説明

ペット用スナック

【課題】 野菜、牛皮ガム、チーズその他の食材を略棒状に成形した芯材の周囲に、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉からなる肉質材を螺旋状に巻き付けたペット用スナックにおいて、肉質材を芯材から剥がれにくくする。
【解決手段】肉質材3が、芯材2に巻き付けた螺旋状部4の側部を、芯材2の長さ方向に延びる直線状部5によって一体に連繋された形状に成形する。螺旋状部4の各条が直線状部5によって連繋されることにより、芯材2から剥がれにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットにおやつとして与えるペット用スナックに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭で飼われている犬や猫には、「おやつ」や躾けの褒美として、ペット用のスナックが与えられる。かかるスナックの一種として、細長い棒状に加工した野菜スティックや牛皮ガムの周囲に、薄く叩き伸ばして帯状に切断した鶏ささ身肉等を螺旋状に巻き付けて乾燥あるいは焙焼したものが知られている(特許文献1、2等)。このタイプのスナックは、手に持って与えやすく、ペットの食いつきも良いことから、市場での人気も高い。特に、芯材に牛皮ガムを用いたものは、ペットがかじったりしゃぶったりする時間が長持ちするので、経済的でもある。
【特許文献1】実登3108851号公報
【特許文献2】特開2006−166794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような、芯材に帯状の肉質材を螺旋状に巻き付けたスナックにおいては、肉質材が芯材から剥がれてしまいやすい。また、特に芯材が牛皮ガムの場合、ペットが肉質材を食べてしまった後の芯材をしゃぶるのに飽きて、芯材だけを残してしまうこともある。そのため、室内でペットを飼育している場合には、剥がれた肉片や残した芯材によって室内が汚れやすい。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、肉質材が芯材から剥がれにくいペット用スナックを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のペット用スナックは、芯材に巻き付ける肉質材の形態を改良することによって上記の問題点を解決した。すなわち、本発明のペット用スナックは、野菜、牛皮ガム、チーズその他の食材を略棒状に成形した芯材の周囲に、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉からなる肉質材を螺旋状に巻き付けたペット用スナックにおいて、上記肉質材は、芯材に巻き付けた螺旋状部の側部を、芯材の長さ方向に延びる直線状部によって一体に連繋した形状に成形されたことを特徴とするものである。
【0006】
この発明によれば、芯材の長さ方向に延びる直線状部が、芯材の周囲に巻き付けられた螺旋状部を芯材の長さ方向に連繋して、肉質材全体が芯材から剥がれにくくなる。したがって、ペットが長時間、かじったりしゃぶったりしても、室内が汚れにくい。
【0007】
上記発明において、肉質材は、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉の生肉を略シート状に圧延して芯材に巻き付けたものとすることができる。これによれば、生肉本来の素材感や風味を生かすことができ、また、飼い主に対しても素材についての安心感を訴求することができる。なお、この肉質材には、生肉の成形を容易にするための結着剤や保湿剤等が添加されていてもよい。
【0008】
また、肉質材は、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉又は魚肉のミンチを略シート状に圧延して芯材に巻き付けたものとすることもできる。これによれば、肉質材に各種調味料や、ペットの健康保持に有用な栄養成分等も添加しやすくなるので、風味や食感、栄養機能等の面で多様な品種展開が可能になる。
【0009】
本発明のペット用スナックにおいては、肉質材の乾燥後の水分含有率が、特に20〜35%となるのが好ましい。水分含有率をこの範囲に調節することにより、水分含有率10〜15%程度まで乾燥された従来のスナックに比べて肉質材が割れにくくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のペット用スナックは、芯材に巻き付けられる肉質材の螺旋状部が、芯材の長さ方向に延びる直線状部によって一体に連繋された形状をなしているので、肉質材全体が芯材から剥がれにくい。したがって、ペットが長時間、かじったりしゃぶったりしても室内が汚れにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るペット用スナックについて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るペット用スナック1の外観を示す斜視図である。
【0013】
芯材2には、例えば野菜、牛皮ガム、チーズその他の非肉質材や、鶏ささ身、牛肉等の食材を、太さ数mm、長さ数十mm程度の棒状に成形したものが用いられる。ただし、本発明において、芯材2に用いる食材の種類は特に限定しない。
【0014】
芯材2に巻き付ける肉質材3には、鶏肉(ささ身、ムネ肉、モモ肉等)や鴨肉等の鳥肉、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、カンガルー肉等の畜肉が用いられる。それらの肉類は、生肉を薄くシート状に圧延して用いても良いし、一旦ミンチに切潰し、それをシート状に圧延して用いても良い。ミンチにする場合は、複数種類の肉類を混合してもよく、混合材料には魚肉も利用可能である。
【0015】
生肉を用いる場合は、結着剤となる澱粉や水飴と保湿剤を適量加えて、平らに叩き伸ばし、適当な形状に切断する。保湿剤には、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、乳酸ナトリウム等を利用することができる。結着剤には、各種増粘多糖類等も利用可能である。
【0016】
ミンチにする場合は、切潰したものを保湿剤や結着剤とともに混錬する。この段階で必要に応じ、調味料や栄養添加物が添加されてもよい。調味料は、例えば各種糖類、野菜エキス、食塩、グルタミン酸ナトリウム等である。栄養添加物としては、例えば各種ビタミン、カルシウム強化剤、グルコサミン、オリゴ糖、乳酸菌、各種酵素や食物繊維、糞便改良剤や消臭成分等が挙げられる。このミンチ状混錬物を適量ずつ圧延して、芯材2に巻き付けやすい形状に形成する。
【0017】
本発明の要部は、芯材2に巻き付けられた肉質材3の形状にある。図1に示すように、肉質材3は、螺旋状部4の側部を、芯材2の長さ方向に延びる直線状部5によって一体に連繋した形状に成形される。螺旋状部4は数条からなり、各条は厚さが数mm、幅が数mm〜十数mm程度に成形される。隣接する条間ピッチは少し離れていてもよいし、隣接する条同士が部分的に接していてもよい。直線状部5は、幅が数mm程度で、螺旋状部4の略全長にわたって成形され、螺旋状部4の各条を相互に連繋してバラバラにならないように拘束する。なお、肉質材3を芯材2の中央付近に巻き付けるようにすると、芯材2の端部が露出して扱いやすくなる。
【0018】
芯材2に肉質材3を巻き付けたものは、乾燥庫内で熱風乾燥される。乾燥条件の目安としては、熱風の温度が40℃〜80℃程度、乾燥時間が6〜10時間程度で、水分含有率を15〜40%にする。水分含有率が多いとカビが生えやすくなって日持ちが悪くなり、少なすぎると固くなりすぎて見た目も悪くなる。肉質材3を、より割れにくく、芯材2からも剥がれにくいようにするには、水分含有率を特に20〜35%の範囲に調整するのが好ましい。なお、上記のような乾燥処理に替え、或いは乾燥処理と併用して、数分間程度の焙焼処理を行ってもよい。
【0019】
このように、本発明のペット用スナック1は、芯材2に巻き付けられる肉質材3が、螺旋状部4の側部を直線状部5によって連繋した形状に成形されるので、肉質材3全体が芯材2から剥がれたり、割れたりしにくくなる。したがって、ペットが長時間、かじったりしゃぶったりしても、室内が汚れにくい。これにより、飼い主とペットとの良好なコミュニケーションが促進される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るペット用スナックの全体形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ペット用スナック
2 芯材
3 肉質材
4 螺旋状部
5 直線状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜、牛皮ガム、チーズその他の食材を略棒状に成形した芯材の周囲に、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉からなる肉質材を螺旋状に巻き付けたペット用スナックにおいて、
上記肉質材は、芯材に巻き付けた螺旋状部の側部を、芯材の長さ方向に延びる直線状部によって一体に連繋した形状に成形されたことを特徴とするペット用スナック。
【請求項2】
請求項1に記載のペット用スナックにおいて、
肉質材は、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉の生肉を略シート状に圧延して芯材に巻き付けたものであることを特徴とするペット用スナック。
【請求項3】
請求項1に記載のペット用スナックにおいて、
肉質材は、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉又は魚肉のミンチを略シート状に圧延して芯材に巻き付けたものであることを特徴とするペット用スナック。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のペット用スナックにおいて、
肉質材の乾燥後の水分含有率が20〜35%であることを特徴とするペット用スナック。

【図1】
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