説明

ホルミルテトラヒドロピラン類、それの調製方法、および液晶化合物類の調製におけるそれの使用

【課題】ホルミルテトラヒドロピラン類を調製する方法。
【解決手段】本発明はメソゲン性置換基を有するホルミルテトラヒドロピラン類、それの調製方法、および置換テトラヒドロピラン誘導体類を調製するためのホルミルテトラヒドロピラン類の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメソゲン性置換基を有するホルミルテトラヒドロピラン類、それの調製方法、および置換テトラヒロドピラン誘導体類の調製のためにホルミルテトラヒドロピラン類を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
分子の中心的構成要素としてテトラヒドロピラン環を有する化合物類は、例えば、天然および合成芳香物質の成分として、薬剤またはメソゲン性または液晶化合物中で、またはこれらの物質を合成するための前駆体として、有機化学において重要な役割を演じている。
【0003】
液晶物質は、しばしば、全体として棒状の構造の1,4−置換シクロヘキサン環を有する。これらのシクロヘキサン環を2,5−置換テトラヒドロピラン単位により任意の所望の方向で置き換えた場合、電気陰性な酸素原子の方向に依存して、分子の全体としての物理的特性を良好に改良できる。特に、正(Δε>0)および負(Δε<0)の誘電化合物の両者において、誘電率の異方性(Δε)の増加を達成できる。
【0004】
Δεが正の例は、EP1482019A1(特許文献1)に記載されており、同じくして、EP0967261A1(特許文献2)に記載されるような化合物において、負のΔεの値が増加することが見出されている。同様に、反対方向のテトラヒドロピラン単位を介してΔεの絶対値が減少すると考えられる。
【0005】
正のΔεの増加は、例えばIPS(In Plane Switching)型の液晶ディスプレイ中での使用にとって有利であり、負のΔεの増加は、VA(Vertical Alignment)型の液晶ディスプレイ中で有利である。
【0006】
直線状の4−置換(擬棒状、柄状または棒状の形状の)ホルミルシクロヘキサン類は、シクロヘキサン環を含む液晶生成物を調製するための有用な中間体である。ホルミル基は、特に炭素骨格を構築するために鎖を伸張したりアセタール構造の形成において、その多彩な反応性により際立っている。よって、高い価値が付加された液晶またはメソゲン性末端生成物を、ホルミルシクロヘキサン類の助けによりウィッティッヒ反応(例えば、EP0122389A2(特許文献3)、DE3509170A1(特許文献4)、WO95/30723A1(特許文献5))を使用するか、1,3−ジヒドロキシ化合物類の縮合(例えば、EP0433836A2(特許文献6)、DE3306960A1(特許文献7))により調製できる。
【0007】
ここで、ホルミル誘導体は、テトラヒドロピラン環の誘導体化のための有用な中間体でもあることが見出された。DE3306960A1(特許文献8)には、式Iaの部分構造が記載されている。
【0008】
【化1】

しかしながら、記載される入手方法(例14)には多数の工程が存在しており、不安定な(ヘミ)アセタール中間体が関与しており、収率が低く再現性がない。加えて、2位にホルミル基を有する物質、5位に更なる置換基を有する物質は当該文献には記載されていない。加えて、現在までの文献は、P.Kocienskiら、Synthesis(1991年)、第11巻、第1029〜38頁(非特許文献1)で式Ibの1種類の化合物を含むのみである。
【0009】
【化2】

DE3306960A1(特許文献9)にはアルデヒド類をアルコール類からの酸化またはカルボン酸類からの還元により調製できる考えが開示されているが、いかなる実施形態においても実施されていない。
【0010】
僅かに知られているのみであるが、ある種のジヒドロピラン化合物類はホルミルテトラヒドロピラン類の調製のための出発材料として適当であることも見出された。(2S)−2−(4−フルオロヘノキシメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランがM.K.Gurjarら、Synthesis(2000年)、第4巻、第557〜60頁(非特許文献2)により調製され、直線構造を有する既知の代表的なものについて述べるために、3−(2−ベンジルオキシエチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピランがA.P.Kozikowskiら、J.Chem.Soc.Chem.Commun.(1980年)、第11巻、第477〜9頁(非特許文献3)により調製された。3,4−ジヒドロ−2H−ピランの単純な2−アルキルまたは3−アルキル誘導体も、液晶に言及されることなく記載されている。現在までに、例えばC.Fehrら、Helv.Chim.Acta(1981年)、第65巻、第1247〜56頁(非特許文献4)より、アルキル(アルキレン)置換ジヒドロピラン類が知られている。
【特許文献1】EP1482019A1
【特許文献2】EP0967261A1
【特許文献3】EP0122389A2
【特許文献4】DE3509170A1
【特許文献5】WO95/30723A1
【特許文献6】EP0433836A2
【特許文献7】DE3306960A1
【特許文献8】DE3306960A1
【特許文献9】DE3306960A1
【非特許文献1】P.Kocienskiら、Synthesis(1991年)、第11巻、第1029〜38頁
【非特許文献2】M.K.Gurjarら、Synthesis(2000年)、第4巻、第557〜60頁
【非特許文献3】A.P.Kozikowskiら、J.Chem.Soc.Chem.Commun.(1980年)、第11巻、第477〜9頁
【非特許文献4】C.Fehrら、Helv.Chim.Acta(1981年)、第65巻、第1247〜56頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
よって、ピラン環の向きを変えることができる直線状の置換ホルミルテトラヒドロピラン類の入手方法を増加させ、それの合成方法を提供することが更なる目的である。形成されるアルデヒドは、2,5−2置換テトラヒドロピラン化合物類を調製するための現存および新規の合成に挿入され、その最終生成物は、例えばメソゲン性または液晶化合物類として機能できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的は、本発明に従い、式IIのホルミルテトラヒドロピラン類の調製方法により達成される。
【0013】
【化3】

(ただし、式II中、
【0014】
【化4】

a、b、cは、互いに独立に、0または1を表し、ただし、a+b+cは、0、1、2または3に等しく、
、A、Aは、互いに独立に、同一または異なって、回転されたものまたは鏡像のものでもよく、
【0015】
【化5】

を表し、および
、YおよびYは、互いに独立に、水素、ハロゲン、CN、NCS、SF、C1〜6−アルカニル、C2〜6−アルケニル、C2〜6−アルキニル、OC1〜6−アルカニル、OC2〜6−アルケニルまたはOC2〜6−アルキニルを表し、ただし、脂肪族基は無置換であるか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、および
、Z、Zは、単結合、1〜6個の炭素原子を有し無置換かFおよび/またはClで1置換または多置換されているアルキレン橋架け、または−CHO−、−OCH−、−(CO)O−、−O(CO)−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCFO−または−CFOCHCH−を表し、
n1は、0、1、2、3または4であり、
n2およびn3は、互いに独立に、0、1、2または3であり、
n4は、0、1または2であり、
は、−CH−、−CF−または−O−を表し、
は、H、ハロゲン、CN、NCS、SF、CF、OCF、NH、ボロン酸エステル、1〜15個のC原子を有するアルキル基で、該基は無置換であるか、CNにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えられていてもよい。)
この方法は、
a)式IIIa、IIIbおよび/またはIIIcの化合物をヒドロホルミル化するか、
【0016】
【化6】

または
b)少なくとも1つの還元工程を含むIVの1つ以上の反応によって、式IVの化合物を反応させるか、
【0017】
【化7】

(ただし、Rは、CN、COOH、CONHR、COORを表し、Rは、アルキル、アラルキルまたは(置換されていてもよい)アリールを表す。)
または
c)式Vのアルコールを酸化し、式IIのアルデヒドとすること
【0018】
【化8】

(ただし、式IIIa〜c、IVおよびV中、A、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cおよびRは、式IIの意味を有する。)
を特徴とする。
本発明の方法により、容易に入手でき安価な試薬を使用し式IIIa〜c、IVまたはVの中間体より出発して、式IIのテトラヒドロピランアルデヒドを単純な方法で良好な収率により化学的および立体的に高い選択性で入手可能となる。そのアルデヒドは、単独または混合物中で液晶物質として使用できる多数の異なる化合物の合成のための有用な中間体である。そのアルデヒドは、水和物、亜硫酸塩付加物またはアセタールの形でも調製でき、単離でき、精製でき、使用できる。
【0019】
よって、本発明は、以下の式の化合物をふくまない式IIのアルデヒドも含む。
【0020】
【化9】

【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
好ましい化合物は、以下に述べられるか、1通り以上の調製方法または式IIの化合物の1通り以上の使用に関連しての好ましい態様に従う。
【0022】
互いに独立に、
【0023】
【化10】

は、F、OCF、CF、OCFH、SFを表し、
およびAは、互いに独立に、1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンを表し、
a、bは、1に等しく、
cは、0に等しく、および/または
は、単結合、−CFO−、−OCF−、−(CF−、−CHCF−、−CFCH−、−CHCHCFO−または−OCFCHCH−である
ことを特徴とする式IIの化合物の調製が好ましい。
【0024】
同様に、
は、F、Cl、Br、ボロン酸エステル、1〜15個のC原子を有するアルキル基を表し、該基は無置換であるか、CNにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えられていてもよく、
、AおよびAは、1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレンを表し、および
a、bおよびcは、互いに独立に、0または1である
ことを特徴とする式IIの化合物の調製が好ましい。
【0025】
式A〜Gの化合物の調製が、非常に特に好ましい。
【0026】
【化11】

ただし、Xは、FまたはOCFを表し、およびgは0、1または2を表し、およびalkylは下に定義される通りである。
【0027】
好ましい調製方法に対応して、適当な出発材料は変法a)、b)およびc)で使用される。
【0028】
本発明の第1の実施形態(a)では、テトラヒドロピランアルデヒドIIは式IIIa〜cのジヒドロピランより形成される。(a)の好ましい実施形態では、アルデヒドへの変換は、ヒドロホルミル化反応によって行なわれ、好ましくは、水素と一酸化炭素を含むガス混合物を使用する触媒的ヒドロホルミル化である。他の実施形態では、水素の代わりにヒドロシランを使用し、形成されたシリレノールエーテルは容易に対応するアルデヒドに転換できる。好ましい実施形態では、ヒドロホルミル化に適する遷移金属触媒、特には遷移金属であるロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)またはコバルト(Co)の触媒が使用される。遷移金属の中心金属上において触媒の金属核に種々の配位子を提供することができ、例えば、CO(Brennstoffchemie(1966)、47、207)、ホスフィン(J.Organomet.Chem.(1977)、124、85)、ホスフィンオキシド(J.Chem.Soc.Chem.Commun.(1994)、115;J.Organomet.Chem.(1995)、488、C20〜C22)および亜リン酸(J.Organomet.Chem.(1991)、421、121;同(1993)、451、C15〜C17)である。特に好ましい触媒は、カルボニル配位子を有するコバルト化合物またはリン含有配位子を有するロジウム化合物である。適当な商業的に入手できる(前駆体)塩を処理して反応混合物中で、その場で触媒を形成することもでき、例えば、これらの塩の場合で対応する配位子と共に、Rh(I)acac(CO)(acacはアセチルアセトナート)、Rh(I)acac(COD)(CODは1,5−シクロオクタジエン)、[RhCl(COD)]または[RhCl(CO)のようなRh(I)塩(Strem catalogue No.20、Strem Chemicals社、Kehl市、独国)であり、例えば、2〜10倍モル量のトリフェニルホスフィンまたは亜リン酸トリス(オルト−t−ブチルフェニル)である。文献(Angew.Chemie(1993)、105、1588)より既知の2相または多相触媒の具体的な実施形態も、ヒドロホルミル化反応に使用できる。よって、OH、NH、COOH、SOHのような親水性置換基を有する式IIIa〜cのジヒドロピランを、HRh(CO)(tppts)(tpptsはトリフェニルホスフィン・トリス−m−硫酸ナトリウム塩)存在下で、水相/有機相の2相系中でヒドロホルミル化できる。式IIIa〜cの親油性出発材料のヒドロホルミル化は、例えば、所謂SAP触媒を使用して有効に行うことができ、SAP触媒は大きな内表面積を有する顆粒状で多孔質の担体物質より成り、その上で触媒錯体が薄膜のように分布されるか吸着される。この型の担体固定触媒系は、好ましくは、HRh(CO)(tppts)またはCo(CO)(tppts)を使用して調製されヒドロホルミル化に使用される。
【0029】
基質IIのヒドロホルミル化の方法は、特に、金属のロジウムまたはコバルトの遷移金属錯体を使用して触媒反応を行うことで特徴付けられ、錯体はカルボニル基を有するコバルト化合物またはリン含有配位子を有するロジウム化合物より成る。
【0030】
トリス(オルト−tert−ブチルフェニル)ホスファイトまたはトリフェニルホスフィンのようなジコバルトオクタカルボニルまたはP配位子を伴うRh錯体を触媒として使用する場合、高い位置選択性をもって、化合物IIIaおよびIIIcは式IIの対応するアルデヒドへとヒドロホルミル化される。しかしながら、化合物IIIbから対応するアルデヒドIIへのヒロドホルムル化の位置選択性は不十分である。比較的低温(40〜60℃)およびRh触媒上での低いモル配位子比(ホスファイトまたはホスフィンに対して2〜4倍)を用いた場合ですら、事実上1:1の比の位置異性体が得られる(A.Poloら、J.Chem.Soc.、Chem.Commun.1990、600)。従って、誘導体IIIaまたはIIIc、特にIIIaのヒドロホルミル化が好ましい。
【0031】
本発明の第2の実施形態(b)では、テトラヒドロピランアルデヒドIIはカルボン酸誘導体IVから調製され、使用可能な出発材料は、特に、遊離カルボン酸、カルボン酸エステル、アミドまたはニトリルまたはこの位置で同じ酸化状態(+III)の炭素原子を有する他の化合物である。この実施形態において、ニトリルおよびアルキルエステル型の出発材料、非常に特には、RがCNまたは−C(O)O−alkylを表し、今度はalkylは特にメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルまたはベンジル基である式IIIの化合物を使用する方法が特に好ましい。好ましい実施形態(b)では、式IVの化合物は、還元金属類、金属水素化物類、アルキル金属化合物類または低原子価ホウ素化合物類で還元され、アルデヒドがアルコールに更に還元されることを回避し、特に好ましくは金属水素化物類および/またはホウ素水素化物類であり、更にアルキル、アミノ、ハロゲンまたはアルコキシ基を有していてもよい。特に好ましい実施形態では、例えばE.Winterfeldt、Synthesis(1975)、9、617〜630およびそこで引用されている文献に記載されているように、アルデヒドへ還元する方法において、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)またはLiAlH(NHおよびLiAlH(O−t−Bu)のような他に水素化ジアルキルアルミニウムまたは水素化アミノまたはアルコキシ置換リチウムアルミニウムを使用する。その方法は原理は既知であり、J.March、Advanced Organic Chemistry、第4版、Wiley社、New York(1992年)のような標準的な著作中の例および引用文献として見出される。
【0032】
第3の実施形態(c)においては、酸化剤により式Vのアルコール化合物を式IVのアルデヒドに酸化する。この方法の好ましい変法においては、カルボン酸またはカルボン酸エステルにまで過剰に酸化されるのを避ける酸化法により酸化が行われ、特には、CrOまたはクロム酸塩(VI)(特にクロム酸ピリジニウム)、ペルヨージナン型の有機ヨウ素試薬類(Dess−Martin法)、DMSO/DCC(Pfitzner−Moffatt酸化)、DMSO/二塩化オキサリル(Swern酸化)、アセトン/Al(O−アルキル)(Oppenauer酸化)またはNaOCl(N−酸化2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)または遷移金属触媒類で触媒的に作用される)。既述の反応の型の既知の専門家用の文献の代表として、以下の文献を挙げる。
【0033】
CrO酸化:(a)J.C.Sauer、「Organic Synthesis」、John Wiley Sons、New York(1963)、Coll.Vol.4、813;b)G.R.Rasmussonら、同(1973)、Coll.Vol.5、324;c)R.W.Ratcliffe;同(1988)、Coll.Vol.6、373;d)J.C.Collins、W.W.Hess、同(1988)、Coll.Vol.6、644;e)B.Khadilkarら、Synth.Commun.(1996)、26、205。
【0034】
Dess−Martin酸化:a)D.B.Dess、J.C.Martin、J.Org.Chem.(1983)48、4155;J.Amer.Chem.Soc.(1991)113、7277;b)A.Speicherら、J.Pract.Chem.(1996)338、588。
【0035】
Pfitzner−Moffatt酸化:J.G.Moffat、「Oxidation」、Vol.2、R.L.AugustineおよびD.J.Trecker−Marcel Dekker編、New York、1971、1〜64(DMSO/DCCを使用)。
【0036】
Swern酸化:a)A.K.Sharma、D.Swern、Tetrahedron Lett.(1974)、1503;b)D.Swernら、J.Org.Chem.(1976)41、3329;c)P.Kocienski、R.Whitby、Synthesis(1991)1029。
【0037】
Oppenauer酸化:C.Djerassi、「Organic Reactions」、John Wiley Sons、New York(1951)、Vol.6、207。
【0038】
NaOCl酸化、RuでまたはTEMPOで触媒される:a)R.J.Crawford、J.Org.Chem.(1983)48、1367;b)P.L.Anelliら、Org.Synth.(1990)69、212。
【0039】
Kocienskiらに記載される対応するカルビノールのSwern酸化は、2−ホルミルテトラヒドロピランの参考となる。
【0040】
アルコール化合物Vは、ニトリルおよび式IVのカルボン酸誘導体より還元により標準的な方法から一般に調製される。LiAlHのような強力な還元剤を、この目的のために使用できる。
【0041】
本発明は、更に、式IIIa〜c、特にIIIbおよびIIIcの2−または3−置換ジヒドロピラン化合物の調製に関し、中間体を経て対応するホモアリルアルコールより驚くべきことに単純な方法で調製できる(スキーム1〜3)。
【0042】
式IIIbおよびIIIcの新規な化合物は、本発明の一部である。現在までに知られている2−置換ジヒドロピランは、C.Fehrら、Helv.Chim.Acta(1981)65、1247〜56によるアルキル(アルキレン)置換ジヒドロピランおよびM.K.Gurjarら、Synthesis(2000)、4、557〜60による下式の化合物で、液晶化合物に言及されることなく調製された。
【0043】
【化12】


現在までに既知の3−置換ジヒドロピランは、例えばP.Kocienskiら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.(1985)、1879〜84によるアルキル置換ジヒドロピランである。
【0044】
本発明の式IIIbおよびIIIcの化合物は、以下で特徴付けられる。
【0045】
【化13】

a、b、cが同時に0の場合、
は、ハロゲン、CN、NCS、SF、CF、OCF、NH、1〜15個のC原子を有するアルキル基で、該基はCNにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−COO−または−OCO−で置き換えられていてもよく、および
IIIbでa=1およびb+c=0およびAが1,4−フェニレンに等しい場合、
は−OCH−および−CHCH−に等しくない。
【0046】
aは、好ましくは、1、2または3である。aが0の場合、Rは、好ましくは、1〜15個のC原子を有するアルキル基を表し、該基はフッ素により1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−COO−または−OCO−で置き換えられていてもよい。
【0047】
式IIIa〜cのジヒドロピラン化合物の調製の第1の変法では、1−置換ホモアリルアルコールが遊離のOH基のところでアリル化され、エチレン分子を脱離する閉環オレフィンメタセシスにより開環鎖ジエン化合物が2−置換3,6−ジヒドロ−2H−ピランに転化される。スキーム1に示す好ましい実施形態では、O−アリル化により式VIのホモアリルアルコールから中間体VIIが得られる合成方法によって2−置換ジヒドロピランIIIaが得られる。オレフィン閉環メタセシスは、好ましくは、カルベンまたはホスフィン配位子を伴うルテニウム−メチリデン触媒(例えば、Grubbsらによって記載されている各種の「Grubbs触媒」により)、または新規の改良された改変体によって行われる。
【0048】
VIのアリル化は、例えば、ミセル触媒により、ハロゲン化アリルを使用して、臭化セチルトリメチルアンモニウム存在下に、テトラヒロドフランおよび僅かの水中において行われる(B.Jursicら、Tetrahedron(1988)44、6677)。
【0049】
【化14】

反応手順の第2の変法では、1−置換ホモアリルアルコールは、一般にヒドロホルミル化され、それからかまたは同時にヘミアセタールの形成により閉環される。類似して、得られるOH置換テトラヒドロピランからOH基を隣接するプロトンと共に脱離することで、必要とされる2−置換3,6−ジヒドロ−2H−ピラン誘導体が得られる。好ましい実施形態では、式VIのホモアリルアルコールが使用され、スキーム2に示されるようにジヒドロピランIIIbの2−置換誘導体がヒドロホルミル化、ヘミアセタールの形成および生成されるOH基の脱離後に得られる。OH基は水としてか、脱離基、特に好ましくはメタンスルホン酸エステルまたはp−トルエンスルホン酸エステルに変換後に脱離される
【0050】
【化15】


スキーム2で示される2つの反応工程は、引き続いてかまたは組み合わされた反応順序で行われる。ヒドロホルミル化は原理的に文献から知られる方法に従い、具体的にはWutsら(Tetrahedron Lett.(1984)、25、4051〜4)に基づく実験室的な合成である。使用されるロジウム触媒である酢酸ロジウム二量体は良好な選択性を有し、取り扱いが容易である。原理的には、容易に入手できる酢酸ロジウムの代わりに、他の商業的なロジウム触媒または文献より既知の有機金属コバルト触媒、特にコバルトカルボニルも使用できる。
【0051】
ジヒドロピランの調製の第3の変法においては、式XIIの2−置換ホモアリルアルコールをヒドロホルミル化し、閉環して式XIIIの化合物を得る。引き続いてXIII上のOH基を脱離し、式IIIcの3−置換3,4−ジヒドロ−2H−ピランを得る(スキーム3)。
【0052】
【化16】

スキーム2に従う2−置換物質VIに対する同じコメントを、同時閉環を伴うヒドロホルミル化に適用する。
【0053】
化合物XおよびXIII中のOH基を脱離し脱離産物IIIbおよびIIIcを得ることは、Boeckmanら(J.Am.Chem.Soc.(1991)、113、5337〜53、スキーム3)に類似する脱離により、それぞれ行われる。このために、例えば、塩化メシルおよびトリエチルアミンを使用してOH基をメシル化し、その直後に穏やかに温めることで脱離させる。同様に、塩化p−トルエンスルホニルが脱離基の形成に適している。
【0054】
式IIIbまたはIIIcの化合物から式IIの化合物を調製する方法が特に好ましい。その方法は、水酸基を直接脱離するか脱離基に変換した後に、式IIIbまたはIIIcの化合物を以下の式XまたはXIIIの化合物からそれぞれ調製できることを特徴とする。
【0055】
【化17】

ただし、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cおよびRは、式IIと同じ意味を有する。
【0056】
好ましい手順では、ヒドロホルミル化工程または閉環により、式VIおよびXIIの化合物より式XおよびXIIIの化合物をそれぞれ調製する。
【0057】
【化18】

ただし、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cおよびRは、式IIと同じ意味を有する。
【0058】
式VIおよびXIIのホモアリルアルコールは先行技術より既知であり商業的に入手可能であるか、それ自体は文献より既知の合成方法により簡単に調製できる。
【0059】
スキーム4は、アルデヒドから1−置換ホモアリルアルコールの合成を示す。この合成では、例えば、アリル−グリニャール試薬をアルデヒドと反応させる。今回では、アルデヒドは既知の化合物であるか、例えば本発明の方法に基づく方法により得られる。
【0060】
【化19】

スキーム5は、式XVIのハロゲン化アリル誘導体より出発してホモアリルアルコールの2−置換誘導体の合成経路の概要を示す。
【0061】
【化20】

例えばアルデヒドR−[A−Z−[A−Z−[A−Z−CHOより出発して、例えばReformatsky合成により不飽和エステルR−[A−Z−[A−Z−[A−Z−CH=CH−CO−アルカニルを得て、引き続きDIBAL−Hを使用して対応するアリルアルコールR−[A−Z−[A−Z−[A−Z−CH=CH−CHOH還元し、最後にPBr(Hal=Br)、PClまたはSOCl(Hal=Cl)またはHI(Hal=I)を使用するハロゲン化より調製される式XVIより出発して、適当な金属または有機金属試薬との反応により化合物XVIIを得るが、ここで「Met」はCu、Bi(radical)、In(radical)、Sn(radical)、Sn(radical)、Zn(radical)、Ge(radical)を表し、使用される金属または有機金属試薬に依存して、「radical」は1種類以上の有機基、配位子または該金属上の対イオンを表す。中間体として形成されたXVIIを先立って単離することなく行うこともできる更なる反応XVIIによりホルムアルデヒド(または合成上同等のもの)より、対応する作業の後に式XIIの所望のホモアリルアルコールを得る。
【0062】
式XIIのホモアリルアルコールの更なる入手を、スキーム6に示すように達成できる。ここで、「Hal」はスキーム5中の上と同じ意味を有し、「Met」は好ましくはCuである(A.Carpita、R.Rossi、Synthesis(1982)、469参照)。
【0063】
【化21】


ハロゲン化物XVIIIは、−スキーム4中の方法に対応するやり方で−適当な試薬を使用して有機金属誘導体XIXに転化され、引き続きXXと反応させて酢酸ホモアリルXXIを得る。そして、式XIIの所望のホモアリルアルコールは、XXIから鹸化によって入手可能である。
【0064】
更に、R−[A−Z−[A−Z−[A−Zがアルキル基を表す式XIIのホモアリルアルコールも、クロトン酸のジアニオンのアルキル塩化物R−[A−Z−[A−Z−[A−Z−Halを使用する対応するアルキルかおよびLiAlHを使用する引き続く還元により入手できる。このジアニオンは、例えばリチウムジイソプロピルアミド(LDA)の2つの等価物との反応よりクロトン酸から得る(P.E.Pfeffer、L.S.Silbert、J.Org.Chem.(1971)、36、3290;R.H.van der Veen、H.Cerfountain、J.Org.Chem.(1985)、50、342参照)。
【0065】
アルデヒドへ還元するための式IVのカルボン酸誘導体の合成は、スキーム7および8中の一般例を参照に概要が示されているように行う。ここで、式IV中のように、MESはメソゲン性基R−[A−Z−[A−Z−[A−Z−を表す。エステル基も、式IV中のRで示される置換基で置き換えることができる。両方の例において、式IV(代表的な例の化合物XXIVおよびXXVIIで示される)の化合物は、式XXIIまたはXXVの対応する置換前駆体から閉環メタセシスおよび引き続いてメタセシス生成物を水素化することで得られる。式XXIIおよびXXVの前駆体は、これらまたは類似のジエン化合物に対するEP1482019A1に記載されるようにして得られる。一方、式XXIIの化合物は、対応するアクリレート化合物を使用してアリルアルコールHO−CH(MES)−CHCH=CHのアルキル化によって得られる。
【0066】
【化22】

【0067】
【化23】


式IV(R=CN)のシアノ−置換の代表例は、例えば、ジヒドロピランIIIcを経由して間接的に入手可能である。これらはガス状塩酸を使用し無置換5,6−ジヒドロ−4H−ピランの塩素化に類似して塩素化でき、そしてAgCN(B.A.Nelsonら、J.Org.Chem.(1956)、21、798)を使用するか、SnCl存在下にトリメチルシリルシアニド(M.Reetzら、Tetrahedron(1983)、33、961)により、式IVのシアノ化合物に変換できる。
【0068】
よって、とりわけ式IIの化合物に還元することを意図された式IVの化合物をジヒドロピラン誘導体の水素化により調製し、ジヒドロピランは、今度は適当に置換されたジエンからエチレンの脱離を伴う触媒的閉環メタセシスにより調製されることを特徴とする式IIのテトラヒドロピラン−アルデヒドの調製方法が好ましい。
【0069】
式IIのテトラヒドロピラン−アルデヒドを、更なるメソゲン性または液晶テトラヒドロピラン誘導体を調製するために使用できる。アルデヒド化合物IIは、好ましくは、メソゲン性構造の部分構造を構築するためのアルデヒド基の付加または縮合生成物の合成のために使用される。アルデヒド基は、特に好ましくは、5〜6員環系を構築するために使用され、非常に特には更なるテトラヒドロピラン環または1,3−ジオキサン環を構築するためである。
【0070】
従って、式IIのアルデヒドの好ましい使用は、反応を1,3−ジオールと共に行いジオキサンを得ることを特徴とする。これは、文献に記載されるように、それ自身既知の方法で行われる(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartのような合成有機化学の標準的な著作である)。1,3−ジオールは、好ましくは、R(式II中のように定義される)のような単純な置換基またはメソゲン性基によって2位が置換されている。Rのような基または基−A−Rによる置換が特に好ましく、Aはシクロヘキサン−1,4−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを表す。
【0071】
式IIのアルデヒドの更に好ましい使用は、反応をアリル金属化合物と共に行いホモアリルアルコールをテトラヒドロピランの前駆体として得ることを特徴とする。形成されるホモアリル化合物は、既に上で記載される方法(スキーム1および2)による更なる隣接するピラン環の調製のための出発材料として機能する。
【0072】
同様に好ましくは、式IIのアルデヒド化合物中のアルデヒド基は、ウィッティッヒ反応による鎖の伸張に使用され、結果として1,2−エテニレン架橋がテトラヒドロピラン上に形成される。従って、式IIのアルデヒド化合物の使用は、特に式IXの化合物がウィッティッヒ反応によりアルデヒドIIから調製されることを特徴とする。
【0073】
【化24】

ただし、
、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cは、式IIの意味を有し、および、それぞれの場合で互いに独立に、
、Aは、Aに定義される通りであり、
、Zは、Zに定義される通りであり、および
eおよびfは、aに定義される通りである。
【0074】
式IIの化合物の使用の更に好ましい形態では、置換されていてもよいエテニル基で置換されているヒドロピラン環が、アルデヒドからカルボニル官能基のアリル化、プロピニル基を使用するアルコールのエーテル化および引き続くエニンメタセシス(EP1482020A1参照)により調製される。ここで随意の置換は、アリル化で使用されるアルリ−グリニャール化合物の随意の置換に依存する。従って、この場合、式IIのアルデヒド化合物の使用は、特に、式Qaの化合物類、式Qaの化合物類の(部分的に)飽和された水素化生成物または式QbまたはQcのQaの合成前駆体を調製することを特徴とする。
【0075】
【化25】

【0076】
【化26】

【0077】
【化27】

ただし、Qa、QbおよびQc中において、
、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cは、式IIの意味を有し、および、それぞれの場合で互いに独立に、
、Aは、Aに定義される通りであり、
、Zは、Zに定義される通りであり、および
eおよびfは、式II中のaに定義される通りである。
【0078】
Qa、QbおよびQc中のA4は、好ましくは、以下の式の環である。
【0079】
【化28】

この場合、
【0080】
【化29】

は、F、OCF、CF、OCFH、CN、SFを表し、
およびAは、互いに独立に、1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンを表し、
a、bは、1に等しく、
cは、0に等しく、および
は、単結合、−CFO−、−OCF−、−(CF−、−CHCF−、−CFCH−、−CHCHCFO−または−OCFCHCH
である式IIの化合物の使用が好ましい。
【0081】
同様に、
は、F、Cl、Br、ボロン酸エステルまたは1〜15個のC原子を有するアルキル基で、該基は無置換であるか、CNにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−(CO)O−または−O(CO)−で、互いに独立に置き換えられていてもよく、および
、AおよびAは、1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレンまたは3−フルオロ−1,4−フェニレン、および
a、bおよびcは、互いに独立に、0または1である
ことを特徴とする式IIの化合物の使用が好ましい。
【0082】
以下の式A〜Gのテトラヒドロピランアルデヒドの使用が特に好ましい。
【0083】
【化30.1】

【0084】
【化30.2】

ただし、XはFまたはOCFを表しており、alkylは一般に以下に定義される通りである。特に、式A〜G中のalkylは直鎖で飽和または不飽和の1〜8個のC原子を有する炭素鎖を表す。
【0085】
本発明の式IIのアルデヒドを調製する前記方法およびそれを使用することにより、全体として2,5−2置換テトラピラン誘導体、特に、式
【0086】
【化31】

を調製する途が開かれ、
a)上の方法の1つ以上でホルミルテトラヒドロピランを調製することと、および
b)2,5−2置換テトラヒドロピラン誘導体を調製するために、本発明の上の実施形態の1つ以上によりホルミルテトラヒドロピランを使用することと
を含み、
ただし、
、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cは、式IIの意味を有し、および、それぞれの場合で互いに独立に、
、Aは、Aに定義される通りであり、
、Zは、Zに定義される通りであり、および
fは、0、1または2であり、および
eは、式II中でaに定義される通りである。方法経路に依存して、パラメータの意味はその中で規定される制限に従うか、そこより直接的に明らかである。
【0087】
式IIのアルデヒドの更なる使用は、精製方法のための水和物または亜硫酸エステル付加化合物またはアセタールの形成として、または精製、化学反応または保存中のアルデヒドの保護としての誘導体化である。
【0088】
本発明の更なる態様は、上に定義されるように、式IIの新規なホルミルテトラヒドロピランを含み、好ましくは、互いに独立に
分子中のZ、Z、Zの少なくとも1つが、−CFCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CHCHCFO−、−OCFCHCH−、−CFO−または−OCF−基に対応するか、または
が、NCS、SF、CF、OCFまたはOCHFに対応するか、または
【0089】
【化32】


ことを特徴とする。
【0090】
式IIa、IIbおよびIIcのアルデヒドが特に好ましい。
【0091】
【化33】

ただし、
11およびR12は、F、CF、OCF、CN、NCS、SFまたは1〜15個のC原子を有するアルキル基で、該基はハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えられていてもよく、
13は、式II中のRで定義される通りであり、
、Lは、それぞれ独立に、H、ClまたはFに等しく、および
、A、Z、Z、a、bは、式II中の通りの定義を有する。
【0092】
上式A、B、C、D、E、FおよびGのホルミルテトラヒドロピランが、非常に特に好ましい。
【0093】
本発明との関係において、用語「アルキル」は、−−明細書または特許請求の範囲において別に定義されなければ−−、その最も一般的な意味において、直鎖状または分岐状で、飽和または不飽和で、1〜15個(即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個)の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を示し、この基は無置換またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、ニトロ、NH、N(アルカニル)および/またはシアノで1置換または多置換されており、ただし、同一または異なる置換基により多置換されていてもよい。脂肪族炭化水素鎖中のアルキル基も、それ自身、官能基化されていてもよい。
【0094】
このアルキル基が飽和している基の場合、「アルカニル」とも呼ばれる。更に、「アルキル」との語は、置換されていないかまたは対応して同一または異なって、特にF、Cl、Br、Iおよび/またはCNによって1置換または多置換された炭化水素基も含み、1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子(OまたはS)が互いに直接結合しないように、−O−(「アルコキシ」、「オキサアルキル」)、−S−(「チオアルキル」)、−SO−、−CH=CH−(「アルケニル」)、−C≡C−(「アルキニル」)、−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えられていてもよい。好ましくは、アルキルは直鎖または分岐しており、無置換または置換された、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有するアルカニル、アルケニルまたはアルコキシ基である。アルキルがアルカニル基を表す場合、これは、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、CF、CHF、CHF、CFCFである。アルカニル基は、特に好ましくは直鎖で無置換かFで置換されている。
【0095】
アルキル基中の1個以上のCH基を−O−で置き換える場合もあるため、「アルキル」との語は、「アルコキシ」または「オキサアルキル」基も含む。アルコキシは、酸素原子がアルコキシ基で換基された基または置換された環に直接結合しているO−アルキル基を意味し、アルキルは上に定義される通りであるが;アルキルは好ましくはアルカニルまたはアルケニルである。好ましいアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシおよびオクチルオキシであり、ただし、これらの基のそれぞれも、好ましくは1個以上のフッ素原子によって置換されていてよい。特に好ましくは、アルコキシは、OCH、OC、O−n−C、O−n−C、O−t−C、OCF、OCHF、OCHFまたはOCHFCHFである。本発明との関連において、「オキサアルキル」との語は、隣接しているヘテロ原子(OまたはS)がないように末端でないCH基の少なくとも1個が−O−で置き換えられているアルキル基を意味する。好ましくは、オキサアルキルは式C2a+1−O−(CH−の直鎖の基を含み、aおよびbは、それぞれ互いに独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を表し、特に好ましくは、aは1〜6の整数で、bは1または2である。
【0096】
上で定義されるようなアルキル基中の1個以上のCH基が硫黄に置き換えられている場合、「チオアルキル」基が存在する。「チオアルキル」は、好ましくは、式C2a+1−S−(CH−の直鎖の基を含み、aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10で、bは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10で、特に好ましくは、aは1〜6の整数で、bは1または2である。同様に、チオアルキル基はF、Cl、Br、Iおよび/またはCNで置換されていてもよく、好ましくは、無置換である。
【0097】
本発明との関連において、「アルケニル」との語は、1個以上の−CH=CH−基が存在する上で定義されたアルキル基を意味する。この基中に2個の−CH=CH−基が存在する場合、「アルカジエニル」と呼ぶこともできる。アルケニル基は2〜15個(即ち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個)の炭素原子を含むことができ、および分岐または好ましくは直鎖である。この基は置換されていないかまたは同一または異なって1置換または多置換されており、特にF、Cl、Br、Iおよび/またはCN、即ち、−CH=CH−単位の一方または両方の水素および/またはアルケニル基の更なるCHまたはCH基の水素が対応する置換基で置き換えられていてもよい。更に、1個以上のCH基がそれぞれ互いに独立に、ヘテロ原子(OまたはS)が互いに直接結合しないように、−O−(「アルケニルオキシ」)、−S−、−C≡C−、−CO−、−(CO)O−、−O(CO)−で置き換えられていてもよい。CH=CH基の両方の炭素原子上に水素以外がある場合、例えば、末端基でない場合、CH=CHには2種類の立体配置、即ち、E異性体およびZ異性体が存在する。対応する状態を、ハロゲンおよび/または−CNで置換されたC=C二重結合に適用する。一般に、E異性体(トランス)が好ましい。好ましくは、アルケニル基は2、3、4、5、6または7個の炭素原子を含み、ビニル、アリル、1E−プロペニル、2−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、2−プロペニル、2E−ブテニル、2E−ペンテニル、2E−ヘキセニル、2E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニルまたは6−ヘプテニルを意味する。特に好ましいアルケニル基は、ビニル、アリル、1E−プロペニル、2−プロペニルおよび3E−ブテニルである。
【0098】
アルキル基中の1個以上のCH基が−C≡C−で置き換えられている場合、アルキニル基が存在する。1個以上のCH基を−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えることも可能である。ここで、好ましいこれらの基は次の通りである:アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルおよび4−(メトキシカルボニル)ブチル。
【0099】
アルキル基のCH基が無置換または置換された−CH=CH−で置き換えられており、隣接するCH基がCO、−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えられている場合、この基は直鎖または分岐していてもよい。好ましくは直鎖で4〜12個のC原子を有している。従って、特に好ましくは、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、メタアクリロイルオキシメチル、2−メタアクリロイルオキシエチル、3−メタアクリロイルオキシプロピル、4−メタアクリロイルオキシブチル、5−メタアクリロイルオキシペンチル、6−メタアクリロイルオキシヘキシル、7−メタアクリロイルオキシヘプチルまたは8−メタアクリロイルオキシオクチルを意味する。
【0100】
アルキル基、アルカニル基、アルケニル基またはアルコキシ基が少なくとも1個のハロゲンで置き換えられている場合、好ましくは、この基は直鎖である。ハロゲンは、好ましくは、FまたはClである。多置換の場合、好ましくは、ハロゲンはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は任意の所望の位置で構わないが、好ましくはω位である。
【0101】
本発明との関係において、「アルキレン」または「アルキレン橋架け」は、−−明細書または特許請求の範囲において別に定義されなければ−−、鎖中に1、2、3、4、5、6、7、8個の炭素原子を有する2価の脂肪族炭化水素基を表し、ハロゲン、CN、カルボキシル、ニトロ、アルカニル、アルコキシ、−NHまたは−N(アルカニル)で1置換または多置換されていてもよく、ただし、同一または異なる置換基により多置換されていてもよい。「アルキレン」または「アルキレン橋架け」は、好ましくは、直鎖で1、2、3、4、5、6個の炭素原子を有する飽和脂肪族基を意味し、無置換であるかフッ素により1置換または多置換されており、特に、−CHCH−、−CHCHCH−、−(CH−、−CFCF−または−(CF−を意味する。
【0102】
本発明との関係において、用語「アラルキル」はアリールアルキル基、即ち、アリール置換基がアルキル橋架けを介して、原子、鎖、他の基または官能基に連結されている基を表す。そのアルキル橋架けは、好ましくは、飽和2価炭化水素基(「アルキレン」)、特に、メチレン(−CH−)またはエチレン(−CH−CH−)である。アラルキル基の好ましい例は、ベンジルおよびフェネチルである。本発明の目的のためには、「アラルキル−O−ラジカル」は、アルキル橋架けに結合している酸素原子を介して更なる原子、鎖、他の基または官能基に連結されているアラルキル基である。アラルキル−O−ラジカルの好ましい例は、O−ベンジルおよびO−CH−CH−フェニルである。
【0103】
本発明との関係において、「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0104】
本発明との関係において、「アセタール」は、アルコール(例えば、エタノール)の1つの等価物のアルデヒド(「ヘミアセタール」とも言う)上への、またはアルコールの2つの等価物(または2つのアルコール)のアルデヒドのカルボニル官能基上への(形式的な)付加反応の生成物を意味する。本発明との関係において、アルデヒドの「水和物」は、水の1つの等価物のアルデヒド(「ヘミ」または「セミ水和物」とも言う)のカルボニル官能基上への、または水の2つの等価物のアルデヒドのカルボニル官能基上への(形式的な)付加反応の生成物を意味する。アルデヒドは、対応するアセタール(およびヘミアセタール)と、またはその水和物(およびヘミ水和物)との平衡状態でも存在してよいことを、ここで注意しなければならない。
【0105】
本発明との関係において、ボロン酸エステルは式−B(O−アルキル)の基で、2つのアルキル基はアルキレン橋架けまたは他の2価の炭化水素基により置き換えられてもよい。
【0106】
本発明で使用する化合物の基または置換基または本発明で使用する化合物自身が光学活性または立体異性でもよい基、置換基または化合物として存在し得る場合、例えば不斉中心を有するために、これらも本発明に含まれる。これらの化合物は、異性体的に純粋な状態、例えば、純粋な鏡像異性体、ジアステレオマー、EまたはZ異性体、トランスまたはシス異性体、または任意の所望の比率の異性体の混合物、例えば、ラセミ体、E/Z異性体混合物またはシス/トランス異性体混合物で存在しうることは言うまでもない。
【0107】
本発明の方法で使用される化合物に存在する任意の反応し得る官能基または置換基を、本発明の反応および/または前または引き続く反応および/または一連の作業における好ましくない反応から保護するために、反応が完了した時に再び開裂して除ける保護基を使用できる。適当な保護基の使用方法は当業者に公知であり、例えば、T.W.Green、P.G.M.Wuts:Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley&Sons(1999)に記載されている。
【0108】
以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を説明するものである。
【0109】
以上および以下において、パーセントのデータは重量パーセントを表す。温度はすべて摂氏で示される。Tgはガラス転移温度であり、cl.p.は透明点である。さらに、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Smはスメクティック相およびIは等方相である。これらの記号間のデータは相転移温度を表す。Δnは光学異方性(589nm、20℃)を表わし、Δεは誘電異方性(1kHz、20℃)を表し、γは20℃での回転粘度(mPa・s)を表す。
【0110】
本発明の化合物のΔnおよびΔεの値は、10%の本発明のそれぞれの化合物と、90%の商業的に入手可能な液晶ZLI−4792(メルク社、ダルムスタット市)とから成る液晶混合物から外挿して得られる。
【0111】
上および下では、以下の略称を用いる。
【0112】
RT 室温
DMSO ジメチルスルホキシド
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
TEMPO 2,2,6,6−テトラメチルピペリジンN−オキシド
DIBAL−H 水素化ジイソブチルアルミニウム
【実施例】
【0113】
<例1>
【0114】
【化34】

30mg(0.035mmol)の塩化トリシクロヘキシルホスフィン(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデンベンジリデンルテニウム(IV)を、メタセシス触媒(Grubbs2触媒)として、0.35mol(84.8g)の固体状態のジオレフィン(1)に、40℃において窒素雰囲気下で数回に分けて加え、最初は20mg、2回目は1時間後に10mgである。2時間後、エチレンの発生が事実上完了する。トルエン/ヘプタン(1:4)によりシリカゲルを通して濾過後、反応混合物より61.3g(理論の81.7%)の(2)を得て、ヒドロホルミル化に直接使用し、(3)を得る。
【0115】
このために、200mlのトルエン中の0.25mol(53.55g)の(2)を、60barおよび150℃で、3gの水素化トリス(トリフェニルホスフィン)カルボニルロジウム(I)を使用し、合成ガス(H/CO=1:1)の取り込みが完了するまで24時間の過程に渡りヒドロホルミル化する。反応生成物を真空で蒸発させることで溶媒より遊離させ、残渣をトルエン/酢酸エチル(9:1)によりシリカゲルを通して濾過する。ホルミルテトラヒドロピラン成分中の置換基の配置のトランス成分を濃縮するために、濾液を蒸発させた残渣(37.2g=理論の69.5%)を塩基で異性化する。
【0116】
このために、1.8mlの20%水酸化ナトリウム水溶液を190mlのメタノールおよび48mlのテトラヒドロフランの混合物37.2gに加え、混合物を室温で1時間攪拌する。そして、塩酸を使用して混合物を中和し、溶液を蒸発させて乾燥する。1lのメチルtert−ブチルエーテルを蒸発残渣に加え、それぞれの時で300mlの水で混合物を2回洗浄する。乾燥後、有機抽出物を蒸発させ、トランス−5−ホルミルテトラヒドロピラン(3)に加え4−ホルミルテトラヒドロピランも僅かに含む、88%のアルデヒド混合物33gを得る。
【0117】
(4a)を合成するために、33g(0.135mol)の(3)を還流下2時間、250mlのトルエン中の27.1g(0.135mol)の2−(4−トランス−プロピルシクロヘキシル)−1,3−プロパンジオールと共に、500mgのトルエン−4−スルホン酸一水和物と共に、脱水が完了するまで、水分離器上で温める。
【0118】
冷却後、10gの炭酸カリウムを攪拌しながら加え、混合物を濾過し、濾液を蒸発させて乾燥する。蒸発残渣を最初ヘプタン/トルエン(1:1)そして純トルエンでシリカゲルを通して濾過する。
【0119】
2つの生成物画分を得る。一方からは、12.4gの所望の直線状の全てがトランスな異性体(4a)(理論の21.4%)を再結晶により得て、他方からは、4−ホルミルテトラヒドロピランから誘導されるジオキサン誘導体の間違った異性体5gを得る。
【0120】
(4a):C106N206.91I、Δε=21.7、Δn=0.0871。
【0121】
<例2>
例1に類似の方法で、(4b)を得る。
【0122】
【化35】

(4b):C87I、Δε=23.7、Δn=0.0550。
【0123】
<例3>
例1に類似の方法で、(4c)を得る。
【0124】
【化36】


(4c):C88N(87.9)I、Δε=35.8、Δn=0.0880。
【0125】
<例4>
【0126】
【化37】

200mlのテトラヒドロフラン中に溶解された0.2mol(48.8g)の(3)と、100mlのテトラヒドロ中の2モル濃度の塩化アリルマグネシウム溶液とを、滴下により30分かけて15および25℃の間で加える。添加が完了すれば、混合物を室温で更に2時間攪拌し、そして200mlの0.5N塩酸に投入し、有機相を分離し、水相をメチルtert−ブチルエーテルで2回抽出する。混合された有機抽出物を水で洗浄し、乾燥し蒸発させる。蒸発残渣をトルエン/酢酸エチル(98:2から9:1)でシリカゲルを通して濾過する。濾液より、38.7g(理論の67.6%)のホモアリルアルコール(5)の異性体混合物を得る。
【0127】
0.135mol(38.7g)の(5)および0.135mol(16.1g)の臭化プロパルギルを80mlのテトラヒドロフランに溶解し、水酸化ナトリウムのペレット(0.27mol;10.8g)、0.5mlの水、40mlのテトラヒドロフランおよび6.75mmol(2.46g)の臭化N−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムを含む激しく攪拌された乳濁液に加え、45℃に温め、この温度で16時間攪拌する。そして、混合物を1.5lの氷水に加え、有機相を分離し、水相をMTBエーテルで3回抽出する。前もって乾燥および蒸発させた後に、混合された有機相の残渣をトルエン/ヘプタン2:8によりシリカゲルを通して濾過する。濾液を蒸発させ34.3g(理論の78.4%)の(6)を得て、エニンメタセシス中で粗混合物として直接使用し、(7)を得る。
【0128】
このために、115mg(0.14mmol)の塩化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)(Grubbs1触媒)を20mlのジクロロメタン中の0.028mol(9.4g)の(6)に加え、混合物を室温で4時間攪拌し、同じ分量の115mgの触媒を加えた後、混合物を室温で更に16時間攪拌する。蒸発させ、トルエン/ヘプタン(3:7)でシリカゲルを通して濾過し、濾液を乾燥して得られる残渣(1.0g)を最初エタノールより、そしてヘプタンより再結晶して、構造(7)に同定される0.6gの異性体を得る。
【0129】
(7):C97I、Δε=14.2、Δn=0.0800。
【0130】
0.2gの(7)を6時間、10barの水素圧、90℃で、5mlのメタノールおよび1mlのトルエン中で、0.1gの塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)を使用して、水素化する。冷却後、反応混合物を真空で蒸発させ、トルエン/ヘプタン(3:7)でシリカゲルを通して濾過する。乾燥後、0.15gの(8)を油分として得る。
【0131】
<例5>
【0132】
【化38】


化合物(9)を、対応するホモアリルアルコール前駆体から2−(ブロモメチル)アクリレートを使用して、O−アルキル化により調製する。このために、80mlのテトラヒドロフラン中の0.2mol(76.1g)のホモアリルアルコールを、温度を20℃に保ちながら窒素の保護ガス雰囲気下で80mlのテトラヒドロフラン中の60%の懸濁液としての0.2mol(8.0g)の水素化ナトリウムに、滴下により攪拌および氷水を使用して外部より冷却しながら加える。約2時間後、水素の発生が完了する。そして、40mlのテトラヒドロフラン中の0.2mol(38.6g)の酢酸ブロモメチルを、温度が25℃を超えない速度で滴下により加える。引き続き、攪拌を室温で更に16時間継続する。そして、反応混合物を600mlの氷水に投入し、1NのHClを使用して中和し、有機相を分離する。水相をメチルtert−ブチルエーテルで2回抽出後に、混合された有機相を蒸発させて乾燥し、トルエン/メチルtert−ブチルエーテル(3:1)でシリカゲルを通して濾過する。濾液を蒸発させた残渣は、65.9g(理論の71%)のアルキル化生成物(9)を含む。
【0133】
0.1mol(49.2g)の(9)を25mlのトルエンと共に60℃に温め、それぞれ212mgのGrubbs2触媒を4分割(合計1mol%)して1時間ごとに加える。エチレンの発生が完了すれば、混合物をトルエン/メチルtert−ブチルエーテルでシリカゲルを通して濾過する。濾液を蒸発させると、28.8g(理論の62%)のジヒドロピランエステル(10)が残る。
【0134】
0.05mol(23.2g)のジヒドロピランエステル(10)を、12時間で10barの水素圧、および100℃で300mlのメタノールおよび60mlのトルエン中で2gの塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)を使用して水素化する。溶媒を蒸発させ、残渣をトルエン/メチルtert−ブチルエーテルでシリカゲルを通して濾過後、水素化されたエステル(11)を得る(18.4g=理論の79%)。
【0135】
アルデヒド(12)の合成のために、80mlのトルエン中の0.039mol(18.4g)のエステル(11)を−70℃まで冷却し、トルエン中の32.5mlの水素化1,2−N−ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)を攪拌しながら−70℃で加え、4時間後に添加を完了し、攪拌を継続後、混合物を更に冷たいうちに100mlの冷1NHClに投入する。有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄し、乾燥し蒸発させる。アルデヒド(12)の蒸発残渣を、例1に記載されるように、(4c)の合成で直接使用できる。
【0136】
<例6>
(13)の合成も、例5に類似して行う。
【0137】
【化39】


<例7>
(14)の合成も例5に類似して行うが、この場合、アルデヒド(3)とである。
【0138】
【化40】


(14):C91SmH(63)N203.4I、Δε=21.3、Δn=0.0880。
【0139】
<例8>
【0140】
【化41】


ブロモ酢酸のNa塩を使用してメタリルアルコールをアルキル化して調製される(テトラヒドロフラン中16時間60℃)酸(15)を、脱水剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCI)およびジクロロメタン中の4−ジメチルアミノピリジン存在下、アリルアルコールと反応させ(16時間、室温)、エステル(16)を得る。これを、クロロトリメチルシラン存在下でリチウムジイソプロピルアミドによりクライゼン−アイルランド法で再配置し(17)を得る(加えて−75℃、そして室温で16時間、溶媒はテトラヒドロフラン)。(17)を、3,4,5−トリフルオロフェノールを使用し、DCCIおよびDAP存在下でエステル化し、(18)を得る。ジヒドロフランエステル(19)を得る閉環を、固体状態でN保護ガス下80℃まで温め、0.5mol%のGrubbs2触媒を加え、その間、エチレンの発生による15分間の発泡後、混合物を80℃で更に5分放置して行う。トルエンでシリカゲルを通す濾過後、単離(理論の65%)されたジヒドロピランエステル(19)(11g)を、17時間、100℃、11bar、Wilkinson触媒(2mol%)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)を使用し、60mlのエチルメチルケトンおよび60mlのトルエン中で水素化し、テトラヒドロピランエステル(20)を得る。
【0141】
DIBAL−Hを使用し、エステル(11)をアルデヒド(12)に還元するための例3中に記載されるように0.05mol(13.7g)の(20)を還元し、アルデヒド(21)を得る。
【0142】
<例9>
例8に類似して、アルデヒド(23)をエステル(22)より調製する。
【0143】
【化42】


<例10>
【0144】
【化43】


ホモアリルアルコールのアリル化および(26)の閉環メタセシスによるジヒドロピラニルエステル(27)の合成を、例3からジヒドロピラニルエステル(10)のそれに類似して行う。51gのエステル(27)を、9時間の行程に渡り10barの水素圧、23℃で、600mlのn−ヘプタン中、12gのPd/C(5%)を使用して水素化し、テトラヒドロピランエステル(28)の異性体混合物を得る。
【0145】
0.074mol(21g)の異性体エステル(28)を、6時間、0.081mol(4.55g)のKOHと共に、200mlのメタノール中、窒素下で還流し、室温で更に12時間攪拌する。そして、溶媒を実質的に取り除き、残渣を90mlの1NHClで処理し、濾別し、水で洗浄する。トルエンを残渣に加え、共沸乾燥のために再び蒸発させる。アルカリ鹸化の間、シスエステルまたはシス酸の大部分を異性化してトランス誘導体とし、17g(理論の90%)のテトラヒドロピラン酸(29)が残る。
【0146】
90mlのテトラヒドロフラン中の0.067mol(17g)の酸(29)を、10mlのテトラヒドロフラン中の0.05mol(1.91g)のLiAlHの混合物に、穏やかな還流のみが生じる速度で滴下により加える。添加が完了すれば、混合物を還流下で更に6時間温める。混合物を放冷させ、75mlの冷却された2NHClを攪拌しながら加える。2相が分離後、それぞれの場合に100mlのメチルtert−ブチルにより水相を更に抽出する。混合された有機相を中和するまで50mlの飽和NaHCO溶液および水で洗浄し、乾燥し、蒸発させ、12.3g(理論の76.4%)のアルコール(30)を得る。
【0147】
Swern法によりアルコール(30)をアルデヒド(31)に酸化する。このために、15mlのジクロロメタン中の0.0525mol(12.5g)のトリフルオロ酢酸無水物を、60mlのジクロロメタン中の0.0635mol(4.95g)のジメチルスルホキシドに、5分間で温度を−60℃に維持しながら、−60℃で攪拌しながら加える。添加が完了し−60℃で更に10分攪拌後、40mlのジクロロメタン中の0.05mol(12.0g)のアルコール(30)を、滴下により攪拌しながら添加し、5分間の滴下による添加およびその後の10分間、温度を−60℃に保持する。そして、混合物を温めて室温とし、18.5mlのトリエチルアミンを滴下により10分かけて、外部から時々冷却しながら温度が30℃を超えない速度で加える。添加が完了した時点で、混合物を30分放冷して室温とし、そして反応混合物を100mlの水で洗浄する。水相を50mlのジクロロメタンで抽出する。乾燥および蒸発後、混合された有機相より6.4g(理論の54%)のアルデヒド(31)を得る。
【0148】
<例11>
【0149】
【化44】

メタセシスにより形成されたジヒドロピラン(32)を、例1に類似のヒドロホルミル化によりアルデヒド(33)に転化し、エン−カルボニル反応中でホモアリルアルコール(34)と反応させ、最初にブロモテトラヒドロピラン(35)を得る。
【0150】
ホモアリルアルコールの合成を、亜鉛粉およびCoBr存在下でガス状ホルムアルデヒドとの反応による古典的な方法で調製できる亜鉛アルコール(38)の酢酸エステルを経由して行う。
【0151】
【化45】


このために、1mlのトリフルオロ酢酸を使用して亜鉛を活性化したあと、分離可能なフラスコ中で1.0mol(30g)のパラホルムアルデヒドを220℃まで加熱して形成されるガス状ホルムアルデヒドを、400mlのアセトニトリル中の26gの亜鉛粉(0.4mol)、13.2g(0.06mol)のCoBrおよび0.2mol(51.2g)の(38)の溶液中を通過させる。導入が終了すれば、混合物を室温で更に12時間攪拌する。そして、混合物を100mlの2NHClに投入し、有機相を分離して取り除き、水相をメチルtert−ブチルで2回抽出する。混合された有機相を蒸発させ、残る残渣をトルエン/酢酸エチル(7:3)でシリカゲルを通して濾過し、より極性の画分を蒸発させ、ホモアリルアルコール(34)を粗材料として理論の48%の収率(21.9g)で得る。
【0152】
最初に0.09mol(20.5g)のホモアリルアルコール(34)を、0.69mol(14.0g)のアルデヒド(33)および5mol%のBiBr(2g)と共に0℃で導入する。そして、反応容器の後にある気泡計数器から生じるのと同じ多さの気泡が反応容器の前にある洗浄瓶より発生するまで(約10分)、ガスとしてHBrを5〜20℃の間の温度で外部より冷却させながら通過させる。そして、混合物を素早く氷冷された飽和炭酸水素ナトリウム溶液に投入し、有機相を水で洗浄し、乾燥し、蒸発させる。異性体ブロモテトラヒドロピラン(35)の異性体混合物を粗精製の形成で次の反応工程で使用し、HBrを脱離して、ジヒドロ(36)を得る。
【0153】
前の工程(23.3g、理論の63.3%)からの0.057molの異性体混合物(36)を還流下で6時間、40mlのトルエン中の0.086mol(10.2ml)の1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]オン−エンと共に温める。冷却後、水および希硫酸を使用してpHを3に合わせた後、混合物を激しく混合する。分離後、有機相を飽和NaHCO溶液および水で洗浄し、シリカゲルを通して濾過する。蒸発させて、15.7g(理論の84%)のジヒドロピラン(36)の異性体混合物を得る。
【0154】
異性体混合物(36)(15.7g)の水素添加を300mlのメタノールおよび75mlのトルエンに溶解し、10bar、90℃、20時間で、0.48mmol(448mg)の塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)を触媒として水素化して行う。溶媒を蒸発後、残渣をトルエンでシリカゲルを通して濾過する。エタノールおよびヘプタンから分別結晶を繰り返し、0.5gの(37)を得る。
【0155】
<例12>
【0156】
【化46】


窒素下、ジエチルエーテル中の臭化アリルマグネシウムの1M溶液の800mlを、500mlのTHF中の272g(800mmol)のアルデヒドの溶液に、25℃より低い温度で加える。反応物を室温で一晩攪拌し、氷水に加え、引き続いてメチルtert−ブチルエーテルで抽出する。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。得られる残渣をシリカゲルに通す。
【0157】
【化47】

103g(81%、220mmol)のアルコールおよび21g(80mmol)のトリフェニルホスフィンを500mlの酢酸エチルに溶解し、500mgの酢酸ロジウム2量体を加える。ヒドロホルミル化を25barの合成ガスおよび100℃で行う。反応溶液を蒸発させ、シリカゲルを通す。
【0158】
【化48】


窒素下、24.5ml(320mmol)の塩化メタンスルホニルを、500mlのジクロロメタン中の100g(240mmol)のラクトンおよび101ml(299mmol)のトリエチルアミンの溶液に、0〜5℃で加える。反応物を一晩、室温で攪拌する。反応物を水に加え、メチルtert−ブチルエーテルで抽出する。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させる。得られる残渣をシリカゲルに通す。
【0159】
【化49】


60g(148mmol)のエノールエーテルを300mlのトルエンに溶解し、9.8g(15mmol)のトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィンおよび390mg(1.5mmol)のジカルボニルアセチルアセトナートロジウム(I)を加える。ヒドロホルミル化を100barの合成ガスおよび100℃で行う。溶液を引き続き蒸発させ、残渣をシリカゲルに通して、アルデヒドのシス/トランス混合物を得る。
【0160】
アルデヒドプロトンのシグナルは、δ=9.69ppmおよびδ=9.88ppmである。
【0161】
【化50】


アルデヒド(43)を引き続き2−エチル−1,3−プロパンジオールと反応させて、ジオキサン(4c)を得る(例3参照)。このために、44.5g(110mmol)のアルデヒド(43)および12.0g(115mmol)のジオール2、エチル−1,3−プロパンジオールを250mlのトルエンに溶解し、400mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、アルデヒドの転化が完了するまで(TLC)、混合物を水分離器上で還流下により加熱する。冷却された反応物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄し、乾燥し、シリカゲル(トルエン/ヘプタン7:3;トルエン;トルエン/酢酸エチル95:5)を通す。生成物を含む画分を蒸発させ、残渣をエタノールより−20℃で再結晶する。
【0162】
(4c):C88N(87.9)I;Δε=35.8;Δn=0.0880。
【0163】
<例13>
【0164】
【化51】


100mlのトルエン中の9.0g(0.038mmol)の3−(4’−ペンチルシクロヘキシル)−2H−3,4−ジヒドロピラン(44)を0.4gのジコバルトオクタカルボニルと2時間、140℃、300barで、1.7lの合成ガス(H/CO=1:1)下で反応させる。冷却後、反応溶液を蒸発させ、残渣をヘプタン/トルエン(1:1)でシリカゲルを通して濾過する。蒸発後、濾液より9.1gの薄茶色の油状の残渣を得て、アルコール(46)のアルデヒド(45)に対する比は4:1である。混合物をアルデヒド(45)の酸化に直接利用する(例10のSwern酸化工程も参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIのホルミルテトラヒドロピラン誘導体類:
【化1】

{ただし、式II中、
【化2】

a、b、cは、互いに独立に、0または1を表し、ただし、a+b+cは、0、1、2または3に等しく、
、A、Aは、互いに独立に、同一または異なって、回転されたものまたは鏡像のものでもよく、
【化3】

を表し、
、YおよびYは、互いに独立に、水素、ハロゲン、CN、NCS、SF、C1〜6−アルカニル、C2〜6−アルケニル、C2〜6−アルキニル、OC1〜6−アルカニル、OC2〜6−アルケニルまたはOC2〜6−アルキニルを表し、ただし、脂肪族基は無置換であるか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、および
、Z、Zは、単結合、1〜6個の炭素原子を有し無置換かFおよび/またはClで1置換または多置換されているアルキレン橋架け、または−CHO−、−OCH−、−(CO)O−、−O(CO)−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCFO−または−CFOCHCH−を表し、
n1は、0、1、2、3または4であり、
n2およびn3は、互いに独立に、0、1、2または3であり、
n4は、0、1または2であり、
は、−CH−、−CF−または−O−を表し、
は、H、ハロゲン、CN、NCS、SF、CF、OCF、NH、ボロン酸エステル、1〜15個のC原子を有するアルキル基で、該基は無置換であるか、CNにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えられていてもよい。}
の調製方法であって、
a)式IIIa、IIIbおよび/またはIIIcの化合物をヒドロホルミル化するか、
【化4】

または
b)少なくとも1つの還元工程を含むIVの1つ以上の反応によって、式IVの化合物を反応させるか、
【化5】

(ただし、Rは、CN、COOH、CONHR、COORを表し、Rは、アルキル、アラルキルまたは(置換されていてもよい)アリールを表す。)
または
c)式Vのアルコールを酸化すること、
【化6】

(ただし、式IIIa、IIIb、IIIc、IVおよびV中、A、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cおよびRは、式IIの意味を有する。)
を特徴とする調製方法。
【請求項2】
水酸基を直接または脱離基に変換した後に脱離することにより、以下の式Xおよび/またはXIIIの化合物類より式IIIbおよび/またはIIIcの化合物類をそれぞれ調製することを特徴とする請求項1記載の方法。
【化7】

(ただし、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cおよびRは、独立に、請求項1中の式IIで定義される通りである。)
【請求項3】
ヒドロホルミル化工程および閉環により、式VIおよびXIIの化合物類より式XおよびXIIIの化合物類をそれぞれ調製することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【化8】

(ただし、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cおよびRは、請求項1中の式IIの意味を有する。)
【請求項4】
エチレンを脱離する触媒的閉環メタセシスにより適当に置換されたジエン類から次に調製される、対応するジヒドロピラン誘導体類を水素化して式IVのテトラヒドロピラン化合物類を調製することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
式IVの化合物類の式IIのアルデヒド類への還元は、還元金属類、金属水素化物類、アルキル金属化合物類または低原子価ホウ素化合物類で行われることを特徴とする請求項1または4記載の方法。
【請求項6】
式IVの化合物の還元は、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジアルキルアルミニウム類または水素化アミノまたはアルコキシ置換リチウムアルミニウム類を使用して行われることを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項7】
式IIIa、IIIbまたはIIIcの化合物類のヒドロホルミル化は、一酸化炭素および水素を同時に使用するか、水素の代わりにヒドロシラン類またはギ酸エステル類を使用して中間体類を引き続き加水分解することで触媒的に行われることを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項8】
式IIIa、IIIbまたはIIIcの化合物類のヒドロホルミル化は、遷移金属類を使用して触媒的に行われることを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒反応は、カルボニル配位子類を伴うコバルト化合物類またはリン含有配位子類を伴うロジウム化合物類からなるロジウムまたはコバルト金属類の遷移金属錯体類を使用して行われることを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項10】
式IVの化合物類の酸化は、CrO、Dess−Martin法によるヨウ素試薬類、DMSO/DCC(Pfitzner−Moffatt酸化)、DMSO/二塩化オキサリル(Swern酸化)、アセトン/Al(O−アルキル)(Oppenauer酸化)またはN−酸化2,2,6,6−テトラメチルピペリジンまたは遷移金属触媒類で触媒的に作用されるNaOClを使用する方法により行われることを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【請求項11】
請求項1記載の式IIのホルミルテトラヒドロピラン誘導体類。
(ただし、下式の化合物は含まれない。)
【化9】

【請求項12】
分子中のZ、Z、Zが、−CFCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CHCHCFO−、−OCFCHCH−、−CFO−または−OCF−基に対応するか、または
が、NCS、SF、CF、OCFまたはOCHFに対応するか、または
A1、A2、A3の少なくとも一つが、
【化10】


を表すことで特徴付けられる前記請求項記載の式IIのホルミルテトラヒドロピラン誘導体類。
【請求項13】
式IIa、IIbおよびIIcから選択されることで特徴付けられる前記請求項の一項以上に記載のホルミルテトラヒドロピラン誘導体類。
【化11】

(ただし、
11およびR12は、F、CF、OCF、CN、NCS、SFまたは1〜15個のC原子を有するアルキル基で、該基はハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−(CO)O−または−O(CO)−で置き換えられていてもよく、
13は、請求項1中のRで定義される通りであり、
、Lは、それぞれ独立に、H、ClまたはFに等しく、および
、A、Z、Z、a、bは、式IIで請求項1中の通りの定義である。)
【請求項14】
以下を特徴とする請求項1中の定義による式IIIbおよびIIIcの化合物類:
【化12】

であって、
a、bおよびcが同時に0の場合、
は、ハロゲン、CN、NCS、SF、CF、OCF、NH、1〜15個のC原子を有するアルキル基で、該基はCNにより1置換されているか、ハロゲンにより1置換または多置換されており、ただし加えて、これらの基中の1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子が互いに直接結合しないように、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−(CO)O−または−O(CO)−でそれぞれ互いに独立に置き換えられていてもよく
a=1およびb+c=0およびAが1,4−フェニレンに等しい場合、
は−OCH−および−CHCH−に等しくないことを特徴とする化合物類。
【請求項15】
アルデヒド基の付加または縮合生成物の合成のための請求項1の式IIのアルデヒド化合物類の使用。
【請求項16】
前記アルデヒド基は、置換されていてもよい5員または6員環を構築するために機能することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記反応はジオール類により行われジオキサン類を得るか、アリル金属化合物類により行われホモアリルアルコール類を得て、それらより更に第2のテトラヒドロピラン環を得ることを特徴とする請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
アルデヒドIIよりウィッティッヒ反応により式IXの化合物を調製することを特徴とする請求項14記載の使用。
【化13】

(ただし、
、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cは、請求項1中の式IIの意味を有し、および、それぞれの場合で互いに独立に、
、Aは、Aに定義される通りであり、
、Zは、Zに定義される通りであり、および
e、fは、式II中のaに定義される通りである。)
【請求項19】
式Qaの化合物類、式Qaの化合物類の(部分的に)飽和された水素化生成物または式QbまたはQcのQaの合成前駆体を調製することを特徴とする前記請求項の一項以上に記載の方法。
【化14】

【化15】

【化16】

(ただし、Qa、QbおよびQc中において、
、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、a、b、cは、請求項1中の式IIの意味を有し、および、それぞれの場合で互いに独立に、
、Aは、Aに定義される通りであり、
、Zは、Zに定義される通りであり、および
e、fは、式II中のaに定義される通りである。)
【請求項20】
a)前記請求項の一項以上に従いホルミルテトラヒドロピランを調製することと、および
b)2,5−2置換テトラヒドロピラン誘導体を調製するために、前記請求項の一項以上に従い該ホルミルテトラヒドロピランを使用することと
を含む2,5−2置換テトラヒドロピラン誘導体類の調製方法。

【公表番号】特表2009−507759(P2009−507759A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512722(P2008−512722)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004424
【国際公開番号】WO2006/125529
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】