説明

ホスファチド塩の製造方法

【課題】 ホスファチド塩錯体の新規な製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の製造方法は、基質として少なくとも1つの原料レシチンを使用するステップと、カルボン酸塩錯体水溶液中でホスポリパーゼ−D(PLD)、ラセミ体又は鏡像異性的に純粋なセリン又はアミンにより、少なくとも1つの原料レシチンを酵素的に処理するステップとからなり、少なくとも1つの原料レシチンから誘導された構造的に脂肪酸鎖を有するホスファチド塩錯体を生成するために、前記処理ステップは単相反応環境下で行われる。前記処理ステップは約4.5〜8.0の範囲内のpH及び約25〜60℃の範囲内の温度で行われ、前記カルボン酸塩錯体水溶液は、鎖長がC2〜C8のカルボン酸と塩とが約1:2(酸対塩)(w/w)の比率の水溶液から形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホスファチド塩錯体の製造方法に関する。更に詳細には、本発明は水系で反応されるカルボン酸塩錯体を用いる、ホスファチジルセリン塩錯体及びホスファチジン酸塩錯体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルセリン塩及びホスファチジン酸塩は医薬組成物、栄養化合物及び機能性食品において使用される。機能性成分としてのホスファチジルセリン塩の重要性は、米国食品医薬品局の限定的健康強調表示によりサポートされている。この限定的健康強調表示において、ホスファチジルセリンの使用は高齢者における認知機能障害及び痴呆の改善に関するものであった。
【0003】
特許文献1(米国特許第6410522号明細書)は、血中コルチゾールレベル及びセロトニン再吸収を低下させる顕著な作用を有する抗うつ剤、ストレス抑制剤及び気分改善薬を開示しており、改善薬を投与された患者のうつ病、精神的、感情的ストレスに付随する症状を緩和する効果を有する。
【0004】
特許文献2(米国特許第6942146号明細書)は、ホスホリパーゼ−D(PLD)酵素と、基質1g当たり0.4g以下の量の界面活性剤の存在下でラセミ体又は鏡像異性的に純粋なセリンとからホスファチジルセリン(PS)を製造する方法を開示している。この製造方法における反応媒体は有機溶剤を含まない水性分散液である。特許文献2に開示された製造方法の主たる利点は、ホスファチジン酸(PA)副生物量が最小で、高純度のホスファチジルセリンを高収率で得るために、水性媒体中でホスファチジルクロリン及び同様なホスファチジン類のホスファチジル基転移反応を実施できることである。
【0005】
特許文献3(ドイツ特許第19917249号明細書)には、PS塩の製造方法が開示されている。この方法は、L−セリンをレシチンの水性分散液(1〜20%w/w)に添加し、PLD及びCaCl溶液を前記分散液に添加し、得られた混合物を室温で10〜20時間撹拌し、生成したPS−Ca塩を水相から分離し、分離したCa塩を水で洗浄してL−セリンを除去し、そして生成物をエタノールで抽出することからなる。
【0006】
一般的に、溶剤はレシチンをホスファチジル基転移反応中に完全に溶解させるために使用される。懸濁液と異なり、溶液は製造方法を一層管理し易くする。別法として、水性媒体中では、レシチン基質の溶液/分散液を扱い易くするために界面活性剤が使用される。
【0007】
ホスファチジル基転移反応が溶剤不含有水性媒体中で実施され、反応混合物から溶剤で界面活性剤を更に抽出する高コスト工程を必要とすること無く、ホスファチド塩錯体の製造及び分離を可能にする、ホスファチド塩錯体の新規な製造方法の開発が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6410522号明細書
【特許文献2】米国特許第6942146号明細書
【特許文献3】ドイツ特許第19917249号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ホスファチド塩錯体の新規な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、ラセミ体又は鏡像異性的に純粋なセリンの水溶液中で酵素的変換により、好ましくは、界面活性剤の不存在下で水性カルボン酸塩錯体溶液(C2−C8)とPLDを用いて(L)−セリン水溶液中で酵素的変換によりレシチンからPA塩錯体又はPS塩錯体を製造する方法を提供する。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は更に、ダイエット食品及び機能性食品用成分として安定なPA塩錯体又はPS塩錯体を低コストな商業生産規模で同時に製造する方法及び反応混合物から界面活性剤を事後的に抽出する高コスト工程を有しない安全な製造方法を提供する。
【0012】
従って、本発明によりホスファチド塩錯体の新規な製造方法が初めて提供される。この製造方法は、(a)基質として少なくとも1つの原料レシチンを使用するステップと、(b)カルボン酸塩錯体水溶液中でホスポリパーゼ−D(PLD)、ラセミ体又は鏡像異性的に純粋なセリン又はアミンにより少なくとも1つの原料レシチンを酵素的に処理するステップとを含む。この処理ステップは単相反応環境下で行われ、少なくとも1つの原料レシチンから誘導された構造的に脂肪酸鎖を有するホスファチド塩錯体が生成される。
【0013】
好ましくは、(i)少なくとも1つの原料レシチンは、植物性レシチン及び非植物性レシチンからなる群から選択され;(ii)植物性レシチンは大豆レシチン、ひまわりレシチン、菜種レシチンからなる群から選択され;(iii)非植物性レシチンは乳燐脂質、卵黄レシチン及び魚類レシチンからなる群から選択され;(iv)PLDは植物性PLD、細菌由来酵素PLD、植物性PLDと細菌由来酵素PLDの混合物からなる群から選択される。
【0014】
好ましくは、本発明の処理ステップは、約4.5〜8.0の範囲内のpH及び約25〜60℃の範囲内の温度で行われる。
【0015】
好ましくは、カルボン酸塩錯体水溶液は、鎖長がC2〜C8のカルボン酸と塩とが約1:2(酸対塩)(w/w)の比率の水溶液から形成される。
【0016】
好ましくは、本発明の方法は、(c)適当な有機溶剤及び熱からなる群から選択される少なくとも1つの成分で処理してPLDを変性させるステップを更に有する。
【0017】
本発明により、前記の製造方法により製造されるホスファチド塩錯体が初めて提供される。
【0018】
本発明により、ホスファチジン酸塩(PA塩)錯体とホスファチジルセリン塩(PS塩)錯体を含むホスファチド塩錯体混合物を同時に製造する方法が初めて提供される。この製造方法は、(a)基質として少なくとも1つの原料レシチンを使用するステップと、(b)カルボン酸塩錯体水溶液中でホスポリパーゼ−D(PLD)、ラセミ体又は鏡像異性的に純粋なセリン又はアミンにより少なくとも1つの原料レシチンを酵素的に処理するステップとを含む。この処理ステップは単相反応環境下で行われ、少なくとも1つの原料レシチンから誘導された構造的に脂肪酸鎖を有する、PA塩錯体とPS塩錯体を含むホスファチド塩錯体混合物が生成される。
【0019】
好ましくは、(i)少なくとも1つの原料レシチンは、植物性レシチン及び非植物性レシチンからなる群から選択され;(ii)植物性レシチンは大豆レシチン、ひまわりレシチン、菜種レシチンからなる群から選択され;(iii)非植物性レシチンは乳燐脂質、卵黄レシチン及び魚類レシチンからなる群から選択され;(iv)PLDは植物性PLD、細菌由来酵素PLD、植物性PLDと細菌由来酵素PLDの混合物からなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、本発明の処理ステップは、約4.5〜8.0の範囲内のpH及び約25〜60℃の範囲内の温度で行われる。
【0021】
好ましくは、カルボン酸塩錯体水溶液は、鎖長がC2〜C8のカルボン酸と塩とが約1:2(酸対塩)(w/w)の比率の水溶液から形成される。
【0022】
好ましくは、前記混合物は、混合物の総燐脂質含量のうち、少なくとも3%(w/w)がPA塩錯体であり、少なくとも20%(w/w)がPS塩錯体からなる製品収量を有する。
【0023】
好ましくは、前記混合物は、混合物の総燐脂質含量のうち、約10%(w/w)以上のPA塩錯体と、少なくとも20%(w/w)のPS塩錯体からなる製品収量を有する。
【0024】
好ましくは、前記混合物は、混合物の総燐脂質含量のうち、20〜70%(w/w)のPA塩錯体と、少なくとも20%(w/w)のPS塩錯体からなる製品収量を有する。
【0025】
好ましくは、本発明の方法は、(c)適当な有機溶剤及び熱からなる群から選択される少なくとも1つの成分で処理してPLDを変性させるステップを更に有する。
【0026】
本発明により、前記の製造方法により製造されるホスファチド塩錯体混合物が初めて提供される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0028】
本発明はホスファチド塩錯体の製造方法に関する。本発明によるホスファチド塩錯体の製造原理及び操作について下記の実施例により詳細かつ具体的に例証する。
【実施例1】
【0029】
原料として大豆レシチンを使用し、PS塩錯体とPA塩錯体の混合物を下記の方法により同時に製造した。
【0030】
塩化カルシウム4gとカプロン酸4mlを容量500mlの小瓶内に入れ、一緒に混合した。次いで、水150mlを添加し、一般的なカルボン酸塩錯体水溶液に相当するカプロン酸カルシウム塩錯体を製造した。この方法において、その他の塩類も同様に使用できる。カルシウム塩が使用されない場合、カルシウムを添加し酵素反応を促進する。更に、カルボン酸塩錯体を製造するために、その他のカルボン酸(例えば、C2〜C8)もこの方法において同様に使用できる。大豆レシチン(商品名Epikuron130P粉末,Cargill Europe BVBA社製)50gとアミノ酸L−セリン75gを前記小瓶に添加し、45℃まで30分間加熱した。
【0031】
キャベツ由来のPLD(Sigma社製のP8398ホスホリパーゼ−D)500単位(U)を前記混合物に添加し、45℃で攪拌機で撹拌しながら1.5時間反応させた。反応溶液中の酵素を変性及び失活させるために、反応溶液を含有する小瓶にアセトン15mlを添加し、次いで、この小瓶を65℃の温水中に浸けた。この変性のために、その他の適当な有機溶剤又は熱も同様に使用できる。続いて、反応溶液を氷中で冷却した。燐脂質を抽出するために、変性反応混合物に蒸留水75mlを添加し、30分間撹拌した。次いで、この溶液を30分間遠心分離し、混合物を2層に分離させた。燐脂質層を取り除き、次いで、30℃の一定温度で減圧下で乾燥させた。高性能薄層クロマトグラフィ(HPTLC)により測定されたPA塩錯体とPS塩錯体の最終組成は、PA塩錯体21.6%、PS塩錯体12.3%であった。
【0032】
並行作業として、カプロン酸以外の前記成分を用いて同様な反応を行った。HPTLCにより測定されたPA塩錯体とPS塩錯体の最終組成は、PA塩錯体18.1%、PS塩錯体6.3%であった。
【0033】
これらの結果から、カルボン酸塩錯体を含有する本発明の反応に比べて、後の反応はPA塩錯体及びPS塩錯体の製造について非常に低効率であることが明確に示された。
【実施例2】
【0034】
原料として大豆レシチンを使用し、PS塩錯体を下記の方法により製造した。
【0035】
塩化カルシウム4gとカプリル酸4mlを容量500mlの小瓶内に入れ、一緒に混合した。次いで、水150mlを添加し、一般的なカルボン酸塩錯体水溶液に相当するカプリル酸カルシウム塩錯体を製造した。大豆レシチン(商品名Epikuron130P粉末,Cargill Europe BVBA社製)50gとアミノ酸L−セリン75gを前記小瓶に添加し、45℃まで30分間加熱した。
【0036】
Streptomyces sp.由来のPLD(Sigma-Aldrich社製のP4912)500単位(U)を前記混合物に添加し、45℃で攪拌機で撹拌しながら1.5時間反応させた。反応溶液中の酵素を変性及び失活させるために、反応溶液を含有する小瓶にアセトン15mlを添加し、次いで、この小瓶を65℃の温水中に浸けた。続いて、反応溶液を氷中で冷却した。燐脂質を抽出するために、変性反応混合物に蒸留水75mlを添加し、30分間撹拌した。次いで、この溶液を30分間遠心分離し、混合物を2層に分離させた。燐脂質錯体層を取り除き、次いで、30℃の一定温度で減圧下で乾燥させた。HPTLCにより測定されたPA塩錯体とPS塩錯体の最終組成は、PS塩錯体27.3%、PA塩錯体6.6%であった。
【0037】
並行作業として、カプリル酸以外の前記成分を用いて同様な反応を行った。HPTLCにより測定されたPA塩錯体とPS塩錯体の最終組成は、PS塩錯体9.1%、PA塩錯体6.6%であった。
【0038】
これらの結果から、カルボン酸塩錯体を含有する本発明の反応に比べて、後の反応はPA塩錯体及びPS塩錯体の製造について非常に低効率であることが明確に示された。
【実施例3】
【0039】
原料として卵黄レシチンを使用し、PS塩錯体とPA塩錯体の混合物を下記の方法により同時に製造した。
【0040】
塩化カルシウム4gとカプリル酸4mlを容量500mlの小瓶内に入れ、一緒に混合した。次いで、水150mlを添加し、一般的なカルボン酸塩錯体水溶液に相当するカプロン酸カルシウム塩錯体を製造した。卵黄レシチン(商品名DS-PL95E; Doosan Corp.社製, Venture BG Biotech BU, Korea)50gとアミノ酸L−セリン75gを前記小瓶に添加し、激しく撹拌し、45℃まで30分間加熱した。
【0041】
Streptomyces sp.由来のPLD(Sigma-Aldrich社製のP4912)250単位(U)とキャベツ由来のPLD(Sigma社製のP8398ホスホリパーゼ−D)250単位(U)を前記混合物に添加し、45℃で攪拌機で撹拌しながら5.5時間反応させた。
【0042】
反応溶液中の酵素を変性及び失活させるために、反応溶液を含有する小瓶にアセトン15mlを添加し、次いで、この小瓶を65℃の温水中に浸けた。続いて、反応溶液を氷中で冷却した。燐脂質を抽出するために、変性反応混合物に蒸留水75mlを添加し、30分間撹拌した。次いで、この溶液を30分間遠心分離し、混合物を2層に分離させた。燐脂質錯体層を取り除き、次いで、30℃の一定温度で減圧下で乾燥させた。HPTLCにより測定されたPS塩錯体とPA塩錯体の最終組成は、PS塩錯体36.6%、PA塩錯体38.3%であった。
【0043】
並行作業として、カプリル酸以外の前記成分を用いて同様な反応を行った。HPTLC)により測定されたPS塩錯体とPA塩錯体の最終組成は、PS塩錯体22.1%、PA塩錯体24.3%であった。
【0044】
これらの結果から、カルボン酸塩錯体を含有する本発明の反応に比べて、後の反応はPA塩錯体及びPS塩錯体の製造について非常に低効率であることが明確に示された。
【0045】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基質として少なくとも1つの原料レシチンを使用するステップと、
(b)カルボン酸塩錯体水溶液中でホスポリパーゼ−D(PLD)、ラセミ体又は鏡像異性的に純粋なセリン又はアミンにより、少なくとも1つの原料レシチンを酵素的に処理するステップとからなり、
少なくとも1つの原料レシチンから誘導された構造的に脂肪酸鎖を有するホスファチド塩錯体を生成するために、前記処理ステップは単相反応環境下で行われる、
ことを特徴とするホスファチド塩錯体の製造方法。
【請求項2】
(i)前記少なくとも1つの原料レシチンは、植物性レシチン及び非植物性レシチンからなる群から選択され;
(ii)前記植物性レシチンは大豆レシチン、ひまわりレシチン、菜種レシチンからなる群から選択され;
(iii)前記非植物性レシチンは乳燐脂質、卵黄レシチン及び魚類レシチンからなる群から選択され;
(iv)前記PLDは植物性PLD、細菌由来酵素PLD、植物性PLDと細菌由来酵素PLDの混合物からなる群から選択される、
ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記処理ステップは、約4.5〜8.0の範囲内のpH及び約25〜60℃の範囲内の温度で行われる、
ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記カルボン酸塩錯体水溶液は、鎖長がC2〜C8のカルボン酸と塩とが約1:2(酸対塩)(w/w)の比率の水溶液から形成される、
ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
(c)適当な有機溶剤及び熱からなる群から選択される少なくとも1つの成分で処理してPLDを変性させるステップを更に有する、
ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1の製造方法により製造されたホスファチド塩錯体。
【請求項7】
(a)基質として少なくとも1つの原料レシチンを使用するステップと、
(b)カルボン酸塩錯体水溶液中でホスポリパーゼ−D(PLD)、ラセミ体又は鏡像異性的に純粋なセリン又はアミンにより、少なくとも1つの原料レシチンを酵素的に処理するステップとからなり、
少なくとも1つの原料レシチンから誘導された構造的に脂肪酸鎖を有するホスファチド塩錯体を生成するために、前記処理ステップは単相反応環境下で行われる、
ことを特徴とするホスファチジン酸塩(PA塩)錯体とホスファチジルセリン塩(PS塩)錯体を含むホスファチド塩錯体混合物を同時に製造する方法。
【請求項8】
(i)前記少なくとも1つの原料レシチンは、植物性レシチン及び非植物性レシチンからなる群から選択され;
(ii)前記植物性レシチンは大豆レシチン、ひまわりレシチン、菜種レシチンからなる群から選択され;
(iii)前記非植物性レシチンは乳燐脂質、卵黄レシチン及び魚類レシチンからなる群から選択され;
(iv)前記PLDは植物性PLD、細菌由来酵素PLD、植物性PLDと細菌由来酵素PLDの混合物からなる群から選択される、
ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
前記処理ステップは、約4.5〜8.0の範囲内のpH及び約25〜60℃の範囲内の温度で行われる、
ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項10】
前記カルボン酸塩錯体水溶液は、鎖長がC2〜C8のカルボン酸と塩とが約1:2(酸対塩)(w/w)の比率の水溶液から形成される、
ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項11】
前記混合物は、混合物の総燐脂質含量のうち、少なくとも3%(w/w)がPA塩錯体であり、少なくとも20%(w/w)がPS塩錯体からなる製品収量を有する、
ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項12】
前記混合物は、混合物の総燐脂質含量のうち、約10%(w/w)以上のPA塩錯体と、少なくとも20%(w/w)のPS塩錯体からなる製品収量を有する、ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項13】
前記混合物は、混合物の総燐脂質含量のうち、20〜70%(w/w)のPA塩錯体と、少なくとも20%(w/w)のPS塩錯体からなる製品収量を有する、ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項14】
(c)適当な有機溶剤及び熱からなる群から選択される少なくとも1つの成分で処理してPLDを変性させるステップを更に有する、
ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項15】
請求項7の製造方法により製造されたホスファチド塩錯体混合物。

【公開番号】特開2011−160795(P2011−160795A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173300(P2010−173300)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(510210380)リポゲン エルティディ. (2)
【Fターム(参考)】