説明

ホウケイ酸ガラス組成及びその使用

ガラス、ガラス組成、該ガラス組成の調製方法、該ガラス組成を含んだ微小流体装置、及び該ガラス組成を含んだ微小流体装置の製造方法を開示する。ホウケイ酸ガラス組成は総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとを含む。更に、ホウケイ酸ガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有している。更に、ホウケイ酸ガラス組成は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対して耐性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してガラス組成に関し、特に、ホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)組成及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウケイ酸ガラスは良く知られたガラスであり、33×10-7/℃の低熱膨張係数(CTE)及び高化学的耐久性(すなわち、酸及びアルカリ剤に対する耐性)を有している。その結果、ホウケイ酸ガラスは化学的耐久性を要する多くの種類の実験装置の主要な成分になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現状のホウケイ酸ガラスは約700乃至800℃の焼結の際に失透(devitrification)してしまう(すなわち、ガラス特性の低下の原因となるクリストバライト、トリジマイト、及び/又は水晶クリスタルが形成する)。高CTEであるクリスタルの形成は焼結されたガラス製品の機械的強度を低下せしめる。機械的強度の低下はアモルファス状態からクリスタル状態への相変態に伴う体積変化にも起因している。従って、粉末のホウケイ酸ガラスを用いて低CTEの基板の上にフリット層(flit layer)を形成する場合は、失透がフリット層の全体的なCTEを増加せしめ、よって亀裂が発生する。
【0004】
粉末のホウケイ酸ガラスでの失透を克服し得る1つの解決策には、アルミナ等のインヒビタ酸化物を粉末のホウケイ酸ガラスに添加することがある。アルミナの添加は高展開クリスタル(high expansion crystals)の形成を防止する傾向がある。アルミナの添加は、しかしながら、ガラスフリットの焼結可能性の低下を生じる。更に、アルミナが添加された場合は、焼結の際のガラスフリットの流動性が減少する。
【0005】
従って、ガラスフリットを形成する産業界に、上述の欠点や不備に対する従来取り組まれずにいるニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的なホウケイ酸ガラスはホウケイ酸ガラス組成を含んでいる。ホウケイ酸ガラス組成は、総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとからなる。更に、ホウケイ酸ガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有している。更に、ホウケイ酸ガラス組成は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対して耐性がある。
【0007】
ホウケイ酸ガラスの例示的な製造方法は、複数の成分を混合して均質混合物を形成する工程を含んでいる。均質混合物の成分には、総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとが含まれる。次に該方法は、均質混合物を溶かす工程と、ホウケイ酸ガラスを形成する前記均質混合物を焼結する工程と、を含んでいる。ホウケイ酸ガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有している。更に、均質混合物は焼結することによってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性がある。
【0008】
例示的な微小流量装置は、第1アセンブリと第2アセンブリとを有している。第1アセンブリは第1基板の上に配置される微小構造体を有している。第2アセンブリは第2基板と前駆物質とを有している。前駆物質及び微小構造体が互いに隣接するように第2アセンブリと第1アセンブリとが設置される。第2アセンブリは第1アセンブリが予備焼結された後に微小構造体の上に設置され、加熱処理によって貼付され、よって第1及び第2アセンブリの間の少なくとも1つの凹部を画定するワンピース微小構造体が形成される。前駆物質は、総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとを含んでいる。更に、前駆物質は約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有している。更に、前駆物質は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性がある。前駆物質は約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)有するホウケイ酸ガラス組成を有している。更に、ホウケイ酸ガラス組成は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性がある。前駆物質は総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとを含んでいる。更に、前駆物質は約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)有している。更に、前駆物質は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性がある。該方法は、更に、第1アセンブリを第2アセンブリの上に前駆物質と微小構造体とが互いに隣接するように配置する工程と、第1及び第2アセンブリの間に少なくとも1つの凹部を画定するワンピース微小構造体を形成すべく、第1アセンブリと第2アセンブリとを加熱する工程とを含んでいる。
【0009】
本発明の他の組成、システム、方法、装置、特徴、及び利点は、以下の図や詳細な説明を実施することによって当業者によって明らかとなる。かかる全ての加えられたシステム、方法、特徴及び利点は本説明に含まれ、本発明の範囲内であり、更に添付のクレームによって保護されることを企図している。
【実施例】
【0010】
本発明の実施例はホウケイ酸ガラス組成、その調製方法、及びホウケイ酸ガラス組成から形成されるホウケイ酸ガラスを組み入れた構造体(structure)を提供する。本発明の実施例は上述した上記欠点及び不備の少なくともいくつかを有害なクリスタルの形成を自己防止するホウケイ酸ガラス組成を提供することによって克服した。上述したように、それらクリスタルの1または複数の形成は熱膨張係数(CTE)の増加を生じるようである。その結果、ガラス製品はクリスタル形成に伴う体積変化に少なくとも部分的に起因して機械的強度を損ねてしまう。
【0011】
更に、ホウケイ酸ガラス組成は耐熱衝撃性、酸及びアルカリの化学剤に対する化学的耐性、及び低軟化点を有するように設計されており、一方で失透やクリスタルの形成が生じないように設計されている。
【0012】
特に、実施例のホウケイ酸ガラス組成から形成されたガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲に熱膨張係数(CTE)を好適に有している。更に、ホウケイ酸ガラス組成は、上述したように、焼結可能性及び焼結の際のホウケイ酸ガラス組成の流動性を減少するインヒビタ酸化物(すなわち、アルミナ粉末)を添加することなく、焼結時の失透に対する耐性を好適に有している。
【0013】
実施例のホウケイ酸ガラス組成は、とりわけ二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、及び少なくとも1つの酸化アルカリを含んでいる。酸化アルカリは酸化リチウム(Li2O)、酸化カリウム(K2O)、及び酸化ナトリウム(Na2O)を含んでいるのが好ましい。学説に捉われずに考慮すれば、Al2O3は、ホウケイ酸ガラス組成の焼結の際にクリストバライト及びトリジマイトクリスタルの形成を阻止する役割を担っているようである。更に、B2O3はホウケイ酸ガラス組成の溶融性を増加し、ホウケイ酸ガラスのCTEを著しく増加することなく効果的な融剤(flux)の役割を果たすようであり、一方、酸化アルカリはホウケイ酸ガラスのCTEを増加する。
【0014】
As2O3若しくはSb2O3、フッ化物、臭化物、又は塩化物等の従来の表面処理剤(finishing agent)を、それら全体の量が約1%を超えないという条件の下で添加することも可能である。希望するのであれば、漂白剤を添加しても良い。従来の着色成分を添加することによってガラスに着色することも可能である。
【0015】
特に、1実施例のホウケイ酸ガラス組成は、総重量に対して約60%乃至74%の範囲のSiO2と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲のB2O3と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲のAl2O3と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリと、を含んでいる。
【0016】
更に、ホウケイ酸ガラス組成は1若しくは複数のアルカリ土類酸化物を含んでも良い。アルカリ土類酸化物には酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、 酸化カルシウム (CaO)、及びマグネシウム(MgO)が含まれる。更に、ホウケイ酸ガラス組成は、限定するものではないが、酸化ランタン(La2O3)、酸化タンタル(Ta2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、及び酸化セリウム(CeO2)等の1又は複数の希土類酸化物を含んでも良い。アルカリ土類酸化物及び/又は希土類酸化物の合計重量パーセンテージは総重量に対して約0.1%乃至7%の範囲にある。再び、学説に捉われずに考慮すれば、アルカリ土類酸化物はホウケイ酸ガラス組成から形成されたホウケイ酸ガラスのCTEを増加するようである。
【0017】
更に、ホウケイ酸ガラス組成は総重量に対して約0.1%乃至5%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)を含んでも良い。学説に捉われずに考慮すれば、ZrO2のホウケイ酸ガラス組成への添加はアルカリ剤に対する耐性を促進するようである。
【0018】
他の実施例のホウケイ酸ガラス組成はSiO2、B2O3、Al2O3、Li2O、及びZrO2を含むのが好ましい。学説に捉われずに考慮すれば、Na2O及び/又はK2Oは失透の可能性及び程度を増加し得るようであり、よって本実施例には含まれない。更に、溶融性及び安定性を増加し、ガラス粘度を減少せしめるべくB2O3が含まれており、Li2Oは溶融性を増加し、ガラス粘度を低下し、更にCTEを増加する。特に、Al2O3のホウケイ酸ガラス組成への添加は原子状のガラス網状組織においてSi4+のAl3+への置換を生じる。その結果、Li+とAl3+との間の強い結合によってLi+がガラス網状組織に強固に結合する。これは局所的な原子状レベルでの電気的中性を維持する必要から生じるものである。Li+のガラス網状組織への強固な結合はホウケイ酸ガラス組成の耐酸性を促進する。ZrO2のホウケイ酸ガラス組成への添加は耐アルカリ性を促進するようである。
【0019】
本実施例のホウケイ酸ガラス組成を使用することによって、焼結によって約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲のCTEを有するガラスを形成する。ホウケイ酸ガラス組成から形成されたホウケイ酸ガラスは約600乃至1000℃の範囲に軟化点を有している。更にホウケイ酸ガラスはDIN12116の耐酸性試験(すなわち、ホウケイ酸ガラスを塩酸6N(規定濃度)の沸騰水溶液に入れて6時間経過後に重量パーセント減少を測定する)において約10ミリグラム/dm2より少ない重量パーセント減少を呈する。更に、ホウケイ酸ガラスはISO695の耐アルカリ性試験(すなわち、ホウケイ酸ガラスを混合アルカリの沸騰水溶液に入れて3時間経過後に重量パーセント減少を測定する)において約250ミリグラム/dm2より少ない重量パーセント減少を呈する。
【0020】
特に、ホウケイ酸ガラス組成は総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2、総重量に対して約13%乃至17%のB2O3、総重量に対して約8%乃至15%のAl2O3、総重量に対して約2%乃至5%のLi2O、及び総重量に対して約1%乃至3%のZrO2を含んでいる。更に、ホウケイ酸ガラス組成内でのSiO2、Al2O3、及びZrO2の重量パーセントの合計は総重量の78%より低い。
【0021】
ホウケイ酸ガラス組成の形成方法には上記のホウケイ酸ガラス組成の成分の均質混合物を形成することが含まれる。均質混合物はその後、白金ロジウムるつぼ若しくはその同等品内で約1650±10℃の温度で溶かされ、それには約5乃至10時間を要する。均質混合物の溶融後、溶けた組成物は脱イオン水内で急冷され、その後アルミナボールミル若しくはその同等品を用いて乾燥条件の下で挽かれてホウケイ酸フリット粒子になる。その後ふるいにかけられた粒子はモールド(すなわち、シリコンモールド)内に置かれてホウケイ酸ガラスの軟化点(すなわち、約850℃)より約20℃高い温度で約20乃至40分間焼結される。
【0022】
テーブル1は3つの(組成物1乃至3) 代表的な発明のホウケイ酸ガラス組成と、従来のホウケイ酸ガラスの化学組成と、2つの他のガラス組成(組成物A及びB)とを含んでいる。更に、ガラス特性(例えば、バルクガラスCTE、軟化点、DIN12116の耐酸性試験、及びISO695の耐アルカリ性試験)及びガラス粉末特性(例えば、焼結されたガラスCTE及びクリスタル相)が上記の各組成において測定され、比較の目的でテーブル1に含まれている。テーブル1から判るように、組成物1乃至3は従来のホウケイ酸ガラス組成よりも低いCTE(焼結されたガラス)及び軟化点を有している。更に、組成物2及び3は従来のホウケイ酸と同程度の化学的耐性を有している。組成物1乃至3はクリストバライトクリスタル相を形成しないが、従来のホウケイ酸及び組成物A及びBはクリストバライト クリスタル相を形成する。従って、組成物1乃至3は従来のホウケイ酸及び組成物A及びBよりも優れた物理的特性を有している。
【0023】
【表1】

本発明の他の実施例においては、ホウケイ酸ガラス組成は微小流体装置において微小流体装置の構成要素間(すなわち、基板及び微小構造体)の接触を促進する前駆物質として用いることが可能である。ホウケイ酸ガラス組成から形成されたホウケイ酸ガラスは、焼結によって微小流体装置の他の構成要素のCTEと適合するCTEを有する。適合性を有するCTEによって機械的応力を受けることのない製作及び使用が可能となる。更に、ホウケイ酸ガラス組成はホウケイ酸ガラス組成から形成されたホウケイ酸ガラスが微小流体装置の運転の際に使用され得るケミカル剤(すなわち、酸及び/又はアルカリのケミカル剤)に対して化学的耐性を有するように設計することが可能となる。
【0024】
ここで図面を参照する。図1は本発明のホウケイ酸ガラス組成を組み入れた代表的な微小流体装置10の断面図である。微小流体装置10は第1基板11と、微小構造体13と、前駆物質15と、第2基板17とを有している。微小構造体13は第1基板11と前駆物質15との間に設置されている。前駆物質15は微小構造体13に隣接した第2基板17の上に配置されている。
【0025】
第1基板11、微小構造体13、及び第2基板17は限定するものではないが、ガラス、ガラスセラミックス、セラミックス、金属、半導体、若しくはそれらの組合せ等からなる材質によって作られる。第1基板11、微小構造体13、及び第2基板17は同じ材質で作られることも、異なる材質で作られることも可能である。
【0026】
第1基板11、微小構造体13、前駆物質 15、及び第2基板17は重ね合わせられて微小構造体13及び前駆物質15によって囲まれた凹部を形成する。凹部は種々の断面寸法を有することが可能であり、限定するものではないが、例えば、ほぼ正方形、ほぼ長方形、ほぼ六角形、半円形、若しくはほぼ円形がある。例えば、図1はほぼ正方形の凹部を示している。
【0027】
更に、凹部の合計容量は特定の用途に応じて変えることが可能である。微小構造体13の穿孔の度合い(すなわち、微小構造体13のリッジ部(ridges)の間の空間)が合計容量を決定する。微小構造体13の好適な実施例は、凹部の合計容量を大きくすべく数多く穿孔された微小構造体を含んでいる。例えば、微小構造体13と前駆物質15とで囲まれた空間の割合は一般的に約50%より多い。しかしながら、より低い容量割合も企図されており、本発明の範囲に含まれる。
【0028】
特に、第1基板11及び第2基板17は約200μm乃至約3ミリメータ(mm)の範囲の厚みを有しており、好ましくは少なくとも200μmである。微小構造体13は約100μm乃至約300μmの範囲の幅と、約800μmまでの高さとを有することが可能である。結果的に凹部の幅は約50μmから約1000μmを超える範囲となる。
【0029】
図1に示されるように、凹部を形成する微小構造体13の壁は一定の厚みを有することが可能である。しかしながら、壁の厚みは一定、先細り、口広げ加工、若しくはそれらの組合せが可能であり、特定の用途用に仕上げることが可能である。
【0030】
実施例の微小流体装置10は少なくとも1つの多孔性構造体(すなわち、第1基板11、第2基板17、及び/又は微小構造体13)を含むことが可能である。多孔性構造体は微小流体装置10内で分離に使用することが可能である。更に、多孔性構造体はその部分に触媒を添付することが可能であり、それについては以下に記載する。
【0031】
一般的に、微小流体装置10は、微小流体装置10内を流れる1若しくは複数の流体の入口及び出口用の適切な通路(図示せず)を含んでいる。入口及び出口は第1基板11、第2基板17、及び/又は微小構造体13を通して形成することが可能である。
【0032】
前駆物質15は上述したようにホウケイ酸ガラス組成から作ることが可能である。前駆物質15の好適な実施例はSiO2、B2O3、Al2O3、Li2O、及びZrO2を含んでいる。この組成を用いて焼結によって約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲のCTEを有するホウケイ酸ガラスを形成することが可能である。更に、ホウケイ酸ガラス組成から形成されたホウケイ酸ガラスは好適には約600乃至1000℃の範囲の軟化点を有している。更に、ホウケイ酸ガラスは好適には上述したようにDIN12116の耐酸性試験による重量パーセント減少が10ミリグラム/dm2より少ない。更に、ホウケイ酸ガラスは好適には上述したようにISO695の耐アルカリ性試験による重量パーセント減少が250ミリグラム/dm2より少ない。
【0033】
特に、前駆物質15は総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2、総重量に対して約13%乃至17%の範囲のB2O3、総重量に対して約8%乃至15%の範囲のAl2O3、総重量に対して約2%乃至5%の範囲のLi2O、及び総重量に対して約1%乃至3%の範囲のZrO2を有するホウケイ酸ガラス組成を含んでいる。更に、前駆物質15内のSiO2、Al2O3、及びZrO2の合計重量パーセントは総重量に対して約78%より低い。
【0034】
他の実施例においては、前駆物質15は有機媒体を含んでおり、それらには限定するものではないが、例えば、熱可塑性媒体、熱硬化性媒体、若しくは光重合が可能な媒体がある。有機媒体が前駆物質15に添加されて前駆物質15の真空モールドを補助する。その後、前駆物質15内に存在する有機媒体は予備焼結及び焼結の際にほぼ除去される。
【0035】
一般的に、第1基板11、微小構造体13、前駆物質15、及び第2基板17のCTEは適合性を有しており、よって製造及び使用の際の微小流体装置10における機械的応力が回避される。更に、第1基板11、微小構造体13、前駆物質15、及び第2基板17の材質は微小流体装置10の運転の際に用いられ得るケミカル剤(すなわち、酸及び/又はアルカリのケミカル剤)に対して化学的耐性を有すべく選択することが可能である。
【0036】
微小流体装置10内において、実験/試験に含まれる流体は微小流体装置10の表面のみに接触し、これは完全にコントロールされる。この点において、微小流体装置10の表面は活性若しくは不活性となるように変化せしめることが可能である。例えば、該表面は触媒を含むこと、若しくは表面をフィルム(例えば、ポリシロキサン)で覆うことが可能であり、よって表面を中性にすることが可能である。更に、微小流体装置10は、ヒータ、センサ、及び同等品に使用される導電体、電極、及び同等品を含むことが可能である。
【0037】
説明用のみを目的として、従って限定することなく、本発明の実施例を下記の製造方法を特に参照しながら説明する。以下において図面に記載されているプロセスを参照するに際して、プロセスの全工程が説明されてはいないことに留意されたい。従って、下記の製造プロセスは本発明の実施例の微小流体装置の製造に必要な全工程を含んだ完全なリストを企図したものではない。
【0038】
図2A'乃至2Eは図1に示す微小流体装置10の代表的な製造の断面図である。図2A'及び 2B'は第1アセンブリ19の形成の断面図であり、図2A"及び2B"は第2アセンブリ21の形成の断面図である。
【0039】
図2A'及び2B'は第1基板11上の微小構造体13の形成(例えば、真空モールディング)を図示しており、よって第1アセンブリ19が形成される。図2A"及び2B"は第2基板17上の前駆物質15の形成(例えば、真空モールディング)を図示しており、よって第2アセンブリ21が形成される。
【0040】
1実施例においては、第1アセンブリ19及び第2アセンブリ21は、図2Cに示す工程の前に約500℃で約5時間の間予備焼結することが可能である。特に、予備焼結プロセスは以下を含む。すなわち、第1アセンブリ19及び/又は第2アセンブリ21を約20℃から約500℃に約2時間に亘って加熱し、第1アセンブリ19及び/又は第2アセンブリ21を約1時間の間その温度に保持し、温度を約500℃から約20℃に2時間の時間をかけて低下する。
【0041】
図2C及び2Dは第1アセンブリ19と第2アセンブリ21との結合を示しており、ここにおいて第2アセンブリ21は第1アセンブリ19の頂部に配置されおり、よって微小構造体13が前駆物質15に接触する。その後、第1アセンブリ19及び第2アセンブリ21は約820℃で約5 時間の間焼結され、図2Eに示すような微小流体装置10が形成される。
【0042】
特に、焼結プロセスは以下を含む。すなわち、第1アセンブリ19及び/又は第2アセンブリ21を約20℃から約820℃まで約2時間に亘って加熱し、第1アセンブリ19及び/又は第2アセンブリ21をその温度で約20分の間保持し、温度を約820℃から約500℃に10分の時間をかけて低下し、更に温度を約500℃から約20℃に2時間の時間をかけて低下する。
【0043】
上述の本発明の実施例、特に、任意の「好適な」実施例は、実施可能な単なる例であって、本発明の原理の明確な理解のために単に説明されていることを強調したい。本発明の上述した実施例には、本発明の趣旨や原理から実質的に乖離することなく多くの変形や変更がなし得る。かかる全ての変形例や変更例は本開示及び本発明の範囲内であって以下のクレームによって保護されることを企図している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の多くの特徴は以下の図面を参照することによってより理解されるであろう。図面の構成要素はスケール通りとは限らず、本発明の原理の明確な説明のために強調されている。更に図面において、同等の符号は全図面に亘って部品が対応していることを示している。
【図1】本発明のホウケイ酸ガラス組成を含んだ例示的な微小流体装置を示す断面図である。
【図2】図2A'乃至2Eは図1に示す微小流体装置の例示的な製造プロセスの断面図を示している。
【符号の説明】
【0045】
10 微小流体装置
11 第1基板
13 微小構造体
15 前駆物質
17 第2基板
19 第1アセンブリ
21 第2アセンブリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウケイ酸ガラス組成からなるホウケイ酸ガラスであって、
前記ホウケイ酸ガラス組成は、
総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、
総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、
総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、
総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリと、からなり、
前記ホウケイ酸ガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有し、前記ホウケイ酸ガラス組成は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対して耐性があることを特徴とするホウケイ酸ガラス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの酸化アルカリは酸化リチウム(Li2O)、酸化カリウム(K2O)、及び酸化ナトリウム(Na2O)から選択されることを特徴とする請求項1記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項3】
前記ホウケイ酸ガラス組成は更に総重量に対して約0.1%乃至5%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)を含むことを特徴とする請求項1若しくは2記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項4】
前記ホウケイ酸ガラス組成は更に、
少なくとも1つのアルカリ土類酸化物と、
少なくとも1つの希土類酸化物を含み、
前記重量パーセントの合計が総重量に対して0.1%乃至7%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項5】
前記アルカリ土類酸化物は酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、及びマグネシウム(MgO)の少なくとも1つから選択され、前記希土類酸化物は酸化ランタン(La2O3)、酸化タンタル(Ta2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)及び酸化セリウム(CeO2)少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項4記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項6】
前記ホウケイ酸ガラスの前記CTEは約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲であり、前記ホウケイ酸ガラスの軟化点は約600乃至1000℃の範囲にあり、前記ホウケイ酸ガラスは耐酸性試験において重量パーセント減少が10ミリグラム/dm2より低く、前記ホウケイ酸ガラスは耐アルカリ性試験において重量パーセント減少が250ミリグラム/dm2より低く、前記ホウケイ酸ガラス組成は、
総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2と、
総重量に対して約13%乃至17%の範囲のB2O3と、
総重量に対して約8%乃至15%の範囲のAl2O3と、
総重量に対して約2%乃至5%の範囲の酸化リチウム(Li2O)と、
総重量に対して約1%乃至3%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)とからなり、
SiO2、Al2O3、及びSrO2の重量パーセントの合計は総重量の78%より低いことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項7】
ホウケイ酸ガラスの製造方法であって、
総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとからなる複数の成分を混合して均質混合物を形成する工程と、
前記均質混合物を溶かす工程と、
ホウケイ酸ガラスを形成する前記均質混合物を焼結する工程と、からなり、
前記ホウケイ酸ガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有し、前記均質混合物は焼結することによってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性を有することを特徴とするホウケイ酸ガラスの製造方法。
【請求項8】
複数の成分の混合によって均質混合物を形成する前記工程における前記成分は更に総重量に対して約0.1%乃至5%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)を含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記均質混合物を溶かす前記工程は更に前記均質混合物を約1650℃で溶かす工程を含むことを特徴とする請求項7若しくは8記載の方法。
【請求項10】
前記ホウケイ酸ガラスの前記CTEは約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲であり、前記ホウケイ酸ガラスの軟化点は約600乃至1000℃の範囲にあり、前記ホウケイ酸ガラスは耐酸性試験において重量パーセント減少が10ミリグラム/dm2より低く、前記ホウケイ酸ガラスは耐アルカリ性試験において重量パーセント減少が250ミリグラム/dm2より低く、
前記 均質混合物は更に総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2と、
総重量に対して約13%乃至17%の範囲のB2O3と、
総重量に対して約8%乃至15%の範囲のAl2O3と、
総重量の2%乃至5%の範囲の酸化リチウム(Li2O)と、
総重量に対して約1%乃至3%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)と、を含み、
SiO2、Al2O3、及びZrO2の重量パーセントの合計が総重量の78%より低いことを特徴とする請求項7乃至9のうちいずれか1記載の方法。
【請求項11】
複数の成分を混合することによって均質混合物を形成する工程において前記成分は更に、
少なくとも1つのアルカリ土類酸化物と、
少なくとも1つの希土類酸化物とを含み、
重量パーセント合計が総重量に対して約0.1%乃至7%の範囲にあることを特徴とする請求項7乃至10のうちいずれか1記載の方法。
【請求項12】
前記アルカリ土類酸化物は酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、及びマグネシウム(MgO)から選択され、前記希土類酸化物は酸化ランタン(La2O3)、酸化タンタル(Ta2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)及び酸化セリウム(CeO2)から選択されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記均質混合物の焼結工程は更に前記均質混合物を前記均質混合物の軟化点より約20℃高い温度で焼結することを特徴とする請求項7乃至12のうちいずれか1記載の方法。
【請求項14】
微小流量装置であって、
微小構造体と第1基板とを有し、前記微小構造体は前記基板の上に配置される第1アセンブリと、
第2基板と前駆物質とを有し、前記前駆物質及び前記微小構造体が互いに隣接するように前記第1アセンブリに対して設置される第2アセンブリと、からなり、
前記第2アセンブリは前記第1アセンブリが予備焼結された後で前記微小構造体の上に設置され、加熱処理によって貼付され、よって前記第1及び第2アセンブリの間の少なくとも1つの凹部を画定するワンピース微小構造体が形成され、
前記前駆物質は、
総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、
総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、
総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、
総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとを含み、
前記前駆物質は約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有し、前記前駆物質は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性を有することを特徴とする微小流量装置。
【請求項15】
前記前駆物質は更に総重量に対して約0.1%乃至5%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)を含むことを特徴とする請求項14記載の微小流体装置。
【請求項16】
前記前駆物質の前記CTEは約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲であり、前記前駆物質の軟化点は約600乃至1000℃の範囲であり、前記前駆物質は耐酸性試験において重量パーセント減少が10ミリグラム/dm2より低く、前記前駆物質は耐アルカリ性試験において重量パーセント減少が250ミリグラム/dm2より低く、前記前駆物質は、
総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2と、
総重量に対して約13%乃至17%の範囲のB2O3と、
総重量に対して約8%乃至15%の範囲のAl2O3と、
総重量に対して約2%乃至5%の範囲の酸化リチウム(Li2O)と、
総重量に対して約1%乃至3%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)とからなり、
SiO2、Al2O3、及びZrO2の重量パーセントの合計が総重量の78%より低いことを特徴とする請求項14若しくは15記載の微小流体装置。
【請求項17】
前記前駆物質は更に、
少なくとも1つのアルカリ土類酸化物と、
少なくとも1つの希土類酸化物と、からなり、
重量パーセントの合計が総重量の0.1%乃至7%の範囲であることを特徴とする請求項14乃至16のうちいずれか1記載の微小流体装置。
【請求項18】
前記アルカリ土類酸化物は酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、及びマグネシウム(MgO)から選択され、前記希土類酸化物は酸化ランタン(La2O3)、酸化タンタル(Ta2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)及び酸化セリウム(CeO2)から選択されることを特徴とする請求項17記載の微小流体装置。
【請求項19】
微小流量装置の製造方法であって、
微小構造体と第1基板とを有し、前記微小構造体が前記第1基板の上に配置されるように、第1アセンブリを提供する工程と、
第2基板と前駆物質とを有し、前記前駆物質は総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとを含み、前記前駆物質は焼結によって約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)有し、前記前駆物質は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性を有する第2アセンブリを提供する工程と、
前記第1アセンブリを前記第2アセンブリの上に前記前駆物質と前記微小構造体とが互いに隣接するように配置する工程と、
前記第1及び第2アセンブリの間に少なくとも1つの凹部を画定するワンピース微小構造体を形成すべく、前記第1アセンブリと前記第2アセンブリとを加熱する工程と、からなることを特徴とする微小流量装置の製造方法。
【請求項20】
第2基板と前駆物質とを有する第2アセンブリを提供する工程において、前記前駆物質は更に総重量に対して約0.1%乃至5%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)を含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記前駆物質の前記CTEは約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲にあり、前記前駆物質の軟化点は約600乃至1000℃の範囲にあり、前記前駆物質は耐酸性試験において重量パーセント減少が10ミリグラム/dm2より低く、前記前駆物質は耐アルカリ性試験において重量パーセント減少が250ミリグラム/dm2より低く、前記前駆物質は、
総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2と、
総重量に対して約13%乃至17%の範囲のB2O3と、
総重量に対して約8%乃至15%の範囲のAl2O3と、
総重量に対して約2%乃至5%の範囲の酸化リチウム(Li2O)と、
総重量に対して約1%乃至3%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)と、からなり、
SiO2、Al2O3、及びZrO2の重量パーセントの合計は総重量の78%より低いことを特徴とする請求項19若しくは20記載の方法。
【請求項22】
第2基板と前駆物質とを有する第2アセンブリを提供する工程において、前記前駆物質は更に、
少なくとも1つのアルカリ土類酸化物と、
少なくとも1つの希土類酸化物と、を有し、
重量パーセントの合計が総重量に対して0.1%乃至7%の範囲であることを特徴とする請求項19乃至21のうちいずれか1記載の方法。
【請求項23】
前記アルカリ土類酸化物は酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、及びマグネシウム(MgO)から選択され、前記希土類酸化物は酸化ランタン(La2O3)、酸化タンタル(Ta2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)及び酸化セリウム(CeO2)から選択されることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第1及び第2アセンブリの間の少なくとも1つの凹部を画定するワンピース微小構造体を形成すべく前記第1アセンブリ及び前記第2アセンブリを加熱する工程は、更に前記第1アセンブリ及び前記第2アセンブリを約820℃で約5時間の間加熱し、よってワンピース微小構造体を形成することからなることを特徴とする請求項19乃至23のうちいずれか1記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウケイ酸ガラス組成からなるホウケイ酸ガラスであって、
前記ホウケイ酸ガラス組成は、
総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、
総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、
総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、
総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリと、からなり、
前記ホウケイ酸ガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有し、前記ホウケイ酸ガラス組成は焼結によってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対して耐性があることを特徴とするホウケイ酸ガラス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの酸化アルカリは酸化リチウム(Li2O)、酸化カリウム(K2O)、及び酸化ナトリウム(Na2O)から選択されることを特徴とする請求項1記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項3】
前記ホウケイ酸ガラス組成は更に総重量に対して約0.1%乃至5%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)を含むことを特徴とする請求項1若しくは2記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項4】
前記ホウケイ酸ガラス組成は更に、
少なくとも1つのアルカリ土類酸化物と、
少なくとも1つの希土類酸化物を含み、
前記重量パーセントの合計が総重量に対して0.1%乃至7%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項5】
前記アルカリ土類酸化物は酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、及びマグネシウム(MgO)の少なくとも1つから選択され、前記希土類酸化物は酸化ランタン(La2O3)、酸化タンタル(Ta2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)及び酸化セリウム(CeO2)少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項4記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項6】
前記ホウケイ酸ガラスの前記CTEは約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲であり、前記ホウケイ酸ガラスの軟化点は約600乃至1000℃の範囲にあり、前記ホウケイ酸ガラスは耐酸性試験において重量パーセント減少が10ミリグラム/dm2より低く、前記ホウケイ酸ガラスは耐アルカリ性試験において重量パーセント減少が250ミリグラム/dm2より低く、前記ホウケイ酸ガラス組成は、
総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2と、
総重量に対して約13%乃至17%の範囲のB2O3と、
総重量に対して約8%乃至15%の範囲のAl2O3と、
総重量に対して約2%乃至5%の範囲の酸化リチウム(Li2O)と、
総重量に対して約1%乃至3%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)とからなり、
SiO2、Al2O3、及びSrO2の重量パーセントの合計は総重量の78%より低いことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項7】
ホウケイ酸ガラスの製造方法であって、
総重量に対して約60%乃至74%の範囲の二酸化ケイ素(SiO2)と、総重量に対して約9%乃至25%の範囲の酸化ホウ素(B2O3)と、総重量に対して約7%乃至17%の範囲の酸化アルミニウム(Al2O3)と、総重量に対して約2%乃至7%の範囲の少なくとも1つの酸化アルカリとからなる複数の成分を混合して均質混合物を形成する工程と、
前記均質混合物を溶かす工程と、
ホウケイ酸ガラスを形成する前記均質混合物を焼結する工程と、からなり、
前記ホウケイ酸ガラスは約30×10-7/℃乃至55×10-7/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有し、前記均質混合物は焼結することによってインヒビタ酸化物を添加することなく失透に対する耐性を有することを特徴とするホウケイ酸ガラスの製造方法。
【請求項8】
複数の成分の混合によって均質混合物を形成する前記工程における前記成分は更に総重量に対して約0.1%乃至5%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)を含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記均質混合物を溶かす前記工程は更に前記均質混合物を約1650℃で溶かす工程を含むことを特徴とする請求項7若しくは8記載の方法。
【請求項10】
前記ホウケイ酸ガラスの前記CTEは約30×10-7/℃乃至45×10-7/℃の範囲であり、前記ホウケイ酸ガラスの軟化点は約600乃至1000℃の範囲にあり、前記ホウケイ酸ガラスは耐酸性試験において重量パーセント減少が10ミリグラム/dm2より低く、前記ホウケイ酸ガラスは耐アルカリ性試験において重量パーセント減少が250ミリグラム/dm2より低く、
前記 均質混合物は更に総重量に対して約68%乃至73%の範囲のSiO2と、
総重量に対して約13%乃至17%の範囲のB2O3と、
総重量に対して約8%乃至15%の範囲のAl2O3と、
総重量の2%乃至5%の範囲の酸化リチウム(Li2O)と、
総重量に対して約1%乃至3%の範囲の酸化ジルコニウム(ZrO2)と、を含み、
SiO2、Al2O3、及びZrO2の重量パーセントの合計が総重量の78%より低いことを特徴とする請求項7乃至9のうちいずれか1記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−520309(P2006−520309A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557504(P2004−557504)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038320
【国際公開番号】WO2004/050575
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(501246857)コーニング・インコーポレーテッド (37)
【Fターム(参考)】