説明

ペプチドおよびタンパク質サンプルの変化をモニターするためのスタンダードの使用

本発明は、ペプチドおよびタンパク質サンプルの変化および変動を測定およびモニターするためのスタンダードの使用方法に関する。より具体的には、本発明は、サンプルの質の変化、特にサンプルの収集後、処理中および保存中の変化を測定およびモニターする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生物学的物質を含むサンプルの重要な側面は、その安定性と質である。タンパク質やペプチドはタンパク分解および修飾を受けやすいので、ペプチドおよびタンパク質サンプルの安定性および質は、異なるサンプル間で、また保存中に、変化しうる。これは特に、タンパク分解活性、修飾および/またはペプチド消失に感受性のあるペプチドおよびタンパク質サンプルや、サンプル中のペプチドおよびタンパク質に対してかかる有害な活性を有する因子を含むことが知られている、または疑われる生物学的サンプルのようなサンプルについてあてはまる。
【0002】
したがって、ペプチドおよびタンパク質サンプルの質を測定、制御およびモニターするための有用な手段が必要である。
【技術分野】
【0003】
本発明は、ペプチドおよびタンパク質サンプルの変化および変動を測定およびモニターするためのスタンダードの使用方法に関する。より具体的には、本発明は、特にサンプルの収集後、処理中および保存中に、サンプルの質の変化を測定およびモニターする方法に関する。本発明によれば、サンプルの質は、サンプル中に含まれるスタンダードの変化を測定またはモニターし、それによりサンプル中のペプチドおよび/またはタンパク質の質についての測定を提供することによって、測定またはモニターする。これは、例えば、サンプルのペプチド組成を分析することによりサンプルがバイオマーカーの検出またはバイオマーカーもしくは治療薬の発見に適するか否かを決定することを可能とする。
【発明の開示】
【0004】
ある局面において、本発明は、少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルの質を測定、モニター、および/または制御する方法であって、以下の工程を含む方法に関する:少なくとも1つのプロテアーゼ感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つの修飾感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つのペプチド消失モニター用スタンダードを提供する工程、該少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルを添加する工程、および該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを測定する工程。
【0005】
さらなる局面において、本発明は、少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルの質を測定、モニター、および/または制御する方法であって、以下の工程を含む方法に関する:該少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルを提供する工程、少なくとも1つのプロテアーゼ感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つの修飾感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つのペプチド消失モニター用スタンダードを添加する工程、および該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを測定する工程。
【0006】
本発明の用語「タンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベル」は、スタンダートにおいて測定されたタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失の程度に関する。この用語は、スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失が検出されず、これが好ましくはサンプル中にかかる活性が存在しないことを示す状況、またはスタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失が検出可能であり、これが好ましくはサンプル中にかかる活性が存在することを示し、かつスタンダードについて測定されたタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルからサンプルの成分を推定することを可能とする状況、を包含する。相異なるサンプルに関しては、タンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルが異なりうる、すなわち、相異なるサンプルに相異なる程度のスタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失が存在しうる、あるいは、1以上のサンプルにタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失が存在せず、他のサンプルに相異なるサンプル間または相異なるサンプル群間で異なりうるある程度のタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失が存在しうる。
【0007】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのスタンダードは、タンパク分解活性および/または修飾および/またはペプチド消失に感受性のある、少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含む。
【0008】
本発明の方法のある態様において、タンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失は、少なくとも第二の時点において測定される。より好ましい態様において、タンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失の進行は、タンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを、前記の第一の測定と第二またはそれ以上の測定との間で比較することにより測定される。この態様により、該スタンダードの、ひいてはサンプル中のペプチドおよび/またはタンパク質の、経時的なタンパク分解的切断の進行および/または修飾のレベルおよび/またはペプチド消失の測定が可能となる。
【0009】
さらなる態様において、本発明の方法は、少なくとも2つの相異なるサンプルにおいてスタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを測定する工程、および該レベルを比較する工程、を含む。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つのスタンダードの修飾は、グリコシダーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、リパーゼおよびヌクレアーゼからなる群より選択される少なくとも1つの酵素の存在によるか、あるいは、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、エンドプロテアーゼ、血液凝固カスケードに関与するプロテアーゼ、および古典的および/または第二補体カスケードに関与するプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1つのプロテアーゼの存在による。
【0011】
好ましい態様において、少なくとも1つのスタンダードは、少なくとも1つのプロテアーゼ感受性スタンダードであって、これは好ましくは少なくとも1つのプロテアーゼのための少なくとも1つの切断部位を含む少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含み、このプロテアーゼは好ましくはセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、エンドプロテアーゼ、血液凝固カスケードに関与するプロテアーゼ、および古典的および/または第二補体カスケードに関与するプロテアーゼからなる群より選択される。
【0012】
本発明のさらに好ましい態様において、少なくとも1つのスタンダードは、少なくとも1つの修飾感受性スタンダードを含み、これは好ましくは少なくとも1つの修飾感受性部位を含む少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含み、この部位は、例えば、少なくとも1つのリン酸化アミノ酸残基および/または少なくとも1つのキナーゼ認識配列および/または少なくとも1つのグリコシル化アミノ酸残基および/または少なくとも1つの脂質部分連結アミノ酸残基である。
【0013】
本発明の方法のさらなる態様において、少なくとも1つのスタンダードは、タンパク分解活性、修飾活性および/またはペプチド消失活性に感受性の少なくとも1つのスタンダードを含み、この活性は、典型的には、サンプル中に存在するか、存在することが疑われるものである。
【0014】
さらに別の本発明の態様において、少なくとも1つのスタンダードは、サンプルと同じまたは類似の起源に由来する少なくとも1つのスタンダードを含み、この起源は好ましくは血清、血漿、全血、尿、髄液、血小板、白血球、赤血球、細菌、酵母、真菌、ウイルス、および真核性微生物である。
【0015】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つのスタンダードは、標識、好ましくは蛍光標識、発色団標識、発光標識、放射性同位体標識、同位体標識、同重体標識、酵素標識、粒子標識、核酸含有標識、およびタグ標識からなる群より選択される標識、を含む。これら態様において、すべてのスタンダードが同じまたは相異なる標識を含んでもよく、あるいは、少なくとも1つのスタンダードの一部のみが同じまたは相異なる標識を含んでもよい。
【0016】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つのスタンダードは、サンプルが由来する種と異なる種に由来するスタンダートを含む。好ましくは、少なくとも1つのスタンダードは、合成により調製されたスタンダードまたは天然源から単離されたスタンダードを含む。本発明のさらに好ましい態様において、少なくとも1つのスタンダードは、組換え手法により調製されたスタンダードを含む。
【0017】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つのスタンダードは、サンプルの少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質と、好ましくは共有結合または物理的相互作用により、結合するスタンダードを含む。
【0018】
さらなる態様において、少なくとも1つのスタンダードは、該サンプルおよび該少なくとも1つのスタンダードを含むコンパートメント(compartment)の表面に、好ましくは共有結合または物理的相互作用により、結合するスタンダードを含む。
【0019】
本発明の方法のさらなる態様において、サンプルは、全血、血清、血漿または尿に由来し、好ましくは、質量分析、SELDI、核磁気共鳴、プラズモン共鳴、蛍光光度法、測光法(photometory)、発光測定法(luminometry)、放射活性測定法、酵素測定法、顕微鏡法、免疫学的方法、および分子生物学的方法からなる群より選択される方法により解析されるべきものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、サンプル、特にペプチドおよび/またはタンパク質を含む生物学的サンプルの状態および質を測定するためのスタンダードの使用に関する。本発明の用語「スタンダード」は、それに基づきサンプルの状態および質を測定およびモニターできる参照物に関する。ある態様において、スタンダードは既にコンパートメント中に存在し、サンプルがそのコンパートメントに充填された時にサンプルと混合され、および/または物理的に接触せしめられる。さらなる態様において、スタンダードはサンプルに添加される。つまり、スタンダードとサンプルはまったく同じ「環境因子」にさらされる。「環境因子」の例は、なかでも、保存時間、保存温度、温度変化、凍結融解サイクル、サンプル調製中の機械的混合、加熱または沸騰、光照射、酸素または他の化学物質、例えば酸またはカオトロピック塩への暴露、表面、例えばサンプルを保持しているコンパートメントの表面への露出、サンプル中に存在する酵素への暴露、抗凝固物質、例えばEDTAまたはクエン酸塩への暴露、あるいはコンパートメント中に存在することがある凝固促進物質への暴露、などである。これにより、これらスタンダードは、サンプル中に存在する物質、特にペプチドおよび/またはタンパク質に対するこれら「環境因子」の効果を間接的にモニターするために使用できる。
【0021】
これらの「外部」スタンダードをサンプル中に天然に存在するペプチドにかえて使用する利点は、これらスタンダードは「環境因子」への暴露開始時の実体および量が既知であり、好ましくは容易かつ特異的に検出できる点である。開始時のスタンダードの組成および濃度は、これらサンプルが相異なる個体に由来するか、相異なる研究室または病院において相異なる人物により収集されたか、あるいは長期間にわたり収集されたかなどに関わらず、相異なるサンプルにおいて一定に保つことができる。これにより、各種起源の多種多様なサンプル間でも比較が可能となる。
【0022】
他の利点は、スタンダードの濃度がサンプルの起源に依存せず、それゆえサンプル中の分析すべきペプチドおよび/またはタンパク質の組成および濃度の変化の分析に最適な濃度に調節できる点である。
【0023】
さらなる利点は、スタンダードは必ずしも元のサンプルに存在するペプチドである必要はなく、人工化合物、例えば非ペプチド化合物、またはタンパク分解的切断および/または修飾のための部位を含むペプチドおよび非ペプチド成分を含む化合物であってもよい点である。これにより、それらをサンプル中に存在する天然ペプチドとより容易に区別することができる。例えば、スタンダードは、タンパク分解的切断のための部位を含み、かつ非切断スタンダードにおいてエネルギー転移(FRET)により相互作用する蛍光レポーター色素とクエンチャーから構成される標識のペアによって標識されている、自己クエンチング蛍光スタンダードであってよい。
【0024】
さらに、スタンダードは、そのスタンダードに対する「環境因子」の効果の分析を容易にする物質により、標識することができる。
【0025】
さらに利点であるのは、スタンダードは、単一のスタンダードが「環境因子」をモニターするための様々な性質を含むように設計できる点である。例えば、1つのスタンダードがいくつかのプロテアーゼ認識配列、いくつかのキナーゼ認識配列を含むことができ、さらにいくつかのグリコシル化アミノ酸側鎖を含むことができる。それゆえ、かかるスタンダードは、スタンダードに存在する認識配列を認識する対応するプロテアーゼおよびキナーゼの活性を同時にモニターするために使用でき、さらに、スタンダードに存在する炭水化物部分に特異的なグリコシダーゼの活性を検出するために使用できる。これにより、限られた数の相異なるスタンダードのみを使用して、サンプルに存在する可能性のある様々な活性をモニターすることが可能となる。
【0026】
本発明の別の利点は、スタンダードをある種のタイプのサンプルにカスタマイズすることができる点である。例えば、HIV陽性の血漿サンプルを分析する場合、スタンダードはHIVウイルス特異的プロテアーゼの基質であるペプチドを含むように選択することができる。
【0027】
サンプル
本発明によれば、少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルはいずれもサンプルとして好適である。好ましくは、サンプルは、1、好ましくは少なくとも10、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも100、好ましくは少なくとも200、好ましくは少なくとも600、および好ましくは少なくとも1200の異なるペプチドおよび/またはタンパク質を含む。用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって共有結合した、2以上、好ましくは3以上、好ましくは4以上、好ましくは6以上、好ましくは8以上、好ましくは10以上、好ましくは13以上、好ましくは16以上、好ましくは21以上のアミノ酸からなる化合物を意味する。用語「タンパク質」は、ペプチド結合によって共有結合した、約160アミノ酸を超えるポリペプチドを意味する。Mr 20 000 (約160アミノ酸残基)のペプチドがポリペプチドとタンパク質の境界である。本発明における用語「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸のみを含む化合物と、非アミノ酸構成成分も含む化合物とを含み、また、ペプチド結合のみを含む化合物と、他の結合、例えばエステル、チオエーテルまたはジスルフィド結合をも含む化合物とを含む。
【0028】
ペプチドは、天然に存在するいずれの種類のタンパク質のフラグメントであってもよく、それにはリン酸基、炭水化物基または脂質部分のような翻訳後修飾を含むタンパク質が含まれる。また含まれるのは、遺伝コードによってコードされる20アミノ酸の標準的セットとは異なるアミノ酸を含むペプチドである。好ましくは、サンプルは、全血、血清、血漿または尿、残存血液細胞を含む血清、血小板、赤血球、白血球のような残存血液細胞またはサンプルが由来する個体に感染した微生物を含む血漿、である。好ましくは、個体は、ヒト、哺乳類、齧歯類、霊長類、マウス、またはラットである。
【0029】
本発明におけるペプチドまたはタンパク質の修飾は、翻訳後修飾、化学修飾、酵素的修飾、および他の機構による修飾による修飾を含みうる。可能性ある修飾の例には、限定はされないが、以下が含まれる: グリコシル化、リン酸化、硫酸化(sulphatation)、ピログルタミン酸修飾、システイン-ジスルフィド架橋、メチル化、アセチル化、アシル化、ファルネシル化、ホルミル化、ゲラニルゲラニル化、ビオチニル化、ステアロイル化(stearoylation)、パルミチル化、リポリル化(lipolyation)、C-マンノシル化、ミリストイル化(miristoyliation)、アミド化、脱アミド化、メチル化、脱メチル化、カルボキシル化、ヒドロキシル化、ヨード化、酸化、ペグ化、プレニル化、ADP-リボシル化、脂質、ホスファチジルイノシトール、グリコシルホスファチジルイノシトール (GPI)-アンカー、ピリドキサールリン酸の付加、カルボキシアミドメチルシステイン、カルボキシメチルシステイン、またはピリジルエチルシステインをもたらすシステイン残基の修飾、リポ酸(liponic acid)をもたらすリシン残基の修飾、ピログルタミン酸をもたらすグルタミン酸の修飾、など。
【0030】
本発明におけるペプチドまたはタンパク質の修飾は、異常(unusual)アミノ酸、化学的または酵素的に修飾されたアミノ酸などを含んでもよく、それには、限定はされないが、以下が含まれる:αアミノ酪酸、βアミノ酪酸、βアミノイソ酪酸、βアラニン、γ酪酸、αアミノアジピン酸、4-アミノ安息香酸、アミノエチルシステイン、αアミノペニシラン酸、アリシン、4-カルボキシグルタミン酸、シスタチオニン、カルボキシグルタミン酸、カルボキシアミドメチルシステイン、カルボキシメチルシステイン、システイン酸、シトルリン、デヒドロアラニン、ジアミノ酪酸、デヒドロアミノ-2-酪酸、エチオニン、グリシン-プロリンジペプチド、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、ホモセリン、ホモシステイン、ヒスタミン、イソバリン(iso-valeine)、リジノアラニン、ランチオニン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、2-ピペリジン-カルボン酸、ピログルタミン酸、ピロリジン、プロリン-ヒドロキシプロリンジペプチド、サルコシン、4-セレノシステイン、シンデシン(syndesine)、チオプロリン、など。さらなる例は、以下のようなデータベースに見られる:「Delta Mass」データベース、ABRF(Association of Biomolecular Resource Facilities)のウェブサイトにおいて検索可能: http://www.abrf.org/index.cfm/dm.home?AvgMass=all
【0031】
サンプルの比較
好ましい態様において、サンプルは、別のサンプルとの比較のために使用される。意味のある比較のためには、比較されるサンプルは同じまたは類似の起源に由来するべきである。
【0032】
用語「同じまたは類似の起源に由来する」は、ある種の物質、材料および/またはサンプル、例えば2以上の相異なるサンプルが、またはスタンダードとサンプルとが、同じまたは類似の起源を有し、また、好ましくは同じまたは関連するタイプの組織または体液、および/または同じ網、属または種の個体、および/または同じ状態を有する個体、例えば健康な個体、あるいは同じ疾患を有するか同じ処置を受けている個体、などに由来することを意味する。例えば、サンプルが血清でありスタンダードが血清中に含まれる1以上のペプチドおよび/またはタンパク質の場合、スタンダードとサンプルは同じまたは類似の起源に由来する。
【0033】
「同じまたは類似の起源」の例は、なかでも、異なる時点、または1日の異なる時間、例えば、午前、正午、午後または夜、あるいは医学的、実験的またはその他の処置の前、間または後、あるいは疾患の前、間または後、あるいは他の状態、例えば妊娠、激しい身体活動、精神的ストレス、食品、医薬物質、タバコ製品の消費の前、間または後、などに採取された同じ個体由来のサンプルである。比較するサンプルは、同じ個体から同じ時間に、異なる体のコンパートメントから採取してもよい。例えば、1の血液サンプルを、臓器、例えば肝臓、肺、腎臓または脳に入る前の血管から採取し、1の血液サンプルを、これら臓器の1つを通過した後の血管から採取してもよい。比較すべき類似の起源のサンプルは、異なる個体に由来するものであってよく、ここでサンプルは、例えば同じ時間に同じ病院において採取され、あるいはサンプルは、例えば異なる個体から異なる時点に、および/または異なる病院または研究室において、および/または異なる医師または研究者によって、採取される。比較すべき類似の起源のサンプルは、分析前に様々な期間にて保存することができ、ここで、各サンプルは、同じ期間保存されても、異なる期間保存されてもよい。サンプルは、同じ保存条件下、例えば室温、4 ℃、-20 ℃、-70 ℃、-80 ℃で、ドライアイス上で、液体窒素中で、保存されていもよく、また保存されていなくてもよい。サンプルは、分析前に1回以上解凍されていても、あるいは解凍されていなくてもよく、サンプルは、不活性ガス、例えば窒素またはアルゴン下で保存されていても、通常の酸素含有大気下にて保存されていてもよい。サンプル調製は、同じプロトコールにしたがって行われていても、行われていなくてもよい。例えば、異なる血清サンプルについての凝固過程中の凝固時間および温度は異なっていてもよく、遠心時間および/または重力加速度は異なっていてもよい。収集された尿は、午前、午後、食事の前または後、高脂肪食または高糖分食のような特定食の前または後、などに収集されたものであってよい。これら各種の類似の起源のサンプルはいずれも、使用したスタンダードによってサンプルの質の比較が可能となることから、本発明の方法により比較および標準化することができる。例えば、異なるサンプルにおけるスタンダードのタンパク分解のグレードを比較することによって、収集、処理(例えば血清を生じさせるための凝固過程)および保存中にサンプルがどの程度タンパク分解を受けたか、を測定することができる。これにより、サンプル中に存在するペプチド、例えばこれらサンプル中に存在するサイトカインがタンパク分解によってどの程度影響をうけたか、を推測することができる。したがって、サンプル中に存在するスタンダードのタンパク分解の程度の測定によって、他の分析物、例えば同じサンプル中に存在するサイトカインのタンパク分解の程度を推定することが可能となる。つまり、相異なるサンプルがサイトカインなどの測定への使用に適しているかを決定することができる。測定したサイトカインレベルがどの程度比較可能であるか、あるいはサンプルの質の相違のためそれらは比較不可能であるか、あるいはそれらはスタンダードを使用して測定したタンパク分解グレードにしたがい数学的に調整する必要があるか、を決定することができる。
【0034】
サンプルの質
本発明における語句「サンプルの質」は、サンプルの完全性、すなわち、サンプルがその成分の変化、例えば成分の修飾および/または分解および/または濃度変化を受けたか、に関する。語句「サンプルの質」は、特に、サンプルに含まれる成分、特に1以上のペプチドおよび/またはタンパク質の変化、特に望ましくない変化、に関する。具体的態様において、かかる変化は、サンプル中に天然に存在する因子、またはサンプルのコンタミネーションのためにサンプルに存在する因子に起因する。本発明における用語「望ましくない変化」は、サンプルに含まれる成分、特に1以上のペプチドおよび/またはタンパク質の変化が、先の時点、特にサンプル収集の時点、におけるサンプルまたはその成分の状態と比較してできる限り低くあるべきことを意味する。
【0035】
「サンプルの質」は、それが分析に適するか、または別のサンプルとの比較に適するか、特にあるサンプルにおけるバイオマーカーの測定濃度が別のサンプルにおけるそのバイオマーカーの測定濃度と比較できるか、という問題にとって重要である。これは、必ずしもバイオマーカーの測定濃度が異なるサンプルにおいてほぼ同じであることを意味するのではなく、あるサンプルにおけるバイオマーカーの測定濃度が、別のサンプルにおける同じバイオマーカーの測定濃度を信頼できるのと同程度に信頼でき、かつ異なるサンプルにおけるバイオマーカーの測定濃度が、異なる時点、特にサンプル収集の時点、においてそれらが有していたのと同じ相対値を互いに有する場合をも含む。例えば、あるサンプルがバイオマーカーのタンパク分解的破壊を促進する条件下で保存され、別のサンプルが非破壊的条件下で保存された場合、第1のサンプルにおけるバイオマーカーの測定値は第2のサンプルにおけるバイオマーカーの測定値よりも低すぎ、比較することができない。同じことが、2つの異なるサンプルを使用して、第1のサンプルにおいて測定したペプチド濃度と第2のサンプルにおいて測定したペプチド濃度とを比較することによって新規なバイオマーカーまたは新規な治療分子を発見する場合にもあてはまる。
【0036】
この目的ため、本発明は、保存条件、サンプルの年代などの因子に基づきサンプルの質をモニターするのに適するスタンダードを利用する。サンプルをペプチドまたはタンパク質について分析する場合、サンプルのペプチド組成に影響する主な因子は以下である:
- プロテアーゼ、これらはタンパク質および/またはペプチドを消化し、ペプチドおよびタンパク質フラグメントをもたらす
- 酵素、例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、リパーゼまたはヌクレアーゼ、あるいは酸化のような他の化学反応を触媒する酵素、これらはペプチドおよび/またはタンパク質の構造を変化させる
- サンプルからのタンパク質および/またはペプチドの消失をもたらす因子、例えばペプチドおよび/またはタンパク質のサンプル収集チューブへの付着などによる消失。
【0037】
本発明にしたがい使用されるスタンダードは、これらのサンプル修飾因子の効果を定性的および定量的にモニターすることを可能とする。
【0038】
「プロテアーゼ感受性スタンダード」は、プロテアーゼにより切断されうる物質を意味する。物質は、好ましくはペプチドまたはタンパク質であるが、その物質がプロテアーゼにより切断される限りペプチドまたはタンパク質とは異なってもよい。スタンダードに存在する切断部位は、この切断部位がプロテアーゼにより切断され、それゆえそのプロテアーゼの活性が検出可能である限り、ペプチド結合と異なることもありうる。
【0039】
「修飾感受性スタンダード」は、酵素の作用によって変化しうる物質であり、酵素は好ましくはキナーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、リパーゼおよびヌクレアーゼからなる群より選択され、これら酵素が原核生物または真核生物に起因するか、ヒト、動物、植物、細菌または酵母に起因するかによらない。修飾感受性スタンダードは、例えば、酸化および日光、UV光、赤外光、γ線、β線、α線などの照射源による照射から選択される物理または化学反応により修飾されうるペプチドおよび/またはタンパク質でありうる。例えば、メチオニン、トリプトファンまたはシステインは酸化により修飾されうる。
【0040】
「ペプチド消失モニター用スタンダード」は、サンプルの収集、処理および/または保存中のペプチドおよび/またはタンパク質の消失、すなわち濃度変化、の測定に有用な物質を意味する。例えば、スタンダードの濃度は、サンプルを保持するコンパートメントの表面へのスタンダードの結合、サンプルの処理中に除去された凝固塊へのスタンダードの結合、サンプルを濾過するために使用された膜へのスタンダードの結合、サンプル中に豊富に存在するアルブミンのようなタンパク質へのスタンダードの結合(その豊富に存在するタンパク質がサンプルの残りの構成成分の分析を促進するためにサンプルから除去される場合)などによるスタンダードの消失により減少しうる。
【0041】
スタンダードおよび/またはサンプルの分析方法
通常、スタンダードおよび/またはサンプル、特にスタンダードおよび/またはサンプルのペプチドおよび/またはタンパク質、を検出および分析するのに適する方法、および/またはサンプル中に存在するスタンダードに任意で結合している標識を検出するのに適する方法のすべてが、スタンダードおよび/またはサンプルの分析に、特に定性的または定量的にサンプル中に存在するスタンダードを測定することによる分析に適する。かかる方法には、限定はされないが、質量分析、MALDI (マトリックス支援レーザー脱離)-質量分析、ESI (エレクトロスプレーイオン化)-質量分析、TOF (飛行時間) 質量分析、ICAT (アイソトープコードアフィニティータグ(isotope coded affinity tag)) 質量分析、SELDI (表面増強レーザー脱離(surface enhanced laser desorption)) 質量分析、プラズモン共鳴 (BIACORE)、タンパク質チップアレイ、NMR (核磁気共鳴)、蛍光光度法、比色分析法、放射測定法、発光測定法、FRET (蛍光共鳴エネルギー転移)、などが含まれる。スタンダードは、サンプルの分析の前、後、またはサンプルの分析と同時に分析されうる。
【0042】
スタンダード
本発明は、少なくとも1つのスタンダード、好ましくは1〜3、1〜5、1〜10、1〜15、1〜20、1〜30、および好ましくは30以上のスタンダードの使用を想定する。スタンダードが液体クロマトグラフィーと質量分析の組合せにより検出される場合、スタンダードは好ましくは以下の濃度で存在する:例えば、スタンダードの各ペプチドおよび/またはタンパク質が、1 fmol〜100 mmol、好ましくは1 fmol〜100μmol、好ましくは1 fmol〜100 nmol、好ましくは1 pmol〜100μmol、好ましくは1 pmol〜100 nmol、好ましくは1 pmol〜100μmol、好ましくは1 pmol〜100 nmol、好ましくは1 pmol〜1 nmol。2以上のペプチドおよび/またはタンパク質を含むスタンダード中の相異なるペプチドおよび/またはタンパク質は、相異なる濃度で存在しうる。質量分析とオンラインで連結された液体クロマトグラフィーについては、スタンダードの濃度は好ましくは約10倍高く、あるいはSELDI質量分析については、スタンダードの濃度は好ましくは約100〜1000倍高い。他の検出方法は、より高い、またはより低いスタンダードの濃度を必要としうる。スタンダードの混合物中に相異なる濃度で存在する相異なるスタンダードを使用することができる。これにより、スタンダードの混合物中に存在する各スタンダードの濃度を個々に最適濃度に調節することが可能となる。スタンダードの濃度は、各スタンダードの様々な濃度を試験することによって実験的に決定することができる。液体クロマトグラフィーと質量分析の組合せについて、スタンダードの分子量は、500 Da〜500 kDa、好ましくは500 Da〜100 kDa、好ましくは500 Da〜50 kDa、好ましくは500 Da〜30 kDa、好ましくは500 Da〜15 kDa、好ましくは500 Da〜10 kDa、好ましくは1 kDa〜15 kDa、好ましくは1 kDa〜10 kDa、好ましくは1 kDa〜5 kDaの範囲内でありうる。スタンダードは、好ましくは、翻訳後修飾、例えばリン酸化、グリコシル化および/または脂質またはヌクレオチド修飾された、またはされていない、ペプチドおよび/またはタンパク質である。スタンダードは、天然起源から単離してもよく、あるいは化学的技術または組換え技術により合成してもよく、例えばインビトロ翻訳システムまたは当業界にて既知の他の方法を用いて合成してもよい。スタンダードは、任意で、合成中に標識してもよく、あるいは合成後または天然起源からの単離後に標識してもよい。スタンダードは、任意で、組換えまたはインビトロ翻訳合成中に、例えば標識代謝物を用いて、標識してもよい。スタンダードはまた、標識を使用せずに調製および使用してもよい。スタンダードは、均一に、すなわち純度90 %〜100 %まで精製してもよく、あるいは純度90 %〜70 %まで実質的に精製してもよく、あるいは70 %未満または50 %未満または20 %未満の純度まで精製してもよく、あるいは事前の精製なしに使用してもよい。スタンダードとして使用するペプチドは、天然に存在する配列または修飾を含んでもよく、天然に存在しない人工的配列および修飾を含んでもよい。スタンダードとして使用されるペプチドおよび/またはタンパク質の配列は、そのスタンダードを用いて試験するサンプルと同じ種に起因する配列を含んでもよい。あるいは、スタンダードとして使用するペプチドおよび/またはタンパク質の配列は、サンプルが由来する種と異なる種に由来する配列を含んでもよく、または、スタンダードは、天然に見られない配列を含んでもよく、それらのいずれによってもサンプル中に存在するペプチドおよび/またはタンパク質の配列からそのスタンダードの配列を簡単に区別することができる。スタンダードとして使用するペプチドの配列を、それがあるタイプのサンプルに最適であるように特別に設計することが可能である。これは例えば、分析対象のサンプルのタイプに存在することが知られている、または期待される酵素によって認識される認識配列をスタンダード配列中に導入することにより行うことができる。例えば、血液凝固カスケードのプロテアーゼのプロテアーゼ認識部位を使用して、ペプチドを血漿サンプルの質をモニターするためのスタンダードとしてカスタマイズすることができる。これにより、血液凝固カスケードに起因する望ましくないタンパク分解活性の容易な検出が促進される。スタンダードのペプチド配列の領域は、プロテアーゼにより切断可能な特定のプロテアーゼ認識配列のみ残してプロテアーゼ抵抗性模倣ペプチドを使用することにより、タンパク分解的攻撃から保護することができる。
【0043】
本発明の方法の好ましい態様において、スタンダードの混合物、特に相異なるペプチドスタンダード、好ましくは1〜3、1〜5、1〜10、1〜15、1〜20、1〜30、および好ましくは30以上のペプチドスタンダード、の混合物が使用される。かかる混合物は、好ましくは、特性、例えば物理的、化学的、生化学的性質などが異なるスタンダードを含む。特に、かかる混合物は、異なるタンパク分解的切断活性または修飾活性の指標となるスタンダード、同じタンパク分解的切断活性または修飾活性に感受性があるが感度レベルが異なる、あるいは異なる条件、例えばpH、塩濃度など、のもとで感受性があるスタンダード、および/または異なる分子量、疎水性、電荷などを有するスタンダードを含む。かかるスタンダードの混合物により、様々な起源および/またはタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失の形式について、および/または様々なサンプル特性、例えばpH、イオン強度、全ペプチドまたはタンパク質濃度など、および/または様々なサンプル処置、などについて、サンプルの質を測定、モニター、および/または制御することが可能となる。
【0044】
サンプル特異的スタンダード
本発明のある態様において、ある種のサンプル、例えば血清、血漿、髄液または尿のような体液および組織に特異的であるか典型的に存在するプロテアーゼまたは他の酵素の認識配列、あるいはある種の細胞、例えば血液細胞、特に血小板、赤血球または白血球、に特異的であるか典型的に存在するプロテアーゼまたは他の酵素の認識配列を含むスタンダードが使用される。これら酵素によるスタンダードの分解は、例えば、サンプル、特に血清、血漿または尿のような体液の、ある種の体液、組織または細胞によるコンタミネーションを測定するための指標として使用可能である。例えばこれは、髄液サンプル中における血液の存在を示し、あるいは、例えば血漿の場合にはこれは、部分的凝固または不適切な血漿調製のために血小板が溶解されプロテアーゼなどの細胞内酵素が血漿サンプル中に放出されたことを示しうる。血清および血漿中に主に存在する酵素の例は、血液凝固カスケードのプロテアーゼ、第二または古典的補体経路のプロテアーゼなどである。
【0045】
微生物酵素によって認識されるスタンダード
スタンダードはまた、サンプルが起因する種に典型的または特異的でないが、微生物に典型的または特異的である酵素、例えばプロテアーゼ、グリコシダーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼまたは他の酵素、の認識配列を含みうる。好ましくは、この微生物は、サンプルが起因する種の個体に感染しうる微生物、あるいはより好ましくは、サンプルが起因する種に対して病原性を有する微生物である。それゆえ本発明の別の態様は、スタンダードに対するこれら酵素活性およびその効果の、これら酵素を本来は含まないサンプルの質をモニターおよび制御するための使用、に関する。本発明において、用語「微生物」には、細菌、ウイルス、酵母、真菌および真核性微生物、例えば、寄生生物が含まれる。かかる微生物の例は、例えば以下のウイルスである:ライノウイルスおよびエコーウイルスおよびコクサッキーウイルス(風邪)、インフルエンザウイルスA、BおよびC、パラインフルエンザウイルス1、2、3および4、ムンプスウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、胃腸炎ウイルス、麻疹ウイルス(はしか(measles))、風疹ウイルス(風疹(German measles))、伝染性軟属腫ウイルス、ヒトパルボウイルスB19、A、B、C、D、E型肝炎ウイルスおよび非A-E型肝炎ウイルス、HIVウイルス1、2 または他のHIV ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルスタイプ 6、ヒトパピローマウイルス、水疱瘡ウイルス、アルボウイルス、例えば、トガウイルス、αウイルス、フラビウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルス(phlebovirus)およびナイロウイルス(nairovirus)、オルビウイルス、狂犬病ウイルス、アレナウイルス、フィロウイルス、ノラウイルス(nora virus)、ロタウイルス、およびはハタウイルス(hata virus)。かかる細菌の例は以下である: Staphylococcus、Streptococcus、Pneumococcus、Neisseria、Erysipelothrix Rhusiopathiae、Listeria、Bacillus anthracis、Bocardia asteroides、Salmonella、Shigella、Escherichia、Klebsiella、Enterobacter、Serratia、Proteus、Morganella、Providencia、Yersinia、Brucella、Francisella tularensis、Vibrio cholerae、Yersinia pestis、Pseudomonas、Campylobacter、Clostridium、Peptococcus、Treponema、Peptostreptococcus、Bacteroides、Prevotella、 Fusobacterium、Leptospira、Borrelia burgdorferi、Streptobacillus、Spirillum、Nocardia、Rickettsia、Bartonella、Chlamydia、およびMycobacterium。かかる真菌の例は以下である:Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Sporothrix schenckii、Cryptococcus neoformans、Candida、Aspergillus、Rhizopus、Rhizomucor、Absidia、Basidiobolus、 Bipolaris、Cladophialophora、Cladosporium、Drechslera、Exophiala、Fonsecaea、Phialophora、Xylohypha、Ochroconis、Phinocladiella、Scolecobasidium、Wangiella、Trichosporon、Blastoschizomyces、Malassezia、Penicillium、およびActinomyces。かかる寄生生物の例は以下である:Plasmodium、Trypanosoma、Leishmania、Naegleria、Hartmannella、Acanthamoeba、Giardia、Strongyloides、Entamoeba、Shistosoma、Cryptosporidium、Isospora、Cyclospora、E. histolytica、Trichuris、Ascaris、Hookworms、Strongyloides、Tapeworms、Flukes、Enterobius、Paragonimus、Echinococcus、Onchocera、Trichomonas、およびSchistosoma haematobium。
【0046】
模倣ペプチド
スタンダードとして使用するペプチドは、部分的または完全な模倣ペプチドとして調製または合成することができる。これにより、より特定された性質のペプチドを設計することができる。例えば、D-アミノ酸を使用すれば、サンプル中のあるプロテアーゼの活性をモニターするため、およびそれによりサンプルの質をモニターするためにスタンダードに導入された特定のプロテアーゼ認識配列など以外のすべてのペプチド結合のタンパク分解を防ぐことができる。本発明における「模倣ペプチド」は、アミノ酸またはアミノ酸配列の機能を模倣する構造体である。「模倣ペプチド」または「ペプチド模倣物」は、しばしばさらなる性質、例えば増強されたタンパク分解耐性、を有する。模倣ペプチドは、一部またはすべてのペプチド結合がアミノ酸を連結しうる他の種類の共有結合により置換されていてもよい。模倣ペプチドは、とりわけ、アミノ酸の修飾、例えばα-C アルキル化、α-N アルキル化など、ジペプチドアナログ (共有結合により連結した2アミノ酸側鎖) 、またはペプチド骨格の修飾、特にL-アミノ酸からD-アミノ酸への変更、N-配列からC-配列への反転、アミド結合イソスター、などを含みうる。模倣ペプチドのさらなる例は、spiegelmers(登録商標) (NOXXON Parma AG, Berlin, Germany) またはβアミノ酸である。
【0047】
標識
本発明は、少なくとも1つの標識を含むスタンダードの使用を想定する。
【0048】
本明細書で使用する用語「標識」は、以下の機能を有するいずれも部分をも意味する: (i)検出可能なシグナルを提供する; (ii) 第二の標識と相互作用して第一または第二の標識により提供される検出可能なシグナルを修飾する、例えばFRET; (iii) 電荷、疎水性、形状、または他の物理的パラメーターにより移動度、例えば電気泳動移動度、に影響する または (iv)捕捉部分を提供する、例えば親和性、抗体/抗原、またはイオン性複合体形成。
【0049】
いずれの構造物も標識として好適であり、例えば、同位体標識、同重体標識、蛍光標識、放射性標識、発光標識、酵素標識、毒素標識、色素標識、標識としての金属粒子、標識としての磁性粒子、標識としてのポリマー粒子、ビオチンまたは標識としての他の有機分子などである。
【0050】
例えば、その天然の分子量と異なる分子量を有する同位体、例えば、酸素-18、窒素-15、重水素、三重水素、炭素-14、硫黄-35、リン-32またはリン-33などは、同位体標識スタンダードの調製に使用可能である。同位体は、同位体標識アミノ酸をスタンダードの合成に使用することによって、スタンダードに直接導入することができる。さらに、これら同位体は、同位体標識代謝物の存在下に細胞を増殖させ、標識されたスタンダードをこれら細胞または細胞培養上清から単離することによって、スタンダードに導入することができる。同位体はまた、他の方法、例えば同位体標識代謝物を用いるインビトロ翻訳によって、スタンダードに導入することができる。同位体標識代謝物は、アミノ酸、炭水化物、脂肪酸、無機塩、例えばリン酸塩、硫酸塩など、または他の同位体標識物質でありうる。これら同位体標識スタンダードは特に、質量分析法を用いる測定方法に好適である。同位体標識ペプチドは特に、スタンダードが質量分析法を用いる方法に使用される場合に好適である。
【0051】
質量分析的検出方法に特に好適な別の種類の標識は、同重体標識である。各種のかかる標識は、これら標識がインタクトであり、かつ質量分析計において断片化されていないかぎり、同じ分子量を有する。これは、異なる同重体標識により標識された分子の混合物が質量分析法を用いてより好都合に分析できるという利点を有し、なぜならサンプルの分析前には限られた質量差しか存在しないからである。同重体標識の断片化により標識の実体が決定され、それによりその同重体標識により標識された分子の実体が同定される。好ましくはこれら標識は、質量分析計における標識の断片化の際に生成するフラグメントがペプチドまたはタンパク質の断片化によっては通常得られない質量を有するように構築される。かかる質量の例は114〜120 Daの質量である。通常、同重体標識は、その同重体標識の非存在下において同じ質量分析法により分析された同種のサンプル中には生じない質量を生じるよう選択されるべきである。
【0052】
標識アミノ酸をペプチド合成において直接使用するかわりに、ペプチドおよびタンパク質は通常、アミン反応性試薬、例えばイソチオシアネート、スクシニミジルエステルおよびカルボン酸、スルホニルクロライド、アルデヒド、アリール化試薬など、またはチオール反応性試薬、例えばヨードアセトアミド、マレイミド、アルキルハライドおよびアリール化物質、を用いて標識することができる。さらに、アルコール、例えばセリン、スレオニンに、または炭水化物部分に存在するものは、過ヨウ素酸塩により酸化して、後に各種アミンまたはヒドラジン誘導体により修飾されうるアルデヒドを生じさせることによって標識することができる。チロシン由来のアルコールは、スルホニルクロライドまたはヨードアセトアミドと反応しうる場合がある。炭水化物部分におけるアルコールはさらに、ジクロロトリアジンとの反応によって標識されうる。N-メチルイサトイン無水物(methylisatoic anhydride)は、リボヌクレオチドその他の炭水化物部分を励起/発光極大が約350/466 nmの蛍光エステルへと変換する。蛍光標識の例は、以下のようなフルオロフォアである:Alexa Fluor(登録商標) 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、およびAlexa Fluor(登録商標) 750、アミノメチルクマリン (AMCA)、メトキシクマリン酢酸、ビマン(Bimane)、BODIPY 493/503、530/550、558/568、564/570、576/589、581/591、630/650、およびBODIPY 650/665、BODIPY FL、BODIPY TR; BODIPY TMR、カスケードブルー色素、カスケードイエロー色素、シアニン色素例えば、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、ダンシル(Dansyl)、ダポキシル(Dapoxyl)色素、ジアルキルアミノクマリン、エオジン、エリスロシン、フルオレセイン (FITC)、フルオレセイン-EX、2',4',5',7'-テトラブロモスルホンフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、2',7'-ジクロロ-フルオレセイン、4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシ-フルオレセイン、6-カルボキシ-2',4,4',5',7,7'-ヘキサクロロフルオレセイン、スクシニミジルエステル (6-HEX、SE)、5-カルボキシフルオレセイン (5FAM)、5,6-カルボキシフルオレセイン (5(6)FAM)、ヒドロキシクマリン、マラカイトグリーン、マリーナブルー色素、メトキシクマリン、7-ニトロ-4-ベンゾフラザニル (NBD)、Oregon Green(登録商標) 488、Oregon Green(登録商標) 514、パシフィックブルー、パシフィックブルー色素、PyMPO、ピレン、QSY 7、QSY 9、QSY 21、QSY 35、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミングリーン色素、ローダミンレッド色素、ローダミンレッド、ローダミンレッド-X (RRX)、X-ローダミン、テトラメチル-ローダミン(TMR、TRITC)、リサミンローダミンB、テキサスレッド、テキサスレッド色素、テキサスレッド-X。これらフルオロフォアのほとんどはMolecular Probes, Eugene, OR, USAから入手可能であり、多くはタンパク質またはペプチド標識用のキットとしても利用可能である。さらに、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、ウミシイタケ蛍光タンパク質などの蛍光タンパク質またはそのフラグメントまたは誘導体が、標識として使用可能である。標識として好適な放射性同位体の例は、リン-32または-33、硫黄-35、ヨウ素-125、三重水素、炭素-14、カルシウム-45、クロム-51、および核酸および/またはペプチドもしくはタンパク質に結合しうる他のすべての既知の放射性同位体である。蛍光共鳴エネルギー転移 (FRET)に好適な蛍光標識のマッチドペアもまた使用することができる。
【0053】
酵素標識の例は、ホースラディッシュ-ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファタ−ゼ、ルシフェラーゼ、ガラクトシダーゼなどである。好適な毒素標識はあらゆる種類の毒素であり、例えば、微生物毒素、毒性ペプチドまたは毒性有機小分子、合成毒素または医療目的で使用される毒素である。好適な色素標識の例はジゴキシゲニンである。標識としての粒子の例は、各種粒子径を有する粒子であり、好ましくは0.1 〜100μmである。金属粒子は、各種物質から、好ましくは重元素、例えば、金、銀、プラチナまたは他の好適な金属または合金またはそれらの混合物から製造することができる。磁性粒子の例は、好ましくは、鉄、好ましくは酸化鉄、例えばFe3O、Fe2O3、Fe3O4、などを含むあらゆる種類の磁性材料または磁化可能材料から製造されるものである。ポリマー粒子の例は、ポリアクリルアミド、アガロース、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、蛍光ポリスチレンマイクロスフェアなどのポリマーから製造される粒子である。当業界に知られる各種の他の標識、例えばビオチン、キチン、マルトースまたはグルタチオンなども使用可能である。
【0054】
さらに、特定の核酸またはアミノ酸配列をさらに含む標識(その結果標識配列と呼ばれる)が使用可能である。核酸配列を含む標識配列は、例えば、標識配列に特異的なプローブとのハイブリダイゼーション、またはポリメラーゼ連鎖反応、好ましくは定量的ポリメラーゼ連鎖反応、好ましくはリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応による標識配列の検出などによる、標識された物質の検出に使用可能である。アミノ酸配列を含む標識配列の例は、his-タグ、flag-タグ、myc-タグ、または完全タンパク質もしくはそのフラグメント、例えば抗体、グルタチオン S-トランスフェラーゼ、ストレプトアビジン、キチン結合タンパク質、マルトース結合タンパク質、各種レクチンなどである。これら標識は、抗体を用いて、またはこれら標識に結合するリガンド、例えば、タンパク質 A、タンパク質 G、タンパク質 Y、タンパク質 A/G、グルタチオン、ビオチン、キチン、マルトースその他の糖などを用いて検出することができる。標識配列はまた、通常、標識されたスタンダードをその標識配列に特異的な結合物質によって捕捉するために使用することができる。捕捉プロセスに続いて、または捕捉プロセス中に、スタンダードを定量することができる。標識は、N末端であってもC末端であってもよく、あるいは、ペプチドおよび/またはタンパク質の内部に存在してもよい。
【0055】
コンパートメントの性質
サンプルおよびスタンダードを保持するコンパートメントの表面は、タンパク質および/またはペプチドの結合を予防または減少するために処理することができる。これは、その表面をタンパク質、ナノ粒子、シリコンのような疎水性物質などによってコートすることにより達成しうる。また、(コンパートメントへのタンパク質またはペプチドの結合を予防する)ある種の材料、例えばフッ化炭素樹脂 (Teflon(登録商標))を使用すると、サンプルからのペプチドまたはタンパク質の消失を減少させることができ、それによりサンプルの質の悪化を予防することができる。
【0056】
通常、コンパートメントは、プラスチック、ガラスまたは金属のような、あらゆる好適な材料から製造することができる。好ましくは、コンパートメントは、プラスチック材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチロール、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン (Teflon(登録商標))、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート (PET)、ポリブチレンテレフタレート (PBT)などから製造され、なぜならプラスチックは、粉々になってサンプルまたはスタンダードの保持のためにそのコンパートメントを使用する研究者などを障害する恐れが低いからである。
【0057】
コンパートメントはさらに、サンプルの相異なる相を分離する手段、好ましくは凝固塊を血清または血液細胞、血小板、および血漿由来の他の粒子から分離する手段、を含みうる。分離に好適なのは、サンプルの液体成分のみが透過できる膜、またはその特異的質量により相異なる相、好ましくは細胞相と血漿相、の間に浮遊するゲルである。好ましくは、チオキソトロピック(thioxotropic)ゲルがこのために使用できる (米国特許第5906744号)。また、2つの相の間、例えば血液細胞相と血漿相の間に浮遊し、水に接触すると大きさが大きくなり、それによってコンパートメントを密閉して2つの分離したサブコンパートメントを形成するペレットまたはディスクも使用可能である(米国特許第5736033号)。
【0058】
コンパートメント自体は、サンプルの収集および/または保存に好適であるかぎり、各種の形状をとりうる。好適なコンパートメントは、なかでも、管、閉鎖系血液収集機器、収集バック、シリンジ、充填済(pre-filled)シリンジ、カテーテル、マイクロタイタープレート、マルチウェル収集機器、フラスコ、スピナーフラスコ、ローラーボトル、バイアル、ピペット、ピペットチップ、キャピラリー、ニードル、またはサンプルの保持に好適な他のコンパートメントである。
【0059】
本発明に特別なタイプのコンパートメントは、サンプルの保存および/または分析に好適な表面である。かかる表面の例は、チップ表面、例えばタンパク質チップ、SELDIチップ (SELDI =surface enhanced laser desorption ionisation, Ciphergen Biosystems, Inc., Fremont, CA, USA)、表面プラズモン共鳴チップ (BIACORE(登録商標), Biacore International SA, Freiburg, Germany)の表面、質量分析に用いられターゲット (=通常金属またはプラスチックから製造されたプレートであり、その上に数滴のサンプルがアプライされ、このプレートが質量分析計に挿入され、サンプルが分析される。通常、これら種類のチップ表面は各種材料で製造でき、例えば、プラスチック、例えばフッ化炭素樹脂 (ターゲットとして使用)、金属、例えば金 (プラズモン共鳴およびSELDIに使用)、ガラス (タンパク質チップに使用)、「クロマトグラフィー樹脂様」の性質を有するコート化表面、例えば陰イオンまたは陽イオン交換、逆相、金属親和性結合の性質を有するタンパク質チップ、またはチップ表面に分子を共有結合させる能力を有するタンパク質チップである。このように修飾されたタンパク質チップは、例えば、Ciphergen Biosystems、Inc. Fremont、CA、USAから販売されている。
【0060】
サンプルの質を改善するための物質
さらに、コンパートメントは、サンプルの質を改善しうるさらなる物質を含んでもよく、それは例えば微生物増殖を阻害する物質、例えば抗生物質、エチル水銀 (チメロサール)、ナトリウムアジドなど、サンプルの発泡を阻害する物質、例えばエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー (pluronic(登録商標))、凝固を阻害または促進する物質、酵素阻害薬である物質、特にプロテアーゼ阻害薬、例えばセリン-、スレオニン-、システイン-、アスパラギン酸-、グルタミン酸-、金属-、および他のプロテアーゼの阻害薬である。
【0061】
抗凝固物質および凝固促進物質
サンプルは、ペプチドおよび/またはタンパク質を含むいかなる種類のサンプルであってもよい。好ましくは、サンプルは、一般的に収集される生物学的液体、例えば血漿、血清、全血および尿である。血漿は、血液サンプルの採取の際に直接抗凝固物質を添加することによって得られる。好適な抗凝固物質は、とりわけ、EDTA (エチレンジアミン四酢酸)、クエン酸もしくはシュウ酸塩、ヘパリン、アンチトロンビン、ヒルジンなど、またはカルシウムのような二価カチオンをキレートするより一般的な物質、血液凝固カスケードに関与する酵素を阻害する物質などである。血清は、血液サンプルを、室温、4 ℃、または他の温度で、当業界にて知られる凝固を可能とする適切な時間間隔にてインキュベートすることによって得られる。血清はまた、血液または血漿サンプルを、凝固を促進する物質、例えばトロンビン、および血液凝固カスケードに関与する、または血液凝固カスケードを支持もしくは活性化するその他の物質もしくは酵素に暴露することによって得られる。また、血液と接触する表面を増加させるガラスビーズのような粒子の存在は、凝固の促進に好適である。本発明の好ましい態様において、サンプルおよびスタンダードを保持するために使用されるコンパートメントは、スタンダードに加えて抗凝固物質または凝固促進物質を含む。
【0062】
プロテアーゼ阻害薬
プロテアーゼ阻害薬の例は、EDTA、EGTA、PMSF (フェニルメチルスルホニルフルオライド)、EGTA、ベンズアミジン、Prefabloc SC、TLCK (1-クロロ-3-トシルアミド-7-アミノ-2-ヘプタノン)、TPCK (1-クロロ-3-トシルアミド-4-フェニル-2-ブタノン)、ジ-イソプロピルフスオロホスフェート (DPF)、3,4-ジクロロイソクマリン (DCI)、ホスホラミドン (N-α-L-ラムノピラノシルオキシ(ヒドロキシホスフィニル)-L-ロイシル-L-トリプトファン)、1,10-フェナントロリン、ペプスタチン (イソバレリル-Val-Val-AHMHA-Ala-AHMHA、ここでAHMHA=(3S、4S)-4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプタン酸、ロイペプチン (アセチル-ロイシル-ロイシル-アルギナル(arginal))、エラスタチナール(Elastatinal) (Leu-(Cap)-Gln-Ala-al、N-[(S)-1カルボキシ-イソペンチル)-カルバモイル-α-(2-イミノヘキサヒドロ-4(S)-ピリミジル]-L-グリシル-L-グルタミニル-L-アラニナル(alaninal))、E-64 (L-トランス-エポキシスクシニル-ロイシルアミド-(4-グアニド)-ブタン、キモスタチン (Phe-(Cap)-Leu-Phe-al N-[(S)-1-カルボキシ-イソペンチル)-カルバモイル-α-(2-イミノヘキサヒドロ-4(S)-ピリミジル]-L-グリシル-L-フェニルアラニナル、ベスタチン ([(2S、2R)-3-アミノ-2-ヒドロキシ-4-フェニルブタノイル]-L-ロイシン)、APMSF ((4-アミジノ-フェニル)-メタン-スルホニルフルオライド)、アンチパイン ([(S)-1-カルボキシ-2-フェニル]-カルバモイル-Arg-Val-アルギナル)、アマスタチン ([(2S、2R)]-3-アミノ-2-ヒドロキシ-5-メチルヘキサノイル]-Val-Val-Asp-OH)。これら阻害薬は、Sigma-Aldrich Chemie GmbH, Munich, Germanyなどの供給元から市販されている。
【0063】
ホスファターゼ阻害薬
ホスファターゼ阻害薬の例は、フッ化ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、オルトバナジウム酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム二水和物、オカダ酸、デフォスタチン(dephostatin)、3-ヘキサデカノイル-5-ヒドロキシメチル-テトロン酸、(-)-p-ブロモテトラミソールオキサレート(bromotetramisole bxalat)、カンタリジン、ミクロシスチン-LR、α-ブロモ-4-ヒドロキシアセトフェノン 4-ヒドロキシフェナシル Br、α-ブロモ-4-メトキシアセトフェノン 4-メトキシフェナシル Br、α-ブロモ-4-(カルボキシメトキシ)アセトフェノン 4-(カルボキシメトキシ)フェナシル Br、3-ヘキサデカノイル-5-ヒドロキシメチル-テトロン酸、イミダゾールなどである。これら阻害薬は、例えばCalbiochem, San Diego, CA, USAまたはBiosource International, Camarillo, CA, USAから市販されている。
【0064】
キナーゼ阻害薬
キナーゼ阻害薬の例は、N-[2-(メチルアミノ)エチル]-5-イソキノリンスルホンアミド ジヒドロクロライド、N-[2-(p-ブロモシナミルアミノ(bromocinnamylamino) エチル]-5-イソキノリンスルホンアミド、1-(5-イソキノリンスルホニル)-ピペラジンジヒドロクロライド、N-(2'-グアニジノエチル)-5 イソキノリンスルホンアミドジヒドロクロライド、1-(5-イソキノリンスルホニル)-1H-ヘキサヒドロ-1,4-ジアゼピン、1-[N,O-ビス-(5-イソキノリンスルホニル) -N-メチル-L-チロシル]-4-フェニル-ピペラジン、アロイジン(Aloisine) (7-n-ブチル-6-(4-メトキシフェニル)[5 H]ピロロ[2,3-b]ピラジン)、アロイジン A (7-n-ブチル-6-(4-メトキシフェニル)[5 H]ピロロ[2,3-b]ピラジン)、エデルホシン(edelfosine) (2-O-メチル-1-O-オクタデシル-rac-グリセロ-3-ホスホコリン)、4-(4-フルオロフェニル)-2-(4-メチルスルフィニルフェニル)-5-(4-ピリジル) 1H-イミダゾール、4-アミノ-5-(4-メチルフェニル)-7-(t- ブチル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、および4-アミノ-5-(4-クロロフェニル)-7-(t- ブチル)ピラゾロ[3,4,d]ピリミジンであり、例えばBiaffin GmbH & Co KG, Kassel, Germanyから市販されている。
【0065】
グリコシダーゼ阻害薬
グリコシダーゼ阻害薬の例はオーストラリン(Australine)ハイドロクロライド、カスタノスペルミン、6-アセトアミド-6-デオキシ-カスタノスペルミン、デオキシノジリマイシン (DNJ)、デオキシフコノジリマイシンハイドロクロライド (DFJ)、デオキシガラクトノジリマイシンハイドロクロライド (DGJ)、デオキシマンノジリマイシンハイドロクロライド (DMJ)、デオキシマンノジリマイシン (DMJ)、2,5-ジデオキシ-2,5-イミノ-D-マンニトール、1,4-ジデオキシ-1,4-イミノ-D-マンニトールハイドロクロライド、1,4-ジデオキシ-1,4-イミノ-D-キシリトールハイドロクロライド、(3R,4R,5R,6R)-3,4,5,6-テトラヒドロキシアゼパンハイドロクロライド、(3S,4S,5S,6S)-3,4,5,6-テトラヒドロキシアゼパンハイドロクロライド、1,5-ジデオキシ-1,5-イミノ-キシリトール、およびキフネンシン(Kifunensine)であり、例えばIndustrial Research, Auckland, New Zealandから市販されている。
【0066】
カオトロピック塩
ペプチド組成物に関してサンプルの質を改善しうる別のクラスの物質は、カオトロピック塩、例えば尿素、グアニジン塩酸塩、チオシアン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどである。これら物質は、非常に迅速にあらゆる種類の酵素を変性させ、サンプル中に存在するペプチドに対する酵素作用を妨げ、それによってサンプルが採取された時点のサンプルの元の組成を保存する。結論として、スタンダードに加えて、サンプルの保持に使用されるコンパートメントにカオトロピック塩が存在してもよい。
【0067】
好ましくは、サンプルの質を改善するために任意で使用される前述の阻害薬はいずれも、サンプルの分析に干渉するのを避けるため、ペプチドまたはタンパク質ではなく有機小分子または非常に低分子量、好ましくは1000 ダルトン未満、のペプチドであるべきである。このことは、阻害薬が効果を発揮するには大量に使用される必要があることが多いため、特に重要である。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は本発明を説明することを目的とするが、それらはいかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0069】
実施例1: 血清および血漿の調製
健常成人男性が書面による同意書を提出した後に本試験に参加し、ハノーバーメディカルスクールの地方倫理委員会がそのプロトコールを承認した。血液サンプルは、肘静脈から血液収集管に収集した(EDTA-血漿: 9 ml S-Monovette、EDTAカリウム含有; クエン酸塩-血漿: 9 ml S-Monovette、0.106 mol/L クエン酸塩溶液含有; 血清: 9 ml S-Monovette、凝固アクチベーター(Sarstedt, Numbrecht, Germany)含有)。サンプルをスタンダードとともに保存し分析する場合スタンダードは血液採取の直後にその血液に添加され、あるいは、スタンダードはサンプルの解凍直後にサンプルに添加される。留意すべきは、これら実験が採血機器 (S-Monovette)に既に存在したスタンダードにより行われたのではなく、本発明の着想が、かかる採血機器または他のサンプル収集もしくは保存コンパートメントであって、スタンダードを既に含むもの、またはそのコンパートメントをサンプルで満たす前または後にスタンダートが加えられるもの、を提供する点である。採取直後に、 10 分、2000x gで室温にて遠心することによって血漿を得た。低温、例えば4 ℃での遠心は避けるべきであり、なぜなら低温によって血小板が活性化され、とりわけ、血漿サンプル中に存在するペプチドまたはタンパク質の分析についてサンプルの質に悪影響を及ぼすタンパク質およびペプチドが血漿中に放出されるからである。2 mlの血漿サンプルを、酢酸セルロースフィルターユニット(孔径0.2μm、5 cm2 濾過面積 (Satorius Minisart(登録商標), Sarstedt, Numbrecht, Germany)を取り付けた2 ml 管に移した。血漿サンプルは、さらなる分析まで-80 ℃の冷凍庫に移した。血清サンプルは、1 時間室温で血液を凝固させた後に得た。収集管を10 分4 ℃で2000x gにて遠心した。血清サンプルは、さらなる分析まで-80 ℃の冷凍庫に移した。ファクター XIIIの活性化ペプチド、アミノ酸 1-37 (AP-FXIII 1-37) およびそのペプチドの対応フラグメント(AP-FXIII 13-37) の分析のため、血清サンプルを室温にて15 分、1 時間、4 時間、および8 時間インキュベートし (図 1) 、続いて液体クロマトグラフィーおよび質量分析により分析した (実施例2および3)。分析前に、当業界にて既知のトリクロロ酢酸 (TCA) 沈澱により、血清または血漿サンプルのタンパク質の量を減少させた。0.5 mLの血清または血漿のサンプルを1 mLの冷却蒸留水に添加した。タンパク質沈澱のため、0.5 mL TCA (20 % (v/v) 濃度のTCA) を添加し、その管を30秒間激しく混合した。30 分氷上でインキュベートした後、サンプルを18000x gで30 分4 ℃にて遠心した。上清を新しい管に移し、さらなる処理まで-80 ℃にて保存した。
【0070】
実施例2: サンプルの液体クロマトグラフィー
分離方法として逆相クロマトグラフィーを行った。各種のRPクロマトグラフィー樹脂および溶出剤が等しく好適である。C18 逆相クロマトグラフィーカラム(サイズ4 mm x 250 mm)を用いたペプチドおよび/またはタンパク質の分離を以下に記載のようにして行った。以下の組成の移動層を使用した: 移動相 A: 0.06 % (v/v) トリフルオロ酢酸、移動層 B: 0.05 % (v/v) トリフルオロ酢酸、80 % (v/v) アセトニトリル。クロマトグラフィーは、Agilent Technologies供給のHP 1100とAgilent Technologies供給のマイクロフローセルを用いて33 ℃で行った。サンプルを 0.06% (v/v) トリフルオロ酢酸で希釈し、pHを2-3に調節し、サンプルを18000 x gにて10分間遠心し、最終的にこのようにして調製した750μlの血清または血漿同等物(equivalent)をクロマトグラフィーカラムにロードした。クロマトグラフィー条件は以下であった:0 分の時点で5 %の移動層 B、1〜45 分で移動層 Bの濃度を50 %まで連続的に増加、45〜49 分で移動層 Bの濃度を100 %まで連続的に増加、その後53 分までバッファーBを100 %で一定に保持。96画分(各0.5 ml)の収集は、クロマトグラフィー開始の7分後に開始する。
【0071】
実施例3: サンプルの質量分析
質量分析のため、ペプチドの典型的な陽イオンスペクトルをMALDI-TOF 質量分析計 (マトリックス支援レーザー脱離イオン化)において生成した。好適なMALDI-TOF 質量分析計は、PerSeptive Biosystems Framingham (Voyager-DE、Voyager-DE PROまたはVoyager-DE STR)またはBruker Daltonik Bremen (BIFLEX)により製造されている。サンプルは、典型的には有機酸からなるマトリックス物質と混合することによって調製する。ペプチドに適する典型的マトリックス物質は、3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸および2,5-ジヒドロキシ安息香酸である。逆相クロマトグラフィーにより得られた凍結乾燥同等物(15μlの血漿または血清に相当)を用いてペプチドおよび/またはタンパク質および/またはスタンダードを測定する。クロマトグラフィーにかけたサンプルを15μlのマトリックス溶液に溶解する。このマトリックス溶液は、例えば、10 g/lのα-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸および10 g/lのL(-) フコースが、アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸およびアセトン(容量比49:49:1:1)の溶媒混合物に溶解されているものである。0.3μlのこの溶液をMALDI担体プレートに移し、乾燥させたサンプルをVoyager-DE STR MALDI 質量分析計(PerSeptive Biosystems)により分析する。測定は、直線モード、ディレイドエクストラクション(delayed extraction)TMにて行う。MALDI-TOF質量分析計は、ペプチド、例えば本発明のスタンダードペプチドが、質量分析計の測定ダイナミックレンジ内の濃度で存在し、したがって検出器の飽和を避けられる場合に、これらペプチドを定量するために用いることができる。各ペプチドについて測定されたシグナルと濃度の間には特定の比が存在し、このことは、MALDI質量分析が好ましいことにペプチドの相対的定量に使用可能であることを意味する (図 2B)。スタンダードおよびサンプルに由来するペプチドのシグナル強度を測定することが可能である。
【0072】
実施例4: ペプチドの同定
ペプチドからなるスタンダードは、例えば、ナノSpray-MS/MSを用いて同定することができる。これは、質量分析計においてその特異的m/z (質量/電荷) 値に基づいて当業者に知られる方法により選択されたスタンダードペプチドイオンを必要とする。この選択されたイオンは、次いで、衝突ガス、例えばヘリウムまたは窒素、によって衝突エネルギーを供給されることによって断片化され、得られたスタンダードペプチドのフラグメントが質量分析計の統合解析ユニットにて検出され、そして対応するm/z値が測定される(タンデム質量分析の原理)。ペプチドの断片化の挙動により、明確なペプチドの同定が可能となる。この具体例では、質量分析はQuadrupol-TOF装置、QStar-Pulsar モデル(Biosystems-Sciex, USA)により行われる。
【0073】
実施例5: データ分析
実施例2に記載のような分画に続いて、各画分を個々に実施例3に記載のようなMALDI質量分析によって分析し、各サンプルについて96の質量スペクトルを得る。これら96の質量スペクトルは、いわゆるペプチドディスプレイと電気的に組み合わされる。これらペプチドディスプレイのx軸は分子量を示し、y軸は画分番号を示し、色の強度は質量分析シグナル強度を表す。ペプチドディスプレイのデータは、バックグラウンドのノイズについての調整のため事前に処理することができ、また外れ値は分析から除くことができる。ペプチドディスプレイ間の相違は、電気的に互いのペプチドディスプレイを差し引くことによって計算される。ペプチドの異なる濃度の検出は、異なる時間間隔でインキュベートした血清または血漿サンプルからの質量分析データ(シグナル強度)を比較することよって(図 1)、あるいは、各種濃度の13ペプチド混合物を加えた血清または血漿サンプルを比較することによって (図 2B)行われる。13のスタンダードペプチドを血漿サンプル中に存在する他のペプチドに起因する何千ものシグナルと区別するため、相関分析を行った。各種濃度のスタンダードペプチド混合物を添加した血漿サンプルを用いて得られたペプチドディスプレイを、相関係数r=0.8を使用して相関分析により比較した。(異なる血清サンプルに異なる濃度を添加したので)スタンダードペプチドの濃度はサンプル間で均一に変化することから、この高い相関値 r のみが得られる。
【0074】
実施例6:カスタムスタンダードペプチドの設計
実施例6は、仮想的実験を表す。設計されたスタンダードペプチドは、これまでのところいずれのアッセイにおいても合成または試験されていない。図3は、2つの別個のプロテアーゼ認識部位を含むように設計されたかかる仮想的スタンダードペプチドの配列を示す(図3のペプチド 1、配列番号1)。配列番号1のペプチドは、表1に示す一連のプロテアーゼの認識部位についての知識を用いて設計された。以下のプロテアーゼを考慮して、設計したペプチド (図 3のペプチド 1)から形成されると提案されるフラグメントを計算した: Arg-C プロテアーゼ、Asp-N エンドペプチダーゼ、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン-高特異性 ([FYW]に対してC末、Pの前ではない)、キモトリプシン-低特異性([FYWML] に対してC末、Pの前ではない)、クロストリパイン、エンテロキナーゼ、グランザイムB、ペプシン、プロリン-エンドペプチダーゼ、ブドウ球菌ペプチダーゼ I、ファクター Xa、グルタミルエンドペプチダーゼ、LysC、トロンビン、トリプシン。表1の情報および配列番号1のペプチドの配列を用いた結果は、これらプロテアーゼは理論的にはこのペプチドをアミノ酸13と14の間(Asp-N エンドプロテアーゼ) およびアミノ酸25と26の間 (Arg-C プロテアーゼおよび/またはクロストリパインおよび/またはトリプシン)でこのペプチドを切断するというものである。両方のプロテアーゼ認識部位が同じペプチド 1の分子を切断する場合、これによって配列番号1の3つの異なる区別可能なフラグメントが生じ、それらはペプチド 2 (配列番号2)、ペプチド 3 (配列番号3)およびペプチド 4 (配列番号4)で表される。ペプチド 1の分子が2つの可能性あるプロテアーゼ認識部位のうち一方でのみ切断される場合、2つの別のペプチド 1のフラグメント、すなわちペプチド 5 (配列番号5) およびペプチド 6 (配列番号6)が生じうる。ソフトウェアGPMAW v. 4.02を使用して、ペプチド 1の5つのフラグメントすべておよびペプチド 1自身のモノアイソトピック(monoisotopic)な分子量を計算した。これらの質量は、ペプチド 1が3000.5 Da、ペプチド 2が1012.5 Da、ペプチド 3が940.5 Da、ペプチド 4が1083.6 Da、ペプチド 5が1935 Da、およびペプチド 6が2006 Daである。結果として、この設計されたペプチド 1を上記のプロテアーゼをすべて含むサンプルにおいてスタンダードとして使用した場合、これら6つの区別可能な質量のみがスタンダードペプチド 1について検出できるであろう。さらに、本実施例は、設計されたスタンダードは複数の酵素認識部位を含むことができ、プロテアーゼ部位のみならず、スタンダードの修飾をもたらす他の酵素認識部位およびスタンダードの区別可能かつ予測可能な質量変化をもたらす他の酵素認識部位をも含むことができることを示す。本実施例において行った計算はまた、SwissProtのウェブページ: http://au.expasy.org/tools/peptidecutter/においても行うことができる。
【0075】
【表1−1】

【表1−2】

【0076】
実施例7:各種タイプのサンプルにおけるペプチドスタンダードの安定性の測定およびペプチドスタンダードの時間依存的安定性の測定のためのサンプル調製
健常成人男性が書面による同意書を提出した後に本試験に参加し、ハノーバーメディカルスクールの地方倫理委員会がそのプロトコールを承認した。血液サンプルは、肘静脈から、カリウムEDTAを抗血液凝固薬として含む血液収集管(9 ml S-Monovettes)(血漿の収集ため)、または凝固アクチベーターを含む血液収集管(2,7 ml-Monovette)(血清の調製のため)に収集した。3つの相異なるサンプルのセット ((a)、(b)および(c)) を以下のように調製した:
(a) 血漿、塩化グアニジン存在下:
血液はEDTA管に収集した。30または60 分後、サンプルを10 分間2000 x gにて室温で遠心し、その血漿を新しい管に移し、再度15 分2500 x gにて室温で遠心して、残余の血小板を除去した。二度目の遠心工程の直後に血漿を新しい管に移し、凍結し、さらなる使用まで-80 ℃で保存した。
【0077】
クロマトグラフィーの直前に血漿サンプルを解凍し、等モル濃度の13の相異なるペプチド(表2と同じペプチド)の混合物を含む8 M 塩化グアニジンを用いて1:3に希釈した。各サンプルから、13の個々のスタンダードペプチドにつきペプチド濃度0.5 nMおよび1.0 nMのサンプルを調製した。スタンダードペプチドの濃度は、塩化グアニジンによる希釈後の血漿量ではなく元の血漿量にしたがい計算した。塩化グアニジンはサンプル中に存在するすべてのプロテアーゼを含めすべてのタンパク質を即座に変性させるので、塩化グアニジンの存在によりいずれの時点のスタンダードペプチドも血漿中にもともと存在したタンパク分解活性を受けないことが保証される。続いて希釈した血漿を限外ろ過、クロマトグラフィーにかけ、最終的にディファレンシャルペプチドディスプレイを行った。
【0078】
(b) 血漿:
血液をEDTA管に収集し、直ちにセット(a)と同じ13の相異なるスタンダードペプチドの混合物を同じ最終スタンダードペプチド濃度にて塩化グアニジン非存在下に添加した。それゆえ、このスタンダードペプチドは血漿サンプルに存在するすべてのタンパク分解活性を受けた。サンプルを室温でインキュベートした。30または60 分後、サンプルを10 分2000 x gにて室温で遠心し、その血漿を新しい管に移し、再度15 分2500 x gにて室温で遠心して、残余の血小板を除去した。二度目の遠心工程の直後に血漿を新しい管に移し、凍結し、さらなる使用まで-80 ℃で保存した。
【0079】
クロマトグラフィーの直前に、血漿サンプルを解凍し、8 M 塩化グアニジンを用いて1:3に希釈した(これによりすべてのタンパク分解活性が直ちに停止したはずである)。続いて、セット (a)のサンプルのように、希釈した血漿を限外ろ過、クロマトグラフィーにかけ、最後にディファレンシャルペプチドディスプレイを行った。
【0080】
(c) 血清:
血液を凝固アクチベーターを含む管に収集し、直ちにセット(a)および(b)と同じ13の相異なるペプチドの混合物を同じ最終スタンダードペプチド濃度にて添加した。スタンダードペプチド濃度は、塩化グアニジンによる希釈後の血清量ではなく元の血清量にしたがい計算した。サンプルを室温でインキュベートし、スタンダードをサンプル中に存在するタンパク分解活性に暴露し、凝固させた。30または60 分後、サンプルを10 分間2000 x gにて室温で遠心し、血清から凝血塊を分離した。血清を新しい管に移し、再度15 分2500 x gにて室温で遠心し、残余の血小板を除去した。二度目の遠心工程の直後に血清を新しい管に移し、凍結し、さらなる使用まで-80 ℃で保存した。
【0081】
クロマトグラフィーの直前に血清サンプルを解凍し、8 M 塩化グアニジンを用いて1:3に希釈した(これによりすべてのタンパク分解活性が直ちに停止したはずである)。続いて、セット(a)および(b)のサンプルのように、希釈した血清を限外ろ過、クロマトグラフィーにかけ、最後にディファレンシャルペプチドディスプレイを行った。
【0082】
実施例8:サンプル (a)、(b)および(c)の液体クロマトグラフィー
血漿または血清サンプルを、塩化グアニジンの存在下、スウィングバケットローターおよび超遠心ろ過装置(分子量カットオフ50 kDa (Amicon Ultra centrifugal filter devices, Millipore, Bedford, MA, USA))を使用して60 分4000x gにて室温で限外ろ過した後、0.68 mlまたは0.75 mlの血漿/血清同等物を逆相クロマトグラフィーにて分離した。 4.6 mm x 150 mm Source 5RPC カラム (Amersham Biosciences Europe GmbH, Freiburg, Germany) およびAgilent 1100 クロマトグラフィーシステム (Agilent Technologies Inc, Palo Alto, CA, USA)(アセトニトリル4〜40 %の直線勾配、0.05〜0.06 % (v/v) トリフルオロ酢酸存在下、流速0.5 ml/分、48 分間、温度33 ℃、96画分)を使用して、0.25 ml含有の各画分を収集し、続いて質量分析により分析した。この画分を個々に凍結乾燥し、15μlの血漿または血清の画分同等物を0.3μlのマトリックス溶液 (10 g/l α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸、10 g/l L(-)フコース(アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸、アセトン、比率49:49:1:1、に溶解)) にて溶解し、実施例3に記載のようにMALDI質量分析に使用した。ペプチド同定は実施例4に記載のように行い、データ分析は実施例5に記載のように行った。
【0083】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】ファクター XIIIの活性化ペプチド、アミノ酸 1-37 (AP-FXIII 1-37) の、アミノ酸 13-37 (AP-FXIII 13-37)に対応するフラグメントへのタンパク分解。ヒト全血を室温で各種時間にて凝固させ(15 分 〜 8 時間) 、血清サンプルを収集し、直ちに凍結し、-80℃で質量分析による分析まで保存した。ペプチド AP-FXIII 1-37 およびその対応分解産物 AP-FXIII 13-37 を測定した。左のy軸はAP-FXIII 1-37のシグナル強度を示し、右のy軸はAP-FXIII 13-37のシグナル強度を示し、x軸は凝固時間を示す。
【図2】13の特定ペプチドの混合物、即ち、1 = サブスタンス P、2 = ソマトスタチン-14、3 = ニューロテンシン、4 = レニン基質 (ブタ)、5 = ACTH アミノ酸 1-17、6 = エンドセリン-1 アミノ酸 19-38、7 = ACTH アミノ酸 18-39、8 = β-エンドルフィン アミノ酸 6-31、9 = ACTH アミノ酸 1-24、10 = カルシトニン、11 = インスリンB 鎖 オキシド (ウシ)、12 = ACTH アミノ酸 7-38 、および13 = Pro34 -NPY (ニューロペプチド Y、34位プロリン; ブタ) の混合物を血漿サンプルに導入し、続いて逆相クロマトグラフィーにより分離し、個々の画分を質量分析により分析した。この13ペプチド混合物における各ペプチド50〜800 pmolの混合物を試験した。図2Aは、13ペプチドのペプチドディスプレイを示し、y軸が画分番号を表し、x軸は質量分析中に生じたイオンの電荷により分けられた質量 (m/z) を表し、シグナル強度はペプチドディスプレイ中のペプチドのバンドの色の強度によって表示する。図2Bは、ニューロテンシンペプチド (ペプチド 3) についての、シグナル強度 (y軸) と血漿サンプルに添加されたスタンダードペプチドであるニューロテンシンの量(x軸)との直線性の相関関係を示す。
【図3】設計したスタンダードペプチド (ペプチド 1) の配列、および異なる5つの可能性あるペプチド 1のタンパク分解フラグメント (ペプチド 2-6)を示す概略図。このペプチド配列は、区別可能なプロテアーゼ認識部位、すなわち、Asp-N エンドプロテアーゼ部位ならびにArg-C プロテアーゼ、クロストリパインおよびトリプシンによって認識される部位を含むように設計された。ペプチド配列は、各フラグメントがすべての他のペプチドの質量と区別可能な質量を有するように設計した。このペプチドは仮想的スタンダードペプチドであり、これまでのところ合成されておらず、いずれのアッセイにおいても試験されていない。
【図4】血漿において測定した、スタンダードペプチドのレニン基質 (ペプチド no.: 4)の質量分析シグナル強度(図4Aの左パネル、図4Bの上パネル)。図4Aは、任意単位におけるシグナル強度を示し、一方図4Bは、12の個別のサンプル (8の血漿サンプル、4の血清サンプル)のディファレンシャルペプチドディスプレイの個々のレーンの各領域の小セクションを示す。x軸は分子量を示し、左のy軸は血漿、例えば血清サンプルを分析前に室温でインキュベートした時間 (分) を示し、右のy軸はサンプルに添加されたペプチドスタンダードの濃度 (pM) を示す。スタンダードペプチドの濃度は、塩化グアニジン希釈血清の量ではなく、元の血漿/血清量にしたがって計算した。このスタンダードペプチドの濃度は質量分析シグナル強度によって示されるように経時的に減少し、血漿と比較して血清中のこのスタンダードペプチドのシグナル強度は30分後に既に非常に低くなっている。
【図5】血漿において測定したスタンダードペプチドのニューロテンシン (ペプチド no.: 3)の質量分析シグナル強度(図5Aの左パネル、図5Bの上パネル)。図5Aは任意単位におけるシグナル強度を示し、一方図5Bは12の個別のサンプル (8の血漿サンプル、4の血清サンプル)のディファレンシャルペプチドディスプレイの個々のレーンの各領域の小セクションを示す。x軸は分子量を示し、左のy軸は血漿、例えば血清サンプルを分析前に室温でインキュベートした時間 (分) を示し、右のy軸はサンプルに添加されたペプチドスタンダードの濃度 (pM) を示す。スタンダードペプチドの濃度は、塩化グアニジン希釈血清の量ではなく、元の血漿/血清量にしたがって計算した。このスタンダードペプチドの濃度は質量分析シグナル強度によって示されるように経時的に減少し、血漿と比較して血清中のこのスタンダードペプチドのシグナル強度は30分後に既に明らかに低くなっている。
【図6】血漿において測定したスタンダードペプチドのカルシトニン (ペプチド no.: 10) の質量分析シグナル強度(図6Aの左パネル、図6Bの上パネル) 。図6Aは任意単位におけるシグナル強度を示し、一方図6Bは12の個別のサンプル (8の血漿サンプル、4の血清サンプル)のディファレンシャルペプチドディスプレイの個々のレーンの各領域の小セクションを示す。x軸は分子量を示し、左のy軸は血漿、例えば血清サンプルを分析前に室温でインキュベートした時間 (分) を示し、右のy軸はサンプルに添加されたペプチドスタンダードの濃度 (pM) を示す。スタンダードペプチドの濃度は、塩化グアニジン希釈血清の量ではなく、元の血漿/血清量にしたがって計算した。このスタンダードペプチドの濃度は質量分析シグナル強度によって示されるように経時的に変化せず、血漿と比較して血清中のこのスタンダードペプチドのシグナル強度は明らかに低いが、血清中のシグナル強度もまた経時的に変化していない。
【図7】表2に挙げる13の異なるペプチドスタンダードと室温で30〜60分インキュベートした血漿のいくつかのペプチドディスプレイから計算した平均ペプチドディスプレイの小セクション。このセクションは、ビックエンドセリン-1 (ペプチド 6)、レニン基質 (ペプチド 4)およびソマトスタチン-14 (ペプチド 2)のペプチドスタンダードのシグナル位置を示す。ソマトスタチン-14 ペプチドの位置は、このスタンダードペプチドの分子量1638 Daに一致しない。かわりに、このペプチドは71 Daに減少した分子量を示し、これはアラニンの分子量と一致するが、アラニンはソマトスタチン-14のN末端アミノ酸である。それゆえ、N末端がタンパク分解されたソマトスタチン-14 スタンダードペプチドは、試験したサンプル中にエキソプロテアーゼ活性が存在することを示唆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルの質を測定、モニターおよび/または制御する方法であって、以下の工程を含む方法:
a)少なくとも1つのプロテアーゼ感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つの修飾感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つのペプチド消失モニター用スタンダードを提供する工程、
b)該少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルを添加する工程、および
c)該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを測定する工程。
【請求項2】
少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルの質を測定、モニターおよび/または制御する方法であって、以下の工程を含む方法:
a)該少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルを提供する工程、
b)少なくとも1つのプロテアーゼ感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つの修飾感受性スタンダードおよび/または少なくとも1つのペプチド消失モニター用スタンダードを添加する工程、および
c)該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを測定する工程。
【請求項3】
以下の工程をさらに含む、請求項1または2の方法:
少なくとも第二の時点について該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを測定する工程、および
第一の測定と少なくとも第二の測定との間でタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを比較する工程。
【請求項4】
該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失の経時的進行を測定するための、請求項3の方法。
【請求項5】
該サンプルにおけるタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルを、少なくとも1つのさらなるサンプルにおけるタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルと比較する工程をさらに含む、請求項1または2の方法。
【請求項6】
修飾が、グリコシダーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、リパーゼおよび/またはヌクレアーゼの存在によるものである、請求項1−5のいずれかの方法。
【請求項7】
タンパク分解的切断が、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、エンドプロテアーゼ、ならびに血液凝固カスケードに関与するプロテアーゼおよび古典的および/または第二補体カスケードに関与するプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1つのプロテアーゼの存在によるものである、請求項1−5のいずれかの方法。
【請求項8】
プロテアーゼ感受性スタンダードが、少なくとも1つのプロテアーゼのための少なくとも1つの切断部位を含む少なくとも1つのペプチドである、請求項1−7のいずれかの方法。
【請求項9】
少なくとも1つの切断部位が、独立に、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、エンドプロテアーゼ、ならびに血液凝固カスケードに関与するプロテアーゼおよび古典的および/または第二補体カスケードに関与するプロテアーゼからなる群より選択されるプロテアーゼのための切断部位である、請求項8の方法。
【請求項10】
修飾感受性スタンダードが、少なくとも1つのリン酸化アミノ酸残基および/または少なくとも1つのキナーゼ用認識配列および/または少なくとも1つのグリコシル化アミノ酸残基および/または少なくとも1つの脂質部分連結アミノ酸残基を含む少なくとも1つのペプチドである、請求項1−6のいずれかの方法。
【請求項11】
少なくとも1つのスタンダードが、サンプルに典型的に存在する、または存在することが疑われる、タンパク分解活性、修飾活性および/またはペプチド消失活性に感受性のスタンダードを含む、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのスタンダードが、サンプルと同じ、または類似する起源に由来するスタンダードを含む、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項13】
該起源が、血清、血漿、全血、尿、血小板、白血球、赤血球、細菌、酵母、真菌、ウイルスおよび真核性微生物からなる群より選択される、請求項12の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのスタンダードが標識を含む、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項15】
標識が、蛍光標識、発色団標識、発光標識、放射性同位体標識、同位体標識、同重体標識、酵素標識、粒子標識、核酸含有標識およびタグ標識からなる群より選択される、請求項14の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのスタンダードが、サンプルが由来する種と異なる種に由来するスタンダードを含む、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのスタンダードが、合成により調製された、または天然源から単離されたスタンダードを含む、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項18】
スタンダードが組換えにより調製されたものである、請求項17の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのスタンダードが、サンプルの少なくとも1つのペプチドおよび/またはタンパク質と結合するスタンダードを含む、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項20】
結合が共有結合または物理的相互作用による、請求項19の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのスタンダードが、該サンプルおよび該少なくとも1つのスタンダードを含むコンパートメントの表面に結合するスタンダードを含む、請求項1−18のいずれかの方法。
【請求項22】
結合が共有結合または物理的相互作用による、請求項21の方法。
【請求項23】
サンプルが、全血、血清、血漿、髄液または尿である、またはそれらに由来する、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項24】
サンプルが、質量分析、SELDI、核磁気共鳴、プラズモン共鳴、蛍光光度法、測光法、発光測定法、放射活性測定法、酵素測定法、顕微鏡法、免疫学的方法および分子生物学的方法からなる群より選択される方法により分析されるものである、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項25】
該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルが、サンプルの分析に使用される手段と異なる手段により測定される、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項26】
該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルが、サンプルの分析に使用される手段により測定される、請求項1−24のいずれかの方法。
【請求項27】
該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルが、サンプルの分析の前、後、または分析と同時に測定される、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項28】
該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失の測定レベルに基づくサンプルの分析により得られた結果を補正する工程をさらに含む、前述のいずれかの請求項の方法。
【請求項29】
以下の工程をさらに含む、前述のいずれかの請求項の方法:
少なくとも2つの異なるサンプルを分析する工程、および
該サンプルに含まれる該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失の測定レベルに基づくサンプルの分析により得られた結果を標準化する工程。
【請求項30】
該スタンダードのタンパク分解的切断および/または修飾および/またはペプチド消失のレベルが、サンプルの保存後、特にサンプルの凍結後に測定される、前述のいずれかの請求項の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−506373(P2008−506373A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520765(P2007−520765)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007684
【国際公開番号】WO2006/005622
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(507014313)ディジラボ・バイオヴィジョン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Digilab BioVisioN GmbH
【Fターム(参考)】