説明

ペレタイザ−

【課題】固定刃と回転刃との間のクリアランスを容易に、しかも確実に調整保持せしめ、常にストランドの切断作業を確実に行なうことが出来る、ペレタイザ−を提供しようとするものである。
【解決手段】引取りロ−ル3から送出されるストランドを固定刃6とヘリカル刃状回転刃15とによりペレットに切断せしめるペレタイザ−において、上記回転刃15の両端には固定刃6との間を所定のクリアランスに調整せしめるべくクリアランス調整部材17a・17b・17c・17d・17e・17fが同軸状に取付けられている。そして、上記クリアランス調整部材17a・17b・17c・17d・17e・17fは回転刃15の半径と同径の調整部19a・19b・19c・19d・19e・19fを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストランド状に形成せしめた樹脂材料をペレットに切断せしめるペレタイザ
−に関し、更に詳細には、固定刃に対してヘリカル刃状の回転刃を所定のクリアランスで
もって適正に調整保持せしめることが出来るペレタイザ−に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱可塑性樹脂の多くは、一旦ペレット化されてから成型加工され、所要のプ
ラスチック成型品にされている。そして、熱可塑性樹脂をペレット化する方法の一つにス
トランドカット法が知られている。かかるストランドカット法は、重合した溶融樹脂を押
出し機または歯車ポンプを用いて多孔ダイスから押出し、ひも状に形成せしめたストラン
ドを凝固・冷却せしめたのち、ペレタイザ−でもってペレットに切断せしめるものである

【0003】
そして、上記ペレタイザ−としては、一般に冷却せしめた複数のストランドを引取りロ
−ルでもって挟み込みつつストランド走行路に沿って連続的に送出し、その先端に所定の
クリアランスをもって配設された固定刃とヘリカル刃状回転刃とによりペレットに切断せ
しめるものとされている(特開平5−50429号公報、特開平5−228922号公報
、特開2003−71832号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−50429号公報
【特許文献2】特開平5−228922号公報
【特許文献3】特開2003−71832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のペレタイザ−は、所定のクリアランスをもって配設された固定刃
と回転刃とによりストランドをペレットに切断せしめるものとされているから、回転刃が
ヘリカル刃状、即ち、軸線方向に対して所要のヘリカル角度をもって斜め螺旋状に延びる
刃状に形成されていることとも相まって固定刃と回転刃との間のクリアランスを適正に保
持せしめることが非常に困難である。特に、摩耗などにより損傷した固定刃や回転刃を研
磨して再使用に供する場合においては、両者間のクリアランスを適正に調整することが非
常に困難であり、場合によってはクリアランスに狂いを生じて確実なる切断作業がしずら
いものとなっていた。
【0006】
本発明は従来例の課題を解決し、固定刃と回転刃との間のクリアランスを容易に、しか
も確実に調整保持せしめ、常にストランドの切断作業を確実に行なうことが出来る、ペレ
タイザ−を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の発明は、引取りロ−ルから送出さ
れるストランドを固定刃とヘリカル刃状回転刃とによりペレットに切断せしめるペレタイ
ザ−において、上記回転刃の両端には固定刃との間を所定のクリアランスに調整せしめる
べくクリアランス調整部材が同軸状に取付けられてなることを特徴とする、ペレタイザ−
を要旨とするものである。
【0008】
本発明の請求項2記載の発明は、クリアランス調整部材は回転刃の半径と同径の調整部
を有することを特徴とする、請求項1記載のペレタイザ−を要旨とするものである。
【0009】
本発明の請求項3記載の発明は、固定刃は昇降手段を介して上下に調整自在とされると
共に、その上方にはストッパ−片が配設されてなることを特徴とする、請求項1または2
記載のペレタイザ−を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の発明は、上述のように構成されているから、両側のクリアラン
ス調整部材を各々固定刃に当てがいつつ、固定刃とヘリカル刃状回転刃との間のクリアラ
ンスを適正、且つ容易に調整保持せしめることが出来るものであって、ひいては、固定刃
に対して回転刃を適正なクリアランスでもって回転せしめつつ切断作業を常に確実に行な
うことが出来るものである。
【0011】
本発明の請求項2記載の発明は、上述のように構成されているから、両側のクリアラン
ス調整部材の調整部を各々固定刃に当てがいつつ、固定刃との間のクリアランスを適正に、かつ容易に調整保持せしめることが出来るものであり、特に摩耗などにより損傷した回転刃を研磨せしめる場合には、同時に両側のクリアランス調整部材の調整部を同径状に研削せしめ、再使用する回転刃と固定刃との間のクリアランスを適正に調整保持せしめることが出来るものである。
【0012】
本発明の請求項3記載の発明は、上述のように構成されているから、ストッパ−片を上
死点として固定刃を昇降手段により昇降せしめつつ高さを調整せしめ、常に固定刃を適正
位置に調整保持せしめることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例を示す一部破断側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す一部破断平面図である。
【図3】実施例の固定刃6と回転刃15との位置関係を示す拡大斜視図である。
【図4】実施例の回転刃15を示す横断面図である。
【図5】実施例の昇降手段9により固定刃6を上昇作動せしめた状態を示す一部拡大破断側面図である。
【図6】実施例のクリアランス調整部材17の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に示す一実施例に基づいて詳細に説明する

【0015】
図1〜図5は本発明の一実施例を示すもので、同図中、1は両側一対の略方形体状フレ
−ム、2はストランドを所定方向に走行せしめるべく該フレ−ム1間に配設されたストラ
ンド走行路、3はストランドを引取るべく該ストランド走行路3の途中に配設された上下
一対のロ−ルよりなる引取りロ−ルで、該引取りロ−ル3はプ−リ−4を介して別途配設
されたモ−タ(図示略)により所定方向に回転自在とされている。5は上記引取りロ−ル
3の前方に位置すべくストランド走行路2先部に配設された所要の幅と長さを有する刃物
台、6は該刃物台5に取付けボルト7を介して取付けられた所要の幅と長さを有する平刃
状の固定刃、8は該固定刃6の上方に配設されたストッパ−片で、固定刃6は該ストッパ
−片8を上死点として昇降手段9により上下に高さ調整自在とされている。そして、上記
昇降手段9は固定刃6の下端に形成された傾斜面部10と、該傾斜面部10に摺動自在に
当接せしめた傾斜面状の摺動面部12を有する作動プレ−ト11と、該作動プレ−ト11
を進退作動せしめる引きボルト13と押しボルト14とより構成されている。
【0016】
15は所要のクリアランスをもって前記固定刃6の長手方向に沿って対向状に配設され
た半径R1のヘリカル刃付き回転刃、16は該回転刃15の回転軸、17aは該回転刃1
5の両端に各々同軸状に取付けられた円形状の軸孔18付きクリアランス調整部材、19
aはクリアランス調整部材17aの外周部に一体形成された調整部で、該調整部19aの
半径R2は回転刃15のそれと同径状に形成されると共に、プ−リ−20を介して別途配
設されたモ−タ(図示略)により同期等速回転するものとされている。21は上記回転刃
15をカバ−せしめるべくフレ−ム1間に開閉自在に取付けられたカバ−体、22は回転
刃15の下方に配設されたペレット用排出シュ−トである。
【0017】
次に、上述の如く構成された実施例の作動について説明する。
先ず、引きボルト13と押しボルト14を適宜螺動せしめて作動プレ−ト11を進退作
動せしめつつ、固定刃6を昇降せしめて調整し、ストッパ−片8を上死点として所要の高
さに設定せしめると共に、両側のクリアランス調整部材17aの調整部19a外周面を各
々調整済固定刃6に当てがいつつ、固定刃6の刃先に対して調整部19aの外周面と回転
刃15の刃先を一直線状に位置せしめ、固定刃6と回転刃15との間を所定のクリアラン
スに調整保持せしめる。このさい、回転刃15は軸線方向に対して所要のヘリカル角度で
もって斜め螺旋状に延びるヘリカル刃状を呈するも、両側のクリアランス調整部材17a
の調整部19aでもって固定刃6に当てがいつつ、両者間のクリアランスを常に適正に、
かつ容易に調整保持せしめることが出来るものである。
【0018】
固定刃6と回転刃15の調整が完了すると、回転刃15と共に引取りロ−ル3を各々所
定方向に回転せしめる。そして、ひも状に生成せしめた複数のストランドを挟み込みつつ
、ストランド走行路2に沿って図1に示す矢印方向へ連続的に送出せしめ、固定刃6と回
転する回転刃15とによりペレットに切断せしめたのち、排出シュ−ト22を介して外部
に排出せしめる。このさい、固定刃6と回転刃15との間のクリアランスは常時適正に調
整保持せしめられているから、ストランドの切断作業を常に確実に行なうことが出来るも
のである。
【0019】
そして、ストランドの切断作動により固定刃6や回転刃15が摩耗などして損傷した場
合には、所要の研磨機でもって研磨し、再使用に供する。このさい、例えば固定刃6を研
磨せしめた場合には、図5に示すように押しボルト14を螺動せしめつつ作動プレ−ト1
1を固定刃6方向に進出せしめ、固定刃6を上昇作動せしめて所定の高さに調整せしめる
。また、回転刃15を研磨せしめた場合には、回転刃15の研磨と同時に両側のクリアラ
ンス調整部材17aの調整部19a外周面を同径状に研磨せしめ、調整部19aの外周面
とヘリカル刃状回転刃15の刃先とを一直線上に設定せしめることにより固定刃6と回転
刃15との間のクリアランスを適正に調整保持せしめる。
【0020】
なお、上記実施例において、固定刃6は作動プレ−ト11を引きボルト13と押しボル
ト14とにより進退せしめつつ、固定刃6を適宜昇降せしめて高さ調整するものとされて
いるが、これに限定されるものではなく、他の公知の昇降手段を採択使用することが出来
るものである。
また、クリアランス調整部材17aは外周に回転刃15の半径R1と同径の半径R2を有
する円形状の調整部19aが一体形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、外周に半径R3とされた略半円形状の調整部19bを有するクリアランス調整部材17b(図6A参照)、外周に半径R4とされた略円弧状の調整部19cを有するクリアランス調整部材17c(図6B参照)、外周に半径R5とされた略三角形状の調整部19dを有するクリアランス調整部材17d(図6C参照)、外周に半径R6とされた略半円弧状の調整部19eを有するクリアランス調整部材17e(図6D参照)、外周に半径R7とされた略歯車状の調整部19fを有するクリアランス調整部材17f(図6E参照)などを採択使用することが出来るものである。なお、上記各調整部19b・19c・19d・19e・19fの半径R3・R4・R5・R6・R7は各々回転刃15の半径R1と同径である。
【符号の説明】
【0021】
3 引取りロ−ル
6 固定刃
8 ストッパ−片
9 昇降手段
10 傾斜面部
11 作動プレ−ト
12 摺動面部
13 引きボルト
14 押しボルト
15 回転刃
17a・17b・17c・17d・17e・17f クリアランス調整部材
19a・19b・19c・19d・19e・19f 調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引取りロ−ルから送出されるストランドを固定刃とヘリカル刃状回転刃とによりペレッ
トに切断せしめるペレタイザ−において、上記回転刃の両端には固定刃との間を所定のク
リアランスに調整せしめるべくクリアランス調整部材が同軸状に取付けられてなることを
特徴とする、ペレタイザ−。
【請求項2】
クリアランス調整部材は回転刃の半径と同径の調整部を有することを特徴とする、請求
項1記載のペレタイザ−。
【請求項3】
固定刃は昇降手段を介して上下に調整自在とされると共に、その上方にはストッパ−片
が配設されてなることを特徴とする、請求項1または2記載のペレタイザ−。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240347(P2012−240347A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114237(P2011−114237)
【出願日】平成23年5月21日(2011.5.21)
【出願人】(500164581)
【Fターム(参考)】