説明

ホース収納用リール

【課題】本発明は、両端にホース継手を有するホースを容易に巻き取り可能なホース収納用リールを提供することを目的とする。
【解決手段】ホース2を断面扁平状態となるように巻き取って収納するためのホース収納用リール3である。このリール3は、ホース2が巻き回される円筒状のリール本体31と、リール本体31の円筒壁部に設けられ、ホース2の先端に取り付けられるホース継手2aが挿入される開口部31aと、リール本体31の円筒内側において、開口部31aに挿入されたホース継手2aに対して当接可能に設けられた継手支持部33と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースを断面扁平状態となるように巻き取って収納するためのホース収納用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホースを断面扁平状態となるように巻き取って収納するためのホース収納用リールとして、特許文献1に記載のリールが知られている。特許文献1に示すように、例えば消防用等に用いられる長尺大口径のホースは、リールに巻き取って収納されるとともに、当該ホースを使用する際には、当該リールから順次路上に展張される。そして当該リールは、ホースを巻き取る軸として円筒状に形成されたリール本体と、その両端に設けられ、巻き取られたホースの円筒軸方向への移動を拘束するフランジ部と、を備えて構成される。
【0003】
【特許文献1】特開2006−000289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ホース長さの延長、または、ポンプへの接続等のために、ホースの両端にホース継手が取り付けられることがある。このようなホース継手が両端に取り付けられたホースをリールに巻き取る場合、特許文献1に記載されたリールを用いた場合においては、巻き始めにおいて、ホース継手の位置を固定しにくいため、リールに巻き取ることは難しい。また、ホース継手がリール表面から突出するため、仮に巻き取れたとしても巻き崩れが発生し易くなるとともに、リールに巻き取り可能なホースの長さが短くなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、両端にホース継手を有するホースを容易に巻き取り可能なホース収納用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明に係るホース収納用リールは、ホースを断面扁平状態となるように巻き取って収納するためのリールに関する。そして、本発明に係るホース収納用リールは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明のホース収納用リールは、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るホース収納用リールにおける第1の特徴は、ホースを断面扁平状態となるように巻き取って収納するためのホース収納用リールであって、前記ホースが巻き回される円筒状のリール本体と、前記リール本体の円筒壁部に設けられ、前記ホースの先端に取り付けられるホース継手が挿入される開口部と、前記リール本体の円筒内側において、前記開口部に挿入された前記ホース継手に対して当接可能に設けられた継手支持部と、を備えることである。
【0008】
この構成によると、ホース継手を開口部からリール本体の内部に挿入することができるため、ホースをリールに巻き始める際に、ホース継手がリール表面から外部に突出することを防ぐことが可能となる。これにより、巻き崩れの発生を抑制し、かつ、リールに巻き取り可能なホースの長さをより長くすることが可能となる。また、ホース継手を開口部から挿入することで、ホースの一端側の動きが開口部の縁部等により拘束されるため、ホースをリールに巻き取り易くなる。
更に、開口部に挿入されたホース継手を継手支持部に当接させることができるため、ホース継手を継手支持部に当接させて保持することも可能である。この場合、ホース継手の円筒内側での移動に伴ってホースが円筒内側に引き込まれることを防止することができ、ホースの巻き取りを安定して行うことができる。
【0009】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第2の特徴は、前記継手支持部は、前記ホース継手から直線状に延出する前記ホースの中心軸が、前記開口部を通過するとともに、前記リール本体の仮想円弧面と直交しないように、前記ホース継手を固定可能に構成されていることである。
【0010】
この構成によると、ホース継手から延出するホースが90°以上に屈曲することはない。したがって、径の大きいホースであっても、巻き取る際に、ホース継手近傍で屈曲する部分において、ホース内側(谷折りされる側)にしわが発生することを抑制できるとともにホース外側(山折りされる部分)に過度の引張力が作用することを抑制される。これにより、ホース継手近傍において屈曲することでホースが損傷することを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第3の特徴は、前記継手支持部は、前記ホース継手から前記ホースが直線状に延出する方向における前記ホース継手と前記ホースとの接続部から前記開口部の縁部までの距離が前記ホースの径よりも長くなる位置に、前記ホース継手を固定可能に形成されていることである。
【0012】
この構成によると、継手支持部に固定したホース継手から延びるホースを、当該ホース継手から前記ホースが直線状に延出する方向に位置する開口部の縁部に沿うようにリール本体に巻きつけることで、ホース継手の近傍でホースが屈曲しにくくなるように構成することができる。ホース継手の近傍でホースを屈曲させた場合は、屈曲部分におけるホース内側(谷折される側)にしわが発生し易くなり、また、ホース外側(山折される部分)に引張力が作用し易くなり、ホースの損傷につながる虞がある。この点、第3の特徴を有する構成によればホース継手の近傍でホースが屈曲することがないため、ホースの損傷を防ぐことが可能となる。
【0013】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第4の特徴は、前記継手支持部は、前記開口部の縁部から前記リール本体の内側に向かって延出するとともに、前記リール本体の円筒内側空間を当該リール本体の円周方向において遮るように配置され、前記開口部から挿入された前記ホース継手の端面を当接させて固定可能な第1板状部材と、前記第1板状部材が延出する前記開口部の縁部と前記円周方向において対向する他の縁部から、前記リール本体の内側に向かって延出して当該第1板状部材に連結する第2板状部材と、を備えていることである。
【0014】
この構成によると、開口部の縁部から、リール本体の円周方向において対向する他の縁部までが、第1板状部材と第2板状部材とにより連結されている。即ち、ホース継手を当接させて固定される第1板状部材は、開口部の縁部と第2板状部材とに支持されるため、単純な構成で継手支持部を頑丈に構成することができる。
【0015】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第5の特徴は、前記第2板状部材は、前記リール本体の円筒中心軸方向垂直断面において前記開口部側から見て凹状に屈曲するように形成されていることである。
【0016】
この構成によると、第1板状部材の近傍における空間を広く確保しつつ、リールに形成された開口部の、円周方向における仮想円弧面に沿った長さが短くなるように構成することが可能となる。これにより、ホースをリールに巻き取る際に、ホースが開口部からリール本体の内側に過度に落ち込むことを抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第6の特徴は、前記リール本体に、前記開口部と前記継手支持部とを有する継手収容部が2つ設けられており、一方の前記継手収容部における前記第1板状部材の前記ホース継手に当接する当接面と、他方の前記継手収容部における前記第1板状部材の前記ホース継手に当接する当接面と、が前記リール本体の円周方向において互いに異なる方向を向くように形成されていることである。
【0018】
この構成によると、ホース継手を2つの継手収容部のうちの何れか一方に収容して固定することが可能になる。これにより、リールの回転方向を一方向に限定することなく、ホースの損傷を防ぐことができる。
【0019】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第7の特徴は、前記継手支持部は、前記開口部を前記リール本体の円周方向において区画するとともに、当該リール本体の円筒中心軸に向かって延びる第3板状部材を備えており、当該第3板状部材は、両面において前記ホース継手の端面を当接させて固定可能であることである。
【0020】
この構成によると、第3板状部材の両面のいずれかにホース継手を取り付けることが可能になる。これにより、リールの回転方向を一方向に限定することなく、ホースの損傷を防ぐことができる。また、ホース継手を当接させる部材を複数設ける必要がないため、リール構成部品の部品点数を減らし製造コストを削減することが可能となる。
【0021】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第8の特徴は、前記継手支持部は、前記リール本体の内側において、前記開口部と前記リール本体の円筒中心軸との間を遮るように配置された底板部材を有する収納ケースであることである。
【0022】
この構成によると、底板部材により、ホース継手がリール本体の円筒中心軸側に移動することを防ぐことが可能となる。これにより、ホース継手が円筒中心軸側へ移動してホースが過度に円筒内側に引き込まれることを防止することができ、ホースの巻き取りを安定して行うことができる。また、継手支持部が円筒中心軸よりも開口部側の位置に形成されるため、リール本体の円筒内側における円筒中心軸を含むスペースを広く保つことができる。
【0023】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第9の特徴は、前記収納ケースは、前記リール本体の円筒中心軸方向において開口するように形成されていることである。
【0024】
この構成によると、収納ケースの開口を介して円筒内側からホース継手を当該収納ケースに対して固定することが可能となる。また、リール本体の円筒軸方向の端部に開口窓を有する場合は、当該開口窓及び収納ケースの開口を介して、リール本体の外側からホース継手の固定状態を目視により容易に確認することができる。
【0025】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第10の特徴は、前記底板部材は、前記ホース継手の外径よりも小さい径の貫通孔を有することである。
【0026】
この構成によると、底板部材の貫通孔を介してリール本体の円筒内側からホース継手を当該収納ケースに対して固定することが可能となる。当該貫通孔はホース継手の外径よりも小さく、当該貫通孔を通過してホース継手がリール本体の円筒中心軸側に移動することはない。したがって、ホース継手が円筒中心軸側への移動に伴ってホースが過度に円筒内側に引き込まれることを防止することができる。また、ホースに残存していた水が、巻回時に収納ケース内に排出された場合にも、当該貫通孔を介して収納ケース外に排出することができ、収納ケースに溜まった水によるホース継手等の劣化を防ぐことが可能である。
【0027】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第11の特徴は、前記リール本体は、円筒中心軸方向における両端の少なくとも何れか一方に開口窓が形成されていることである。
【0028】
この構成によると、開口部からリール本体の内側に挿入されたホース継手を、開口窓を介してリール本体の内側から継手支持部に対して取り付けることが可能となる。
【0029】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第12の特徴は、前記開口部は、前記リール本体における前記開口窓が位置する端部側に形成されていることである。
【0030】
この構成によると、開口窓から開口部までの距離がより近くなるため、開口部からリール本体の内側に挿入されたホース継手を、開口窓を介してリール本体の内側から継手支持部に対して取り付ける作業が容易になる。
【0031】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第13の特徴は、直線状に延出するとともに当該延出方向に対して垂直な方向に昇降可能なアーム部を備えるリフト手段を用いて、ホース敷設・回収装置に積み降ろしされるホース収納用リールであって、前記リール本体には、前記開口窓から当該リール本体の円筒中心軸方向と平行に挿入された前記アーム部が上昇動作する際に、当該円筒中心軸方向における少なくとも2箇所において当該アーム部と係止可能な係止部材が設けられており、前記継手支持部は、上昇動作する前記アーム部と前記係止部材とが当接する位置よりも上方に位置するように設けられていることである。
【0032】
この構成によると、リフト手段のアーム部により、係止部材を介してリールを昇降することが可能となる。また、係止部材は、リール本体の円筒軸方向における2箇所においてアーム部と係止可能に設けられているため、リフト手段により、リールの積み降ろしを安定して行うことが可能となる。また、アーム部材により係止部材を介してリールを持ち上げる際に、アーム部と係止部材とが当接する位置よりも上方に継手支持部が位置するように設けられているため、継手支持部によりアーム部の挿入及び上昇動作が妨げられることはなく、リールの積み降ろしの際のアーム部のリールへの挿入操作及び上昇操作が容易に可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0033】
また、本発明に係るホース収納用リールにおける第14の特徴は、前記開口部の一部を開閉可能に覆う蓋部を更に備え、前記蓋部は、前記ホースを引き出すことが可能な開口部分を残して前記開口部の一部を覆うことが可能であることである。
【0034】
この構成によると、ホースの巻き始めにおいて、ホース継手を開口部から挿入した後に、蓋部により開口部の一部を覆うことで、ホース継手が開口部からリール本体の外側に出ることを防止することができる。また、蓋部が閉じた状態においても、ホースを引き出すことができる開口部分が残されているため、蓋部を閉じたときにホースがリール本体との間で挟みこまれて傷つくことを防止できる。また、開口部を蓋部で覆うことにより、リール本体に直接接触するように巻き回されたホースが、開口部の縁部により傷つくことを防止することができる。特に、リール本体の円筒壁面の曲率に等しい円弧状の蓋部を用いることで、巻回されたホースがリール本体及び蓋部から局所的に受ける圧力をより小さくすることができるため有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0036】
(第1実施形態)
本実施形態は、特に、コンビナート等の広い敷地面積を有する現場において消火活動を行う際に用いられる消防ホースを敷設・回収する敷設・回収装置に搭載されるホース収納用リールに本発明を適用した一例である。
【0037】
まず、本発明の実施形態に係るリール3(ホース収納用リール)を備える敷設・回収装置1の全体構成について説明する。図1〜図3は、それぞれ、本実施形態のリール3を備えるホース敷設・回収装置の左側面図、平面図、背面図である。
【0038】
図1〜図3に示すように、消防用に用いられるホース2の敷設・回収装置1は、ホース2が巻かれるリール3がその上に配設され、且つ、2つの駆動輪20及び2つの従動輪21と2つの駆動輪20を夫々駆動する走行駆動モータ(図示せず)を備えた自走可能な台車10と、台車10上のリール3を鉛直面内で回転させるリール駆動機構11と、走行駆動モータ及びリール駆動機構11のローラ駆動モータ(図示せず)に駆動力を供給する発電機12と、走行駆動モータやローラ駆動モータを含む、敷設・回収装置1の全体の制御を司る制御装置13とを備えている。
【0039】
台車10は、水平フレーム10aと、この水平フレーム10aの後端部に設けられた鉛直フレーム10bとを備え、リール3の重量に十分に耐えうる堅固な構造を有する。水平フレーム10aの前端側部分の両側部には、2つの駆動輪20が夫々回転自在に設けられている。図2に示すように、これら2つの駆動輪20には、軸受27により支持された2つの走行駆動モータの出力軸22a,23aが夫々直結されており、2つの駆動輪20は走行駆動モータにより夫々回転駆動される。ここで、各駆動輪20にはそれぞれ独立に走行駆動モータが連結されているため、2つの駆動輪20の回転速度を互いに異ならせて台車10の走行方向を変更することが可能になっている。一方、水平フレーム10aの後端側部分の下面には、1対の従動輪21が回転自在に設けられている。この1対の従動輪21は、台車10の走行方向の変化に伴って360度自由に向きが変わるように台車10に取り付けられている。
【0040】
水平フレーム10aの前端部の上側には発電機12と制御装置13が配設されている。制御装置13には、この制御装置13に対して台車10の走行動作及びリール3の回転動作に関する指令等、種々の入力を行うためのリモートコントローラが設けられている。発電機12は、制御装置13からの指令に基づいて必要な量の電力を発電するように構成されている。
【0041】
リール駆動機構11は、台車10の水平フレーム10a上に回転自在に設けられた駆動ローラ24及び従動ローラ25と、駆動ローラ24を回転駆動するローラ駆動モータとを有する。そして、ホース2が巻かれたリール3は、表面のホース2が駆動ローラ24及び従動ローラ25に接触して、これら2つのローラ24,25に下方から受け止められた状態で台車10上に配設される。
【0042】
本実施形態において、1つのリール3に巻かれるホース2は、ホース径が約400mm、ホースの折り畳み幅が約60cm、長さが約200mの大径のホースであり、両端部に外径が最大部分において約600mmである金属性のホース継手2aが接続されている。このホース2は、径方向において潰された断面扁平状態でリール3に巻き取られて収納される。また、端部に設けられたホース継手2aにおいて複数巻のホース2を互いに接続することにより長い距離にわたって敷設される。
【0043】
駆動ローラ24の表面には、駆動ローラ24の回転時に駆動ローラ24がリール3に対して滑ってしまうのを防止するとともに、リール3の回転時に台車10に作用する衝撃を吸収する、合成ゴム等からなるクッション材が貼り付けられている。駆動ローラ24は、水平フレーム10aの後端部に固定的に設けられた左右1対の支持材28に枢支されている。また、ローラ駆動モータは駆動ローラ24の下側に配設されており、駆動ローラ24の回転軸に固定されたスプロケットとローラ駆動モータの出力軸に固定されたスプロケットとがチェーンにより連結されている。そして、ローラ駆動モータの駆動力がこのチェーンを介して駆動ローラ24に伝達され、駆動ローラ24が回転駆動される。
【0044】
従動ローラ25の表面にも、駆動ローラ24と同様のクッション材が貼り付けられている。この従動ローラ25は、台車10に対して前後方向に相対移動可能に設けられている。そのため、従動ローラ25を前後方向に移動させることにより、駆動ローラ24と従動ローラ25の間隔を調整して、種々のサイズ(径)のリール3を駆動ローラ24及び従動ローラ25を介して台車10上に配設することができるようになっている。
【0045】
ホース2が巻かれるリール3は、駆動ローラ24と従動ローラ25に接触した状態で台車10上に配設される。そして、ローラ駆動モータにより駆動ローラ24が回転駆動されると、駆動ローラ24及び従動ローラ25と接触するリール3が鉛直面内で回転駆動される。このように、駆動ローラ24及び従動ローラ25により下方から受け止められた状態で、駆動ローラ24によりリール3が回転駆動されるため、大径で重量の大きいホース2が巻かれた重量の大きなリール3が台車10に配設された場合でも、リール3を鉛直面内で安定的に回転させることができ、走行中のリール3の安定性も向上する。
【0046】
また、図1に示すように、水平フレーム10aにおいて、台車10の幅方向両側の位置には、左右1対の棒状のストッパー40が立設されており、このストッパー40によりリール3が幅方向に位置決めされており、リール3が幅方向にずれて台車10から転落したり、あるいは、リール3が倒れてしまうのが防止される。尚、図1には左側のストッパー40のみが示されているが、実際にはリール3の右側にもストッパー40が設けられている。
【0047】
さらに、図1に示すように、リール3の中心部には軸部材41が挿通されており、この軸部材41の両端には夫々スプロケット42が固定的に設けられている。一方、水平フレーム10aの駆動輪20の上側の位置にもスプロケット43が設けられている。そして、リール3の左右両側において、スプロケット43の近傍に一端が固定されたチェーン44が、台車10に固定されたスプロケット43と、リール3のスプロケット42に架け渡され、さらに、このチェーン44の他端が駆動ローラの近傍に固定されている。このように台車10とリール3とに亙って架け渡されたチェーン44により、リール3が駆動ローラ24及び従動ローラ25に押しつけられて台車10に固定されている。
【0048】
そのため、このチェーン44によりリール3が台車10に固定されるため、リール3が台車10から転落するのを防止できる。また、このチェーン44によりリール3が駆動ローラ24及び従動ローラ25に押しつけられるため、駆動ローラ24の回転がリール3に確実に伝達される。また、このチェーン44の長さは、スプロケット43を回転させることにより容易に変更できるため、異なるサイズ(径)のリール3を台車10に載せる場合に、チェーン44の長さを変更するだけでサイズの異なるリール3を確実に固定できる。
【0049】
図1〜図3に示すように、台車10の鉛直フレーム10bには、ホース2のリール3からの繰り出し、及び、リール3による巻取りをスムーズに行うために、リール3に巻取られていないホース2の部分を台車10に対して相対的に左右方向(リールの回転軸に平行な方向)に往復移動させる移動フレーム50が設けられている。
【0050】
移動フレーム50は、左右2枚の板部材55,56が、リール3に巻かれたホース2の幅よりも広い間隔を空けて連結された構造を有し、この移動フレーム50の板部材55,56には、夫々内側へ突出し且つ内部にネジ部を有する筒部55a,56aが一体形成されている。一方、鉛直フレーム10bの上端部には、左右方向に延びるネジ軸57が回転自在に設けられ、さらに、このネジ軸57の下側にはガイド軸58も設けられている。ネジ軸57には、移動フレーム50の筒部55a,56aが外嵌状に螺合しており、図示しないが、このネジ軸57は駆動モータと連結されている。さらに、移動フレーム50の板部材55,56にはガイド軸58が挿通されている。
【0051】
移動フレーム50の左右両側の板部材55,56には、送りローラ52が回転自在に枢支されている。当該送りローラ52の両端部には、鉛直方向に延びる2本のガイドローラ59が夫々回転自在に設けられている。そして、リール3から繰り出され、あるいは、リール3に巻取られるホース2は、2本のガイドローラ59の間において送りローラ52で前後方向に送られる。
【0052】
次に、本発明の実施形態に係るリール3の構成について説明する。
図4は、図1で示すリール3の側面拡大図である。図5は、図4におけるS1−S1断面矢視図を含むリール3の背面図である。図6は、図5におけるS2−S2断面矢視図であり、図7は、図6におけるリール本体31を矢印A方向から見た図である。尚、図4、図6、図7において、リール本体31の内側で固定されるホース継手2a及びホース2を二点鎖線で示している。
【0053】
図4、図5に示すように、リール3は、前記ホースが巻き回される円筒状のリール本体31と、当該リール本体31の両端おいて径方向外側に広がるように設けられたフランジ部32と、を備えている。リール本体31の円筒壁部には矩形状に開口した開口部31aが形成されている。リール本体31の内側には、当該開口部31aの縁部から連続してリール本体31の円筒中心軸に向かって凹状に形成される収納ケース33(継手支持部)が設けられている。
【0054】
図6、図7に示すように、当該収納ケース33は、開口部31aの円筒周方向両端の縁部から連続して延びる一対の側板34・35と、開口部31aの円筒軸方向両端の縁部から連続して延びる一対の側板36・37と、で角筒状の四面が形成されており、前記側板34〜37と端部において連結された底板38(底板部材)を備えて構成される。側板34〜37は、開口部31aの縁部から連続して一方向に延びており、底板38は当該側板34〜37に対して直交するようにリール本体31の円筒中心軸C1と開口部31aとの間に配置されている。
【0055】
底板38は、略中央部に直径約400mmの貫通孔38aが形成されている。また、底板38には、開口部31aとは逆側の表面から突出するようにU字状に屈曲した金属棒で形成されたU字金具39が、例えば溶接等により取り付けられている。当該U字金具39は、底板38に形成された貫通孔38aを挟んで一対取り付けられている。
【0056】
図4に示すように、リール本体31には、円筒軸方向端部において、円筒中心軸C1と直交するように円筒径方向に延びる第1架橋部61と、円筒中心軸と直交するとともに当該第1架橋部61と直交する第2架橋部62と、からなる十字支持部材63が取り付けられている。当該十字支持部材63は、第1架橋部61の延出方向が前記底板38の面と平行に配置されるようにリール本体31に対して取り付けられている。
【0057】
十字支持部材63は、リール本体31の円筒軸方向における円筒端部の開口部の全部を覆うものではなく、円筒端部の開口部を4つに区画するように設置される。即ち、当該十字支持部材63とリール本体31の端部の縁部とにより、外部から円筒内部に連通可能な4つの開口窓w1,w2,w3,w4が形成される。
【0058】
尚、図5に示すように、リール本体31の円筒軸方向における図4に示す側の端部のみならず、逆側の端部においても、十字支持部材63と同形状の十字支持部材64が設置される。更に、リール本体31の円筒軸方向における中央部にも、十字支持部材63と同形状の十字支持部材65がリール本体31の円筒内周面に対して設置される。尚、十字支持部材64、65における架橋部の延出方向は十字支持部材63の架橋部と同方向となるように配置される。
【0059】
また、十字支持部材63,64,65の中心には、貫通孔63a,64a,65aが形成されており、軸部材41(図1参照)を挿通可能に構成されている。
【0060】
次に、リール本体31へのホース2の巻きつけ方法について説明する。
図6に示すように、ホース2の先端に設けられたホース継手2aは、ホース2が延出する側とは逆側の端部を底板38に当接させた状態で固定される。例えば、ホース継手2aの側周面に形成された溝2bに沿って吊り紐の一端側を巻回して固定し、当該吊り紐の他端側を、貫通孔38aを介して、他端側をU字金具39に対して縛りつけることによりホース継手2aが底板38に対して固定される。尚、底板38に形成される貫通孔38aは、当該ホース継手2aの当接する端部の外径よりも小さくなるように形成されており、当該貫通孔38aを介してホース継手2aがリール本体31における円筒中心軸の側に移動することはない。
【0061】
また、ホース継手2aが収納ケース33に収納されて固縛された状態で、当該ホース継手2aのホース2が延出する側の端部が、リール本体31の円筒径方向においてリール本体31が描く円弧面と略等しい位置となるように、底板38の位置が調整されている。
【0062】
このようにホース継手2aがリール本体31に対して固定された状態で、リール3が回転することにより、ホース2がリール本体31に巻き回されていくことになる。
【0063】
次に、このリール3をホース敷設・回収装置1に積み降ろしする作業について、例えば、直線状に延出するとともに当該延出方向に対して垂直な方向に昇降可能な一対のアーム部を備えるフォークリフトにより当該リール3を昇降する場合について説明する。
【0064】
図4に示すように、リール本体31は、円筒軸方向の端部に4つの開口窓w1,w2,w3,w4を有している。これらの開口窓のうち、リール本体31の円筒軸方向から見て収納ケース33が存在しない側の開口窓である開口窓w1とw2と、が下方に位置するようにリール3を回転させた後、当該開口窓w1,w2から一対のアーム部をそれぞれ挿入して、十字支持部材63の第1架橋部61、及び、リール本体31の円筒軸方向中央部に設けられた十字支持部材65の底板38と平行に延びる第1架橋部65b(図5、図6参照)にアーム部を係止させてリール3を持ち上げることができる。
【0065】
収納ケース33は、円筒軸方向から見て、第1架橋部61における開口窓w1,w2側に向く端面61cよりも開口窓w1、w2側に突出しないように配置されているため、アーム部でリール3を持ち上げる際に、当該収納ケース33がアーム部に干渉することはない。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係るリール3は、ホース2を断面扁平状態となるように巻き取って収納するためのホース収納用リールであって、ホース2が巻き回される円筒状のリール本体31と、リール本体31の円筒壁部に設けられ、ホース2の先端に取り付けられるホース継手2aが挿入される開口部31aと、リール本体31の円筒内側において、開口部31aに挿入されたホース継手2aに対して当接可能に設けられた収納ケース33と、を備えている。
【0067】
この構成によると、ホース継手2aを開口部31aからリール本体31の内部に挿入することができるため、ホース2をリール3に巻き始める際に、ホース継手2aがリール3の表面から外部に突出することを防ぐことが可能となる。これにより、巻き崩れの発生を抑制し、かつ、リール3に巻き取り可能なホース2の長さをより長くすることが可能となる。また、ホース継手2aを開口部31aから挿入することで、ホース2の一端側の動きが開口部31aの縁部等により拘束されるため、ホース2をリール3に巻き取り易くなる。
【0068】
更に、開口部31aに挿入されたホース継手2aを収納ケース33に当接させることができるため、ホース継手2aを収納ケース33に当接させて固定することにより、円筒内側におけるホース継手2aの位置を固定することも容易に可能である。これにより、ホース継手2aの円筒内側での移動に伴ってホース2が円筒内側に引き込まれることを防止することができ、ホース2の巻き取りを安定して行うことができる。
【0069】
また、リール3において、収納ケース33は、リール本体31の内側において、開口部31aとリール本体31の円筒中心軸との間を遮るように配置された底板部材38を有する。
【0070】
この構成によると、底板部材38により、ホース継手2aがリール本体31の円筒中心軸側に移動することを防ぐことが可能となる。これにより、ホース継手2aが円筒中心軸側へ移動してホース2が過度に円筒内側に引き込まれることを防止することができ、ホース2の巻き取りを安定して行うことができる。また、収納ケース33は、円筒中心軸よりも開口部31a側の位置に形成されるため、リール3の中心部に軸部材41を挿通することができる。また、リール本体31の円筒内側における円筒中心軸を含むスペースを広く保つことができる。
【0071】
また、リール3において、リール本体31は、円筒軸方向における両端に開口窓w1,w2,w3,w4が形成されている。
【0072】
この構成によると、開口部31aからリール本体31の内側に挿入されたホース継手2aを、開口窓w1,w2,w3,w4を介してリール本体31の内側から収納ケース33に対して取り付けることが可能となる。
【0073】
また、リール3は、直線状に延出するとともに当該延出方向に対して垂直な方向に昇降可能なアーム部を備えるリフト手段を用いて、ホース敷設・回収装置1に積み降ろしされるリールである。そして、リール本体31には、開口窓w1,w2,w3,w4から当該リール本体31の円筒軸方向と平行に挿入された前記アーム部が上昇動作する際に、当該アーム部と係止可能な、リール本体31の円筒軸方向端部に位置する十字支持部材63と、リール本体31の円筒軸方向中心部に位置する十字支持部材65と、が設けられている。更に、収納ケース33は、上昇動作する前記アーム部が当接する位置よりも上方に位置するように設けられている。
【0074】
この構成によると、リフト手段のアーム部により、十字支持部材63及び十字支持部材65を介してリール3を昇降することが可能となる。また、十字支持部材63及び十字支持部材65は、リール本体31の円筒軸方向における2箇所に設置されているため、リフト手段により、リール3の積み降ろしを安定して行うことが可能となる。また、収納ケース33によりアーム部の挿入が妨げられることはなく、アーム部の挿入が容易に可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0075】
また、リール3において、底板38は、ホース継手2aの外径よりも小さい径の貫通孔38aを有する。
【0076】
この構成によると、底板38の貫通孔38aを介してリール本体31の円筒内側からホース継手2aを当該収納ケース33に対して固定することが可能となる。当該貫通孔38aはホース継手2aの外径よりも小さく、当該貫通孔38aを通過してホース継手2aがリール本体31の円筒中心軸側に移動することはない。したがって、ホース継手2aの円筒中心軸側への移動に伴ってホース2が過度に円筒内側に引き込まれることを防止することができる。また、ホース2に残存していた水が、巻回時に収納ケース33内に排出された場合にも、当該貫通孔38aを介して収納ケース33の外に排出することができ、収納ケース33に溜まった水によりホース継手2aや収納ケース33等が錆び易くなることを防止することが可能である。
【0077】
尚、本実施形態においては、円筒軸方向におけるリール本体31の両端に開口窓w1,w2,w3,w4が形成されているが、この場合に限らず、リール本体31の一端にのみ開口窓が形成され、他端は開口していない構成としてもよい。このようにリール本体31の片側にのみ開口窓が形成された構成においては、開口部31aが、リール本体31における開口窓が位置する端部側に形成されていることが望ましい。この場合、開口窓から開口部31aまでの距離がより近くなるため、開口部31aからリール本体31の内側に挿入されたホース継手2aを、開口窓を介してリール本体31の内側から収納ケース33に対して取り付ける作業が容易に可能となる。
【0078】
また、本実施形態においては、収納ケース33は、開口部31aの円筒周方向両端の縁部から連続して延びる一対の側板34・35と、開口部31aの円筒軸方向両端の縁部から連続して延びる一対の側板36・37と、で角筒状に四面全体を覆うように形成されているが、この構成に限定されない。例えば、開口部31aの円筒軸方向両端の縁部から連続して延びる一対の側板36・37に収納ケース内を目視可能な貫通孔を形成したり、また、当該一対の側板36・37を取り除いた構成とすることもできる。
【0079】
このように、収納ケース33を、リール本体31の円筒軸方向において開口するように形成することにより、収納ケース33における当該円筒軸方向に連通する開口を介して円筒内側からホース継手2aを当該収納ケース33に対して固定することが可能となる。また、本実施形態で示した構成のようにリール本体31の円筒軸方向の端部に開口窓w1,w2,w3,w4を有する構成においては、当該開口窓w1,w2,w3,w4及び収納ケース33における当該円筒軸方向に連通する開口を介して、リール本体31の外側からホース継手2aの固定状態を目視により容易に確認することができる。
【0080】
次に、第1実施形態に係るリール3の変形例について説明する。図8は、変形例に係るリール本体31の断面図であり、実施形態の説明で用いた図6に相当する断面図である。また、図9は、図8における矢印A方向から見た開口部31aを示す拡大図である。尚、実施形態に係るリール3と同一部材には同一符号を付し説明は省略する。
【0081】
図8に示すように、変形例に係るリールには、蓋部70が取り付けられており、開口部31aを開閉することが可能となっている。蓋部70は、リール本体31の円筒壁部と同じ曲率で湾曲した円弧面を備える略矩形状の金属板で形成されている。また、リール本体31の円筒軸方向における長さは、開口部31aと略同じ長さとなるように形成され、リール本体31の円周方向においては、蓋を閉じたときに開口部31aの約1/2〜3/4を覆うような長さとなるように形成されている。そして、蓋部70は、直線状に延びる一辺を開口部31aの円筒軸方向に延びる縁部に対して、円筒軸方向と平行な回転軸を中心に回動自在となるように、円筒軸方向に3つ設置されたヒンジ71により支持されている。
【0082】
また、収納ケース33の側板における開口部31aに近接した部分に、開口部31aの中心に向かって突出するストッパ部材72が固定されている。これにより、蓋部70の回動は、当該ストッパ部材72に当接することで規制されるため、リール本体31の円筒内部に過度に落ち込むことを防ぐことができる。尚、蓋部70がストッパ部材72に当接した位置において、当該蓋部70の円弧面が、リール本体31の円筒中心軸を中心とする円弧面と一致するように、ストッパ部材72が配置されている。
【0083】
ホース2を巻き取る際は、まず、蓋部70を開き、ホース継手2aを収納ケース33に挿入して固縛し、その後、リール3を巻き取り方向(図8において矢印H1で示す方向)に回転させる。リール3が1回転することにより、蓋部70は外表面をホース2によりリール本体31の円筒中心軸に近づく方向に付勢されるため、閉じた状態で保持されることになる。そして更にリール3の回転を継続することにより、リール本体31及び蓋部70の外表面にホース2が巻き回される。尚、蓋部70は開口部31aの全部を覆うものではないため、閉じた状態においても開口部31aの一部は開口した状態となっている。したがって、ホース2は、開口部31aにおける蓋部70に覆われていない部分を介してリール本体31の外側に延出する。
【0084】
また、図10及び図11において、図8及び図9に対応する他の変形例の構成を示すように、蓋部70を閉じた状態でリール本体31に固定可能な構成とすることも可能である。この構成では、蓋部70の四隅に貫通孔70aが形成されている。そして、収納ケース33の側板には、閉じた状態の蓋部70の貫通孔70aに対面するように、支持板73が突設されている。当該支持板73には、貫通孔70aに対応する位置にねじ孔73aが形成されている。これにより、蓋部70の貫通孔70aを介して、例えばボルトを当該ねじ孔に締めこむことで、ボルトヘッドと支持板とで蓋部70を挟みこんで固定することができる。
【0085】
このように、変形例に係るリールは、開口部31aの一部を開閉可能に覆う蓋部70を更に備え、蓋部70は、ホース2を引き出すことが可能な開口部分を残して開口部31aの一部を覆うことが可能である。
【0086】
この構成によると、ホース2の巻き始めにおいて、ホース継手2aを開口部31aから挿入した後に、蓋部70により開口部31aの一部を覆い、当該蓋部70が固定されることで、ホース継手2aが開口部31aからリール本体31の外側に出ることを防止することができる。また、蓋部70が閉じた状態においても、ホース2を引き出すことができる開口部分が残されているため、蓋部70を閉じたときにホース2がリール本体31との間で挟みこまれて傷つくことを防止できる。また、開口部31aを蓋部70で覆うことにより、リール本体31に直接接触するように巻き回されたホース2が、開口部31aの縁部により傷つくことを防止することができる。特に、リール本体31の円筒壁面の曲率に等しい円弧状の蓋部70を用いているため、巻回されたホース2がリール本体31及び蓋部70から局所的に受ける圧力をより小さくすることができるため有効である。
【0087】
尚、リール本体31に円筒壁部に形成する開口部31aは、必ずしも矩形状である場合に限られない。例えば、矩形状の開口角部が斜めに面取りされた形状であってよいし、また、ホース継手2aを挿入可能な円形状の開口部として形成してもよい。
【0088】
また、蓋部70が開口部31aを通って内側に落ち込むのを防ぐために、ストッパ部材72を設置する構成に限らず、リール本体31の円筒軸方向における蓋部70の幅を開口部31aの幅よりも大きくしてもよいし、また、開口部31aの縁部の一部を開口部31aの中心に向かって突出させてもよい。
【0089】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態及びその変形例に係るリールについて、図12〜図17を用いて説明する。図12〜図17は、リール本体31の円筒中心軸方向に垂直な断面(リール本体に形成された開口部を通る断面)を模式的に示す図であり、ホース継手2aがリール本体31の内側で固定された状態を示している。第2実施形態に係るリールは、ホース継手2aを収容する部分の形状が異なる点で、第1実施形態に係るリールと異なる。その他の部分については、第1実施形態に係るリールと同様に構成され、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0090】
図12に示すように、リール本体31には、円周方向において図中矢印D1で示す範囲が開口するように矩形状の開口部(以下開口部D1と称する)が形成されている。そして開口部D1の一辺をなす円筒中心軸方向と平行に延びる縁部からリール本体31の内側に向かって第1の平板81(第1板状部材)が延出している。当該第1の平板81は、リール本体31の円筒内側空間をリール本体31の円周方向において遮るように配置される。また、当該第1の平板81には、第1実施形態における底板38と同様に貫通孔(図略)が形成されているとともにU字金具39(図略)が設けられており、開口部D1から挿入された円筒状のホース継手2aの端面を当接させて固定可能となっている。尚、本実施形態においては、ホース継手2aは、固定のために当接させる端面を含む仮想平面と、当該ホース継手2aに接続されたホース2が屈曲せずに直線状に延出したときのホース中心軸E1(図12参照)と、が直交するように構成されている。
【0091】
また、リール本体31の円周方向において第1の平板81が延出する開口部D1の縁部に対向する他の縁部から、リール本体31の内側に向かって第2の平板82(第2板状部材)が延出しており、当該第2の平板82は延出方向の端部において第1の平板81の端部と連結されている。
【0092】
第1の平板81と第2の平板82とは、開口部を挟んでなす角度が90°よりも小さくなるように構成されている。また、第1の平板81に固定された当該ホース継手2aのホース中心軸E1が、開口部D1を通過するとともに、当該ホース中心軸E1の傾きが、リール本体31の仮想円弧面との交点における接線(図中一点鎖線F1で示す)の傾きに近づくように第1の平板81、第2の平板82、開口部D1が構成されている。即ち、ホース継手2aのホース中心軸E1が、リール本体31の円筒中心を通過しないように、当該ホース継手2aは、第1の平板81に固定されている。
【0093】
このように、第2実施形態に係るリールにおいて、第1の平板81に対して、円筒状に形成されたホース継手2aのホース中心軸E1が、開口部D1を通過するとともに、リール本体31の仮想円弧面に対して直交しないように、ホース継手2aを固定できるため、図12において矢印H1方向にリールを回転させてホース2をリール本体31に巻きつけた場合、ホース継手2aから延出するホース2が90°以上に屈曲することはない。したがって、ホース2をリール本体31に巻き取る際に、ホース継手2a近傍でホース2の内側(谷折される側)にしわが発生することを抑制できるとともにホース2の外側(山折される部分)に過度の引張力が作用することを抑制される。これにより、ホース2の劣化を防ぐことができる。
【0094】
また、矩形状の開口部D1の一辺をなす円筒中心軸方向と平行に延びる縁部から、リール本体31の円周方向において対向する他の縁部までが、第1の平板81と第2の平板82とにより連結されている。即ち、ホース継手2aを当接させて固定される第1の平板81は、開口部D1の縁部と、開口部D1の他の縁部から延びる第2の平板82とに支持されるため、単純な構成でホース継手2aを固定するための第1の平板81を強固に支持することが可能となる。尚、第1の平板81と第2の平板82とは、屈曲させた一の平板により構成することも可能である。
【0095】
また、第1の平板81と第2の平板82とが開口部D1を挟んでなす角度が90°以下となるように構成されている。これにより、リール本体31に形成された開口部D1の、円周方向における仮想円弧面に沿った長さを短くしつつ、ホース継手2aの収容空間を広く確保することができる。これにより、開口部D1をより小さい開口として構成できるため、リール本体の外周に巻き回されるホース2が開口部D1からリール本体31の内側に過度に落ち込むことを抑制することができる。尚、第1の平板81と第2の平板82とが開口部D1を挟んでなす角度は、図12において、第2の平板82と開口部D1の縁部との連結位置が、仮想円弧面とホース中心軸E1との交点に一致するように構成したときの角度以上であることが望ましい。
【0096】
また、図13に示すように、第1の平板81と第2の平板82とが直交するようにリールを構成することも可能である。この場合、第1の平板81に固定されるホース継手2aのホース中心軸E2が、第2の平板82と交差することはなく、ホース継手2aから延出するホース2が屈曲しにくい構成となる。したがって、リールにホースを巻き回した時に、ホース2の屈曲角度を小さくすることが可能な構成を容易に実現できる。
【0097】
また、図14に示すように、第1の平板81の端部と、開口部D3の縁部と、を連結する板状部材83が、リール本体31の円筒中心軸方向垂直断面において開口部D3側から見て凹状に屈曲するように形成してもよい。尚、板状部材83は、第1の平板81に固定されたホース継手2aのホース中心軸E3と交差しない程度に屈曲して形成され、当該板状部材83に連結する開口部D3の縁部がホース中心軸E3の近傍に位置するように構成されている。この場合、第1の平板81の近傍におけるホース継手2aの収容空間を広く確保しつつ、リール本体31に形成された開口部D3の、円周方向における仮想円弧面に沿った長さが短くなるように構成することが可能となる。これにより、ホース2をリール本体31に巻き取る際に、ホース2が開口部D3からリール本体31の内側に過度に落ち込むことを抑制することができる。
【0098】
また、図15に示すように、リール本体31に2つの開口部D4・D5を形成してホース継手2aを収容可能な継手収容部を2つ形成することもできる。これらの継手収容部G1・G2は、互いに、円周方向においてホース継手2aを固定する向きが反対方向となるようにリール本体31に形成されている。即ち、一方の継手収容部G1における平板84のホース継手2aに当接する当接面84aと、他方の継手収容部G2における平板85のホース継手2aに当接する当接面85aと、がリール本体31の円周方向において互いに異なる方向を向くように形成されている。
【0099】
この構成によると、ホース継手2aを2つの継手収容部G1・G2のうちの何れか一方に収容して固定することが可能になる。これにより、ホース継手2aを継手収容部G1に固定した場合は、リール本体31を図中矢印H1の方向に回転させて巻き回すことで、ホース2が過度に屈曲することを防ぐことができる。また、ホース継手2aを継手収容部G2に固定した場合は、リール本体31を図中矢印H2の方向に回転させて巻き回すことで、ホース2が過度に屈曲することを防ぐことができる。このように、リールの回転方向を一方向に限定することなく、ホース2の屈曲による損傷等を防ぐことができる。
【0100】
また、図16に示すように、リール本体31に開口部D6を形成し、当該開口部D6をリール本体31の円周方向において区画するとともに、リール本体31の円筒中心軸に向かって延びる平板86(第3板状部材)をリール本体31に設けた構成とすることもできる。この構成においては、リール本体31の円周方向において対向する開口部D6の縁部を連結するように、平板87が設けられている。平板86は、当該平板87と直交するように当該平板87に連結されるとともに、両面にホース継手2aを固定することができるように構成される。
【0101】
この構成によると、リールの回転方向を一方向に限定することなく、ホース2の損傷を防ぐことが可能な構成を、ホース継手2aの固定部材を複数設けることなく実現できる。したがって、リール構成部品の部品点数を減らし製造コストを削減することが可能となる。
【0102】
また、図17に示すように、ホース継手2aをリール本体31の内側で固定したときに、ホース継手2aからホース2が直線状に延出する方向におけるホース継手2aとホース2との接続部から開口部D7の縁部までの距離Lがホース2の径よりも長くなるように、開口部D7と、当該開口部D7の縁部から延びてホース継手2aを固定する板状部材88と、当該板状部材88の端部と開口部D7の他の縁部とを連結する屈曲した板状部材89と、を構成することも可能である。
【0103】
ここで、リール本体31にホース2を巻き回す際、ホース継手2aの近傍でホース2が屈曲してしまうと、屈曲部分においてホース内側(谷折される側)にしわが発生し易くなり、また、ホース外側(山折される部分)に引張力が作用し易くなる。そのため、ホースの損傷が起こり易くなってしまう。しかしながら、図17に示すようにホース継手2aとホース2との接続部から開口部D7の縁部までの距離Lがホース2の径よりも長くなるようにホース継手2aの収容部が構成されているため、ホース継手2aの近傍でホース2が屈曲することがなく、ホース2の損傷を防ぐことが可能となる。尚、本実施形態においては、ホース2は、開口部D7の縁部のうち、ホース継手2aとの接続部から最も離れて位置する縁部に沿わせてリール本体31に巻き回されている。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0105】
リール本体31の円筒内径が、ホース継手2aを円筒内部に収容できる程度に小さい内径となるように、リール本体31を形成してもよい。この場合、リール本体31に巻きつけることが可能なホースの長さをより長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施形態に係るホース収納用リールを備える敷設・回収装置の左側面図である。
【図2】図1に示す敷設・回収装置の平面図である。
【図3】図1に示す敷設・回収装置の背面図である。
【図4】図1に示す本発明の第1実施形態に係るホース収納用リールの側面拡大図である。
【図5】図4におけるS1−S1断面矢視図を含むリールの背面図である。
【図6】図5におけるS2−S2断面矢視図である。
【図7】図6におけるリール本体を矢印A方向から見た図である。
【図8】変形例に係るリール本体の断面図である。
【図9】図8における矢印A方向から見た開口部を示す拡大図である。
【図10】他の変形例に係るリール本体の断面図である。
【図11】図10における矢印A方向から見た開口部を示す拡大図である。
【図12】第2実施形態に係るホース収納用リールの断面模式図である。
【図13】変形例に係るホース収納用リールの断面模式図である。
【図14】変形例に係るホース収納用リールの断面模式図である。
【図15】変形例に係るホース収納用リールの断面模式図である。
【図16】変形例に係るホース収納用リールの断面模式図である。
【図17】変形例に係るホース収納用リールの断面模式図である。
【符号の説明】
【0107】
1 ホース敷設・回収装置
2 消防ホース(ホース)
2a ホース継手
3 リール
31 リール本体
31a 開口部
33 収納ケース(継手支持部)
38 底板(底板部材)
38a 貫通孔
63、64、65 十字支持部材(係止部材)
70 蓋部
81 第1の平板(第1板状部材)
82 第2の平板(第2板状部材)
83 板状部材(第2板状部材)
86 平板(第3板状部材)
w1〜w4 開口窓
G1、G2 継手支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースを断面扁平状態となるように巻き取って収納するためのホース収納用リールであって、
前記ホースが巻き回される円筒状のリール本体と、
前記リール本体の円筒壁部に設けられ、前記ホースの先端に取り付けられるホース継手が挿入される開口部と、
前記リール本体の円筒内側において、前記開口部に挿入された前記ホース継手に対して当接可能に設けられた継手支持部と、
を備えることを特徴とするホース収納用リール。
【請求項2】
前記継手支持部は、前記ホース継手から直線状に延出する前記ホースの中心軸が、前記開口部を通過するとともに、前記リール本体の仮想円弧面と直交しないように、前記ホース継手を固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のホース収納用リール。
【請求項3】
前記継手支持部は、前記ホース継手から前記ホースが直線状に延出する方向における前記ホース継手と前記ホースとの接続部から前記開口部の縁部までの距離が前記ホースの径よりも長くなる位置に、前記ホース継手を固定可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のホース収納用リール。
【請求項4】
前記継手支持部は、
前記開口部の縁部から前記リール本体の内側に向かって延出するとともに、前記リール本体の円筒内側空間を当該リール本体の円周方向において遮るように配置され、前記開口部から挿入された前記ホース継手の端面を当接させて固定可能な第1板状部材と、
前記第1板状部材が延出する前記開口部の縁部と前記円周方向において対向する他の縁部から、前記リール本体の内側に向かって延出して当該第1板状部材に連結する第2板状部材と、
を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のホース収納用リール。
【請求項5】
前記第2板状部材は、前記リール本体の円筒中心軸方向垂直断面において前記開口部側から見て凹状に屈曲するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のホース収納用リール。
【請求項6】
前記リール本体に、前記開口部と前記継手支持部とを有する継手収容部が2つ設けられており、
一方の前記継手収容部における前記第1板状部材の前記ホース継手に当接する当接面と、
他方の前記継手収容部における前記第1板状部材の前記ホース継手に当接する当接面と、が前記リール本体の円周方向において互いに異なる方向を向くように形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のホース収納用リール。
【請求項7】
前記継手支持部は、
前記開口部を前記リール本体の円周方向において区画するとともに、当該リール本体の円筒中心軸に向かって延びる第3板状部材を備えており、当該第3板状部材は、両面において前記ホース継手の端面を当接させて固定可能であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のホース収納用リール。
【請求項8】
前記継手支持部は、前記リール本体の内側において、前記開口部と前記リール本体の円筒中心軸との間を遮るように配置された底板部材を有する収納ケースであることを特徴とする請求項1に記載のホース収納用リール。
【請求項9】
前記収納ケースは、前記リール本体の円筒中心軸方向において開口するように形成されていることを特徴とする請求項8に記載のホース収納用リール。
【請求項10】
前記底板部材は、前記ホース継手の外径よりも小さい径の貫通孔を有することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のホース収納用リール。
【請求項11】
前記リール本体は、円筒中心軸方向における両端の少なくとも何れか一方に開口窓が形成されていることを特徴とする請求項1〜10の少なくとも何れか1項に記載のホース収納用リール。
【請求項12】
前記開口部は、前記リール本体における前記開口窓が位置する端部側に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のホース収納用リール。
【請求項13】
直線状に延出するとともに当該延出方向に対して垂直な方向に昇降可能なアーム部を備えるリフト手段を用いて、ホース敷設・回収装置に積み降ろしされる、請求項11又は請求項12に記載のホース収納用リールであって、
前記リール本体には、前記開口窓から当該リール本体の円筒中心軸方向と平行に挿入された前記アーム部が上昇動作する際に、当該円筒中心軸方向における少なくとも2箇所において当該アーム部と係止可能な係止部材が設けられており、
前記継手支持部は、上昇動作する前記アーム部と前記係止部材とが当接する位置よりも上方に位置するように設けられていることを特徴とするホース収納用リール。
【請求項14】
前記開口部の一部を開閉可能に覆う蓋部を更に備え、
前記蓋部は、前記ホースを引き出すことが可能な開口部分を残して前記開口部の一部を覆うことが可能であることを特徴とする請求項1〜13の少なくともいずれか1項に記載のホース収納用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−297019(P2008−297019A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141316(P2007−141316)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】