説明

ホログラフィック記憶媒体に記憶されたホログラムを読み取るためのホログラフィック記憶装置、およびこれを実現する方法

本発明は、ホログラフィック記憶媒体(6)上に記録されたホログラフ(7)を読み出すためのホログラフィック記憶システム(1)、およびその方法に関する。このシステムは、基準ビーム(3)の光路に沿って配置されたホログラフィック記憶媒体保持手段と、前記光路に沿って配置された、コードパターン(15)を用いて基準ビーム(3)を符号化する空間光変調器(SLM)(4)と、再構築されたホログラフ(7)の画像を検出する検出器(5)と、検出された画像に対する基準ビーム(3)およびホログラフィック記憶媒体(6)の位置ずれを特定し、空間光変調器(4)を作動させて前記コードパターン(15)をシフト移動させるサーボ制御ユニット(14)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムの改良に関し、とりわけホログラフィック記憶媒体に記憶されたホログラムを読み取るためのホログラフィック記憶装置、およびこれを実現する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィックデータ記憶は、データを担持するデータ符号化された信号ビーム(オブジェクトビームともいう)と、ホログラフィック記憶媒体における基準ビームとの干渉パターンを記憶するという着想に基づくものである。一般に、オブジェクトビームを形成するために、空間光変調器(Spatial Light Modulator: SLM)が用いられ、たとえばホログラフィック記憶媒体は、たとえば感光性ポリマもしくは光屈折性結晶、またはオブジェクトビームおよび基準ビームの相対振幅ならびに位相差を記録するのに適当な任意の他の材料であってもよい。記憶媒体にホログラムを作成した後、基準ビームを記憶媒体に投影することにより、元のデータ符号化されたオブジェクトビームと相互作用し、これを再構築し、CCDアレイカメラなどの権出器を用いて検出することができる。再構築されたデータ符号化されたオブジェクトビームは、再構築ホログラムと一般に呼ばれている。この用語によれば、ホログラムの再構築とは、元のデータ符号化されたオブジェクトビームを再構築することを意味し、ホログラムの読み込みとは、再構築ホログラム、特に再構築されたホログラムを検出することを意味する。本願明細書においてはこの用語を採用する。
【0003】
ホログラムの書き込みは、オブジェクトビームおよび基準ビームの空間的重なりによって大きく影響され、ホログラムの読み込みは、再構築する基準ビームおよび記憶媒体に記憶されるホログラムの相対的位置に相当に依存する。基準ビームおよびオブジェクトビームの両方が記憶媒体の表面上の比較的に大きいスポットをカバーするものである場合、ホログラフィック記憶媒体の読み込みは、比較的に容易に実現することができる。ホログラムの中心と基準ビームの中心との間の位置に関する公差は、ビーム径の寸法の約10%であり、通常、これは従来式システムの機械的限界内である。しかし、ホログラムの大きさが小さくなると、媒体から読み込むとき、基準ビームとホログラムの間の位置合わせ精度に対する要請はより厳格なものとなる。同様に、たとえば記憶されたホログラフィックデータの多重化および/またはセキュリティ暗号化に際して、高精度位置合わせが必要となる。ホログラムの多重化および/または暗号化に関する数多くの手法がある。こうした手法には、実平面および/またはフーリエ面におけるオブジェクトビームおよび/または基準ビームの位相符号化が含まれる。基準ビームを位相符号化することにより、位相符号多重化および暗号化する方法及びデバイスは、国際特許出願公開第02/05270号に記載されている。位相符号多重化または暗号化技術を用いたとき、ホログラム再構築の際に要求される基準ビームとホログラムの中心間の位置ずれに関する公差は、ビーム径の1%まで小さくなる。ビームとホログラムの間の位置ずれは、一般に、システムの光学部品の位置ずれに関連し、光学部品の位置ずれは機械的衝撃や温度変化などに起因する場合がある。しかし、これは、ホログラフィックIDカードなどの着脱可能な記憶媒体を受容するように設計されたシステムにおいて特に問題となる。
【0004】
米国特許第7,116,626号明細書には、上述の位置合わせの問題を解消するための微小位置合わせ方法(micro-positioning method)が教示されている。この方法の目的は、光源、レンズ、検出器および記憶媒体などのさまざまなデバイスを含むSLMなどのシステムのさまざまな構成部品の正確に位置合わせを確実なものとすることにより、ホログラフィック記憶システムの性能、すなわち変調された画像の品質を向上させるためのものである。位置合わせ技術は、オブジェクトビームおよび記憶されたホログラフィック画像をデータ符号化するに用いられる固有のSLMのピクセルを位置合わせする「ピクセルマッチング」に焦点を当て、SLMの各ピクセルが検出器のただ1つのピクセルに投影され、より良好なデータ復元機能が得られるようにするものである。この方法は、システムの構成部品のすべてまたはいくつかを互いに対して物理的に移動させるステップを有する。構成部品移動させる手段は、マイクロアクチュエータを含むものであってもよい。こうした物理的移動手段は、微小デバイスに採用するには高くつくし、煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願公開第02/05270号パンフレット
【特許文献2】米国特許第7,116,626号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ホログラフィック記憶媒体に対する基準ビームの正確な非機械的位置合わせを可能にするシステムおよび方法を提供することにより、上記問題点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1に係るホログラフィック記憶システム、および請求項15に係るホログラム読み取り方法を提供することにより実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1a】本発明に係る例示的な実施形態による反射型ホログラフィック記憶システムの概略図である。
【図1b】本発明に係る例示的な別の実施形態による透過型ホログラフィック記憶システムの概略図である。
【図1c】本発明に係る例示的な実施形態による透過型ホログラフィック記憶媒体書き込み・読み込みシステムの概略図である。
【図2】空間光変調器により形成される例示的な基準ビームコードパターンを示す。
【図3】1つのSLMピクセルによる基準ビームコードパターンのシフト移動を示す。
【図4】空間光変調器により形成される別の例示的な基準ビームコードパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面および例示的な実施形態を参照することにより、本発明の詳細がより明白となる。
【0010】
図1aは、本発明に係る第1の例示的な実施形態によるホログラフィック記憶システム1の概略図である。このシステム1は、基準ビーム3を出力する光源2を有する。この光源2は、通常、レーザおよびビーム拡大器(ビームエキスパンダ)とからなる。光源2の後に、基準ビーム3を符号化する空間光変調器(SLM)4が設けられている。このシステム1は、検出器5と、基準ビームの光路に沿って配置された、読み取るべきホログラム7を担持するホログラフィック記憶媒体6を固定する手段(図示せず)とをさらに有する。記憶媒体固定手段は、たとえばCDトレイやDVDトレイ、ホログラフィックIDカードスロット、記憶媒体6をホログラフィック記憶システム1内の適正位置に保持するのに適した任意の手段など、任意の従来式の媒体支持部品であってもよい。検出器5はCCDカメラ、CMOS、フォトダイオード・マトリックス、またはピクセルアレイに配置されたセンサ部品を有する他の既知の検出器であってもよい。記憶媒体の表面欠陥に対する感度がフーリエ・ホログラムの方が像平面ホログラムより小さいので、ホログラム7としてはフーリエ・ホログラムを用いることが好ましい。フーリエ・ホログラムを用いた場合、ホログラム7を形成する際、基準ビーム3を位相符号化するために用いられる、空間光変調器4で表示される位相符号パターンは、フーリエ変換されたオブジェクトビームに写像される。その回折効率が良好で、かつ波長選択性が小さいので、薄い偏向ホログラムを用いてもよい。好適なホログラフィック記憶媒体は、たとえばアゾベンゼンタイプの光異方性ポリマである。
【0011】
図1aに示す実施形態は、ホログラフィック記憶媒体6を反射モードで読み取るように設計されている。すなわち基準ビーム3は媒体6の後方にある鏡8で反射し、再構築されたオブジェクトビーム9が検出器5の像平面上で像形成して、再構築されたホログラム7の画像が取り込まれる。反射ビーム9および基準ビーム3は、ビームスプリッタ10により分離されるが、このビームスプリッタは、中立ビームスプリッタあるいは偏向ホログラムの場合は偏向ビームスプリッタであってもよく、または欧州特許出願公開第1492095号で開示されたような中央層不連続性を有するビームスプリッタ・キューブなどの他のビーム分離部品であってもよい。
【0012】
符号化基準ビームの場合、空間光変調器4は、画像形成システムを用いてホログラム7の平面に画像形成する。この画像形成システムは、好適には、従来技術で知られたようにビームスプリッタ10の前後に配置された第1および第2のフーリエレンズ11,12を有する。さらに、ビーム径を制限し、以下詳述するように空間光変調器4の明確性を規制(restricting the definition)する利点を得るために、第1のフーリエレンズ11とビームスプリッタ10の間に絞り13を配置してもよい。
【0013】
基準ビームは、振幅符号化や他の任意の既知の光変調符号化技術(偏向符号化または波長符号化)を同様に用いて符号化することができるが、振幅符号化に際して生じる情報損失を回避するために、位相符号化を用いて符号化することが好ましい。位相符号化は、たとえば暗号化されたホログラム7を読み出すためのセキュリティキー、または多重化されたホログラム7を読み出すためのキーとすることができる。しかしながら本発明は、暗号化または多重化以外の用途にも関連するものである。挿入された記憶媒体6の位置に関してある程度の不確実性をもたらすような機械的クリアランスを排除できないすべての事例において同様に適用可能であり、とりわけ記憶媒体6を頻繁に取り外し、システム1を用いて複数の記憶媒体6読み出す場合、基準ビーム3および記憶媒体6は互いに対する位置を反復的に再配置する必要がある。
【0014】
基準ビームの位相符号化に加え、円形の基準ビーム3を容易に配置するための絞りとして、空間光変調器4を用いることができる。これは、複数のホログラム7が互いに記憶媒体内で近接して書き込まれている場合、ホログラムを再構築するときにホログラム内クロストークを抑制する上で有用である。
【0015】
記憶媒体6のホログラム7を読み出すとき、基準ビーム3を記憶媒体6に対して位置合わせして配置する必要がある。本発明によれば、基準ビーム3の位置合わせは、空間光変調器4上の異なる位置に基準ビーム3を符号化する基準ビーム符号化パターンを表示することにより実現される。これは、以下詳述するように、検出器5により検出された画像の分析およびサーボ信号の計算を行うための、検出器5に接続されたサーボ制御ユニット14により実施される。空間光変調器4により表示された符号化パターンの位置を制御するために、サーボ信号が用いられる。サーボ制御ユニット14は、たとえばコンピュータ、マイクロコントローラ、または空間光変調器4を制御するために必要なソフトウェアを含む用途固有の他の任意の電気回路部であってもよい。
【0016】
図1bは、別の好適な実施形態によるホログラフィック記憶システム1を示し、このときホログラフィック記憶媒体6は透過モードで読み出され、すなわち再構築されたオブジェクトビーム9は記憶媒体6を透過する。したがって、検出器5は記憶媒体6とは反対側にあり、第3のフーリエレンズ111を検出器5と記憶媒体6の間に配置して、再構築されたオブジェクトビーム9の画像を検出器5の画像平面上に形成することができる。
【0017】
図1cは、別の好適な実施形態によるホログラフィック記憶システム1を示し、これはホログラフィック記憶媒体6の書き込み・読み出しの両方のために採用されるものである。ホログラフィック記憶媒体6は、図1bの実施形態と同様に透過モードで書き込まれる。この場合、システム1を用いて記憶媒体6上のホログラム7を記録するとき、ビームスプリッタ10を用いて、基準ビーム3と空間光変調器4’からのオブジェクトビーム3’を統合するためにビームスプリッタ10を用いる。オブジェクトビーム3’は、独立した光源(図示せず)を有するか、または既知の技術を用いて、基準ビーム3の光源を用いて基準ビーム3とオブジェクトビーム3’を供給してもよい。
【0018】
図2は、空間光変調器4上に表示される基準ビーム位相コードパターン15を示すものである。図示の実施形態によれば、各基準ビームコードピクセル16は、5行×5列のSLMピクセル17で構成されている。単一のコードピクセル16を表示するために用いられるSLMピクセル17の数は用途に応じて変化する。2つ以上のSLMピクセル17からなるコードピクセル16を用いると、より簡便な手法によりコードパターン15をシフト移動させることができる。たとえば、1つのSLMピクセル17を用いて、コードパターン15を右隣のコードピクセル16にシフト移動するために、図3に示すようにSLMピクセル17を1列ずらすことにより実現することができる。新しいコードピクセル16bは、新しいブロックの5行×5列のSLMピクセル17として表示され、元のコードピクセル16aと重なる(同じ)5行×4列のSLMピクセル17と、元のコードピクセル16aの右隣にある1行×4列のSLMピクセル17とからなる。コードパターン15は、この考え方に基づいて、SLMピクセル17の行または列に平行でない方向を含む任意の方向にシフト移動させることができる。
【0019】
特定の基準ビーム位相コードパターン15を記録したホログラム7は、ホログラム7を記録するために用いられたものと同一または極めて類似の基準ビーム位相コードパターン15により符号化された基準ビームを用いて再構築することができ、その結果、基準ビーム3を符号化することによりセキュリティ暗号化または複合化が可能となる。基準ビーム位相コードパターン15は、たとえば2100通りのコードの組み合わせが可能となるよう10行×10列のピクセルサイズを有していてもよい。ただし、ホログラム7のセキュリティ暗号化または複合化のためには、ホログラム7を記録するために用いられるもの以外の基準ビーム位相コードパターン15を用いて判読可能であってはならない。したがって、可能性のある全体のコードパターン15の中から、十分な差異を有する一連のコードパターン15のみを用いることができる。この一連のコードパターンは、実際上、極めて大きい数であり、たとえば約225通りのコードの組み合わせを用いることができる。異なるコードパターン15を形成する方法が国際特許出願公開第02/05270号に記載されている。
【0020】
絞り13を用いると、コードピクセル16を認知可能とする一方、個々のSLMピクセル17が検出器5により検出される画像上で区別できなくなるように、空間光変調器4の明確性を規制するという追加的な利点が得られる。形成画像がぼやけるのを防ぐため、空間光変調器4の端部付近のビネット効果を回避すべく、空間光変調器4のフーリエ平面に(またはこれに隣接して)絞り13を配設し、フーリエ空間内の高周波成分をフィルタ除去する。
【0021】
位相変調の他、当業者により知られているように、任意の他の特性(位相、振幅、波長あるいは偏向)またはこれらの組み合わせを変調させることにより、コードパターン15を形成することができる。
【0022】
空間光変調器4が円形ビームを配置しやすくするために絞りを用いた事例において、基準ビーム位相コードパターン15は、図4に示すように、内側円形18で透過し、透過しない外側境界領域19を有する単純光であってもよい。これは、たとえば振幅変調モードの空間光変調器4を用いて、境界領域19の振幅を抑制するとともに、内側円形18内の光の振幅を維持して円形の基準ビーム3を簡便に形成することにより実現することができる。個々のSLMピクセル17の変調振幅を変化させて、空間光変調器4の部値の位置で光を透過させる内側円形18を形成することにより、円形基準ビーム3を容易に形成することができる。振幅変調モードを実現する既知の方法は、空間光変調器4の前に偏向板を配置するとともに、空間光変調器4の後に分析器を配置することである。内側円形18に照射する基準ビーム3の偏向については、空間光変調器4を用いて変化させることなく維持する一方、外側境界領域19に照射する基準ビーム3の偏向については、90°だけ回転させることができる。偏向を維持した部分のみが分析器を透過し、こうして簡便に円形基準ビーム3を形成することができる。
【0023】
基準ビーム3の光路に沿って配置された、同一または類似のさらなる基準ビーム符号化空間光変調器4を用いて、位相符号化により同様に円形基準ビーム3を容易に形成することができる。位相変調および振幅変調を同時に行うために、すなわち特定の空間光変調器における3重変調モードを同時に行うために同一の空間光変調器を用いることができる。独立した位相変調および振幅変調のために2つの空間光変調器を用いると、2つの空間光変調器を互いに対して画像形成するための追加的な光学部品が必要となる。
【0024】
位相符号化された基準ビーム3に対して、単一のSLMピクセル17を1つのコードピクセル16と考えることは容易であるが、基準ビーム3と記憶媒体6の間の位置ずれを計算するために、位相パターンをコードピクセル16より細かいステップでシフト移動可能とすることは有用である。
【0025】
空間光変調器4上のコードパターン15をシフト移動させることが可能である限り、他の任意の手法を用いてコードパターン15を形成することができる。
【0026】
ホログラム7の検出された記憶画像に対する、基準ビーム3および記憶媒体の位置ずれを特定するためのさまざまな既知の手法が存在する。たとえば検出画像に関連する性能指数を特定することができる。この性能指数は、一般に、平均的なピクセル強度または信号ノイズ比などのピクセル位置ずれを示すスカラ量である。性能指数を用いる具体例が(チャンネル測定基準(channel metric)と称す。)米国特許第7,116,626号に記載されている。
【0027】
位置ずれが検出されると、空間光変調器上のコードパターン15をシフト移動させることにより、基準ビーム3を再配置する(位置を設定し直す)ことができる。性能指数は、位置ずれの大きさまたは度合いを示唆するためにのみ好適であり、位置ずれの方向を示すためには適していない。したがって、位置ずれを示すために性能指数を用いる場合、数多くの異なる基準ビーム位置で再計算しなければならない場合がある。
【0028】
性能指数を計算する好適な手法は、本願出願人と同一の出願人による「ホログラフィック記憶媒体およびホログラフィック記憶システムに記録されたフーリエホログラムを読み出す方法」と題する2007年2月2日付けで出願されたハンガリ特許出願に記載されている。
【0029】
上述の実施形態は、具体例を示すためだけのものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。当業者にとっては、添付されたクレームにより特定される保護範囲から逸脱することのないさまざまな変形例が明らかである。
【符号の説明】
【0030】
1:ホログラフィック記憶システム、2:光源、3:基準ビーム、4:空間光変調器(SLM)、5:検出器5、6:ホログラフィック記憶媒体、7:ホログラム、8:鏡、9:オブジェクトビーム、10:ビームスプリッタ、11,12:第1および第2のフーリエレンズ、13:絞り、14:サーボ制御ユニット、15:基準ビーム位相コードパターン、16:基準ビームコードピクセル、17:SLMピクセル、18:内側円形、19:外側境界領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィック記憶媒体(6)上に記録されたホログラフ(7)を読み出すためのホログラフィック記憶システム(1)であって、
基準ビーム(3)の光路に沿って配置されたホログラフィック記憶媒体保持手段と、
前記光路に沿って配置された、コードパターン(15)を用いて基準ビーム(3)を符号化する空間光変調器(SLM)(4)と、
再構築されたホログラフ(7)の画像を検出する検出器(5)と、
検出された画像に対する基準ビーム(3)およびホログラフィック記憶媒体(6)の位置ずれを特定し、空間光変調器(4)を作動させて前記コードパターン(15)をシフト移動させるサーボ制御ユニット(14)とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
空間光変調器(4)はピクセルアレイタイプの光変調器であって、好適にはマイクロディスプレイ、液晶ディスプレイ、またはシリコンティスプレイ上の液晶であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムであって、
コードパターン(15)は、境界領域(19)により包囲される円形内部領域(18)を有し、
2つの領域(18,19)は、基準ビーム(3)の少なくとも1つの光特性を異なる手法で変調することを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
円形内部領域(18)は光を透過させ、境界領域(19)は光を透過させないことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、
円形内部領域(18)による光の偏向角と、境界領域(19)による光の偏向角とは互いに対して所定の角度をなし、
偏光器が基準ビーム(3)の光路に沿って空間光変調器(4)の前に配置され、
分析器が基準ビーム(3)の光路に沿って空間光変調器(4)の後に配置されたことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムであって、
コードパターン(15)は複数のコードピクセル(16)を有し、
コードピクセルは空間光変調器(4)のn行×m列のピクセルからなることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、
コードパターン(15)のシフト移動は、コードピクセル(16)を空間光変調器(4)の異なるn行×m列のピクセルを用いて表示することにより実施されることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6または7に記載のシステムであって、
コードパターン(15)は位相符号化パターンであることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1に記載のシステムであって、
ホログラフ(7)は、フーリエ変換ホログラフであることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、
第1および第2のフーリエ変換レンズ(11,12)が、前記光路に沿って、空間光変調器(4)とホログラフィック記憶媒体(6)の間に配設されることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
絞り(13)が第1および第2のフーリエ変換レンズ(11,12)の間に配置され、好適には、実質的に空間光変調器(4)のフーリエ平面内に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1に記載のシステムであって、
データ符号化されたオブジェクトビームを形成するためのオブジェクトビーム変調用空間光変調器(4’)と、
符号化されたオブジェクトビーム(3)および符号化されたオブジェクトビーム(3’)を統合して、ホログラフ(7)に書き込む手段とを有することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、
基準ビームコードパターン(15)は、空間光変調器(4)により形成された位相変調パターン、振幅変調パターン、波長変調パターン、および/または偏向変調パターンであることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1に記載のシステムであって、
検出器(5)は、ピクセルアレイ状に配列されたセンサ部品を有する検出器であり、好適には、CCDカメラ、CMOS、またはフォトであることを特徴とするシステム。
【請求項15】
ホログラフィック記憶媒体上に記録されたホログラフを読み出すための方法であって、
a)空間光変調器(SLM)を用いて形成されたコードパターンを用いて基準ビームを符号化するステップと、
b)再構築されたホログラフの画像を検出するステップと、
c)検出された画像に対する基準ビームおよびホログラフィック記憶媒体の位置ずれを特定するステップと、
d)少なくとも部分的に前記位置ずれに基づいて、空間光変調器(4)上の前記コードパターン(15)をシフト移動させるステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
空間光変調器(SLM)はピクセルアレイタイプの光変調器であって、好適にはマイクロディスプレイ、液晶ディスプレイ、またはシリコンティスプレイ上の液晶であり、
前記コードパターンをシフト移動させるステップは、コードパターンを形成するために異なるSLMピクセルを用いることにより行われることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
コードパターンは複数のコードピクセルを有し、
コードピクセルは空間光変調器のn行×m列のピクセルからなることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
コードパターンを形成するための異なるSLMピクセルを用いるステップは、異なる空間光変調器のn行×m列のピクセルを用いてコードパターンを形成するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
位置ずれを特定するステップは、性能指数を計算するステップを有することを特徴とする方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−518420(P2010−518420A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547581(P2009−547581)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000516
【国際公開番号】WO2008/095607
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(504142961)バイエル・イノヴェイション・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Innovation GmbH
【Fターム(参考)】