鎖部6が計量シリンダ2の中に押し込まれる。ピン29は、突起部34を越えて、シリンダ壁4内の係合用凹部30のアンダーカット領域35に至る。このようにして、シリンダヘッド閉鎖部6が計量シリンダ2上の適切な位置にしっかりと保持される。これに加えて、係合用凹部30のアンダーカット領域35内のピン29の終端位置は、ヒューズスイッチ25によって検出されるようになっている。これらのヒューズスイッチ25がシリンダヘッド閉鎖部6の正しい嵌め合いを信号で伝えると、塗装プラント1を始動することができるようになる。
【0072】
先の具体例では、3つ、4つまたは5つのピン29または係合用凹部30が適切であることが示されているが、それに代えて、一つのヒューズスイッチ25を一つの係合用凹部30にのみに設けることでも十分足りる。係合用凹部30またはピン29は、それぞれ対応して互いに同一の半径方向距離を有することができる。しかしながら、ピン29の互いに対する半径方向距離を変えることにより、計量シリンダ2に対する位置が回転によっても固定されているシリンダヘッド閉鎖部6を実現することが可能である。
【0073】
なお、先の実施形態は説明のみを意図したものであり、本発明を制限することを意図したものとして理解すべきではない。本発明が例示の実施形態を参照して説明されているが、特筆すべき点は、本明細書で用いられている文言は、限定のための文言というよりはむしろ記述および説明のための文言であるということである。現在において記載されているおよび補正されている添付の特許請求の範囲内において、本発明の技術範囲および技術思想から逸脱することなく変更を加えることが可能である。本発明は、特定の手段、材料および実施形態を参照して記載されているが、本明細書に記載の詳細な事項に限定することを意図したものではなく、さらに正確にいえば、添付の特許請求の範囲内に含まれる機能的に等価な構造、方法および用途をすべて網羅するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装プラント1のためのペイント材料をペイント吐き出しノズル10に供給するためのペイント計量シリンダ2であって、
少なくとも二つのリンス剤流出口開口部17、19を有している少なくとも一つのリンスデバイスを備えてなる、ペイント計量シリンダ2。
【請求項2】
前記少なくとも二つのリンス剤流出口開口部のうちの少なくとも一つ19が接線方向に沿って配設されており、前記少なくとも二つのリンス剤流出口開口部のうちの少なくとも一つ17が中央に配設されてなる、請求項1に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項3】
前記中央に配設された前記リンス流出口開口部17が軸方向に沿って配設されてなる、請求項1または2に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項4】
少なくとも一つのリンス剤流入口開口部18をさらに備えてなる、請求項1から3のいずれか1項に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項5】
前記少なくとも一つのリンス剤流入口開口部18が接線方向に沿って配設されてなる、請求項1から4のいずれか1項に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項6】
少なくとも一つのリンス剤流入口開口部18が単一のリンス剤流入口開口部である、請求項1から5のいずれか1項に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項7】
ヘッド領域をさらに備えており、前記少なくとも一つのリンスデバイスが、前記ヘッド領域に形成されてなる、請求項1に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項8】
少なくとも一つのリンス剤流入口開口部18が、少なくとも二つの異なる媒体を受け取るように接続されてなる、請求項7に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項9】
前記異なる媒体が、二つの異なるリンス剤と、一つのリンス剤および一つの気体媒体とのうちの少なくとも一方を有してなる、請求項7または8に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項10】
電気的に絶縁されたペイント受け入れチャンバ3をさらに備えてなる、請求項1から9のいずれか1項に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項11】
塗装プラント1のためのペイント材料をペイント吐き出し開口部10に供給するためのペイント計量シリンダ2であって、
着脱可能に取り付け可能なヘッド閉鎖部6と、
前記ヘッド閉鎖部6へ取り付けるように構成および配置された少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイス27と、
を備えてなる、ペイント計量シリンダ2。
【請求項12】
前記少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイス27が、自己係合する迅速に係止可能な閉鎖デバイスを含んでなる、請求項11に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項13】
前記少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイス27が、バヨネット閉鎖デバイス29を含んでなる、請求項11に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項14】
前記少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイス27が、回転運動により閉鎖可能に構成されてなる、請求項11に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項15】
前記少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイス27が、前記ヘッド閉鎖部6の回転により閉鎖可能に構成されてなる、請求項11に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項16】
前記ヘッド閉鎖部6の正しい着座を検出するように構成および配置された閉鎖検出デバイス25をさらに備えてなる、請求項11から15のいずれか1項に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項17】
前記ヘッド閉鎖部6が、変位可能な要素29を有したシリンダヘッド閉鎖部6を含んでなる、請求項11から16のいずれか1項に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項18】
前記変位可能な要素29が、ねじりおよびずらしのうちの一つにより変位可能となっている、請求項17に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項19】
シリンダヘッドをさらに備えており、前記シリンダヘッド閉鎖部6が、シール16を具備したカバー要素28と、回転可能な閉鎖要素27とを有しており、前記カバー要素28が前記シリンダヘッドを閉じるために軸方向に沿って移動可能に構成されてなる、請求項18に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項20】
少なくとも二つのリンス剤流出口開口部17、19を有する少なくとも一つのリンスデバイスをさらに備えてなる、請求項11から19のいずれか1項に記載のペイント計量シリンダ。
【請求項21】
塗装プラントであって、
少なくとも二つのリンス剤流出口開口部17、19を具備した少なくとも一つのリンスデバイスを有しているペイント計量シリンダ2と、
ペイント吐き出しノズル10と、を備えており、
前記ペイント計量シリンダ2が、前記ペイント吐き出しノズル10にペイント材料を供給してなる、塗装プラント。
【請求項22】
塗装プラントであって、
着脱可能に取り付け可能なヘッド閉鎖部6と、
前記ヘッド閉鎖部6へ取り付けるように構成および配置された少なくとも一つの迅速に係止可能な閉鎖デバイス27と、
ペイント吐き出し開口部10と、を備えており、
ペイント材料が、前記ヘッド閉鎖部6を経由して前記ペイント吐き出し開口部10に供給されてなる、塗装プラント。
【請求項23】
ペイント計量シリンダを洗浄するための方法であって、
前記ペイント計量シリンダ2の第一のリンス剤流出口開口部17、19から出ていく第一のリンス剤を供給することと、
前記ペイント計量シリンダ2の第二のリンス剤流出口開口部19、17から出ていく第二のリンス剤を供給することと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記第一の流出口開口部17および前記第二の流出口開口部19のうちの一つが中央に配設される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第一の流出口開口部17が中央かつ軸方向に沿って配設される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第一の流出口開口部17および前記第二の流出口開口部19のうちの一つが接線方向に沿って配設される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第二の流出口開口部19が接線方向に沿って配設される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
気体圧力パルスが前記第一のリンス剤および前記第二のリンス剤のうちの少なくとも一つに作用する、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記第一のリンス剤および前記第二のリンス剤が異なるリンス剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記第一のリンス剤および前記第二のリンス剤が同一のリンス剤である、請求項23に記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−214102(P2009−214102A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−37417(P2009−37417)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(509050409)ラックテック ゲゼルシャフト ファー モデレン ラキエルテクニーク ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】