説明

ホットプレス成形方法及びホットプレス用成形金型

【課題】孔明け工具の長寿命化を果たすと共に、貫通孔の孔間ピッチを素材の焼入れ硬化後の収縮作用に影響されず所定の孔間ピッチ寸法になるようにした。
【解決手段】予め2つの貫通孔2a、2cが穿設された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型3によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、互いに所定孔間ピッチを有する2つの貫通孔2a、2cが形成されたプレス成形品を製作する場合、2つの貫通孔2a、2cの孔間ピッチを所定孔間ピッチaに対して素材1Aの熱膨張率を考慮してxだけ小さくなるように素材1Aに穿設しておき、素材1Aの加熱により一旦拡大した貫通孔2aと2cとの間の孔間ピッチを、可動ロケートピン6,7を素材1Aの収縮作用に合わせて移動させ、貫通孔2a、2c間を所定孔間ピッチaに矯正にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材から互いに所定孔間ピッチを有する少なくとも2つ以上の貫通孔又は少なくとも1つの突起より所定孔間ピッチを有する少なくとも1つの貫通孔が形成されたプレス成形品を製作するホットプレス成形方法及びホットプレス用成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のホットプレス加工方法及びホットプレス用成形金型は、一般に自動車のドアインパクトビームやサイドドアビーム或いはセンターピラー等の車体部品などのプレス成形品をプレス成形する場合に用いられており、これらのプレス成形品には、例えば、通常二つ以上の貫通孔がより正確な孔間ピッチを有するように形成するようにしている。
【0003】
そこで、従来の車体部品などのプレス成形品においては、予め貫通孔を形成しておいた素材を加熱した状態で、プレス成形すると共に焼入れ硬化をしたのでは、成形後のプレス製品に形成された貫通孔の形成位置が素材の収縮作用によって正確にならないことに鑑みて、プレス成形後に孔明け加工のための切削加工を行うことが多く採用されていた。
【0004】
しかしながら、プレス成形後孔明け加工を行う場合、プレス成形品は、焼入れ硬化しているために、穿孔する工具が急速に損傷してしまい、工具の寿命が大幅に短縮する問題がある。
【0005】
本願出願人は、先に、かかる問題点に鑑み、ホットプレス加工において穿孔する工具の寿命の大幅短縮を防止する目的でなされた鋼材のホットプレス加工法を提案している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−248253号公報。
【0006】
この鋼材のホットプレス加工法は、鋼材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された鋼材を型開き状態にある低温金型間に導入すると共に型締めを開始し、鋼材の硬化が実質的に開始するに先立って、金型に保持された鋼材の孔明け作業を行い、成形及び孔明け加工の実質的完了後に鋼材の硬化のための金型による鋼材の急冷を行うようにしたものである。
【0007】
かかるホットプレスの加工法によれば、焼入れ温度まで加熱された鋼材は低温の金型によってプレス成形され、金型との接触により急冷されて焼入れされるのであり、当該プレス成形中に工具による穿孔加工が行われ、プレス成形中であるために鋼材の未硬化の段階において工具による孔明け加工が行われることになって、孔明け加工の際における工具の負担を軽くして、寿命の大幅短縮を防止することができるという効果を奏することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のホットプレス加工法によれば、プレス成形中の鋼材が未硬化の段階において穿孔加工が行われる結果、その後金型に接触させて鋼材を急冷硬化した際に、加熱されていた鋼材が急冷されて収縮することになり、結果的に、穿孔した孔が例えば2つ以上ある場合に、これら孔間ピッチが鋼材の収縮作用により小さくなってしまい、所定の孔間ピッチを有する孔を持ったプレス成形品がプレス成形され得ないことになってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、孔明け工具の長寿命化を果たすと共に、少なくとも2つ以上有する貫通孔の孔間ピッチ又は少なくとも1つの突起に対する少なくとも一つの貫通孔の孔間ピッチを有するように形成された素材の焼入れ硬化後の収縮作用に影響されず所定寸法になるようにプレス成形可能なホットプレス成形方法及びホットプレス用成形金型を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1のホットプレス成形方法は、予め少なくとも2つの貫通孔が穿設された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材から互いに所定孔間ピッチを有する少なくとも2つの貫通孔が形成されたプレス成形品を製作するホットプレス成形方法であって、先ず、前記素材に穿設した前記2つの貫通孔の孔間ピッチを前記所定孔間ピッチに対して前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率を考慮して小さくなるように設定して、前記素材に予め前記2つの貫通孔を穿設した後、前記素材を焼入れ温度まで加熱しておき、当該加熱された素材を前記金型によりプレス成形を行う場合に、前記素材に穿設された前記2つ貫通孔を前記下型に設置した可動ロケートピンに嵌合した状態で、前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に前記金型により当該素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、前記2つの貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを移動させることによって、前記所定孔間ピッチに矯正するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
又、上記目的を達成するために、本発明に係る第1のホットプレス成形用型は、予め少なくとも2つ以上の貫通孔が穿設された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材から互いに所定孔間ピッチを有する少なくとも2つの貫通孔が形成されたプレス成形品を製作するホットプレス用成形金型であって、該成形金型を上型および下型で構成し、該下型に、前記素材に穿設した前記2つの貫通孔をロケートする可動ロケートピンを、該可動ロケートピンのピン間距離を前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率による前記2つの貫通孔の孔間ピッチの拡大分大きく設定した状態で設置して、前記2つの貫通孔を穿設した後焼入れ温度まで加熱した前記素材をプレス成形する場合に、前記素材に穿設された2つの貫通孔を前記可動ロケートピンに嵌合した状態で、前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に前記金型により当該素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、一旦前記素材の膨張により拡大した前記2つの貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記両可動ロケートピンがそのピン間距離を縮める方向に移動して、前記所定孔間ピッチに矯正するように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
かかる構成を有する本発明に係る第1のホットプレス成形方法又はホットプレス成形用金型によれば、プレス成形する前の素材に予め貫通孔を通常の孔明け工具を用いて穿孔加工しておくことから、当該孔明け工具の長寿命化を果たし得ると共に、予め穿孔した少なくとも2つの貫通孔を可動ロケートピンに嵌合した状態で、金型の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材の加熱した結果として一旦プレス成形品の2つの貫通孔間の所定孔間ピッチに対して拡張した2つの貫通孔の孔間ピッチを、焼入れ硬化過程における素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮方向に移動させて矯正でき、前記所定の孔間ピッチを有する少なくとも2つの貫通孔が形成されたプレス成形品を得ることができる。
【0013】
又、本発明に係る第2のホットプレス成形方法は、少なくとも1つの貫通孔が穿設されると共に一つの突起が形成された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材の前記貫通孔が前記突起に対して所定孔間ピッチを有するように形成されたプレス成形品を製作するホットプレス成形方法であって、先ず、前記素材に穿設した1つの貫通孔における前記突起に対する所定孔間ピッチに対して前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率を考慮して小さくなるように設定して、前記素材に予め前記貫通孔を穿設すると共に前記突起を形成した後、前記素材を焼入れ温度まで加熱しておき、当該加熱された素材を前記素材を前記金型によりプレス成形を行う場合に、前記素材に穿設された前記貫通孔を前記金型を上型と共に構成する下型に設置した可動ロケートピンに嵌合すると共に前記突起を前記下型に形成した凹部に嵌合した状態で前記前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に、前記金型により前記素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、前記突起に対する前記貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを移動させることによって、前記所定間ピッチに矯正するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
又、本発明に係る第2のホットプレス成形用型は、予め少なくとも1つの貫通孔が穿設されると共に一つの突起が形成された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材の前記貫通孔が前記突起に対して所定孔間ピッチを有するように形成されたプレス成形品を製作するホットプレス用成形金型であって、該成形金型を上型および下型で構成し、該下型に、前記素材に穿設した前記一つの貫通孔をロケートする可動ロケートピンを、該可動ロケートピンの前記突起に対するピン間距離を前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率による前記突起に対する前記一つの孔間ピッチの拡大分大きく設定した状態で設置して、前記一つの貫通孔を穿設すると共に前記一つの突起を形成した後焼入れ温度まで加熱した前記素材をプレス成形する場合に、前記素材に穿設された前記一つの貫通孔を前記可動ロケートピンに嵌合した状態で前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に前記金型により当該素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、一旦前記素材の膨張により拡大した前記突起に対する前記貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記両可動ロケートピンがそのピン間距離を縮める方向に移動して、前記所定孔間ピッチに矯正するように構成したことを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成を有する本発明に係る第2のホットプレス成形方法又はホットプレス成形用金型によれば、プレス成形する前の素材に予め貫通孔を通常の孔明け工具を用いて穿孔加工しておくことから、当該孔明け工具の長寿命化を果たし得ると共に、予め穿孔した少なくとも1つの貫通孔を可動ロケートピンに嵌合した状態で、金型の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材の加熱した結果として一旦プレス成形品の一つの貫通孔の一つの突起に対する所定孔間ピッチに対して拡張した一つの貫通孔の一つの突起に対する孔間ピッチを、焼入れ硬化過程における素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮方向に移動させて矯正でき、前記一つの突起に対して前記所定の孔間ピッチを有する少なくとも1つの貫通孔が形成されたプレス成形品を得ることができる。
【0016】
又、本発明に係るホットプレス成形用型は、前記金型により前記素材を急冷して収縮作用が完了する直前に、前記可動ロケートピンの移動を阻止するストッパー手段を前記下型に設けるようにすることができ、素材の急冷収縮作用の完了直前にストッパー手段により可動ロケートピンの移動を阻止することによって、所定の孔間ピッチを有する貫通孔が形成されたプレス成形品を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成する本発明によれば、プレス成形する前の素材に予め貫通孔を通常の孔明け工具を用いて穿孔加工しておくことから、当該孔明け工具の長寿命化を果たし得ることができ、しかも、予め穿孔した少なくとも2つの貫通孔を可動ロケートピンに嵌合した状態で金型の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材の加熱した結果として一旦プレス成形品の2つの貫通孔間の所定孔間ピッチに対して拡張した2つの貫通孔の孔間ピッを、焼入れ硬化過程における素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮方向に移動させて矯正でき、前記所定の孔間ピッチを有する少なくとも2つの貫通孔が形成されたプレス成形品を得ることができ、或いは、予め穿孔した少なくとも1つの貫通孔を可動ロケートピンに嵌合した状態で金型の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材の加熱した結果として一旦プレス成形品の一つの突起に対する1つの貫通孔間の所定孔間ピッチに対して拡張した一つの貫通孔の孔間ピッチを、焼入れ硬化過程における素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮方向に移動させて矯正でき、前記突起に対して前記所定の孔間ピッチを有する少なくとも一つの貫通孔が形成されたプレス成形品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図を用いて、本発明を実施するための最良の実施の形態について、説明する。
【0019】
図1はホットプレス加工により製作する完成品としてのプレス成形品の斜視図、図2は本発明に係る一実施例による図1のプレス成形品をプレス加工する前の素材の斜視図、図3は本発明に係る第1の実施の形態を採用した金型の焼入れ初期段階の正面縦断面図、図4は同じく金型の焼入れ完了直前段階における正面縦断面図、図5は同じく金型を構成する下型を描画した斜視図である。
【0020】
先ず、図1において、本発明に係るホットプレス成形により成形するプレス成形品1は、側面視コ字状を呈して構成した長尺製品であり、上面1aに3つの貫通孔2a、2b、2cが穿設されて構成している。
【0021】
そして、プレス成形品1は、各貫通孔2a、2b、2cにおいて、中央に存する貫通孔2bを基準孔とし、他の貫通孔2a、2cが互いの所定孔間ピッチaを有して配置されるように構成されている。
【0022】
ここで、所定孔間ピッチaとは、他の貫通孔2aと2cとの互いに離間対向する外円部間の距離として設定する。但し、各他の貫通孔2aと2cとの中心間距離として設定するようにしてもよい。
【0023】
このように構成するプレス成形品1をプレス加工にて製作する場合、予め、図2示すような素材1Aを用意しておく。
【0024】
素材1Aは、たとえば鋼材からなる平板状の板部材から構成しており、予め通常の孔明け工具を用いて3つの貫通孔2a、2bおよび2cを横列状態になるように穿孔しておく。
【0025】
貫通孔2a、2bおよび2cは、中央に存する貫通孔2bを基準孔としているのに対し、貫通孔2bの両側部にそれぞれ存する他の貫通孔2aと2cとにおける孔間ピッチはа−xになるように形成されてある。
【0026】
ここで、「x」は、素材1Aを焼入れ温度まで加熱した場合の材料自体の熱膨張率を考慮して設定されている。
【0027】
このように構成する素材1Aからプレス成形すると共に焼入れ硬化して、プレス成形品1を成形する金型に次に説明する。
【0028】
かかる金型3は、図3及び図4に示すように、上型4と下型5とで構成しており、上型4は、図示しないが略中央部に凹状成形部を有して構成しており、下型5は同じく中央部に図5に示すように凸状形成部5−1を有して、上型4の凹状成形部内に下型5の凸状形成部5−1を嵌合することによって、側面視コ字状のプレス成形品1を成形するようになっている。
【0029】
そして、下型5には、その成形面5aより突出するように、図2に示す貫通孔2a、2b、2cがそれぞれ嵌合するロケートピン6、7、8が設けられている。
【0030】
ロケートピン6、7、8のうち、中央に存するロケートピン7は、下型5に固定された状態で装着された固定ロケートピンとなっており、固定ロケートピン7を挟んで両側に存するロケートピン6及び8は、それぞれ移動駒6a、8aに装着され、移動駒6a、8aが下型5に形成したガイド孔5−2、5−3内に移動可能に挿入設置されている。
【0031】
そして、移動駒6a、8aは、可動ロケートピン6、8における互いのピン間距離がyとなるようにガイド孔5−2、5−3内に設置されており、且つ、この設置位置から可動ロケートピン6、8は、素材1Aを焼入れ温度まで加熱した場合の材料自体の熱膨張率を考慮して設定する熱膨張寸法xに相当する距離移動すると、ガイド孔5−2、5−3の固定ロケートピン側に近接するストッパー手段を構成するストッパー壁5−2a、5−3aに当接するまで、固定ロケートピン7の方向に移動できるように構成されている。
【0032】
ここで、固定ロケートピン7に対する可動ロケートピン6、8の各ピン間距離yは、プレス成形前の素材1Aが焼入れ温度まで加熱した際膨張することにより、貫通孔2aと2cとの孔間ピッチが拡大する寸法を見込んで設定することになる。
【0033】
更に、上型4側には、固定ロケートピン7及び可動ロケートピン6、8を型締め工程において受け入れる受け入れ孔2−2、2−3、2−4がそれぞれ設けられている。そして、受け入れ孔2−4は、固定ロケートピン7を受入れるために固定ロケートピン7がしっくり嵌合できるように丸孔として形成されているのに対し、受け入れ孔4−2、4−4は、それぞれ可動ロケートピン6、8が移動できるようにその分長孔形状に形成されている。
【0034】
上記のように構成する場合、素材1aには、予め貫通孔2a、2b、2cを穿設しておくのであるが、この場合、基準となる貫通孔2bに対して、その両側にそれぞれ存する貫通孔2a、2cは、プレス成形品1に形成される所定孔間ピッチaに対して「−x」分縮小した孔間ピッチa−xとなるように穿孔加工されている。
【0035】
次に、貫通孔2a、2b、2cが穿設された素材1Aを、図示しない加熱装置を用いて、焼入れ温度に達するまで加熱する。
【0036】
このように加熱された素材1Aは、熱膨張により、貫通孔2aと、2cとの孔間ピッチが可動ロケートピン6、8の互いのピン間距離yに相当する距離まで拡大した状態にまで膨張している。
【0037】
このような状態となった素材1Aは、次に、下型5の成形面5a上にセットするのであるが、貫通孔2bは固定ロケートピン7に嵌合すると共に、貫通孔2a、2c孔間ピッチは拡大しており、この拡大を見込んで可動ロケートピン6、8間のピン間距離yが設定されていることから、各貫通孔2aと2cとは、その孔間ピッチが拡大しているとしても、下型5の可動ロケートピン6、8にそれぞれしっくりと嵌合させた状態で、素材1Aは下型5の成形面5a上にセットさできることになる。
【0038】
次に、この状態から、下型5に対して上型4を下降して型締めを行い、素材1Aをプレス成形すると共に、低温の上型4及び下型5によって急冷することにより焼入れ硬化を行い、図1に示すプレス成形品1を成形することになる。
【0039】
このように素材1Aが金型3によって急冷される間において、素材1Aは、急冷による熱収縮を起すことになるが、この熱収縮作用に合わせて、可動ロケートピン6、8が移動駒6a、8aと共に、固定ロケートピン7の方向に移動する。
【0040】
そして、素材1Aを金型3により急冷することによって収縮作用が完了する直前において、移動駒6a、8aがストッパー壁5−2a、5−3aに当接して、可動ロケートピン6、8の移動を停止させる(図4に示す状態)。
【0041】
この停止状態を所定時間経過し、素材1Aの収縮作用が完了すれば、可動ロケートピン6、7の固定ロケートピン7の方向への移動により、貫通孔2bは固定ロケートピン7によって基準孔として形成されることになるが、貫通孔2aと2cとは、その孔間ピッチが可動ロケートピン6、8における素材1Aの収縮方向に移動することにより、所定の所定孔間ピッチaとなるように矯正されて、図1に示すプレス成形品1が焼入れされた状態で成形されることになる。
【0042】
従って、本発明のかかる実施例によれば、プレス成形する前の素材1Aに予め貫通孔2a、2b、2cを通常の孔明け工具を用いて穿孔加工しておくことから、当該孔明け工具の長寿命化を果たし得ることになる。
【0043】
また、素材1Aに予め穿孔する貫通孔2a、2b、2cのうち、中央に存する貫通孔2bは基準孔として形成されるが、他の貫通孔2aと2cとは、その孔間ピッチを、プレス成形品1として必要な所定孔間ピッチaに対して素材1Aにおける焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率を考慮して「x」分だけ小さくなるように形成しておき、基準孔としての貫通孔2bを固定ロケートピン7に嵌合すると共に他の貫通孔2a、2cを可動ロケートピン6、8にそれぞれ嵌合した状態で、金型3の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材1Aの加熱した結果として一旦孔間ピッチを拡大させた他の貫通孔2a、2cの孔間ピッチを、焼入れ硬化過程における素材の収縮作用に合わせて、可動ロケートピン6、8を素材1Aの冷却による収縮方向に移動させて、孔間ピッチを矯正するようにでき、所定の所定孔間ピッチaを有する貫通孔2a、2cが形成されたプレス成形品1を得ることができる。
【0044】
図6は本発明によって焼き入れ成形する第2例のプレス製品1を示している。
【0045】
かかるプレス製品1は、上記第1の実施例と同様に、側面視コ字状を呈して構成した長尺製品である点同じであるが、上面1aには、基準孔としての貫通孔2bが穿孔されているのに対し、他の貫通孔2a、2cは、一対の縦壁側面1b、1cのうち、一方の縦壁側面1bに形成するようになっている点を異にする。
【0046】
このために、図7乃至図9に示す金型3のうち、下型5の凸状成形面5−1、5−2のうち、一方の凸状成形面5−1に、他の貫通孔2a、2cがそれぞれ嵌合する可動ロケートピン6、8が設けられている。
【0047】
そして、可動ロケートピン6、8は、凸状成形面5−1、5−2に対してそれぞれ、上記実施例と同様に、互いに近接離間両方向に移動できるように、ガイド孔5−2、5−3内に挿入設置された移動駒6a、8aに装着されているも、図7に示すように、上型4と下型5との型締めによって素材1Aを屈曲成形する際及び図9に示すプレス成形品1が完成した際には、移動駒6a、8a内にそれぞれ引っ込んだ状態となっており、図8に示す貫通孔2a、2bの孔間ピッチを矯正する工程において、可動ロケートピン6、8が移動駒6a、8aから突出して、貫通孔2a、2c内に嵌合するようになっている。
【0048】
従って、貫通孔2a、2cは、可動ロケートピン6a、8aに嵌合した状態で、素材1Aが金型3内において急冷焼入れされながら成形される間における素材1の収縮作用方向に可動ロケートピン6a、8aが上記実施例と同様に移動することにより、孔間ピッチが矯正されて、所定の所定孔間ピッチaに形成されることになる。
【0049】
次に、本発明に係る第3の実施例について、図11乃至図13を用いて説明する。
【0050】
図11はホットプレス加工により製作する完成品としてのプレス成形品の第3例を描画した斜視図、図12は本発明に係る第3の実施例による図11のプレス成形品をプレス加工する前の素材の斜視図、図13は図11に描画したプレス成形品を成形するためのホットプレス用金型のうち下型を描画した斜視図である。
【0051】
先ず、図11において、本発明に係るホットプレス成形により成形するプレス成形品11は、やはり側面視略コ字状を呈して構成した長尺製品であり、上面11aの略中央部に山型に形成された一つの突起12aと、突起12aを位置基準として、所定孔間ピッチb−xを有するように、突起12aに対して一の側端部側に一つの貫通孔12bを配置して構成している。
【0052】
ここで、所定孔間ピッチbとは、例えば、プレス成形品11における貫通孔12の中心と突起11aの一辺側角部との距離として設定するものである。
【0053】
このように構成するプレス成形品11をプレス加工にて製作する場合、図12に示すような素材11Aを予め用意しておく。
【0054】
素材11Aは、例えば鋼材からなる平板状の板部材から構成され、通常の孔明け工具を用いて貫通孔12が穿設されて構成している。
【0055】
貫通孔12aは、素材11Aにおいて、プレス成形品11に形成する突起12aの一辺側角部に相当する部位(二点鎖線B)から孔間ピッチb−xになるように形成されている。
【0056】
ここで、「x」は、素材11Aを焼入れ温度まで加熱した場合の材料自体の熱膨張率を考慮して設定されている。
【0057】
このように構成する素材11Aからプレス成形すると共に焼入れ硬化して、プレス成形品11を成形する不図示の上型と共に金型を構成する下型15について説明する。
【0058】
下型15は、図13に示すように、成形面15aの略中央部に、プレス成形品11の突起部11aを形成するための凸状形成部15−1が形成されており、又、成形面15aにおける凸状形成部15−1の一辺角部側に離間した位置に可動ロケートピン16が突出した状態で設けられている。
【0059】
可動ロケートピン16は、移動駒16aに装着され、移動駒16aが下型15に形成したガイド孔15−2内に移動可能に挿入設置されている。
【0060】
そして、移動駒16aは、可動ロケートピン16におけるピン中心から凸状形成部15−1の一辺角部(図12に示す二点鎖線Bに相当する位置)との間のピン間距離y1は、プレス成形前の素材11Aが焼入れ温度まで加熱した際膨張することにより、貫通孔12bの中心と二点鎖線Bとの孔間ピッチが拡大する寸法を見込んで設定することになる。
【0061】
更に、図示しないが、上型側には、可動ロケートピン16を型締め工程において受入れる受け入れ孔が設けられている。当該上型側の受け入れ孔は、可動ロケートピン16が移動できるようにその分長孔形状に形成されている。
【0062】
上記のように構成する場合、素材11aには、貫通孔12bを穿設しておくのであるが、この場合、貫通孔12bは、プレス成形品11に形成される所定孔間ピッチbに対して、「x」分縮小した孔間ピッチb−xとなるように穿孔加工されている。
【0063】
次に、貫通孔12bが穿設された素材11Aを、図示しない加熱装置を用いて、焼入れ温度に達するまで加熱する。
【0064】
このように加熱された素材11Aは、熱膨張により、可動ロケートピン16におけるピン中心から凸状形成部15−1の一辺角部(図12に示す二点鎖線Bに相当する位置)との間のピン間距離y1に相当する距離まで拡大した状態にまで膨張している。
【0065】
このような状態となった素材11Aを、次に、下型15の成形面15a上にセットするのであるが、貫通孔12bは、素材11aが熱膨張しているために、可動ロケートピン16にしっくり嵌合させた状態で、素材11Aは下型15の成形面15a上にセットされることになる。
【0066】
次に、この状態から下型15に対して上型を下降して型締めを行い、急冷による熱収縮を起すことになるが、この熱収縮作用に合わせて、可動ロケートピン16が凸状突起形成部15−1側に移動駒16aと共に移動する。
【0067】
そして、素材11Aを下型15と共に上型が構成する金型により急冷することによって収縮作用が完了する直前において、移動駒16aがガイド孔15−2ストッパー壁15−2aに当接して、可動ロケートピン16の移動を停止させる。
【0068】
この停止状態を所定時間経過し、素材1Aの収縮作用が完了すれば、可動ロケートピン16の凸状突起形成部15−1側への移動により、貫通孔12bは、その中心と突起11aの一辺側角部との孔間ピッチが可動ロケートピン16における素材11Aの収縮方向に移動することにより、所定の孔間ピッチbとなるように矯正されて、図11に示すプレス成形品11が焼入れされた状態で成形されることになる。
【0069】
かかる本発明に係る第3の実施例によれば、プレス成形する前の素材11Aに予め貫通孔12bを通常の孔明け工具を用いて穿孔加工しておくことから、当該孔明け工具の長寿命化を果たすことができる。
【0070】
また、予め穿孔した少なくとも1つの貫通孔を可動ロケートピンに嵌合した状態で、金型の型素材11Aに予め穿孔sる貫通孔12bは、その孔間ピッチをプレス成形品11として必要な所定孔間ピッチbに対して素材11Aにおける焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率を考慮して「x」分だけ小さくなるように形成しておき、貫通孔12bを可動ロケートピン16に嵌合した状態で、金型の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材11Aの加熱した結果として一旦貫通孔12bの孔間ピッチを、焼入れ硬化過程における素材11Aの収縮作用に合わせて、可動ロケートピン16を前記焼入れ硬化過程における素材11Aの収縮方向に移動させて矯正でき、突起11aに対して所定の孔間ピッチbを有する貫通孔12bが形成されたプレス成形品を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明は、プレス成形する前の素材に予め貫通孔を通常の孔明け工具を用いて穿孔加工しておくことから、当該孔明け工具の長寿命化を果たし得ることができ、しかも、予め穿孔した少なくとも2つの貫通孔を可動ロケートピンに嵌合した状態で金型の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材の加熱した結果として一旦プレス成形品の2つの貫通孔間の所定孔間ピッチに対して拡張した2つの貫通孔の孔間ピッチを、焼入れ硬化過程における素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮方向に移動させて矯正でき、前記所定の孔間ピッチを有する少なくとも2つの貫通孔が形成されたプレス成形品を得ることができ、或いは、予め穿孔した少なくとも1つの貫通孔を可動ロケートピンに嵌合した状態で金型の型締めによってプレス成形と共に焼入れ硬化を行うようにしたことから、素材の加熱した結果として一旦プレス成形品の一つの突起に対する1つの貫通孔間の所定孔間ピッチに対して拡張した一つの貫通孔の孔間ピッを、焼入れ硬化過程における素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮方向に移動させて矯正でき、前記突起に対して前記所定の孔間ピッチを有する少なくとも一つの貫通孔が形成されたプレス成形品を得ることができるために、素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材から互いに所定孔間ピッチを有する少なくとも2つ以上の貫通孔が形成されたプレス成形品を製作するホットプレス成形方法及びホットプレス用成形金型等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】ホットプレス加工により製作する完成品としてのプレス成形品の第1例を描画した斜視図である。
【図2】本発明に係る第1の実施例による図1のプレス成形品をプレス加工する前の素材の斜視図である。
【図3】本発明に係る第1の実施例を採用した金型の焼入れ初期段階の正面縦断面図である。
【図4】同じく金型の焼入れ完了直前段階における正面縦断面図である。
【図5】同じく金型を構成する下型を描画した斜視図である。
【図6】ホットプレス加工により製作する完成品としてのプレス成形品の第2例を描画した斜視図である。
【図7】図6に示すプレス成形品を製作するための素材をプレス成形した状態を描画した金型の側面縦断面図である。
【図8】同じく素材のプレス成形後焼入れ段階における金型の側面断面図である。
【図9】同じく焼入れ完了後型開き直前の状態を描画した金型の側面縦断面図である。
【図10】同じく図6に示すプレス成形品を成形する金型を構成する下型の斜視図である。
【図11】ホットプレス加工により製作する完成品としてのプレス成形品の第3例を描画した斜視図である。
【図12】本発明に係る第3の実施例による図11のプレス成形品をプレス加工する前の素材の斜視図である。
【図13】図11に描画したプレス成形品を成形するためのホットプレス用金型のうち下型を描画した斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
1、11 プレス成形品
1A、11A 素材
2b 基準孔としての貫通孔
2a、2c 他の貫通孔
3 金型
4、 上型
5、15 下型
5a 成形面
5−2a、5−3a、15−2a ストッパー壁(ストッパー手段)
7 固定ロケートピン
6、8 可動ロケートピン
12a 突起
12b 貫通孔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め少なくとも2つの貫通孔が穿設された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材から互いに所定孔間ピッチを有する少なくとも2つの貫通孔が形成されたプレス成形品を製作するホットプレス成形方法であって、先ず、前記素材に穿設した前記2つの貫通孔の孔間ピッチを前記所定孔間ピッチに対して前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率を考慮して小さくなるように設定して、前記素材に予め前記2つの貫通孔を穿設した後、前記素材を焼入れ温度まで加熱しておき、当該加熱された素材を前記金型によりプレス成形を行う場合に、前記素材に穿設された前記2つ貫通孔を前記金型を上型と共に構成する下型に設置した可動ロケートピンに嵌合した状態で、前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に前記金型により当該素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、前記2つの貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを移動させることによって、前記所定孔間ピッチに矯正するようにしたことを特徴とするホットプレス成形方法。
【請求項2】
予め少なくとも2つ以上の貫通孔が穿設された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材から互いに所定孔間ピッチを有する少なくとも2つの貫通孔が形成されたプレス成形品を製作するホットプレス用成形金型であって、該成形金型を上型および下型で構成し、該下型に、前記素材に穿設した前記2つの貫通孔をロケートする可動ロケートピンを、該可動ロケートピンのピン間距離を前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率による前記2つの貫通孔の孔間ピッチの拡大分大きく設定した状態で設置して、前記2つの貫通孔を穿設した後焼入れ温度まで加熱した前記素材をプレス成形する場合に、前記素材に穿設された2つの貫通孔を前記可動ロケートピンに嵌合した状態で前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に前記金型により当該素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、一旦前記素材の膨張により拡大した前記2つの貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記両可動ロケートピンがそのピン間距離を縮める方向に移動して、前記所定孔間ピッチに矯正するように構成したことを特徴とするホットプレス用成形金型。
【請求項3】
少なくとも1つの貫通孔が穿設されると共に一つの突起が形成された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材の前記貫通孔が前記突起に対して所定孔間ピッチを有するように形成されたプレス成形品を製作するホットプレス成形方法であって、先ず、前記素材に穿設した1つの貫通孔における前記突起に対する所定孔間ピッチに対して前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率を考慮して小さくなるように設定して、前記素材に予め前記貫通孔を穿設すると共に前記突起を形成した後、前記素材を焼入れ温度まで加熱しておき、当該加熱された素材を前記素材を前記金型によりプレス成形を行う場合に、前記素材に穿設された前記貫通孔を前記金型を上型と共に構成する下型に設置した可動ロケートピンに嵌合すると共に前記突起を前記下型に形成した凹部に嵌合した状態で前記前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に、前記金型により前記素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、前記突起に対する前記貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記可動ロケートピンを移動させることによって、前記所定間ピッチに矯正するようにしたことを特徴とするホットプレス成形方法。
【請求項4】
予め少なくとも1つの貫通孔が穿設されると共に一つの突起が形成された素材をその焼入れ温度まで加熱し、加熱された素材を低温の金型によってプレス成形すると共に焼入れ硬化して、前記素材の前記貫通孔が前記突起に対して所定孔間ピッチを有するように形成されたプレス成形品を製作するホットプレス用成形金型であって、該成形金型を上型および下型で構成し、該下型に、前記素材に穿設した前記一つの貫通孔をロケートする可動ロケートピンを、該可動ロケートピンの前記突起に対するピン間距離を前記素材における前記焼入れ温度まで加熱した場合の熱膨張率による前記突起に対する前記一つの孔間ピッチの拡大分大きく設定した状態で設置して、前記一つの貫通孔を穿設すると共に前記一つの突起を形成した後焼入れ温度まで加熱した前記素材をプレス成形する場合に、前記素材に穿設された前記一つの貫通孔を前記可動ロケートピンに嵌合した状態で前記素材を前記下型上にセットし、その後、該下型に対して前記上型を下降させて型締めすることによって、前記素材からプレス成形品をプレス成形すると共に前記金型により当該素材を急冷して焼入れ硬化を行う際に、一旦前記素材の膨張により拡大した前記突起に対する前記貫通孔の孔間ピッチを、前記焼入れ硬化過程における前記素材の収縮作用に合わせて、前記両可動ロケートピンがそのピン間距離を縮める方向に移動して、前記所定孔間ピッチに矯正するように構成したことを特徴とするホットプレス用成形金型。
【請求項5】
前記金型により前記素材を急冷して収縮作用が完了する直前に、前記可動ロケートピンの移動を阻止するストッパー手段を前記下型に設けたことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載のホットプレス用成形金型。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−125766(P2009−125766A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302001(P2007−302001)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000178804)ユニプレス株式会社 (83)
【Fターム(参考)】