説明

ホスト装置、クライアント装置、ホスト装置制御プログラム、ホスト装置制御方法

【課題】1つのホスト装置が複数のクライアント装置と接続し、複数のクライアント装置にまたがって実行された操作を制御可能なホスト・クライアント型の情報処理システムを提供することを目的とする
【解決手段】ホスト装置101、クライアント装置102aとで情報処理システムを構成し、ホスト装置101を、指示情報提供部211によってクライアント装置102aを特定し、特定された前記クライアント装置102aに対する操作の内容を判別する指示情報提供部211及びペン103、複数のクライアント装置間で連続して実行された操作の内容を示す操作履歴情報を記録する指示履歴記録部105、連続して実行された操作の結果得られる情報を複数の前記クライアント装置のいずれかに送信する処理部104によって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、クライアント装置制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに係り、特にホスト装置と、このホスト装置の制御によって動作する複数のクライアント装置とを備えた情報処理システム及びクライアント装置制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホスト装置とクライアント装置とを接続し、クライアント装置の側で実行された操作にしたがってホスト装置がクライアント装置を制御するホスト・クライアントシステム型の情報処理システムが多くの分野で使用されている。ネットワークのWEB(World-Wide Web)システムや携帯電話のPIM(Personal Information Manager)サービスは、ホスト・クライアントシステムの例として挙げられる。また、ホスト・クライアントシステムの従来技術として、特許文献1が挙げられる。
特許文献1は、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとでシステムを構成し、クライアントコンピュータとサーバコンピュータとの間でプログラムの終了や実行状態にかかる情報を通信することによってプログラムの実行結果を監視する構成である。
【特許文献1】特開2003−157184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、電子ペーパと呼ばれる表示媒体の実用化が進んでいる。電子ペーパは、薄型のディスプレイと、比較的小型簡易な表示制御装置とを組み合わせて構成され、紙と同様に扱って画像を表示、表示された画像を編集可能な表示装置である。このように簡易な電子ペーパは、ホスト・クライアントシステムのクライアント装置として適用され、表示制御の多くの部分をホスト装置側に設けることによっていっそう薄型化、簡易化することができる。また、薄型、簡易な電子ペーパは、一人のオペレータに複数使用されることも想定される。
【0004】
しかしながら、従来のホスト・クライアント装置、特許文献1に記載された発明のいずれであっても、ホスト装置が複数のクライアント装置と接続することまでは想定しても、複数のクライアント装置が1人のクライアント装置を使用することを想定してなされたものではない。このため、例えば、1つのクライアント装置においてオペレータがコピーの操作をし、コピーされたテキスト等を他のクライアント装置にペーストするといった複数のクライアント装置にまたがってした操作を制御することはできなかった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、1つのホスト装置が複数のクライアント装置と接続し、複数のクライアント装置にまたがって実行された操作を制御可能なホスト・クライアント型の情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の情報処理システムは、ホスト装置と、該ホスト装置の制御によって動作する複数のクライアント装置とを備えた情報処理システムであって、複数の前記クライアント装置は、各々を特定するための固有の識別情報を有し、前記ホスト装置は、前記識別情報を検出して前記クライアント装置の各々を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された前記クライアント装置に対して行われた操作の内容を判別する操作判別手段と、前記特定手段によって特定されたクライアント装置と前記操作判別手段によって判別された該クライアント装置に対する操作の内容とを対応つける情報を記録する操作内容記録手段と、前記操作内容記録手段に記録された情報に基づいて、複数の前記クライアント装置間で連続して実行された操作の結果得られる情報を生成し、生成された情報を複数の前記クライアント装置のいずれかに送信する操作処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このような発明によれば、ホスト装置と、このホスト装置の制御によって動作する複数のクライアント装置とを備えた情報処理システムにおいて、複数のクライアント装置の各々を特定することができる。また、特定されたクライアント装置に対して行われた操作の内容を判別し、特定されたクライアント装置と判別された操作の内容とを対応つける情報を記録することができる。さらに、複数のクライアント装置間で連続して実行された操作の内容を示す操作履歴情報を記録すると共に、この操作履歴情報に基づいて連続して実行された操作の結果得られる情報を複数のクライアント装置のいずれかに送信することができる。
したがって、本発明は、1つのホスト装置が複数のクライアント装置と接続し、複数のクライアント装置にまたがって実行された操作を制御可能なホスト・クライアント型の情報処理システムを提供することができる。
【0007】
また、本発明の情報処理システムは、前記操作判別手段が、前記ホスト装置と有線または無線によって接続し、前記クライアント装置に対して行われた操作の内容をホスト装置に送信することを特徴とする。
このような発明によれば、ホスト装置とクライアント装置とが離間して設置された場合にもホスト装置からクライアント装置に操作内容を伝えることができる。
また、本発明の情報処理システムは、複数の前記クライアント装置の少なくとも一つが、記憶性表示材料によって画像を表示する記憶性表示装置であることを特徴とする。
このような発明によれば、1人が複数のクライアント装置を使用可能でありながら、比較的安価であって構成が簡易な情報処理システムを構築することができる。
【0008】
また、本発明のクライアント装置制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、ホスト装置とクライアント装置でなる情報処理システムのホスト装置において、複数のクライアント装置を制御するための方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、複数の前記クライアント装置の各々を特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定された前記クライアント装置に対して実行された操作の内容を判別する操作判別ステップと、前記特定ステップにおいて特定されたクライアント装置と、前記操作判別ステップにおいて判別された前記クライアント装置に対する操作の内容とを対応つける情報を記録する操作履歴記録ステップと、前記操作履歴記録ステップにおいて記録された情報に基づいて、複数の前記クライアント装置間で連続して実行された操作の結果得られる情報を前記クライアント装置のいずれかに送信する操作処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
このような発明によれば、複数の前記クライアント装置の各々を特定し、特定されたクライアント装置に対して実行された操作の内容を判別することができる。そして、特定されたクライアント装置と判別されたクライアント装置に対する操作の内容とを対応つける情報を記録しておき、記録された情報に基づいて複数のクライアント装置間で連続して実行された操作の結果得られる情報をクライアント装置のいずれかに送信することができる。
したがって、本発明は、1つのホスト装置が複数のクライアント装置と接続し、複数のクライアント装置にまたがって実行された操作を制御可能なクライアント装置制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明の一実施形態に係る画像処理システム、クライアント装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムの実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システムを説明するための図である。図示した情報処理システムは、ホスト装置101と、このホスト装置101の制御によって動作する複数のクライアント装置102a、102bとを備えた情報処理システムである。
なお、クライアント装置102aには、文書ビューアのホスト装置プロセスが割当てられており、クライアント装置102bには辞書検索サービスのホストプロセスが割当てられているものとする。クライアント装置102a、102bは、いずれもが記憶性表示材料によって画像を表示する記憶性のディスプレイ106aを備えた記憶性表示装置である。
【0011】
また、ホスト装置101は、ホスト装置101と有線によって接続し、クライアント装置102a、102bに対してオペレータが指示を入力するためのペン103を備えている。本実施形態のペン103は、クライアント装置102a、102bに対する操作指示部であると共に、後述する指示情報提供部211と共に、行われた操作の内容を判別する操作判別手段としても機能する。
なお、ペン103は、クライアント装置と有線で接続されるものに限定されるものでなく、無線で接続されるものであってもよい。
【0012】
操作内容の判別は、例えば、以下のようにして実現できる。すなわち、クライアント装置102a、102bのディスプレイ106上に位置コードを拡散させたクライアント装置に特有のドットパターンを設けておく。一方、ペン103は、ドットパターンを光学的に読み取る撮像部を備える。ペン103は、ディスプレイ106上の1点を指定したときにこの点を撮像し、撮像データをホスト装置101に送る。ホスト装置101は、撮像データをデコードすることによって、クライアント装置102a、102bの識別や指定された点の特定をする。
【0013】
ホスト装置101は、クライアント装置102a、102bの識別や点の特定のために処理部104を備えている。また、ホスト装置101は、指示履歴記録部105を備えている。指示履歴記録部105は、特定されたクライアント装置とクライアント装置に対する操作の内容(クライアント装置上で指定された点の位置)とを対応つける情報を記録する操作内容記録手段である。
指示履歴記録部105によれば、ペン103がクライアント装置102aのディスプレイ106上の点(ax,ay)を指定した後、続けてクライアント装置102bのディスプレイ106上の点(bx,by)を指定したことを記録しておくことができる。
【0014】
次に、以上述べたホスト装置101、クライアント装置102a、102bの内部の構成をより詳細に説明する。なお、クライアント装置102a、102bは同様の機能を備えている。このため、本実施形態ではクライアント装置102a、102bの説明にあたってクライアント装置102aの構成のみを図示するものとする。
図2は、ホスト装置101及びクライアント装置102a、102bの内部構成をより詳細に説明するための図である。図示したように、クライアント装置102a、102bは、各々を特定するための固有の識別情報を提供する指示情報を提供する指示情報提供部211を備えている。前記した例によれば、指示情報はドットパターンであって、ドットパターンはクライアント装置102a、102bを識別するばかりでなく、ディスプレイ106上でペン103が指定した点にかかる情報をもホスト装置101の側に提供できる。
【0015】
また、ディスプレイ106上に操作指示(コピーやカット)を示すGUI(Graphical User Interface)が設定されている場合、GUI上の点を、ペン103を使って指示することによってGUIが示す操作を実行することができる。
ペン103は、ドットパターンを撮像する撮像部203を備えている。撮像部203の撮像によって得られたデータは、ホスト装置101に送信する。
以上の構成において、クライアント装置102aのドットパターンは、指示情報提供部211に相当する。
【0016】
なお、本実施形態は、指示情報提供部211としてドットパターンを使用する構成に限定されるものでなく、電磁誘導等の近距離通信やバーコードによってディスプレイ106ト上で指示された位置や領域に応じて指示に関するコマンドをホスト装置101の側に提供することもできる。
また、クライアント装置102aは、指示情報提供部211がホスト装置101に提供した情報に基づき必要に応じて行われる処理の結果として、更新される表示データをホスト装置101から受信する。クライアント装置102aは、表示データに基づく画像をディスプレイ106に表示させる表示実行部210を備えている。表示実行部210は、例えば、ディスプレイ106のドライバ及びドライバの制御部を指す。
【0017】
また、クライアント装置102aは、必要に応じて表示データを生成するための文書データ209の少なくとも一つをホスト装置から受信し、保存しておくものであってもよい。
一方、ホスト装置101は、指示情報取得部208を備えている。指示情報取得部208は、ペン103によって送信された撮像データを取得し、データからペン103が点を指示したクライアント装置102aまたはクライアント装置102bを特定すると共に、指示されたディスプレイ106上の点の座標や領域の識別情報を取得する。
指示情報取得部208によって取得されたクライアント装置102a、102bの識別情報や座標・領域の情報は、文書(プロセス)対応管理部204にも出力されて管理される。また、ホスト装置101は、ディスプレイ106上の位置とGUI等との対応を示す情報を有し、座標・領域からオペレータによって要求された処理を特定するためのクライアント表示管理部201を有している。
【0018】
なお、本実施形態では、指示情報取得部208が、クライアント表示管理部201によって管理されているデータに基づいてクライアント装置102a、102bのどの位置にどのような文書要素が表示されているかをも把握する。このような構成は、例えば、複数のクライアント装置で共通のデータフォーマットを定義し、独立したタスクとして文書と表示位置との関係が解釈されるようにしてもよい。また、後述する文書(プロセス)処理部202で処理される文書処理の各々に文書と表示位置との関係をテーブルとして含ませるものであってもよい。
以上述べた構成のうち、ディスプレイ106上のドットパターンを撮像してホスト装置101に送るペン103、指示情報取得部208、クライアント表示管理部201は、共同してクライアント装置102a、102bの各々を特定する特定手段、特定されたクライアント装置102a、102bに対して行われた操作の内容を判別する操作判別手段として機能する。
【0019】
本実施形態では、ペン103がクライアント装置102a、102bを操作した場合に操作されたクライアント装置とこのクライアント装置において操作された点や領域が特定できる。このため、指示履歴記録部105は、前記したように、複数のクライアント装置102a、102b間で連続して実行された操作の内容を示す操作履歴情報を記録することができる。
また、ホスト装置101は、操作の内容にしたがって表示データを生成する文書(プロセス)処理部202、文書処理部202における表示データの生成にあたって参照される文書データ207、文書データを参照するための文書参照部206、生成された表示データをクライアント装置102aに送信する表示データ送信部205を備えている。
【0020】
なお、表示データ送信部205によってクライアント装置102aに送信された表示データは、クライアント装置102aの側の表示実行部210によってディスプレイ106に表示される。
以上の構成を含む処理部104は、指示履歴記録部105に記憶された情報に基づいてオペレータの操作の結果得られる情報(表示データ)を複数のクライアント装置102a、102bのいずれかに送信する操作処理手段として機能する。
【0021】
次に、以上述べた本実施形態の情報処理システムの動作について説明する。
図3は、本実施形態の情報処理システムの全体的な動作を説明するためのフローチャートである。オペレータが複数のクライアント装置のうちいずれかのディスプレイ106上の1点をペン103で指示した場合(S301)、本実施形態の情報処理システムの動作が開始する。
ホスト装置101の指示情報提供部211は、クライアント装置の側からどのクライアント装置のディスプレイ106上のどの位置が指示されたかを示す情報を取得する(S302)。取得された情報は、指示履歴記録部105に追加され、一時的に保存される(S303)。
【0022】
さらに、指示情報取得部208は、指示履歴記録部105の記録の連続した履歴を解釈し(S304)、今回実行された操作が以前の操作から続く一連の指示と解釈できるか否か判断する(S305)。一連の指示として解釈できない場合(S305:No)、本実施形態のフローチャートでは、次のクライアント装置に対する指示を待つ。このような処理は、ディスプレイ106の1点を指示することによってクライアント装置102a、102bを操作する動作は、1回の指示のみによって操作が完了しないものとしたことによる。
また、連続したディスプレイ106上の点の指示が一連の操作として解釈できる場合(S305:Yes)、この点に対応付けられる処理を判定して実行する(S306)。なお、指示された点と処理との対応付けは、クライアント表示管理部201によって管理されているデータに基づいて決定される。なお、処理の実行には、文書処理部202が、処理の実行の結果表示される表示データを生成するプロセスが含まれる。
【0023】
生成された表示データは、表示データ送信部を解してクライアント装置102a、102bに送信される。
以上のクライアント装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムによれば、例えば、以下の操作が可能になる。すなわち、オペレータがペン103を使ってクライアント装置102aに表示されている文書の一部を選択し、クリップボードへのコピーを指示するGUIを指示した場合、指示情報提供部211は、点の指示がされたクライアント装置を特定する情報及び指示された点の位置を示す情報をペン103に提供する。
ホスト装置では、特定されたクライアント装置及びこのクライアント装置のディスプレイ106上の点の位置をクライアント表示管理部201によって管理されているデータと対照する。そして、ペン103によって指示された点に表示されている文字列データ等を特定する。また、この点の指示がコピー操作を示すことを判定する。判定の結果は、指示履歴記録部105に記憶される。
【0024】
次に、オペレータがクライアント装置102bのディスプレイ106上の検索文字列が記入される箇所に含まれる点を指示し、さらにペーストを指示するGUIを指示した場合、指示情報提供部211は、指示された箇所にペーストする操作が要求されたことを検出する。ペーストの指示は、指示履歴記録部105に一時的に格納される。
また、ホスト装置101の文書処理部202は、指示履歴記録部105の記録を参照する。そして、以前に文字列データのコピーの指示がなされていることを検出し、今回のペーストがコピーを指示された文字列データをペーストするものであると判定する。この場合、連続して指示された点が一連の操作を示すものであると解釈されたことになる。
【0025】
文書処理部202は、クライアント装置102bの検索文字列が記入される箇所にコピーの操作時に選択された文字列データを合成する表示データを生成する。表示データ送信部205は、生成された表示データをクライアント装置102bに送信する。以上の動作の結果、クライアント装置102aで選択された文字列データをクライアント装置102bにおいて指定された箇所に合成した画像がクライアント装置102bのディスプレイ106に表示される。
このように、本実施形態の情報処理システムは、クライアント装置102a、クライアント装置102b間にまたがる操作を実行することが可能になる。なお、本実施形態は複数のクライアント装置にまたがる操作を文字列データ等のコピー、ペーストに限定するものでなく、ハイパーリンクのコピーや文書の編集のための他のコマンドにも適用可能であることはいうまでもない。
【0026】
図4、図5は、以上の動作をより具体的に説明するためのフローチャートであって、いずれもホスト装置の側でなされる処理である。ただし、図4は、コピーからペーストまでを一連の処理と解釈し、図5はコピー操作、ペースト操作を一連の処理として解釈する例である。図4、図5は、いずれも図3に示したステップS305の処理を展開したフローチャートである。
図4のフローチャートでは、オペレータがペン103を使ってクライアント装置102aのディスプレイ106上の1点を指示した場合、動作が開始する(S401)。このとき、ペン103からホスト装置101の側にクライアント装置102のディスプレイ106a(フローチャートにおいては文書面:A)上の点が指定されたこと、点の座標が(x,y)であることを示す信号が送られる(S403)。
【0027】
ホスト装置101は、この信号を受け取ってディスプレイ106a上の点(x,y)が指定された記録を指示履歴記録部105に追加する(S403)。指示情報取得部208は、指示履歴の連続した指示を解釈し(S404)、ステップS401からS404までの操作が一連の操作として解釈可能か否か判断する(S405)。本実施形態の場合、点(x,y)の指示のみでは一連の動作と解釈できないので、ステップS405においては一連の操作として解釈できないものとする。
なお、前述したように、図4のフローチャートはステップS305の判断を展開したものであって、ステップS405及び後述するステップS410はステップS305においてNoと判断される処理である(S305:No)。また、後述するステップS415は、ステップS305においてYesと判断される処理である(S305:Yes)。
【0028】
続いて、オペレータがクライアント装置102aの操作ボタン等の操作部を操作してクライアント装置102aに指示を入力した場合、ホスト装置101は、操作部に対応する指示内容が例えば「コピー」であることを検出する(S407)。そして、コピーの指示がなされたことを指示履歴記録部105に追加する(S408)。そして、指示履歴の連続した指示を解釈し(S409)、ステップS401からS407までの操作が一連の操作として解釈可能か否か判断する(S410)。コピーまでの操作を一連の操作と解釈しない図4の例では、ステップS410においても一連の操作とは解釈されることがない。
さらに、オペレータが、クライアント装置102bを操作してペーストの指示をした場合(S411)、指示情報取得部208は、クライアント装置102bにおいてペーストの指示がなされたことを検出する(S412)。そして、この情報を指示履歴記録部105に追加する(S413)。そして、指示履歴の連続した指示を解釈し(S414)、ステップS401からS413までの操作が一連の操作として解釈可能か否か判断する(S415)。
【0029】
図4の例では、操作の対象となる画像の位置の指定(画像の選択)、コピー、ペーストまでの操作を一連の解釈と判断する(S415:Yes)。そして、一連の操作の結果得られる表示データを生成し、クライアント装置に送る処理を実行する(S416)。
すなわち、ホスト装置101は、文書対応管理部204を参照し、クライアント装置102aに対する操作(画像の選択等)を検出する。そして、指定された点(x,y)に表示されている画像のデータを抽出する。また、文書対応管理部204を参照してクライアント装置102bにおいてなされた操作を検出する。検出された操作がペーストであるから、本実施形態では、クライアント装置102aで抽出されたデータがクライアント装置102bにおいてペーストされる。
【0030】
文書処理部202はクライアント装置102bに表示されていた画面にクライアント装置102aで抽出されたデータを合成した表示データを生成する。
以上の処理の後、ホスト装置101は、表示データ送信部205を介してクライアント装置102bに送信する(S417)。
また、図5のフローチャートでは、オペレータがペン103を使ってクライアント装置102aのディスプレイ106上の1点を指示した場合、動作が開始する(S501)。このとき、ペン103からホスト装置101の側にクライアント装置102のディスプレイ106a(フローチャートにおいては文書面:A)上の点が指定されたこと、点の座標が(x,y)であることを示す信号が送られる(S503)。
【0031】
ホスト装置101は、この信号を受け取ってディスプレイ106a上の点(x,y)が指定された記録を指示履歴記録部105に追加する(S503)。指示情報取得部208は、指示履歴の連続した指示を解釈し(S504)、ステップS501からS504までの操作が一連の操作として解釈可能か否か判断する(S505)。本実施形態の場合、点(x,y)の指示のみでは一連の動作と解釈できないので、ステップS505においては一連の操作として解釈できないものとする。
【0032】
なお、前述したように、図5のフローチャートはステップS305の判断を展開したものであって、ステップS505はステップS305においてNoと判断される処理である(S305:No)。また、後述するステップS511、ステップS516は、ステップS305においてYesと判断される処理である(S305:Yes)。
続いて、オペレータがクライアント装置102aの操作ボタン等の操作部を操作してクライアント装置102aに指示を入力した場合、ホスト装置101は、操作部に対応する指示内容が例えば「コピー」であることを検出する(S507)。そして、コピーの指示がなされたことを指示履歴記録部105に追加する(S508)。そして、指示履歴の連続した指示を解釈し(S509)、ステップS501からS507までの操作が一連の操作として解釈可能か否か判断する(S510)。
【0033】
図5のフローチャートは、前記したように、コピー、ペーストの操作ごとに一連の操作として解釈する。このため、コピー操作に対応するコピー処理を実行する(S511)。コピー操作では、文書対応管理部204を参照し、クライアント装置102aに対する操作(画像の選択等)を検出する。そして、指定された点(x,y)に表示されている画像のデータを抽出する。さらに、抽出された画像のデータをクリップボードに保存する。なお、本形態では、以上の処理の後、クライアント装置102a、102bにおける表示の更新はなされないものとした。しかしながら、例えばカット操作のような場合には、カット状態を反映した表示データを生成し、クライアント装置102aに対して送信することにより、表示状態を更新することができる。
【0034】
さらに、オペレータが、クライアント装置102bを操作してペーストの指示をした場合(S512)、指示情報取得部208は、クライアント装置102bにおいてペーストの指示がなされたことを検出する(S513)。そして、この情報を指示履歴記録部105に追加する(S514)。そして、指示履歴の連続した指示を解釈し(S515)、ステップS501からS513までの操作が一連の操作として解釈可能か否か判断する(S516)。この判断の結果、図5の例では、ペースト操作に対応するペースト処理が実行される(S517)。
【0035】
ステップS517のペーストの操作では、先ず、ホスト装置101が文書対応管理部204を参照してクライアント装置102bにおいてなされた操作を検出する。検出された操作がペーストであるから、本実施形態では、文書処理部202が、ステップS511に含まれる一連の処理においてクリップボードに保存されたデータをクライアント装置102bに表示されていた画面に合成した表示データを生成する。生成された表示データは、表示データ送信部205を介してクライアント装置102bに送信される(S518)。
【0036】
なお、以上説明したクライアント装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、本実施形態のクライアント装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
【0037】
また、以上述べた本実施形態のクライアント装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、コンピュータで読み取り可能なROM、フラッシュメモリ、メモリカード、USB接続型フラッシュメモリ等のメモリデバイスに記録されて提供されるものであってもよい。
以上述べた本実施形態によれば、1つのホスト装置が複数のクライアント装置102a、102bと接続するホスト・クライアント型の情報処理システムにあっても、複数のクライアント装置102a、102bにまたがって実行された操作に基づいてホスト装置がクライアント装置の表示データを書換えることができる。
このような情報処理システムは、2つの紙媒体のうち一方に表示されている画像や文字を他方に移したような操作感覚をオペレータに与えることができる。また、クライアント装置に適用された記憶性表示体材料の操作性を高め、その操作性を紙媒体に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の情報処理システムを説明するための図である。
【図2】図1に示したホスト装置及びクライアント装置の内部構成をより詳細に説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態の情報処理システムの全体的な動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態の情報処理システムのホスト装置においてなされる動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態の情報処理システムのホスト装置においてなされる動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
101 ホスト装置、102、102b クライアント装置、103 ペン、104 処理部、105 指示履歴記録部、106a、106b ディスプレイ、201 クライアント表示管理部、202 文書処理部、203 撮像部、204 文書対応管理部、205 表示データ送信部、206 文書参照部、207、209 文書データ、208 指示情報取得部、210 表示実行部、211 指示情報提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置と、該ホスト装置の制御によって動作する複数のクライアント装置とを備えた情報処理システムであって、
複数の前記クライアント装置は、各々を特定するための固有の識別情報を有し、
前記ホスト装置は、
前記識別情報を検出して前記クライアント装置の各々を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記クライアント装置に対して行われた操作の内容を判別する操作判別手段と、
前記特定手段によって特定されたクライアント装置と、前記操作判別手段によって判別されたクライアント装置に対する操作の内容とを対応つける情報を記録する操作内容記録手段と、
前記操作内容記録手段に記録された情報に基づいて、複数の前記クライアント装置間で連続して実行された操作の結果得られる情報を生成し、生成された情報を複数の前記クライアント装置のいずれかに送信する操作処理手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記操作判別手段は、前記ホスト装置と有線または無線によって接続し、前記クライアント装置に対して行われた操作の内容をホスト装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
複数の前記クライアント装置の少なくとも一つは、記憶性表示材料によって画像を表示する記憶性表示装置であることを特徴とする請求項1または2項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
ホスト装置とクライアント装置でなる情報処理システムのホスト装置において、複数のクライアント装置を制御するための方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
複数の前記クライアント装置の各々を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定された前記クライアント装置に対して実行された操作の内容を判別する操作判別ステップと、
前記特定ステップにおいて特定されたクライアント装置と、前記操作判別ステップにおいて判別された前記クライアント装置に対する操作の内容とを対応つける情報を記録する操作履歴記録ステップと、
前記操作履歴記録ステップにおいて記録された情報に基づいて、複数の前記クライアント装置間で連続して実行された操作の結果得られる情報を前記クライアント装置のいずれかに送信する操作処理ステップと、
を含むことを特徴とするクライアント装置制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−104609(P2009−104609A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276270(P2008−276270)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【分割の表示】特願2006−83049(P2006−83049)の分割
【原出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】