説明

ホログラム記録媒体及びホログラム記録再生装置

【課題】カートリッジに収納できるホログラム記録媒体自体の記録容量をできるだけ多くすると共に、連続的な情報の記録再生に適したホログラム記録媒体を提供する。
【解決手段】本発明によるホログラム記録媒体は、媒体の外形およびその情報記録領域が方形状をなし、回転中心部を有することを特徴とする。そして、この回転中心部には、ホログラム情報記録再生装置に備わるスピンドル部品と係合する係合部を備え、媒体自体は記録再生の位置出し時にのみ回転し、情報記録再生時には静止する。また、このホログラム記録媒体は、媒体表面に記録再生の位置出し用情報を有し、この位置出し用情報は回転中心部の中心と同心の円周状に設けられ、角度の基準位置を示す基準位置情報とこの基準位置からの角度が認識可能なように設けられた相対角度位置情報とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホログラム記録媒体、及びそれに対して情報の記録再生を行うホログラム記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスク等の記録媒体に記録される情報の量は増大化の一途を辿っており、カートリッジ当りの容量はより大きいものが好まれる状況にある。また、記録再生装置を複数台組み合わせ、ライブラリ形式で記録再生装置の台数より更に多い複数巻のカートリッジに記録再生を行う装置が出現して来ている。これらライブラリ装置は従来テープ媒体を主に用いているが、テープ媒体の性質上データへのアクセスに時間がかかるという課題がある。一方、アクセス性に優れるCD、DVD、MOなど既存のデータ記録媒体は、コンピュータテープカートリッジとサイズが異なり、ハンドリングロボットを新作する必要が生じ、既存の設備が無駄となってしまうという欠点がある。
そこで、近年では、テープカートリッジと同一サイズのカートリッジ内にCD、DVD、MO等のディスクメディアを収納し、アクセス性を確保すると同時に既存のハンドリングロボットを流用しようとする製品が出現して来ている。
【0003】
このようなCD、DVD、MO等のディスクメディアは、その性質上読み書きの間、常に回転している必要があり、また、回転の途中で或る信号が途切れ、ディスク上の位置情報を失ってしまうと、読み書きが出来ない状態となってしまう。従って、記録エリアはディスク形状(円形)である必要がある。
【0004】
ところで、近年注目を浴びているホログラム記録媒体は、光の干渉、回折現象を利用した記録媒体であり、参照光と情報(又は信号)光と呼ばれる2つの光の干渉パターンを記録媒体内部に立体的に記録できる記録媒体である。そして、特許文献1は、カートリッジに収めたホログラム記録媒体について開示しており、カートリッジの開口部から情報の記録再生を実行している。
【0005】
【特許文献1】特開2006−178341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のCD、DVD、MO等のディスクメディアや特許文献1に開示されたホログラム記録媒体を収納する製品では、収納される記録媒体がディスク形状(円形)である必要があることから、通例方形状のカートリッジ内部に記録媒体で満たされない空間が生じてしまう。つまり、この空間には記録媒体が存在しないことになるため、記録容量向上のために、カートリッジ内部の空間全てを有効利用できていない。ホログラム記録媒体において、それを回転させずに記録再生動作を実行する場合には、記録媒体の形状をディスク状にする意味はない。また、ディスク形状の記録媒体の場合、方形状のカートリッジ内部にディスク状のメディアを収納させる必要があるため、多くの場合ディスクメディアをトレーに乗せて収納しており、カートリッジに収納できる記録媒体のサイズや枚数に制限を与えてしまっている。
【0007】
その一方で、ディスク形状をなしていないホログラム記録媒体の場合、位置出しに問題があり、動画等の連続的な情報の記録には必ずしも適したものとはなっていない。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、カートリッジに収納できるホログラム記録媒体自体の記録容量をできるだけ多くすると共に、連続的な情報の記録に適したホログラム記録媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの問題を解決するため、通例方形状のカートリッジ内に、同じく方形状の記録媒体を収納する。例えば、カートリッジ内に方形状のホログラム記録メディアを収納する。ホログラム記録媒体は記録再生装置の構造を簡易化するために多くの場合ディスク状に作成される場合が多いが、方形状のメディアに記録再生する記録再生装置も構成することが出来る。よって、こうした記録再生装置と、方形状のホログラム記録媒体を収納したカートリッジを組み合わせたシステムとする。
【0010】
特に二光束角度多重方式や波長多重方式の記録方式を採る場合、記録や再生の瞬間に記録媒体が回転している必要は無いため、方形状の形式を採りやすい。この時、方形状のカートリッジ内部は殆どが記録再生の領域で満たされるため、記録再生領域がディスク状である記録媒体を収納した時と比べて同一カートリッジ当りの記録容量は格段に向上する。また、上記の例と同じく、ディスク状のホログラム記録媒体を収納する場合に比べて情報記録媒体の収納効率にも優れ、引き出す作業も簡便化が可能である。もちろん、テープメディアと異なり、情報へのアクセス性も確保できる。
【0011】
また、ホログラム記録媒体を用いる場合、その多重記録方式が二光束角度多重方式や波長多重方式である場合、記録再生の位置出しの動作と記録再生の動作を独立させることが可能になるため、記録再生の位置出しに情報記録媒体を回転させる、という動作を用いることができる。この時、情報記録媒体の表面には位置出し用の情報が存在しても良い。これにより、記録再生装置の構造は、ディスク状メディアを記録再生する事を想定した装置と同じように、簡易化することができる。
【0012】
以上の点を踏まえて本発明の特徴を述べると、本発明によるホログラム記録媒体は、媒体の外形およびその情報記録領域が方形状をなし、回転中心部を有することを特徴とする。そして、この回転中心部には、ホログラム情報記録再生装置に備わるスピンドル部品と係合する係合部を備え、媒体自体は記録再生の位置出し時にのみ回転し、情報記録再生時には静止する。
【0013】
また、このホログラム記録媒体は、媒体表面に記録再生の位置出し用情報を有し、この位置出し用情報は回転中心部の中心と同心の円周状に設けられ、角度の基準位置を示す基準位置情報とこの基準位置からの角度が認識可能なように設けられた相対角度位置情報とを有している。
【0014】
本発明によるホログラム記録再生装置は、ホログラム記録媒体に対して情報の記録再生を実行するホログラム記録再生装置であって、光源と、ホログラム記録媒体を回転させる媒体回転手段と、光源と記録すべき情報から情報光を生成する情報光生成手段と、光源から参照光を生成する参照光生成手段と、情報記録時には、情報光と参照光とを干渉させながらホログラム記録媒体に照射し、情報再生時には参照光をホログラム記録媒体に照射するように光照射制御手段と、媒体回転手段の動作を制御する媒体回転制御手段と、を備え、ホログラム記録媒体は、媒体の外形およびその情報記録領域が方形状をなし、回転中心部を有し、媒体回転制御手段は、情報記録再生時には、ホログラム記録媒体が停止するように媒体回転手段を制御することを特徴とする。
【0015】
また、ホログラム記録媒体は、その表面に位置出し情報を有し、媒体回転手段は、情報記録再生の位置出し時には、ホログラム記録媒体を回転させて参照光を用いて位置出し情報を読み出す。ここで、位置出し用情報は回転中心部の中心と同心の円周状に設けられ、角度の基準位置を示す基準位置情報とこの基準位置からの角度が認識可能なように設けられた相対角度位置情報とを有している。
【0016】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カートリッジに収納できるホログラム記録媒体自体の記録容量をできるだけ多くすることができ、さらに、連続的な情報の記録再生に適したホログラム記録媒体及びそれに対して情報の記録再生を行うことのできるホログラム記録再生装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るホログラム記録媒体について、添付図面を参照にしながら具体的に説明する。なお、本発明による実施形態は本発明を実現する上での一例に過ぎず、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0019】
<ホログラム記録媒体の構造>
図1は、本実施形態に係るホログラム記録媒体1の構造を示す図である。図1において、ホログラム記録媒体100は方形状をなしており、上基板110と下基板130によってホログラム記録材料を挟んで形成されたホログラム記録層120を備えている。また、ホログラム記録媒体100の表面は、円形の中心領域140と情報が記録スポット161として記録される記録領域160で構成されている。中心領域140をなす基板表面には、記録領域160に記録される各記録スポット161が基準位置151(角度0°)からのどの位の角度をなして位置しているかを把握するための位置情報ピット群150が形成されている。
【0020】
図2は、ホログラム記録媒体100の裏面の構造(図2A)と記録スポット161が記録されていく様子(図2B)を示す図である。図2Aに示されるように、ホログラム記録媒体100の裏面には、記録媒体100を後述のホログラム記録再生装置の回転スピンドル部材に係合させるための係合部170が取り付けられている。この係合部170は、例えばマグネットチャッキング可能な係合部材をホログラム記録媒体100の裏面に接着剤によって接着させることにより取り付けることができる。なお、ホログラム記録媒体100に位置決めをするための位置決め用穴を設けることによってもスピンドルと係合させることができるので、係合部170は必須のものではない。
【0021】
また、図2Bに示されるように、記録すべき情報を持った各記録スポット161は、例えば、媒体内周から順番に放射状にホログラム記録媒体100の記録領域160に記録される。各記録スポットの大きさは予め決められているので、各記録スポットの記録位置は、基準位置151からの角度及び記録スポットの中心位置からの距離によって把握することができる。例えば、図2Bに示される記録スポット161aは、基準位置151からの角度θ及び半径rによって表される。このようにして得られる各記録スポット161は、例えば、記録領域160の最内周部の記録スポット(管理用記録スポット)に、記録位置と記録された情報の内容を示す識別データと共に記録し、その情報を位置出し動作に使うようにしてもよい。
【0022】
後述するように、データの記録再生動作を行うときにはホログラム記録媒体100を回転させないが、位置情報ピット群150を読み出して位置出し動作を行うときにはホログラム記録媒体100を回転させる。このように、位置出し動作と記録再生動作は互いに独立しているため、図2Bで示したような放射状に記録していってある点を含む円周上でメディアが途切れてしまう位置、例えば方形状記録媒体の四隅の部分でも位置出し及び記録再生が可能となるのである。従って、方形状記録媒体の殆ど全面においてデータを記録することができる。
【0023】
図3は、複数のホログラム記録媒体100を収納するためのカートリッジ200の構造を示す図である。カートリッジ200は、ホログラム記録媒体100を収納する収納筐体210と、この収納筐体210の開口部を閉じるための蓋部材220で構成される。蓋部材220は、収納筐体210の側面であって開口部付近の所定の位置221で軸回転自在に軸支されている。また、この蓋部材220は、開口部を覆っているときには収納されているホログラム記録媒体100が感光しないように完全に遮光する構造を備えている。
【0024】
例えば、蓋部材220と収納筐体210との間に隙間が形成されないように、蓋部材220の開口部に接触する部分を柔らかいクッション材(ゴムや樹脂)を取り付けた構造が考えられる。また、収納筐体210の内側側壁にはホログラム記録媒体100を1つずつ支持するための媒体支持棚211が複数設けられている。これによって、通例ディスクメディアを収納する場合に用いているトレーを用いる必要は無くなる。従って、このカートリッジ200は収納効率に優れており、また、カートリッジ200からトレーを介さずホログラム記録媒体100を完全に引き出すことが可能であり、その動作を簡易化することができる。
【0025】
例えば、記録再生装置側に媒体を引っ掛けて(若しくはクランプして)取り出しかつ収納するための引き出し機構を、媒体側にはその引き出し機構によって引っ掛けることが可能な引っ掛け孔をそれぞれ設けることによって、カートリッジ200に対するホログラム記録媒体100の収納・取り出し動作を可能とする。なお、カートリッジ200内に収納されたホログラム記録媒体100は、記録再生時に記録再生装置内でカートリッジより完全に引き出され、後述の記録再生装置のスピンドル部材と係合する。なお、記録再生装置は、ホログラム記録媒体100の基準位置151を把握するので、記録又は再生動作後、媒体を元の方向とは異なる方向にカートリッジ200に収納するという危険性はない。
【0026】
また、上述のようにホログラム記録媒体100は方形状をなしているので、カートリッジ200に収納するとカートリッジの内部空間の殆どが記録再生可能な媒体で満たされることになり、ディスクメディアを収納した場合に比べてカートリッジ当りの記録容量を格段に向上させることが可能になる。
【0027】
<ホログラム記録再生装置の構成>
図4は、本発明の実施形態によるホログラム記録再生装置300の概略構成を示すブロック図である。図4において、ホログラム記録再生装置300は、レーザ光源1、コリメータレンズ2、第1ビームスプリッタ4A、第2ビームスプリッタ4B、空間光変調器5、2次元撮像素子6、記録光と再生光兼用の対物レンズ7、参照光用の対物レンズ8、プリズム9、反射ミラー10、およびフォーカスアクチュエータ11、記録再生されるデータ信号の処理を行う記録再生信号処理部30、コントローラI/F36および、記録すべきユーザデータを作成するパソコン等の上位装置37とを備える。パソコン37から与えられたユーザデータは、コントローラI/F36を介して、記録再生信号処理部30の記憶部35に記録される。記憶部35は、RAMなどの高速アクセス可能な半導体素子を用いることが好ましい。
【0028】
記録再生信号処理部30は、主として、ユーザデータを一時記憶する記憶部35、与えられたユーザデータを符号化し、誤り訂正符号を生成する誤り訂正符号化部34、符号化されたユーザデータを空間光変調器5へ与える形式のデータに変換する変調部33、2次元撮像素子6から得た再生データを復調する復調部31、復調されたデータに対して誤り訂正復号化処理をする誤り訂正復号化部32によって構成される。
【0029】
レーザ光源1は、たとえば半導体レーザ素子からなり、記録モードあるいは再生モードにおいて所定波長のレーザビームを出射するものである。このレーザ光源1からは、レーザビームがガウス分布状の光強度分布をもって出射される。レーザビームの光強度は、光束密度に比例する。コリメータレンズ2は、レーザ光源1から出射したレーザビームを平行ビームに変換するものである。このコリメータレンズ2から平行ビームとして出射されるレーザビームもまた、ガウス分布状の光強度分布をもつ。出射された平行ビームは、第1のビームスプリッタ4Aに入射され、2つの方向に分離される。
【0030】
第1のビームスプリッタ4Aは、コリメータレンズ2から出射されたレーザビームを受け、このレーザビームを空間光変調器5に向かうホログラム記録用の情報光18と、これとは別の光路を経て対物レンズ8へと向かう参照光19とに分離する。第2のビームスプリッタ4Bは、空間光変調器5から対物レンズ7へと情報光18を透過させる一方、記録媒体100から対物レンズ7を通して戻ってくる再生光を受け、この再生光を2次元撮像素子6へと導く。
【0031】
空間光変調器5は、たとえば液晶表示装置あるいはDMD(Deformable Mirror Device)からなり、記録モード時にのみ使用される。この空間光変調器5は、第1のビームスプリッタ4Aを経て導かれてくる光強度分布が均一な情報光を2次元的な情報を表す情報光(2次元情報光)18に変調するものである。
【0032】
また、この情報光18は、記録再生信号処理部30の変調部33から与えられたユーザデータに対応する分布を持つ光である。
【0033】
2次元撮像素子6は、たとえばCCDエリアセンサあるいはCMOSエリアセンサからなり、主として再生モード時に使用される。この2次元撮像素子6は、受光した再生光をデジタル信号に変換することにより、記録媒体100の記録層120にホログラムとして記録された2次元的な情報を取り出す部分である。
【0034】
取り出された2次元情報であるデジタル信号は、記録再生信号処理部30の復調部31へ送られる。
【0035】
記録光・再生光兼用の対物レンズ7および参照光用の対物レンズ8およびプリズム9は、ヘッドユニット12に一体化されており、参照光用の対物レンズ8は、記録光・再生光兼用の対物レンズ7に対して所定角度をなすように配置されている。この参照光用の対物レンズ8には、第1のビームスプリッタ4Aから反射ミラー10およびプリズム9を介して参照光19が導かれてくる。
【0036】
ヘッドユニット12は、一方の対物レンズ7を通る記録光と他方の対物レンズ8を通る参照光とが記録媒体100の記録層23において互いに干渉するように、フォーカスアクチュエータ11によって記録媒体の厚み方向に変位させられる。
【0037】
フォーカスアクチュエータ11は、電磁コイルなどで構成され、2つの光束(情報光18、参照光19)の干渉を調整する駆動手段である。たとえば、角度多重の場合は、対物レンズ8を駆動し、媒体に対する参照光19の入射角度を調整するものである。
【0038】
以上は一般的なホログラム記録再生装置の構成及び簡単な動作であるが、本発明の実施形態によるホログラム記録媒体100に対して記録再生動作をする場合には、最初に、位置出し動作を実行する。つまり、ホログラム記録媒体100を回転させながら、ホログラム記録媒体100の中心部に設けられた位置情報ピット群150に対して参照光19を照射し、基準位置151と各ピットの角度情報を把握する。そして、ホログラム記録媒体100の最内周部に各記録スポットの位置情報及び識別情報が記録されている例では、位置出し動作終了後にホログラム記録媒体100の回転を停止する。その後、参照光19をその最内周の各記録スポットに対して照射することにより、記録領域160に記録されている各記録スポット161の位置情報(上述の角度θと半径r)とその識別情報を取得し、それを対応付けて記憶部35で管理する。
【0039】
また、ホログラム記録媒体100の適当な場所に図示しない半導体チップメモリを取り付け、図示しない非接触型半導体読み取り装置(RFID装置)によって各記録スポットの位置情報及び識別情報を読み出したり、書き込むようにしてもよい。この方法を用いれば、ホログラム記録媒体100を感光させずに各記録スポットの情報を管理することができるので、記録領域160を最大限に活用することができる。
【0040】
なお、上述のように参照光を用いて位置情報ピット群150を読み出す(サーボ)ようにしているが、これに限られるものではない。例えば、レーザ光源1とは別に位置情報ピット群150を読み出し動作専用のレーザ光源を用いることも可能である。例えば、記録再生用には青色波長レーザを用い、サーボ用には赤色波長のレーザを用いると、記録材料として青色レーザにのみ反応するようなものの場合には、サーボ動作の際に記録材料への影響を抑えることができる。
【0041】
続いて、記録再生動作についてさらに説明する。記録モードの場合でも、まずは、上述の位置出し動作が実行される。そして、記録媒体の回転を止めて記録動作に移行する。つまり、光源1から出射したレーザビームは、コリメータレンズ2、第1のビームスプリッタ4A、空間光変調器5、第2のビームスプリッタ4B、対物レンズ7を順次経ることにより、情報光18として記録媒体100に照射される。また、光源1から出射したレーザビームは、コリメータレンズ2、第1のビームスプリッタ4A、反射ミラー10、プリズム9、対物レンズ8を順次経ることにより、記録媒体100の記録層120で上記情報光18と干渉するように参照光として照射される。ホログラム記録媒体100においては、空間光変調器5により2次元情報光として変調された情報光18と参照光19とが光学的に干渉する結果、2次元的な情報を含むホログラムが記録される(各記録スポット161)。上述したように、この各記録スポット161は、ホログラム記録媒体100に放射状に記録される。記録スポットを形成した場合には、その位置情報及び識別情報を例えば、最内周部に記録するか、半導体チップメモリに記録して管理情報として使えるようにする。
【0042】
再生モードの場合でも、まずは、上述の位置出し動作が実行され、各記録スポットの管理情報(記録位置及び識別情報)を取得する。そして、記録媒体の回転を止めて再生動作に移行する。つまり、第1のビームスプリッタ4Aから対物レンズ8を経て参照光のみが記録媒体100に照射される。記録媒体の照射部位では、情報光および参照光の干渉によって記録されたホログラムに基づく再生光が生じ、この再生光が対物レンズ7および第2のビームスプリッタ4Bを通して2次元撮像素子6に受光される。これにより、媒体20にホログラムとして記録された情報が再生される。
【0043】
<まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態では、ホログラム記録媒体の外形およびその情報記録領域を方形状とし、回転中心部(中心領域)を有するようにしている。これにより、従来のディスク上の記録媒体よりも多くの記録容量を稼ぐことができる。また、回転中心部を有して媒体を回転させることができるので、位置出しやサーボを回転させて実行することができるので初期動作を高速にすることができる。
【0044】
また、上記ホログラム記録媒体は、その回転中心部に、ホログラム情報記録再生装置のスピンドル部品と係合する係合部を有している。この係合部は例えばマグネットチャッキングを可能とするので、ホログラム記録媒体を記録再生装置にしっかりと固定することができる。そして、記録再生の位置出し時にのみ媒体を回転させ、情報記録再生時には静止するようにしている。
【0045】
さらに、上記ホログラム記録媒体は、その表面に記録再生の位置出し用情報を有している。この位置出し用情報は回転中心部の中心と同心の円周状に設けられ、角度の基準位置を示す基準位置情報とこの基準位置からの角度が認識可能なように設けられた相対角度位置情報とを有している。位置出し用情報の例としては、媒体の中心部に同心円状に設けられたピット群が考えられ、そのうち1つを基準用のピットとする。基準用ピットは、角度0°の位置を示すものである。この位置出し情報を用いれば、記録領域に形成された記録スポット(大きさ既知)の記録位置(基準位置からの角度)を認識することができるようになる。なお、情報記録再生の位置出し時には、ホログラム記録媒体を回転させて参照光を用いて位置出し情報を読み出すようにしているので、新たに位置出し用情報を読み出すための手段を設ける必要がない。
【0046】
本実施形態によるホログラム記録媒体は、テープ製品のような一次元的な位置出しと異なり、情報を記録、若しくは再生する位置へのアクセス(位置出し)はディスク媒体と同様な二次元の動作で行われることが可能であり、情報へのアクセス性はディスク媒体と同等のアクセス性を確保できる。
【0047】
また、本カートリッジを記録再生する記録再生装置の構造は、光学部品をディスクに対してXY方向の二次元で移動させる必要は無く、例えばX方向の位置次元のみの移動が必要なだけであり、ディスク状記録媒体を対象としたそれと同等である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるホログラム記録媒体の表面を示す外観図である。
【図2】本発明によるホログラム記録媒体の裏面及び情報の記録の様子を示す図である。
【図3】本発明によるホログラム記録媒体を収納するためのカートリッジの外観構造を示す図である。
【図4】本発明によるホログラム記録媒体に対して情報記録再生を行うためのホログラム記録再生装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
100・・・ホログラム記録媒体
110、130・・・基板
120・・・ホログラム記録層
140・・・中心領域(回転中心部)
150・・・位置情報ピット群
151・・・基準位置
160・・・記録領域
200・・・カートリッジ
300・・・ホログラム記録情報再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の外形およびその情報記録領域が方形状をなし、回転中心部を有することを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
前記回転中心部には、ホログラム情報記録再生装置に備わるスピンドル部品と係合する係合部を備え、記録再生の位置出し時にのみ回転し、情報記録再生時には静止することを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
媒体表面に記録再生の位置出し用情報を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
前記位置出し用情報は前記回転中心部の中心と同心の円周状に設けられ、角度の基準位置を示す基準位置情報とこの基準位置からの角度が認識可能なように設けられた相対角度位置情報とを有していることを特徴とする請求項3に記載のホログラム記録媒体。
【請求項5】
ホログラム記録媒体に対して情報の記録再生を実行するホログラム記録再生装置であって、
光源と、
前記ホログラム記録媒体を回転させる媒体回転手段と、
前記光源と記録すべき情報から情報光を生成する情報光生成手段と、
前記光源から参照光を生成する参照光生成手段と、
情報記録時には、前記情報光と前記参照光とを干渉させながら前記ホログラム記録媒体に照射し、情報再生時には前記参照光を前記ホログラム記録媒体に照射するように光照射制御手段と、
前記媒体回転手段の動作を制御する媒体回転制御手段と、を備え、
前記ホログラム記録媒体は、媒体の外形およびその情報記録領域が方形状をなし、回転中心部を有し、前記媒体回転制御手段は、情報記録再生時には、前記ホログラム記録媒体が停止するように前記媒体回転手段を制御することを特徴とするホログラム記録再生装置。
【請求項6】
前記ホログラム記録媒体は、その表面に位置出し情報を有し、
前記媒体回転手段は、情報記録再生の位置出し時には、前記ホログラム記録媒体を回転させて前記参照光を用いて前記位置出し情報を読み出すことを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録再生装置。
【請求項7】
前記位置出し用情報は前記回転中心部の中心と同心の円周状に設けられ、角度の基準位置を示す基準位置情報とこの基準位置からの角度が認識可能なように設けられた相対角度位置情報とを有していることを特徴とする請求項6に記載のホログラム記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−140476(P2008−140476A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325920(P2006−325920)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】