説明

ホログラムPOPプレート及びその製造方法

【課題】ホログラムを用いたホログラムPOPプレート及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】広告表示プレート100は、両面が表面処理されたPETフィルム121と、PETフィルム121の一方の面に形成されたホットメルト接着剤122と、PETフィルム121の他方の面に印刷された広告宣伝用の印刷面123と、ホットメルト接着剤122を介してPETフィルム121に接着され、かつホログラム処理されたホログラムフィルム110とを積層してなる。透明なPETフィルム121の両面にコロナ放電処理131を含む表面処理を行う工程と、PETフィルム121の一方の面にホットメルト接着剤122を塗布する工程と、ホログラムフィルム110に、ホットメルト接着剤122を介してPETフィルム121を貼り合わせる工程と、PETフィルム121の他方の面に広告宣伝用の印刷面123を印刷する工程とにより作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムPOPプレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広告宣伝用の表示プレートは、ショールームや看板などのPOP材として多用される。また、特定の商品を目立たせる目的から、該当商品の周囲を囲むように配置されることもある。
【0003】
また、パチンコホールでは、“大爆発”等の広告宣伝用の表示プレートが使用される。広告宣伝用の表示プレートは、アピールプレートと呼称され、パチンコ台の上部に固定されたプレートホルダに着脱自在に挟まれて表示される。また、ドル箱プレートとしてパチンコ球箱に差し込んで使用される。
【0004】
広告宣伝用の表示プレートは、広告宣伝用として人の注意を惹くこと、見た目に美しいことなどが求められる。かかる観点から、広告宣伝用の表示プレートにはさまざまな工夫が行われてきた。例えば、訴求効果のある奇抜な形状に加工する、装飾性を持たすために色彩に富んだ両面印刷を施す、いわゆるラメ加工を施すなどである。最近では、金属箔などの上にPOP面を重ね、これに透明フィルムをラミネート(貼り合せ)し、表面保護又は可飾を行う広告宣伝用の表示プレートが用いられている。
【0005】
特許文献1には、透明なプラスチックフィルムの片面に、多色印刷を施し、更にその印刷面に、蒸着、スパッタリング、金属インキでの印刷、又は蒸着フィルムのラミネートにより、金属光沢層を積層させる両面装飾性を有する印刷物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−152654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属光沢層を積層させた表示プレートは、金属光沢によりメタリック調の装飾性を持たせることができる。ところで、金属光沢層に代えて、ホログラム処理されたホログラムフィルムを使用することが考えられる。ホログラムフィルムをPOPプレートに使用すれば、ホログラム独自の輝きで効果的な宣伝広告を印象づけることが期待できる。ホログラムフィルムは、2つレーザ光線を用いて干渉を起こし、光の強さだけでなく来る方向までも記録するホログラム加工を施したフィルムである。一方、各種フィルムに印刷を行う場合には、コロナ放電処理などの表面処理が欠かせない。しかしながら、ホログラムフィルム上に、コロナ放電処理などの表面処理を行うと、ホログラムが破壊・損傷されることになる。また、コロナ放電が有効にホログラムフィルムに浸透しない。このような理由で、ホログラムフィルムにコロナ放電処理などの表面処理を行うことはどうしてもできない。現状ではホログラムを必要としない部分に、印刷物を重ね合わせ、透明フィルム等でラミネートするなどの加工方法に留まっていた。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ホログラムを用いたホログラムPOPプレート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のホログラムPOPプレートは、両面が表面処理された透明なプラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの一方の面に形成された接着層と、前記プラスチックフィルムの他方の面に印刷された広告宣伝用の印刷面と、前記接着層を介して前記プラスチックフィルムに接着され、かつホログラム処理されたホログラムフィルムとを積層する構成を採る。
【0010】
本発明のホログラムPOPプレートの製造方法は、透明なプラスチックフィルムの両面にコロナ放電処理を含む表面処理を行う工程と、前記プラスチックフィルムの一方の面に接着層を形成する工程と、ホログラム処理されたホログラムフィルムに、前記接着層を介して前記プラスチックフィルムを貼り合わせる工程と、前記プラスチックフィルムの他方の面に広告宣伝用の印刷面を印刷する工程とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ホログラムを用いたホログラムPOPプレート及びその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るホログラムPOPプレートの概略構成を示す外観図
【図2】図1のA−A’矢視断面図
【図3】本実施の形態に係るホログラムPOPプレートの製造工程を説明する図
【図4】本実施の形態に係るホログラムPOPプレートの製造工程を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係るホログラムPOP(Point Of Purchase)プレートの外観図である。本実施の形態のホログラムPOPプレートは、パチンコ遊技台の表示プレートに適用した例である。
【0015】
図1に示すように、広告表示プレート100は、円形形状の広告表示プレート100aと、広告表示プレート100aを図示しないプレートホルダに差し込む差込部100bとを有する。広告表示プレート100aと差込部100bとは、厚さ及び材質は同一構造であり、裁断された外形形状のみが異なる。
【0016】
図2は、図1のA−A’矢視断面図である。
【0017】
図2に示すように、広告表示プレート100は、両面が表面処理されたPETフィルム121と、PETフィルム121の一方の面に塗布等により形成されたホットメルト接着剤122と、PETフィルム121の他方の面に印刷された広告宣伝用の印刷面123と、ホットメルト接着剤122を介してPETフィルム121に接着され、かつホログラム処理されたホログラムフィルム110とを積層して構成される。
【0018】
ホログラムフィルム110は、ホログラム処理されたフィルムである。ホログラムは、レーザ光線を用いて、光の方向と強さを干渉縞という形で、平面的な材料に記録する。ホログラムフィルム110は、ホログラム処理されたフィルム(材質:PVC、PP、PET等)である。
【0019】
PETフィルム121は、PET(ポリエチレンテレフタレート),PVC(ポリ塩化ビニル),PP(ポリプロピレン)等の透明プラスチックフィルムである。PETフィルム121の両面は、全面にわたってコロナ放電処理等の表面処理が施されている。
【0020】
ホットメルト接着剤122は、接着剤を塗布して形成する。また、接着材シートを用いてもよい。
【0021】
印刷面123は、電子写真方式、インクジェット方式、オフセット印刷方式等、又はその他の方法で印刷された広告宣伝用の多色印刷面である。
【0022】
以下、上述のように構成された広告表示プレート100の製造方法について説明する。
【0023】
図3及び図4は、広告表示プレート100の製造工程を説明する図である。
【0024】
〔準備する材料〕
図3に示すように、ホログラムフィルム110と、PETフィルム121とを準備する。
【0025】
ホログラムフィルム110は、ホログラム層であるエンボスPETフィルム111と、反射層である銀蒸着層112とからなる。ホログラムフィルム110は、ホログラム処理されたフィルム材である。エンボスPETフィルム111の材質は、PETの他、PVC、PP等である。このフィルム材に各種レリーフ等のパターンによるホログラムが形成されている。ホログラムとは、2つの光(レーザ光線)を用いて干渉を起こし、光の強さだけでなく来る方向までも記録し、奥行きを出し、三次元的な画像を浮かび上がらせる。ホログラムフィルム110は、プリズム効果により光を虹色に反射し、ホログラム独自の輝きで印象づけることができる。
【0026】
PETフィルム121は、0.5mm厚みの透明PETである。0.25乃至0.5mm厚みの透明PET,PVC,PP等のプラスチックフィルムであればよい。
【0027】
〔加工工程〕
(1)PETフィルム121両面へのコロナ放電処理
図4(a)(b)に示すように、0.5mm厚みのPETフィルム121の表面全体にコロナ放電処理(番号131参照)、グロー放電処理、プラズマ処理などの表面処理を行う。また、イオンボンバート処理、電子線照射処理、遠紫外線処理、オゾン処理などの物理化学的処理でもよい。図4(b)では、PETフィルム121の表面全体にコロナ放電処理(番号131参照)を行って表面を励起状態にして、密着性を向上させる。
【0028】
図4(c)に示すように、PETフィルム121の表面と同様に、PETフィルム121の裏面全体にコロナ放電処理(番号132参照)による表面処理を行う。
【0029】
(2)両面コロナ放電処理されたPETフィルム121片面への接着剤塗布処理
図4(d)に示すように、両面コロナ放電処理されたPETフィルム121の片面に、ホットメルト接着剤122を塗布する。ホットメルト接着剤は、例えばポリエチレン系ホットメルト接着剤、又はオレフィン系樹脂ホットメルト接着剤を用いる。また、無機溶剤ホットメルト接着剤、光反応性ホットメルト接着剤を用いてもよい。PETフィルム121は、両面コロナ放電処理されているため、ホットメルト接着剤塗布は容易である。
【0030】
(3)ホログラムフィルム110の両面へのPETフィルム121の貼合せ処理
図4(e)に示すように、ホログラムフィルム110の両面に、ホットメルト接着剤122を塗布した両面コロナ放電処理済PETフィルム121を加熱加圧により貼り合せる。このPETフィルム121は、両面コロナ放電処理されているため、ホログラムフィルム110の両面に貼り合せ後のPETフィルム121の表面と裏面には、コロナ放電処理面が露出することになる。
【0031】
(4)片面又は両面印刷処理
図4(f)に示ように、ホログラムフィルム110の両面に、ホットメルト接着剤122を塗布した両面コロナ放電処理済PETフィルム121を貼り合せた材料に対して、電子写真方式、インクジェット方式、オフセット印刷方式等、又はその他の方法により印刷面123を印刷する。印刷面123は、例えば2μm程度に多色印刷されたPOP広告表示絵柄である。図4(f)は、両面印刷処理の例である。用途に合わせて片面印刷でもよい。
【0032】
(5)パウチ加工処理
図4(g)に示すように、図4(f)の両面印刷処理された状態のホログラムPOPプレートを、半透明のプラスチックフィルム124により両面から挟み込んでパウチ加工する。半透明のプラスチックフィルムは、例えはPETフィルムである。パウチ加工は、表面保護又は可飾のためであり、透明フィルムの他、マットフィルム、カラーフイルムをラミネート(貼り合せ)してもよい。
【0033】
(6)型抜き加工処理
図4(g)の工程後、図4(g)の状態のホログラムPOPプレートを適当な形状に型抜き又は裁断処理して広告表示プレート100を完成する。本実施の形態では、図1に示すように、広告表示プレート100は、円形形状の広告表示プレート100a部分と直方体形状の差込部100bとからなる形状に型抜きする。形状は一例に過ぎず、星,波,旗など任意である。
【0034】
以上の製造工程により、両面のホログラムPOPプレートを形成することができる。これにより、片面のみならず両面からみて、ホログラムフィルム110上に印刷面123により印刷された多色の絵柄が浮かび上がる。
【0035】
ここで、図4(f)の工程で片面のみの印刷を行えば、片面のホログラムPOPプレートを形成することができる。
【0036】
また、図4(c)のコロナ放電による表面処理後、コロナ放電処理された表面(印刷面)に、更に印刷適正を向上させるために、インク受理層又は易接着層を付与する工程を設けることが好ましい。インク受理層又は易接着層は、透明インキなどで被膜するアンダーコート層であり、印刷面を密着させる下地となる。
【0037】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、広告表示プレート100は、両面が表面処理されたPETフィルム121と、PETフィルム121の一方の面に塗布等により形成されたホットメルト接着剤122と、PETフィルム121の他方の面に印刷された広告宣伝用の印刷面123と、ホットメルト接着剤122を介してPETフィルム121に接着され、かつホログラム処理されたホログラムフィルム110とを積層してなる。その製造工程は、透明なPETフィルム121の両面にコロナ放電処理131を含む表面処理を行う工程と、PETフィルム121の一方の面にホットメルト接着剤122を塗布する工程と、ホログラム処理されたホログラムフィルム110に、ホットメルト接着剤122を介してPETフィルム121を貼り合わせる工程と、PETフィルム121の他方の面に広告宣伝用の印刷面123を印刷する工程とにより作製される。これにより、印刷不可能なホログラムフィルム110を用いながら、ホログラムフィルム110に印刷を施したのと同様な効果の、ホログラムを使用したPOPプレートを実現することができる。
【0038】
すなわち、透明なPETフィルム121の両面にコロナ放電処理131を含む表面処理を行い、PETフィルム121の一方の面にホログラムフィルム110を貼り合わせ、他方の面に広告宣伝用の印刷面123を印刷するので、ホログラムフィルム110に対して印刷のためのコロナ放電処理などの表面処理を行うことなく、PETフィルム121とホログラムフィルム110とを貼り合わせた完成品においては、ホログラムフィルム110に電子写真方式、インクジェット方式、オフセット印刷方式等、又はその他の方法で印刷した場合と同等の質感をもつホログラムPOPプレートを実現することができる。
【0039】
また、ホログラムフィルム110を中心に挟んだホログラム両面にそれぞれPOP印刷を施した両面ホログラムPOPプレートを容易に作製することができる。
【0040】
作製された広告表示プレート100は、POP印刷面の背景をホログラム独自の輝きで印象づけることができる。例えば、ホログラムにより三次元的な画像を浮かび上がらせ、プリズム効果により光を虹色に反射することができる。このため、広告表示プレート100は、従来の金属光沢ではなし得なかった優れた広告宣伝効果を得ることができる。
【0041】
ここで、ホログラムフィルム110は、ホログラム層であるエンボスPETフィルム111と、反射層である銀蒸着層112とが積層されている。この積層構造により一見すると、ホログラムPOPプレートの上面(図2の上面)から見た場合にのみ、印刷面123にホログラム効果が付加され、ホログラムPOPプレートの下面(図2の下面)からは、印刷面123に金属光沢(ホログラム効果がない)ように考えられる。しかしながら、本発明者らの試作によれば、ホログラムPOPプレートの下面からみても上面から見た場合と同等のホログラム効果があることが確認された。すなわち、ホログラムフィルム110の形状・配置には制限を受けない。本構造及び製作方法によれば、両面にそれぞれPOP印刷を施したホログラムPOPプレートを容易に作製することができる。
【0042】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0043】
例えば、本実施の形態では、広告表示プレート100を、パチンコ遊技台のアピールプレート、ドル箱プレートに適用した例であるが、広告表示プレートであればどのような表示プレートでもよい。例えば、特定の商品を囲んで目立たせる表示プレート、ショールームや看板などのPOP材として用いることができる。
【0044】
また、上記実施の形態では、広告表示プレート、ホログラムPOPプレートという名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、宣伝用プレート、POP材、POP製品等であってもよいことは勿論である。
【0045】
さらに、上記広告表示プレート100を構成する各部、例えばプラスチックフィルム、接着層の種類、その数及びラミネート方法、接着方法などはどのようなものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るホログラムPOPプレートは、各種広告表示プレート、ショールームや看板などの透明基材に貼り付けるPOP材として用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
100 広告表示プレート
110 ホログラムフィルム
111 エンボスPETフィルム
112 銀蒸着層
121 PETフィルム
122 ホットメルト接着剤
123 印刷面
124 プラスチックフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面が表面処理された透明なプラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの一方の面に形成された接着層と、
前記プラスチックフィルムの他方の面に印刷された広告宣伝用の印刷面と、
前記接着層を介して前記プラスチックフィルムに接着され、かつホログラム処理されたホログラムフィルムと
を積層して構成されるホログラムPOPプレート。
【請求項2】
前記ホログラムフィルムは、ホログラム層と、前記ホログラム層に密着する反射層とからなる請求項1記載のホログラムPOPプレート。
【請求項3】
透明なプラスチックフィルムの両面にコロナ放電処理を含む表面処理を行う工程と、
前記プラスチックフィルムの一方の面に接着層を形成する工程と、
ホログラム処理されたホログラムフィルムに、前記接着層を介して前記プラスチックフィルムを貼り合わせる工程と、
前記プラスチックフィルムの他方の面に広告宣伝用の印刷面を印刷する工程と
を有するホログラムPOPプレートの製造方法。
【請求項4】
前記表面処理されたプラスチックフィルムの表面に易接着層を施す工程をさらに有する請求項3記載のホログラムPOPプレートの製造方法。
【請求項5】
前記印刷面が印刷された前記プラスチックフィルムの表面にパウチ加工を施す工程をさらに有する請求項3記載のホログラムPOPプレートの製造方法。
【請求項6】
前記印刷面が印刷された前記プラスチックフィルムを型抜き又は裁断する工程をさらに有する請求項3記載のホログラムPOPプレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−271397(P2010−271397A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121016(P2009−121016)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(399034459)株式会社 東光工業 (4)
【Fターム(参考)】