説明

ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換されたキラル化合物

本発明は、ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換されたPNA単位を含み、少なくとも1つのキラル中心を有する新規の化合物に関する。本化合物は、AIDS等のウイルス疾患の治療のために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換されたPNA単位を含み、少なくとも1つのキラル中心を示す新規の化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
HIウイルスによる宿主細胞の一次感染後、既知の抗ウイルス化合物(例えば、インジナビル)は、複製サイクルの干渉によってじかに接する最初のウイルス子世代(immediate first viral daughter generation)のみに対する作用を示す。この環境により、無処置宿主細胞と比較して、ウイルス数を或る程度減少する。しかし、このウイルス数の減少は、100%までは起こらない。生存ウイルスが単離された場合、これらのウイルスは、以前に感染していなかった宿主細胞にさらに感染し、完全な複製サイクルを通過することができる。
【0003】
PNA(ペプチド核酸)は、N−(2−アミノエチル)グリシンフレーム(NB=核酸塩基、n=0〜50;R、K、L=置換基)を有する合成DNA/RNAアナログである。PNAは、N−アセチル−N−(2−アミノエチル)グリシン構成要素(PNAモノマー)間のペプチド結合の連結によって産生される。これらの個々のN−アセチル−N−(2−アミノエチル)グリシン構成要素はそれぞれ、PNA単位を示す。
【0004】
【化1】

【0005】
PNAは、生理学的条件下で加水分解(酵素分解)に耐性を示す。PNAは配列特異的様式で相補核酸配列(DNA又はRNA)を認識し、それらの天然のプロトタイプよりも高い親和性で相補核酸配列に結合することができることは既知である(非特許文献1、非特許文献2)。
【0006】
PNAを、例えば、アンチセンスオリゴマーとして適用する。これに関連して、タンパク質の発現は、翻訳レベルでのタンパク質特異的mRNAへのアンチセンスオリゴマーのハイブリッド形成によって阻害される。これらの性質の結果として、PNAは、例えば、診断薬としての使用に適切な化合物である。
【0007】
既知のPNA分子は、DNAと比較して水にほとんど溶解しないという欠点を示す。さらに、細胞への受容が極めてゆっくりしか起こらないような細胞膜の透過は、PNAの一般的な問題である。
【0008】
特許文献1から、PNAは、その水溶性を残基Rのアミン官能基によって増強することができることが既知である。しかし、かかる方法で修飾したPNAはまた、依然として細胞透過性が低い。したがって、生体におけるアンチセンス活性物質としてのPNAの使用は非常に制限される。
【0009】
特許文献2から、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を示すオリゴマーは既知である。かかる様式で修飾したオリゴマーは、これらの置換基を含まないPNAと比較してより良好な細胞透過性を有する。
【0010】
確かに、アンチセンスオリゴマーの良好な細胞透過性は、生体系における遺伝子発現の強い抑制効果を達成するには全く十分でない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、新規の作用機構を概略的に図解で示す。
【図2】図2では、本発明の化合物Flu−εTML−T−Gly−NHを使用した対応する結果を示す。
【図3】図3では、本発明の化合物Flu−εTML−T−Gly−NHを使用した対応する結果を示す。
【図4】図4では、本発明の化合物Flu−εTML−tCgCtGcCaAaGaGt−Gly−NHを使用した対応する結果を示す。
【図5】図5は、対応する蛍光顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この目的は、一般式Iの化合物によって解決される:
【0016】
【化2】

【0017】
式中、nは、7〜35、好ましくは9〜28、最も好ましくは13〜20の整数を示す。
【0018】
Eは、互いに独立して、水素原子、置換又は非置換フェニル残基、置換又は非置換複素環残基、所望により保護基によって置換された核酸塩基、例えば、天然に存在するか若しくは天然に存在しない核酸塩基、又はDNAインターカレーターを示す。
【0019】
好ましくは、各Eは、互いに独立して、アデニニル、シトシニル、シュードイソシトシニル、グアニニル、チミニル、ウラシリル、又はフェニル残基を示す。
【0020】
各残基Rは、互いに独立して、水素原子又は20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、又は脂環残基を示し、ここで、少なくとも1つの残基Rは水素原子を示さず、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換される。
【0021】
残基Rが1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換されない場合、残基Rは、互いに独立して、例えば、天然に存在するか若しくは天然に存在しないアミノ酸の1つ又は複数の側鎖、好ましくは、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、複素環、又は脂環残基も有することができる。
【0022】
好ましくは、各残基Rは、互いに独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を含む。
【0023】
各残基Rは、互いに独立して、分岐していても分岐していなくてもよい。
【0024】
表現「所望により置換された」は、1つ又は複数の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、若しくはヨウ素原子、又は−COOH、−COOR、−CSOH、−CSOR、−COSH、−COSR、−CONH、−CONHR、−COR1011、−OH、−OR、=O、−SH、−SR、=S、−NH、=NH、−NHR、−NR1011、−NR12NOH、−NOR13、若しくはNO基、ホスホン酸エステル官能基若しくはホスホン酸官能基に置き換えられた基に関する。さらに、この表現は、非置換C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cヘテロアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜Cヘテロアリール、C〜C12アラルキル、又はC〜C11ヘテロアラルキル基と置換された基に関し、残基R、R、R10、R11、R12、及びR13は、互いに独立して、C〜Cアルキル残基を示す。
【0025】
ホスホン酸エステル官能基は、例えば、式−P(=O)(OV)又はP(=O)(OV)(OH)を示すことができる。このような関係において、各Vは、互いに独立して、20個までの炭素原子を有する、より好ましくは7個までの炭素原子を有する、非置換のアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、又は脂環残基、最も好ましくは、メチル、エチル、シクロヘキシル、又はベンジル残基を示すことができる。
【0026】
本発明の化合物では、ホスホン酸官能基は、例えば、式−P(=O)(OH)と示すことができる。
【0027】
最も好ましくは、各残基Rは、互いに独立して、式−(C〜C10)アルキル−[P(=O)(O−V)]の群から選択され、式中、各Vは、互いに独立して、水素原子、メチル、エチル、シクロヘキシル、又はベンジル残基を示す。
【0028】

【0029】

【0030】
Lは、式−NR、−NR(CO)R、−NR(CS)R、−OR、又はSRの基を示し、ここで、R及びRは、互いに独立して、水素原子、アルキル残基、レポーターリガンド、蛍光マーカー、インターカレーター、キレート剤、アミノ酸、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドアミド、タンパク質、炭水化物、脂質、ステロイド、脂肪酸、オリゴヌクレオチド、量子ドット、FRETクエンチャー(蛍光共鳴エネルギー移動クエンチャー)、又は水溶性若しくは水不溶性ポリマーを示し、ここで、上記の各残基を所望により置換することができ、及びRは、水素原子、アルキル残基、レポーターリガンド、蛍光マーカー、インターカレーター、キレート剤、アミノ酸、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドアミド、タンパク質、炭水化物、脂質、ステロイド、脂肪酸、オリゴヌクレオチド、量子ドット、FRETクエンチャー、又は水溶性若しくは水不溶性ポリマーを示し、ここで上記の各残基を所望により置換することができる。
【0031】
好ましくは、Lは、−OH官能基、−NH官能基、−NH−(C〜C)アルキル官能基、アミノ酸、アミノ酸アミド、ペプチド、又はペプチドアミド単位を示し、その全てはホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換されても置換されなくてもよく、上記の各残基は所望により置換することができる。
【0032】
この出願を通して、アルキル残基は、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有することができ、例えば、メチル、エチル、プロピル、又はブチル基を示し得る。
【0033】
が水素原子を示さない場合、結合位置での一般式Iの化合物の骨格への残基Rの結合により、不斉中心()が生じる。したがって、各不斉中心で、R立体配置又はS立体配置が存在する。
【0034】
これに関連して、不斉中心の立体配置は、好ましくはカーン−インゴールド−プレローグ規則にしたがって定義される。但し、リガンドの優先順位は常に以下のように定義される:不斉中心の窒素原子は常に順位1とする。不斉中心のカルボキシル基の炭素原子は、常に順位2とする。
不斉中心の残基Rの炭素原子は、常に順位3とする。不斉中心の水素原子は、常に順位4とする。
【0035】
欧州特許第1157031号では、ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換されたラセミモノマーから排他的に調製されたオリゴマーが記載されている。例えば、15個のラセミモノマーから構成されるオリゴマーについて、215種の立体中心()の異なる組み合わせ(すなわち、32768種の異なる立体異性体)が存在する。この場合、異なる化学的性質及び物理的性質を有する化合物の混合物が得られる。
【0036】
欧州特許第1157031号に記載の化合物とは対照的に、現在記載の本発明の化合物は、好ましくは鏡像異性体的に純粋なモノマーから出発して調製され、好ましくは1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換される。
【0037】
本発明によれば、一般式Iの化合物は、少なくとも2つの不斉中心を示し、ここで少なくとも1つの残基Rは、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換されている。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、各第2の残基Rは、互いに独立して、天然に存在するか若しくは天然に存在しないアミノ酸の側鎖、好ましくは20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、複素環、又は脂環残基に対応し、そして少なくとも1つの残基Rは、20個までの炭素原子を有する、所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、又は脂環残基を示し、これらは1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基と置換され、ここで残りの残基Rは水素原子を示す。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、各第3の残基Rは、互いに独立して、天然に存在するか若しくは天然に存在しないアミノ酸の側鎖、好ましくは20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、複素環、又は脂環残基に対応し、少なくとも1つの残基Rは、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、又は脂環残基を示し、かつ、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、ここで残りの残基Rは水素原子を示す。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、2つ、3つ、又はそれ以上の隣接残基Rは、互いに独立して、天然に存在するか若しくは天然に存在しないアミノ酸の側鎖、好ましくは20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、複素環、又は脂環残基に対応し、少なくとも1つの残基Rは、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、又は脂環残基を示し、かつ、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、ここで残りの残基Rは水素原子を示す。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、各残基Rは、互いに独立して、天然に存在するか若しくは天然に存在しないアミノ酸の側鎖、好ましくは20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、複素環、又は脂環残基に対応し、少なくとも1つの残基Rは、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、又は脂環残基を示し、かつ、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換される。
【0042】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、1つ又は複数の残基Rは、互いに独立して、少なくとも1つのホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を示す。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施の形態によれば、以下が適合する。
【0044】
1. 2〜8個の不斉中心及び1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する1〜8個の所望により置換された残基Rが一般式Iの化合物中に存在する場合、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する残基を有する不斉中心の数の少なくとも66%、好ましくは70%、より好ましくは75%、より好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%は、R立体配置を示す。
【0045】
2. 9〜36個の不斉中心及び1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する1〜36個の所望により置換された残基Rが一般式Iの化合物中に存在する場合、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する残基を有する不斉中心の数の少なくとも70%、より好ましくは75%、より好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%は、R立体配置を示す。
【0046】
本発明の代替的な好ましい実施の形態によれば、以下が適合する。
【0047】
1. 2〜8個の不斉中心及び1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する1〜8個の所望により置換された残基Rが一般式Iの化合物中に存在する場合、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する残基を有する不斉中心の数の少なくとも66%、好ましくは70%、より好ましくは75%、より好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%は、S立体配置を示す。
【0048】
2. 9〜36個の不斉中心及び1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する1〜36個の所望により置換された残基Rが一般式Iの化合物中に存在する場合、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する残基を有する不斉中心の数の少なくとも70%、より好ましくは75%、より好ましくは80%、より好ましくは85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、最も好ましくは100%は、S立体配置を示す。
【0049】
さらなる実施の形態では、残基R数の最大でも50%はホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、残りの残基Rは水素原子を示す。
【0050】
さらなる実施の形態では、残基R数の最大でも40%はホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、残りの残基Rは水素原子を示す。
【0051】
さらなる実施の形態では、残基R数の最大でも30%はホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、残りの残基Rは水素原子を示す。
【0052】
さらなる実施の形態では、残基R数の最大でも20%はホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、残りの残基Rは水素原子を示す。
【0053】
さらなる実施の形態では、残基R数の最大でも10%はホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、残りのR残基は水素原子を示す。
【0054】
さらなる実施の形態では、残基R数の最大でも4%はホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、残りの残基Rは水素原子を示す。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、一般式Iの化合物の全ての不斉中心()は、同じ立体配置を示す。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、一般式Iの化合物の全ての不斉中心()は、S立体配置を示す。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、一般式Iの化合物の全ての不斉中心()は、R立体配置を示す。
【0058】
さらに、所望により有用なアジュバントと組み合わされて、1つ又は複数の本発明の化合物を含む本発明の組成物が開示される。
【0059】
一般式Iの化合物の合成は、好ましくは、鏡像異性体的に純粋なモノマーから行われる。一般式Iの化合物の合成中、個々の不斉中心は、化学合成条件によって少数比率でその事前に定義した立体配置が変化し得る。しかし、合成中に形成された最大比率の一般式Iの化合物は、立体異性体的に純粋である。これらの組成物は、本発明の目的も満たし得る。
【0060】
一般式Iの化合物は、リンカーとしてのK及びL残基によって一般式Iの第2の化合物と連結することができ、ここでこの残基は上記の通り定義される。一般式Iの第1の化合物の不斉中心の立体配置は、リンカーによって連結される一般式Iの第2の化合物の不斉中心の立体配置と無関係である。したがって、例えば、一般式Iの第1の化合物の全ての不斉中心はR立体配置を示すことができ、一般式Iの第2の連結した化合物の全ての不斉中心はS立体配置を示すことができる。また、例えば、一般式Iの第1の化合物の全ての不斉中心はR立体配置を示すことができ、一般式Iの第2の連結した化合物の全ての不斉中心はR立体配置を示すことができる。
【0061】
リンカーは、特に、リンカーを有する一般式Iの2つの化合物と、一本鎖RNA若しくはDNA、又は二本鎖DNAとの間でそれぞれ核酸塩基を介して相互作用が起こり得るような方法で、一般式Iの2つの化合物間の距離を調整する目的に役立つ。
【0062】
リンカーとして、この目的のために適用されるか適用可能な全ての既知のリンカー及び全てのリンカー分子が適切である。例えば、かかるリンカーは、少なくとも3つの8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸単位(例えば、1単位)から構成される所望により置換されたアルキル鎖、ペプチド、オリゴヌクレオチド、又はオリゴマーを示すことができる。
【0063】
原理上それぞれ残基Rでのホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基との置換は、本発明の化合物の細胞透過性に関与する。驚いたことに、本発明の化合物の細胞透過性は、維持されるかほんの少しばかり減少する。そうでなければ、置換された残基Rが起こり得る各々の位置に存在する。つまり、各ホスホン酸エステル官能基数又はホスホン酸官能基の数が存在するならば、したがって、本発明の化合物の不斉中心の数は減少する。
【0064】
これに関連して、本発明の化合物の良好な細胞透過性は、生体組織中でも維持される。或る実験において、メダカ(Medaka fishes)(日本メダカ;オリジアス・ラチペス)を、蛍光色素でマークした本発明の化合物の溶液中で2日間飼育した。次いで、本発明の化合物(胃腸管組織に浸透しなかった化合物)を胃腸管から洗い流すために魚を新鮮な水に移した。次いで、魚を異なる日に蛍光顕微鏡下で調査した。結果は、本発明の化合物がメダカの胃腸管及び浮袋の両方に蓄積することを示す。魚の腸壁への浸透を、腸組織片によっても検出することができる。この環境は、本発明の化合物を、例えば、結腸癌、クローン病などの胃腸管疾患の治療又は脂肪過多症の治療に特に有益にする。
【0065】
ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換された残基Rの数及び配列は、それぞれ、本発明にしたがって自由に選択することができる。したがって、各第2、各第3、各第4、各第5、各第6、各第7、各第8、各第9、各第10の残基Rは、例えば、ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基でそれぞれ置換することができる。ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基との置換は、それぞれ、規則正しくか、任意の位置に存在することができる。
【0066】
さらに、いくつかの残基Rはまた、それぞれ、連続して(隣接した配置)、ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換することができる。これに関連して、一般式Iの化合物においては、こうした隣接した配置をより多く含むこともできる。
【0067】
しかし、例えば、任意の位置での個々の残基Rのみを、それぞれ、ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換することができる。
【0068】
ホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基でそれぞれ置換された個々の続いて起こる残基Rを伴う位置は任意であり得る。
【0069】
本発明の化合物について、本発明者らは、驚くほどに強力な作用と同様に、依然として良好な細胞透過性での新規の作用原理を評価した。
【0070】
本発明の化合物を使用したin vitro細胞実験の場合、第1ウイルス子世代のHIウイルスによる宿主細胞の一次感染(第1の実験)について、一見したところ、無処置対照と比較して、形成されたウイルス数のわずかな減少のみが認められた。この状況は、当業者がこれまで理解しているように、弱いアンチセンス効果を示すであろう。
【0071】
ウイルスタンパク質p24の形成量はHIウイルスの形成数と比例すると一般に見なされるので、HIウイルス数を、標準的な定量的p24−ELISAアッセイによって調査した。
【0072】
第1ウイルス子世代の感染細胞培地(上清)は、遠心分離によって宿主細胞から単離することができる。以前に感染されていない新しい宿主細胞は、続く実験でこの上清によって感染させることができ(二次感染)、ここで本発明の化合物のさらなる添加は起こらないない。その後、この上清は、p24アッセイの測定範囲内にその濃度が保持されるように希釈される(例えば、1:5000)。
【0073】
その後の実験において、希釈した上清、本発明の化合物で処置した宿主細胞の希釈上清と無処置対照の希釈上清の両方は、事前に感染していない宿主細胞にそれぞれ添加される。これに関連して、本発明の化合物のさらなる添加は起きるない。ここで、第1の実験で処置宿主細胞の場合、第2子世代のp24の測定量が非常に減少する。これと対照的に、無処置対照の上清は、第2子世代でp24量の高い増加が認められる。
【0074】
この驚くべき結果は、第1子世代からの結果と矛盾する。一見したところ、活性物質の存在にもかかわらず、第1の実験でわずかな作用しか達成されない一方で、活性物質が実質的に存在しないケースで、その後の実験では、強い作用が認められた。
【0075】
この矛盾は、本発明の化合物の新規の作用機構によってしか解決することができない。
【0076】
図1は、新規の作用機構を概略的に図解で示す。
【0077】
HIウイルスによる宿主細胞の一次感染の場合、そのHIウイルスは、サイトゾルへのそのウイルスゲノムRNAの組み込みを取り下げる。その後、ウイルスDNAは、ウイルス逆転写酵素によってDNAに転写され、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。宿主細胞の活性化の際、一方でウイルスゲノムRNAが形成され、他方でmRNAが形成され、これは翻訳によってウイルスタンパク質に解読することができる。
【0078】
宿主細胞が本発明の化合物で処置されるならば、それらは、さらなるアジュバント(例えば、トランスフェクション試薬)を使用することなく細胞に浸透することができる。相補配列を有するウイルスmRNAの存在下で、本発明の化合物はこれらに付着することができる。付着の結果として、異なるウイルスタンパク質への翻訳が遮断される。この現象は、アンチセンス効果と呼ばれる(1)。それにより、例えば、新規のウイルスの形成は中断される(ケースA)。例えば、宿主細胞からの出芽後のウイルス粒子の成熟を、異なるウイルスタンパク質の非存在によって遅延することもできる。この場合、非感染性ウイルスが出現する(ケースB)。明らかに、p24アッセイでは、かかる非感染性ウイルスと依然として感染性を示すかかるウイルスとを区別することができない。それ自体が強力であるアンチセンス効果は、この様式では弱いアンチセンス効果として誤って検出される。
【0079】
mRNA(古典的アンチセンス効果)に加えて、驚いたことに、本発明の化合物を、HIウイルス(RNAウイルス)の相補配列を有するゲノムRNA(アンチゲノム効果)に同時に付着することもできる(2)。宿主内及び/又は出芽時にこれは起こり得る。
【0080】
しかし、ウイルスの細胞膜の大部分が宿主の細胞膜からなるので、本発明の化合物は、ウイルスの出芽後も宿主の細胞膜を浸透し、その後にウイルスゲノムRNAの相補配列に付着することができる(3)。
【0081】
これらのウイルス(C及びD)は、依然としてさらなる宿主細胞に感染することができる。ウイルスゲノムRNAに付着した本発明の化合物は、明らかにウイルス逆転写酵素の遮断剤として働く。それにより、RNAのDNAへの転写はもはや可能ではなく、ウイルスの複製サイクルはこの時点で中断される。
【0082】
したがって、本発明の化合物は、相補ウイルスゲノムRNA及び相補ウイルスmRNAの両方に同時に付着することができる。ゲノムRNAへの付着の場合、本発明の化合物は、第1の宿主細胞から再度遊離し、事前に感染していない第2の宿主細胞に浸透することができる。この結果により、2世代のウイルスにわたって認められる驚くべき有効性が得られる。
【0083】
ゲノムRNAへの付着の結果として、潜在ウイルスを拮抗することもできる。例えば、現在市販されているHIV薬は、HIウイルスの複製のみを拮抗することができる。ゲノムRNAに付着する化合物(例えば、本発明の化合物など)とウイルスの複製の遮断によってウイルス数を少数に保持する化合物との併用療法を用いて、複製ウイルス及び潜在ウイルスの両方を本発明によって同時に拮抗することができ、したがって、対応するウイルスの駆除を人体で達成することができる。
【0084】
本発明の化合物は、欧州特許第1157031号に記載の立体化学的に不均一な化合物と比較して、より優れたアンチセンス効果及びより強力な有効性を示す。両化合物クラスでは、アンチセンス効果の強度は、オリゴマーの調製のために使用されたモノマー数の増加(すなわち、nより大きな値)と共に上昇する。しかし、明らかにより短い本発明の化合物でさえ、作用に関して欧州特許第1157031号のより長い立体化学的に不均一のオリゴマーより明確且つ驚くほどに優れている。この性質により、本発明の化合物が、さらなる適用に特に有益となる。
【0085】
本発明の化合物は、その相補核酸配列に結合する能力により、異なる疾患の治療に大きな関心が寄せられている。これらの化合物により、生物と無関係のDNA又はRNAの存在に寄与する疾患を拮抗することができる。例えば、特に、ウイルス、例えば、HIV、B型肝炎及びC型肝炎、又はHPVに起因する疾患が挙げられる。
【0086】
身体自体のmRNAの過剰発現に遡及される疾患を、本発明の化合物によって拮抗することもできる。例として、皮膚癌、肺癌、肝臓癌、前立腺癌、白血病又は脳腫瘍などの異なる癌種を列挙することができる。
【0087】
本発明の化合物を使用した対応する実験は、Her2/neuを過剰発現する乳癌細胞株MDA453の細胞増殖の33%減少を示した。この実験では、細胞株を、Her2/neu mRNAに相補的な適合配列を示す本発明の化合物と細胞培養物中で4日間インキュベートした。Her2/neu mRNAと相補的な適合配列を示さないネガティブ対照は、細胞増殖の減少を示さなかった。
【0088】
乳癌患者の場合、従来の化学療法と組み合わせて、乳癌中のHer2/neu濃度の減少により、明らかに生存率が上昇する(Piccart-Gebhart MJ et al.: Herceptin (登録商標)Adjuvant (HERA) Trial Study Team. Trastuzumab after adjuvant chemotherapy in HER2-positive breast cancer. N. Engl. J. Med. 2005 Oct 20; 353 (16): 1659-72)。
【0089】
さらに、炎症性疾患、例えば、喘息又は乾癬、神経系疾患、例えば、パーキンソン病、又はコレステロール値の上昇などの代謝性疾患を、本発明の化合物によって拮抗することができる。
【0090】
コレステロールキャリアタンパク質ApoB100の発現に指向される本発明の化合物を使用した対応する実験は、PBS緩衝液のみで処置した対照群と比較して、マウスで41%のApoB100含量の減少を示した。同時に、32%のApoB48(結腸から肝臓へのコレステロール輸送を担うさらなるコレステロールキャリアタンパク質)の減少が認められた。ApoB100及びApoB48の減少により、コレステロール濃度が全体で約25%減少した。この実験では、マウスに、本発明の化合物を濃度25mg/kgで、1日1回3日間連続して静脈内に投与し、次いで、4日目にマウスの血液を分析した。
【0091】
ApoB100及びApoB48の減少は、動脈硬化及びコレステロール値の増加に関連する疾患の拮抗に関して、特に高リスク群に関して有益である。
【0092】
疾患の予防及び/又は治療のための薬剤の調製のため、本発明による化合物の使用もまた本発明の主題である。概して、本発明による化合物は、既知の許容可能な様式を用いて、単独で又は任意の他の治療剤と組み合わせて投与される。例えば、投与は以下の経路:例えば糖衣錠、コーティング錠、丸薬、半固体剤、軟カプセル剤及び硬カプセル剤、水剤、乳剤又は懸濁剤として経口;例えば注射剤として非経口;座薬として経直腸;例えば粉末製剤又は散布剤として吸入、経皮又は経鼻の一つを適用することができる。このような錠剤、丸薬、半固体、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造について、治療に使用可能な製品は薬理学的に不活性な無機又は有機の薬物担体物質、例えばラクトース、スクロース、グルコース、ゼラチン、モルト、シリカゲル、澱粉又はそれらの誘導体、タルカム、ステアリン酸又はその塩、及び脱脂粉乳等と混合され得る。軟カプセル剤の製造については、植物油、石油、動物油又は合成油、ろう、脂肪、ポリオールなどの薬物担体物質を使用することができる。液体水剤及びシロップの製造については、水、アルコール、塩水溶液、水性デキストロース、ポリオール、グリセロール、植物油、石油、動物油又は合成油などの薬物担体物質を使用することができる。座薬については、植物油、石油、動物油又は合成油、ろう、脂肪及びポリオールなどの薬物担体物質を使用することができる。エアロゾル製剤については、酸素、窒素、及び二酸化炭素など、この目的に適した圧縮ガスを使用することができる。薬学的に使用可能な薬剤はまた、保存用添加剤、安定化のための添加物、乳化剤、甘味剤、香料、浸透圧を変えるための塩、緩衝物質、コーティング用添加剤及び抗酸化剤を含有し得る。
【0093】
本発明による一般式Iの化合物は、例えばそれ自体周知の方法での一般式IIの化合物の反応による文献に記載の方法によって、製造することができる(例えばL. Christensen, R. Fitzpatrick, B. Gildea, K.H. Petersen, H.F. Hansen, T. Koch, M. Egholm, O. Buchardt, P.E. Nielsen, J. Coull, R.H. Berg, J. Pept. Sci. 3, 1995, 175 - 183;T. Koch, H.F. Hansen, P. Andersen, T. Larsen, H.G. Batz, K. Otteson, H. Orum, J. Pept. Res. 49, 1997, 80 - 88;F. Bergmann, W. Bannwarth, S. Tam, Tetrahedron Lett. 36, 1995, 6823 - 6826)。
【0094】
一般式IIの化合物において:
【0095】
【化3】

【0096】
残基Rは、例えば水素原子又はアリル、ベンジル、エチル、若しくはメチル残基、又は可溶性又は不溶性のポリマーを表す。
【0097】
Prは、水素原子又は切断可能なアミン保護基を示す。アミン保護基は、核酸塩基保護基の存在下で選択的に切断可能でなければならない。好ましくは、Prは、水素原子、オキソカルバメート保護基、又はチオカルバメート保護基を示し、最も好ましくは、Prは、水素原子又はFmoc保護基、Boc保護基、Cbz保護基、Mmt保護基、又はBhoc保護基を示す。
【0098】
E及び残基Rは、上記定義の通りである。
【0099】
残基Rが結合する不斉中心()は、R又はS立体配置を示し得る。
【0100】
例えば、一般式IIの化合物を、以下の方法に従って製造することができる。
【0101】
不斉中心がR立体配置の一般式IIの化合物の製造:
【0102】
反応工程1:
【0103】
【化4】

【0104】
手順は、ピラジン遊離体のS立体配置から出発し、例えば文献に記載のように実行され得る(U. Schollkopf, U. Busse, R. Lonsky, R. Hinrichs, Liebigs Ann. Chem. 1986, 2150 - 2163;A. Schick, T. Kolter, A. Giannis, K. Sandhoff, Tetrahedron 51, 1995, 11207 - 11218)。
【0105】
反応工程2:
【0106】
【化5】

【0107】
例えば、手順は、文献に記載のように実行することができる(U. Schollkopf, U. Busse, R. Lonsky, R. Hinrichs, Liebigs Ann. Chem. 1986, 2150 - 2163)。
【0108】
反応工程3:
【0109】
【化6】

【0110】
塩基(例えば、NaHCO3、NH3)によるその塩酸塩からのアミンの放出後、反応工程2由来の生成物の混合物を以下の反応で使用することができる。この還元的アミノ化の反応を、文献に記載のように行うことができる(G. Haaima, A. Lohse, 0. Buchardt, P.E. Nielsen, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 35, 1996, No 17, 1939-1942)。シアノ水素化ホウ素ナトリウムの代わりに、他の還元剤、例えば、水素及び触媒(例えば、Pd/C)も使用することができる。反応生成物は、クロマトグラフィによって分離される。
【0111】
反応工程4:
【0112】
【化7】

【0113】
手順は文献に記載のように実行することができる(G. Haaima, A. Lohse, O. Buchardt, P.E. Nielsen, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 35, 1996, No 17, 1939 - 1942)。これに関連して、DCC/DHBTの代わりに他のカップリング試薬を使用してもよい。化合物E−CH−COOH(例えば、C(PG)−CH−COOH、A(PG)−CH−COOH、G(PG)−CH−COOH、T−CH−COOH、又はJ(PG)−CH−COOH(式中、A=アデニニル、C=シトシニル、G=グアニニル、T=チミニル、J=プソイドイソシトシニル、PG=保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Z)、ベンジル(Bzl)、アセチル(Ac)又はアニソイル(An))の製造は、文献に記載のように実行することができる(S.A. Thomson, J.A. Josey, R. Cadilla, M.D. Gaul, F.C. Hassmann, M.J. Lazzio, A.J. Pipe, K.L. Reed, D.J. Ricca, R.W. Wiether, S.A. Noble, Tetrahedron 51, 1995, 6179 - 6194)。さらなる可能な保護基はまた、文献に記載されている(G. Breitpohl, D.W. Will, A. Peymann, E. Uhlmann, Tetrahedron 53, 1997, 14671 - 14686;T. Kofoed, H.F. Hansen, H. Orum, T. Koch, J. Peptide Sci., 7, 2001, 402 - 412)。
【0114】
反応工程5:
【0115】
【化8】

【0116】
手順は文献に記載のように実行することができる(G. Haaima, A. Lohse, O. Buchardt, P.E. Nielsen, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 35, 1996, No 17, 1939 - 1942)。
【0117】
反応工程5における生成物として生成される一般式IIの化合物のより簡潔な記述のために、以下の略語を使用する。 例えば、反応工程4でA(PG)−CH2−COOHを使用する場合、不斉中心を有する対応する一般式IIの化合物が得られる。この化合物を、ここでは一般にAR(PG)と略する。これに関連して、略語Aは、不斉中心を有する一般式IIの化合物中の核酸塩基を意味し、上付きのRは、その化合物のR立体配置を意味し、略語PGは核酸塩基での保護基を意味する。例えば、反応工程4でフェニル酢酸を使用する場合、不斉中心を有する一般式IIの化合物が得られ、これをPと略する。
【0118】
不斉中心を持たない対応する一般式IIの化合物(R=H)は、不斉中心を有する一般式IIの化合物と同様に略されるが、核酸塩基を示す大文字及び立体配置を示す上付き文字(例えば、A)の代わりにそれぞれ小文字aを使用されることが異なる。例えば、核酸塩基としてPG保護Cを有する、不斉中心を持たない一般式IIの化合物は、c(PG)と略される。
【0119】
不斉中心がS立体配置の一般式IIの化合物の製造について、R立体配置を有するピラジン遊離体(educt)を反応工程1で使用し、反応工程1〜5を同様に行う。次いで、例えば、一般式IIの化合物が得られ、これはA(PG)と略される。
【0120】
本発明の化合物は、例えば、それ自体周知の方法で一般式IIの化合物の反応による固相合成によって製造することができる。固相合成によれば、核酸塩基の保護基は、一般式Iの化合物が得られるように切断され、これは以下のように省略される。
【0121】
例えば、R立体配置を有する不正中心を有する一般式IIの化合物からもっぱら製造され、アセチル基でキャッピングされた本発明の化合物は、Ac−A−NHと省略される。
【0122】
例えば、R立体配置を有する不斉中心を有する一般式IIの化合物及び不斉中心を持たない一般式IIの化合物から製造され、最終工程にてフルオレセインで標識され、その後に樹脂から第一級アミドとして切断する本発明の化合物は、Flu−AgTtTaaCc−NHと省略される。
【0123】
例えば、S立体配置を有する不斉中心を有する一般式IIの化合物、及びBoc−Gly−PAM−MBHA樹脂におけるBoc−ε−(L)−トリメチルリジンヨージド(Boc−ε(L)TMLヨージドなどのLアミノ酸からもっぱら製造され、最終工程にてアセチル基でキャッピングされ、その後に樹脂から第一級アミドとして切断される本発明の化合物は、AC−ε(L)TML−A−Gly−NHと省略される。
【0124】
例えば、S立体配置を有する不斉中心を有する一般式IIの化合物、及びBoc−Gly−PAM−MBHA樹脂におけるBoc−ε−(L)−トリメチルリジンヨージド(Boc−ε(L)TMLヨージド)などの4つのLアミノ酸からもっぱら製造され、最終工程にてアセチル基でキャッピングされ、その後に樹脂から第一級アミドとして切断される本発明の化合物は、AC−ε(L)TML−ε(L)TML−ε(L)TML−ε(L)TML−A−Gly−NHと省略される。
【0125】
例えば、R立体配置を有する不斉中心を有する一般式IIの化合物、及び不斉中心を持たない一般式IIの化合物、グリシン及びBoc−Gly−PAM−MBHA樹脂における4−(ジエトキシホスホリル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)酪酸(Boc−DEPABS)などの2つのアミノ酸にから製造され、最終工程にてアセチル基でキャッピングされ、その後に樹脂から第一級アミドとして切断される本発明の化合物は、Ac−(DEPABS)−Gly−gcgtGtGggaagGcAg−Gly−NHと省略される。
【0126】
例えば、R立体配置を有する不斉中心を有する一般式IIの化合物及び不斉中心を持たない一般式IIの化合物、Boc−Gly−PAM−MBHA樹脂においてアミノ酸であるL−リジン(L−Lys)、L−アルギニン(L−Arg)、L−バリン(L−Val)から製造され、最終工程にてアセチル基でキャッピングされ、その後に樹脂から第一級アミドとして切断される本発明の化合物は、Ac−(L−Lys)−(L−Lys)−(L−Lys)−(L−Arg)−(L−Lys)−(L−Val)−agctCcTcgcccTtGc−Gly−NHと省略される。
【0127】
例えば、R立体配置を有する不斉中心を有する一般式IIの化合物及び不斉中心を持たない一般式IIの化合物、Boc−Gly−PAM−MBHA樹脂においてアミノ酸であるBoc−ε−(L)−トリメチルリジンヨージド(Boc−ε(L)TMLヨージド)及びキレート剤1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸−トリ−tert−ブチルエステル(DOTA)から製造され、その後に樹脂から第一級アミドとして切断される本発明の化合物は、DOTA−ε(L)TML−CaGtTaGgGtTaG−Gly−NHと省略される。
【実施例】
【0128】
[実施例1]
(2R,5S)−2−(2−(ジエトキシホスホリル)エチル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピルピラジンの調製
【0129】
【化9】

【0130】
0.52molの(S)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジンを、アルゴン下で400mlの無水THFに溶解し、−78℃に冷却する。撹拌しながら、200mlの2.7Mブチルリチウム溶液(ヘプタン中)(0.54mol)をゆっくり滴下する。その後、0.52molのジエチル(2−ブロモエチル)ホスホナートを含む300mlの無水THF溶液を撹拌しながらゆっくり滴下し、混合物を、−78℃でさらに3時間撹拌する。次いで、11.7ml(約0.2mol)の無水酢酸をゆっくり添加する。反応混合物を、室温にゆっくり加温する。溶媒を除去し、残渣を600mlのジエチルエーテルに溶解し、200mの水で洗浄する。水相を、それぞれ100mlのジエチルエーテルで3回さらに抽出する。合わせたエーテル相を、MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で除去する。残渣をジエチルエーテルとヘキサンとの混合物(1:10)に溶解し、シリカゲルベッドで濾過する。それにより、ジエチルエーテルとヘキサン(1:5)でそれは最初に溶離される。
収率:約70%(黄色液体)
【0131】
1H-NMR(CDCl3): 0.71, 1.04 (d, 6H, CH(CH3)2), 1.33 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2), 1.68-2.25 (m, 4H, CHCH2CH2P), 3.65, 3.67 (s, 6H, OCH3), 4.02 (m, 1H), 4.10-4.20 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2).
【0132】
[実施例2]
(2R,5S)−2−(8−(ジベンジルオキシ−ホスホリル)オクチル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピルピラジンの製造
実施例1の製造法と同様に、(S)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジンとジベンジル−(8−ブロモオクチル)ホスホネートから出発して、(2R,5S)−2−(8−ジベンジルオキシ−ホスホリル)オクチル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピルピラジンを製造する。
【0133】
[実施例3]
(2S,5R)−2−(4−(ジシクロヘキシルオキシ−ホスホリル)ブタ−2−エニル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピルピラジンの製造
実施例1の製造法と同様に、(R)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジンとジシクロヘキシル−(4−ブロモ−ブタ−2−エニル)ホスホネートから出発して、(2S,5R)−2−(4−(ジシクロヘキシルオキシ−ホスホリル)ブタ−2−エニル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピルピラジンを製造する。
【0134】
[実施例4]
(2R)−2−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル]−アミノ−4−(ジエトキシ−ホスホリル)−酪酸メチルエステルの製造
【0135】
【化10】

【0136】
0.38molの(2R,5S)−2−(2−(ジエトキシ−ホスホリル)エチル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピル−ピラジンを、400mlのジエチルエーテルに溶解する。この溶液に、1150mlの1N塩酸水溶液を添加する。60分後、反応が完了し、エーテルを除去する。生成物を保存する場合、水も真空下で完全に除去する。生成物を直ちにさらに反応させる場合、ロータリーエバポレーターによって約半分の水を除去し、次いで、反応混合物のpH値を、アンモニア溶液によってpH8〜9に調整する。塩基性溶液を、ジクロロメタンで6回抽出し、ここで、pH値を調節し、所望により毎回補正する。ジクロロメタン相を合わせ、MgSOで乾燥し、溶媒を真空下で除去する。得られた黄色オイルを直ちに次の反応(還元的アミノ化)で使用する。
【0137】
【化11】

【0138】
黄色オイル(完全に反応したと見なされる)を、600mlのメタノールに溶解し、0℃に冷却する。その後、0.76molのN−Boc−アミノアセトアルデヒドを添加する。0℃で30分間の撹拌後、最初に0.90molの無水酢酸を添加し、次いで、0.40molのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加する。ガス発生が完了するまで反応混合物を0℃で撹拌し、ロータリーエバポレーターによって溶媒を除去する。残渣を、酢酸エチルエステル(約600ml)に溶解し、さらに、飽和重炭酸ナトリウム溶液(約200ml)で1回洗浄し、飽和塩化ナトリウム溶液(約100ml)で1回洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過する。その後、溶媒を真空下で除去する。
【0139】
シリカゲルを充填したガラスフリットでのSPEによってさらに精製する。夾雑物及び望ましくない生成物を、ヘキサンと酢酸エチルエステルとの混合物(1:1)で最初に溶離し、次いで、純粋な酢酸エチルエステルで溶離する。メタノールを10%含むジクロロメタンでの抽出によって所望の生成物を最終的に得る。
【0140】
溶媒の除去後、約75%の生成物が黄色粘性オイルとして得られる。
【0141】
1H-NMR(CDCl3): 1.35 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2), 1.47 (s, 9H, C(CH3)3); 1.8-2.0 (m, 4H, CHCH2CH2P,), 2.5-2.6, 2.75-2.85, 3.0-3.4 (m, 4H, NCH2CH2N), 3.75 (s, 3H, OCH3), 4.0-4.2 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2).
【0142】
[実施例5]
(2R)−2−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル]−アミノ−10−(ジベンジルオキシ−ホスホリル)デカン酸メチルエステルの製造
実施例4の製造方法と同様に、(2R,5S)−2−(8−(ジベンジルオキシ−ホスホリル)オクチル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピルピラジンから出発して(2R)−2−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル]−アミノ−10−(ジベンジルオキシ−ホスホリル)デカン酸メチルエステルを製造する。
【0143】
[実施例6]
(2S)−2−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル]−アミノ−6−(ジシクロヘキシルオキシ−ホスホリル)ヘキサ−4−エン酸メチルエステルの製造
実施例4の製造方法と同様に、(2S,5R)−2−(4−(ジシキロヘキシルオキシ−ホスホリル)−ブタ−2−エニル)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−5−イソプロピルピラジンから出発して(2S)−2−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル]−アミノ−6−(ジシクロヘキシルオキシ−ホスホリル)−ヘキサ−4−エン酸メチルエステルを製造する。
【0144】
[実施例7]
(R)−2−([2−{N4−ベンジルオキシカルボニルシトシン−1−イル}−アセチル]−[2−tert −ブトキシカルボニルアミノエチル]−アミノ)−4−(ジエトキシ−ホスホリル)酪酸メチルエステルの製造
【0145】
【化12】

【0146】
30.96mmolの4−N−(ベンジルオキシカルボニル)−シトシン−1−イル−酢酸及び30.96mmolの3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−l,2,3−ベンゾトリアジン(DHBT−OH)を含む100mlの無水DMFの撹拌溶液に、32.51mmolのジシクロヘキシルカルボジイミドを添加し、この溶液を40℃で1時間撹拌する。次いで、23.84mmolの(2R)−2−[2−(tert −ブトキシカルボニルアミノ)エチル]−アミノ−4−(ジエトキシ−ホスホリル)−酪酸メチルエステルを添加し、40℃で撹拌する。反応をHPLCによってモニタリングし、3日後に完了する。
【0147】
溶液を、濾過によって不溶性部分から分離し、溶媒を真空下で除去する。残渣を、ジクロロメタンに溶解し、冷蔵庫に一晩保存する。このプロセスでは、さらなるジシクロヘキシル尿素が沈殿し、これを濾過によって分離する。濾液を、重炭酸ナトリウムの希釈溶液(飽和重炭酸ナトリウム溶液1/3、水2/3)で2回又は3回洗浄し、硫酸水素カリウムの希釈溶液(飽和硫酸水素カリウム溶液1/3、水2/3)で1回又は2回洗浄し、MgSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮する。酢酸エチルエステルに溶解し、冷蔵庫に一晩保存することによってさらに精製し、そこで濾過によってさらに所望により沈殿したジシクロヘキシル尿素を分離し、溶媒を再度除去する。次いで、粗生成物をジクロロメタン(粗生成物3gあたり5ml)に溶解し、ジエチルエーテル(粗生成物3gあたり25ml)及びヘキサン(粗生成物3gあたり5ml)で再度沈殿させる。夾雑物を含む溶媒を除去し、生成物を真空下で乾燥させる。
収率:約65%(鮮黄色固体)
【0148】
1H-NMR(CDCl3): 1.32 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.44 (s, 9H, C(CH3)3); 1.75-2.45 (m, 4H, CHCH2CH2P); 3.2-3.85 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.73 (s, 3H, OCH3); 4.07 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.28 (m, 1H, NCHC(O)); 4.42/4.99 (2d, 2H, NCH2C(O)); 5.22 (s, 2H, OCH2Ph); 5.56 (t, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.25 (d, 1H, CCH=CHN); 7.38 (s, 5H, Ph);7.55 (d, 1H, CCH=CHN).
【0149】
[実施例8]
(R)−2−([2−{N4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−シトシン−1−イル}−アセチル]−[2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル]−アミノ)−4−(ジエトキシホスホリル)酪酸の製造
【0150】
【化13】

【0151】
19.1mmolの(R)−2−([2−{N4−ベンジルオキシカルボニルシトシン−1−イル}−アセチル]−[2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル]−アミノ)−4−(ジエトキ−シホスホリル)酪酸メチルエステルを、THFと水(2:3)の80mlに溶解し、0℃に冷却する。この溶液に、48mlの1M水酸化リチウム溶液を滴下する(約pH〜9)。反応の進行を、DC(メタノール10%のジクロロメタン溶液)を用いてモニターする。反応終了後、反応溶液を130mlの塩化ナトリウム水溶液で希釈し、ジクロロメタン(200ml)で1回抽出する。水相を、2M硫酸水素カリウム溶液でpH値2〜3に調整し、ジクロロメタンで数回抽出する。それにより、pH値が調節され、所望により何度も反復して補正する。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、溶媒を真空下で除去する。必要に応じて、粗生成物を、ジエチルエーテルを使用してジクロロメタンから再沈殿させることができる。最後に、生成物を凍結乾燥機によって乾燥する。
収率:約80%(淡黄色固体)
【0152】
1H-NMR(DMSO-d6): 1.21 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.39 (s, 9H, C(CH3)3); 1.70-2.30 (m, 4H, CHCH2CH2P); 2.90-3.60 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.93-4.02 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.25 (m, 1H, NCHC(O)); 4.50-4.83 (m, 2H, NCH2C(O)); 5.19 (s, 2H, OCH2Ph); 6.88 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.02 (d, 1H, CCH=CHN); 7.31-7.41 (m, 5H, Ph); 7.97 (d, 1H, CCH=CHN).
【0153】
[実施例9]
さらなる一般式IIの化合物の製造
実施例7及び8と類似の合成により、ただし、C(Z)−CH2−COOHに加えて、A(Z)−CH2−COOH、A(An)−CH2−COOH、A(Bzl)−CH2−COOH、又はG(Z)−CH2−COOH、G(Ac)−CH2−COOH、C(An)−CH2−COOH、C(Bzl)−CH2−COOH、J(Z)−CH2−COOH、J(Bzl)−CH2−COOH、J(An)−CH2−COOH、又はT−CH2−COOH(A=アデニニル、C=シトシニル、G=グアニニル、T=チミニル;J=シュードイソシトシニルなどの、それぞれさらにZ保護、ベンジル保護(Bzl)、アニソイル保護(An)、又はアセチル保護(Ac)した、及び非保護の核酸塩基酢酸成分、及びフェニル酢酸を使用し、本発明のさらなる一般式IIの化合物を製造する。
【0154】
AR(Z):
1H-NMR(CH3OH-d4): 1.20 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.34 (s, 9H, C(CH3)3); 1.70-2.30 (m, 4H, CHCH2CH2P); 3.00-3.80 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.93-4.02 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.10 (m, 1H, NCHC(O)); 5.18 (s, 2H, OCH2Ph); 5.20-5.40 (m, 2H, NCH2C(O)); 7.15-7.40 (m, 5H, Ph); 8.14 (s, 1H, N=CHN); 8.46 (s, 1H, N=CHN).
【0155】
AR(Bzl):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.21 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2), 1.40 (s, 9H, C(CH3)3); 1.70-2.20 (m, 4H, CHCH2CH2P,), 2.90-3.75 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.90-4.10 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.22 (m, 1H, NCHC(O)); 5.25-5.45 (m, 2H, NCH2C(O)); 6.96 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.50-8.10 (m, 5H, Ph); 8.42 (s, 1H, N=CHN); 8.69 (s, 1H, N=CHN).
【0156】
AR(An):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.21 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.41 (s, 9H, C(CH3)3); 1.70-2.20 (m, 4H, CHCH2CH2P); 2.90-3.750 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.86 (s, 3H, OCH3); 3.90-4.10 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.22 (m, 1H, NCHC(O)); 5.25-5.45 (m, 2H, NCH2C(O)); 6.96 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.08 (d, 2H, Ph); 8.05 (d, 2H, Ph); 8.42 (s, 1H, N=CHN); 8.69 (s, 1H, N=CHN).
【0157】
JR(Z):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.32 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2), 1.42 (s, 9H, C(CH3)3); 1.60-2.50 (m, 4H, CHCH2CH2P,), 3.10-3.55 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.65-3.90 (m, 2H, NCH2C(O)); 4.00-4.15 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.20 (m, 1H, NCHC(O)); 5.24 (s, 2H, OCH2Ph); 6.80 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.27 (d, 1H, C=CHN); 7.30-7.50 (m, 5H, Ph).
【0158】
JR(An):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.22 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.38 (s, 9H, C(CH3)3); 1.65-2.25 (m, 4H, CHCH2CH2P); 2.80-3.70 (m, 4H, NCH2CH2N); 2.80-3.70 (m, 2H, CCH2C(O)); 3.84 (s, 3H, OCH3); 3.90-4.05 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.17 (m, 1H, NCHC(O)); 6.81 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.05 (d, 2H, Ph); 7.70 (s, 1H, NCH=C); 8.07 (d, 2H, Ph).
【0159】
GR(Z):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.18 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2), 1.37 (s, 9H, C(CH3)3); 1.70-2.30 (m, 4H, CHCH2CH2P,), 2.95-3.70 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.90-4.10 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.20 (m, 1H, NCHC(O)); 4.85-5.20 (m, 2H, NCH2C(O)); 5.269 (s, 2H, OCH2Ph); 6.95 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.30-7.50 (m, 5H, Ph); 7.85 (s, 1H, N=CHN).
【0160】
GR(Ac):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.20 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.41 (s, 9H, C(CH3)3); 1.70-2.18 (m, 4H, CHCH2CH2P); 2.20 (s, 3H, CH3C(O)); 2.90-3.60 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.90-4.10 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.22 (m, 1H, NCHC(O)); 4.91-5.22 (m, 2H, NCH2C(O)); 7.00 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.88 (s, 1H, N=CH-N);.
【0161】
CR(Bzl):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.21 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.40 (s, 9H, C(CH3)3); 1.70-2.30 (m, 4H, CHCH2CH2P); 3.20-3.60 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.93-4.02 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.28 (m, 1H, NCHC(O)); 4.50-4.83 (m, 2H, NCH2C(O)); 6.90 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.33 (d, 1H, CCH=CHN); 7.50-7.55 (m, 2H, Ph); 7.62 (d, 1H, CCH=CHN); 8.00-8.10 (m, 3H, Ph).
【0162】
CR(An):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.22 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.39 (s, 9H, C(CH3)3); 1.65-2.10 (m, 4H, CHCH2CH2P); 3.20-3.60 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.84 (s, 3H, OCH3); 3.85-4.05 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.25 (m, 1H, NCHC(O)); 4.50-4.95 (m, 2H, NCH2C(O)); 6.90 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.04 (d, 2H, Ph); 7.30 (d, 1H, CCH=CHN); 8.00 (d, 1H, CCH=CHN); 8.03 (d, 2H, Ph).
【0163】
TR:
1H-NMR(DMSO-d6): 1.22 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.39 (s, 9H, C(CH3)3); 1.65-2.20 (m, 4H, CHCH2CH2P); 1.75 (s, 3H, C=CCH3); 2.90-3.50 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.90-4.10 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.18 (m, 1H, NCHC(O)); 4.45-4.65 (m, 2H, NCH2C(O)); 6.86 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.37 (s, 1H, NCH=C).
【0164】
PR:
1H-NMR(DMSO-d6): 1.20 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2); 1.38 (s, 9H, C(CH3)3); 1.46-2.30 (m, 4H, CHCH2CH2P); 3.00-3.45 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.50-3.75 (m, 2H, CCH2C(O)); 3.80-4.00 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.22 (m, 1H, NCHC(O)); 7.10-7.30 (m, 5H, Ph).
【0165】
[実施例10]
不斉中心でS立体配置を有するさらなる一般式IIの化合物の製造
R立体配置を有する一般式IIの化合物の製造方法を、S立体配置を有する一般式IIの対応する化合物の製造に同様に適用する。ここに、(R)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジンを、実施例1に記載の合成における出発材料として使用し、以下の合成を記載と同様に行う。
【0166】
JS(Z):
1H-NMR(DMSO-d6): 1.32 (t, 6H, P(O)(OCH2CH3)2), 1.42 (s, 9H, C(CH3)3); 1.60-2.50 (m, 4H, CHCH2CH2P,), 3.10-3.55 (m, 4H, NCH2CH2N); 3.65-3.90 (m, 2H, NCH2C(O)); 4.00-4.15 (m, 4H, P(O)(OCH2CH3)2); 4.20 (m, 1H, NCHC(O)); 5.24 (s, 2H, OCH2Ph); 6.80 (m, br, 1H, C(O)NHCH2); 7.27 (d, 1H, C=CHN); 7.30-7.50 (m, 5H, Ph).
【0167】
[実施例11]
本発明の化合物の一般的な合成の明細
固相ペプチド合成を用いた、不斉中心を有する対応する一般式IIの化合物及び/又は不斉中心を持たない対応する一般式IIの化合物及び/又はアミノ酸及び/又はアミノ酸誘導体及び/又は蛍光マーカーの逐次的な連結により、本発明の化合物を製造する。
【0168】
これに関連して、以下の合成プロトコールを適用する。工程1:10mgの樹脂(Boc−Gly−PAM−MBHA樹脂、0.54mmol/g)をジクロロメタン中で3時間予め膨潤する。工程2:合成サイクルの開始:ジクロロメタンで4回洗浄する。工程3:TFA及びm−クレゾール(95:5)との反応によるBoc基の切断。反応時間:それぞれ3分間2回。
工程4:ジクロロメタンで5回洗浄する。
工程5:NMPで5回洗浄する。
工程6:4当量の対応する保護された一般式IIの化合物又は対応するように保護されたアミノ酸をそれぞれ、3.8当量のHATU及び9当量のNMMを用いてNMP及びピリジン(2:1)中で1分間予め活性化する。
工程7:活性化された一般式IIの保護化合物及び対応するように保護されたアミノ酸をそれぞれ固相と反応させる:1.カップリング;時間:30分)。
工程8:NMPで4回洗浄する。
工程9:ジクロロメタンで1回洗浄する。
工程10:工程6〜8を繰り返す(2.カップリング)。
工程11:ニンヒドリンを使用してカップリング効率を試験する(カイザー試験;カイザー試験で陽性の結果を示す場合、対応する保護された一般式IIの化合物を使用して工程6〜8を繰り返す必要がある)。
工程12:カイザー試験で陰性の結果を示した後、反応のシーケンスを、AcO、NMP、及びピリジン(1:15:25)の溶液でそれぞれ4分間2回キャッピングする。
工程13:NMPで5回洗浄する。
工程14:最終の対応する保護された一般式IIの化合物とのカップリングまで合成サイクル(工程2〜13)を繰り返す。
その後、最終の対応するように保護されたアミノ酸とのカップリングまで合成サイクルを所望により繰り返す(工程2〜13)。
工程15:最終の対応する保護された一般式IIの化合物のカップリング後又は対応するように保護されたアミノ酸それぞれのカップリング後、Boc基の最終切断のための工程2〜5ならびに工程12及び13(事前にカイザー試験を行わない)を最終キャッピングのために行う。
工程16:ジクロロメタンで5回洗浄する。
工程17:乾燥のためにジエチルエーテルで5回洗浄する。
【0169】
カルボン酸末端で樹脂に結合する一般式Iの化合物を得る。
【0170】
樹脂からの本発明の化合物の切断:
本発明の化合物を有する樹脂を、アンモニア水溶液(HO中に28〜30重量%のNH)中にて60℃で20時間撹拌する。切断した樹脂を、その後濾過し、濾液を真空で濃縮し、乾燥させる。粗生成物を、メタノール及び水を用いたRP−C18カラムでの分取HPLCによって精製する。本発明の化合物を、無色固体として収率約50%で得る。本発明の化合物の分子量を、MALDI−TOFによって明らかにする。
【0171】
[実施例12]
本発明の化合物のリンカーを用いた一般的な合成の明細
固相ペプチド合成を用いた、一般式IIの化合物又は不斉中心を持たない市販の非保護の若しくはZ保護された一般式IIの化合物それぞれ、又はアミノ酸及び適したリンカーモノマーの逐次的な連結により、リンカーを有する本発明の化合物を製造する。
【0172】
合成プロトコール:
工程1:10mgの樹脂(Boc−Gly−PAM−MBHA樹脂、0.54mmol/g)をジクロロメタン中で3時間予め膨潤する。
工程2:合成サイクルを開始する:ジクロロメタンで4回洗浄する。
工程3:TFA及びm−クレゾール(95:5)との反応によってBoc基を切断する。反応時間:それぞれ3分間2回。
工程4:ジクロロメタンで5回洗浄する。
工程5:NMPで5回洗浄する。
工程6:4当量の対応する保護された一般式IIの化合物又は対応するように保護されたアミノ酸をそれぞれ3.8当量のHATU及び9当量のNMMでNMP及びピリジン(2:1)中で1分間予め活性化する。
工程7:活性化された一般式IIの保護化合物又は対応するように保護されたアミノ酸をそれぞれ、固相と反応させる(1.カップリング;時間:30分)。
工程8:NMPで4回洗浄する。
工程9:ジクロロメタンで1回洗浄する。
工程10:工程6〜8を繰り返す(2.カップリング)。
工程11:ニンヒドリンを使用してカップリング効率を試験する(カイザー試験;カイザー試験で陽性の結果を示す場合、対応する保護された一般式IIの化合物を使用して工程6〜8を繰り返す必要がある)。
工程12:カイザー試験で陰性の結果を示した後、反応シーケンスを、Ac2O、NMP、及びピリジン(1:15:25)の溶液でそれぞれ4分間2回キャッピングする。
工程13:NMPで5回洗浄する。
工程14:リンカーeg1(8−アミノ−2,6−ジオキサオクタン酸)のカップリングまでの合成サイクル(工程2〜13)を繰り返す。
工程15:リンカーのカップリング:ジクロロメタンで4回洗浄する。
工程16:TFA及びm−クレゾール(95:5)との反応によってBoc基を切断する。反応時間:それぞれ3分間を2回。
工程17:ジクロロメタンで5回洗浄する。
工程18:NMPで5回洗浄する。
工程19:4当量のeg1を3.8当量のHATU及び9当量のNMMでNMP及びピリジン(2:1)中で1分間予め活性化する。
工程20:活性化されたリンカーを固相と反応させる(1.カップリング;時間:30分)。
工程21:NMPで4回洗浄する。
工程22:ジクロロメタンで1回洗浄する。
工程23:工程19〜21を繰り返す(2.カップリング)。
工程24:ニンヒドリンを使用してカップリング効率を試験する(カイザー試験;カイザー試験で陽性の結果を示す場合、工程19〜21を繰り返す必要がある)。
工程25:カイザー試験で陰性の結果を示した後、Ac2O、NMP、及びピリジン(1:15:25)の溶液でそれぞれ4分間2回キャッピングする。
工程26:NMPで5回洗浄する。
工程27:(eg1)3に関して合成工程(工程15〜26)を2回繰り返す。
工程28:最終の対応する保護された一般式IIの化合物とのカップリングまで合成サイクル(工程2〜13)を繰り返す。その後、最終の対応するように保護されたアミノ酸とのカップリングまで合成サイクルを所望により繰り返す(工程2〜13)。
工程29:最終の対応する保護された一般式IIの化合物又は対応するように保護されたアミノ酸のカップリング後、それぞれ、Boc基の最終切断のための工程2〜5及び工程12及び13(事前にカイザー試験を行わない)を最終キャッピングのために行う。
工程30:ジクロロメタンで5回洗浄する。
工程31:乾燥のためにジエチルエーテルで5回洗浄する。
【0173】
カルボン酸末端で樹脂に結合する一般式Iの化合物を得る。
【0174】
樹脂からの本発明の化合物の切断:
本発明の化合物を有する樹脂を、アンモニア水溶液(H2O中に28〜30重量%のNH3)中にて60℃で20時間撹拌する。次いで、切断した樹脂を濾過によって分離し、濾液を真空で濃縮し、乾燥する。粗生成物を、メタノール及び水を用いてRP−C18カラムを通す分取HPLCによって精製する。リンカーを有する本発明の化合物が、無色固体として収率50%で得られる。リンカーを有する本発明の化合物の分子量を、MALDI−TOFによって明らかにする。
【0175】
[実施例13]
さらなる配列の例
さらなる本発明の化合物を、実施例11又は実施例12の一般的な合成の明細によって製造する。
【0176】
Ac-ε(L)TML-ARTRCRCRTRTRCRCRARGRTRGRGRTRCR-OH
Ac-ε(L)TML-CRCRCRTRCRARCRTRTRGRARTRTRTRAR-OH
Ac-ε(L)TML-ARtCRgTRcTRaARgGRtCRaGR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-CRgTRtGRaARcARcGRcCRaTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ARtCRaGRaGRgARgCRtTRgGR-Gly-NH2
Ac-TRCRGRCRTRGRCRCRARARARGRARGRTR-OH
Ac-ε(L)TML-TRCRGRCRTRGRCRCRARARARGRARGRTR-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-tCRgCRtGRcCRaARaGRaGRt-Gly-NH2
FLu-ε(L)TML-tCRgCRtGRcCRaARaGRaGRt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-cCRtGRtCRtCRtCRaGRtARc-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-GRtCRtCRtCRaGRtARcARaTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-GRCRTRCRCRTRCRGRCRCRCRTRTRGRCR-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-GRCRTRCRCRTRCRGRCRCRTRTRTRGRCR-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ARGRCRTRCRCRTRCRGRCRCRCRTRTRGRCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-tCRaCRcARtGRgTRgGRcGRaCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-aGRcTRcCRtCRgCRcCRtTRgCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-tGRgTRcGRgGRgTRaGRcGRgCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-cTRgCRaCRgCRtGRcCRgTRcCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-gTRtCRtGRcTRgGRtARgTRgGR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-CRTRTRCRGRCRARCRTRCRAR-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-cTRtCRgCRaCRtCRa-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-cTRtCRgCRaCRtCRa-eg1-eg1-eg1-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-cTRtCRgCRaCRtCRa-eg1-eg1-eg1-tJStJS-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-cTRtCRgCRaCRtCRa-eg1-eg1-eg1-tJRtJR-Gly-NH2
Ac-GRCRTRGRCRCRARARARGRARGRTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-tcgcTRGRCRCRARARARgagt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-TRCRGRctgccaaagARGRTR-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-tcgctgccaaagARGRTR-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-TRCRGRctgccaaagagt-ε(L)TML-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-ε(L)TML-TRCRgctgCRCRaaagaGRTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-TRcgCRtgCRcaARagARgt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ε(L)TML-TRcgctgcCRaaagagRTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-tcgctgCRCRaaagagt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-tcgcTRgccaaARgagt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-TRcgctgccaaagagTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-tcgctgccaaagagTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-TRcgctgccaaagagt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-tcgctgccARaagagt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-gGRcTRcCRcARaARgARtCRtTR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-TRcGRgARgCRcARgCRcCRcTRt-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-GRtARtTRcARgTRgTRgARtGRa-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-gCRtARtTRaCRcTRtARaCRcCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-gCRaARaTRtCRtTRaTRtCRcCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-ARaARtCRaGRgGRtTRaGRgTR-Gly-NH2
Flu-ε(L)TML-ARaARtCRaGRgGRtTRaGRgTR-Gly-NH2
c-ε(L)TML-cGRcCRtTRaTRcCRgTRaGRcCR-Gly-NH2
Flu-ε(L)TML-cGRcCRtTRaTRcCRgTRaGRcCR-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-CRgTRgTRcTRgTRgTRtGRtARg-Gly-NH2
Ac-ε(L)TML-cARcGRtARtGRcTRtCRgTRcTR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-tARtTRaCRtTRcTRgGRgCRtGR-Gly-NH2
LiRho-(ε(L)TML)4-tARtTRaCRtTRcTRgGRgCRtGR-Gly-NH2
LiRho = Lissamine Rhodanin B (Sulforhodamine B)
Ac-(ε(L)TML)4-cTRcTRtGRaTRaARaTRtTRgAR-Gly-NH2
LiRho-(ε(L)TML)4-cTRcTRtGRaTRaARaTRtTRgAR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-tGRgTRgARaARtTRgCRtGRcCR-Gly-NH2
LiRho-(ε(L)TML)4-tGRgTRgARaARtTRgCRtGRcCR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gARgCRtCRtTRcGRtCRgCRtGR-Gly-NH2
LiRho-(ε(L)TML)4-gARgCRtCRtTRcGRtCRgCRtGR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-cTRcCRaTRtARtCRaTRtCRtCR-Gly-NH2
LiRho-(ε(L)TML)4-cTRcCRaTRtARtCRaTRtCRtCR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-cCRcTRgGRtGRtGRtARgTRtCR-Gly-NH2
LiRho-(ε(L)TML)4-cCRcTRgGRtGRtGRtARgTRtCR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-ARgCRtcctcGRcCRcTRtGRc-Gly-NH2
TxRed-(ε(L)TML)4-ARgCRtcctcGRcCRcTRtGRc-Gly-NH2
TxRed = Texas Red (Sulforhodamine 101)
Ac-(ε(L)TML)4-ARgCRtCRcTRcGRcCRcTRtgc-Gly-NH2
TxRed-(ε(L)TML)4-ARgCRtCRcTRcGRcCRcTRtgc-Gly-NH2
Ac-((L)Lys))4-GRtARtTRcARgtgtgARtGRa-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-GRtARtTRcARgtgtgARtGRa-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gtatTRcARgtgtgARtGRa-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-cGRcCRtTRatccgTRaGRcCR-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)4-gCRtARtTRcccttARaCRcCR-Gly-NH2
TxRed-(L-Lys)4-gCRtARtTRaccttARaCRcCR-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-gCRtARtTRaccttARaCRcCR-Gly-NH2
TxRed-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-gCRtARtTRaccttARaCRcCR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gCRtARtTRaccttARaCRcCR-Gly-NH2
TxRed-(ε(L)TML)4-gCRtARtTRaccttARaCRcCR-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-acttGRaARttcgtARtCRc-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-acttGRaARttcgtARtCRc-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-acttGRaattcgtARtCRc-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-acttGRaattcgtARtCRc-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gtgtARTARcacggARaTRa-Gly-NH2
Flu-(ε(L)TML)4-gtgtARtARcacggARaTRa-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-gtgtARtARcacggARaTRa-Gly-NH2
Flu-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-gtgtARtARcacggARaTRa-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gtgtARtacacggARaTRa-Gly-NH2
Flu-(ε(L)TML)4-gtgtARtacacggARaTRa-Gly-NH2
2 Ac-(ε(L)TML)4-ctgcTRgCRtgctgCRtGRc-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-ctgcTRgCRtgctgCRtGRc-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-ctgcTRgctgctgCRtGRc-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-ctgcTRgctgctgCRtGRc-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-agctCRcTRcggtaGRgTRc-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-agctCRcTRcggtaGRgTRc-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-agctCRctcggtaGRgTRc-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-agctCRctcggtaGRgTRc-Gly-NH2
Ac-gtccCRtGRaagatGRtCRa-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gtccCRtGRaagatGRtCRa-Gly-NH2
Ac-gtatTRcARgtgtgARtGRa-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gtatTRcARgtgtgARtGRa-Gly-NH2
Ac-gtcgCRtGRtctccGRcTRt-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gtcgCRtGRtctccGRcTRt-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-ctccARtGRgtgctCRaCRt-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-ctccARtGRgtgctCRaCRt-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-ggctCRcCRaaagaTRcTRt-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-ggctCRcCRaaagaTRcTRt-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-tcggARgCRcagccCRcTRt-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-tcggARgCRcagccCRcTRt-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-tcccARgCRgtgcgCRcARt-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-tcccARgCRgtgcgCRcARt-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-catcCRcARgcctcCRgTRt-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-catcCRcARgcctcCRgTRt-Gly-NH2
Ac-(ε(L)TML)4-gtcgCRtGRtctccGRcTRt-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-gtcgCRtGRtctccGRcTRt-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-gtcgCRtGRtctccGRcTRt-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-ctgcTRgCRtgctgCRtGRc-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-ctgcTRgCRtggctgCRtGRc-Gly-NH2
Ac-L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-agctCRcTRcgcccTRtGRc-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-agctCRcTRcgcccTRtGRc-Gly-NH2
Ac-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Lys)-(L-Arg)-(L-Lys)-(L-Val)-gcgtGRtGRggaagGRcARg-Gly-NH2
Ac-(DEPABS)2-Gly-gcgtGRtGRggaagGRcARg-Gly-NH2
DOTA-ε(L)TML-CRaGRtTRaGRgGRtTRaGR-Gly-NH2
【0177】
[実施例14]
立体化学的に不均一なオリゴマーと比較した本発明の化合物のより強力なアンチセンス効果
HIV−1−NL4−3株に慢性感染したH9細胞を、既に産生されたウイルスを除去するために、PBS緩衝液で2回洗浄する。細胞を、104細胞/ウェル、1サンプル当り4ウェルの96ウェルプレート中の本発明の化合物又はリトナビルをそれぞれ含むか含まない200μlの培養培地中で、異なる濃度でインキュベートする。インキュベーション5日後、40μlの細胞懸濁液を、各4ウェルから採取し、40μlのNonidet P−40で不活化する。
【0178】
p24GAG抗原の量を、ウィーンのInstitute for Applied Microbiologyの標準的な方法に従った定量的ELISAアッセイ(サンドイッチ−ELISA−ビオチン−ストレプトアビジン−HRP)によって決定する。標準として、既知量のp24を有するサンプルを使用して、検量線を詳細に調べる。
【0179】
これに関連して、立体化学的に不均一な配列TCGCTGCCAAAGAGT−NHのオリゴマーの場合、未処理サンプルと比較して、21%のp24量の減少が観察され得る。配列T−NHを有する本発明のより短い化合物は、減少量が36%に増加した。
【0180】
[実施例15]
2つの子世代にわたるHIVに対する有効性
ヒトCD4T−リンパ球(M8166)を、本発明の化合物と24時間プレインキュベーションし、その後にHIVに感染させる(一次感染)。
【0181】
6日後、新規に形成されたHIウイルスを有する上清を、遠心分離によって細胞から分離する。標準的な方法に従って測定することができる範囲でその後の感染(二次感染)中にHIVの増殖が得られるように、上清を必要に応じて希釈する(約1:5000)。その後、非感染細胞(M8166)に、希釈上清由来のHIVを感染させ、さらに6日後に定量的p24 ELISA試験を用いてp24量を測定する。
【0182】
本実験では、その配列のためにHIV RNAに結合することができる有効なHIV配列(適合)を有する本発明の化合物を使用する。さらに、その配列がHIV RNAへの結合について適合を示さない(不適合)本発明の化合物を使用する。二次感染後の定量的p24ELISA試験から得た測定値を、本発明の化合物を使用しなかったポジティブ対照から得られた測定値と相関させ、結果を次表にまとめた。
【0183】
【表1】

【0184】
しかし、二次感染後、HIV配列を有する本発明の化合物について、2つの最も高い使用濃度でp24濃度の明らかな減少を検出することができる。
【0185】
[実施例16]
標的配列を有する細胞中における本発明の化合物の蓄積
本発明の化合物は、相補DNA又はRNA配列をそれぞれ有する細胞中に驚くほどに強力に蓄積する。
【0186】
対応する実験では、化合物が相補DNA又はRNA配列にそれぞれ結合することができるHIV配列を有する本発明の化合物を、フルオレセイン(Flu)で標識した。
一旦HIV感染ヒトCD4Tリンパ球(M8166)及び非感染ヒトCD4Tリンパ球(M8166)を、これらの標識した本発明の化合物とインキュベートする。
【0187】
各細胞のFACS分析は、相補DNA又はRNA配列がそれぞれ存在する場合、HIV感染細胞中でHIV配列を有する本発明の化合物の有意により高い蓄積を示す。
【0188】
図2では、本発明の化合物Flu−εTML−T−Gly−NHを使用した対応する結果を示す。
【0189】
[実施例17]
本発明における異なる化合物の細胞透過性の比較
実施例16と同様に設定した実験を使用して、各不斉中心で残基Rが置換された本発明の化合物の細胞透過性を、各第2の不斉中心で残基Rが水素原子に置換された本発明の化合物の細胞透過性と比較する。
【0190】
各細胞のFACS分析は、本発明の化合物の2つの群の間の細胞透過性の相違を示さない。
【0191】
図3では、本発明の化合物Flu−εTML−T−Gly−NHを使用した対応する結果を示す。
【0192】
図4では、本発明の化合物Flu−εTML−tCgCtGcCaAaGaGt−Gly−NHを使用した対応する結果を示す。
【0193】
[実施例18]
メダカの胃腸管組織及び浮袋組織中の本発明の化合物の検出
メダカを、本発明の化合物TxRed−(εTML)−AGCTCCTCGCCCTTGC−Gly−NHの100μM溶液中に2日間飼育し、次いで、新鮮な水に移す。その後、新鮮な水への移動後1日目、2日目及び5日目にメダカ内の本発明の化合物の分布を、蛍光顕微鏡下で詳しく調べる。写真は、5日後でさえも本発明の化合物を胃腸管中に検出することができることを示す。
【0194】
図5は、対応する蛍光顕微鏡写真を示す。
【0195】
[実施例19]
本発明の化合物での経静脈治療によるマウス中のコレステロール、ApoB100及びApoB48のin vivoでの減少 ApoB100の標的配列に適合する配列を示す本発明の化合物Ac−(εTML)4−gtatTRcARgtgtgARtGRaGly−NH2を、マウスにおけるその薬理学的有効性に関して調査した。ネガティブ対照として、純粋なPBS緩衝液の注射を使用した。これに関連して、マウスに、3つの異なる濃度(25mg/kg、12.5mg/kg、6.25mg/kg)の有効な本発明の化合物(PBS緩衝液中に溶解)又は対照緩衝液を、0.1mlずつ1日1回静脈内に3日間連続して投与した。4日目に、マウスから血液サンプルを採取し、コレステロール、ApoB100及びApoB48の含有量に関して調査した。次の表の値は、PBSのみで処置したマウスに関するコレステロール及びApoB100の濃度を示す。
【0196】
【表2】

【0197】
この結果は、マウスの血中のコレステロール、ApoB100及びApoB48の明確且つ濃度に依存性の減少を実証する。
【0198】
[実施例20]
癌に対する本発明の化合物の有効性
Her2/neuの標的配列に適合する配列を示す本発明の化合物Ac−εTML−TcGgAgCcAgCcCcTt−Gly−NHを、Her2/neuを過剰発現する細胞株MDA453のその増殖阻害作用に関して調査した。ネガティブ対照として、Her2/neuの標的配列に適合する配列を示さない本発明の化合物Ac−εTML−cGcCtTaTcCgTaGcC−Gly−NH及び無処置MDA453対照細胞を使用した。
【0199】
1日目に、5000個〜10000個のMDA453細胞を、96ウェルプレートに播種した。2日目に、本発明の適合配列又は本発明の対照配列をそれぞれ1μMの濃度で添加する。3日目、4日目、及び5日目に、細胞培地を取り替え、1μMの濃度の本発明の化合物を含む新鮮な培地とそれぞれ置換する。ヨウ化プロピジウムを用いた各ウェル中のDNA含有量の決定によって増殖阻害作用を特定する。
【0200】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表わされる化合物:
【化1】

(式中、
nは、7〜35の整数を示し、
各Eは、互いに独立して、水素原子、置換又は非置換フェニル残基、置換又は非置換複素環、所望により保護基と置換された核酸塩基、又はDNAインターカレーターを示し、
各Rは、互いに独立して、水素原子又は天然に存在するか若しくは天然に存在しないアミノ酸の側鎖、又は20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、複素環又は脂環残基を示し、ここで、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、複素環又は脂環残基の少なくとも1つは、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基で置換され、

Lは、式−NR、−NR(CO)R、−NR(CS)R、−OR又はSRの基を示し、ここで、R及びRは、互いに独立して、水素原子、アルキル残基、レポーターリガンド、蛍光マーカー、インターカレーター、キレート剤、アミノ酸、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドアミド、タンパク質、炭水化物、脂質、ステロイド、脂肪酸、オリゴヌクレオチド、量子ドット、FRETクエンチャー(蛍光共鳴エネルギー移動クエンチャー)又は水溶性若しくは水不溶性ポリマーを示し、ここで、上記の各残基を所望により置換することができ、ここで、Rは、水素原子、アルキル残基、レポーターリガンド、蛍光マーカー、インターカレーター、キレート剤、アミノ酸、アミノ酸アミド、ペプチド、ペプチドアミド、タンパク質、炭水化物、脂質、ステロイド、脂肪酸、オリゴヌクレオチド、量子ドット、FRETクエンチャー又は水溶性若しくは水不溶性ポリマーを示し、上記の各残基を所望により置換することができ、
ただし、前記式Iの化合物は、少なくとも2つの不斉中心を有する。)
【請求項2】
少なくとも2つの残基Rは水素原子を示さず、かつ前記式Iの前記化合物が少なくとも2つの不斉中心を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
第2の各残基Rは、互いに独立して、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール又は脂環残基を示し、残りの残基Rは水素原子を示す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
第3の各残基Rが、互いに独立して、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール又は脂環残基を示し、残りの残基Rは、水素原子を示す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
2つ、3つ、又はそれ以上の隣接する残基Rは、互いに独立して、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール又は脂環残基を示し、かつ残りの残基Rは水素原子を示す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
各Rは、互いに独立して、20個までの炭素原子を有する所望により置換されたアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール又は脂環残基を示す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
前記の1つ又は複数の残基Rは、互いに独立して、リン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
全ての不斉中心が同一の立体配置を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
全ての不斉中心が(S)立体配置を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
全ての不斉中心が(R)立体配置を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
各残基Rは、互いに独立して、1つ又は複数のホスホン酸エステル官能基又はホスホン酸官能基を有し、ホスホン酸エステル官能基は、式−P(=O)(OV)又はP(=O)(OV)(OH)を有し、各Vは、互いに独立して、20個までの炭素原子を有する非置換のアルキル、アルケニル、アルキルアリール、アリール、又は脂環残基を示す、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
各Vは、互いに独立して、メチル、エチル、シクロヘキシル又はベンジル残基を示す、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
リンカーを介して互いに結合している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の少なくとも2つの化合物を含む化合物。
【請求項14】
前記リンカーが、少なくとも3つの8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸単位から構成されるアルキル鎖、ペプチド、オリゴヌクレオチド、又はオリゴマーを示す、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物を含む組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物又は組成物を、所望により少なくとも1つのキャリア、溶媒、又は他の薬学的アジュバントと組み合わせて含む、薬学的組成物。
【請求項17】
ウイルス疾患、癌、炎症性疾患、神経系疾患、胃腸管の疾患又は代謝性疾患の治療薬の調製のための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物若しくは組成物、又は請求項16に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項18】
ウイルス疾患、癌、炎症性疾患、神経系疾患、胃腸管の疾患、又は代謝性疾患の治療のための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物若しくは組成物又は請求項16に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項19】
HIV、AIDS、又は肝炎の治療のための請求項17又は18に記載の使用。
【請求項20】
皮膚癌、肺癌、肝臓癌、前立腺癌、白血病又は脳腫瘍の治療のための請求項17又は18に記載の使用。
【請求項21】
喘息又は乾癬の治療のための請求項17又は18に記載の使用。
【請求項22】
パーキンソン病の治療のための請求項17又は18に記載の使用。
【請求項23】
結腸癌、クローン病、又は肥満の治療のための請求項17又は18に記載の使用。
【請求項24】
増加した血中コレステロール濃度と相関する疾患の治療のための請求項17又は18に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−544776(P2009−544776A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521152(P2009−521152)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006483
【国際公開番号】WO2008/009470
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509021579)ウギケム ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】UGICHEM GMBH
【Fターム(参考)】