説明

ホット飲料用容器

【課題】 胴部に凹凸部を形成し、凹凸部をラベルで被覆したホット飲料用の容器を提供すること。
【解決手段】 ホット飲料用容器として、容器にラベルを貼着したホット飲料用容器であって、容器は、口部と肩部、胴部と底部とからなり、胴部は、上下端部を除いて断面波形形状に形成した凹凸部が形成されており、肩部下端部と底部の脚壁部に、凹凸部の凹部に通じる溝が設けられ、ラベルは、肩部の下端部と底部の脚壁部に設けた溝の端部が露出されるようにして、容器の肩部下端部、底部の脚壁部、胴部の凹凸部を被覆していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー、紅茶、お茶等のホット飲料を収納する容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
胴部主要部に、たて長に凹設した減圧吸収面(ミラー部)を形成し、該減圧吸収面の全体を覆ってラベルを被覆したびんであって、前記減圧吸収面の凹所下部に接続して、下方に延び前記ラベル外に達する凹溝を、前記各減圧吸収面に少なくとも一本形成したびんは、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】実公平7−4163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載のびんでは、減圧吸収面の全体をラベルで被覆するが、たて長に凹設した減圧吸収面が大きいので、びんを把持するとラベルが撓み、コーヒー、紅茶、お茶等の高温に温めた飲料を入れた場合、指等が直接熱いびんに触れるので、把持できなくなるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、胴部に凹凸部を形成し、凹凸部をラベルで被覆したホット飲料用の容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するため、ホット飲料用容器として、容器にラベルを貼着したホット飲料用容器であって、容器は、口部と肩部、胴部と底部とからなり、胴部は、上下端部を除いて断面波形形状に形成した凹凸部が形成されており、肩部下端部と底部の脚壁部に、凹凸部の凹部に通じる溝が設けられ、ラベルは、肩部の下端部と底部の脚壁部に設けた溝の端部が露出されるようにして、容器の肩部下端部、底部の脚壁部、胴部の凹凸部を被覆していることを特徴とする構成を採用する。
【0006】
ホット飲料用容器の別実施例として、容器にラベルを貼着したホット飲料用容器であって、容器は、口部と肩部、胴部と底部とからなり、肩部下端部と胴部、および底部の脚壁部を含む部分に断面波形形状に形成した凹凸部が形成されており、ラベルは、容器の肩部下端部と底部の脚壁部に設けた凹凸部の端部が露出されるようにして、容器の肩部下端部と胴部と底部の脚壁部の凹凸部を被覆していることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
ラベルの実施例として、ラベルが、シュリンクラベルにより形成されていることを特徴とする構成、または、ラベルが、断熱性を有する発泡フィルムよりなるシュリンクラベルにより形成されていることを特徴とする構成を採用し、凹凸部の変形実施例として、容器の凹凸部の凸部分が、細かい凹凸形状に形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
断面波形形状に形成した凹凸部を有する胴部に、ラベルを被覆したことにより、指等がホットな容器に、直接触れる部分が極めて少なくなり、コーヒー、紅茶、お茶等の飲料を温めて用いるホットドリンク等の飲料用容器を把持するときに、液温度が直接手指に伝わらないので、容器の使用感がよくなった。
また、飲料等の加熱充填後の冷却にあたっても、冷却水の流通により、冷却効果を高めることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明のホット飲料用容器について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1において、Aは容器、Bはラベル、Cはキャップである。
【0011】
容器Aは、口部1と肩部2、胴部3と底部4とを具えている。
口部1にねじ1aが螺設され、その下方にネックリング1bが設けられている。
図1、2に示すように、胴部3は、その中間部5に、断面波形形状に形成した凸部6と凹部7とからなる凹凸部8が設けられている。
【0012】
肩部2の下方部には、胴部3の凹部7に通じる複数の溝9が刻設され、底部4の脚壁部4aから胴部3の凹部7に通じる複数の溝10が刻設され、ラベルBとの間に外気と通じる連通孔が形成されている。
【0013】
ラベルBは、肩部2の下端部と、断面波形形状に形成した凹凸部8と、底部4の上端部とを被覆している。
【0014】
キャップCは、容器Aの口部1のねじ1aに螺合するねじが螺設され、容器Aの口部1に螺着されるようになっている。
【0015】
次に、本実施例1の容器の使用態様と作用効果について、説明する。
本発明の容器Aには、コーヒー、紅茶、お茶等の温かい飲料が充填され、自動販売機等で保温された状態で販売される。
ホット飲料の入った容器を、自動販売機等から取り出し、容器Aを手指で把持した場合に、胴部の凸部6を持つことになり、放熱により温度が下がって把持しやすくなる。
また、凹部7には、溝9、10を通じて空気が上下に流通しているので、凹凸部8は、さらに低い温度に保たれ、温かい飲料が入っていても、容器Aが容易に把持できる。
【0016】
また、内容物を加熱充填した場合には、高温の飲料が充填された後に、冷却シャワーで一定温度まで冷却されるが、その際には、冷却水がラベルBと胴部3の凹部7との間を、溝9、10を通じて上方から下方に流れるので、冷却効果を高めることができる。
【実施例2】
【0017】
次に、容器の凹凸部と、ラベルとの間の通気性をさらによくした第2実施例について、相違点を中心に説明する。
【0018】
図3において、Aaは容器、Bはラベル、Cはキャップである。
【0019】
容器Aaは、口部11と肩部12、胴部13と底部14とからなっている。
胴部13には、肩部12の下端部と底部14の脚壁部15を含む部分に断面波形形状に形成した凸部16と凹部17とからなる凹凸部18が設けられている。
【0020】
ラベルBは、肩部12の下端部と、胴部13の全長、底部14の底端近辺までを被覆して貼着しており、凹凸部18の上下端は、外気と連通している。
【0021】
次に、第2実施例の使用態様と作用効果について、説明する。
ホット飲料の入った容器を手指で把持するとき、凹凸部18の上下が外気と連通しているので、第1実施例に比較して、より大きく放熱され、凹凸部18が冷却されるので、凸部16を把持しやすくなっている。
また、加熱充填した場合にも、凹凸部18に冷却水が流れるので、冷却効果は、さらに向上させることができる。
【0022】
さらにまた、ラベルBより底部14底端の断面波形形状を脚壁部15まで設けることにより、脚壁部15の凹凸部18が作用し、容器Aaが生産ライン上の搬送時、店頭に展示した時に、脚壁部15の凸部16が支持面に接触し、滑りを阻止するので、転倒等が防止可能になった。
【0023】
前記各実施例では、ラベルBを熱収縮性のシュリンクラベルとすることによって、容器A、Aaに簡単に被覆できるようになった。
また、前記各実施例で、ラベルBとして、断熱性を有する発泡フィルムよりなるシュリンクラベルを用いることができ、断熱効果を得ることができる。
【0024】
さらにまた、前記各実施例において、容器の凹凸部の凸部6、16の平面に、細かい凹凸形状を付け、粗面としてもよく、より高い断熱効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、容器の胴部に、断面波形形状に形成した凹凸部を設けてラベルを被覆したことによって、指等が容器に直接触れる部分が極めて少なくなり、コーヒー、紅茶、お茶等のホット飲料、その他のホットドリンク等の容器として、広く利用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のホット飲料用容器の半断面立面図である。
【図2】(a)は肩部の図1のa部の拡大図、(b)は図1のA−A線における容器の切断面図である。
【図3】本発明の別実施例の容器の半断面立面図である。
【符号の説明】
【0027】
A、Aa 容器
B ラベル
C キャップ
1、11 口部
1a ねじ
1b ネックリング
2、12 肩部
3、13 胴部
4、14 底部
4a、15 脚壁部
5 中間部
6、16 凸部
7、17 凹部
8、18 凹凸部
9、10 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器にラベルを貼着したホット飲料用容器であって、
容器は、口部と肩部、胴部と底部とからなり、
胴部は、上下端部を除いて断面波形形状に形成した凹凸部が形成されており、
肩部下端部と底部の脚壁部に、凹凸部の凹部に通じる溝が設けられ、
ラベルは、肩部の下端部と底部の脚壁部に設けた溝の端部が露出されるようにして、容器の肩部下端部、底部の脚壁部、胴部の凹凸部を被覆していることを特徴とするホット飲料用容器。
【請求項2】
容器にラベルを貼着したホット飲料用容器であって、
容器は、口部と肩部、胴部と底部とからなり、
肩部下端部と胴部、および底部の脚壁部を含む部分に断面波形形状に形成した凹凸部が形成されており、
ラベルは、容器の肩部下端部と底部の脚壁部に設けた凹凸部の端部が露出されるようにして、容器の肩部下端部と胴部と底部の脚壁部の凹凸部を被覆していることを特徴とするホット飲料用容器。
【請求項3】
ラベルが、シュリンクラベルにより形成されていることを特徴とする請求項1、または2記載のホット飲料用容器。
【請求項4】
ラベルが、断熱性を有する発泡フィルムよりなるシュリンクラベルにより形成されていることを特徴とする請求項1、または2記載のホット飲料用容器。
【請求項5】
容器の凹凸部の凸部分が、細かい凹凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1、または2記載のホット飲料用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−161193(P2009−161193A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339594(P2007−339594)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】