ホッパー及びホッパー付き貝表面清浄機
【課題】 従来の貝表面清浄機用ホッパーによっては、貝移送体の送り片による押しにより、貝の周縁部が欠損することがあった。
【解決手段】 本件出願のホッパーは、貝を投入するホッパーにおいて、投入された貝を縦向きにして案内可能なポケットを備え、ポケットの底部に貝の外周縁部が突出する開口部が形成されたものである。また、本件出願の貝表面清浄機用ホッパーは、貝を投入するホッパーを備え、ホッパー内の貝を移動通路内に供給し、貝が移動通路内を移送される間に、その貝の表面の汚れを除去する貝表面清浄機のホッパーに、投入された貝を縦向きにして移動通路側に案内するポケットを設け、ポケットの底部に貝の外周縁部が突出する開口部を形成したものである。ポケットは上方及び前方は開口し、底部を下方細りに形成することができる。ポケットの上方開口部の外周には、投入される貝をポケットに案内する投入ガイドを備えることもできる。
【解決手段】 本件出願のホッパーは、貝を投入するホッパーにおいて、投入された貝を縦向きにして案内可能なポケットを備え、ポケットの底部に貝の外周縁部が突出する開口部が形成されたものである。また、本件出願の貝表面清浄機用ホッパーは、貝を投入するホッパーを備え、ホッパー内の貝を移動通路内に供給し、貝が移動通路内を移送される間に、その貝の表面の汚れを除去する貝表面清浄機のホッパーに、投入された貝を縦向きにして移動通路側に案内するポケットを設け、ポケットの底部に貝の外周縁部が突出する開口部を形成したものである。ポケットは上方及び前方は開口し、底部を下方細りに形成することができる。ポケットの上方開口部の外周には、投入される貝をポケットに案内する投入ガイドを備えることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種機器に取付けて使用される貝投入用のホッパー、及び、それを取り付けた貝表面清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帆立貝、牡蠣等を海中に吊るして養殖する場合、海中に吊るしている間に貝の殻の表面に藻や海中のごみなどが付着する。これら付着物は貝表面清浄機で掻き落として除去している。従来の貝表面清浄機は、側面V字状の移動通路内に供給された貝を、貝移送体の回転により移動通路の入口側から出口側に移送し、その移送中に、移動通路の両外側方に配置された掃除具を回転させ、掃除具の爪を貝表面に接触させて貝表面に付着している付着物を掻き落すようにしてある(特許文献1参照)。移動通路の入口側には貝を供給するホッパーがある。従来のホッパーAは、図10、図11(a)(b)に示すように、ポケットBと投入ガイドCを備え、ポケットBは上方及び前方が開口し、周壁D及び底Eが下方細りの斜め下向きに形成されて、周壁D及び底Eに囲われた貝案内通路Fが形成され、貝案内通路Fに投入された貝Sが自動的に縦向きになって、ホッパーの斜め下方の貝表面清浄機の移動通路内に案内されるようにしてある。前記投入ガイドCは円弧状であり、ポケットBの上方開口部の外周外側に取付けられて、貝SがポケットB内に確実に案内されるようにしてある。
【0003】
【特許文献1】実公昭52−43676号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貝表面清浄機のホッパーには次のような課題があった。
(1)図11(b)に示すように、貝の外周縁部がポケットBの底Eの上を転がる(移動する)ため、貝移送体の回転する送り片Gの先端部Hが、ポケットB内の貝Sを貝表面清浄機の移動通路へ送り出す(供給する)ときに、貝Sが貝表面清浄機の送り片Gの先端部Hで押されてポケットBの底Eに押し付けられる。このため、幅が細くなるポケットBの案内通路Fの下部で、貝Sの外周縁部が底Eの下部Jに強く押されて欠けることがある。貝Sの外周縁部が欠けると貝のサイズが小さくなったり、見栄えが悪くなったりして貝の階級(等級)が下がったり、商品価値が低下して価格が低下するといったことがある。
(2)貝Sの外周縁部が凹凸しているため、ポケットBの貝案内通路Fの底Dの上を転がり落ちる(移動する)貝Sが、跳ねる等して滑らかに転がらず(移動せず)、貝Sが貝案内通路Fの終端から、貝表面清浄機の移動通路内にスムースに送り出されないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件出願のホッパーは、底と周壁の内側に貝案内通路を有するポケットを備え、貝案内通路は出口側を細くして、貝案内通路に投入された貝が自動的に縦向きになって貝案内通路内を転がり落ちるようにしてある。底のうち貝案内通路の出口側には貝の外周縁部が突出可能な開口部を形成して、貝案内通路内の貝を貝表面清浄機の送り片で貝表面清浄機に送り込むときに、送り片による貝案内通路の底への貝の押し付けが緩和されるようにしてある。ポケットは上方が開口して外から貝を投入し易くしてあり、前方が開口して貝表面清浄機の送り片で貝案内通路内の貝を送り出し易くしてある。また、ポケットの上方開口部の外周にその外側に突出する投入ガイドを設けて、投入される貝がポケットの案内通路内に確実に案内されるようにしてある。
【0006】
本件出願のホッパー付き貝表面清浄機は、ホッパー内に投入された貝が移動通路内に供給され、貝が移動通路内を移送される間に、その貝の表面の汚れが除去される貝表面清浄機であり、その移動通路の手前に前記ホッパーを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本件出願のホッパー及び貝表面清浄機のホッパーは、投入した貝の外周縁部が突出する開口部がポケットの底に形成されているので、次のような効果がある。
(1)貝案内通路内の貝が、貝表面清浄機の貝移送体の送り片により、貝表面清浄機の移動通路に送り出されるときに、貝に下向きの強い力が加えられても、貝の外周縁部がポケットの貝案内通路の底の開口部から下方に突出するので、貝に加わる力が緩衝され、貝の外周縁部が欠けることがなく、貝の商品価値の低下を防止することができる。
(2)貝の外周縁部が凹凸していても、貝の外周縁部がポケットの貝案内通路の底の開口部から下方に突出するので、底の上を転がり落ちてくる貝が、貝案内通路の下端部で跳ねることがなく、貝がスムースに貝表面清浄機の移動通路内に送り出される。
【0008】
本件出願のホッパー及び貝表面清浄機のホッパーは、ポケットが上方及び前方開口で、ポケットの貝案内通路の出口側が細くなっているため、貝案内通路に投入された貝が自動的に縦向きになって貝案内通路内をスムースに転がって貝表面清浄機の移動通路内にスムースに送り出される、という効果がある。
【0009】
本件出願のホッパー及び貝表面清浄機のホッパーは、ポケットの上方開口部の外周に投入ガイドを備えたので、投入される貝は投入ガイドによりポケット内に確実に案内され、ホッパーの外に落下することが殆ど無く、落下による貝の損傷や死滅などがない。また、貝をポケットよりも外側の投入ガイドに投入すればよいため、貝を投入する手をポケットの奥まで入れる必要が無く、手や指先などが貝表面清浄機の貝移送体の送り片に接触したり、巻き込まれたりして怪我をすることが無く、安全であり、労務管理の面でも好ましい、といった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施形態1)
本発明のホッパー及びホッパー付貝表面清浄機の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すホッパー1は、上方及び前方開口のポケット2と、そのポケット2の上方開口部2aの外側に備えられた投入ガイド3を備えている。ポケット2は上方開口とすることにより、図3(b)、図4、図5に示すように、貝移送体14の送り片20がポケット2の上方開口部2aから入り込んで、ポケット2の貝案内通路10内に投入された貝Sを下方に押さえつつ前方に転がして、貝表面清浄機の移動通路13に送り込む(供給する)ことができるようにしてある。
【0011】
前記ポケット2は、図1〜図3に示すように、板材を曲げたり、板材を組み合わせて溶接したり、接着したりして形成されている。ポケット2には周壁2bと底2cで囲われた上方及び前方開口の案内通路10が形成されている。周壁2b及び底2cは図3(a)(b)に示すように、前方細り及び下方細りの斜め下向きに形成されている。従って、案内通路10は、図に示すように下方細りに形成され、投入された貝が自動的に縦向きになって案内通路10内をスムースに転がって、案内通路10の斜め前下方の貝表面清浄機の移動通路13内にスムースに案内されるようにしてある。ポケット2に用いる板材は金属製や硬質樹脂製等任意のものとすることができる。ポケット2は板材を加工するのではなく、樹脂成型や他の方法で作ることもできる。
【0012】
ポケット2の底2cの下部4には、図1〜図3に示すように、前方(移動通路側)が次第に広くなる開口部5が開口されている。この開口部5は貝Sの外周縁部が下方に突出する幅としてある。また、開口部5の両側壁には貝で押されて開き過ぎるのを防止するために、両側壁間を連結したり、両側壁に補強材を取り付けたり、両側壁を肉厚にしたり、両側壁にリブを形成する等することもできる。開口部5の形状は図3(b)に示すように、貝Sの外周縁部がポケット2の下方に突出する幅であれば任意の広さ、長さ、形状等とすることができる。いずれの場合も、貝がポケット2の貝案内通路10内に縦、横いずれの向きで投入されても、自動的に縦向きになって落下して斜め前下方の移動通路にガイドされるようにしてある。
【0013】
図1〜図3に示すように、ポケット2の上方開口部2aの両外側には取付け部6が形成されている。取付け部6はホッパー1を貝表面清浄機に取付けるためのものである。図1、2に示す取付け部6は板材を外側に曲げて下向きコ字状に形成してある。取付け部6は、例えば図4、図5のように貝表面清浄機の架台11等に固定することにより、移動通路13の入口側にホッパー1を取付けることができる。取付け部6は貝表面清浄機に取付け可能な形状、構造であれば、図に示す以外の形状、構造とすることができる。
【0014】
前記投入ガイド3は図1〜図3に示すように円弧状の鍔の形状をしており、中央開口縁8をポケット2の上方開口部2aの外周縁の上にのせてその外側に突出させ、溶接とか、接着材等で固定してある。投入ガイド3の上方外周縁部は図2に示すように外方に折り返してリブ7とし、貝の投入時に手や指先が接触しても切れないようにしてある。投入ガイド3もポケット2と同様に金属製、硬質樹脂製等、任意の材質製とすることができる。投入ガイド3はポケット2と一体に樹脂成型することもできる。投入ガイド3の大きさ、形状等も図に示すものに限られず、任意の大きさ、形状等とすることができる。
【0015】
(ホッパー付貝表面清浄機)
本発明のホッパー付貝表面清浄機の一例を図4、図5に基づいて説明する。図4の貝表面清浄機は四角い枠形の架台11の四方のコーナーに支持脚12を備え、該架台11の内側に移動通路13を設け、移動通路13の上部に貝移送体14を設け、移動通路13の左右両側に掃除具15a、15bを設けてある。本発明のホッパー1は、図4、図5に示すように移動通路13の入口50側に取付けられている。貝表面清浄機は図4、図5に示す構成のものに限られず、任意の構成のものとすることができる。
【0016】
移動通路13は図6(a)に示すように、多数本の棒材17を左列と右列に向かい合わせ、横に少し位置をずらして互い違いに並べ、棒材17の上端から下端に向けて内側に傾斜させて、左右の棒材17間に側面形状V字状の空間を形成し、この空間を移動通路13としてある。左右列の夫々の棒材17は上端部を架台11に溶接とか他の手段で固定し、下端同士は互いに接触しないように、移動通路13の進行方向に隙間をあけて下端同士を突き合わせて底面77を形成し、底面77の上を貝Sが脱落することなく移動できるようにすると共に、貝Sの表面から掻き落とされたゴミが棒材17の隙間から落下して移動通路13内に溜まらないようにしてある。また、図6(a)のように、左列と右列の夫々の棒材17をその配列方向に間隔をあけて配置して、隣接する棒材17の間の空間を開口部18としてある。開口部18は掃除具15(図4)の爪19の幅よりも広くして、爪19がその開口部18から移動通路13内に突出できるようにしてある。左右列の棒材17の上端は離れたまま(開口したまま)にして、移動通路13を上面開口にしてある。
【0017】
前記ホッパー1は、図4、図5に示すように取付け部6を架台11の上に取付けることにより、移動通路13の入口50側上方に配置してある。この場合、ホッパー1はその投入ガイド3が架台11の上方に突出するように取付けて、ホッパー1に貝を投入し易くしてある。ホッパー1に投入された貝Sは、縦向きとなって自重落下して斜め前下方の移動通路にガイドされ、貝Sの外周縁部がホッパー1の開口部5から外方に突出する。
【0018】
前記貝移送体14は図4、図5に示すように、無端のベルトコンベア、チェーン等の回転走行体21の外周面に、その回転方向に間隔をあけて送り片20を取付けてある。送り片20には例えば硬質製のゴム板や樹脂板等が適し、その形状は移動通路13のV字形状に合わせて先端部の幅を細くして、先端部が移動通路13の上方開口部から移動通路13内に入り込むものであるが、この場合、送り片20の先端部が図4に示すように、回転しながらホッパー1内にも入り込むようにしてある。送り片20は回転走行体21を図4のモータ33により同図の矢印B方向に回転させると、ホッパー1内に入り込んでホッパー1に投入された貝を下方に押して移動通路13に送り込み、更に回転して、移動通路13の出口60側に送り出す。貝は回転しながら移動通路13内を移送される。送り片20は先端が図4に示すように回転方向後方に傾斜するように取付けて、移動通路13内の貝を送り出し易くしてある。
【0019】
前記掃除具15a、15bは、図4に示すように、一本の回転軸22に多数の掻取り具80が回転軸22の軸方向に間隔をあけて取付られている。掻取り具80は、図7に示すように、円盤状の取付盤23の外周面にL字状の金属製の爪19を取付けたものである。取付盤23はゴム、樹脂等の弾性を有する素材により円盤状に一体成形され、その中心に軸取り付け孔24が開口され、外周寄りに開口部25を一定間隔で開口して、開口部25の間の連結部26に弾性を付与し、各連結部26の外側にリング状の外輪部27が形成されている。この外輪部27の外周面にL字状の金属製の爪19が取付けられている。
【0020】
掻取り具80は図7に示すものには限られず、図8に示すものとか、他の形状とすることができる。図8に示す掻取り具80の取付盤23は、ゴム、樹脂等の弾性を有する素材により円盤状に成形され、その外周縁寄りに多数枚の羽根43が放射状に突設され、中心部に軸取り付け孔24が開口されたものであり、夫々の羽根43の側面に金属製の爪19がボルトとナット等の固定具で取付けられている。爪19の取付けには接着剤とか他の手段を使用することも出来る。爪19は図8の掻取り具80の回転方向(矢印方向)にく字状に曲げて、回転時に貝表面に接触し易くすると共に貝表面の汚れを掻き取り易くしてある。
【0021】
掻取り具80は、図7、図8に示すものには限られず、図9に示すものとすることもできる。図9に示す掻取り具80は円盤状の取付盤23の外周面に多数本の金属製のコイルバネ81を均一間隔で取付け、各コイルバネ81の先端部にチップ状の掻取り片82を取付けたものである。取付盤23は金属製、樹脂製、ゴム製等の任意の部材を円盤状に成形したものであり、中心に軸取り付け孔24が開口されている。コイルバネ81には密巻きして弾性を強くしたものを用いるのが掻取りの面から望ましいが、任意のコイルバネを用いることができる。掻取り片82はチップ状には限らず、板状、突起状、爪状といった各種形状、構造のものを用いることができる。
【0022】
図7〜図9の掻取り具80は図4のように回転軸22に一定間隔をあけて多数枚並べて取付けてある。この場合、隣り合う掻取り具80の間に図4のスペーサ28を介在させて掻取り具80間に一定間隔を設けてある。
【0023】
前記のように回転軸22に多数の掻取り具80を取り付けた掃除具15a、15bは、移動通路13の左右両外側に移動通路13に沿って配置し、しかも、両掃除具15a、15bの回転軸22の間隔を入口50側から出口60側まで等間隔とし、夫々の掃除具15a、15bの爪19の先端部が移動通路13の開口部18から移動通路13内に突出するようにしてある。また、二本の掃除具15a、15bのうち一本は図4、図6(b)に示すように移動通路13の入口50側から出口60側に向けて下り傾斜に配置され、他の一本は移動通路13の入口50側から出口60側に向けて上り傾斜に配置されている。このように傾斜させて配置することにより、一方の掃除具は入口50側が貝の上部に、出口60側が貝の下部に接触し、他方の掃除具は入口50側で貝の下部に、出口60側で貝の上部に接触して、掻取り具80の爪19が貝の表面全般(膨出している中心部から厚さの薄い外周部まで)に接触して、表面全般の汚れを掻き落とすことができるようにしてある。
【0024】
二本の掃除具15a、15bは上下同方向に傾斜させることもできる。また、傾斜させずに水平に配置することもできる。また、前記二本の掃除具15a、15b同士の間隔は入口50側を広く、出口60側を狭くしたり、これとは逆に入口50側を狭く、出口60側を広くしたりすることもできる。
【0025】
掃除具15a、15bの夫々の回転軸22の一方の端部には図4に示すように、回転伝達体31a、31bが取付けられている。回転伝達体31としては、内部に空気の入った中空のタイヤとか、中実の棒タイヤといった各種構造のタイヤが使用されている。両タイヤ同士はその外周面同士で接触して十分に摩擦して、一方のタイヤの回転が他方のタイヤに伝達されるようにてある。
【0026】
図4に示すように回転軸22の回転伝達体31bが取付けられた端部とは反対側の端部には、ユニバーサルジョイント32が取付けられ、このユニバーサルジョイント32を介して、傾斜している回転軸22と、架台11に水平に取り付けられている伝達軸34とが回転自在に連結されている。伝達軸34には図4、図5に示すように受けプーリー35が取付けられており、その受けプーリー35と、駆動源(モータ)38の駆動プーリー36とにベルト37が張設され、モータ38の回転が駆動プーリー36―受けプーリー35―伝達軸34―回転軸22と伝達されて回転軸22が回転するようにしてある。モータ38にはモータに代えてエンジン等の他の駆動源を用いることもできる。
【0027】
モータ38が回転すると、上記したようにベルト37を介して、モータ38の回転が駆動プーリー36―受けプーリー35―伝達軸34―回転軸22と伝達されて回転軸22が回転し、掃除具15bが回転する。掃除具15bが回転すると、回転伝達体31bが回転し、回転伝達体31bと接触している掃除具15a側の回転伝達体31aも同じ方向(共に移動通路に対して下向き方向)に回転する。回転伝達体31aの回転にあわせて、掃除具15aの回転軸22も回転し、掃除具15aも回転する。本発明の貝表面清浄機においては、モータ38を回転させると、掃除具15a、15bは、ともに移動通路13に対して下向き方向に回転し、移動通路13内の貝に引き下げ方向(移動通路13の底方向)の力が働き、移動通路13内で安定させて貝の付着物を掻き落とすことができる。
【0028】
前記モータ38に取り付けられた駆動プーリー36と、掃除具の受けプーリー35と、ベルト37は、スプロケット及びチェーンで置き換えることも可能である。
【0029】
また、上記においてはモータ38によって直接回転させられるのは掃除具15b一本だけであるが、掃除具15a側の回転軸22にもプーリーを備えて、ベルトを掛けて回転軸22を双方ともモータ38によって回転させるようにしてもよい。
【0030】
二本の掃除具15a、15bを回転させる機構は、前記タイヤを用いた回転伝達体31a、31bには限られず、他の任意の機構とすることができる。従って、例えば、掃除具15a、15bの夫々の回転軸22の入口50側の端部に回転伝達用のプーリーを取付け、伝達ベルトを掛けて、二本の掃除具15a、15bを回転させること等も可能である。また、回転伝達体31a、31bも、タイヤに限らず、ギア、板バネ、ドラムなど、任意のものを用いることができる。
【0031】
本使用例のホッパー付き貝表面清浄機を用いて貝を清浄するには、以下のようにする。
1.図5に示すモータ33を回転させて貝移送体14の回転走行体33を回転させる。同時に、図5に示すモータ38を回転させて掃除具15bの回転軸22を回転させて、回転伝達体31b及び31aを介して掃除具15aの回転軸22も回転させて、掃除具15a、15bを回転させる。
2.移動通路13の入口50側のホッパー1に帆立貝などの貝Sを手作業で投入する。
3.ホッパー1に投入された貝Sは、ホッパー1内で縦向きとなって自重落下し、更に回転する貝移送体14の送り片20が、ホッパー1内に入り込み、ホッパー1内の貝Sを押して、斜め前下方の移動通路に送り出す。この時、貝Sの周縁部は、ホッパー1のスリット5から外方に突出する。
4.移動通路13内の縦向きの貝Sは貝移送体14の送り片20により押されて回転しながら、移動通路13の入口50側から出口60側に移動される。
5.移動通路13内の縦向きの貝Sが移動する間に、移動通路13の左右両外側の掃除具15a、15bの爪19が移動通路13の開口部18から移動通路13内に突出して、貝表面の付着物が掻き落とされる。
6.移動通路13内で付着物が掻き落とされた貝Sは送り片20により押されて回転しながら移動通路13内の出口60から排出され、出口60の下方に配置してある容器内に落下し、回収される。
7.前記1〜6の作業により、ホッパー1に投入される貝Sが次から次へと清浄される。
【0032】
(その他の実施形態)
本発明のホッパーのポケットの形状は、図1〜図3に示すものには限られず、投入された貝を縦向きにして自重落下させることができ、貝の外周縁部をポケットの外方に突出させられる開口が開口されている限り、例えば筒状とする等、任意の形状とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のホッパー及び貝表面清浄機用ホッパーは、貝表面清浄機のみならず、他の貝処理機や、他の円盤状の工業製品等の研磨機等にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のホッパーの実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示すホッパーを示す分解斜視図。
【図3】(a)は、図1に示すホッパーを示す平面図。(b)は、(a)に示すホッパーを示す正面図。
【図4】図1に示すホッパーを取付けたホッパー付き貝表面清浄機の一例を示す正面図。
【図5】図1に示すホッパーを取付けたホッパー付き貝表面清浄機の一例を示す平面図。
【図6】(a)は、図4に示すホッパー付き貝表面清浄機の移動通路の様子を示す平面図。(b)は、(a)に示す移動通路と回転軸との関係を示す説明正面図。
【図7】図4に示すホッパー付き貝表面清浄機に用いる爪取付盤の正面図。
【図8】図4に示すホッパー付き貝表面清浄機に用いる他の爪取付盤の正面図。
【図9】図4に示すホッパー付き貝表面清浄機に用いる他の爪取付盤の正面図。
【図10】従来のホッパーの一例を示す斜視図。
【図11】(a)は、図10に示すホッパーを示す平面図。(b)は、(a)に示すホッパーを示す正面図。
【符号の説明】
【0035】
1 ホッパー
2 ポケット
2a 上方開口部
2b 周壁
2c 底
3 投入ガイド
4 下部
5 開口部
6 取付け部
7 リブ
8 中央開口縁
11 架台
12 支持脚
13 移動通路
14 貝移送体
15a 掃除具
15b 掃除具
20 送り片
【技術分野】
【0001】
本発明は各種機器に取付けて使用される貝投入用のホッパー、及び、それを取り付けた貝表面清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帆立貝、牡蠣等を海中に吊るして養殖する場合、海中に吊るしている間に貝の殻の表面に藻や海中のごみなどが付着する。これら付着物は貝表面清浄機で掻き落として除去している。従来の貝表面清浄機は、側面V字状の移動通路内に供給された貝を、貝移送体の回転により移動通路の入口側から出口側に移送し、その移送中に、移動通路の両外側方に配置された掃除具を回転させ、掃除具の爪を貝表面に接触させて貝表面に付着している付着物を掻き落すようにしてある(特許文献1参照)。移動通路の入口側には貝を供給するホッパーがある。従来のホッパーAは、図10、図11(a)(b)に示すように、ポケットBと投入ガイドCを備え、ポケットBは上方及び前方が開口し、周壁D及び底Eが下方細りの斜め下向きに形成されて、周壁D及び底Eに囲われた貝案内通路Fが形成され、貝案内通路Fに投入された貝Sが自動的に縦向きになって、ホッパーの斜め下方の貝表面清浄機の移動通路内に案内されるようにしてある。前記投入ガイドCは円弧状であり、ポケットBの上方開口部の外周外側に取付けられて、貝SがポケットB内に確実に案内されるようにしてある。
【0003】
【特許文献1】実公昭52−43676号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貝表面清浄機のホッパーには次のような課題があった。
(1)図11(b)に示すように、貝の外周縁部がポケットBの底Eの上を転がる(移動する)ため、貝移送体の回転する送り片Gの先端部Hが、ポケットB内の貝Sを貝表面清浄機の移動通路へ送り出す(供給する)ときに、貝Sが貝表面清浄機の送り片Gの先端部Hで押されてポケットBの底Eに押し付けられる。このため、幅が細くなるポケットBの案内通路Fの下部で、貝Sの外周縁部が底Eの下部Jに強く押されて欠けることがある。貝Sの外周縁部が欠けると貝のサイズが小さくなったり、見栄えが悪くなったりして貝の階級(等級)が下がったり、商品価値が低下して価格が低下するといったことがある。
(2)貝Sの外周縁部が凹凸しているため、ポケットBの貝案内通路Fの底Dの上を転がり落ちる(移動する)貝Sが、跳ねる等して滑らかに転がらず(移動せず)、貝Sが貝案内通路Fの終端から、貝表面清浄機の移動通路内にスムースに送り出されないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件出願のホッパーは、底と周壁の内側に貝案内通路を有するポケットを備え、貝案内通路は出口側を細くして、貝案内通路に投入された貝が自動的に縦向きになって貝案内通路内を転がり落ちるようにしてある。底のうち貝案内通路の出口側には貝の外周縁部が突出可能な開口部を形成して、貝案内通路内の貝を貝表面清浄機の送り片で貝表面清浄機に送り込むときに、送り片による貝案内通路の底への貝の押し付けが緩和されるようにしてある。ポケットは上方が開口して外から貝を投入し易くしてあり、前方が開口して貝表面清浄機の送り片で貝案内通路内の貝を送り出し易くしてある。また、ポケットの上方開口部の外周にその外側に突出する投入ガイドを設けて、投入される貝がポケットの案内通路内に確実に案内されるようにしてある。
【0006】
本件出願のホッパー付き貝表面清浄機は、ホッパー内に投入された貝が移動通路内に供給され、貝が移動通路内を移送される間に、その貝の表面の汚れが除去される貝表面清浄機であり、その移動通路の手前に前記ホッパーを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本件出願のホッパー及び貝表面清浄機のホッパーは、投入した貝の外周縁部が突出する開口部がポケットの底に形成されているので、次のような効果がある。
(1)貝案内通路内の貝が、貝表面清浄機の貝移送体の送り片により、貝表面清浄機の移動通路に送り出されるときに、貝に下向きの強い力が加えられても、貝の外周縁部がポケットの貝案内通路の底の開口部から下方に突出するので、貝に加わる力が緩衝され、貝の外周縁部が欠けることがなく、貝の商品価値の低下を防止することができる。
(2)貝の外周縁部が凹凸していても、貝の外周縁部がポケットの貝案内通路の底の開口部から下方に突出するので、底の上を転がり落ちてくる貝が、貝案内通路の下端部で跳ねることがなく、貝がスムースに貝表面清浄機の移動通路内に送り出される。
【0008】
本件出願のホッパー及び貝表面清浄機のホッパーは、ポケットが上方及び前方開口で、ポケットの貝案内通路の出口側が細くなっているため、貝案内通路に投入された貝が自動的に縦向きになって貝案内通路内をスムースに転がって貝表面清浄機の移動通路内にスムースに送り出される、という効果がある。
【0009】
本件出願のホッパー及び貝表面清浄機のホッパーは、ポケットの上方開口部の外周に投入ガイドを備えたので、投入される貝は投入ガイドによりポケット内に確実に案内され、ホッパーの外に落下することが殆ど無く、落下による貝の損傷や死滅などがない。また、貝をポケットよりも外側の投入ガイドに投入すればよいため、貝を投入する手をポケットの奥まで入れる必要が無く、手や指先などが貝表面清浄機の貝移送体の送り片に接触したり、巻き込まれたりして怪我をすることが無く、安全であり、労務管理の面でも好ましい、といった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施形態1)
本発明のホッパー及びホッパー付貝表面清浄機の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すホッパー1は、上方及び前方開口のポケット2と、そのポケット2の上方開口部2aの外側に備えられた投入ガイド3を備えている。ポケット2は上方開口とすることにより、図3(b)、図4、図5に示すように、貝移送体14の送り片20がポケット2の上方開口部2aから入り込んで、ポケット2の貝案内通路10内に投入された貝Sを下方に押さえつつ前方に転がして、貝表面清浄機の移動通路13に送り込む(供給する)ことができるようにしてある。
【0011】
前記ポケット2は、図1〜図3に示すように、板材を曲げたり、板材を組み合わせて溶接したり、接着したりして形成されている。ポケット2には周壁2bと底2cで囲われた上方及び前方開口の案内通路10が形成されている。周壁2b及び底2cは図3(a)(b)に示すように、前方細り及び下方細りの斜め下向きに形成されている。従って、案内通路10は、図に示すように下方細りに形成され、投入された貝が自動的に縦向きになって案内通路10内をスムースに転がって、案内通路10の斜め前下方の貝表面清浄機の移動通路13内にスムースに案内されるようにしてある。ポケット2に用いる板材は金属製や硬質樹脂製等任意のものとすることができる。ポケット2は板材を加工するのではなく、樹脂成型や他の方法で作ることもできる。
【0012】
ポケット2の底2cの下部4には、図1〜図3に示すように、前方(移動通路側)が次第に広くなる開口部5が開口されている。この開口部5は貝Sの外周縁部が下方に突出する幅としてある。また、開口部5の両側壁には貝で押されて開き過ぎるのを防止するために、両側壁間を連結したり、両側壁に補強材を取り付けたり、両側壁を肉厚にしたり、両側壁にリブを形成する等することもできる。開口部5の形状は図3(b)に示すように、貝Sの外周縁部がポケット2の下方に突出する幅であれば任意の広さ、長さ、形状等とすることができる。いずれの場合も、貝がポケット2の貝案内通路10内に縦、横いずれの向きで投入されても、自動的に縦向きになって落下して斜め前下方の移動通路にガイドされるようにしてある。
【0013】
図1〜図3に示すように、ポケット2の上方開口部2aの両外側には取付け部6が形成されている。取付け部6はホッパー1を貝表面清浄機に取付けるためのものである。図1、2に示す取付け部6は板材を外側に曲げて下向きコ字状に形成してある。取付け部6は、例えば図4、図5のように貝表面清浄機の架台11等に固定することにより、移動通路13の入口側にホッパー1を取付けることができる。取付け部6は貝表面清浄機に取付け可能な形状、構造であれば、図に示す以外の形状、構造とすることができる。
【0014】
前記投入ガイド3は図1〜図3に示すように円弧状の鍔の形状をしており、中央開口縁8をポケット2の上方開口部2aの外周縁の上にのせてその外側に突出させ、溶接とか、接着材等で固定してある。投入ガイド3の上方外周縁部は図2に示すように外方に折り返してリブ7とし、貝の投入時に手や指先が接触しても切れないようにしてある。投入ガイド3もポケット2と同様に金属製、硬質樹脂製等、任意の材質製とすることができる。投入ガイド3はポケット2と一体に樹脂成型することもできる。投入ガイド3の大きさ、形状等も図に示すものに限られず、任意の大きさ、形状等とすることができる。
【0015】
(ホッパー付貝表面清浄機)
本発明のホッパー付貝表面清浄機の一例を図4、図5に基づいて説明する。図4の貝表面清浄機は四角い枠形の架台11の四方のコーナーに支持脚12を備え、該架台11の内側に移動通路13を設け、移動通路13の上部に貝移送体14を設け、移動通路13の左右両側に掃除具15a、15bを設けてある。本発明のホッパー1は、図4、図5に示すように移動通路13の入口50側に取付けられている。貝表面清浄機は図4、図5に示す構成のものに限られず、任意の構成のものとすることができる。
【0016】
移動通路13は図6(a)に示すように、多数本の棒材17を左列と右列に向かい合わせ、横に少し位置をずらして互い違いに並べ、棒材17の上端から下端に向けて内側に傾斜させて、左右の棒材17間に側面形状V字状の空間を形成し、この空間を移動通路13としてある。左右列の夫々の棒材17は上端部を架台11に溶接とか他の手段で固定し、下端同士は互いに接触しないように、移動通路13の進行方向に隙間をあけて下端同士を突き合わせて底面77を形成し、底面77の上を貝Sが脱落することなく移動できるようにすると共に、貝Sの表面から掻き落とされたゴミが棒材17の隙間から落下して移動通路13内に溜まらないようにしてある。また、図6(a)のように、左列と右列の夫々の棒材17をその配列方向に間隔をあけて配置して、隣接する棒材17の間の空間を開口部18としてある。開口部18は掃除具15(図4)の爪19の幅よりも広くして、爪19がその開口部18から移動通路13内に突出できるようにしてある。左右列の棒材17の上端は離れたまま(開口したまま)にして、移動通路13を上面開口にしてある。
【0017】
前記ホッパー1は、図4、図5に示すように取付け部6を架台11の上に取付けることにより、移動通路13の入口50側上方に配置してある。この場合、ホッパー1はその投入ガイド3が架台11の上方に突出するように取付けて、ホッパー1に貝を投入し易くしてある。ホッパー1に投入された貝Sは、縦向きとなって自重落下して斜め前下方の移動通路にガイドされ、貝Sの外周縁部がホッパー1の開口部5から外方に突出する。
【0018】
前記貝移送体14は図4、図5に示すように、無端のベルトコンベア、チェーン等の回転走行体21の外周面に、その回転方向に間隔をあけて送り片20を取付けてある。送り片20には例えば硬質製のゴム板や樹脂板等が適し、その形状は移動通路13のV字形状に合わせて先端部の幅を細くして、先端部が移動通路13の上方開口部から移動通路13内に入り込むものであるが、この場合、送り片20の先端部が図4に示すように、回転しながらホッパー1内にも入り込むようにしてある。送り片20は回転走行体21を図4のモータ33により同図の矢印B方向に回転させると、ホッパー1内に入り込んでホッパー1に投入された貝を下方に押して移動通路13に送り込み、更に回転して、移動通路13の出口60側に送り出す。貝は回転しながら移動通路13内を移送される。送り片20は先端が図4に示すように回転方向後方に傾斜するように取付けて、移動通路13内の貝を送り出し易くしてある。
【0019】
前記掃除具15a、15bは、図4に示すように、一本の回転軸22に多数の掻取り具80が回転軸22の軸方向に間隔をあけて取付られている。掻取り具80は、図7に示すように、円盤状の取付盤23の外周面にL字状の金属製の爪19を取付けたものである。取付盤23はゴム、樹脂等の弾性を有する素材により円盤状に一体成形され、その中心に軸取り付け孔24が開口され、外周寄りに開口部25を一定間隔で開口して、開口部25の間の連結部26に弾性を付与し、各連結部26の外側にリング状の外輪部27が形成されている。この外輪部27の外周面にL字状の金属製の爪19が取付けられている。
【0020】
掻取り具80は図7に示すものには限られず、図8に示すものとか、他の形状とすることができる。図8に示す掻取り具80の取付盤23は、ゴム、樹脂等の弾性を有する素材により円盤状に成形され、その外周縁寄りに多数枚の羽根43が放射状に突設され、中心部に軸取り付け孔24が開口されたものであり、夫々の羽根43の側面に金属製の爪19がボルトとナット等の固定具で取付けられている。爪19の取付けには接着剤とか他の手段を使用することも出来る。爪19は図8の掻取り具80の回転方向(矢印方向)にく字状に曲げて、回転時に貝表面に接触し易くすると共に貝表面の汚れを掻き取り易くしてある。
【0021】
掻取り具80は、図7、図8に示すものには限られず、図9に示すものとすることもできる。図9に示す掻取り具80は円盤状の取付盤23の外周面に多数本の金属製のコイルバネ81を均一間隔で取付け、各コイルバネ81の先端部にチップ状の掻取り片82を取付けたものである。取付盤23は金属製、樹脂製、ゴム製等の任意の部材を円盤状に成形したものであり、中心に軸取り付け孔24が開口されている。コイルバネ81には密巻きして弾性を強くしたものを用いるのが掻取りの面から望ましいが、任意のコイルバネを用いることができる。掻取り片82はチップ状には限らず、板状、突起状、爪状といった各種形状、構造のものを用いることができる。
【0022】
図7〜図9の掻取り具80は図4のように回転軸22に一定間隔をあけて多数枚並べて取付けてある。この場合、隣り合う掻取り具80の間に図4のスペーサ28を介在させて掻取り具80間に一定間隔を設けてある。
【0023】
前記のように回転軸22に多数の掻取り具80を取り付けた掃除具15a、15bは、移動通路13の左右両外側に移動通路13に沿って配置し、しかも、両掃除具15a、15bの回転軸22の間隔を入口50側から出口60側まで等間隔とし、夫々の掃除具15a、15bの爪19の先端部が移動通路13の開口部18から移動通路13内に突出するようにしてある。また、二本の掃除具15a、15bのうち一本は図4、図6(b)に示すように移動通路13の入口50側から出口60側に向けて下り傾斜に配置され、他の一本は移動通路13の入口50側から出口60側に向けて上り傾斜に配置されている。このように傾斜させて配置することにより、一方の掃除具は入口50側が貝の上部に、出口60側が貝の下部に接触し、他方の掃除具は入口50側で貝の下部に、出口60側で貝の上部に接触して、掻取り具80の爪19が貝の表面全般(膨出している中心部から厚さの薄い外周部まで)に接触して、表面全般の汚れを掻き落とすことができるようにしてある。
【0024】
二本の掃除具15a、15bは上下同方向に傾斜させることもできる。また、傾斜させずに水平に配置することもできる。また、前記二本の掃除具15a、15b同士の間隔は入口50側を広く、出口60側を狭くしたり、これとは逆に入口50側を狭く、出口60側を広くしたりすることもできる。
【0025】
掃除具15a、15bの夫々の回転軸22の一方の端部には図4に示すように、回転伝達体31a、31bが取付けられている。回転伝達体31としては、内部に空気の入った中空のタイヤとか、中実の棒タイヤといった各種構造のタイヤが使用されている。両タイヤ同士はその外周面同士で接触して十分に摩擦して、一方のタイヤの回転が他方のタイヤに伝達されるようにてある。
【0026】
図4に示すように回転軸22の回転伝達体31bが取付けられた端部とは反対側の端部には、ユニバーサルジョイント32が取付けられ、このユニバーサルジョイント32を介して、傾斜している回転軸22と、架台11に水平に取り付けられている伝達軸34とが回転自在に連結されている。伝達軸34には図4、図5に示すように受けプーリー35が取付けられており、その受けプーリー35と、駆動源(モータ)38の駆動プーリー36とにベルト37が張設され、モータ38の回転が駆動プーリー36―受けプーリー35―伝達軸34―回転軸22と伝達されて回転軸22が回転するようにしてある。モータ38にはモータに代えてエンジン等の他の駆動源を用いることもできる。
【0027】
モータ38が回転すると、上記したようにベルト37を介して、モータ38の回転が駆動プーリー36―受けプーリー35―伝達軸34―回転軸22と伝達されて回転軸22が回転し、掃除具15bが回転する。掃除具15bが回転すると、回転伝達体31bが回転し、回転伝達体31bと接触している掃除具15a側の回転伝達体31aも同じ方向(共に移動通路に対して下向き方向)に回転する。回転伝達体31aの回転にあわせて、掃除具15aの回転軸22も回転し、掃除具15aも回転する。本発明の貝表面清浄機においては、モータ38を回転させると、掃除具15a、15bは、ともに移動通路13に対して下向き方向に回転し、移動通路13内の貝に引き下げ方向(移動通路13の底方向)の力が働き、移動通路13内で安定させて貝の付着物を掻き落とすことができる。
【0028】
前記モータ38に取り付けられた駆動プーリー36と、掃除具の受けプーリー35と、ベルト37は、スプロケット及びチェーンで置き換えることも可能である。
【0029】
また、上記においてはモータ38によって直接回転させられるのは掃除具15b一本だけであるが、掃除具15a側の回転軸22にもプーリーを備えて、ベルトを掛けて回転軸22を双方ともモータ38によって回転させるようにしてもよい。
【0030】
二本の掃除具15a、15bを回転させる機構は、前記タイヤを用いた回転伝達体31a、31bには限られず、他の任意の機構とすることができる。従って、例えば、掃除具15a、15bの夫々の回転軸22の入口50側の端部に回転伝達用のプーリーを取付け、伝達ベルトを掛けて、二本の掃除具15a、15bを回転させること等も可能である。また、回転伝達体31a、31bも、タイヤに限らず、ギア、板バネ、ドラムなど、任意のものを用いることができる。
【0031】
本使用例のホッパー付き貝表面清浄機を用いて貝を清浄するには、以下のようにする。
1.図5に示すモータ33を回転させて貝移送体14の回転走行体33を回転させる。同時に、図5に示すモータ38を回転させて掃除具15bの回転軸22を回転させて、回転伝達体31b及び31aを介して掃除具15aの回転軸22も回転させて、掃除具15a、15bを回転させる。
2.移動通路13の入口50側のホッパー1に帆立貝などの貝Sを手作業で投入する。
3.ホッパー1に投入された貝Sは、ホッパー1内で縦向きとなって自重落下し、更に回転する貝移送体14の送り片20が、ホッパー1内に入り込み、ホッパー1内の貝Sを押して、斜め前下方の移動通路に送り出す。この時、貝Sの周縁部は、ホッパー1のスリット5から外方に突出する。
4.移動通路13内の縦向きの貝Sは貝移送体14の送り片20により押されて回転しながら、移動通路13の入口50側から出口60側に移動される。
5.移動通路13内の縦向きの貝Sが移動する間に、移動通路13の左右両外側の掃除具15a、15bの爪19が移動通路13の開口部18から移動通路13内に突出して、貝表面の付着物が掻き落とされる。
6.移動通路13内で付着物が掻き落とされた貝Sは送り片20により押されて回転しながら移動通路13内の出口60から排出され、出口60の下方に配置してある容器内に落下し、回収される。
7.前記1〜6の作業により、ホッパー1に投入される貝Sが次から次へと清浄される。
【0032】
(その他の実施形態)
本発明のホッパーのポケットの形状は、図1〜図3に示すものには限られず、投入された貝を縦向きにして自重落下させることができ、貝の外周縁部をポケットの外方に突出させられる開口が開口されている限り、例えば筒状とする等、任意の形状とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のホッパー及び貝表面清浄機用ホッパーは、貝表面清浄機のみならず、他の貝処理機や、他の円盤状の工業製品等の研磨機等にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のホッパーの実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示すホッパーを示す分解斜視図。
【図3】(a)は、図1に示すホッパーを示す平面図。(b)は、(a)に示すホッパーを示す正面図。
【図4】図1に示すホッパーを取付けたホッパー付き貝表面清浄機の一例を示す正面図。
【図5】図1に示すホッパーを取付けたホッパー付き貝表面清浄機の一例を示す平面図。
【図6】(a)は、図4に示すホッパー付き貝表面清浄機の移動通路の様子を示す平面図。(b)は、(a)に示す移動通路と回転軸との関係を示す説明正面図。
【図7】図4に示すホッパー付き貝表面清浄機に用いる爪取付盤の正面図。
【図8】図4に示すホッパー付き貝表面清浄機に用いる他の爪取付盤の正面図。
【図9】図4に示すホッパー付き貝表面清浄機に用いる他の爪取付盤の正面図。
【図10】従来のホッパーの一例を示す斜視図。
【図11】(a)は、図10に示すホッパーを示す平面図。(b)は、(a)に示すホッパーを示す正面図。
【符号の説明】
【0035】
1 ホッパー
2 ポケット
2a 上方開口部
2b 周壁
2c 底
3 投入ガイド
4 下部
5 開口部
6 取付け部
7 リブ
8 中央開口縁
11 架台
12 支持脚
13 移動通路
14 貝移送体
15a 掃除具
15b 掃除具
20 送り片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝を投入するホッパーにおいて、底と周壁の内側に貝案内通路を有するポケットを備え、貝案内通路は投入された貝を縦向きにして案内できるように出口側が細く形成され、底のうち貝案内通路の出口側に貝の外周縁部が突出可能な開口部が形成されたことを特徴とするホッパー。
【請求項2】
請求項1記載のホッパーにおいて、ポケットは上方及び前方が開口していることを特徴とするホッパー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のホッパーにおいて、ポケットの上方開口部の外周外側に、投入される貝をポケットの貝案内通路に案内する投入ガイドが形成されたことを特徴とするホッパー。
【請求項4】
ホッパー内に投入された貝が移動通路内に供給され、貝が移動通路内を移送される間に、その貝の表面の汚れが除去される貝表面清浄機において、前記ホッパーは底と周壁の内側に貝案内通路を有するポケットを備え、貝案内通路は投入された貝を縦向きにして案内できるように出口側が細く形成され、底のうち貝案内通路の出口側に貝の外周縁部が突出可能な開口部が形成されたことを特徴とするホッパー付き貝表面清浄機。
【請求項5】
請求項4記載のホッパー付き貝表面清浄機において、ホッパーのポケットは上方及び前方が開口していることを特徴とするホッパー付き貝表面清浄機。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のホッパー付き貝表面清浄機において、ホッパーのポケットの上方開口部の外周外側に、投入される貝をポケットに案内する投入ガイドが形成されたことを特徴とするホッパー付き貝表面清浄機。
【請求項1】
貝を投入するホッパーにおいて、底と周壁の内側に貝案内通路を有するポケットを備え、貝案内通路は投入された貝を縦向きにして案内できるように出口側が細く形成され、底のうち貝案内通路の出口側に貝の外周縁部が突出可能な開口部が形成されたことを特徴とするホッパー。
【請求項2】
請求項1記載のホッパーにおいて、ポケットは上方及び前方が開口していることを特徴とするホッパー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のホッパーにおいて、ポケットの上方開口部の外周外側に、投入される貝をポケットの貝案内通路に案内する投入ガイドが形成されたことを特徴とするホッパー。
【請求項4】
ホッパー内に投入された貝が移動通路内に供給され、貝が移動通路内を移送される間に、その貝の表面の汚れが除去される貝表面清浄機において、前記ホッパーは底と周壁の内側に貝案内通路を有するポケットを備え、貝案内通路は投入された貝を縦向きにして案内できるように出口側が細く形成され、底のうち貝案内通路の出口側に貝の外周縁部が突出可能な開口部が形成されたことを特徴とするホッパー付き貝表面清浄機。
【請求項5】
請求項4記載のホッパー付き貝表面清浄機において、ホッパーのポケットは上方及び前方が開口していることを特徴とするホッパー付き貝表面清浄機。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のホッパー付き貝表面清浄機において、ホッパーのポケットの上方開口部の外周外側に、投入される貝をポケットに案内する投入ガイドが形成されたことを特徴とするホッパー付き貝表面清浄機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−101725(P2006−101725A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289971(P2004−289971)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(398000288)株式会社むつ家電特機 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(398000288)株式会社むつ家電特機 (17)
【Fターム(参考)】
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