説明

ペットフード組成物のための予備凝固、予備水和、および予備糊化プロセス

ペットフード組成物を作るためのプロセスは、肉部分をその変性点より上で加熱する工程ならびに炭水化物源および水を予備水和および予備糊化して炭水化物部分を形成する工程を含む。その肉組成物ならびに予備水和および予備糊化された炭水化物部分をクッカー中で組み合わせ、缶の中に充填してペットフード組成物を作る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉部分および1種類以上の炭水化物源に基づくペットフード組成物を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0001] ペットは長年“乾燥”および“湿潤”飼料を与えられてきた。“湿潤”飼料は一般に缶のような容器の中に包装される。それらはその中の水分のため外観上“湿潤”している。一般に、現在では2つのタイプの“湿潤”飼料が調製されている。一方は通常、業界でグラウンドローフ(ground loaf)と呼ばれている。これは一般に、一連の装置、単一の装置、または1種類の装置、例えばサーマルスクリュークッカー/ミキサー(thermal screw cooker/mixer)中で、全ての重要な構成要素、例えば肉および炭水化物源を水と一緒に接触させ、次いで一緒に加熱および混合することにより調製される。このように、主要な構成要素の全てならびに微量構成要素、例えば着色剤、油、ビタミン類、およびビタミン様物質を早期の予備加工工程で組み合わせ、全てを一緒に加工する。
【0003】
[0002] この手順に続いて、本質的に均質なセル内ハニカムタイプ(intracellular honeycomb−type)の塊を製造し、それを円柱状の容器の中にすぐに包装し、“グラウンドローフ”製品を形成する。第二の湿潤飼料は一般に、業界で“チャンク(chunk)および肉汁”と呼ばれている。この湿潤飼料は通常、肉を挽き、混合し、乳化し、次いでその肉をさらに水、油、および炭水化物源ならびに必要に応じて他の材料と混合することにより製造される。次いでこの混合物を調理装置の中に供給し、そこから出し、切断し、冷却し、次いで様々な段階の充填に送る。通常、2段階の充填で肉汁をチャンクに添加する。肉汁は、通常の方法、例えば、炭水化物源の1種類以上、例えば穀物、デンプン、水、(必要に応じて)ビタミン類、および他の材料を混合タンクの中に入れて混合し、その中でそれを加熱することにより調製され、次いでそれをチャンク状材料を保持している容器に供給する。グラウンドローフとは対照的に、この飼料は、調製されたままの物理的に分離している不連続な挽き肉と穀物のチャンク断片を有する。これらの不連続な粒子が最終容器中で肉汁タイプの液体の中に存在する。“チャンクおよび肉汁”法により製造された製品は長年ペットフードにおいて用いられてきた。
【0004】
[0003] グラウンドローフ製品は一般に、様々な構成要素、例えば肉、1種類以上の炭水化物源、ビタミン類、ミネラルおよび水を、通常は蒸気および添加された水により混合することにより調製される。固体構成要素は予め一緒に挽いておく。次いで、肉、炭水化物源、水および他の構成要素の混合物全体を、具体的な構成要素に応じて15℃の低温に、または80〜95℃のより高い範囲に加熱する。その生成物を缶に充填し、継ぎ合わせ、滅菌のためレトルト処理する(retorted)。完成品は一般に、約65%〜約85%の水分範囲を有する。これらのグラウンドローフ製品は、バッチごとを基準として(batch to batch basis)、または3種類の主要な構成要素である肉、1種類以上の炭水化物源および水をサーマルスクリュークッカー/ミキサー中に連続的に添加して一緒に混合する連続的なプロセスで作ることができる。このプロセスの間、および特にこの段階において、全てのものを個々の成分、構成要素および配合物の物理的または化学的特性にかかわらず単一の成分として処理する。そのような物理的および化学的特性の例は、沸点の違い、1種類以上の炭水化物源の糊化温度、様々な肉のタンパク質変性温度、および同様のものである。そのような加工の結果として、最終的な組成物の軟らかさおよび堅さ、粘着性および粥状性(mushiness)、ならびに他の容易に評価されるパラメーターの点で広い範囲の質感の違いがあり、それはバッチ間および組成物間で生じる。
【0005】
[0004] 米国特許第6,440,485号で記述されたプロセスにおいて、肉構成要素はその混合物のタンパク質変性温度において、および/またはその温度未満で“熱硬化(thermally set)”し、本質的にそれらだけで、すなわち、1種類以上の炭水化物源、追加の水、ビタミン類、ミネラル、および同様のものを本質的に、または完全に存在させずに加熱される。
【0006】
[0005] ペットフード組成物を提供するための新規のプロセス、特にローフ製品を形成することができるプロセスに関する継続的な需要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,440,485号
【発明の概要】
【0008】
[0006] 本発明の製品を作るためのプロセスには、肉部分の予備凝固(pre−coagulation)ならびに炭水化物源の予備水和(pre−hydration)および予備糊化(pre−gelatinization)の工程が含まれる。その凝固した肉部分ならびに予備水和および予備糊化された炭水化物源を、クッカー中で組み合わせる。
【0009】
[0007] 様々な態様において、炭水化物源、例えば穀物は、肉/スラリー構成要素からの干渉無しにデンプンを硬化させるため、またはそのデンプン反応を完了させるため、プロセス水により予備水和され、次いで特定の炭水化物源の糊化の温度まで予備糊化される。別に、骨格筋および/または肉の副産物の天然の、および別個の同一性を保持するため、肉部分または肉スラリーをタンパク質変性温度より上の温度で予備凝固する。
【0010】
[0008] 一度その炭水化物源および利用可能な水が予備水和および予備糊化され、その肉部分またはスラリーが予備凝固されると、その2種類の構成要素は連続的な、またはバッチ式ミキサー中でさらなる液体を用いて混合されて均質なマトリックスを形成し、缶の中に充填されて継ぎ合わせられ、滅菌またはレトルト処理される準備ができる。
【0011】
[0009] そのプロセスの結果として、形成された製品は、砕けやすい質感を有し、柔らかく粘着性で、糊状の、または粥状の質感を有する傾向がより低い均質なローフ製品であることができる。審美的には、健康によく、不連続で、自然に不規則な骨格筋がローフのマトリックス全体にくまなく見える。嗜好性試験は、その飼料が、結果として口の上部口腔にくっつかず動物の喉を詰まらせる傾向が無い組成物をもたらす砕けやすい質感のおかげで動物に好まれることを示している。
【0012】
[0010] 本明細書で記述される図面は選択された態様の説明のためだけのものであり、全ての可能性のある実施形態に関するものでは無く、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】[0011] 図1は不連続な組成を有するペットフード組成物を作るためのプロセスの図式的な流れ図を示す。
【図2】[0012] 図2は連続的なプロセスを図説する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0013] 1態様において、肉および炭水化物源に基づくペットフード組成物の調製のためのプロセスが提供される。その炭水化物源は、本明細書においてさらに記述されるような穀物混合物で提供されてよい。ペットフード配合物、特にイヌのためのペットフード配合物に典型的であるように、その組成物は1種類以上の炭水化物源、例えば穀物の含有量が比較的高く、ここでその1種類以上の炭水化物源は組成物の約10から約35重量%まで、または約13から約28重量%までである。そのプロセスは、その組成物の肉部分をその肉部分中のタンパク質の変性点より上の温度まで加熱することを含む。この“予備凝固”工程は、結果として予備凝固した肉組成物の調製をもたらす。別に、1種類以上の炭水化物源を水と混合し、その炭水化物源を予備水和して予備水和された組成物を形成する。予備水和の後、または予備水和と同時に、その予備水和された炭水化物源を糊化反応が起こる温度まで加熱することによりその炭水化物源を糊化する。次いで得られた糊化した炭水化物組成物を予備凝固させた肉組成物と混合し、所望によりさらなる時間加熱してペットフード組成物を缶の中に充填する準備ができた状態にする。様々な態様において、予備凝固させた肉組成物を糊化した炭水化物組成物中で組み合わせる工程は、着色剤、香味剤、脂肪、および油の少なくとも1種類を含む液体組成物と組み合わせるさらなる工程を含む。
【0015】
[0014] その肉部分をその肉のタンパク質の変性点より上の温度まで加熱する。1態様において、その肉部分はウシからの肉または肉の副産物を含み、その肉部分は予備凝固工程において80℃より上で加熱される。一般に、変性点の上の温度で、例えば変性温度の約2℃から約6℃まで上の範囲で加熱するのが好ましい。
【0016】
[0015] 様々な態様において、予備凝固された肉組成物ならびに予備水和および予備糊化された炭水化物組成物の形成の工程は、サーマルスクリュークッカー/ミキサー中で実行される。1種類以上の炭水化物源の糊化のために用いられるサーマルスクリュークッカー中での典型的な滞留時間は約60〜90秒間であり、ここでサーマルスクリュークッカーの出口における温度は約80℃である。
【0017】
[0016] そのペットフード組成物は比較的高レベルの1種類以上の炭水化物源、例えば約10から約35重量%まで、または約13から約28重量%までの1種類以上の炭水化物源を含む。代表的な態様において、その炭水化物源は重量によりそのローフ組成物の約18%であり、一般に約13%から約28%まで様々であることができる。この観点において、炭水化物源は、ジャガイモデンプンのような穀物ではない源に由来するデンプンを含め、ローフ製品の配合において用いられる全ての穀物、挽いた穀物、小麦粉、またはデンプンを指す。
【0018】
[0017] 別の態様において、ペットフード組成物の調製のためのプロセスは、以下を含む:
(a)肉部分を変性点より約2℃〜約6℃高い温度まで加熱する;
(b)炭水化物源および水を組み合わせ、その炭水化物源を予備水和および予備糊化するのに十分な温度で調理する、ここで、その炭水化物源は穀物、挽いた穀物、部分的に挽いた穀物、小麦粉、およびデンプンの内の1種類以上を含む;
(c)工程(a)および(b)の生成物を組み合わせる;そして
(d)工程(c)の組み合わせられた生成物を加熱する;
ここで、その肉部分はそのペットフード組成物の15〜30重量%であり、その炭水化物源はそのペットフード組成物の13〜28重量%である。
【0019】
[0018] 様々な態様において、その肉部分は肉および/または肉の副産物を含む。様々な態様において、その炭水化物源はトウモロコシ、小麦、ジャガイモ、米、燕麦、大麦、ミル(mill)、亜麻、fibrim、落花生殻、およびテンサイの1種類以上に由来する穀物構成要素を含む。その炭水化物源はデンプンまたは小麦粉も含むことができる。
【0020】
[0019] 肉部分に関して、“予備凝固”はその肉構成要素を肉のタンパク質の変性温度より上で加熱することにより達成される。これは通常は魚のタンパク質に関して約48℃から約51℃まで、ウシの骨格筋のタンパク質に関して約80℃以上までの範囲である。ニワトリおよびブタからの筋の変性温度は、この範囲の間のどこかにある。そのような肉の組み合わせが存在する場合、加熱の温度は最も高い変性温度を有する肉の変性温度より上である。これはその混合物の質感および/または色により適正に確かめることができる。
【0021】
[0020] 様々な態様において、その肉部分は、肉または肉の副産物のような、新鮮な、または解凍された冷凍肉のブロックのどちらかを含む肉の混合物である。肉部分中の肉材料は、動物性タンパク質である骨組み(frame)、首、および背を含む哺乳類の筋もしくは骨格肉、または肉の副産物、例えば血液、心臓、肝臓、肺、舌、脾臓、および同様のものであることができる。その肉材料は一般に、完成品における不連続な食物粒子の大きさの必要性に応じて、異なる粉砕プレートにより挽かれる。様々な態様において、その肉および/または肉の副産物は、ウシ、ブタ、ニワトリ、魚、貝、子ヒツジ、アヒル、シチメンチョウ、およびシカ肉の1種類以上からのものである。
【0022】
[0021] 一般に、その肉部分は、約15〜30%のタンパク質を、約55から75重量%までの範囲の含水量および約5から15%までの範囲の脂肪含量と共に含む。
[0022] 複合肉混合物は、例えば生蒸気噴射を伴うツインスクリューミキサー、ツインリボンミキサー、オーバーラッピングパドルミキサー(overlapping paddle mixer)、または上記の特徴の組み合わせ、例えばスクリュー/リボン/パドルのようないずれかの適切なミキサー/クッカー中で混合および加熱される。混合は、その肉部分がその肉部分のタンパク質変性温度より上で均質に凝固することを確実にするためのものである。その変性点は一般に、魚のタンパク質に関して約48℃から哺乳類(ウシおよび子ヒツジ)の骨格筋タンパク質に関して約76℃以上までの範囲である。ニワトリおよびブタからの筋の変性温度は、この範囲の間のどこかにある。そのような肉の組み合わせが存在する場合、加熱の温度は最も高い変性温度を有する肉の変性温度より上である。
【0023】
[0023] 炭水化物源に関して、その炭水化物源は、添加された水と共に熱処理にさらされた際に、水和、糊化および老化を含むプロセスを経るであろう。加えて、高温では、複合炭水化物のより単純な炭水化物への分解が達成される。炭水化物源の平衡を適切に保つことにより、望まれるように特定の質感を維持するための適切な粘着性または結合を得ることができる。例えば、短鎖の多糖類は粘着性かつ膠質である傾向にあり、より長鎖の多糖類は、より短鎖のものより粘着性および膠質さが低い。一般に、スクロースおよびグルコースのような単純な糖は、この発明の完成品の砕けやすい質感が望まれる場合に有害である“結合する”能力を有する。基本的に、この混成飼料の望ましい質感は、より長鎖の多糖類およびデンプン、例えば天然または非化学的に改質されたデンプンにより達成され、それは例えば熱および/または圧力による改質である。用いることができる炭水化物源の例は、標準的または天然で化学的に改質されていない材料、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、セルロースおよびコメデンプンである。これらの天然のデンプンの典型的なものは、National Starch 150、天然のトウモロコシデンプン、および天然のジャガイモデンプンである。熱および/または圧力処理された材料、例えば、National Starchから入手可能な熱および圧力処理されたジャガイモデンプンであるNovation 1600、同様にNational Starchから入手可能な熱および圧力処理されたトウモロコシデンプンであるNovation 2700、ならびにRemy DRのような熱および圧力処理されたコメデンプンも用いることができる。これらの天然の、ならびに熱および/または圧力処理された穀物は、適切な胃腸管での平衡性および良好な全般的便質の維持において、さらなる利点を有する。
【0024】
[0024] その1種類以上の炭水化物源は、別々に処理された後、予め“熱硬化した”肉に添加されてもよい。その1種類以上の炭水化物源を混合し、肉に対するそれらの結合を向上させ、および/または完成品の質感の粘着性を低減させ、もしくは堅さを増大させるため、水和、糊化および老化を達成または本質的に達成するであろう温度範囲で調理する。加えて、複合炭水化物をより単純な炭水化物に分解する。これらの特性を達成するためには高温が必要である。基本的に、80〜95℃までであるが望ましくは82〜85℃を超えない温度を用いることができる。
【0025】
[0025] 好ましくは添加されたビタミン類およびミネラルを含む、工程(b)の1種類以上の炭水化物源および水の組成物は、燕麦繊維、セルロース、落花生殻、テンサイパルプ、パーボイルド米およびトウモロコシグルテンミールのような、単一の穀物もしくは炭水化物源、または穀物および源の混合物に、塩、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル、香味剤、着色剤などを添加したものであることができる。乾燥卵をその炭水化物源および水の組成物に含ませることもできる。この添加物混合物の量は、米国飼料検査官協会(AAFCO)の規定に基づく動物の異なるライフステージに関する栄養所要量に少なくとも部分的に依存する。
【0026】
[0026] 様々な態様において、混合の間の加熱の温度は、飼料の特定の望まれる質感のための炭水化物源および水の組成物の水和、糊化および/または老化を達成または本質的に達成するために、約65℃から約82℃までの範囲である。複合炭水化物は、この加熱工程の間により単純な炭水化物に分解される。
【0027】
[0027] 様々な態様において、組み合わせてペットフード組成物を作る前に、肉を予備凝固させ、1種類以上の炭水化物源を予備水和および予備糊化する。好ましい態様において、その肉ならびに1種類以上の炭水化物源および水の組成物は、最終的な調理の前にさらに液体組成物(または“液体”)と組み合わせられる。その液体組成物には、水ならびに肉および穀物部分中に含まれなかったその配合物に必要なあらゆる成分が含まれる。様々な態様において、その液体組成物には水ならびに着色剤、香味増進剤、脂肪、および油の内の少なくとも1種類が含まれる。
【0028】
[0028] 典型的なプロセスにおいて、組成物全体の約25%プラス5%またはマイナス10%(すなわち、約15〜30重量%)を構成する肉部分またはスラリーが提供され、それは例えば家禽成分を含む。組成物全体の約18%プラス10%またはマイナス5%(すなわち、約13〜28重量%)を構成する炭水化物源も提供され、それは全穀粒、湿式製粉された全穀粒、または化学的に改質された穀物もしくはデンプンを含む。プロセス水は、水和率ならびにその穀物の性質および質に応じて組成物の約50%で提供される。通常の比率は、約1部の穀物対2部の水である。液体組成物も組成物全体の約1〜2重量%で提供され、それは水に加えて有益な栄養素、例えば、限定するわけではないが、魚油、着色剤、およびカルニチンを含む。
【0029】
[0029] 第1工程において、予備凝固させた組成物を得るため、その肉部分またはスラリーを、変性温度を越えて60℃以上まで加熱して凝固させる。予備凝固に必要な時間は、材料の量および標的温度に依存して約10から20分間まで様々である。別々の工程において、そのプロセスの最初の段階でプロセス水を添加してその1種類以上の炭水化物源を水和させ、次いで約82〜約87℃における糊化温度に至らせる。そのプロセスに必要な時間は約10〜20分間であり、これも材料の量および温度に依存する。この工程は糊化した炭水化物組成物を生成する。
【0030】
[0030] 結果として得られた3種類の構成要素、すなわち凝固した肉組成物、糊化した炭水化物組成物、および液体を次いで混合し、充填し、缶詰にし、容器中で滅菌して販売の準備ができた組成物を提供する。通常の連続的プロセス、例えば3重の(three multiple)サーモスクリュー型クッカー/ミキサーを用いる毎分400ポンドの処理量に関して、混合、充填、缶詰め、および滅菌のプロセスは約90〜120秒間で達成することができる。
【0031】
[0031] 別の説明的なプロセスにおいて、肉部分は組成物の約15重量%プラスまたはマイナス重量10%(すなわち5〜25%)で提供され、それはウシ、家禽、ブタ等のような動物種からなる。炭水化物源は組成物の約25重量%プラスまたはマイナス15重量%(すなわち10〜40%)で提供され、それは全穀粒、湿式製粉された穀物、化学的に改質された穀物、または組み合わせを含む。プロセス水は、水和率ならびにその炭水化物源の性質および質に応じて組成物の約60重量%で提供される。通常の比率は、約1部の穀物対2.5部の水である。水および痕跡量の着色剤を含む液体組成物も提供される。
【0032】
[0032] 説明的なプロセスにおいて、その肉部分を変性温度を越えて、すなわち70℃以上まで加熱して凝固させる。別に、そのプロセスの最初の段階でプロセス水を添加して炭水化物源を水和させ、次いで約80〜約95℃における糊化温度に至らせる。結果として得られた3種類の構成要素、すなわち凝固した肉部分、糊化した炭水化物源および水の組成物、ならびに液体を混合し、充填し、缶詰にし、その容器中で滅菌してペットフード組成物を提供する。
【0033】
[0033] 図1は本開示の熱硬化プロセスに関する流れ図を示す。それはバッチとして、または連続的なプロセスとして実施することができる。
[0034] 図1において、肉および/または肉の副産物(一緒に肉部分を構成する)をミキサー75中で混合し、ライン76を通してクッカー77に移動させる。肉または肉の混合物の変性点より上の温度で調理した後、その混合物を第2ミキサー82にライン78を通して移動させる。別に、配合物中で利用される1種類以上の炭水化物源を様々なビタミン類およびミネラルと容器80中で混合し、ライン81を通してクッカー85に移動させ、そこでその1種類以上の炭水化物源を予備水和および予備糊化し、その後それらをミキサー82に移動させる。また、この時間の間に、液体組成物を容器83中で一緒に混合し、ライン84を通してミキサー82に移動させ、そこでそれらを混合する。ミキサー82において、その3種類の構成要素を優勢な温度(prevailing temperature)で一緒に混合する。望まれる場合は熱を加えて優勢な温度を維持することができるが、約82℃より高温に達するのは一般には不要であり、かつ望ましくない。次いでこの飼料をライン87を通して充填機88に移動させる。このように、この開示の飼料は容易に調製される。
【0034】
[0035] 連続的なプロセスの実施形態を図2において示す。図2の図はその組成物の4種類の主な構成要素の入り口点を示し、それは炭水化物源、水またはブロス構成要素、肉部分、および液体である。その図は、そこでそれらの構成要素が添加される、そのプロセスにおける別々の場所を示している。図2において示されているように、その1種類以上の炭水化物源および水は連続的なミキサーまたはクッカー中で一緒に調理されて予備糊化された炭水化物組成物を提供する。別に、肉部分またはスラリーをミキサーまたはクッカー中でその肉部分の変性温度より上の温度で調理する。示したように、その肉部分に関する予備凝固工程およびその炭水化物組成物に関する予備糊化工程の生成物を、ミキサー/クッカーに液体部分と共に別々に添加する。通常は高温を提供するために蒸気を用いる。その組み合わせられた予備糊化された炭水化物源、予備凝固された肉、および任意の液体をミキサー/クッカーから充填蒸し器(filler steamer)に運び、完成品を商業的販売のために缶の中に入れる。
【実施例】
【0035】
[0036] 肉部分またはスラリーを、組成物全体の約25重量%で提供する。その肉部分またはスラリーは、シチメンチョウ全体をおおよそ1cmの粉砕サイズ(grind size)で挽いて骨粒子を減らしたもの(組成物の約18重量%)および家禽の肝臓をおおよそ1cmの粉砕サイズで挽いたもの(組成物全体の約7重量%)を含む。その肉部分またはスラリーを、パドルおよびリボンを有する連続的なサーモスクリュークッカー/ミキサー(MapacoまたはBlend techタイプ)中で、またはバッチ(設置型)ミキサー中で調理する。加熱は直接蒸気噴射により達成される。調理の最終的な温度は65℃である(変性温度を越えている)。その調理時間は、連続的なクッカー/ミキサー中で90から120秒間まで、またはバッチ型のクッカー/ミキサー中で8から12分間まで様々である。
【0036】
[0037] 別に、炭水化物源を、組成物全体の約23%で提供する。その炭水化物源は、パーボイルド米(組成物全体の約13%、黄色の挽いたトウモロコシ(組成物の約5%)、乾燥卵(組成物の約4重量%)、繊維(組成物の約0.8重量%)、香味(組成物の約0.3重量%)を含み、残りはビタミン類およびミネラルである。その炭水化物源にプロセス水を添加する。添加される水の実際の量は組成物の約39重量%であり;蒸気凝縮物(steam condensate)が約12重量%を追加する。その炭水化物源および水の組成物を調理装置中で予備水和および予備糊化し、それはパドルおよびリボンを有する連続的なクッカー/ミキサーまたは設置型のバッチミキサーであることができる。加熱は直接蒸気噴射により達成される。最初の水温は周囲温度(すなわち約21℃)であり、糊化を達成するために達した最終的な温度は約80℃である。別に、水、カラメル色、および酸化鉄を含む液体組成物を、組成物の約1重量%で提供する。その液体組成物、予備凝固された肉組成物ならびに予備糊化された炭水化物源および水の組成物を組み合わせ、それ以上の加熱無しにクッカーミキサー中で混合する。結果として得られた生成物を、商業的に入手できるポケット/ピストン型充填機により缶の中に充填し、続いて充填された缶を市販の巻締機において密封して(hermatically)継ぎ合わせる。充填され、継ぎ合わせられた缶は滅菌されて包装され、商業の連鎖において流通するであろう。
【符号の説明】
【0037】
75 ミキサー
76 ライン
77 クッカー
80 容器
81 ライン
82 ミキサー
83 容器
84 ライン
85 クッカー
86 ライン
87 ライン
88 充填機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉部分および1種類以上の炭水化物源に基づくペットフード組成物を調製するためのプロセスであって、以下:
(a)肉部分を変性点より上の温度まで加熱して肉組成物を形成する;
(b)1種類以上の炭水化物源および水を組み合わせて炭水化物組成物を形成する;
(c)その炭水化物組成物を糊化の温度まで加熱する;そして
(d)その肉組成物および炭水化物組成物を組み合わせる;
を含む、
前記プロセス。
【請求項2】
さらに工程(d)においてその組み合わせられた肉組成物および炭水化物組成物をさらなる時間加熱することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
その肉部分がウシからの肉および肉の副産物を含み、その肉部分が80℃より上で加熱される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
工程(d)が、肉組成物、炭水化物組成物、および液体組成物を組み合わせることを含み、その液体組成物が着色剤、香味増進剤、脂肪、および油の内の少なくとも1種類を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
工程(a)が、その肉部分の変性温度より2℃〜6℃上の温度まで加熱することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
工程(b)および(c)がサーマルスクリュークッカー中で実行される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
そのサーマルスクリュークッカー中での滞留時間が60〜90秒間であり、出口における温度が約80℃である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
そのペットフード組成物が10〜35重量%の1種類以上の炭水化物源を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
そのペットフード組成物が13〜28重量%の1種類以上の炭水化物源を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
そのプロセスがペットフード組成物をローフ製品へと形成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
そのローフ製品がイヌに適している、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
ペットフード組成物を調製するためのプロセスであって、以下:
(a)肉部分をその肉部分の変性点より高い温度まで加熱する;
(b)1種類以上の炭水化物源および水を組み合わせ、その1種類以上の炭水化物源および水を予備水和および予備糊化するのに十分な温度まで、および時間の間、その1種類以上の炭水化物源および水を加熱する;
(c)工程(a)および(b)の生成物を組み合わせる;そして
(d)工程(c)の組み合わせられた生成物を加熱する;
を含み、ここで、その肉部分がそのペットフード組成物の15〜30重量%であり、その1種類以上の炭水化物源がそのペットフード組成物の13〜28重量%である、
前記プロセス。
【請求項13】
その肉部分が、その肉部分の変性点より2℃〜6℃高い温度まで加熱される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
その肉部分が肉および肉の副産物を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
その1種類以上の炭水化物源が穀物、挽いた穀物、部分的に挽いた穀物、小麦粉、およびデンプンの1種類以上を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項16】
その1種類以上の炭水化物源がトウモロコシ、小麦、ジャガイモ、米、燕麦、大麦、ミロ、亜麻、fibrim、落花生殻、およびテンサイの1種類以上に由来する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項17】
その1種類以上の炭水化物源がデンプンまたは小麦粉を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項18】
そのペットフード組成物がローフ製品を構成する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項19】
そのローフ製品がイヌに適している、請求項18に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−510824(P2012−510824A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540667(P2011−540667)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/085862
【国際公開番号】WO2010/068191
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】