説明

ペットフードの製造装置及びペットフードの製造方法

【課題】美味しくて健康によい食事をペットに対して手軽に与えることを可能にするペットフードの製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、ペットフード原料を混練して得られる混練材料を投入する材料投入口と、前記材料を押出口から押し出す押出成形部と、前記押出口から押し出された前記材料を所望長さに切断して材料粒を形成するカッターと、前記切断により落下した前記材料粒を受け止める位置に配置された収容器と、前記収容器に設けられ前記材料粒を攪拌する攪拌部と、前記攪拌部によって攪拌されている前記材料粒を加熱する加熱部と、前記加熱後の前記材料粒を前記収容器内で乾燥する乾燥部とを備えるペットフード製造装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフードの製造装置及びペットフードの製造方法に関し、特に、ペットを飼っている各家庭で簡単に風味豊かなペットフードを製造することを可能にする製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内において3000-4000万頭の犬猫が飼育されている。その7割以上が市販のペットフードを食している。市販のペットフードは、長期保存が可能であるという利点や、ペットに必要な栄養素がバランスよく配合されているという利点がある等の理由で広く利用されているが、その一方で、保存料・防腐剤・酸化防止剤等の添加物が大量に含まれていてペットの健康を害する可能性があったり、含有されている栄養素が化学物質の添加によるものであったりするという問題も指摘されている。
【0003】
このような問題のために、市販のペットフードを使わずに、家庭において、手作りの食事を準備する飼い主も増えてきている。しかし、ペット用の食事を毎日準備するには多くの手間がかかり容易ではない。特に、旅行や出張の際に、ペットホテルや知人にペットを預ける場合があるが、その際に、数日分の食事を事前に準備したり、準備した食事を適切に与えるよう、ペットホテルや知人に指示したりすることは容易ではない。このような問題から、ペットの健康維持には手作り食が望ましいと考えていても、利便性を考慮して、ついつい市販のペットフードを利用してしまう飼い主も多い。
【0004】
ところで、特許文献1には、無添加のペットフードの製造方法が記載されている。この文献では、複数の加熱処理工程と冷却処理工程を組み合わせることによって一年以上長期保存可能なペットフードの製造を可能としている。このような方法で製造されたペットフードは、添加物が含まれたペットフードよりもペットの健康にははるかに好ましいが、工程が複雑な分だけどうしても高価になってしまうという問題や、同一種類のペットフードを大量に生産することが想定されているため、個々のペットの健康状態・体質・好みに応じてペットフードの栄養成分・食感・味など変えることが難しいという問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、飼い主の希望に応じたペットフードの製造を可能にするペットフード製造方法が記載されている。この文献に記載の方法では、飼い主の希望に応じた材料でペットフードが製造されるので、個々のペットの健康状態・体質・好みにある程度対応することが可能である。しかし、この方法は、ペット関連ショップに設置された大規模な装置を用いて実施されるものであるので、ペットフードが必要になる度に、ペット関連ショップにまで足を運ぶ必要があり、また、添加剤が入ってない分、長期保存には限界があるので、一度に大量に購入することもできず、頻繁にペット関連ショップに出向く必要があり、面倒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−125780号公報
【特許文献2】国際公開第WO2006/001061号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、従来のペットフードやその製造方法は、美味しくて健康によい食事をペットに対して手軽に与えたいという飼い主の要求を必ずしも満たすものではなく、改善の余地があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、美味しくて健康によい食事をペットに対して手軽に与えることを可能にするペットフードの製造装置及び製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ペットフード原料を混練して得られる混練材料を投入する材料投入口と、前記材料を押出口から押し出す押出成形部と、前記押出口から押し出された前記材料を所望長さに切断して材料粒を形成するカッターと、前記切断により落下した前記材料粒を受け止める位置に配置された収容器と、前記収容器に設けられ前記材料粒を攪拌する攪拌部と、前記攪拌部によって攪拌されている前記材料粒を加熱する加熱部と、前記加熱後の前記材料粒を前記収容器内で乾燥する乾燥部とを備えるペットフード製造装置が提供される。
【0009】
本発明のペットフード製造装置は、ペットを飼っている各家庭に設置され、冷蔵庫内で1ヶ月ほど保存することが可能なペットフードを容易に製造することを想定している。従来のペットフード製造装置は、工場やペット関連ショップでペットフードを製造することが想定されているため、装置構成が大掛かりであり、各家庭に設置することは全く想定されていなかった。本発明のペットフード製造装置は、このような従来の概念を打ち破り、各家庭で美味しくて健康によいペットフードを製造することを想定して発明されたものであり、簡易な装置構成で美味しいフードが手軽に製造できるよう工夫されている。
【0010】
本発明の装置の最大の特徴は、収容器内で材料粒を攪拌しながら、この材料粒に対して加熱処理を行い、その後に乾燥させることである。このような方法を採用することには数多くの利点がある。
【0011】
第一に、収容器内で材料粒の加熱処理を行うので、事前の加熱処理が不要になるということである。従来技術の中には、押出成形機を用いた成形の前に材料の加熱処理を行うものもあるが、家庭においてこのような処理を行うのは面倒である上、加熱によって肉成分が固化すると押出成形により多くのパワーが必要とされるので、押出成形機が大型化してしまい、各家庭での設置には不向きになる。
【0012】
第二に、小さな材料粒に対して加熱処理を行うので、表面と内部の温度差が小さくなり、均一な加熱が可能になることである。従来の装置では、大きな塊の材料に対して加熱処理を行うものもあるが、そのような加熱処理では、加熱処理時の攪拌が不十分である場合には加熱ムラが生じやすくなる。工場において厳密に整備された環境下で毎回同じ材料に対して加熱処理を行う場合は、加熱処理条件の最適化を行うことも可能であるが、本発明のように、家庭に設置される装置で、しかも、ペットの健康状態に応じて材料の組成が変化する場合には、加熱処理条件の最適化は容易ではない。従って、小さな材料粒に対して加熱処理を行うことは、家庭用のペットフード製造装置にとって非常に重要な要素である。
【0013】
第三に、収容器内で乾燥を行っているので、装置の小型化が可能であることである。従来技術には、材料粒をコンベアに載せて移動させながら加熱して乾燥させるものがあるが、このような構成では、装置の小型化が困難である。
【0014】
以上のように、本発明の装置では、収容器内で材料粒を攪拌しながら、この材料粒に対して加熱処理を行い、その後に乾燥させるので、簡易で小型の装置構成で美味しいペットフードを手軽に製造することができる。
【0015】
また、本発明の装置によれば、以下のような利点も得られる。
・飼い主が選んだ安心・安全な素材でフードを作れる。
・酸化防止剤・防腐剤・化学物質を使用しないペットの身体に優しいドライフードが作れる。
・冷蔵庫で1ヶ月の保存が可能である。
・好みの材料(肉・魚)が使用できる為、ペットの嗜好やアレルギーに対応できるだけではなく、バリエーションも簡単に増やせる(栄養の偏りを無くせる)。
・レシピ集を作成することで、材料の選択や配分に悩むことなく簡単に作れる。
・疾患に対応するレシピ集を制作することにより、身体に優しく治療効果を高めるフードを与えることができ、高価格で嗜好性の低い市販療法食に頼らなくてもいい。
・粒の大きさを変えることにより、身体の大きさに合った食べやすさに作れる。
・肉・魚の量を調整することで、他の手作り食(加熱調理・生食)との併用ができる。
・乾燥率を変えることにより、素材の風味を好みに調整でき、偏食のペットにも対応できる。
・クッキー等のおやつも作れる。
・家庭用電源で使用できる。
・食事を通して、ペットへの愛情が深まる。
・動物をモノではなく家族として思うことで、生命の大切さを子供に教えることができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態のペットフード製造装置の構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1のペットフード製造装置を上から見た図である。
【図3】図3は、図2の矢印A方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態のペットフード製造装置10と、この装置を用いたペットフードの製造方法を説明する。本実施形態のペットフード製造装置10は、ペットフード原料を混練して得られる混練材料を投入する材料投入口1と、前記材料を押出口3から押し出す押出成形部5と、押出口3から押し出された前記材料を所望長さに切断して材料粒を形成するカッター7と、前記切断により落下した前記材料粒を受け止める位置に配置された収容器9と、収容器9内の前記材料粒を攪拌する攪拌部11と、攪拌部11によって攪拌されている前記材料粒を加熱する加熱部13と、前記加熱後の前記材料粒を前記収容器内で乾燥する乾燥部19を備える。また、装置10は、任意的に、前記加熱中に前記材料粒から発生し開口部12を通過した肉汁を回収する肉汁回収部15と、肉汁回収部15で回収された前記肉汁を、前記収容器内で攪拌されている前記材料粒に対して噴霧する噴霧部17とを備える。
以下、各構成要素について説明する。
【0018】
(1)混練材料の作成
最初に、ペットフード原料を混練して混練材料を作成する。ペットフード原料は、肉(牛肉、豚肉、鶏肉など)、魚、野菜、果物、穀物などから、ペットの好みや健康状態に応じて飼い主が適宜選択することができる。ペットフード原料は、加熱処理時に肉汁が出るものが好ましく、従って、肉を含むものが好ましい。ペットフード中の肉の割合は特に限定されず、ペットの好みや体調に合わせて適宜変更することができるが、例えば、1〜100重量%であり、10〜80重量%が好ましい。肉の割合が小さすぎると肉汁の量が不十分となり、肉の割合が大きすぎると栄養のバランスが偏る場合があるからである。肉の割合は、具体的には1、5、10,20,30,40,50,60,70,80,90,100重量%であり、ここで例示した何れか2つの数値の間の範囲内であってもよい。
【0019】
ペットフード原料の混練は、フードプロセッサーやミキサーなど原料を混練することができる機械(以下、「混練機」と称する。)2を用いて行ってもよく、手作業で行ってもよい。混練機は、装置10と一体になっていてもよく、分離されていてもよい。また、装置10と共に販売されるものであってもよく、装置10とは全く別に購入した一般用途のフードプロセッサーやミキサーであってもよい。また、混練によって得られた混練材料は、自動的に材料投入口1に送られるように構成してもよく、手作業で混練材料を材料投入口1に投入するようにしてもよい。好ましい実施形態では、最初にフードプロセッサーを用いて肉・魚・野菜・果物など比較的サイズを大きいものを粉砕し、その後、穀物(炊飯した白米等)・オイル等を混ぜあわせてミキサーで混ぜ合わせる。このようにフードプロセッサーとミキサーの両方を用いることによって細かく粉砕された原料が均一に混ぜ合わされた混練材料を得ることができる。従って、混練機は、ペットフード原料を粉砕する機能と混ぜ合わせる機能の両方を備えているものが好ましい。
【0020】
(2)材料粒の作成
次に、混練材料を用いて材料粒を作成する。具体的には、混練材料を押出成形部5の材料投入口1に投入し、押出成形部5を作動させて混練材料を押出口3から押し出す。押出成形部5に投入する混練材料は、未調理のものが好ましい。この場合に、後述する加熱工程において、より多くの肉汁が得られるからであり、また、事前の調理の手間を省くことができるからである。押出成形部5が混練材料を押し出す原理は、特に限定されず、混練材料の押し出しが可能な何れの方法であってもよく、押出成形部5としては、例えば、ネジ式の押出機が利用可能である。押出口3の形状は、特に限定されず、例えば、円形、四角形、星型などである。押出口3の形状を星型にすると、材料粒の側面での表面積が大きくなるので加熱や乾燥工程にかかる時間を短縮することができる。また、押出口3の形状をリング状にすることにより、パイプ状の材料粒を形成するようにしてもよい。この場合も、材料粒の表面積が大きくなり、加熱や乾燥工程にかかる時間を短縮することができる。押出口3の直径(円形以外の場合は外接円の直径)は、1〜20mmが好ましく、2〜10mmがさらに好ましい。直径が小さすぎると、収容器9の底部に設けられた開口部12のサイズをさらに小さくする必要があり、肉汁が開口部12を通過しにくくなる。また、直径が大きすぎると、ペットが食べにくくなる。押出口3の数は、特に限定されず、1つであっても複数個(例えば、4〜12個)であってもよく、一例では、図1に示すように、円周上に等間隔に複数の押出口3が配置される。また、押出口3は、好ましくは、カートリッジ4の押出口部材に設けられており、押出口3の形状が異なる複数の押出口部材を準備しておけば、押出口部材を交換することによって、押出口3の形状を容易に変化させることができる。
【0021】
押出口3から押し出された混練材料は、細長い形状であり、カッター7で所望の長さに切断することによって、粒状の材料粒を作成することができる。カッター7の構成は、特に限定されず、回転式のカッターであっても上下運動式のカッターであってもよい。材料粒の長さは、特に限定されないが、例えば、押出口3の直径の20〜500%の長さである。材料粒の長さが押出口3の直径の20〜80%の場合、扁平形状の材料粒が得られる。材料粒の長さが押出口3の直径の80〜120%の場合、ブロック状の材料粒が得られる。材料粒の長さが押出口3の直径の120〜500%の場合、細長い形状の材料粒が得られる。材料粒の長さは、ペットの好みなどに応じて適宜選択することができる。
作成された材料粒は、重力により落下するが、カッター7の下方に収容器9が配置されているので、落下した材料粒は、収容器9内に集められる。
【0022】
(3)材料粒の加熱・乾燥処理
収容器9内の材料粒は、収容器9の材料粒を加熱可能な位置に配置されている加熱部13によって加熱される。加熱部13の一例は、収容器9の上方に配置され収容器9内の材料粒に向けてマイクロ波を照射することができるマイクロ波照射装置である。マイクロ波照射機は、材料粒を素早く均一に加熱することができるという観点で好ましい。また、加熱部13は、収容器9の上方から材料粒を加熱する他の種類のヒーターであってもよく、例えば、高温蒸気によって材料粒を加熱するスチームコンベクション装置であってもよい。さらに、加熱部13は、収容器9を加熱することによって材料粒を加熱するものであってもよく、この場合、収容器9の下側にヒーターを設置することができる。加熱部13がマイクロ波照射装置である場合、マイクロ波の漏れを防ぐために、加熱部13、収容器9などを密閉された筐体内に収容することが好ましい。また、押出口3からマイクロ波が漏れることを防ぐために、押出口3を覆うように又は材料投入口1を覆うようにカバーを設けることが好ましい。
【0023】
材料粒は、加熱中に攪拌部11によって攪拌される。この撹拌によって材料粒の均一な加熱が可能になる。攪拌部11は、図1に示すように、収容器9の内部に配置されて材料粒を攪拌するもの(例:攪拌羽根)であってもよく、収容器9を回転・揺動・振動等させることによって材料粒を攪拌するものであってもよい。前者の場合、攪拌部11が材料粒に直接接触して材料粒を攪拌するので、効率的な攪拌が可能になる。また、後者の場合、収容器9内に攪拌羽根等を設けることなく材料粒の攪拌が可能になるので、材料粒の加熱・乾燥後に材料粒を収容器9から取り出すのが容易になり、かつ収容器9の洗浄が容易になる。
【0024】
加熱部13によって材料粒が加熱されると、材料粒から肉汁が出てくる。収容器9の底部に開口部が設けられていない場合には、攪拌部11によって、肉汁と材料粒が一緒に攪拌されて、肉汁が均一に材料粒表面に付着する。
また、収容器9の底部に開口部12が設けられている場合、材料粒から出てきた肉汁は、収容器9の底部に設けられている開口部12を通って落下し、収容器9の下方に設けられている肉汁回収部15で回収される。開口部12は、材料粒が落下しない形状であればよく、例えば、円形状やスリット状である。スリット状にすると、開口面積を大きくしやすいので、開口部12は、スリット状が好ましい。材料粒の落下を防ぐため、スリットの幅は、押出口3の直径よりも小さくする必要があり、押出口3の直径の80%以下が好ましい。また、スリットの幅が小さすぎると、肉汁がスリットを通過しにくくなるので、スリットの幅は、押出口3の直径の20%以上が好ましい。
【0025】
肉汁回収部15で回収された肉汁は、噴霧部17の噴霧ノズル18から、材料粒の上方から材料粒に対して噴霧される。噴霧の際に、材料粒は、攪拌部11によって攪拌されているので、噴霧された肉汁は、材料粒に均一に付着する。肉汁回収部15から噴霧部7まで肉汁を引き上げる方法は、特に限定されず、例えば、ポンプなどを用いて肉汁回収部15と噴霧部7の間に圧力差を形成することによって肉汁を噴霧部7まで引き上げてもよく、サイフォンの原理を利用して、引き上げてもよい。噴霧によって肉汁を付着させる場合、肉汁を材料粒の上方から噴霧するので、材料粒に対して肉汁を均一に付着させることができる。
肉汁の噴霧は、材料粒の加熱中に行ってもよく、材料粒の加熱が終了した後に行ってもよい。材料粒の加熱中に行うと肉汁が材料粒によく馴染むという利点がある。また、材料粒の加熱終了後に肉汁の噴霧を行うと、材料粒の表面に付着する肉汁の量が多くなるという利点がある。材料粒の表面に肉汁が高濃度に付着していると肉汁の匂いが放散されやすいので、ペットの嗅覚を刺激し、ペットの食欲を増進させやすい。また、材料粒の表面はペットの舌が最初に触れる場所であるので、材料粒の表面に肉汁が高濃度に付着していると、ペットの味覚を刺激し、ペットの食欲を増進させやすい。
【0026】
肉汁は、材料粒に対してそのまま付着させてもよいが、肉汁の量が少ない場合や、肉汁に別の風味を加えたい場合には、オイル入れ16から供給されたオイルを肉汁に加えたものを材料粒に噴霧してもよい。この場合、肉汁をより均一に付着させることが可能になる。オイルとしては、風味等の観点から、オリーブ油やヒマワリ油など植物油が好ましい。肉汁を混ぜあわせるオイルは、噴霧部17に隣接して配置されたオイル入れ16内に収容し、残量が少なくなると補充する。
【0027】
肉汁が噴霧された材料粒は、乾燥部19によって乾燥される。乾燥部19は、材料粒の乾燥が可能なものであれば、その構成は限定されず、例えば、材料粒に対して50〜100℃の空気を吹き付けることによって材料粒を乾燥させる装置である。また、空気の温度は、好ましくは、70〜80℃である。空気の温度が低すぎると乾燥に時間がかかり過ぎ、空気の温度が高すぎると乾燥後の材料粒の水分量の調節が困難であり、かつ材料粒の風味が低下したり栄養素が破壊されたりする場合があるからである。乾燥後の材料粒の水分含有量は、好ましくは5〜15重量%である。このような水分量の場合に、食感が特に良好になるからである。
【0028】
ペットフード製造装置10には、開閉可能な上蓋21が設けられており、上蓋21を開くことによって収容器9内の材料粒にアクセスすることができる。これによって、材料粒を収容器9から取り出し、ペットフードとして利用することができる。上蓋21には開閉用取手23が設けられていることが好ましく、開閉用取手23を用いることによって、上蓋21を容易に開くことができる。収容器9は着脱可能な構成であることが好ましく、この場合、材料粒の取り出しや収容器9の洗浄が容易である。また、収容器9内の攪拌部11は、収容器から着脱可能な構成であることが好ましく、この場合、材料粒の取り出しがさらに容易であり、かつ攪拌部11の洗浄が容易である。
【0029】
本実施形態によるペットフードの製造方法では、小さな材料粒に対して加熱処理を行うので、加熱ムラが少なくなり、そのため、材料粒の加熱殺菌が確実に行われる。従って、本実施形態の方法で得られたペットフードは、保存料などの添加物が含まれていないにも関わらず、冷蔵庫内で1ヶ月程度の保存が可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0030】
1:材料投入口
2:混練機
3:押出口
4:カートリッジ
5:押出成形部
7:カッター
9:収容器
10:ペットフード製造装置
11:攪拌部
12:開口部
13:加熱部
15:肉汁回収部
16:オイル入れ
17:噴霧部
18:噴霧ノズル
19:乾燥部
21:上蓋
23:開閉用取手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード原料を混練して得られる混練材料を投入する材料投入口と、
前記材料を押出口から押し出す押出成形部と、
前記押出口から押し出された前記材料を所望長さに切断して材料粒を作成するカッターと、
前記切断により落下した前記材料粒を受け止める位置に配置された収容器と、
前記収容器内の前記材料粒を攪拌する攪拌部と、
前記攪拌部によって攪拌されている前記材料粒を加熱する加熱部と、
前記加熱後の前記材料粒を前記収容器内で乾燥する乾燥部を備えるペットフード製造装置。
【請求項2】
ペットフード原料を混練して前記材料投入口に投入する前記混練材料を作成する混練機をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加熱部は、マイクロ波照射によって前記材料粒を加熱する請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記加熱中に前記材料粒から発生し前記開口部を通過した肉汁を回収する肉汁回収部と、
前記肉汁回収部で回収された前記肉汁を、前記収容器内で攪拌されている前記材料粒に対して噴霧する噴霧部をさらに備える請求項1〜3の何れか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記肉汁回収部で回収された前記肉汁に混合するオイルを収容するオイル入れをさらに備え、
前記噴霧部は、前記オイルが混合された肉汁を噴霧する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ペットフード原料を混練して混練材料を作成し、
前記材料を押出口を有する押出成形部に投入し、前記押出口から押し出し、
前記押出口から押し出された前記材料を所望長さに切断して材料粒を作成し、
前記切断により落下した前記材料粒を受け止める位置に配置された収容器に前記材料粒を収容し、
前記収容器内の前記材料粒を攪拌しながら、前記材料粒を加熱し、
前記加熱後の前記材料粒を前記収容器内で乾燥する工程を備えるペットフードの製造方法。
【請求項7】
前記加熱中に前記材料粒から発生し前記開口部を通過した肉汁を回収し、
回収された前記肉汁を、前記収容器内で攪拌されている前記材料粒に対して噴霧する工程をさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記噴霧の前に、前記肉汁回収部で回収された前記肉汁にオイルを混合する工程をさらに備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記乾燥は、前記材料粒の水分量が5〜15%になるように行われる請求項6又は7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−161291(P2012−161291A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24890(P2011−24890)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【特許番号】特許第4911397号(P4911397)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【出願人】(511034549)株式会社ビケイプ (2)
【Fターム(参考)】