説明

ホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置

【課題】ランナー内壁やノズルの残留樹脂が成型品に混入されないように新しい樹脂を分流して残留樹脂を外部に排出できるホットランナーを提供する。
【解決手段】ホットランナー射出金型装置のランナー内の残留樹脂を排出する装置であり、マニホールド30のランナーとノズルの樹脂通路21との間に樹脂分離排出ユニット50Eを設け、溶融樹脂を分流してランナーの残留樹脂を樹脂排出通路34に排出し、ノズルの本体にノズルの樹脂通路の端部とノズル側の樹脂排出通路36A〜36Dを繋ぐ分岐排出通路25を設け、ノズルの樹脂通路内部に残留する樹脂を上記の分岐排出通路を通じて樹脂排出通路に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホットランナー射出金型装置の残留樹脂の排出装置に関するものであり、特にマニホールドのランナー及び/またはノズル内部の樹脂通路に残留する樹脂がキャビティに混入されないように残留樹脂をマニホールドのランナーまたはノズルの樹脂通路の外部に排出できるような排出装置を有したホットランナー射出金型装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のホットランナー射出金型装置は図1に示す如く、キャビティ101を形成した金型のブロック100a、100b、上記のキャビティ101に溶融樹脂を適時に供給する複数のノズル103、上記の各ノズル103の樹脂通路103aがゲート101aを通して上記のキャビティ101と連通できるように上記のノズル103を一つ以上結合し、外部の溶融樹脂供給装置(図示省略)を通して供給される溶融樹脂を上記の各ノズル103の樹脂通路103aに案内する複数個のランナー104a、104bにて形成されたマニホールドを有する。図面符号108はマニホールド104のランナーの内部を流動する溶融樹脂の温度を一定の範囲にて維持させるため、マニホールドのランナー周りを加熱するヒーターを示す。
【0003】
そして、金型のゲートをバルブ作動式にて開閉するバルブゲートのホットランナー射出金型の場合、上記ノズル103は射出時キャビティ101に溶融樹脂を選択的に供給するように上記のゲート101aを適時に開閉するノズルピン106を有しており、このノズルピン106は各ノズル103の上部に設置されているバルブ作動機107の作動によって乗降しながら上記のゲート101aを適時に開閉する。つまり、バルブ作動機107は射出の際(マニホールドの溶融樹脂をキャビティに注入する時)にノズルピン106を上昇させゲート101aを開放し、射出を中止する時はノズルピン105を下降させてゲート101aを閉じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のホットランナー射出金型装置の場合、射出の際供給される溶融樹脂がマニホールド104のランナー104a、104bやノズルの樹脂通路103aを通過する時ランナー104a、104bやノズルの樹脂通路103aの内壁に沿って流動する樹脂は内壁との摩擦抵抗によって中央部分を通過する樹脂に比べて相対的に遅く流れる。
【0005】
このような射出金型装置において、射出成型を一時停止させるか又は終了させると、上記したマニホールドのランナー内部における樹脂流れの特性によって、ランナー104a、104bの内壁やノズルの樹脂通路の内壁103aに樹脂が残留することになる。さらに、マニホールドのランナーの長さが長い場合、ランナーの内壁との流動摩擦抵抗が増加してランナー内に残存する樹脂の量は増加する。
【0006】
このようにランナーやノズルの樹脂通路の内壁に残留する樹脂はヒーターの熱によって炭化し変色するだけではなく、樹脂(特に、色が異なる樹脂)を交換して成型する時、新しい樹脂に混入されて成型不良を発生させる。
【0007】
従来の射出金型ではランナーの内壁またはノズルの樹脂通路の内壁に残留する樹脂を排出させるためには新しい樹脂を供給して、その樹脂で上記残留樹脂を押し流すことにより排出させる必要があるが、完全に排出させるには多量の樹脂の供給が必要であり、樹脂交換による樹脂の消費量が増えるという欠点を有していた。
【0008】
一方、射出金型装置に溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給装置は決められた容量の樹脂を溶融して圧出するため、金型内部のキャビティへ供給する溶融樹脂の供給容量が決められている。このような樹脂供給装置の供給容量に比べて金型内に設けられたキャビティの容量が相対的に小さい場合、マニホールドのランナー内部に残留する残留樹脂の量も増加するため、他の異種の樹脂と交換して成型を行なう場合、残留樹脂を除去するための新しい樹脂の消費量もその分増加するという問題がある。
【0009】
本発明は上記従来のホットランナー射出成型装置がもつ問題点を解決するため、マニホールドのランナー内壁の残留樹脂やノズル側の樹脂通路の残留樹脂が新しい溶融樹脂の射出成型製品に混入されないように新しい樹脂を分流して残留樹脂を外部に排出できるホットランナー射出金型装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明は、キャビティを有する金型ブロックと、溶融樹脂を上記の各樹脂通路に案内する一つ以上のランナーを有するマニホールドを備えた射出金型装置のランナー内部の残留樹脂を排出する残留樹脂の排出装置であって、
上記の残留樹脂の排出装置は、上記マニホールドのランナーの溶融樹脂をランナーの外部に排出する樹脂排出通路と、上記マニホールドのランナーと上記ノズルの樹脂通路が繋がる接続部に設置され、上記マニホールドのランナーの溶融樹脂を上記の樹脂排出通路に分流して排出する樹脂分離排出ユニットとを設けてなるものである。本発明において、「溶融樹脂を分流する」とは、溶融樹脂の流れの経路を、途中から分けて溶融樹脂の一部を或る経路に案内し、他部をそれとは別の経路に案内することを意味する。
【0011】
本発明の残留樹脂の排出装置は樹脂排出通路を開放または遮断する排出遮断ユニットを更に含むことを特徴とする。
【0012】
なお、本発明の残留樹脂の排出装置は上記の樹脂排出通路に真空吸入力を付加し、樹脂排出通路の溶融樹脂を強制的に排出する排出ポンプを更に含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の残留樹脂の排出装置で上記の樹脂分離排出ユニットは本体を有し、上記の本体は上記のマニホールドのランナー内部を通過した溶融樹脂を上記ノズルの樹脂通路に案内する供給通路と、上記の供給通路より分岐され上記の供給通路を通過した溶融樹脂の中で内壁に沿って流動する溶融樹脂を上記の樹脂排出通路に案内する分岐通路を有していることを特徴とする。
【0014】
上記の樹脂分離排出ユニットは上記のマニホールドに形成されたノズルの結合穴の中で、上記ノズルの樹脂通路と同軸に配置される。
【0015】
上記の排出遮断ユニットは前後方向に移動し上記の樹脂排出通路の出口を遮断または開放する遮断ピンと、上記の遮断ピンを前進または後退させるバルブ作動機にて構成される。
【0016】
上記の樹脂分離排出ユニットの供給通路は入口が上記のマニホールドのランナーに接続されて長さ方向に延長され、出口が上記ノズルの樹脂通路に繋がり、上記樹脂の分離排出ユニットの分岐通路は上記供給通路の先端から分岐され上記の樹脂排出通路に繋がるように構成される。
【0017】
上記の樹脂分離排出ユニットは複数個の樹脂分離排出ユニットグループになっており、各樹脂分離排出ユニットは2つ以上の樹脂分離排出ユニットにて構成され、上記の1つ以上のグループを構成する2つ以上の樹脂分離排出ユニットに統合された樹脂排出通路には樹脂排出通路の出口を開放または遮断する排出遮断ユニットと、各統合樹脂排出通路に真空吸入力を付加し統合樹脂排出通路の溶融樹脂を強制排出する排出ポンプが繋がった構成とすることができる。
【0018】
上記マニホールドの各ランナーは経路の中に補助分離排出ユニットが追加設置され上流側ランナーと下流側ランナーにて区画され、上記の補助分離排出ユニットは上流側ランナーを通過した溶融樹脂を分流し、一部を樹脂排出通路に案内して残りの溶融樹脂は下流側ランナーに案内するように構成される。
【0019】
上記の各ランナーに設置された樹脂分離排出ユニットと補助分離排出ユニットは独立した1つの樹脂排出通路に繋がれ、上記の各樹脂排出通路は1つの共通ドレイン通路に接続され、上記ドレイン通路には出口を開放または遮断する排出遮断ユニットと、上記ドレイン通路に真空吸入力を付加して溶融樹脂を外部に強制排出する排出ポンプが設けられる。
【0020】
上記ノズルは樹脂通路で分岐され樹脂通路を通過する溶融樹脂を上記マニホールドの樹脂排出通路に案内する1つ以上の分岐通路を有する。
【0021】
上記排出遮断ユニットは上記の樹脂排出通路の出口を遮断または開放する遮断ピンと、上記遮断ピンを前後に移動させるバルブ作動機にて構成される。
【0022】
本発明の残留樹脂の排出装置は上記ノズルの樹脂通路内壁の残留樹脂を外部に排出するノズル側の残留樹脂の排出装置をさらに含むことができる。
【0023】
上記ノズ側の残留樹脂の排出装置は、上記ノズルの本体に長さ方向に沿って上部から下部まで形成され、下部から上記ノズルの樹脂通路の下部と繋がれ、上部はマニホールドの樹脂排出通路に繋がれる分岐排出通路を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるホットランナー射出金型装置の残留樹脂の排出装置はマニホールドのランナー内部の残留樹脂とノズルの樹脂通路内部の残留樹脂を、それぞれ溶融樹脂の分流により樹脂排出通路に案内される溶融樹脂により押し流して外部に排出するため、上記残留物が新しい溶融樹脂の射出成型製品に混入されるのを防止することができ、それにより成型不良を防止することができる。なお、射出成型の樹脂材料を交換する時、残留樹脂の排出による樹脂消費量を減少させ作業時間の短縮を図ることができるだけでなく、コスト削減までも可能にするものである。
【0025】
そして、マニホールドのランナー内部に供給される溶融樹脂にてランナー内部の残留樹脂を排出して除去することができるため、樹脂交換の時、作業が便利で成型作業の準備時間を短縮することができる。なお、ノズルの樹脂通路の内部に残留する樹脂もランナー内部の残留樹脂と一緒に除去することができて樹脂交換作業に便利である。
【0026】
また、本発明は溶融樹脂供給装置の溶融樹脂の供給容量がキャビティの容量に比べて相対的に大きい場合、キャビティの容量まで溶融樹脂を供給して容量を超えた樹脂は外部に排出して溶融樹脂供給装置に循環させ再利用することができる。
【0027】
更に、本発明はホットランナー内部の溶融樹脂から発生するガスを効果的に排出しガス混入による成型不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のホットランナー射出金型装置の概略的な縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施例によるホットランナー射出金型装置の縦断面図である。
【図3】図2のX−X線に沿って切断し図示した第1実施例の断面図である。
【図4】本発明の第1実施例による樹脂分離排出ユニットの斜視図である。
【図5】図2の“A”部の拡大詳細図である。
【図6】本発明の第2実施例の縦断面図である。
【図7】本発明の第2実施例の樹脂分離排出ユニットの斜視図である。
【図8】図6の“B”部の拡大詳細図である。
【図9】本発明の第3実施例の横断面図である。
【図10】図9のY−Y線に沿って図示した第3実施例の縦断面図である。
【図11】本発明の第4実施例の横断面図である。
【図12】図11のZ−Z線に沿って図示した第4実施例の縦断面図である。
【図13】本発明の第4実施例の補助分離排出ユニットの斜視図である。
【図14】本発明の第5実施例の縦断面図である。
【図15】本発明の第6実施例の横断面図である。
【図16】図15のP−P線に沿って切断して図示した本発明の第6実施例の縦断面図である。
【図17】第6実施例のランナー側の樹脂分離排出ユニットの斜視図である。
【図18】図16の主要部の拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
(第1実施例)
図2〜図5には本発明の第1実施例が図示されている。本発明の実施例に用いるホットランナ射出金型装置は、1つ以上のキャビティ11を有する金型ブロック10と、上記金型ブロック10のキャビティに溶融樹脂を供給する樹脂通路21を中心軸方向にて有する複数個のノズル20と、上記複数個のノズル20を底面に結合して、外部の溶融樹脂供給装置(図示省略)からスプルー31を通して供給される溶融樹脂を上記各ノズル20の樹脂通路21に案内する複数個のランナー32a、32b、32c、32dを有するマニホールド30を備えている。
【0031】
第1実施例では、上記マニホールド30がランナー32a、32b、32c、32dの長さ方向に沿って上下に分割され、上部のマニホールド30aと下部のマニホールド30bにて構成される。しかし、本発明は上部のマニホールド30aと下部のマニホールド30bを組み合わせて1つのマニホールド30を構成する態様に限定されず、マニホールドが一体に構成されたものも含まれる。例えば、図6に示す第2実施例におけるマニホールド30は、一体に構成された構造を有し、内部にランナー32a、32b、32c、32dを設けてなるものである。図2、図3において、符号33はマニホールドのランナーを通過する樹脂が溶融状態を維持するようにマニホールドを加熱するための電熱ヒーターを表す。
【0032】
本発明の実施例に用いるホットランナー射出金型装置は、バルブゲートタイプのホットランナー射出金型装置で、上記のノズル20の樹脂通路21を貫通するノズルピン22をノズルピンバルブ作動機40にて上下方向に移動させゲート11aを開閉する。上記のノズルピンバルブ作動機40は油圧または空圧にてシリンダー内で作動するピストン機構を有する公知の技術であるためこれについての詳細説明は省略する。
【0033】
図2及び図3に示す如く、上記マニホールド30のホットランナースプルー31から分岐された複数のランナー32a、32b、32c、32dが設けられており、ランナー32a、32b、32c、32dは、それぞれの先端に位置したノズル20の樹脂通路21と連通する。そして、各ランナー32a、32b、32c、32dから樹脂排出通路34が分岐形成されランナー32a、32b、32c、32d内の溶融樹脂が樹脂排出通路34を通って外部に排出されるように構成されている。
【0034】
マニホールド30に連結された複数のノズル20はそれぞれ、ランナー32a、32b、32c、32dと連通する樹脂通路21を有し、各ランナー32a、32b、32c、32dとそれに連結されるノズル20との間に樹脂分離排出ユニット50Aが設けられる。
【0035】
樹脂分離排出ユニット50Aは、ノズル20の上方位置において各ランナー32a、32b、32c、32dの内部に設けられ、樹脂分離排出ユニット50Aにおける供給通路51がノズル20の樹脂通路21と連通するように設けられる。ノズルピン22は上記供給通路51を経てノズル20の樹脂通路21に挿通されている。
【0036】
樹脂分離排出ユニット50Aは、各ノズル20の設置位置に対応して設けられており、図3に示す実施態様では4つのノズル20に対応して4つの樹脂分離排出ユニット50Aが設けられている。同図において、ランナー32aとノズル20との間に設けられた樹脂分離排出ユニット50Aと、ランナー32cとノズル20との間に設けられた樹脂分離排出ユニット50Aとは1つの樹脂分離排出ユニットグループを構成し、またランナー32bとノズル20との間に設けられた樹脂分離排出ユニット50Aと、ランナー32dとノズル20との間に設けられた樹脂分離排出ユニット50Aとは別のもう1つの樹脂分離排出ユニットグループを構成する。
【0037】
1つの樹脂分離排出ユニットグループは、2つの樹脂分離排出ユニット50Aに統合された1つの樹脂排出通路34を有する。即ち、ランナー32a側の樹脂分離排出ユニット50Aを通して連結される樹脂排出通路34と、ランナー32c側の樹脂分離排出ユニット50Aを通して連結される樹脂排出通路34とは、途中で合流して1つの樹脂排出通路34を形成する。ランナー32b側の樹脂分離排出ユニット50Aを通して連結される樹脂排出通路34と、ランナー32d側の樹脂分離排出ユニット50Aを通して連結される樹脂排出通路34も同様に1つの樹脂排出通路34を形成する。
【0038】
図3に示す態様では、1つの樹脂分離排出ユニットグループに含まれる樹脂分離排出ユニット50Aの数は2つであるが、2つに限定されるものではなく、3つ又はそれ以上であってもよい、
【0039】
上記したような、樹脂分離排出ユニットが複数の樹脂分離排出ユニットからなる樹脂分離排出ユニットグループとして形成され、且つこの樹脂分離排出ユニットグループが複数設けられている構成は、図3に示す実施例以外に、図9、11、15に示す他の実施例にも同様に示されている。
【0040】
上記の樹脂分離排出ユニット50Aは図4及び図5に示す如く、本体を有し、この本体はランナー32a、32b、32c、32dの中央領域に沿って流動する溶融樹脂(この溶融樹脂の流れを、図5の黒く塗りつぶされて描かれている矢印(以下、黒色矢印という)にて表示)を上記ノズル20の樹脂通路21に案内する供給通路51と、上記供給通路の内壁に沿って流動する溶融樹脂(この溶融樹脂の流れを、図5の白抜きで描かれている矢印(以下、白色矢印という)にて表示)を、ノズル20の樹脂通路21に案内される溶融樹脂とは分流して上記の樹脂排出通路34に案内する分岐通路52を有する。
【0041】
上記の供給通路51は側面に上記マニホールド30のランナー32a、32b、32c、32dの先端に連通する入口を有して、出口はノズル20の樹脂通路21と同軸に連通される。上記の分岐通路52は上記供給通路51の出口から半径方向の外側に延長された複数個の分岐通路になっており、各分岐通路は本体の側壁に沿って上側に延長され上記の樹脂排出通路34に繋がる。
【0042】
樹脂分離排出ユニット50Aはマニホールド30のランナー32a、32b、32c、32dの中央領域に沿って流動する溶融樹脂を供給通路51を通してノズル20の樹脂通路21に案内し、一方、ランナー32a、32b、32c、32dの内壁に沿って流動する溶融樹脂(内壁に残留する残留樹脂を含む)を、ノズル20の樹脂通路21に案内される溶融樹脂とは分流して、分岐通路52を通して樹脂排出通路34に案内する。
【0043】
図3に示すごとく、スプルー31を通してランナー32a、32b、32c、32d内部に流入し、新しく流動する溶融樹脂(図3の直線状の矢印にて表示)は、ランナー32a、32b、32c、32d内壁の残留樹脂(図3の点線状の矢印にて表示)と一緒に流動して樹脂分離排出ユニット50Aの入口51aを通して樹脂分離排出ユニット50A内に流入する。
【0044】
図5に示すごとく、ランナー32a、32b、32c、32dの内壁と供給通路51の内壁に沿って流動する溶融樹脂(図5の白色矢印にて表示)は樹脂分離排出ユニット50Aの供給通路51を通過した後、射出圧力により、ノズル20の樹脂通路21に案内される溶融樹脂とは分流して分岐通路52に沿って案内され、樹脂排出通路34側に排出され、一方、ランナー32a、32b、32c、32dの中央領域に沿って流動する溶融樹脂(図5の黒色矢印にて表示)は供給通路51を通過してノズル20の樹脂通路21の中に流動する。
【0045】
上記の樹脂排出通路34の出口35は排出遮断ユニット60の作動によって遮断されるか或いは開放される。上記の排出遮断ユニット60は前方または後方に往復移動しながら上記の樹脂排出通路34の出口35を遮断または開放する遮断ピン61と、遮断ピン61を前後方向に移動させる(即ち、前進又は後退移動させる)バルブ作動機62にて構成される。樹脂排出通路34の出口35はマニホールド30の片側方向の側面に開放され、上記の排出遮断ユニット60は樹脂排出通路34の出口35が開放されたマニホールド30の側面に連結して設置される。
【0046】
射出成型の樹脂材料を新しい樹脂に交換して新たな射出成型を実施する場合、まずノズルピンのバルブ作動機40を作動させゲート11aをノズルピン22にて閉鎖して溶融樹脂がキャビティ11に供給されないように遮断する。それと同時に排出遮断ユニット60の遮断ピン61を後退させ樹脂排出通路34の出口35を開放する。その後ランナー32a、32b、32c、32d内部へ新しい樹脂を注入する。新しい溶融樹脂はランナー32a、32b、32c、32dを通過しながらランナー内壁の残留樹脂(図3の点線状の矢印にて表示)をランナー32a、32b、32c、32d内壁に沿ってランナー32a、32b、32c、32dの端まで押し流す。
【0047】
このように新しい溶融樹脂に押し流されて流動する残留樹脂は新しい溶融樹脂に押されて継続して流動し、樹脂分離排出ユニット50Aの供給通路51を通過した後、分岐通路52に沿って流動し樹脂排出通路34に導かれ、排出される。樹脂排出通路34の出口35が開放されているため樹脂排出通路34を通過する残留樹脂は出口35を通して外部に排出される。このように残存樹脂の排出を持続して行い、ランナー32a、32b、32c、32d内部の残存樹脂が完全に排出されると、排出遮断ユニット60を作動させ、樹脂排出通路34の出口35を遮断し、同時にノズルピン22をバルブ作動機40にて後退させ(図2において上方に移動させ)、ゲート11aを開放する。その状態で新しい溶融樹脂は樹脂分離排出ユニット50Aを通過しながら、ノズル20の樹脂通路21を流動し、キャビティ11に供給される。溶融樹脂の一部はノズル20の樹脂通路21に案内される溶融樹脂とは分流して分岐通路52に導かれ、この分岐通路52を経て樹脂排出通路34に流入するが、樹脂排出通路34の出口35が閉鎖されているため溶融樹脂は外部への排出が遮断され、その結果、溶融樹脂はノズル20の樹脂通路21を通してキャビティ11側にのみ供給される。
【0048】
上記したように、ランナー32a、32b、32c、32d内壁の残留樹脂は、新しい溶融樹脂により押し流され、この溶融樹脂とともに流れる残留樹脂は、ノズル20の樹脂通路21に案内される溶融樹脂とは分流して樹脂排出通路34に導かれ、樹脂排出通路34を通して外部に排出されるため、残留樹脂が新しい溶融樹脂に混入されキャビティ11へ流入するのを防止することができる。
【0049】
一方、排出遮断ユニット60に上記の樹脂排出通路34の出口35と連通するドレイン通路63が設けられており、そのドレイン通路63の出口を真空吸入ポンプとともに排出ポンプ70に繋ぎ、ドレイン通路63と樹脂排出通路34内に真空吸入力を付与すると樹脂を円滑に排出することができる。
【0050】
(第2実施例)
図6または図8には本発明の第2実施例による残留樹脂の排出装置が図示される。
【0051】
第2実施例による残留樹脂の排出装置は、マニホールド30が一体に構成され樹脂分離排出ユニット50Bがマニホールド30の底面でノズル結合穴の中に挿入され設置される点が第1実施例と異なるだけでそれ以外の構成は第1実施例と同一である。以下、第1実施例と同一な構成とその構成の作用に対する説明は省略する。そして、第1実施例の構成と同一な構成は図面において同じ符号を用いて示す。
【0052】
上記の第2実施例の樹脂分離排出ユニット50Bは図6に示す如く、マニホールド30のノズル結合穴の中に上記のノズル20の樹脂通路21と同軸に挿入され、下からノズル結合穴にネジ込み式にて組み込まれるノズル20の上部により支えられる。このように組み込まれたノズル20をマニホールド30のノズル結合穴より分離すると樹脂分離排出ユニット50Bをマニホールドから簡単に分離することができる。このような構造によると樹脂分離排出ユニット50Bの設置及び取り出しが便利になる利点がある。
【0053】
上記第2実施例の樹脂分離排出ユニット50Bは図7に示す如く、本体を有し、この本体は上記マニホールド30のランナー32a、32b、32c、32d内部を通過した溶融樹脂を上記ノズル20の樹脂通路21に案内する供給通路51と、上記供給通路51の端部で分岐され上記の樹脂排出通路34に繋がる1つ以上の分岐通路52を有する。それに各分岐通路52の出口側の端部を樹脂排出通路34に繋ぐための連結通路54が樹脂分離排出ユニット50Bの本体の外側壁に本体周りに沿って延長されるように構成される。
【0054】
図6及び図8を参照して上記の第2実施例の樹脂排出装置の作動を説明する。外部の溶融樹脂の供給装置(図示省略)からスプルー31を通して注入された溶融樹脂はマニホールド30のランナー32a、32b、32c、32dを通過しながらランナー32a、32b、32c、32dの内壁に残留する残留樹脂を押し流し、溶融樹脂は残留樹脂と共に樹脂分離排出ユニット50Bの中に流動する。樹脂分離排出ユニット50Bは、供給通路51の内壁に沿って流動する残留樹脂(図8の白色矢印にて表示)を出口で分岐通路52を通して連結通路54に案内し、この連結通路54を経て樹脂排出通路34に導き、樹脂排出通路34を通して残留樹脂を外部に排出する。一方、樹脂分離排出ユニット50Bの供給通路51の内壁よりも内方側の中央領域に沿って流動する溶融樹脂(図8の黒色矢印にて表示)は、供給通路51を経てノズル20の樹脂通路21に流入する。
【0055】
このように樹脂分離排出ユニット50Bを通して分流された残留樹脂は排出ポンプ70により樹脂排出通路34の開放された出口35を通して外部に排出される。
【0056】
(第3実施例)
図9及び図10には本発明の第3実施例が図示されている。本発明の第3実施例の場合、ホットランナー射出金型装置のマニホールド30に複数個のノズル20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20Hが設置され、上記ノズル20A〜20Hは、スプルー31より分岐されたランナー32a、32b、32c、32dにそれぞれ繋がれている。
【0057】
各ノズル20A〜20Hは上記した実施例と同様に、ノズルピンのバルブ作動機にて上下動するノズルピン22にてゲートを開閉しながら各ランナー32a〜32dを通じて流動する溶融樹脂をキャビティの中に供給するか、供給を遮断する。
【0058】
第3実施例で、上記のマニホールドに設置された複数個のノズル20A〜20Hは複数のノズルグループにて構成されており、各ノズルグループは複数個(実施例では2個)のノズル(20A、20B)、(20C、20D)、(20E、20F)、(20G、20H)にて構成される。
【0059】
これら複数のノズルグループ(20A、20B)、(20C、20D)、(20E、20F)、(20G、20H)は射出成型製品の形状や構造によって決定される射出工程に沿って同時にまたは独立に作動する。そして、各ノズル20A〜20Hごとに樹脂分離排出ユニット50Bが設置されており、これにより各ノズル20A〜20Hに繋がったランナー32a〜32dの残留樹脂を独立に排出するように構成されている。
【0060】
1つのノズルグループを構成する2個のノズルにそれぞれ設置された樹脂分離排出ユニット50Bは1つの樹脂排出通路34A〜34Dのそれぞれに繋がる。そして、各ノズルグループの樹脂排出通路34A〜34Dはそれぞれに繋がった1つの樹脂遮断ユニット60A、60B、60C、60Dのそれぞれの流路開閉動作に従って開閉しながら排出樹脂をドレイン通路63A、63B、63C、63Dに排出する。ドレイン通路63A〜63Dの出口には樹脂排出通路でドレイン通路側に樹脂の排出が円滑にできるように真空ポンプのような排出ポンプ70A、70B、70C、70Dが連結されている。ここで樹脂排出遮断ユニット60A〜60Dはノズルピンバルブ作動機の構造と実質的に同じなので説明は省略する。
【0061】
上記の第3実施例において、各樹脂分離排出ユニット50Bがランナー32a〜32d内の残留樹脂を、新たに供給される溶融樹脂により押し流し、残留樹脂とともに流れる溶融樹脂を分流してランナー32a〜32d外部に排出する過程を図9及び図10を参照しながら説明する。
【0062】
ここで、1つのノズルグループ(20A、20B)に設置された排出遮断ユニット60Aのみ開放し、残りのノズルグループは排出遮断ユニット60B〜60Dにて遮断し、1つのノズルグループ(20A、20B)に繋がれたランナー32aの残留樹脂を排出する場合について説明する。
【0063】
新しい溶融樹脂をスプルー31を通して32aの中に供給すると、溶融樹脂はランナー32aを通過しながらランナー32aの中の残留樹脂を押し流し、溶融樹脂は残留樹脂とともに樹脂分離排出ユニット50Bを通過する。樹脂分離排出ユニット50Bは上記した実施例と同様に、ランナー32a内の残留樹脂を図5に示したように、ノズル20の樹脂通路21に流入する溶融樹脂と分流して樹脂排出通路34Aに導く。このように樹脂排出通路34Aに導かれた残留樹脂は開放されたドレイン通路63Aを通して排出ポンプ70Aによって外部へ強制排出される。
【0064】
この第3実施例によると、射出成型作業の際必要に応じて複数のノズルグループと排出遮断ユニットの開閉作動を選択的に制御することにより、複数のランナーのうち、残留樹脂の排出が要求されるランナーから残留樹脂を除去することができる。
【0065】
(第4実施例)
図11または図13では本発明の第4実施例が図示されている。
【0066】
第4実施例は、例えばスプルー31からノズル20の位置までランナー32の長さが相対的に長い構造のマニホールド30の場合に適用されるもので、各ランナー32の経路上にランナー32の残留樹脂の一次分離排出を行なう補助分離排出ユニット50Bが追加されて設けられていることが特徴である。
【0067】
なお、1つのランナー32上に設置された樹脂分離排出ユニット50Bと補助分離排出ユニット80は、1つの独立した排出流路を持つように1つの樹脂排出通路34に繋がれ、それらの各樹脂排出通路34はそれぞれに繋がれた排出遮断ユニット60を通じて1つのドレイン通路63に繋がれる。このドレイン通路63の出口には上記した実施例と同様に、真空ポンプとともに排出ポンプ70が繋がれる。排出ポンプ70はドレイン通路63の出口に真空吸入力を付与してドレイン通路の樹脂を円滑に排出する。
【0068】
図13に示す如く、上記の補助分離排出ユニット80は本体の側壁に、ランナー32の樹脂を通過させる供給通路81を有し、この供給通路81は、ランナーの経路方向に沿って形成されている。また補助分離排出ユニット80は本体の側壁に、上記の供給通路81から分岐され樹脂排出通路34と連通する分岐通路82を有し、この分岐通路82は側壁の回りに沿って形成された構造になっている。
【0069】
スプルー31と補助分離排出ユニット80との間における上流側のランナー32(即ち、上流側のランナーとは、スプルー31から補助分離排出ユニット80に至る領域のランナーをいう)の内壁に残留する残留樹脂をスプルー31から供給される新しい溶融樹脂にて押し流し、残留樹脂とともに流動する溶融樹脂は、補助分離排出ユニット80の供給通路81に流入する。供給通路81に流入した残留樹脂は、供給通路81を真直ぐ進む樹脂と分流して分岐通路82に案内され、樹脂排出通路34Aに導かれ、樹脂排出通路34Aを経て外部に排出される。このようにして、上流側のランナー32に残留する残留樹脂を一次排出する。
【0070】
一方、ランナー32の中央を通過する溶融樹脂は補助分離排出ユニット80の供給通路81を真直ぐ進み、補助分離排出ユニット80を通過するとともに、ランナー32に入り込んで樹脂分離排出ユニット50B側に向かって流動する。このようにして、溶融樹脂は補助分離排出ユニット80と樹脂分離排出ユニット50Bとの間における下流側のランナー32(即ち、下流側のランナーとは、補助分離排出ユニット80から樹脂分離排出ユニット50Bに至る領域のランナーをいう)を流動し、流動しながら、下流側のランナー32の内壁に残留する残留樹脂を押し流し、残留樹脂とともに下流側のランナー32内を流動する溶融樹脂は、樹脂分離排出ユニット50Bに到達し、その入口51bに流入する。そして上記した実施例と同様に、残留樹脂の流れと、ノズルの樹脂通路21に向かう溶融樹脂の流れを分流し、残留樹脂を樹脂排出通路34に導き、樹脂排出通路34を経て外部に排出する。このようにして、流路の長さが長いランナーの内壁の残留樹脂を完全に除去することができる。
【0071】
(第5実施例)
図14には本発明の第5実施例の縦断面図が図示されている。
【0072】
第5実施例はノズル20の樹脂通路21内部に残留する樹脂を分離して外部に排出するノズル残留樹脂排出装置に関するものである。
【0073】
第5実施例によるノズルの残留樹脂排出装置は分岐排出通路25を有し、この分岐排出通路25は、ノズル20の本体にその長さ方向に沿って上部から下部まで形成されている。分岐排出通路25の下部はノズル20の樹脂通路21の下部に連通している。即ち、分岐排出通路25はノズル20の樹脂通路21の下部より分岐し、ここより上方に向かって、ノズル20の本体の長さ方向に沿って形成された通路である。分岐排出通路25にはノズル側の樹脂排出通路36が繋がれている。
【0074】
上記の本発明の第5実施例による残留樹脂排出装置の作用は次の通りである。即ち、ランナー32内を流れる溶融樹脂がランナー32内壁の残留樹脂を押し流し、溶融樹脂は残留樹脂とともにノズル20の樹脂通路21内に流れ込む。ここで溶融樹脂は樹脂通路21の内壁の残留樹脂を押し流し、ランナー32内壁の残留樹脂及び樹脂通路21の内壁の残留樹脂とともに樹脂通路21内を流下し、樹脂通路21の下端部に達すると、ここで溶融樹脂の流れと残留樹脂の流れが分流し、残留樹脂は分岐排出通路25に案内され、分岐排出通路25を通してノズル側の樹脂排出通路36に流入し、残留樹脂はこの樹脂排出通路36を通して外部に排出される。
【0075】
なお、ノズル側の樹脂排出通路36の出口35には排出遮断ユニット60とドレイン通路63が繋がれており、上記のドレイン通路63には真空吸入ポンプとともに排出ポンプ70が繋がれ、残留樹脂を排出するようになっている。
【0076】
このような第5実施例による残留樹脂排出装置によると、マニホールド30側のランナー32内壁の残留樹脂を排出するだけでなく、ノズル20の樹脂通路21内壁の残留樹脂まで全て排出することができ、キャビティ11に供給される交代溶融樹脂に残留樹脂が混入されるのを完全に防止することができる。
【0077】
(第6実施例)
図15〜図18には本発明の第6実施例が図示されている。
【0078】
本発明の第6実施例は、マニホールド30側ランナー32の残留樹脂を排出するランナー側の樹脂分離排出ユニット50Eと、ノズル側の樹脂通路21内の残留樹脂を排出するノズル側の樹脂分離排出ユニットを含んでいる。
【0079】
図15及び図16に示す如く、本発明の第6実施例のランナー側の樹脂分離排出ユニット50Eは各ランナー32とノズル20の連結部に設置される。上記ランナー側の樹脂分離排出ユニット50Eは図17に示す如く、本体を有し、上記本体は上記マニホールド30のランナー32a、32b、32c、32d内部を通過した溶融樹脂を上記ノズル20の樹脂通路21に案内する供給通路51と、上記供給通路51の端部から分岐される複数個の分岐通路52を有する。そして各分岐通路52の出口端部を相互に繋げるための連結通路54が、樹脂分離排出ユニット50Eの本体外側壁の回りに沿って延びるように設けられている。
【0080】
上記ノズル側の樹脂分離排出ユニットは図18に示されるように、分岐排出通路25と、ノズル側の樹脂排出通路36A、36B、36C、36Dとからなる。分岐排出通路25は、ノズル20の本体に長さ方向に沿って上部から下部まで形成されており、上部ノズル20の樹脂通路21の下部で分岐され、ノズル20の本体の長さ方向に沿って上部まで形成されている。ノズル側の樹脂排出通路36A、36B、36C、36Dはマニホールド30に設けられ、ノズル20の樹脂通路21を流動する溶融樹脂により押し流された、ノズルの樹脂通路21内壁の残留樹脂を分岐排出通路25を経て外部に排出するように構成されている。
【0081】
図15及び図16に示す如く、上記のランナー32側の樹脂分離排出ユニット50Eは、連結通路54を通して、それぞれの独立したランナー32側の樹脂排出通路34A、34B、34C、34Dに繋がる。上記ランナー32側の樹脂排出通路34A〜34Dとノズル側の樹脂排出通路36A〜36Dはそれぞれ1つの排出遮断ユニット60A、60B、60C、60Dに繋がれ、更に排出遮断ユニット60A、60B、60C、60Dを通して1つの統合した樹脂排出通路34に繋がれる。
【0082】
上記の統合した樹脂排出通路34の出口には、ドレイン通路63と排出遮断ユニット60が繋がれる。
【0083】
上記のように、本発明の第6実施例によると、マニホールド側ランナーの残留樹脂のみならず、ノズル側の樹脂通路における残留樹脂をそれぞれ別途の独立した樹脂排出通路へ排出することができて、各樹脂排出通路に繋がった排出遮断ユニットを選択的に操作することによって各ノズル20またはマニホールドのランナー32の残留樹脂の排出を独立にまたは選択的に制御することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 金型ブロック
11 キャビティ
11a ゲート
20 ノズル
21 樹脂通路
25 分岐排出通路
30 マニホールド
32、32a〜32d ランナー
34、34A〜34D 樹脂排出通路
50、50A、50B、50E 樹脂分離排出ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有した金型ブロックと、ゲートを通じてキャビティと連通される樹脂通路を有する1つ以上のノズルと、溶融樹脂を上記各ノズルの樹脂通路に案内する1つ以上のランナーを有するマニホールドとを備えるホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置であって、
上記のマニホールドのランナーの溶融樹脂をランナー外部に排出する樹脂排出通路と、
上記のマニホールドのランナーと上記ノズルの樹脂通路が繋がれる接続部に設置されて、上記のマニホールドのランナーの溶融樹脂を上記の樹脂排出通路に分流して排出する樹脂分離排出ユニットとを設けてなることを特徴とするホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項2】
上記の樹脂排出通路を開放または遮断する排出遮断ユニットを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項3】
上記の樹脂排出通路に真空吸入力を付与して樹脂排出通路の溶融樹脂を強制排出する排出ポンプを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項4】
上記の樹脂分離排出ユニットは本体を有し、上記本体は上記マニホールドのランナー内部を通過した溶融樹脂を上記ノズルの樹脂通路に案内する供給通路と、上記供給通路から分岐され、上記の供給通路を通過した溶融樹脂の中で内壁に沿って流動する溶融樹脂を上記の樹脂排出通路に案内する分岐通路を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項5】
上記の樹脂分離排出ユニットは上記のマニホールドに形成されたノズル結合穴の中で、上記ノズルの樹脂通路と同軸に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項6】
上記の排出遮断ユニットは前後方向に移動して上記の樹脂排出通路の出口を遮断または開放する遮断ピンと、上記の遮断ピンを前進または後退移動させるバルブ作動機にて構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項7】
上記の樹脂分離排出ユニットの供給通路は入口が上記のマニホールドのランナーに接続され長さ方向に延長され出口が上記ノズルの樹脂通路に繋がり、上記の樹脂分離排出ユニットの分岐通路は上記の供給通路の先端より分岐され上記の樹脂排出通路に繋がれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項8】
上記の樹脂分離排出ユニットは複数の樹脂分離排出ユニットグループから構成され、各樹脂分離排出ユニットグループは2つ以上の樹脂分離排出ユニットに統合された1つの樹脂排出通路に繋がれ、
各樹脂分離排出ユニットグループの統合された樹脂排出通路には、樹脂排出通路の出口を開放または遮断する排出遮断ユニットと、統合された樹脂排出通路に真空吸入力を付与し統合された樹脂排出通路の溶融樹脂を強制排出する排出ポンプとが繋がっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項9】
上記マニホールドの各ランナーは経路の中で補助分離排出ユニットが追加されて上流側ランナーと下流側ランナーに区画され、上記補助分離排出ユニットは上流側ランナーを通過した溶融樹脂を分流し、溶融樹脂の一部は樹脂排出通路に案内し、残りの溶融樹脂は下流側ランナーに案内することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項10】
上記の各ランナーに設置された樹脂分離排出ユニットと補助分離排出ユニットは独立した樹脂排出通路に繋がれ、
上記の各樹脂排出通路は1つの共通ドレイン通路に接続され、上記ドレイン通路には出口を開放または遮断する排出遮断ユニットと、上記のドレイン通路に真空吸入力を付与して溶融樹脂を外部に強制排出する排出ポンプが設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項11】
上記ノズルは樹脂通路から分岐され樹脂通路を通過する溶融樹脂を上記マニホールドの樹脂排出通路に案内する1つ以上の分岐排出通路を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項12】
上記マニホールドの樹脂排出通路を開放または遮断する排出遮断ユニットを更に含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項13】
上記のマニホールドの樹脂排出通路に真空吸入力を付与し樹脂排出通路の溶融樹脂をマニホールドのランナーの外部に強制排出する排出ポンプを更に含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項14】
上記ノズルの樹脂通路内壁の残留樹脂を外部に排出するノズル側の樹脂分離排出ユニットを更に含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項15】
上記のノズル側の樹脂分離排出ユニットは、上記ノズルの本体に長さ方向に沿って上部から下部まで形成され、下部で上記ノズルの樹脂通路の下部と繋がれ、上部はマニホールドに設けられた樹脂排出通路に繋がれる分岐排出通路と、上記のランナー側の樹脂排出通路とは別途に設けられ上記分岐排出通路の出口と連通するノズル側の樹脂排出通路とから構成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。
【請求項16】
上記のマニホールドのランナー側の樹脂排出通路は1つの排出遮断ユニットに相互に接続されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のホットランナー射出金型装置における残留樹脂の排出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−183815(P2012−183815A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159498(P2011−159498)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【特許番号】特許第4981980号(P4981980)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(511034675)
【Fターム(参考)】