説明

ホログラムラベル

【課題】ホログラムラベルは、被貼着体に貼付後、その被貼着体の真正性を証明するものであるため、不正に剥離されて、真正でない他の被貼着体へ再貼付して使用されることが可能であると、その証明性を維持することができなくなるという課題を有していた。
【解決手段】ホログラムラベルを構成する透明基材の一方の面に網点状の結着層を施し、ホログラムラベルを剥そうとすると、透明基材のみが容易に剥離して、その後にその「パターン」が浮き上がるという効果を持つ、真正性を維持可能なホログラムラベルを提供可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムの貼り換えなどによる偽造、若しくは、改竄を困難とする脆性ホログラムを形成するホログラム脆性ラベルに関するものである。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、 「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
【背景技術】
【0002】
(主なる用途)本発明のホログラムラベルの主なる用途としては、偽造防止分野や意匠用途などに使用されるホログラムラベルであって、具体的には、
(1)製造メーカー純正品等、純正品の認証が意義を持つ種々の商品分野、例えば、電子機器、電気機器、コンピュータ関連製品、及び、それらの構成部品、コンピュータ関連ソフト、純正備品類(用紙やトナーなどのプリンタ消耗品等。)医薬品、医薬部外品もしくは化成品等、
(2)商品そのものが真正品であることを消費者に強く求められる分野、もしくは、ラベルを貼付することで意匠性を高めたり、商品が高価であることを示し、その商品の付加価値を高める分野など、例えば、書籍、文書、講演、演劇、映画、写真、絵画、彫刻、版画、図面、模型等もしくは、それらの編集物、又は記録媒体に記録したもの(ビデオカセット、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなど)等の著作物、所定の設定をされ、変更を防止しているROMボード(コンピューター機器、ゲーム機、遊技機等に用いられるもの。ROMとボードに渡る貼付も含む。)、時計、衣類、バッグ、宝石等宝飾品、スポーツ用品、化粧品、及びそれらの高級ブランド品等、
(3)本人確認の手段(ID証)分野、例えば、パスポート、運転免許証、保険証、会員証、身分証、住民登録証、病院カード、もしくは図書館カード等、
(4)経済秩序を保つ上で真正品であることが求められる分野、例えば、商品券、ギフト券等の金券類、もしくはプリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード等のカード類、
(5)さらには、これらのものを包装し、その包装を封印する分野、例えば、単に保管のため、もしくは郵便物や小荷物として封筒に入れたり、パッケージに入れて配達や配送をする分野、商品をパッケージに入れて販売する分野、単純に包装する分野、それらの封緘シールとして使用する分野、また、それらの説明書や効能書等にその真正性を証明するために貼付する分野等、
に関し、特に、そのホログラムラベルを巧妙に剥がして、そのものの価値を下げられたり、そのホログラムラベルを再利用されることをに配慮すべき、もしくは配慮している分野に好適である。
【0003】
(先行技術)近年、光の干渉を用いて立体画像を再生し得るホログラムの開発が進められ、このホログラムは高度な製造技術を要するとともに様々な形態、例えばラベル、シール、箔状に形成可能なことから、これを応用し偽造防止手段として、上記分野を含め、様々なものの一部に貼着して使用されている。このホログラムは、一見して本物か否かが判り、しかも上述したように製造が困難であることから、広く利用されるようになってきた。
そしてこれらは物品に貼付された後に剥がされ、悪用されることがないように支持体とホログラム層、或いはこれらの間に設けられた剥離層と支持体またはホログラム層で剥離するようにし、被着物から故意に剥離させた場合にホログラム全体が破壊されるものがある。特に、実公平5−48210号公報に開示されるホログラム脆性シールのように、支持体とホログラム形成層がパターン状剥離層を介して積層され、ホログラム形成上に反射性金属薄膜層、及び接着剤層を順次積層し、使用に際しては所要の大きさ、形状に切断し、証書や身分証明書のような偽造、変造されたくない被着体、または封書等の封印部に加圧により、必要に応じて加熱をしながら貼りつけるものがある。
このようにして一度被着体に貼りつけられたホログラムラベルは、剥がそうとすると、剥離層部と非剥離層部との境界断面でホログラムが破壊し、支持体上と被着体上にホログラムが分離して残存してしまうのでラベル全体をそつくりそのまま剥がすことができないため、他の物品にホログラムラベルを貼りかえることができず、ホログラム自体の偽造・変造の困難性により、ホログラムラベルが被着体の真正さを保証できる。
【0004】
従つて、ラベルが貼つてあつた箇所の記載事項や印影写真等を書替えるのには、ラベルの残存部分を除去する必要があり、偽造、変造が困難である。また、支持体上にはパターン状にしかホログラムが残存しない為、ラベルの貼替えは不可能であり、かつ封印部の開封は被着体にパターン状に残存したホログラムにより容易に認識できうる。
従つて、本考案のホログラムラベルは偽造されたくない被着体へ適用は勿論のこと、包装物の封印として適用でき、さらにはホログラムラベルは美麗により装飾物としても使用できる。
しかしながら、前者の全面破壊型のホログラム脆性シールは、剥がし方によってはホログラム層及び反射性薄膜層が破壊されることなく、ホログラムシール全体を完全に剥離させて、その結果再使用できることで悪用されてしまう可能性がある。そのため、ホログラム層や反射性薄膜層自体を破壊する方法として上記、実公平5−48210号公報の方法があるが、この方法ではホログラム脆性シールを貼着された状態で見るとホログラム層の上にパターン状の剥離層が設けられているため、そのパターンの存在を容易に目視により判別でき、ホログラムの再生画像の見え方に影響を与えるだけでなく、偽造防止策の存在が明らかになってしまう問題を有する。
この問題を解決するため、特開平8−152842号公報には、脆性剥離層を、反射性薄膜層と接着剤層との間に設ける等の方法も提案されているが、いずれも、ホログラム形成層の強度が大きく、基材との接着強度差や、脆性剥離性の存在程度では、ホログラム形成層そのものを破断するに至らないか、部分的に破断され、その目的を十分に達成できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5−48210号公報
【特許文献2】特開平8−152842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ラベルとしてホログラムラベルを被貼着体に貼着する際には、問題なく貼着可能であって、その被貼着体からホログラムラベルを不正に剥そうとすると、ラベル基材のみが剥がれ、その剥した痕跡として、被貼着体側に残ったもの(ホログラム形成層、反射性薄膜層、及び粘着剤層)に、「開封」等の視認可能な明確なメッセージが表示されるホログラムラベルを提供する。
本発明は上記従来の問題点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは、不正な剥離行為によるホログラムシールの貼り替えを確実に防止することが可能で、しかも、その不正を防止する「層」の存在を発見しにくいホログラムシールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、
本発明のホログララベルの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、前記ホログラムレリーフに追従するように設けられた反射性薄膜層、及び、粘着剤層が、この順序で設けられたホログラムラベルにおいて、
前記透明基材とホログラム形成層との間の少なくとも一部に、網点状の結着層を設け、前記結着層が、網点周期100μm〜300μmであって、網点率60%〜90%で形成されている領域と、網点率4%〜10%で形成されている領域とを有することを特徴とするものである。
上記第1の態様のホログラムラベルによれば、
透明基材の一方の面に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、前記ホログラムレリーフに追従するように設けられた反射性薄膜層、及び、粘着剤層が、この順序で設けられたホログラムラベルにおいて、
前記透明基材とホログラム形成層との間の少なくとも一部に、網点状の結着層を設け、前記結着層が、網点周期100μm〜300μmであって、網点率60%〜90%で形成されている領域と、網点率4%〜10%で形成されている領域とを有することを特徴とするホログラムラベルを提供することができ、ホログラムラベルを剥がそうとした際に、透明基材のみが剥がれる領域と、透明基材、ホログラム形成層、反射性薄膜層、及び粘着剤層が一体となって剥がれる領域が、明確に分離可能な、ホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルの第2の態様は、
前記結着層の屈折率と、前記ホログラム形成層の屈折率が、同一であるか、または、その差が0.1以下であることを特徴とするものである。
上記第2の態様のホログラムラベルによれば、
前記結着層の屈折率と、前記ホログラム形成層の屈折率が、同一であるか、または、その差が0.1以下であることを特徴とする第1の態様のホログラムラベルを提供することができ、第1の態様の効果に加えて、前記二つの領域の存在を目立たなくすることが可能なホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルの第3の態様は、
前記結着層の厚さが、0.1μm〜0.6μmであることを特徴とするものである。
上記第3の態様のホログラムラベルによれば、
前記結着層の厚さが、0.1μm〜0.6μmであることを特徴とする第1の態様、または、第2の態様のホログラムラベルを提供することができ、前記二つの領域の存在をさらに目立たなくすることが可能なホログラムラベルを提供することができる。
【0008】
すなわち、ホログラムラベルは、透明基材の一方の面に、結着層、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、反射性薄膜層、粘着剤層がこの順序で形成され、上記したホログラムラベルの用途において、所望の被貼着体の一部や、封筒等の封緘部分等に貼着される。
このホログラムラベルを、その被貼着体、もしくは、封緘部分から、貼付した痕跡を残さず、ホログラムラベルも完全な元の状態で剥して、不正に準備した別の被貼着体に貼り替えたり、封筒や箱を開封して内容物を取り替えた後、あたかも、その被貼着体や封筒や箱の内容物が本物であると主張したり、逆に、真正なホログラムラベルを剥したものは、本物でないとして、その価値を低下させるなどの不正行為が後をたたない。
これらの不正行為を防止するためには、このような不正行為を行った際に、ホログラムラベルそのものが破断することが望ましく、「部分的に欠けた発生しているホログラムラベル」や、「ホログラム再生像に大きな歪みが発生してる状態」を目視で確認するだけで、容易に不正行為が行われたと判断できる。
しかし、実際には、ホログラムラベルに用いられている基材及び、ホログラム形成層そのものの破断強度は非常に大きい(非常に強靭な膜という意味。)上、この基材とホログラム形成層との厚さの比が、例えば、20対1(基材50μm、ホログラム形成層2.5μmの場合。)と非常に大きいため、ラベルを剥がそうとする動作において、この基材とホログラム形成層がなかなか分離せず(分離するきっかけが無く、)、一体となって動く(変形する)ため、この基材とホログラム形成層との間では剥離が発生し難く、高い確率で、粘着剤層と被貼着体との間に、「剥離」が始まってしまう。
すなわち、この場合には、容易にホログラムラベル全体を被貼着体から剥離することが可能であって(粘着剤層の表面の極く一部は被貼着体に捕らえられるが、僅かであり、ラベル全体には影響がない。)、しかも、ホログラム形成層を支持している、引張り強度や、破断強度等の物理特性に非常に優れる「基材」が、ホログラム形成層と一体となって動くため、ホログラム形成層に記録されたホログラムレリーフの変形(伸縮)をほぼ100%抑制し、ホログラムラベルをほぼ完全な形で手に入れることが可能となる。
【0009】
さらには、こうして入手したホログラムラベルの粘着剤層のみを、適宜な溶剤等を用いて溶解除去(ホログラム形成層が基材に支持されているため、このような処理が容易となっている。)し、ホログラム形成層上(もしくは、反射性薄膜層上)のホログラムレリーフを剥き出しとし、この基材とホログラム形成層の積層体を、ホログラムレリーフ複製用原盤として用いて、大量の偽造ホログラムを作製することが可能(ホログラム形成層が基材に支持されているため、複製における高い圧力負荷や、加熱による熱膨張負荷に耐えるものとなっている。)となる。
このような不正行為を阻止するためには、
ラベルを剥がそうとする動作において、ホログラム形成層のホログラムレリーフを支持している有一の層(ホログラムレリーフが伸縮しないように固定しているという意味。)である「基材」のみが、速やかにが剥がれることが必須である。
すなわち、「基材」のみが、速やかにが剥がれた場合には、被貼着体上に、数μm厚さのホログラム形成層(比較的強靭ではある。)と、非常に薄い層である反射性薄膜層(脆く、破断強度に全く影響しない。)及び、10μm程度の脆弱な層である粘着剤層のみが残ることとなり、残った層にわずかな応力を加えただけで、ホログラムレリーフに大きな歪みが生じ、もはや、残った層を、ホログラム形成層に何らの損傷を与えることなく被貼着体から剥すことは不可能な状態とすることができる。
このような「基材」のみが速やかに剥がれるホログラムラベルを実現するためには、ホログラム形成層に用いる樹脂を、「基材」である透明基材と接着力の小さいものとする方法が考えられる。
例えれば、「ホログラムラベルの基材」である透明基材と、ホログラム形成層用の樹脂との接着強度(もしくは、2層間の剥離強度)を、ホログラムラベル粘着剤と被貼着体表面との接着強度(もしくは、その剥離強度)の1/10程度とし、被貼着体に貼着したホログラムラベルを被貼着体から剥そうとしたときに、その接着強度差によって、透明基材のみが剥がれるように設計することができる(例えば、JIS Z0237で規定する180度剥離試験にて、前者が100g/25mmであり、後者が1kg/25mmとする。)が、これだけの「差」を設けても、「透明基材」のみを剥すことは容易ではない。
【0010】
これは、一旦、被貼着体に貼着したホログラムラベルに対して、このホログラムラベルを剥そうとする「力」が、透明基材とホログラム形成層の界面を開く方向(ラベルに垂直な方向を意味する。)には働かず、透明基材とホログラム形成層の界面をずらす方向(ラベルに水平な方向を意味する。)に働くため、比較的硬度の大きいホログラム形成層と強靭な透明基材との界面より、反射性薄膜層と内部凝集力の小さい粘着剤層との界面で「ズレ」が発生し、結果として、上記のような大きな剥離力差を設けたとしても、被貼着体と粘着剤層との間で、ラベルの剥離が始まってしまうこととなる。
そこで、本発明のホログラムラベルは、透明基材の一方の面に、網点状の結着層、前記結着層を覆うように設けられた、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、前記ホログラムレリーフに追従するように設けられた反射性薄膜層、及び、粘着剤層が、この順序で設けられたホログラムラベルであって、
前記結着層が、網点周期100μm〜300μmにおいて、網点率60%〜90%で形成されている領域と、網点率4%〜10%で形成されている領域とを有することを特徴とするホログラムラベルとした。
すなわち、透明基材とホログラム形成層との接着性は比較的小さいものとした上で、透明基材との密着性に優れ、ホログラム形成層との密着性にも優れる、「結着層」を、網点周期100μm〜300μmにおける、「網点」として設けると同時に、「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易に発生すべき領域」では、その網点率を4%〜10%として、いわゆる「小さい点」状とし、
また、「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易には発生すべきでない領域」(透明基材とホログラム形成層との接着性を確保すべき領域。)では、その網点率を60%〜90%として、密着性のある「結着層」の存在する面積を大きくした領域とする。
【0011】
こうすることで、上記の網点率4%〜10%の領域、すなわち、「小さい点」状でのみ透明基材とホログラム形成層と接着している領域に、上記の「界面をずらす方向」に応力を加えると、その応力が「小さい点」における、その「小さい点」状の結着層と、その「小さい点」を覆うホログラム形成層との界面、特に、その「小さい点」の側面において、界面剥離を発生させようとする力が大きく働き、この部分を「きっかけ」として透明基材とホログラム形成層間の剥離が拡がって行くこととなる。
このような「きっかけ」の発生度合いは、この円筒状の「小さい点」が細長いものであればあるほど、大きいものとなるため、上記した網点率を10%以下とする。
また、網点率を4%未満とすると、「小さい点」の側面の面積が小さくなりすぎ、上記した効果を発揮し難くなる。
その上、網点率を4%未満とすると、各種印刷方式の製版処理工程において、その再現性が低下し、実際の印刷後に、全く網点が形成されなる現象(「網点とび」とよばれる。)が発生するため、上記の網点率は4%以上とする。
上記したように、ホログラムラベルを不正に剥そうとするときには、一旦、網点率4%〜10%の領域において開始した(ホログラムラベルの端部は、必ず、この領域とする。)、透明基材とホログラム形成層との界面剥離が、同一領域内を伝播(透明基材を、被貼着体表面に対して90度の方向、または、180度の方向に引張りあげることとなるため、次々に「小さい点」での接着を破壊していくことを意味する。)し、その界面剥離が、網点率60%〜90%の領域に到達したとき、この二つの領域の境界線上において、この界面剥離の伝播が「止まる」必要がある。
しかも、その境界線においは、この伝播を止めるだけでなく、ホログラムラベルを剥そうとする応力を、被貼着体表面に垂直な方向へ転換し、その垂直方向の力によって、少なくともホログラム形成層そのものを破断(分断)させなければならない。
(ここで、ホログラム形成層、反射性薄膜層及び粘着剤層、全てを一斉に破断(分断)することができると、不正行為の痕跡がより鮮明となり、好ましいことは言うまでもない。)
【0012】
従って、ホログラム形成層の破断強度よりも、この「境界線における結着層」によって発揮される「透明基材とホログラム形成層との接着強度」が、少なくとも「大きいもの」となっている必要がある。
この垂直方向の力が加わる状況を以下にさらに詳しく説明する。
もしも、この「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易には発生すべきでない領域」の結着層が、ベタ状(網点率100%を意味する。)に形成されていた場合には、この境界線の形は、断面で観察すると、「一つの段差」が存在するのみである。
この場合には、上記したホログラム形成層を破断する力が、全てこの「一つの段差」に集中する。言い換えると、この「一つの段差」のみで、すなわち、水平方向に伝播してきた界面剥離を、この「一つの線」で受け止め、この「一つの線」で、ホログラム形成層を破断しなければならない。従って、破断を発生させるタイミングが一つしかないことになる。
しかも、この水平方向に伝播してくる界面剥離の方向が、まさにこの段差に向かって垂直であると、そのラベルを剥そうとする応力すべてが、この段差に伝わり、そのまま破断する力へと変換されるが、もしも、この界面 剥離の方向が、この一つしかない段差に対して斜め方向であったとすると、その応力は分散され、応力の一部のみで、ホログラム形成層を破断しなければならなくなる。そして、場合によっては、破断が発生せず、結着層とホログラム形成層との間に剥離が発生し、今度は、この界面を 界面剥離が進行することとなる。すなわち、この場合には、ホログラムラベルの透明のみが剥がれ、ホログラム形成層、粘着剤層が何らの変形も受けず、そのまま被貼着体に残ることとなる。
【0013】
すなわち、不正行為そのものは阻止できるものの、不正行為をした痕跡を残すことができないものとなる。しかも、一旦、剥離した透明基材に、強力な透明接着剤を塗布しなおして、その残った部分に貼り付けて、その強固な接着力の力を用いて、容易にホログラムラベル全体を、何らの損傷をも与えずに剥離することに成功する可能性も残す。
そこで、この「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易には発生すべきでない領域」、すなわち、透明基材とホログラム形成層との接着性を確保すべき領域の結着層を、網点率60%〜90%で形成した領域とすると、
上記した「境界線」は、単純な「一つの線」とはならず、また、その境界線の断面は、「一つの段差」とはならない。
すなわち、その「境界線」は、100μm〜300μmの間隔(網点周期)で、「不連続な曲線(円弧が飛び飛びに現れる。)」となり、その「境界線の断面」は、「不連続に続く円筒側面」となっている。
従って、このような「境界線」に上記の剥離界面が突入した際には、これらの多数の円筒の側面上のあらゆる箇所において、水平方向に伝播する界面剥離の力を、垂直方向に向かう力へと転換する現象が発生することとなる。
従って、この「境界線」において、確実にホログラム形成層の破断(分断)を生じさせることが可能となる。
従って、この結着層を網点率100%(ベタ印刷)とせず、90%以下とする。
この網点率が90%を越えると、上記した円筒状側面は十分に存在するものの、隣同士の網点の側面が近くなりすぎ、その二つの網点の間の領域が小さくなりすぎて、水平応力を垂直応力へ変換する「境界線」が、ほぼ「一つの線」に近づき、その効果を失ってしまう。
【0014】
また、この結着層の網点率を、60%未満とすると、せっかく、水平方向の応力をほぼ100%垂直方向へ転換できたとしても、透明基材とホログラム形成層を接着させる強度(結着層を、「2層間接着剤」と位置づけ、透明基材とホログラム形成層との、2層間の剥離強度を測定したときの、「剥離強度」を意味する。)そのものが低下してしまい、不正剥離防止効果に乏しいホログラムラベルとなってしまう。
そして、透明基材の剥離が「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易には発生すべきでない領域」から、「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易に発生すべき領域」へと移行していく際には、「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易に発生すべき領域」における透明基材とホログラム形成層との剥離強度が、もはや粘着剤の被貼着体との接着強度からは遥かに小さいものへと急変するため、この境界線において、少なくともホログラム形成層が分断され、それ以降は、透明基材とホログラム形成層間の界面剥離が再び拡大していく。
さらには、この二つの領域における透明基材とホログラム形成層とを結びつける強さは、網点%を増加させると、単調曲線的に増加するため、この調整が非常に容易となるとともに、同一網点%において、その強さが安定して再現されるため、このようなホログラムラベルは、不正防止用途として非常に優れるものとなる。
この透明基材の一方の面に形成する「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易には発生すべきでない領域」は、以上の説明にあるように、不正剥離行為を行った際に、剥した透明基材側にホログラム形成層が分断付着する領域を意味しているため、この「領域」を、視認可能な所望のパターン状(文字、図形、記号等、視認可能な表示であればいずれも使用できる。代表的には、ラベルを剥離した証拠を示すという意味で、「開封」等の文字表示をするため、「開封」文字部分をこの「領域」とし、それ以外の部分を、「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易に発生すべき領域」とする。
【0015】
従って、上記の「開封」等文字表示領域が、ホログラムラベルの中央に位置し、それ以外の領域が、ホログラムラベルの端部(ホログラムラベルを所望のラベルサイズに加工した際のそのラベル周辺部を意味する。すなわち、ラベル抜き加工において、その抜き刃が切り込んだ面を意味する。)まで拡がっているデザインが好適である。
もちろん、「開封」等文字表示を天地左右に繰り返し設けて、敢えてラベル加工位置を固定せず、ランダム位置とし、ラベル加工をし易くしたり、このランダム位置そのものが偽造防止効果を持つようにしてもよい。
また、ラベル加工においては、その「抜き刃」として、ゼンマイ刃や、トムソン刃、彫刻刃、腐食刃等を、抜き加工方式は、平抜き、ロータリー抜き等を、刃の材質は、超硬合金(硬度80HRA以上、JIS・CIS記号VM−10〜VM−50等、VC−60〜VC80等。)等を用いることができるが、さらに、レーザー加工、水圧加工等により加工することもできる。
平抜き等の物理的に押しつぶす加工方法を用いる場合は、ホログラムラベルの透明基材側から加工すると、透明基材の「バリ」が発生しやすく、その「バリ」が、結着層部分に覆いかぶさり、上記した界面剥離を阻害することがある。
従って、ホログラムラベルの粘着剤層側から抜き加工を行い、ラベル端部にある、上記の「小さいな点」である結着層部分を部分的に破壊しておくことで、上記の界面剥離を発生しやすくしておくことも好適である。
レーザー加工や、水圧加工においては、このような差が発生しないが、ラベル端部の界面剥離をより剥離しやすくするため、結着層にレーザー照射によりその結着力が低下する等の光感応性を持たせる等の工夫は好適である。
粘着剤層と被貼着体表面との接着強度は、その適用する被貼着体表面により左右されるが、通常は、0.1kg/25mm〜3.0kg/25mm(JIS Z0237で規定する180度剥離試験にて。)であるため、透明基材と結着層との間、及び、結着層とホログラム形成層との間の接着強度(以下、2層間の剥離強度ともいう。)、もしくは、少なくとも、その内、小さい方の接着強度は、その接着強度に対して、2倍〜5倍であることが好適である。
2倍未満であると、上記したような「開封」等文字表示が安定して発生せず、5倍を超えると上記したような「開封」等文字表示領域以外の領域で所望の界面剥離が発生し難くなり、不正防止効果が不十分となる。
【0016】
本発明のホログラムラベルで使用される透明基材は、厚みを薄くすることが可能であって、十分な透明性と機械的強度を有し、結着層を含むホログラムラベルを製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性および耐熱性を有するものを用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)等の、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを用いることができる。
透明基材の厚さは、通常5〜250μmであるが、ラベルとしての取り扱い適正から25〜100μmとすることが望ましい。
結着層には、透明基材及び、ホログラム形成層との密着性に優れ、上記したような接着強度を有するものを用いるが、材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
結着層形成方法も、グラビア印刷等のコーティング方式や、オフセット印刷方式、シルクスクリーン方式、インクジェット方式や、さらに、精密加工が可能なフォトレジスト処理方式等を用いることができるが、網点%の再現性が高く、網点形状をより円柱形に近いものとするため、ステンレススクリーン印刷方式や、フォトレジスト処理方式が好適である。
この結着層を覆うようにして、透明基材上にホログラム形成層を設ける。
本発明のホログラム形成層を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができるが、このとき、結着層との密着性が高く、且つ、透明基材との密着性が低い材料を採用する。
この目的で、上記樹脂等に、離型剤として、シリコーン樹脂や、フッ素樹脂等を混合したり、共重合体として導入したり、さらには、微粒子シリコーンパウダー、シリコーンオイルや、微粒子フッ素パウダー等を混入させてもよい。
【0017】
これらの離型剤の配合割合は、上記樹脂に対して、1%〜5%とする。
ホログラム形成層の厚さは、不正行為に対して、速やかに破断(分断)することが望ましく、ホログラムレリーフを精密に再現できる範囲において、薄ければ薄いほど望ましく、ホログラムレリーフの凹凸深さ、0.1μm〜数μmに対応して、0.2μm〜3.0μmとする。特には、0.2μm〜1.0μmが好適である。
ホログラム形成層に、意匠性が高く、もしくは、偽造防止性に優れる、適宜なレリーフホログラムのホログラムレリーフを形成した後、ホログラムレリーフに接して、且つ、追従するように物理的薄膜形成方法や、化学的薄膜形成方法を用いて、各種金属や、その酸化物、もしくは、窒化物等の反射性薄膜層を形成する。金属光沢のある反射性薄膜層を部分的に設けたり、透明性のある金属化合物からなる反射性薄膜層を設けた場合は、ラベル貼着後にそのラベルに覆われた被貼着体上の画像などがホログラムを通して観察できるので好ましい。
その厚さは、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるようにする。
反射性薄膜層を形成し、さらにその上に粘着剤層を形成して、本発明のホログラムラベルを作製することができる。
このホログラムラベルを所望の被貼着体上の適宜な位置に貼付した後、このホログラムラベルを剥そうとすると、透明基材が容易に剥がれ、被貼着体側にホログラム形成層と反射性薄膜層及び粘着剤層が残り、ホログラム形成層のそのパターンを浮き上がらせ(表示して)、不正なホログラムラベルの剥し行為が行われたことを明示する。
【0018】
この反射性薄膜層の上に、粘着剤層を設ける。
粘着剤層としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体等の、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤も用いることができる。
粘着剤層の塗工量は、乾燥後の厚さ8μm〜30μmが一般的であり、グラビアコート等の従来公知の方法で、塗布し乾燥して粘着剤層を形成する。
この粘着剤層の上に、ホログラムラベルの取り扱い適正を向上するための、各種離型紙(セパレーターともいう。)を貼付けてもよい。
このホログラムラベルを、偽造防止性付与が必要とされる被貼着体に貼着した後、このホログラムラベルを剥そうとすると、透明基材が容易に剥がれ、被貼着体側にホログラム形成層と反射性薄膜層及び粘着剤層が残り、「開封」等のパターンを浮き上がらせ(表示して)、ホログラムラベルの不正な剥し行為が行われたことを明示する。
上記の結着層に用いる樹脂等において、その樹脂等の屈折率と、ホログラム形成層の屈折率を、同一とすることで、ホログラム形成層上に、結着層からなる網点率60%〜90%で形成されている領域と、網点率4%〜10%で形成されている領域が存在しても、それらの区別がつかず、それらの存在を目視では、判読し難くすることができる。
特に、最も小さいサイズでも、20μm正方形(100μm正方形の中に、4%網点を形成した場合に相当する。)であるため、この網点が周期的に並んでいても、光の回折現象等は発生せず、特に「目立つようなこと」は無いが、結着層に用いる樹脂等の屈折率と、ホログラム形成層の屈折率とが、0.1を超えて異なると、結着層のパターンが透明基材の上から、これらの差が、しっかり視認できてしまうようになる。
このため、その屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が、0.1以内の樹脂を選定し用いる。
【0019】
結着層として用いる樹脂としては、上記した材料に加え、
ポリウレタン樹脂(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、メラミン樹脂(n=1.56)、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリカーボネート(n=1.59)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)等、もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
また、ホログラム形成層として用いる樹脂としては、上記した材料に加え、
ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、フッ素樹脂(n=1.32)、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、メラミン樹脂(n=1.56)、ポリカーボネート(n=1.59)、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂(n=1.60)等、もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
しかも、その結着層の厚さは、上記したように、透明基材とホログラム形成層との間に形成された「円柱形に近いもの」の、その「高さ」に相当する。
従って、この結着層の厚さを厚くすると、その「円柱形の高さ」が高いものとなり、隠し文字等である「開封」等の文字が、ホログラムラベルを被貼着体に貼着している状態(透明基材を剥していない状態。)においても、視認できるものとなる。
【0020】
この文字等が剥す前から視認できることは、偽造防止対策上、好ましくなく、そのため、結着層の厚さを、0.1μm〜0.6μmと低くし、その「円柱形」の高さを低くする。
この厚さが0.1μm未満となると、上記した「円柱形」の側面が小さいものとなり、その側面の効果が不十分となる。また、この厚さが0.6μmを超えると、その領域の差が目視にて、視認しやすくなってしまう。
但し、スクリーン印刷や、フォトレジスト処理による結着層形成方法を用いず、コーティング方式、もしくは、印刷方式等を用い、結着層を薄く形成するために、コーティング用インキ、もしくは、印刷用インキとして、溶剤等で十分に希釈し、固形分を小さくすると、乾燥後の結着層の一つ一つの網点の形状が、上記したような「円柱形」に近づかず、なだらかな丘状となってしまい、さらには、隣接する同士の網点同士が繋がって、網点として機能しなくなる。従って、これらインキの固形分は、10%〜30%とする。
結着剤層は、透明基材とホログラム形成層とを部分的に固着し、その両層に「ズレ」応力が負荷されたときに、その固着部分の周囲に、強い「ひずみ」を発生させ、この「ひずみ」が両層の間に空隙を生み出すものであるため、この基点となる結着層高さは、ホログラム形成層厚さに比べて、比較的低い方が好ましく、ホログラム形成層の1/2〜1/5程度が好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ラベルとしてホログラムラベルを被貼着体に貼着する際には、問題なく貼着可能であって、その被貼着体からホログラムラベルを不正に剥そうとすると、ラベル基材のみが剥がれ、その剥した痕跡として、被貼着体側に残ったものに、「開封」等の視認可能な明確なメッセージが表示され、しかも、その不正を防止する層の存在を発見しにくいホログラムラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【図1】本発明の一実施例を示すホログラムラベルAの断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示すホログラムラベルAを剥した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(透明基材)
本発明のホログラムラベルで使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムラベルAを製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。(図1参照。)
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材1の厚さは、通常5〜250μmであるが、ラベルとしての取り扱い適正から25〜100μmとすることが望ましい。
もちろん、環境影響を配慮して、透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシートを使用することもでき、化学合成系として、ラクトン系樹脂:εーカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、βープロピオラクトン、γーブチロラクトン、δーバレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体またはこれら2種以上のモノマーの共重合体、これらの混合物、ポリカプロラクトン、もしくは、ポリブチレンサクシネート系樹脂:ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネートとポリカプロラクトンとの混合物、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンサクシネート・アジペートとの混合物、ポリブチレンサクシネート・アジペートとポリ乳酸との混合物、もしくは、ポリ乳酸、ポリ乳酸とD−乳酸との混合物など、もしくは、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂、例えばコハク酸とブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせや、シュウ酸とネオペンチルグリコール、ブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせなど、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものが好適である。
また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など:澱粉脂肪酸エステル、澱粉キトナン・セルロースなど、微生物生産系として、ポリヒドロキシブチレートや、ポリエステル系:炭素源として3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、γ―ブチロラクトンをベースとするP(3HB−CO―4HB)、炭素源としてプロピオン酸、吉草酸をベースとしたP(3HB−CO―3HV)などが好適である。
【0024】
(結着層)
本発明の網点状の結着層(2、2´)(図1参照。)、すなわち、「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易には発生すべきでない領域」(網点周期100μm〜300μmにおいて、網点率60%〜90%で形成されている領域)結着層2、及び、「透明基材とホログラム形成層との剥離が容易に発生すべき領域」(網点周期100μm〜300μmにおいて、網点率4%〜10%で形成されている領域)結着層2´に用いられる結着層(2、2´)としては、透明基材1及び、ホログラム形成層3との密着性に優れるものを用いるが、材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
特に、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させたり、各種の硬化触媒、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるための各種開始剤等を配合したものとし、下記するホログラム形成層を形成後も、この架橋や硬化反応をさせて、ホログラム形成層との接着強度を高くすることができるものも、透明基材とホログラム形成層との接着性が低い材料を用いたとき、その両層との接着強度を確保するために、より好適である。
透明基材1と結着層(2、2´)との間、及び、結着層(2、2´)とホログラム形成層3との間の接着強度は、粘着剤層5と被貼着体表面(図示せず。)とのその接着強度に対して、2倍〜5倍とする。
結着層(2、2´)形成方法としては、種々のコーティング方法及びパターン形成方法を用いることができるが、網点%の再現性が高く、網点形状をより円柱形に近いものとするため、ステンレススクリーン印刷方式や、フォトレジスト処理方式を用いる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種もしくは2種以上を使用でき、各種イソシアネート樹脂により架橋したものを用いることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いることができる。
【0025】
(ホログラム形成層)
本発明のホログラム形成層3を構成するための透明な樹脂材料としては、上記した透明基材と接着性を、想定する被貼着体と粘着剤層との接着性に比較して小さいものとできる、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
【0026】
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層3を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
【0027】
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、0.2μm〜3.0μmとする。特には、0.2μm〜1.0μmが好適である。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
さらに、透明金属化合物薄膜の場合は、その薄膜の上下の面が、同一レリーフ形状であり且つ、その面と面の距離(すなわち膜厚さ)が均一であればあるほど、再現もしくは再生強度が大きくなる。また、レリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再現もしくは再生時のノイズとなり、画像を不鮮明にする要因となる。
【0028】
レリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記ホログラム形成層3上に、もしくは、下記する反射性薄膜層4上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
透明基材1上のホログラム形成層3をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、透明基材1全体を加熱するのではなく、ホログラム形成層3面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
【0029】
(反射性薄膜)
本発明のホログラムラベルAでは、ホログラム形成層3の上に形成されているホログラムレリーフに接して、且つ、追従するように反射性薄膜層4を形成する。この薄膜は、入射した光を反射する必要があるため、ホログラム形成層3よりも高い屈折率を有する薄膜であれば、特に限定されない。(図1参照。)
反射性薄膜層4としては、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、又は透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層を部分的に設けたり(図示せず。)、透明反射層を設けた場合は、ラベル貼着後にそのラベルに覆われた被貼着体上の画像などがホログラムを通して観察できるので好ましい。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム形成層3よりも光屈折率の高い薄膜、例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなどが例示できる。またアルミニウムなどの一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシート1の一方面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。特にCVD法はホログラム形成層3への熱的ダメージが少ない。また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、ほぼ20nmが透明性が無くなり全反射性を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度・真空度等の形成条件により異なる。
【0030】
(粘着剤層)
粘着剤層5としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。(図1参照。)
さらに、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良く、グラビアコーティング方式や、シルクスクリーン方式等の公知の方法で、薄膜形成層4上に設けられ、本発明のホログラムラベルAとする。(図1参照。)
以上の粘着剤の種類や、塗工量は、透明基材1、結着層(2、2´)、ホログラム形成層3及び反射性薄膜層4上に粘着剤層5を形成する際に、用いられる被貼着体(図示せず。)との剥離強度が、透明基材1と結着層(2、2´)、及び、ホログラム形成層3と結着層(2、2´)との間、もしくは、少なくとも、その内、小さい方の剥離強度の内、小さい方の大きさに対して、1/2〜1/5となるように選定する。
粘着剤層5と被貼着体表面との接着強度は、その適用する被貼着体表面により左右されるが、0.1kg/25mm〜3.0kg/25mm(JIS Z0237で規定する180度剥離試験による。)とする。
このホログラムラベルAを、偽造防止性付与が必要とされる被貼着体(図示せず。)に貼着した後、このホログラムラベルAを剥そうとすると、透明基材1が容易に剥がれ、被貼着体側に、結着層2´の一部、ホログラム形成層3の一部、反射性薄膜層4の一部及び、粘着剤層5の一部が残り、「開封」等のパターンを浮き上がらせ(表示して)、ホログラムラベルAの不正な剥し行為が行われたことを明示する。
このとき、透明基材1側には、「開封」等のパターン状に、結着層2(及び、結着層2´の一部。)、ホログラム形成層3の部分、反射性薄膜層4の部分及び、粘着剤層5の部分が付着しており、もはや、もとのホログラムラベルAに復元不可能な状態となっている(図2参照。)
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
透明基材1として、38μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その一方の面に、下記組成の結着層2を、ステンレスシルクスクリーン方式を用いて、結着層が、網点周期200μmとし、網点率70%で形成されている領域(結着層2)と、網点率8%で形成されている領域(結着層2´)を厚さ、2.0μmで設け、これを乾燥温度80度にて60分乾燥した。
このとき、網点率70%で形成されている領域2で、タテ・ヨコ10mm×10mmサイズで「開」「封」の文字の画線部を埋めたものを、縦横連続して形成し、網点率8%で形成されている領域2´で、その文字画線部を除く領域を埋めた。
透明基材1と、結着層(2,2´)との剥離強度は、2.5kg/25mmとした。
〈結着層組成物〉
ポリエステル樹脂 30部
塩ビ−酢ビ共重合体 10部
イソシアネート 0.3部
トルエン 30部
酢酸エチル 20部
エチルセルソルブ 10部
その上に、下記組成の、ホログラム形成層3を厚さ3.0μmで形成した後、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラムを備えたNi原版を用意し、上記したホログラム形成層3に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分)にてホログラムレリーフをホログラム形成層3上に形成した。
【0032】
このとき、ホログラム形成層3と、結着層(2,2´)との剥離強度を、結着層(2、2´)に残存しているイソシアネートの硬化を促進することにより大きくし、1.5kg/25mmとした。また、透明基材1と、ホログラム形成層2とが、直接、接している場合の剥離強度は、50g/25mmであった。
〈ホログラム形成層組成物〉
アクリル樹脂 30部
シリコン樹脂 5部
トルエン 15部
イソプロピルアルコール 30部
酢酸エチル 20部
次に、アルバック社製真空蒸着機にて、そのホログラムレリーフ面に接して、且つ、追従するように200nm厚さのアルミニウム薄膜からなる反射性薄膜層4を形成した。
このアルミニウム薄膜形成面に、下記組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が20μmになるように、塗工し70℃で乾燥させて、粘着剤層5を形成し、20mm×40mmのサイズにカットし、実施例1のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
・<粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
このホログラムラベルAを、重要書類を入れた封筒(図示せず。)の封緘用に所定の圧力をかけて貼付し、24時間放置した後、目視にて観察したところ、結着層の二つの領域(2、2´)に光学的な差は認識できず、「パターン状」の文字があることは確認できなかった。このとき、ホログラムラベルAと、その封筒との粘着剤層5による接着強度は、500g/25mmであった。
そのホログラムラベルを剥そうとしたところ、透明基材1及び、その透明基材1に付着した、縦横に連続した、「開」「封」の文字状の、ホログラム画像(結着層2、結着層2´の一部、ホログラム形成層3、反射性薄膜層4及び粘着剤層5からなる。)が、容易に剥離し、その剥離後には、その画像部分がスッポリと抜けた、ホログラム画像(結着層2´、ホログラム形成層3、反射性薄膜層4及び粘着剤層5からなる。)が、その封筒上に残っていることを確認できた。(図2参照。)
このことから、ホログラムラベルAは、高い意匠性と開封防止効果を有するものと思われた。
【0033】
(実施例2)
アルバック社製電子線加熱方式真空蒸着機を用いて、TiOx薄膜層40nmを形成して、反射性薄膜層4とすること、及び、封緘する封筒にデザインが印刷されていること以外は実施例1と同様とし、実施例2のホログラムラベルA(透明なホログラムラベル)を得た。(図1参照。)
実施例1と同様に評価したところ、透明なホログラムラベルの中の「パターン状」の文字部分と、それ以外の部分において、光学的な差はなく、透明なホログラムラベルを通して、封筒のデザインが鮮明に確認できたことに加えて、実施例1と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
(実施例3)
透明な基材1として、生分解プラスチックである東セロ製パルシール厚さ40μmを使用する以外は、実施例1と同様とし、実施例3のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同様の良好な結果が得られ、廃棄時には、環境にやさしいものとなると推定された。(図2参照。)
(実施例4)
下記組成の結着層(2,2´)及びホログラム形成層3を用いたこと以外は、実施例1と同様として、実施例4のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
〈結着層組成物〉
ポリエステル樹脂(n=1.60) 30部
塩ビ−酢ビ共重合体 10部
イソシアネート 0.3部
トルエン 40部
酢酸エチル 20部
〈ホログラム形成層組成物〉
ポリウレタン樹脂(n=1.60) 30部
トルエン 20部
イソプロピルアルコール 30部
酢酸エチル 20部
実施例1と同様に評価したところ、結着層の二つの領域(2、2´)における光学的な差が、全く認識されないものとなったことに加え、実施例1と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
【0034】
(実施例5)
下記組成の結着層(2,2´)及びホログラム形成層3を用いたこと以外は、実施例4と同様として、実施例5のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
〈結着層組成物〉
ポリエステル樹脂(n=1.60) 30部
塩ビ−酢ビ共重合体 10部
イソシアネート 0.3部
トルエン 40部
酢酸エチル 20部
〈ホログラム形成層組成物〉
ポリウレタン樹脂(n=1.60) 30部
シリコン樹脂(n=1.50) 5部
トルエン 20部
イソプロピルアルコール 30部
酢酸エチル 20部
実施例4と同様に評価したところ、実施例4と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
(実施例6)
結着層(2、2´)を厚さ、0.5μmで設け、これを乾燥温度50度にて、乾燥時間を3時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
実施例1と同様に評価したところ、結着層の二つの領域(2、2´)における光学的な差を注意深く見出そうとしても、見い出すことができなかったことに加え、実施例1と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
【0035】
(比較例)
(比較例1)
結着層を設けないこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1のホログラムラベルを得た。
このホログラムラベルを実施例1と同様に評価したところ、透明基材1が容易には剥がれず、粘着剤層5から剥離し、剥離の途中から透明基材1とホログラム形成層3との間に少し空隙が発生したに留まった。
従って、このホログラムを丁寧に剥がせば、不正に剥すことも可能であると思われた。
【符号の説明】
【0036】
A ホログラムラベル
1 透明基材
2 結着層が、網点周期100μm〜300μmにおいて、網点率60%〜90%で 形成されている領域
2´ 結着層が、網点周期100μm〜300μmにおいて、網点率4%〜10%で形 成されている領域
3 ホログラム形成層
4 反射性薄膜層
5 粘着剤層
6 ホログラムラベルを剥離した際の透明基材側の部分
7 ホログラムラベルを剥離した際の被貼着体側に残ったホログラムラベルの部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の一方の面に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、前記ホログラムレリーフに追従するように設けられた反射性薄膜層、及び、粘着剤層が、この順序で設けられたホログラムラベルにおいて、
前記透明基材と前記ホログラム形成層との間の少なくとも一部に、網点状の結着層を設け、前記結着層が、網点周期100μm〜300μmであって、網点率60%〜90%で形成されている領域と、網点率4%〜10%で形成されている領域とを有することを特徴とするホログラムラベル。
【請求項2】
前記結着層の屈折率と、前記ホログラム形成層の屈折率が、同一であるか、または、その差が0.1以下であることを特徴とする請求1に記載のホログラムラベル。
【請求項3】
前記結着層の厚さが、0.1μm〜0.6μmであることを特徴とする請求項1、または、2記載のホログラムラベル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−93462(P2012−93462A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239141(P2010−239141)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】