ホームネットワークにおいてQoSを調和させる方法およびシステム
【課題】この発明は、ホームネットワークにおいてQoSを調和させる方法およびシステムを提供する。
【解決手段】マルチメディアストリームにおけるパケットは、標準のプロトコルによって指定された、関連する標準の優先順位を有する。ホームゲートウェイによって受け取られた入力パケットの標準の優先順位は、調和された優先順位へ変換される。その後、入力パケットは調和された優先順位によりホームゲートウェイにおいて処理され、その処理の後に、調和された優先順位から対応する出力パケットにおける標準の優先順位へ変換される。
【解決手段】マルチメディアストリームにおけるパケットは、標準のプロトコルによって指定された、関連する標準の優先順位を有する。ホームゲートウェイによって受け取られた入力パケットの標準の優先順位は、調和された優先順位へ変換される。その後、入力パケットは調和された優先順位によりホームゲートウェイにおいて処理され、その処理の後に、調和された優先順位から対応する出力パケットにおける標準の優先順位へ変換される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的に、通信プロトコルのためのサービス品質(QoS)に関し、特にホームネットワークにおいて異なるインターネットプロトコル標準用のQoSを調和させることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホームネットワーク
マルチメディア装置は住宅向きのセッティングにおいて共通である。これらの装置は、パソコン(PC)、テレビ、プリンタ、レコーダーおよびオーディオ再生装置などを含む。従来から、これらの装置は、異なるアプリケーションプログラムを使用して、独立して作動する。典型的には、これらの装置は、マルチメディア、インターネットへのアクセスおよびサービスプロバイダを共有しない。新生のホームネットワーキング技術によって、これらの装置は互いに通信することができ、またホームゲートウェイ経由でアクセスネットワークに接続されることができる。アクセスネットワークがサービスプロバイダに接続されると、マルチメディアコンテンツを、パケットの形で、インターネットを通じてそれらの装置に流すことができる。
【0003】
パケット
図1Aは、従来のインターネットパケット10を示す。インターネットは、トランスポートレイヤプロトコル(TCP)またはユーザデータグラムプロトコル(UDP)を使用することができる。UDPが使用される場合、配信が失敗したときに配送元(ソース)へ通知されないので、このサービスは信頼性が低い。パケットは、TCP/IPのコンテキストにおいては、一般にデータグラムと呼ばれる。
【0004】
パケットは、メディアアクセス(MAC)ヘッダ20、IPヘッダ30、TCP/UDPヘッダ40およびペイロードデータ50を含む。この発明に関係するフィールドは、MACヘッダ内のQoSマーキング21、IPヘッダ内の宛先(送信先)IPアドレス31と差別化サービス(DS)フィールド32、およびTCP/UDPヘッダ内のポート番号41である。
【0005】
DSフィールド
差別化されたサービス(DiffServ)は、「the Internet Engineering Task Force (IETF) Request for Comment (RFC) 2474」において定義されている。DSフィールドはIPヘッダに含まれている。DiffServは、部分的に、サービス品質(QoS)を指定する。表1に示されるように、DSフィールドは8ビットを含む。
【0006】
【表1】
【0007】
6つの最上位ビットは、差別化サービスコードポイント(DSCP)と呼ばれる。利用可能な6ビットで、合計64のDSCPが利用可能であり、これにより、64の標準インタネットサービスプロトコルの区別または優先順位を可能とする。
【0008】
現在、そのフィールドでのすべての可能な値のサブセットだけがDiffServルータによって使用される。DSCP。2つの最下位ビットが、輻輳情報通知(ECN)のために使用される。
【0009】
DiffServ対応のルータおよび他のネットワークエレメントは、ネットワークトラフィックを区別するために、すなわちパケットがローカルネットワークに入る毎に、該パケットを分類するために、DSCPを使用する。DiffServは、動作集約(BA)分類法を使用する。このBA分類法では、パケットはDSCP値にのみ基づいて分類される。同一のDSCP値を持っている異なるソースからのパケットは、BAとしてグループ化され、同一の方法で処理される。ホップ毎の振舞(挙動)(PHB)は、特別のBAに適用されたDSノードの外部的に観察可能な転送振舞の記述である。
【0010】
DiffServ標準は、優先順位の設定のために、DSフィールドの3つの最上位ビット、すなわちDS5、DS4およびDS3を利用する。DSCPの他の3ビットは、より細かな優先順位細分性を提供する。
【0011】
実際には、ほとんどのネットワークは次の一般に定義されるPHBを使用する。ディフォルトPHB、これは典型的にはベストエフォートのトラフィックである。完全優先転送(緊急転送)(EF)PHB、これは低損失および低い待ち時間トラフィックに専用である。相対的優先転送(保証転送)(AF)PHB、これは条件付きの転送の保証を与える。クラスセレクタ(CS)PHB、これらはIP優先フィールドを有する後方互換性を維持するために定義される。
【0012】
クラスセレクタコードポイントは形式「xxx000」である。最初の3ビットはIP優先ビットである。各IP優先値はそれぞれDiffServクラスに変換することができる。パケットがIP優先マーキングを使用した非DiffServ感知ルータから受け取られる場合、DiffServルータは今までどおり符号化をクラスセレクタコードポイントとして決定することができる。
【0013】
「The Request For Comment (RFC) 2597」(世界に公開されているインターネットの各種の規約)は、プロバイダDSドメインがカストマーDSドメインから受け取ったIPパケットに対して異なるレベルの転送保証を提示する手段として、相対的優先転送(AF)PHBを定義する。トラフィックが或る購読された料金を超過しない限り、相対的優先転送は配信の保証をする。輻輳が発生する場合には、購読料を超過するトラフィックが低下する確率が高くなる。
【0014】
AF PHBはAFクラスに或る量の帯域幅を保証し、利用可能な場合には、追加の帯域幅へのアクセスを許容する。4つのAFクラス、AF4x〜AF1x、がある。
【0015】
各クラス内では、ドロップ(低下)確率に基づいた3つのサービスレベルがある。輻輳が発生する場合には、購読料を超過するトラフィックが低下する確率が高くなる。次のテーブルは確率を有するAFクラスを指定するためのDSCPコーディングを図示する。ビットDS5、DS4およびDS3はそのクラスを定義する。ビットDS2およびDS1はドロップ(低下)確率を指定する。ビットDS0は常に0である。表2は、相対的優先転送PHBに対するDSCP値を示す。
【0016】
【表2】
【0017】
表2において、Dropは「ドロップ(低下)」、Lowは「低い」、Mediumは「中間」、Highは「高い」をそれぞれ表す。
表3は、2進法、10進法、16進法でのDSCPの値を示す。
【0018】
【表3】
【0019】
ホームネットワークにおけるQoS
QoSを提供する1つの方法は、クラスに基づく。クラスに基づいたQoSでは、パケットは、少数のクラス、典型的には4〜8、に集められる。クラスに基づいたQoSは、明示的なリソース(資源)管理を必要としないので、比較的低い複雑さを持っており、装置がセッションを維持する必要はないので、スケーラビリティを提示する。クラスに基づいたQoSは優先順位を使用するが、特別のQoSは保証されない。
【0020】
多くの異なる技術および標準のインタネットサービスプロトコルが、ホームネットワークにおけるクラスに基づいたQoSを提供することが知られている。[DSL−F TR133] DSL Forum (Note1) TR−133 (2005);DSLHome TR−064 Extensions for Service Differentiation;[DLNA] IEC 62481−1(2006);およびDLNA Home networked device interoperability guidelines Part 1:Architecture and Protocols;[DVB−IP] ETSI TS 102 034(2007);Digital Video Broadcasting (DVB);Transport of MPEG−2 TS Based DVB Services over IP Based Networks;[HGI] Home Gateway Initiative (2006); Home Gateway Technical Requirements:Release 1.0;および[UPnP] UPnP QoS (2006),UPnP QoS Architecture:2.を参照。
【0021】
これらのプロトコルの全部はクラスベースのQoS方法を採用するが、不整合性がまだある。たとえば、異なるプロトコルが異なる数の優先順位を有し、また、同一のDSが異なるプロトコルにおいて異なる優先順位を表わすことがある。
【0022】
表4は、これらの不整合性のうちのいくつかを要約する。3つの一般に使用されるプロトコルに対する優先順位は、列にリストされる。同一の優先順位のDSCP値は同一の列にある。なお、これらのプロトコルにおける異なる優先順位に与えられた相対的優先順位は、単に例示的なケースを表わしている。DLNAの中の2番目に高い優先順位(0x28)は、たとえば、DVB−IPの中の最高優先順位(0x2E)およびHGIの中の3番目に高い優先順位(0x28)と全体的に同一のレベルにある。実際の展開においては、これとは異なるスケーリングを使用することができる。
【0023】
【表4】
【0024】
優先順位は、一般に、次のように分類することができる。すなわち、ベストエフォート(BE)、BEより低い、およびBEより高い。表4に示されるように、異なるプロトコルは異なる数のクラスを有している。また、プロトコルはそれぞれ、その優先順位に対して異なるコーディングを有している。たとえば、DVB−IPの中の0x1AおよびHGIの中の0x18は、同一の優先順位を表わす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ホームゲートウェイは、調和された優先順位にしたがってリソースを割り当てることができ、リソースは帯域幅、スケジューリング、バッファー、多数の再送信の試み、およびパケットドロップ(低下)確率を含む。しかしながら、表4の不整合性は優先順位とリソース(資源)割当に関する混乱に至り、そのために、QoS手法の効率を低減させることがある。
【0026】
要約すると、異なるプロトコルを使用するストリームがホームゲートウェイに到着する場合、優先順位を一貫して調和させて決定する必要がある。調和を達成するために、様々な基準によって指定されたプロトコルを修正変更することは実際には不可能である。したがって、既存のプロトコルを修正変更せずに、優先順位を調和させることができる手法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この発明の実施の形態1は、ホームゲートウェイがマルチメディア装置をアクセスネットワークに接続するような、該マルチメディア装置を含むホームネットワークのために、QoSを調和させるものである。調和(ハーモナイゼイション)は、ホームゲートウェイ内でインプリメントされたプロトコルスタックの2つの調和レイヤにおいて行なわれる。上位の調和レイヤは、アプリケーションレイヤとトランスポートレイヤとの間にある。下位の調和レイヤはIPレイヤとデータリンクレイヤとの間にある。調和は、アクセスネットワークおよびそれらの装置に対して透明である。調和は、マッピングテーブルを使用して、標準の優先順位と調和された優先順位との間で変換を行う。
【発明の効果】
【0028】
この発明の実施の形態1では、優先順位も、ユーザのためのGUIに基づいたインタフェースにより、またはプログラムの実行により、またはディフォルト優先順位の許容により、設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】従来のインターネットパケットのブロック図である。
【図1B】この発明の実施の形態1によって使用されるホームネットワークのブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による調和レイヤを含むプロトコルスタックのブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるプロトコルを調和させる概略図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるホームゲートウェイにおけるメモリのブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるホームゲートウェイにより維持される調和マッピングテーブルである。
【図6】この発明の実施の形態1による、DSCP値からデータリンクレイヤのQoSマーキングへのマッピングテーブルである。
【図7】この発明の実施の形態1による、ホームゲートウェイにおけるQoS調和プロセスのブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態1による、IPレイヤにおけるキューイングプロセスのブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態1によるIPレイヤプロセスの概略図である。
【図10】この発明の実施の形態1によるスマートグリッドとしてのホームネットワークのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態1.
図1Bは、この発明の実施の形態1を使用するホームネットワーク100を示す。そのネットワークは住宅101で作動する。住宅は、ホームゲートウェイ110、およびテレビ、パソコン(PC)、プリンタ、セットトップボックス(STB)などのマルチメディア装置102を含む。ホームゲートウェイ110はそれらの装置を相互に接続し、またアクセスネットワーク120に接続する。したがって、ホームネットワークはアクセスネットワークの延長である。異なるプロトコルを有するマルチメディアストリームは、ホームゲートウェイによってソースから宛先(送信先)へ流される。それらのソースは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)130および上記装置102であり得る。ISPは、インターネット標準のスイートに応じるあらゆるデータソース(送信側)またはシンク(受信側)として広く定義される。標準化されたインターネットプロトコルスイート(TCP/IP)は、何十億ものユーザおよび装置のために世界的に役立つ。
【0031】
宛先は、またISPおよび上記装置であり得る。ISPはデータストリームを装置へ転送し、また、装置はコマンドまたはデータを送り返すことができる。同様に、装置は互いのもとへコマンドやデータストリームを送ることができる。一般に、ホームゲートウェイは、ソースでも宛先(送信先)でも無い。
【0032】
図2は、この発明の実施の形態1によるプロトコルスタック200のレイヤ(層)を示す。この発明の目的のために、我々は、ホームゲートウェイがソースからの入力パケット803を出力パケット804として宛先へ送っている場合を、主に想定している。
【0033】
上記スタックは次のレイヤを含む。すなわち、物理的レイヤ201、データリンクレイヤ202、IPレイヤ203、トランスポートレイヤ204、およびアプリケーションレイヤ205。プロトコルスタックは、特定のプロトコルによって、他のレイヤまたはそれらのレイヤのバリエーション(変形)を含み得ることが理解されるであろう。
【0034】
スタックは、また上位の調和レイヤ801およびより下位の調和レイヤ802を含む。上位の調和レイヤは、アプリケーションレイヤとトランスポートレイヤとの間にある。下位の調和レイヤ802は、IPレイヤとデータリンクレイヤとの間にある。図2に示されるように、パケットがアプリケーションレイヤからフィジカルレイヤへ通されると、変換811−812が行なわれる。
【0035】
従来のレイヤと異なり、調和レイヤはデータグラムにヘッダを付加せず、またはデータグラムからヘッダを削除しない。代わりに、調和レイヤは、この発明の実施の形態1によって調和を行うためにIPヘッダを修正変更する。その変更は、標準のインタネットサービスプロトコルから調和されたプロトコルへ優先順位を変換する。上述したように、その変更は、上記ソースと宛先装置に対して透明である。
【0036】
異なるプロトコルは異なるQoSポリシーを持つので、調和は、その調和された優先順位により、すべてのストリームへの正確なリソース割当を促進する。調和された優先順位は、すべての従来のインターネットプロトコルのすべての標準の優先順位に対して適用可能である。
【0037】
図3は、3例の従来の標準プロトコルDLNA 301、DVB−IP 302およびHGI 303に対して異なるプロトコルを調和させる方法を示す。図3に示されるように、各プロトコルに対して、最上段のクラスは最高優先順位を有し、また、最下段のクラスは最下位優先度を有する。DLNAは、ベストエフォート(BE)より上に3つのクラスおよびBEより下に1のクラスを有する。DVB−IPはBE 310の上に4つのクラスのみ有し、HGIはBEより上5つのクラス、またBEの下に2のクラスを有する。
【0038】
ユーザまたはネットワーク管理者は、異なるプロトコルの優先順位の関係(相対性)を選択することができる。図3では、我々は、相対的優先順位を決定するために、表4の優先順位スケーリング例にしたがう。図3では、同一のハッチングは同一の優先順位を表わす。これらの3つのプロトコルのいくつかのクラスは同一の優先順位を有する。たとえば、DVB−IPの中の0x2EおよびHGIとDLNAの中の0x28は、同一の優先順位を表わす。異なるクラスを併合した後に、9つのクラスの調和されたプロトコル304が得られる。
【0039】
同一の優先順位を有する異なるプロトコルのクラスは、調和されたプロトコル304における同一のクラスに変換される。たとえば、DVB−IPの中の0x2EおよびHGIとDLNAの中の0x28は、調和されたプロトコルにおける0x1Aに変換される。調和されたプロトコルにおける2つのクラスがBEより下にあるので、DiffServが相対的優先順位を決定することができるように、BEクラスに対する適切なDSCP値が選択されている。図3では、我々はBEに対して0x16を選択する。
【0040】
調和のために、或る演繹的な情報が、図4に示されるように、ホームゲートウェイのメモリ410に格納される。この情報は、任意のプロトコルのDSCP値を調和されたプロトコルのDSCP値に変換する調和マッピングテーブル500を含む。ホームネットワークにおけるいくつかの装置はIPヘッダの中のDSCP値を解釈することができないので、該装置は、MACヘッダ21内のレイヤ−2 QoSマーキングを使用する必要がある。
【0041】
したがって、各プロトコルに対して、DSCP値をDLLのQoSマーキングに変換するDSCPマッピングテーブル600も含まれている。IDマッピングテーブル700は宛先(送信先)IPアドレスとポート番号を対応するプロトコル識別(IS)に変換する。メモリは、またQoSポリシー403を格納する。
【0042】
図5は、マッピングテーブル500の例を示す。テーブル500における列は、プロトコル名501、DSCP値502、および調和されたプロトコル503のDSCPである。実際には、マッピングテーブルは、調和される必要があるすべての異なるプロトコルに対する項目を有している。
【0043】
図6は、DSCPマッピングテーブル600の例を示す。このテーブルはプロトコルHGI向けである。HGIに対して、データリンクレイヤは、標準IEEE 802.11または802.1Dを採用することができる。図6には3列あり、それらは、DSCP値601、802.11 602のQoSマーキング、および802.1D 603のQoSマーキングである。DSCP値は、DLLプロトコルおよびこのマッピングテーブルに基づき、対応するDLL QoSマーキングに翻訳される。
【0044】
図7は、IDマッピングテーブル700の例を示す。図7には、3列あり、それらは、宛先(送信先)IPアドレス701、宛先(送信先)ポートNo.702およびプロトコル703である。与えられたストリームに対して、宛先IPアドレスとポート番号が知られている場合、対応するプロトコルはこのテーブルから決定される。
【0045】
図8はホームゲートウェイにおける調和プロセスを示す。調和プロセスは、単にダウンストリームトラフィック、すなわちアプリケーションレイヤ205からフィジカルレイヤ201に渡されたパケットに適用される。パケットに対して、アプリケーションレイヤ205は、たとえば購読、サービスおよびプロトコルの型式に基づいて、DSCP値502を生成する。
【0046】
アプリケーションレイヤは、宛先IPアドレスおよびポート番号などのような他の関連情報と共に、DSCP値およびサービス・プロトコルIDを上位の調和レイヤ801へ渡す。上位の調和レイヤ801は、調和されたDSCP値503を生成するために、調和マッピングテーブル500を使用する。そのDSCP値は調和されたDSCP値に置換される。IPレイヤ203は、調和されたDSCP値にしたがってQoS要件を実現するために、DiffServ QoSポリシー403にしたがう。IPレイヤプロセスの詳細が図9に対して記述される。
【0047】
上記ストリームは下位の調和レイヤ802へ通過し、該調和レイヤ802は、該ストリームに対するプロトコルIDを得るためにマッピングテーブル700を使用する。その後、マッピングテーブル500に基づいて、逆変換が行なわれ、また、そのストリームのオリジナル(元)のDSCP値が回復される。その調和されたDSCP値はオリジナルの値で置換される。そのストリームがデータリンクレイヤに到着すると、マッピングテーブル600により、DLLのQoSマーキングが得られ、MACヘッダ20に書き込まれる。
【0048】
図9はIPレイヤのキューイング(待ち行列)プロセスを示す。我々の例において、調和されたプロトコルには9つの優先順位またはクラスがある。したがって、9つの対応するキュー901がある。キュー1は最高優先順位を有しており、また、キュー9は最下位優先順位を有する。入力パケット803がIPレイヤ203に入ると、該パケットは、調和されたDSCP値503に基づいて、QoSポリシー403によってキュー(待ち行列)に入れられる。
【0049】
スマートグリッド
図10は、ホームネットワークが電気製品、照明器具、HVAC設備、セキュリティアラーム、センサなどの、住宅内の様々な電気装置1040に接続された、スマートグリッドネットワーク1020の一部である、この発明の実施の形態1を示す。スマートグリッドは上述されたホームネットワークと共存することができることに注目すべきである。
【0050】
スマートグリッドは、ホームネットワーキング技術として、たとえばジグビー(ZigBee)、X10、ZーWaveなどのスマートグリッドに使用することができる非IPネットワーク1020の1つの型式である。図10では、非IPネットワーク1020は、非IP−インターネットプロトコル(non−IP to Internet Protocol)ブリッジまたは非IP−イーサネットブリッジ1010を介してホームゲートウェイと接続される。そのブリッジはマッピングテーブル1030を使用して、非IPパケットをIPパケットに変換する。
【0051】
宛先IPアドレス1002および調和されたDSCP値1002は、宛先(送信先)非IPアドレス1001に基づいたマッピングテーブルから得ることができる。調和されたDSCP値で、新しく生成されたIPパケットをホームゲートウェイにおける適切な優先順位で処理することができる。単一のフィジカル(物理的)デバイスがホームゲートウェイとブリッジの両方を行うことができることも、注目されるべきである。
【0052】
この発明の実施の形態1では、優先順位も、ユーザのためのGUIに基づいたインタフェースにより、またはプログラムの実行により、またはディフォルト優先順位の許容により、設定することができる。
【0053】
この発明は好ましい実施の形態を例として記述されたが、この発明の趣旨および範囲内で様々な他の改変および変更を行うことができることが理解されるべきである。したがって、この発明の真実の趣旨および範囲内に入るような、すべての変更例および変形例をカバーすることが、添付のクレームの目的である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的に、通信プロトコルのためのサービス品質(QoS)に関し、特にホームネットワークにおいて異なるインターネットプロトコル標準用のQoSを調和させることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホームネットワーク
マルチメディア装置は住宅向きのセッティングにおいて共通である。これらの装置は、パソコン(PC)、テレビ、プリンタ、レコーダーおよびオーディオ再生装置などを含む。従来から、これらの装置は、異なるアプリケーションプログラムを使用して、独立して作動する。典型的には、これらの装置は、マルチメディア、インターネットへのアクセスおよびサービスプロバイダを共有しない。新生のホームネットワーキング技術によって、これらの装置は互いに通信することができ、またホームゲートウェイ経由でアクセスネットワークに接続されることができる。アクセスネットワークがサービスプロバイダに接続されると、マルチメディアコンテンツを、パケットの形で、インターネットを通じてそれらの装置に流すことができる。
【0003】
パケット
図1Aは、従来のインターネットパケット10を示す。インターネットは、トランスポートレイヤプロトコル(TCP)またはユーザデータグラムプロトコル(UDP)を使用することができる。UDPが使用される場合、配信が失敗したときに配送元(ソース)へ通知されないので、このサービスは信頼性が低い。パケットは、TCP/IPのコンテキストにおいては、一般にデータグラムと呼ばれる。
【0004】
パケットは、メディアアクセス(MAC)ヘッダ20、IPヘッダ30、TCP/UDPヘッダ40およびペイロードデータ50を含む。この発明に関係するフィールドは、MACヘッダ内のQoSマーキング21、IPヘッダ内の宛先(送信先)IPアドレス31と差別化サービス(DS)フィールド32、およびTCP/UDPヘッダ内のポート番号41である。
【0005】
DSフィールド
差別化されたサービス(DiffServ)は、「the Internet Engineering Task Force (IETF) Request for Comment (RFC) 2474」において定義されている。DSフィールドはIPヘッダに含まれている。DiffServは、部分的に、サービス品質(QoS)を指定する。表1に示されるように、DSフィールドは8ビットを含む。
【0006】
【表1】
【0007】
6つの最上位ビットは、差別化サービスコードポイント(DSCP)と呼ばれる。利用可能な6ビットで、合計64のDSCPが利用可能であり、これにより、64の標準インタネットサービスプロトコルの区別または優先順位を可能とする。
【0008】
現在、そのフィールドでのすべての可能な値のサブセットだけがDiffServルータによって使用される。DSCP。2つの最下位ビットが、輻輳情報通知(ECN)のために使用される。
【0009】
DiffServ対応のルータおよび他のネットワークエレメントは、ネットワークトラフィックを区別するために、すなわちパケットがローカルネットワークに入る毎に、該パケットを分類するために、DSCPを使用する。DiffServは、動作集約(BA)分類法を使用する。このBA分類法では、パケットはDSCP値にのみ基づいて分類される。同一のDSCP値を持っている異なるソースからのパケットは、BAとしてグループ化され、同一の方法で処理される。ホップ毎の振舞(挙動)(PHB)は、特別のBAに適用されたDSノードの外部的に観察可能な転送振舞の記述である。
【0010】
DiffServ標準は、優先順位の設定のために、DSフィールドの3つの最上位ビット、すなわちDS5、DS4およびDS3を利用する。DSCPの他の3ビットは、より細かな優先順位細分性を提供する。
【0011】
実際には、ほとんどのネットワークは次の一般に定義されるPHBを使用する。ディフォルトPHB、これは典型的にはベストエフォートのトラフィックである。完全優先転送(緊急転送)(EF)PHB、これは低損失および低い待ち時間トラフィックに専用である。相対的優先転送(保証転送)(AF)PHB、これは条件付きの転送の保証を与える。クラスセレクタ(CS)PHB、これらはIP優先フィールドを有する後方互換性を維持するために定義される。
【0012】
クラスセレクタコードポイントは形式「xxx000」である。最初の3ビットはIP優先ビットである。各IP優先値はそれぞれDiffServクラスに変換することができる。パケットがIP優先マーキングを使用した非DiffServ感知ルータから受け取られる場合、DiffServルータは今までどおり符号化をクラスセレクタコードポイントとして決定することができる。
【0013】
「The Request For Comment (RFC) 2597」(世界に公開されているインターネットの各種の規約)は、プロバイダDSドメインがカストマーDSドメインから受け取ったIPパケットに対して異なるレベルの転送保証を提示する手段として、相対的優先転送(AF)PHBを定義する。トラフィックが或る購読された料金を超過しない限り、相対的優先転送は配信の保証をする。輻輳が発生する場合には、購読料を超過するトラフィックが低下する確率が高くなる。
【0014】
AF PHBはAFクラスに或る量の帯域幅を保証し、利用可能な場合には、追加の帯域幅へのアクセスを許容する。4つのAFクラス、AF4x〜AF1x、がある。
【0015】
各クラス内では、ドロップ(低下)確率に基づいた3つのサービスレベルがある。輻輳が発生する場合には、購読料を超過するトラフィックが低下する確率が高くなる。次のテーブルは確率を有するAFクラスを指定するためのDSCPコーディングを図示する。ビットDS5、DS4およびDS3はそのクラスを定義する。ビットDS2およびDS1はドロップ(低下)確率を指定する。ビットDS0は常に0である。表2は、相対的優先転送PHBに対するDSCP値を示す。
【0016】
【表2】
【0017】
表2において、Dropは「ドロップ(低下)」、Lowは「低い」、Mediumは「中間」、Highは「高い」をそれぞれ表す。
表3は、2進法、10進法、16進法でのDSCPの値を示す。
【0018】
【表3】
【0019】
ホームネットワークにおけるQoS
QoSを提供する1つの方法は、クラスに基づく。クラスに基づいたQoSでは、パケットは、少数のクラス、典型的には4〜8、に集められる。クラスに基づいたQoSは、明示的なリソース(資源)管理を必要としないので、比較的低い複雑さを持っており、装置がセッションを維持する必要はないので、スケーラビリティを提示する。クラスに基づいたQoSは優先順位を使用するが、特別のQoSは保証されない。
【0020】
多くの異なる技術および標準のインタネットサービスプロトコルが、ホームネットワークにおけるクラスに基づいたQoSを提供することが知られている。[DSL−F TR133] DSL Forum (Note1) TR−133 (2005);DSLHome TR−064 Extensions for Service Differentiation;[DLNA] IEC 62481−1(2006);およびDLNA Home networked device interoperability guidelines Part 1:Architecture and Protocols;[DVB−IP] ETSI TS 102 034(2007);Digital Video Broadcasting (DVB);Transport of MPEG−2 TS Based DVB Services over IP Based Networks;[HGI] Home Gateway Initiative (2006); Home Gateway Technical Requirements:Release 1.0;および[UPnP] UPnP QoS (2006),UPnP QoS Architecture:2.を参照。
【0021】
これらのプロトコルの全部はクラスベースのQoS方法を採用するが、不整合性がまだある。たとえば、異なるプロトコルが異なる数の優先順位を有し、また、同一のDSが異なるプロトコルにおいて異なる優先順位を表わすことがある。
【0022】
表4は、これらの不整合性のうちのいくつかを要約する。3つの一般に使用されるプロトコルに対する優先順位は、列にリストされる。同一の優先順位のDSCP値は同一の列にある。なお、これらのプロトコルにおける異なる優先順位に与えられた相対的優先順位は、単に例示的なケースを表わしている。DLNAの中の2番目に高い優先順位(0x28)は、たとえば、DVB−IPの中の最高優先順位(0x2E)およびHGIの中の3番目に高い優先順位(0x28)と全体的に同一のレベルにある。実際の展開においては、これとは異なるスケーリングを使用することができる。
【0023】
【表4】
【0024】
優先順位は、一般に、次のように分類することができる。すなわち、ベストエフォート(BE)、BEより低い、およびBEより高い。表4に示されるように、異なるプロトコルは異なる数のクラスを有している。また、プロトコルはそれぞれ、その優先順位に対して異なるコーディングを有している。たとえば、DVB−IPの中の0x1AおよびHGIの中の0x18は、同一の優先順位を表わす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ホームゲートウェイは、調和された優先順位にしたがってリソースを割り当てることができ、リソースは帯域幅、スケジューリング、バッファー、多数の再送信の試み、およびパケットドロップ(低下)確率を含む。しかしながら、表4の不整合性は優先順位とリソース(資源)割当に関する混乱に至り、そのために、QoS手法の効率を低減させることがある。
【0026】
要約すると、異なるプロトコルを使用するストリームがホームゲートウェイに到着する場合、優先順位を一貫して調和させて決定する必要がある。調和を達成するために、様々な基準によって指定されたプロトコルを修正変更することは実際には不可能である。したがって、既存のプロトコルを修正変更せずに、優先順位を調和させることができる手法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この発明の実施の形態1は、ホームゲートウェイがマルチメディア装置をアクセスネットワークに接続するような、該マルチメディア装置を含むホームネットワークのために、QoSを調和させるものである。調和(ハーモナイゼイション)は、ホームゲートウェイ内でインプリメントされたプロトコルスタックの2つの調和レイヤにおいて行なわれる。上位の調和レイヤは、アプリケーションレイヤとトランスポートレイヤとの間にある。下位の調和レイヤはIPレイヤとデータリンクレイヤとの間にある。調和は、アクセスネットワークおよびそれらの装置に対して透明である。調和は、マッピングテーブルを使用して、標準の優先順位と調和された優先順位との間で変換を行う。
【発明の効果】
【0028】
この発明の実施の形態1では、優先順位も、ユーザのためのGUIに基づいたインタフェースにより、またはプログラムの実行により、またはディフォルト優先順位の許容により、設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】従来のインターネットパケットのブロック図である。
【図1B】この発明の実施の形態1によって使用されるホームネットワークのブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による調和レイヤを含むプロトコルスタックのブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるプロトコルを調和させる概略図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるホームゲートウェイにおけるメモリのブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるホームゲートウェイにより維持される調和マッピングテーブルである。
【図6】この発明の実施の形態1による、DSCP値からデータリンクレイヤのQoSマーキングへのマッピングテーブルである。
【図7】この発明の実施の形態1による、ホームゲートウェイにおけるQoS調和プロセスのブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態1による、IPレイヤにおけるキューイングプロセスのブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態1によるIPレイヤプロセスの概略図である。
【図10】この発明の実施の形態1によるスマートグリッドとしてのホームネットワークのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態1.
図1Bは、この発明の実施の形態1を使用するホームネットワーク100を示す。そのネットワークは住宅101で作動する。住宅は、ホームゲートウェイ110、およびテレビ、パソコン(PC)、プリンタ、セットトップボックス(STB)などのマルチメディア装置102を含む。ホームゲートウェイ110はそれらの装置を相互に接続し、またアクセスネットワーク120に接続する。したがって、ホームネットワークはアクセスネットワークの延長である。異なるプロトコルを有するマルチメディアストリームは、ホームゲートウェイによってソースから宛先(送信先)へ流される。それらのソースは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)130および上記装置102であり得る。ISPは、インターネット標準のスイートに応じるあらゆるデータソース(送信側)またはシンク(受信側)として広く定義される。標準化されたインターネットプロトコルスイート(TCP/IP)は、何十億ものユーザおよび装置のために世界的に役立つ。
【0031】
宛先は、またISPおよび上記装置であり得る。ISPはデータストリームを装置へ転送し、また、装置はコマンドまたはデータを送り返すことができる。同様に、装置は互いのもとへコマンドやデータストリームを送ることができる。一般に、ホームゲートウェイは、ソースでも宛先(送信先)でも無い。
【0032】
図2は、この発明の実施の形態1によるプロトコルスタック200のレイヤ(層)を示す。この発明の目的のために、我々は、ホームゲートウェイがソースからの入力パケット803を出力パケット804として宛先へ送っている場合を、主に想定している。
【0033】
上記スタックは次のレイヤを含む。すなわち、物理的レイヤ201、データリンクレイヤ202、IPレイヤ203、トランスポートレイヤ204、およびアプリケーションレイヤ205。プロトコルスタックは、特定のプロトコルによって、他のレイヤまたはそれらのレイヤのバリエーション(変形)を含み得ることが理解されるであろう。
【0034】
スタックは、また上位の調和レイヤ801およびより下位の調和レイヤ802を含む。上位の調和レイヤは、アプリケーションレイヤとトランスポートレイヤとの間にある。下位の調和レイヤ802は、IPレイヤとデータリンクレイヤとの間にある。図2に示されるように、パケットがアプリケーションレイヤからフィジカルレイヤへ通されると、変換811−812が行なわれる。
【0035】
従来のレイヤと異なり、調和レイヤはデータグラムにヘッダを付加せず、またはデータグラムからヘッダを削除しない。代わりに、調和レイヤは、この発明の実施の形態1によって調和を行うためにIPヘッダを修正変更する。その変更は、標準のインタネットサービスプロトコルから調和されたプロトコルへ優先順位を変換する。上述したように、その変更は、上記ソースと宛先装置に対して透明である。
【0036】
異なるプロトコルは異なるQoSポリシーを持つので、調和は、その調和された優先順位により、すべてのストリームへの正確なリソース割当を促進する。調和された優先順位は、すべての従来のインターネットプロトコルのすべての標準の優先順位に対して適用可能である。
【0037】
図3は、3例の従来の標準プロトコルDLNA 301、DVB−IP 302およびHGI 303に対して異なるプロトコルを調和させる方法を示す。図3に示されるように、各プロトコルに対して、最上段のクラスは最高優先順位を有し、また、最下段のクラスは最下位優先度を有する。DLNAは、ベストエフォート(BE)より上に3つのクラスおよびBEより下に1のクラスを有する。DVB−IPはBE 310の上に4つのクラスのみ有し、HGIはBEより上5つのクラス、またBEの下に2のクラスを有する。
【0038】
ユーザまたはネットワーク管理者は、異なるプロトコルの優先順位の関係(相対性)を選択することができる。図3では、我々は、相対的優先順位を決定するために、表4の優先順位スケーリング例にしたがう。図3では、同一のハッチングは同一の優先順位を表わす。これらの3つのプロトコルのいくつかのクラスは同一の優先順位を有する。たとえば、DVB−IPの中の0x2EおよびHGIとDLNAの中の0x28は、同一の優先順位を表わす。異なるクラスを併合した後に、9つのクラスの調和されたプロトコル304が得られる。
【0039】
同一の優先順位を有する異なるプロトコルのクラスは、調和されたプロトコル304における同一のクラスに変換される。たとえば、DVB−IPの中の0x2EおよびHGIとDLNAの中の0x28は、調和されたプロトコルにおける0x1Aに変換される。調和されたプロトコルにおける2つのクラスがBEより下にあるので、DiffServが相対的優先順位を決定することができるように、BEクラスに対する適切なDSCP値が選択されている。図3では、我々はBEに対して0x16を選択する。
【0040】
調和のために、或る演繹的な情報が、図4に示されるように、ホームゲートウェイのメモリ410に格納される。この情報は、任意のプロトコルのDSCP値を調和されたプロトコルのDSCP値に変換する調和マッピングテーブル500を含む。ホームネットワークにおけるいくつかの装置はIPヘッダの中のDSCP値を解釈することができないので、該装置は、MACヘッダ21内のレイヤ−2 QoSマーキングを使用する必要がある。
【0041】
したがって、各プロトコルに対して、DSCP値をDLLのQoSマーキングに変換するDSCPマッピングテーブル600も含まれている。IDマッピングテーブル700は宛先(送信先)IPアドレスとポート番号を対応するプロトコル識別(IS)に変換する。メモリは、またQoSポリシー403を格納する。
【0042】
図5は、マッピングテーブル500の例を示す。テーブル500における列は、プロトコル名501、DSCP値502、および調和されたプロトコル503のDSCPである。実際には、マッピングテーブルは、調和される必要があるすべての異なるプロトコルに対する項目を有している。
【0043】
図6は、DSCPマッピングテーブル600の例を示す。このテーブルはプロトコルHGI向けである。HGIに対して、データリンクレイヤは、標準IEEE 802.11または802.1Dを採用することができる。図6には3列あり、それらは、DSCP値601、802.11 602のQoSマーキング、および802.1D 603のQoSマーキングである。DSCP値は、DLLプロトコルおよびこのマッピングテーブルに基づき、対応するDLL QoSマーキングに翻訳される。
【0044】
図7は、IDマッピングテーブル700の例を示す。図7には、3列あり、それらは、宛先(送信先)IPアドレス701、宛先(送信先)ポートNo.702およびプロトコル703である。与えられたストリームに対して、宛先IPアドレスとポート番号が知られている場合、対応するプロトコルはこのテーブルから決定される。
【0045】
図8はホームゲートウェイにおける調和プロセスを示す。調和プロセスは、単にダウンストリームトラフィック、すなわちアプリケーションレイヤ205からフィジカルレイヤ201に渡されたパケットに適用される。パケットに対して、アプリケーションレイヤ205は、たとえば購読、サービスおよびプロトコルの型式に基づいて、DSCP値502を生成する。
【0046】
アプリケーションレイヤは、宛先IPアドレスおよびポート番号などのような他の関連情報と共に、DSCP値およびサービス・プロトコルIDを上位の調和レイヤ801へ渡す。上位の調和レイヤ801は、調和されたDSCP値503を生成するために、調和マッピングテーブル500を使用する。そのDSCP値は調和されたDSCP値に置換される。IPレイヤ203は、調和されたDSCP値にしたがってQoS要件を実現するために、DiffServ QoSポリシー403にしたがう。IPレイヤプロセスの詳細が図9に対して記述される。
【0047】
上記ストリームは下位の調和レイヤ802へ通過し、該調和レイヤ802は、該ストリームに対するプロトコルIDを得るためにマッピングテーブル700を使用する。その後、マッピングテーブル500に基づいて、逆変換が行なわれ、また、そのストリームのオリジナル(元)のDSCP値が回復される。その調和されたDSCP値はオリジナルの値で置換される。そのストリームがデータリンクレイヤに到着すると、マッピングテーブル600により、DLLのQoSマーキングが得られ、MACヘッダ20に書き込まれる。
【0048】
図9はIPレイヤのキューイング(待ち行列)プロセスを示す。我々の例において、調和されたプロトコルには9つの優先順位またはクラスがある。したがって、9つの対応するキュー901がある。キュー1は最高優先順位を有しており、また、キュー9は最下位優先順位を有する。入力パケット803がIPレイヤ203に入ると、該パケットは、調和されたDSCP値503に基づいて、QoSポリシー403によってキュー(待ち行列)に入れられる。
【0049】
スマートグリッド
図10は、ホームネットワークが電気製品、照明器具、HVAC設備、セキュリティアラーム、センサなどの、住宅内の様々な電気装置1040に接続された、スマートグリッドネットワーク1020の一部である、この発明の実施の形態1を示す。スマートグリッドは上述されたホームネットワークと共存することができることに注目すべきである。
【0050】
スマートグリッドは、ホームネットワーキング技術として、たとえばジグビー(ZigBee)、X10、ZーWaveなどのスマートグリッドに使用することができる非IPネットワーク1020の1つの型式である。図10では、非IPネットワーク1020は、非IP−インターネットプロトコル(non−IP to Internet Protocol)ブリッジまたは非IP−イーサネットブリッジ1010を介してホームゲートウェイと接続される。そのブリッジはマッピングテーブル1030を使用して、非IPパケットをIPパケットに変換する。
【0051】
宛先IPアドレス1002および調和されたDSCP値1002は、宛先(送信先)非IPアドレス1001に基づいたマッピングテーブルから得ることができる。調和されたDSCP値で、新しく生成されたIPパケットをホームゲートウェイにおける適切な優先順位で処理することができる。単一のフィジカル(物理的)デバイスがホームゲートウェイとブリッジの両方を行うことができることも、注目されるべきである。
【0052】
この発明の実施の形態1では、優先順位も、ユーザのためのGUIに基づいたインタフェースにより、またはプログラムの実行により、またはディフォルト優先順位の許容により、設定することができる。
【0053】
この発明は好ましい実施の形態を例として記述されたが、この発明の趣旨および範囲内で様々な他の改変および変更を行うことができることが理解されるべきである。したがって、この発明の真実の趣旨および範囲内に入るような、すべての変更例および変形例をカバーすることが、添付のクレームの目的である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各パケットが関連する入力優先順位を有し、また、該パケットの入力優先順位がIEEEプロトコル基準によって指定される、マルチメディアストリームのパケットを調和する方法であって、
ホームゲートウェイによって受け取られた入力パケットの入力優先順位を調和された優先順位へ変換する工程と、
前記ホームゲートウェイにおいて前記調和された優先順位により入力パケットを処理する工程と、
前記ホームゲートウェイにおいて、前記処理の後に、前記調和された優先順位を対応する出力パケットに関連した出力優先度順位へ変換する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記入力パケットはインターネットサービスプロバイダから前記ホームゲートウェイに受け取られ、また、前記出力パケットは前記ホームゲートウェイに接続されたホームネットワークの装置へ送信される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記入力パケットはホームネットワークの装置から前記ホームゲートウェイに受け取られ、また、前記出力パケットはインターネットサービスプロバイダへ送信される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記入力パケットはホームネットワークの装置から前記ホームゲートウェイに受け取られ、また、前記出力パケットは前記ホームネットワークの別の装置に送信される、請求項1の方法。
【請求項5】
前記入力パケットを処理する間に、前記ホームゲートウェイによって前記入力パケットを一時的に格納する工程をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項6】
前記ホームゲートウェイは各調和された優先順位に対するキューを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記パケットはそれぞれインターネットプロトコル(IP)ヘッダを含み、また、該IPヘッダは差別化されたサービス(DS)を含み、また、DSフィールドは前記パケットに対する標準の優先順位を指定する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記標準の優先順位はベストエフォート(BE)、該BEより低い、および該BEより高い優先順位を含む、請求項1の方法。
【請求項9】
前記ホームゲートウェイにより前記調和された優先順位にしたがってリソースを割り当てる工程をさらに備え、前記リソースは帯域幅、スケジューリング、バッファー、多数の再送信の試み、およびパケット低下確率をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項10】
前記装置は、テレビ、パーソナルコンピュータ、プリンタ、セットトップボックス、レコーダー、記憶デバイス、ブリッジング/継電装置および再生装置を含むグループから選択される、請求項1の方法。
【請求項11】
前記ホームゲートウェイはプロトコルスタックを含み、
前記プロトコルスタックは、フィジカル(物理的)、データリンク(DL)、インターネットプロトコル(IP)、トランスポートおよびアプリケーションのそれぞれのレイヤを含み、
前記標準の優先順位への変換は、前記DLレイヤとIPレイヤとの間の下位の調和レイヤによって行なわれ、また、前記調和された優先順位への変換は、前記トランスポートレイヤとアプリケーションレイヤとの間の上位の調和レイヤによって行なわれる、請求項1の方法。
【請求項12】
前記両方の変換工程は前記インターネットサービスプロバイダおよび前記装置に対して透明である、請求項2の方法。
【請求項13】
前記両方の変換工程はすべての従来のインターネットプロトコルのすべての標準の優先順位に対して適用可能である、請求項1の方法。
【請求項14】
前記両方の変換工程は前記ホームゲートウェイのメモリに格納されたマッピングテーブルを使用する、請求項1の方法。
【請求項15】
前記マッピングテーブルはマッピング標準優先順位および対応する調和された優先順位を指定する、請求項14の方法。
【請求項16】
前記インターネットサービスプロバイダによって前記マッピングテーブルを更新することをさらに備える、請求項14の方法。
【請求項17】
前記調和された優先順位は4つの相対的優先転送(AF)クラスを備え、また各AFクラスはドロップ(低下)確率に基づく3つのサービスレベルを有する、請求項14の方法。
【請求項18】
前記パケットに対する宛先IPアドレスおよびポート番号を対応するプロトコル識別子に変換する工程をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項19】
前記入力優先順位は前記入力パケットを送信するための保証されたスロットによって示される、請求項1の方法。
【請求項20】
前記入力優先順位はANGEL IEEE 802.15.4拡張レイヤ(AEL)によって示される、請求項1の方法。
【請求項21】
前記入力優先順位はフレーム修整(FRT)戦略によって示される、請求項1の方法
【請求項22】
前記入力優先順位は優先順位調色(PRT)戦略によって示される、請求項1の方法。
【請求項23】
前記入力優先順位はクリアチャネル評価(CCA)によって示される、請求項1の方法。
【請求項24】
前記ホームゲートウェイはホームネットワークに接続され、またそのホームネットワークはIEEE 802.15.4標準によって設計される、請求項1の方法。
【請求項25】
前記ホームネットワークはスマートグリッドとして動作する、請求項24の方法。
【請求項26】
前記優先順位は、GUIに基づいたインタフェースにより、またはプログラムの実行により、またはディフォルト優先順位の許容により、設定される、請求項24の方法。
【請求項27】
前記ホームネットワークは非IP−インターネットプロトコルブリッジを介して前記ホームゲートウェイに接続される、請求項24の方法。
【請求項28】
前記ホームネットワークは非IP−イーサネットブリッジを介して前記ホームゲートウェイに接続される、請求項24の方法。
【請求項29】
各パケットが標準の優先順位を含み、該パケットの標準の優先順位が標準のインタネットサービスプロトコルによって指定される、マルチメディアストリームのパケットを調和させるためのシステムであって、
ホームゲートウェイによって受け取られた入力パケットにおける標準の優先順位を調和された優先順位へ変換するように構成された該ホームゲートウェイを備え、
前記ホームゲートウェイは、前記調和された優先順位によって前記入力パケットを処理し、その処理の後に、前記調和された優先順位を対応する出力パケットにおける標準の優先順位へ変換する、システム。
【請求項1】
各パケットが関連する入力優先順位を有し、また、該パケットの入力優先順位がIEEEプロトコル基準によって指定される、マルチメディアストリームのパケットを調和する方法であって、
ホームゲートウェイによって受け取られた入力パケットの入力優先順位を調和された優先順位へ変換する工程と、
前記ホームゲートウェイにおいて前記調和された優先順位により入力パケットを処理する工程と、
前記ホームゲートウェイにおいて、前記処理の後に、前記調和された優先順位を対応する出力パケットに関連した出力優先度順位へ変換する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記入力パケットはインターネットサービスプロバイダから前記ホームゲートウェイに受け取られ、また、前記出力パケットは前記ホームゲートウェイに接続されたホームネットワークの装置へ送信される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記入力パケットはホームネットワークの装置から前記ホームゲートウェイに受け取られ、また、前記出力パケットはインターネットサービスプロバイダへ送信される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記入力パケットはホームネットワークの装置から前記ホームゲートウェイに受け取られ、また、前記出力パケットは前記ホームネットワークの別の装置に送信される、請求項1の方法。
【請求項5】
前記入力パケットを処理する間に、前記ホームゲートウェイによって前記入力パケットを一時的に格納する工程をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項6】
前記ホームゲートウェイは各調和された優先順位に対するキューを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記パケットはそれぞれインターネットプロトコル(IP)ヘッダを含み、また、該IPヘッダは差別化されたサービス(DS)を含み、また、DSフィールドは前記パケットに対する標準の優先順位を指定する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記標準の優先順位はベストエフォート(BE)、該BEより低い、および該BEより高い優先順位を含む、請求項1の方法。
【請求項9】
前記ホームゲートウェイにより前記調和された優先順位にしたがってリソースを割り当てる工程をさらに備え、前記リソースは帯域幅、スケジューリング、バッファー、多数の再送信の試み、およびパケット低下確率をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項10】
前記装置は、テレビ、パーソナルコンピュータ、プリンタ、セットトップボックス、レコーダー、記憶デバイス、ブリッジング/継電装置および再生装置を含むグループから選択される、請求項1の方法。
【請求項11】
前記ホームゲートウェイはプロトコルスタックを含み、
前記プロトコルスタックは、フィジカル(物理的)、データリンク(DL)、インターネットプロトコル(IP)、トランスポートおよびアプリケーションのそれぞれのレイヤを含み、
前記標準の優先順位への変換は、前記DLレイヤとIPレイヤとの間の下位の調和レイヤによって行なわれ、また、前記調和された優先順位への変換は、前記トランスポートレイヤとアプリケーションレイヤとの間の上位の調和レイヤによって行なわれる、請求項1の方法。
【請求項12】
前記両方の変換工程は前記インターネットサービスプロバイダおよび前記装置に対して透明である、請求項2の方法。
【請求項13】
前記両方の変換工程はすべての従来のインターネットプロトコルのすべての標準の優先順位に対して適用可能である、請求項1の方法。
【請求項14】
前記両方の変換工程は前記ホームゲートウェイのメモリに格納されたマッピングテーブルを使用する、請求項1の方法。
【請求項15】
前記マッピングテーブルはマッピング標準優先順位および対応する調和された優先順位を指定する、請求項14の方法。
【請求項16】
前記インターネットサービスプロバイダによって前記マッピングテーブルを更新することをさらに備える、請求項14の方法。
【請求項17】
前記調和された優先順位は4つの相対的優先転送(AF)クラスを備え、また各AFクラスはドロップ(低下)確率に基づく3つのサービスレベルを有する、請求項14の方法。
【請求項18】
前記パケットに対する宛先IPアドレスおよびポート番号を対応するプロトコル識別子に変換する工程をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項19】
前記入力優先順位は前記入力パケットを送信するための保証されたスロットによって示される、請求項1の方法。
【請求項20】
前記入力優先順位はANGEL IEEE 802.15.4拡張レイヤ(AEL)によって示される、請求項1の方法。
【請求項21】
前記入力優先順位はフレーム修整(FRT)戦略によって示される、請求項1の方法
【請求項22】
前記入力優先順位は優先順位調色(PRT)戦略によって示される、請求項1の方法。
【請求項23】
前記入力優先順位はクリアチャネル評価(CCA)によって示される、請求項1の方法。
【請求項24】
前記ホームゲートウェイはホームネットワークに接続され、またそのホームネットワークはIEEE 802.15.4標準によって設計される、請求項1の方法。
【請求項25】
前記ホームネットワークはスマートグリッドとして動作する、請求項24の方法。
【請求項26】
前記優先順位は、GUIに基づいたインタフェースにより、またはプログラムの実行により、またはディフォルト優先順位の許容により、設定される、請求項24の方法。
【請求項27】
前記ホームネットワークは非IP−インターネットプロトコルブリッジを介して前記ホームゲートウェイに接続される、請求項24の方法。
【請求項28】
前記ホームネットワークは非IP−イーサネットブリッジを介して前記ホームゲートウェイに接続される、請求項24の方法。
【請求項29】
各パケットが標準の優先順位を含み、該パケットの標準の優先順位が標準のインタネットサービスプロトコルによって指定される、マルチメディアストリームのパケットを調和させるためのシステムであって、
ホームゲートウェイによって受け取られた入力パケットにおける標準の優先順位を調和された優先順位へ変換するように構成された該ホームゲートウェイを備え、
前記ホームゲートウェイは、前記調和された優先順位によって前記入力パケットを処理し、その処理の後に、前記調和された優先順位を対応する出力パケットにおける標準の優先順位へ変換する、システム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−130436(P2011−130436A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−271311(P2010−271311)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ZIGBEE
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271311(P2010−271311)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ZIGBEE
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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