説明

ペルチェ素子式冷却器使用の飲料用ディスペンサ

【課題】
水・氷を使用して飲料を冷却するディスペンサの省エネルギー化を行うことにより、小型であるが出力の小さいペルチェ素子式冷却器使用を可能として、結果的に飲料用ディスペンサを小型化する。
【解決手段】
撹拌ペラ運転を飲料注出中のみとし他は休止させてエネルギーロスをなくすとともに、ペルチェ素子式冷却器運転を氷量が目標値に達するまでは100%出力、氷量が目標値に達してからは3〜5%出力としてペルチェ素子の結露による短絡を防止しつつエネルギーロスを少なくするとともに、冷却ファン運転をペルチェ素子冷却器運転100%時のみとしてエネルギーロスを少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェ素子式冷却器使用の飲料用ディスペンサの撹拌ペラ運転制御・ペルチェ素子式冷却器運転制御・冷却ファン運転制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料用ディスペンサは図1のように1、ヒートポンプ式冷却器を設け、2、水槽内の外側に3、冷却パイプ・内側に4、飲料パイプ・中心部に5、撹拌ペラを設置し、冷却パイプ回りにできた6、氷を撹拌ペラにより7、冷却水を流して飲料パイプ内の飲料を冷却していた。この撹拌ペラは常時同じ回転速度で運転されており特別な制御は行われていない。また冷却パイプ周辺には8、氷量センサが設けてあり、冷却器運転を制御している。
【0003】
しかし撹拌ペラを回転させるとそのエネルギーが冷却水に伝わるので、氷を作るために冷却器に余分な負荷がかかっていた。
【0004】
ヒートポンプ式冷却器は出力は高いが比較的大型でありコンプレッサ等の可動部のメンテナンスや冷媒の環境負荷等に問題があり、数多くある小さな飲料店には設置不能であった。冷却器を9、ペルチェ素子式にすると小型化やメンテナンスフリー化が可能となるが、出力が低いのが欠点であった。
【0005】
また冷却器は氷量が目標値となると運転を停止するが、ペルチェ素子式冷却器の場合は氷の冷熱が10、伝熱冷却体を通して逆流しペルチェ素子側が結露する。長期間結露・蒸発を繰り返すとペルチェ素子に短絡の恐れがでてくる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、撹拌ペラの運転を必要に応じて停止したり回転速度を低くしたりして制御しエネルギーロスを少なくし、ペルチェ素子式冷却器を使用可能として飲料用ディスペンサ形状を小型化することである。
【0007】
さらにもう一つの解決しようとする課題は、ペルチェ素子11、冷却ファンの運転を必要に応じてペルチェ素子出力を低くしたり冷却ファンの回転速度を低くしたりして制御し、その結露を防ぐとともにエネルギーロスを少なくし、ペルチェ素子式冷却器を使用可能として飲料用ディスペンサを小型化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、図2のように12、ドラフトコックに注出スイッチを設けることにより、または飲料配管中に圧力センサを設けることにより、注出中のみ撹拌ポンプを運転し注出以外のときは撹拌ポンプを休止することを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、図3のように氷量が目標値に達したらペルチェ素子運転を3〜5%程度とし、冷却ファン運転を休止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
上述のように撹拌ポンプ・ペルチェ素子・冷却ファンの運転をきめ細かく制御することによりエネルギーロスを少なくでき消費電力も低減でき、従来のヒートポンプ式冷却器に比べ小型ではあるが出力の小さいペルチェ式冷却器が使用可能とすることができる。結果的に飲料用ディスペンサが小型化できかつメンテナンスが楽になりさらに寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は従来のディスペンサ構造を示した説明図である。
【図2】図2は撹拌ポンプ運転の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図3】図3は撹拌ペラを従来運転時と本発明の制御運転時の氷生成性例を示した説明図である。
【図4】図4はペルチェ素子・冷却ファン運転の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以上説明したように、本発明の撹拌ポンプ・ペルチェ素子・冷却ファン運転のきめ細かい制御により小型・省電力・長寿命の飲料用ディスペンサが供給できるので従来型が設置不能だった小さな飲料店にも設置できるようになり従来以上に多くの人に冷たい飲料が供給可能となる。
【実施例1】
【0013】
図2は、本発明の実施例の断面図であって、2は水槽、4は飲料パイプ、5は撹拌ペラ、6は氷、7は氷量センサ、8は冷却水、9はペルチェ素子、10は伝熱冷却体、11は冷却ファン、12はドラフトコックである。
【0014】
図3は撹拌ペラを従来運転時と本発明の制御運転時の氷生成性例を示す。
【実施例2】
【0015】
図4は氷量とペルチェ素子・冷却ファン運転の関係を示す。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上説明したように、本発明の撹拌ポンプ・ペルチェ素子・冷却ファン運転のきめ細かい制御により小型・省電力・長寿命の飲料用ディスペンサが供給できる。
【符号の説明】
【0017】
1 ヒートパイプ式冷却器
2 水槽
3 冷却パイプ
4 飲料パイプ
5 撹拌ペラ
6 氷
7 冷却水
8 氷量センサ
9 ペルチェ素子
10 伝熱冷却体
11 冷却ファン
12 ドラフトコック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水・氷を使用しペルチェ素子式冷却器で飲料を冷却するディスペンサにおいて、撹拌ペラの運転を必要に応じて停止したり回転速度を低くしたりして制御することを特徴とするペルチェ素子式冷却器使用の飲料用ディスペンサ。
【請求項2】
水・氷を使用しペルチェ素子式冷却器で飲料を冷却するディスペンサにおいて、ペルチェ素子及び冷却ファンの運転をペルチェ素子出力を下げたり冷却ファンの回転速度を低くしたりして制御することを特徴とする請求項1に記載のペルチェ素子式冷却器使用の飲料用ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−121630(P2011−121630A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282679(P2009−282679)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000113997)株式会社アクリテック (20)
【Fターム(参考)】