説明

ペロブスカイトベースの触媒、その調整、およびメタンからエチレンへの転化のためのその使用

アルカリ土類金属塩、粉末状の金属塩および粉末状の遷移金属酸化物を含む水性スラリーを形成させる;水性スラリーは以下のように形成される;粉末状のアルカリ土類金属塩を水に分散させ、ここでアルカリ土類金属塩はバリウム、カルシウムおよびストロンチウムの塩から成る群から選ばれ、粉末状の金属塩を水に添加し;そして粉末状の遷移金属酸化物を水に添加し、ここで金属酸化物は酸化チタンであり;ペーストを形成するために、スラリーに高分子結合剤を添加し;粉末状にするためにスラリーを乾燥させ;予め定められたプロフィールで上昇する温度で高分子結合剤とともに粉末を加熱し;そしてペロブスカイト触媒を形成させるために加熱した粉末を焼成するという過程を含む、ペロブスカイト触媒の製造方法。このように形成された触媒およびメタン酸化カップリングに対するその使用もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の説明
この出願は、2003年4月29日に出願され、タイトルが触媒の調製および高い収率のメタンからエチレンへの転化のための使用、発明者は本出願の発明者であるEbrahim Bagherzadehであり、そして本出願の出願人であるテキサス州ヒューストンのHRD Corp.とイランのテヘランの石油化学技術開発会社のNational Petrochemical Companyによって出願された、カナダ特許出願第2,427,722号について米国特許法第119条に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明はメタンからの高級炭化水素の合成に関するものである。より詳細には、本発明は、高い転化収率を可能とするペロブスカイト触媒を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
不均一触媒作用における最も顕著な問題の一つは、エタン、エチレンおよび他の脂肪族炭化水素のような、より反応性のある化学物質を形成するためのメタンの部分酸化におけるその使用に関するものである。エタンやエチレンを形成するためのメタンの酸化カップリングは、先駆者であるKellerとBhasinの1982年の研究に続いてなされた広範囲の研究の主題となっている。特に、エチレンへのメタンの転化は広く研究されてきている。大部分の研究者は転化効率をあげることを模索し続けている。
【0004】
遷移金属として知られる元素の周期表のグループIII、IV、Vの元素の使用について、多くの研究がなされてきており、また多くの特許が発行されてきている。アルカリ金属酸化物、土類金属酸化物および金属酸化物複合体まで、エチレンへのメタン転化の触媒として使用されてきた。最近、エチレンへのメタン転化に関する論文が多数発表されており、これには、Research Institute of Petroleum Industries(RIPI)NIOC,Vol.3,No.10,1993に収載の“メタン反応の酸化カップリングにおけるATiO(A=Ba,Sr,Ca)ペロブスカイト型触媒の反応性“というタイトルの、本発明者による論文も含まれている。その中で、ゾル−ゲル方法により調製されたこの触媒の明確な構造が議論されている。これらの構造の特徴付けは、X線回折(XRD)、走査電子顕微鏡(S.E.M)、Brunauer,EmmettおよびTellerの方法(B.E.T)およびフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)によって決定された表面に存在する炭酸塩の確認によって行われている。
【0005】
ナトリウム−マンガン酸化物触媒を使用したメタンの酸化カップリングの反応速度と機構が研究されてきており、他の同様の構造を持った触媒の機構も確認されている。Rahmatolah et al., Chem Eng Technol 16(1993)62−67に“ナトリウム−マンガン酸化物触媒下におけるメタンの酸化カップリング反応速度と機構”というタイトルの論文において、この研究の結果は報告されている。ナトリウム−マンガン酸化物触媒を使用した反応は、均一系、不均一系の反応段階を含むリディール−酸化還元機構の結果として起こる。CH中間体の気相形成は、表面反応の不均一系プロセスの結果であり、メチルグループ(CH)をカップリングすることによるC+炭化水素の形成は、気体相の均一系プロセスの結果である。
【0006】
エチレンへのメタン転化の触媒活性は、表面の酸素(O)およびメタン(CH)間の表面酸化速度定数(Kox)および還元速度定数(Red)に依存する。Mn触媒の反応速度の結果は、リディール−酸化還元機構に基づく反応速度式によって表すことができることが示された。さらに、Golpasha et al,.Journal of Engineering,Islamic Republic of Iran,Vol.3,No.s3&4,Nov 1990で“マンガン酸化物を助長するナトリウム存在下でのエチレンへのメタン酸化カップリング”において報告されているように、ナトリウムで促進されシリカに担持されているマンガン酸化物触媒は、メタンと酸素の割合が2/1(CH/O=2)で大気圧下、830℃の温度という最適な作用環境で、メタンからエチレンへの合成に対して非常によい活性と選択性を示すことが分かった。
【0007】
さらに、IIES−NIOC 16th World Petroleum Congress,June 2000,Calgary,Alberta,Canadaにおいて“直接的な転化を通じたエチレンへの天然ガスの商業化に対する機会”というタイトルで本発明者が発表した論文の中で、直接的な転化反応によるエチレンへの天然ガス転化の商業化の機会が研究されている。必要資本、規模の経済および触媒性能を含む種々の観点から、この論文において、ガス転化に対する従来のプロセスが比較されており、またゾル−ゲル法を使用して調製されたパイロクロア型触媒下におけるメタンの酸化カップリング(OCM)が、商業化の可能性があることが示されている。SmSn触媒(4)存在下、大気圧、750〜830℃で、報告されている触媒反応の炭化水素生成物(HC)の実験的収率は18−20%である。
【0008】
14th World Petroleum Congress,1994,Stavenger,Norwayにおける“ペロブスカイト触媒を使用したエチレンへの直接的酸化メタン転化”というタイトルの論文の中で、改良されたセラミック法を使用して調製されたペロブスカイト触媒であるCaTiO存在下でのメタンの触媒酸化カップリングについても、本発明の発明者の一人が、また、報告しており、その結果は830℃で18−20%を超えるHC収率であった。触媒はNaで促進されたがNaは大幅には触媒性能を向上させなかった。
【0009】
他の技術として、メタンおよび酸素の混合物と接触させて500〜1000℃でマンガン酸化物を使用して、高級HC生成物へメタンを転化する方法を開示する、米国特許第4,939,310号があげられる。米国特許第4,443,649号はメタンの炭素への転化方法を開示していて、ここでは米国特許第4,939,310号と同じ触媒を使用しているが、さらにマンガンの代わりにNi、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、PtおよびAuを使用しての比較検討が行われている。米国特許第4,443,649号および4,544,787号は、触媒の異なる種類でのマンガンの使用を示している。米国特許第5,695,618号は、触媒として八面体分子ふるいを使用したメタンの酸化カップリングを教示している。米国特許第6,096,934号は、米国特許第5,695,618号と同じ方法で上記を使用して、また同じ触媒を用いて、エタンおよびエチレンへのメタン転化を教示している。米国特許第5,877,387号は、600℃で起こるであろうメタンの酸化カップリングのための、Pbで置換されたヒドロキシアパタイト触媒を利用している。メタン転化に関する米国特許第4,523,050号では、高級HCを報告している。この特許においては、メタンと酸素の混合物をSi、Mnあるいは珪酸マンガンを含む固体触媒の表面に接触させている。同様に、米国特許第4,523,049号においては、マンガン触媒を使用したメタン転化が、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を使用して促進されている。米国特許第4,544,784号はハロゲン化合物と結合しているマンガンの金属酸化物触媒を使用する、炭化水素へのメタンの転化を教示している。この強化された触媒は、より効率的な転化、および触媒の固体表面でのガス混合物とのより大きな接触を促進する。米国特許第5,051,390号は、水溶液中でのコゲル触媒の調製を教示している。沈殿と粒子の形成を回避し、均一なコゲルが形成されるような環境下で、金属酸化物および加水分解できるシランを形成するために、熱的に分解可能な可溶性金属とアルカリ金属およびアルカリ土類金属の可溶性塩が混合される。その後、エチレンやエタンのようなより重い炭化水素へのメタンの転化に、製造された触媒は使用される。
【0010】
現在までのところ、従来の技術および成分の取合わせを使って調製された触媒では、エチレンのようなより高い炭化水素へのメタン転化は、おおよそ20%の効率で、可能であるに過ぎない。理想的には、エチレンの製造のために商業的に実行できる方法を提供するために、メタンのより高い炭化水素への直接的な転化に対する触媒は、20%より高い効率で、いわゆるより高い炭化水素を生成することができるであろう。
【0011】
本発明の発明者はまた、OCM転化の過程におけるOCM反応器へのハロゲン源の定期的な添加によって、経時的に触媒の活性を維持する方法も特定した。
【発明の開示】
【0012】
発明の簡単な要約
ここで示されているように、本発明は、エチレンへのメタン転化が可能であり、一方で30%以上の炭化水素(HC)収率をあげることが可能である触媒を得た。一実施の形態においては、BaTiO触媒は特にメタンの酸化カップリング(OCM)プロセスにおいて使用され、約26%のエチレンの収率を達成することができる。一実施の形態においては、触媒の調製方法は、水性溶媒(脱イオン水)において炭酸バリウムおよび塩化スズと酸化チタンを混合することによるセラミック法(ゾル−ゾル)に基づいている。強化された転化特性を持つペロブスカイト触媒の生成物を製造するために、得られたスラリーを乾燥させ、加熱し、焼成する。
【0013】
発明の広い態様では、ペロブスカイト触媒を製造する方法は、Ba(1−0.05x)+TiO+SnC1(0.05x)(ここでxはモルを示す)に従った混合物によるような、アルカリ土類金属塩、粉末状の金属塩および粉末状の遷移金属酸化物を水中でスラリー形成することを含む。Ba((1〜2モル−x)+TiO((1モル))+SnC1(x)(ここでxは0.09と0.1モルの間で変動する)かSnC10.05モルに対してTiO1モルあたり0.95モルのバリウムの範囲で、この式の計算は行われた。高分子結合剤はペーストを形成するためにスラリーに添加される。ペーストは乾燥され、粉砕される。金属および金属酸化物をペロブスカイト結晶構造に転換するために、高分子結合剤に見合った温度プロフィールを使って得られた粉末は加熱され、その後、ペロブスカイト触媒を形成するために、粉砕したペーストを焼成するための焼成温度で維持する。高分子結合剤はビニルアセテートジブチルアクリレートおよびメチルヒドロキシエチルセルロースから成る群から選ばれ、それらの結合剤に見合った温度プロフィールは、1/4時間で傾斜をつけて温度を上昇させるもので、以下のようなステップである;約200℃まで、維持、約400℃まで、維持、約600℃まで、維持、そして約700℃〜約1000℃、好ましくは800℃の焼成温度まで傾斜をつけて上昇させる。必要であれば、焼成された粉末をふるいにかけ、この際、OCM用途では、触媒反応器での使用に適する大きさにまで、粉末を整粒する。
【0014】
ペロブスカイト触媒存在下での酸化カップリング条件における、酸化カップリング反応器中で、メタンおよび酸素を含む供給ガスストリームを接触することを含むOCMプロセスで、本発明の触媒は特に有用である。
【0015】
酸化カップリング反応の過程におけるOCM反応器へのハロゲン源の定期的な添加によって、触媒の活性は経時的に維持されうる。
【0016】
図の見方の簡単な説明
図1aおよび1bは、図2の温度プロフィールを適用する前と後の結晶構造のSEMの比較である;
図2は、本発明の一実施の形態の触媒の焼成中の増加温度の概略を示したものである;
図3は、各々700℃、1000℃での焼成前(a)、(c)、焼成後(b),(d)の結晶構造を確認するためのX線の回折計のプリントアウトである;
図4は、エチレン製造のために、本発明の触媒を使用してメタン酸化カップリングを行うことに利用される流通式固定床石英反応器の概略図である。
図5は、時間の関数として、エチレンへのメタン酸化カップリングに添加する四塩化炭素(CCl)の効果を示している。
図6は、時間の関数として、四塩化炭素(CCl)不存在下でのエチレンへのメタン酸化カップリングを示している;
図7は、本発明の一つの実施の形態の触媒を使用して、メタン酸化カップリングを行うために利用される試験的な反応器の概略図である;そして
図8は、時間の関数として、エチレンへのメタン酸化カップリングにおける供給ガスへの二酸化炭素(CO)の添加効果を示している。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明のペロブスカイト結晶触媒はセラミック(ゾル−ゾル)法を使って調製される。本触媒は、典型的なゾル−ゾル手順から得られる触媒に比して特性を向上したものである。
【0018】
一般的に、一つの実施の形態では、スラリーを形成するために、始めに水性溶媒(脱イオン水)中で遷移金属酸化物とアルカリ土類金属塩を混合するゾル−ゾル法を使用して、新規な触媒は形成される。構成成分の混合を促進するために、またペーストの形成のために、高分子結合剤はスラリーに添加される。得られたペーストは乾燥され、粉砕機中で粉砕される。固定床反応器に合うサイズにするために、粉砕された成分はふるいにかけられる。望ましくない揮発物および結合成分を除去するために、ふるいにかけられた成分は焼成される。ペロブスカイト結晶構造を形成するために、時間中段階的に増加する温度上昇で焼成は行われる。
【0019】
この形成手順により、一般式ABTiOを持つペロブスカイト触媒、すなわちエチレンを製造するためのメタンの部分酸化に非常に適している結晶構造を持つ触媒を得る。好ましくは、AはSn、BはBaである。
【0020】
さらに詳細には、アルカリ土類金属塩および遷移金属酸化物のスラリーは、蒸留水あるいは脱イオン水を含む水性溶媒中で調製される。アルカリ土類成分はBa、Ca、およびSrおよびそれらの組み合わせから選ばれる。金属塩はSn、Mg、Na、LiおよびBaから選ばれる。
【0021】
一つの実施の形態では、炭酸塩の形のバリウム(BaCO)は、触媒促進剤として塩化スズ(SnCl)のような金属塩および酸化チタン(TiO)のような遷移金属酸化物と水中で混合される。
【0022】
成分はスラリーとして激しく混合される。メチルヒドロキシエチルセルロースあるいはビニルアセテートブチルアクリレートのような高分子結合剤がスラリーに添加される。結合剤により、確かに成分が十分に混合されることができ、ペーストの形成を促進することができ、触媒の最終形態を向上することができる。実験例では、成分50gサンプルを調製した。直径8.7cm、高さ14.2cmの円筒形のガラスビーカーに蒸留水50ccを準備した。インペラーを水の攪拌のために準備した。このインペラーは、2000rpmの回転速度で、フラットブレード・タービン(直径3cm)を有する。ペーストを形成するために、成分を攪拌された水に添加した。比率は、Ba(1−0.05x)+TiO+SnC1(0.05x)に従って調製された。ここでx=1モル(すなわちBa((0.95モル))+TiO((1モル))+SnC1(0.05モル)である。
【0023】
得られたペーストは、おおよそ110℃で、ペーストを乾燥するために十分な時間、オーブン中で乾燥された。上記段落で述べられている例では、この時間は約8時間である。スラリーは、水が蒸発するために必要な時間で空気乾燥させることも可能である。種々の周囲環境やスラリー調製物によって、空気乾燥はより長い時間、ほぼ48時間程度、行ってもよい。
【0024】
乾燥したら、ペーストは粉砕される。上記において(ベンチスケールの例)、乾燥されたペーストは、粉砕機あるいは圧縮機の中で粉砕することができる;触媒反応器におおよそ適する大きさにされた粉末の初回通過を形成する、または、獲得するために。望ましくない揮発性の化学的に結合した成分を除去するために、その後、粉砕された粉末は、焼成される。
【0025】
粉砕された物質は、焼成温度で熱不安定性である高分子鎖を含む。従って、適切な焼成温度が達成されるような時間まで、結晶形成を促進するために実験的に決定された温度プロフィールで、所定の時間にわたって増加する温度上昇に粉砕された物質はさらされる。温度プロフィールは、結晶形成が促進される高分子結合剤に相応のものである。
【0026】
図2に示されるように、物質は、例えば、温度傾斜をつけた区分、および温度が維持された区分の両方があるように温度を段階的に上昇させる。温度上昇は、使用される高分子結合剤を補完する温度プロフィールを達成するために適用される。当業者には知られているように、典型的な燃焼速度は、時間と温度が上昇するにつれて上昇しうる。例えば、周囲温度からの初期上昇においては、上昇速度は、さらに1/4時間の維持時間を含めて約1/4時間で、約200℃にすることが可能である。傾斜と維持の時間を平均すると、上昇速度は約1/2時間で約75℃から約200℃まで、あるいは1時間あたり約200℃(180〜220℃)〜約400℃まで変動する。温度がより高く、分解は減少している最終的な焼成温度で、より高い上昇速度を適用することができる。同様に十分な速度としては、1時間あたり約400℃の実質的に連続的な温度上昇速度があげられる。
【0027】
図2に示すように(ノンスケール)、約700〜約1000℃の範囲、好ましくは約800℃の目標温度に達するまで、約200℃の温度傾斜上昇が、約1/4〜1/2時間かけて起こり、同様の1/4〜1/2時間の維持区分がそれに続く。約8時間あるいはそれ以上、さらに延長された時間、粉末状の物質は最終的な焼成温度にさらされ、その時間中も焼成は起こっている。従って、本発明の一つの実施の形態では、約25℃の室温(周囲温度)から始まって、各々1/4時間の7段階を経ると、約1時間と3/4時間で、約800℃の最終的な焼成温度に達するであろう。
【0028】
焼成後、焼成された物質は圧縮され、その後、加圧(立方センチメートルあたり2−7トン)下で、粉砕され、エチレン製造のためのメタン部分酸化に使用される固定床反応器への使用に合うサイズの粉末を選択するために、ふるいにかけられる。適切なサイズとしては、30メッシュふるいを通過した物質があげられる。
【0029】
図1a、1bに関連して、得られた触媒であるSnBaTiOの所望の擬似立方晶系、斜方晶系のペロブスカイト結晶の形成を確認するために走査電子顕微鏡およびX線回折を使用し、焼成の前後を図に示した。
【0030】
ペロブスカイト結晶(SnBaTiO)は、8面体形状のチタンを含み、メタンガスとの接触が可能な表面領域の結果としてメタンの酸化カップリングに対して反応性を示し、特に出願人が知っている他の触媒以上にエチレン製造に対してより大きな選択性を示す。ガス中に存在する各々の水素原子は、結晶表面上で一つ超の酸素原子と接触することができるが、ただ一つの酸素原子と接触することが、メタン(CH)をメチル(CH)、続いてエチレン(C)に変換するために必要な水酸基(OH)を形成することに必要であると思われる。
【0031】
得られた触媒であるSnBaTiO触媒の一つの実施の形態は、約44%のエチレン生成に対する選択性を示し、その結果、約29.5%のエチレンおよびより重い化合物の収率及び、約600〜約800℃間の反応温度で約67%のメタン転化率が得られることを、発明者らは見出した。SnBaTiO触媒の製造にゾル−ゾル法を使用すると、触媒構造について再現可能であることに加え、メタン酸化カップリング(OCM)に使用される際に従来の触媒と比較して、再現可能で高いエチレン収率をあげることも可能である。
【0032】
エタンへのメタンの脱水素化を通じてOCM反応は達成され、この際水素の一つとメタン分子の残りのものとの結合が弱められている。ペロブスカイト触媒の存在下における酸化カップリングの環境下、酸化カップリング反応器の中でOCMは行われる。結合が弱められているため、メタン分子の部分酸化がおこり、結果エタンが生じる。その後、エタンはエチレンへ転化する。メタン(CH)をメチル基CHへ転化させる脱水素化の間放出される水素と結合する酸素部位を、触媒は提供する必要がある。メチル基はその後、エタンCとして再結合するために遊離する。エタンは酸化されて、エチレンCとなる。遊離の水素は酸素と結合して水を生成する。
【0033】
使用時に、本発明の触媒を使用するOCM反応中に、少量の塩化物のようなハロゲン化物を供給ガスストリーム中に添加すると、より高い安定性を生み、また触媒の寿命を延ばすことを、本発明者らは見出した。気相中ではR−Clとして存在し、例えばメタン塩化物やエタン塩化物源から生ずるような塩素が、ペロブスカイト触媒の表面特性を改良することによってラジカル反応を増幅させるように働くと考えられている。反応環境下で塩化物のようなハロゲン化物を添加することにより、より高い炭化水素(C+)を形成し、より高い炭化水素への選択性をもたらすラジカル反応を増幅することができるフリーラジカルや塩化物イオンが形成されるともまた考えられている。
【0034】
ハロゲン(塩化物)の他の供給源として、塩素ガス、クロロホルム、四塩化炭素(CCl)、塩化スズ(SnCl)および塩酸(HCl)があげられる。ハロゲン源は、注入ガスの流れを中断することなく反応器に添加される。
【0035】
他の使用する可能性がある塩化物源としては、塩化メチレン、二塩化エチレンおよび他の多くの塩化物源があげられるが、この際、その供給源は、例示であって限定を意味するものではないが、例えば、ナトリウム、Li、Sn、Ca、Ba、Pb、Ir、La、Rb、Rh、アクチニド、他のランタニド、種々のオレフィンのような他のカチオンの凝縮物のような他の成分、あるいはその存在によりOCMプロセスに不利益をもたらしうる、触媒に弊害となるもので注入ガスを妨げうる、あるいはプロセスの最終製造物に影響を与えうる他の成分を導入しない。
【0036】
エチレンは工業的に重要な化合物として知られている。というのは、スチレンのようなモノマーからポリマー、コポリマーおよびエチレンと他のオレフィンとのインターポリマーに至るまで、エチレンは、多数の他の化合物合成の前駆物質であるからである。エチレンと他の基質との反応から得られる生成物の中には、ポリエチレン、エチレングリコール、二臭化エチレン、二塩化エチレン、エチルベンゼン、エチレンオキシド、ポリスチレンのようなプラスチックなどの多様の製品が含まれる。
【0037】
上記の生成物を形成するために、OCM反応器において製造されるエチレンおよび他の炭化水素と反応する可能性がある基質としては、エチレン、プロピレン、ブチレンなどの脂肪族化合物;エタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどのアルカン;アルキン;ベンゼン、トルエン、およびその誘導体のような芳香族化合物;追加の酸素あるいは塩素ガス、臭素、フッ素およびヨウ素のような他のハロゲンのような1または2以上の化合物があげられる。
【0038】
多くのプロセスは、90%純度以上の濃度のエチレンの使用が必要であるが、これらの下流のプロセスのうちいくつかは、本明細書で述べたOCM反応の結果得られた濃度のエチレンを利用することができるであろう。
【実施例】
【0039】
実施例1 メタンの酸化カップリング
本発明のゾル−ゾル手順を使って種々の触媒を調製した。メタンからエチレンを製造するための直接的転化反応において、異なるアルカリ土類金属を使用した。再現可能な方法でもっとも高いエチレン収率を得ることができる最適なペロブスカイト触媒を決定するために、基本的なペロブスカイト結晶式であるABTiOに従って、触媒を調製した。組み合わせは、A=スズ(Sn)を含め、BはCa、Sr、Ba、あるいはそれらの組み合わせで試みた。
【0040】
この式の計算は、Ba((1〜2モル−x)+Ti0((1モル))+SnC1(x)で行われ、ここでxは、0.09および0.1モルの間、あるいはSnCl0.05モルに対してTi01モルあたりバリウム0.95モルである。
【0041】
図4に示されるように、温度は約500℃〜約1000℃の間、好ましくは約700℃〜約800℃の範囲であり、直径10mmの流動式固定床石英反応器の中で、反応器の実験は行われた。反応器は大気圧で操作した。10〜12リットル/時間/触媒グラムの範囲で、1時間あたり200〜20,000の範囲のガス1時間あたり空間速度(GHSV)で、2:1の比率のメタン/酸素のすべての供給ガスフローが、供給された。ガスクロマトグラフ(HPPLOT−Qを使ってGC−HP6890)とオンラインの5Å分子ふるいカラムを使用して、生成物の分析を行いながら、プロセスを連続して操作した。
【0042】
表1は各々のテストの、準備され試験された種々の触媒、メタン転化の割合(%)、エチレン収率のパーセンテージおよび1モルあたりのHC収率のパーセンテージを示している。
【0043】
【表1】

【0044】
アルカリ土類金属の方法により異なる活性があること、とりわけ次の順;Ca<Sr<Baであることがわかった。塩素が供給され、最適な結果となる触媒がバリウムをアルカリ土類金属として含み、そしてスズ(Sn)が促進剤として使用されたときに、メタンの転化量と収率が最も高かった。具体的には、サンプル#7(表1)において使用されている触媒は、前に述べたような方法でSnCl・2HO11.1グラムおよびTiO80グラムとBaCO187.5グラムを混合することによって形成され、処理され、焼成され、平方インチあたり7トンの圧力をかけた。
【0045】
供給ガス中に送られ、反応に使用されるメタンは、すべて混合物がない状態であってもよいし、10〜12リットル/時間/触媒グラムの範囲の総流量であり、メタンと酸素がモルベースで2:1の割合である、C+までのエタンのような他の炭化水素ガスと混合されているものであってもよい。加えて、希釈剤として働く、HeあるいはNガスを使用することができ、反応は大気圧で行われる。メタンの直接転化の生成物は、エタン、エチレン、一酸化炭素、二酸化炭素および水である。
【0046】
触媒の劣化は、供給ガス中のハロゲン化合物の存在によって制御される。得られた触媒は、焼成の前後で安定な擬似立方体とペロブスカイト結晶形を持つ。
【0047】
実施例2 実験的規模のメタンの酸化カップリング:ハロゲン添加の影響
本実施例、および実施例3において、39.3グラム;11.4グラム;19.2グラムの比率で組み合わされた、炭酸バリウム、塩化スズおよび酸化チタンの混合物から調製された触媒約30.5グラムの入った、実験的な反応器を使用して、OCMは行われた。その後、得られた触媒は5.5トン/cmでペレット化され、直径1.96〜3.96mmの粒子に粉砕された。
【0048】
図7に示されているように(ここでは上からのガス供給を示している)、25mmの寸法(外径、内径21mm)、長さ490mmのモデルSS316反応器チューブが、石英ライナー、石英充填、および希釈することなく反応器の中央に充填された触媒を備えている。上からおよび下からのガス供給の効果を評価した;最もよい結果(表2参照)は、下からガス供給を行ったときに得られた。反応器の上方、下方部分は、直径が1.98−3.96mmの範囲である石英粒子で充填されている。
【0049】
本実施例では、四塩化炭素(CCl)の形態で、ハロゲンが反応器注入口中に何回か注入され、試料の様々な時間で得られたサンプル(TOS)、および転化率(%)(conv.)、選択率(sel.)あるいは特定の生成物の収率を決定し、図5に示した。
【0050】
本実施例では、パラメーターは以下の通りである
触媒粒子サイズ;2〜4mm(1.96〜3.96mm);
使用された触媒量;20cc/30.5グラム
メタン/酸素/窒素:注入ガスのモル比率:CH:O:N=2:1:4、あるいは
1:1:2、あるいは2:1.5:4、WHSVCI=0.16;GHSV=1175
あるいは1331,あるいは1265;18mmQTL反応器、この際反応器の注入口
に2時間毎に一緒に注入されるCC1(0.2マイクロリットル((μl))を注入した。
【0051】
GHSVは1175から1331あるいは1265に選択された時間で調整され、図の
データ中に示されている途切れはGHSV流速中で変化が起きたところである。
【0052】
ハロゲンがない場合と比較して(図6)、反応器の中にハロゲンが存在すると、エチレンへのメタン転化がより長い時間維持される(図5)ことを、データは示している。エチレンの選択率は、実験の初期段階では40〜45%の間で、より後の段階では約20〜30%の間である(図5)。初期段階では、エチレン収率が約20%である。
【0053】
実施例3
本実施例では、実施例2で使用されたものと同じ触媒が用いられ、希釈はされていない;ハロゲンは反応器に添加されていない。
【0054】
本実施例では、パラメーターは以下の通りである;
メタン/酸素/窒素 注入ガスのモル比率:CH:O:N=2:1:8
GHSV=5123;
WHSVCI=0.44;
石英でライニングされた反応器で、CC1は添加されていない。
【0055】
実施例4 二酸化炭素の効果
流入ガス混合物がGHSV=3300その後1550;WHSVc1 0.45/0.21で、2:1:1:2の割合のCH:O:N:COから構成される、流入ガスの混合物中に二酸化炭素(CO)を添加し、毎1時間毎に3分間窒素とともに四塩化炭素(CC1)バブルを注入した。触媒は、表1のサンプル#7で、希釈されずに13cc/22.6gであった。
【0056】
結果を図8に示し、30%より高いエチレン収率をもたらしうる、90%以上より高いメタンの転化率が生じ、それはOCM反応の過程中維持されることができた。
【0057】
実施例5 水添加の効果
本実施例では、図7に示すように、3つの独立した加熱炉(加熱炉1、加熱炉2および加熱炉3)において、加熱炉の一番上の部分、中間部分、一番下の部分で反応器を加熱した。約100ml/minで送られる窒素とともに、最初450℃まで反応器を加熱した。450℃かそれ以上の温度で、反応混合物とともに反応器を加熱した。反応混合物には以下に規定される水を含む:水は図7に示されるように、ポンプを使ってくみ上げられた。供給ガスは窒素(N)、酸素(O)およびメタン(CH)である(図7)。
【0058】
窒素:150ml/min(0℃、1気圧でガス流速は与えられる)
酸素:201mm/min
メタン:407ml/min
水:76.5g/hr=1587ml/min(気体、0℃、1気圧で計算され
ている)
反応混合物(モル換算)はN:O:CH:HO=1.5:2:4:15.9(それぞれ6.40、8.57、17.36、および67.67モル%)
反応器は700℃から800℃の間の温度で制御された。サンプルは前記ガスクロマトグラフ(GC)を使用して分析した。
【0059】
表2に示した結果は、反応プロセス中、塩化物が触媒から脱離することを示している。
【0060】
【表2】

【0061】
反応器にハロゲンを添加する別の手段としては、継続的な、あるいは“スラグ”(一定量の物質の定期的な添加)注入などがある。本実施例の反応の間、触媒の活性を高く維持するために、2時間ごと0.2マイクロリットル(μl)でマイクロシリンジを使って四塩化炭素(CCl)が注入された。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1aおよび1bは、図2の温度プロフィールを適用する前と後の結晶構造のSEMの比較である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態の触媒の焼成中の増加温度の概略を示したものである。
【図3】図3は、各々700℃、1000℃での焼成前(a)、(c)、焼成後(b),(d)の結晶構造を確認するためのX線の回折計のプリントアウトである。
【図4】図4は、エチレン製造のために、本発明の触媒を使用してメタン酸化カップリングを行うことに利用される流通式固定床石英反応器の概略図である。
【図5】図5は、時間の関数として、エチレンへのメタン酸化カップリングに添加する四塩化炭素(CCl)の効果を示している。
【図6】図6は、時間の関数として、四塩化炭素(CCl)不存在下でのエチレンへのメタン酸化カップリングを示している。
【図7】図7は、本発明の一実施の形態の触媒を使用して、メタン酸化カップリングを行うために利用される試験的な反応器の概略図である。
【図8】図8は、時間の関数として、エチレンへのメタン酸化カップリングにおける供給ガスへの二酸化炭素(CO)の添加効果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ土類金属塩、粉末状の遷移金属塩および粉末状の遷移金属酸化物を含む水性スラリーを形成させる;
該水性液状スラリーは以下のように形成される;
粉末状のアルカリ土類金属塩を水に分散させ、ここでアルカリ土類金属塩はバリウム、カルシウムおよびストロンチウムの塩から成る群から選ばれ、
粉末状の遷移金属塩を水に添加し;そして
粉末状の遷移金属酸化物を水に添加し、ここで金属酸化物は酸化チタンである;
粉末状にするためにスラリーを乾燥させる;
予め定められたプロフィールで上昇する温度で粉末を加熱し;そして
ペロブスカイト触媒を形成させるために加熱した粉末を焼成し;ここでスラリーはBa+TiO+R(ここでRはスズを示す)を含む混合物を含む;
という過程を含む、ペロブスカイト触媒の製造方法。
【請求項2】
乾燥工程の前にペーストを形成するために、スラリーにさらに高分子結合剤を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
好ましいスズ塩がSnCl(塩化スズ)である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
スラリーが、Ba(0.5x〜0.95x)+TiO+R(0.05x〜0.5x)(ここでxはモルを示し、RはさらにBaCl2、LiCl、MgCl2、NaClおよびSnClから成る群から選ばれる)を含む混合物を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
スラリーが、Ba(0.5x〜0.95x)+TiO+SnCl(0.05x)(ここでxはモルを示す)を含む混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
スラリーが、Ba(0.95x)+TiO+SnCl(0.05x)(ここでxはモルを示す)の混合物によって形成される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
高分子結合剤がビニルアセテートジブチルアクリレート、メチルヒドロキシエチルセルロースから成る高分子結合剤からなる群から選ばれる、請求項2から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記温度プロフィールは、焼成温度までの連続した傾斜上昇と維持の段階を繰り返す温度プロフィールで粉末の温度を上昇させることによって粉末を加熱し、温度は1時間あたり約200度から約400度の範囲の上昇率で焼成温度まで上昇させる、請求項3から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
周囲温度から約200度まで、約1/4時間で温度を傾斜上昇させ、維持時間、温度を維持させる;
約400度までさらに約1/4時間かけて温度を傾斜上昇させ、維持時間、温度を維持させる;
約600度までさらに約1/4時間かけて温度を傾斜上昇させ、維持時間、温度を維持させ;
焼成温度までさらに約1/4時間かけて温度を傾斜上昇させ、約8時間から約24時間温度を維持させることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各々の維持時間が約1/4時間から約1時間である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
焼成温度が約700度から約1000度である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
周囲温度から約100度まで、約1/4時間で傾斜上昇させ、さらに約1/4時間温度を維持させる;
約200度までさらに約1/4時間をかけて温度を傾斜上昇させ、さらに約1/4時間さらに温度を維持させる;
焼成温度までさらに約1/4時間かけて温度を傾斜上昇させる;さらに
約8時間以上焼成温度で温度を維持させることをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
焼成温度が約800度から約1000度である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ペロブスカイト触媒を以下の過程を含んで製造し;
アルカリ土類金属塩、粉末状の遷移金属塩および粉末状の遷移金属酸化物を含む水性スラリーを形成させる;
粉末状にするためにスラリーを乾燥させる;
予め定められたプロフィールで高温で粉末を加熱する;さらに
ペロブスカイト触媒を製造させるために加熱した粉末を焼成する、ここでペロブスカイト触媒はバリウム+酸化チタン+R(Rはスズを示す)を含む混合物を含む;
ペロブスカイト触媒存在下における酸化カップリング条件下、酸化カップリング反応器の中でメタンと酸素を含む供給ガスストリームを接触させる
というステップを含む、より重い炭化水素の形成のためのメタンの酸化カップリングの方法。
【請求項15】
さらにハロゲンか二酸化炭素を供給ガスストリームに添加し、ハロゲンは酸化カップリングの間に一定の間隔で添加される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ハロゲンが塩化物である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ガスストリーム中の塩化物が、塩化メタン、塩化エタン、塩素ガス、クロロフォルム、塩化スズ(SnCl)、塩酸(HCl)、または四塩化炭素(CCl)から成る群から選ばれる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ガスストリーム中の塩化物が四塩化炭素(CCl)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
高級炭化水素、エチレン、プロピレン、ブチレン、ベンゼン、スチレン、塩素、酸素およびオレフィンから成る群から選ばれる一または二以上の化合物と高級炭化水素を反応させる過程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
アルカリ土類金属塩、粉末状の遷移金属塩および粉末状の遷移金属酸化物を含む水性スラリーを形成させる;
粉末状にするためにスラリーを乾燥させる;
予め定められたプロフィールで上昇温度で粉末を加熱する;
組成物を形成させるために加熱した粉末を焼成する;そして
触媒反応器に適当な大きさに組成物をサイジングし、この際、焼成温度までの連続した傾斜上昇と維持の段階を繰り返す温度プロフィールで粉末の温度を上昇させることによって粉末を加熱し、1時間あたり約200度から約400度の範囲の上昇率で焼成温度まで温度を上昇させ;
ここで、アルカリ土類金属塩はバリウム、カルシウムおよびストロンチウム塩から成る群から選ばれ、金属酸化物は酸化チタンであり、スラリーはバリウム+酸化チタン+R(Rはスズを示す)を含む混合物を含む
という段階を含む方法によって製造される組成物。
【請求項21】
乾燥工程の前にペーストを形成するために、スラリーにさらに高分子結合剤を添加することをさらに含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
好ましいスズ塩がSnCl(塩化スズ)である、請求項20または21のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
スラリーが、Ba(0.5x〜0.95x)+TiO+R(0.05x〜0.5x)(ここでxはモルを示し、RはさらにBaCl2、LiCl、MgCl2、NaCl、SnClから成る群から選ばれる)を含む混合物を含む、請求項21または22のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
スラリーが、Ba(0.5x〜0.95x)+TiO+SnCl(0.05x)(ここでxはモルを示す)を含む混合物を含む、請求項20または23のいずれかに記載の化合物。
【請求項25】
スラリーが、Ba(0.95x)+TiO+SnCl(0.05x)(ここでxはモルを示す)に従った混合物によって形成される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
高分子結合剤がビニルアセテートジブチルアクリレート、メチルヒドロキシエチルセルロースから成る高分子結合剤の群から選ばれ、
前記温度プロフィールは、さらに、周囲温度から約200度まで、約1/4時間で温度を傾斜上昇させ、維持時間、温度を維持させる;
約400度までさらに約1/4時間かけて温度を傾斜上昇させ、維持時間、温度を維持させる;
約600度を超えるまでさらに約1/4時間かけて温度を傾斜上昇させ、維持時間、温度を維持させる;
焼成温度までさらに約1/4時間かけて温度を傾斜上昇させ、約8時間から約24時間温度を維持させる
ことをさらに含む、請求項21から25のいずれかに記載の化合物。
【請求項27】
各々の維持時間が約1/4時間で、焼成温度が約700度から約1000度の間である請求項26に記載の化合物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−523737(P2007−523737A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532487(P2006−532487)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/013098
【国際公開番号】WO2005/005042
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(505348418)エイチアールディー コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】