説明

ボタン電話装置及びそのゲイン制御方法

【課題】複数のゲイン制御回路を有するボタン電話装置において、通話音量調整を制御する部分(ゲイン制御回路)が複数箇所に亘って配置されていると、通話相手先端末によっては各ゲイン制御回路のゲイン配分が適切でなくなり音声品質の低下が生じる。
【解決手段】ボタン電話機(TEL)20に設けられた音量設定入力回路24の音量キー等の操作で音量変化操作されたとき、各受話ゲイン制御回路15、25(又は送話ゲイン制御回路16、26)の設定値を勘案して、最適ゲインを再設定することにより、ノイズレベルの増加による音声品質の低下を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボタン電話装置に関し、特に受話/送話音声信号の音量を、良好な音質が得られる適切な値(ゲイン)に制御可能にするボタン電話装置及びそのゲイン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話装置(又は簡易電話交換装置)は、ボタン電話主装置(ME)とボタン電話機又は専用電話機端末(TEL)により構成される電話装置である。斯かるボタン電話装置は、中小企業等で広く採用されている。尚、以下の説明では、ボタン電話装置と称しているが、本発明が想定するものは、同様な機能を有する電話交換装置であり、ボタン電話装置に限定するものではない。
【0003】
斯かるボタン電話装置に関する又は関連する技術は、幾つかの公知技術文献に開示されている。音声通話の音量調整をDSP(Digital Signal Processor)を使用してデジタル信号にて処理することを可能とするデジタル多機能電話機又はボタン電話装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、内線電話端末に受話信号レベルの変更要求を行うためのキーを設けることにより、受信側の通信端末装置において、常に希望する最適な信号レベルで受信可能にする交換通信システムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−36613号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】特開平5−236538号公報(第3−4頁、第2図、第3図)
【0005】
従来の一般的なボタン電話装置は、ボタン電話機内に、受話ゲイン制御回路及び送話ゲイン制御回路を備え、それぞれ通話相手先端末との受話ゲイン及び送話ゲインを、ユーザが制御可能に構成している。即ち、ボタン電話主装置を介して接続された通話相手先端末が近端(近距離)又は遠端(遠距離)であるかにより、送受信音声の大きさが異なる。そこで、ボタン電話機のユーザは、通話相手先端末により、必要に応じて適宜にゲインを調整して、聞き取りが容易である音声レベルとすることを可能にしている。
【0006】
以下、具体例に基づいて説明する。例えば、図4に示す如く、ボタン電話主装置の受話ゲインの設定値が−3[dB]であり、ボタン電話機の受話ゲインが0[dB]であるとする。これらのゲイン設定は、通話相手先端末が近端である場合には最適であっても、例えば遠端の通話相手先端末との通話の場合には、ボタン電話機のユーザは、相手先の声が小さく聞き取りにくいと感じることとなる。そこで、ボタン電話機のユーザは、ボタン電話機内の音声設定入力回路の音量キー等を操作して受話音量アップする。その結果、音量変更後のボタン電話機の受話ゲインは、例えば+6[dB]となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の如くボタン電話機の受話ゲイン制御回路により必要なゲインを得る場合には、高いゲイン(例えば、+6[dB])に設定されたボタン電話機の受話ゲイン制御回路により、受話音声信号に含まれるノイズ及び周辺回路等によるノイズ等の影響を受けて受話音声の品質低下を生じるという課題があった。
【0008】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を克服又は軽減して、通話相手先端末に応じて良好な音声品質の通話を可能にするボタン電話装置及びそのゲイン制御方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明によるボタン電話装置及びそのゲイン制御方法は次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)ボタン電話主装置及び該ボタン電話主装置に内線で接続された少なくとも1台のボタン電話機により構成されるボタン電話装置において、
前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機にそれぞれ設けられた受話(又は送話)信号のゲインを制御する受話(又は送話)ゲイン制御回路を、前記ボタン電話機に設けられた音量設定入力回路の設定に応じて、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)ゲイン制御回路のゲインを連携して制御する制御装置を備えるボタン電話装置。
(2)前記制御装置は、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)設定ゲイン制御回路の設定ゲインに基づき前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)実行ゲインを決定する上記(1)のボタン電話装置。
(3)前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機は、それぞれメモリを備え、前記設定された受話(又は送話)ゲインの設定値を格納する上記(1)又は(2)のボタン電話装置。
(4)同じ通話相手先端末からの次回の通話時には、前記メモリに格納された前記受話(又は送話)ゲイン設定値に前記ボタン電話主装置及びボタン電話機の前記受話(又は送話)ゲイン制御回路の前記受話(又は送話)ゲインを設定する上記(3)のボタン電話装置。
(5)前記メモリは、それぞれ前記受話(又は送話)ゲインの初期値を格納し、通話相手先端末との通話が終話する毎に前記受話(または送話)ゲインを前記初期値に設定する上記(3)のボタン電話装置。
(6)ボタン電話主装置及び該ボタン電話主装置に内線で接続された少なくとも1台のボタン電話機により構成されるボタン電話装置の受話(又は送話)ゲインを制御するボタン電話装置のゲイン制御方法において、
前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機にそれぞれ設けられた受話(又は送話)ゲインを調整する受話(又は送話)ゲイン制御回路の受話(又は送話)ゲインの変更の有無を判断するステップと、変更された受話(又は送話)ゲインをメモリに格納するステップと、前記受話(又は送話)ゲインのアップか否かを判断するステップと、該判断結果に基づき予め決めた条件を満たすか否か判断するステップと、該判断結果により受話(又は送話)実行ゲインを設定するステップとを備えるボタン電話装置のゲイン制御方法。
(7)前記設定された受話(又は送話)実行ゲインを前記メモリに格納し、同じ通話相手先端末との次回以降の通話に使用するステップを備える上記(6)のボタン電話装置のゲイン制御方法。
(8)通話相手先端末との通話の終話時に、前記受話(または送話)ゲインを予め設定した初期値に設定するステップを備える上記(6)のボタン電話装置のゲイン制御方法。
(9)それぞれ受話(又は送話)ゲイン制御回路を含むボタン電話主装置及び少なくとも1台のボタン電話機により構成されるボタン電話装置の受話(又は送話)ゲインを制御するボタン電話装置のゲイン制御方法において、
前記ボタン電話機のユーザがボタン電話機に設けられた音量設定入力回路を操作したか否か判断するステップと、前記音量設定入力回路を操作して音量を変更したとき、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)ゲイン制御回路のゲインを、前記両ゲイン制御回路のゲイン変更が最小になるように変更設定するステップとを備えるボタン電話装置のゲイン制御方法。
(10)前記ボタン電話機のユーザによる音量設定変更がある場合には、変更された音量設定をメモリに格納するステップを備える上記(9)のボタン電話装置のゲイン制御方法。
(11)前記ボタン電話機のユーザによる音量設定変更があった場合には、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の設定ゲインによる2条件に基づき判断して、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)ゲインを3つの実行設定の何れかに設定するステップを備える上記(9)又は(10)のボタン電話装置のゲイン制御方法。
(12)前記2条件は、前記ボタン電話機の設定ゲインが<0で前記ボタン電話主装置の設定ゲインが>0及び前記ボタン電話機の設定ゲインが>0で前記ボタン電話主装置の設定ゲイン<0である上記(11)のボタン電話装置のゲイン制御方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のボタン電話装置及びそのゲイン制御方法によると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。即ち、本発明によると、ボタン電話主装置及びボタン電話機という2箇所に設けられた受話/送話ゲイン制御回路を制御装置(CPU)により個別でなく連携して制御し、各受話/送話ゲイン制御回路のゲインが少なめになるように設定する。その結果、不要なノイズの増幅を抑えて、良好な通話品質(又は音質)を得ることが可能である。また、1つの通話相手先端末との通話が終話すると、受話/送話ゲインを予め設定された初期値に設定するので、異なる通話相手先端末との通話が不当に大きい又は小さい音量に設定されることがない。更に、一度通話した同じ通話相手先端末からの次回以降の通話の場合には、格納された受話/送話ゲインにより最適な受話/送話ゲインに設定されるので、ユーザが音量設定入力回路を操作する手間を省くことが可能である。
【実施例】
【0012】
以下、本発明によるボタン電話装置及びそのゲイン制御方法の好適実施例の構成及び動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
先ず、図1は、本発明によるボタン電話装置の好適実施例の構成を示す機能ブロック図である。本発明のボタン電話装置は、ボタン電話主装置(ME)10及びこのボタン電話主装置10に内線21を介して接続された少なくとも1台のボタン電話機(TEL)20により構成される。
【0014】
ボタン電話主装置10は、外線インタフェース13、2線/4線変換回路14、受話ゲイン制御回路15、送話ゲイン制御回路16、制御装置(CPU)17、メモリ(記憶装置)18及び内線インタフェース19により構成されている。ここで、外線インタフェース13は、外線31を介して交換局32に接続され、この交換局32には複数の通話相手先端末33が接続される。また、外線インタフェース13は、ボタン電話主装置10内の2線/4線変換回路14に接続され、受話ゲイン制御回路15及び送話ゲイン制御回路16を介して内線インタフェース19に接続される。そして、受話ゲイン制御回路15及び送話ゲイン制御回路16は、制御装置(CPU)17に接続され、それぞれこのCPU17により受話ゲイン及び送話ゲインが調整される。また、CPU17は、データ及びプログラムを格納するメモリ(記憶装置)18に接続されると共に内線インタフェース19及び外線インタフェースにも接続されている。
【0015】
一方、ボタン電話機20は、ハンドセット入力回路22、ハンドセット出力回路23、音量キー等の音量設定入力キー24、受話ゲイン制御回路25、送話ゲイン制御回路26、制御装置(CPU)27、メモリ28及び内線インタフェース29により構成される。
【0016】
ハンドセット入力回路22及びハンドセット出力回路23は、それぞれハンドセットの送話器又はマイク(T)22a及び受話器又はスピーカ(R)23aに接続されている。ハンドセット入力回路22は、送話ゲイン制御回路26を介して内線インタフェース29に接続される。また、内線インタフェース29は、受話ゲイン制御回路25を介してハンドセット出力回路23に接続される。音量設定入力回路24及びメモリ28は、CPU27に接続される。そして、このCPU27は、内線インタフェース29に接続されると共に、受話ゲイン制御回路25及び送話ゲイン制御回路26に接続され、それぞれ受話ゲイン及び送話ゲインを制御する。ボタン電話機20の内線インタフェース29は、内線21を介して上述したボタン電話主装置10の内線インタフェース19に接続されている。従って、ボタン電話主装置10のCPU17とボタン電話機20のCPU27は、内線インタフェース19、29及び内線21を介して相互に接続されていることに留意されたい。
【0017】
次に、ボタン電話機20のユーザが、ボタン電話主装置10及び交換局32を介して外部の通話相手先端末33と通話する場合について説明する。ボタン電話機20のユーザの通話音声は、ハンドセットの送話器22aからハンドセット入力回路22、送話ゲイン制御回路26、内線インタフェース29、内線21、ボタン電話主装置10の内線インタフェース19、送話ゲイン制御回路16、2線/4線変換回路14、外線インタフェース13、外線31、交換局32を介して通話相手先端末33へ送られる。一方、通話相手先端末33からの通話音声、即ちボタン電話機20のユーザの受話信号は、交換局32、外線31、外線インタフェース13、2線/4線変換回路14、受話ゲイン制御回路15、内線インタフェース19、内線21、ボタン電話機20内の内線インタフェース29、受話ゲイン制御回路25及びハンドセット出力回路23を介してハンドセットの受話器23aに送られ、ボタン電話機20のユーザの耳に音声として出力される。
【0018】
上述の如く、ボタン電話機20のユーザの通話信号は、ボタン電話機20内の送話ゲイン制御回路26及びボタン電話主装置10内の送話ゲイン制御回路16のゲインで決まるゲインで増幅されて通話相手先端末33に送られる。同様に、通話相手先端末33から送信される音声は、ボタン電話主装置10内の受話ゲイン制御回路15及びボタン電話機20内の受話ゲイン制御回路25のゲインで増幅されて、ボタン電話機20のユーザへ、ハンドセットの受話器23aから音声として出力される。ここで、これら受話ゲイン制御回路15、25及び送話ゲイン制御回路16、26のゲインは、それぞれボタン電話主装置10及びボタン電話機20内部に設けられたCPU17、27により制御される。
【0019】
上述の如く、ボタン電話機20のユーザは、種々の通話相手先端末33から受信する受話信号を最適にするため、音量設定入力回路24の音量キー等を操作することによりCPU27を介してボタン電話機20内の受話ゲイン制御回路25のみならずCPU27と協働するボタン電話主装置10内のCPU17により受話ゲイン制御回路15のゲインを制御して通話相手先端末33からの受話信号のゲインを増減することが可能である。
【0020】
次に、図2の説明図を参照して、本発明によるボタン電話装置の受話ゲイン制御の例について簡単に説明する。図2においては、左側にボタン電話主装置10の受話ゲイン制御回路15の受話ゲインを、右側にボタン電話機20の受話ゲイン制御回路25の受話ゲインを、それぞれ音量変更前及び音量変更後について例示している。この具体例では、ボタン電話主装置10の受話ゲインが−3[dB]及びボタン電話機20の受話ゲインが0[dB]に設定されている。この設定状態において、ボタン電話機20のユーザが受話音量不足と感じて、音量設定入力回路24を操作することによりゲインアップして、+6[dB]に設定したとする。この場合に、ボタン電話主装置10の受話ゲインは−3[dB]のままである。従って、通話相手先端末33からの受話信号は、−3[dB]+6[dB]=3[dB]の総合ゲインで増幅されることになる。
【0021】
しかし、本発明にあっては、ボタン電話主装置10及びボタン電話機20内のCPU17、27を連携又は協働させて、図2の下欄に示す実行設定値の如く、ボタン電話主装置10の受話ゲイン制御回路15及びボタン電話機20の受話ゲイン制御回路25の受話ゲインを設定する。即ち、ボタン電話主装置10の受話ゲイン制御回路15の受話ゲインを−3[dB]から0[dB]に変更すると共に、ボタン電話機20の受話ゲイン制御回路25の受話ゲインを0[dB]から+3[dB]に変更する。従って、通話相手先端末33からの受話信号は、0[dB]+3[dB]=+3[dB]の総合ゲインで増幅される点で、上述した場合と同じであるが、ボタン電話主装置10及びボタン電話機20それぞれの受話ゲインの変更は最小である。しかし、上述の如くボタン電話機20の受話ゲイン制御回路25の受話ゲインを+6[dB]とすることにより生じるノイズは回避でき、良好な音声品質を維持することが可能である。
【0022】
次に、図3のフローチャートを参照して、本発明によるボタン電話装置のゲイン制御方法について詳細に説明する。先ず、ボタン電話機20は、通話相手先端末33の発信を受信する。この受信は、通話相手先端末33を、交換局32、外線31、ボタン電話主装置10及び内線21を介してボタン電話機20に接続して行われる(ステップS1)。即ち、通話相手先端末33からの音声は、交換局32、外線31、ボタン電話主装置10の外線インタフェース13、2線/4線変換回路14、ボタン電話主装置10のCPU17に制御される受話ゲイン制御回路15、内線インタフェース19、内線21、ボタン電話機20の内線インタフェース29、CPU27の制御下の受話ゲイン制御回路25及びハンドセット出力回路23を通り、ハンドセットの受話器23aから出力される。
【0023】
次に、上述した通話が終話か否か判定される(ステップS2)。終話の場合(ステップS2:Y)には、受話ゲイン制御回路15、25及び送話ゲイン制御回路16、26のゲイン設定値を実行ゲインへ設定する(ステップS3)。そして、通話閉路制御を行い(ステップS4)、動作を終了する(ステップS5)。
【0024】
一方、終話でない場合、即ち通話を続行する場合(ステップS2:N)には、受話音量変更の有無を判断する(ステップS6)。通話音量の変更がない場合(ステップS6:N)には、上述したステップS2へ戻る。他方、通話音量の変更がある場合(ステップS6:Y)には、受話音量の設定値をメモリ18、28に格納する(ステップS7)。次に、音量アップするか否かの判断(以下、「判断1」という)を行う(ステップS8)。この「判断1」において音量アップする場合(ステップS8:Y)には、「条件1」を満足するか否かの判断(以下、「判断2」という)を行う(ステップS9)。ここで、「条件1」は、ボタン電話機20の受話設定ゲイン<0[dB]且つボタン電話主装置10の受話ゲイン設定>0[dB]である。
【0025】
上記「判断2」において「条件1」を満足する場合(ステップS9:Y)には、0[dB]をボタン電話機20の受話実行ゲイン、ボタン電話機20の受話設定ゲイン+ボタン電話主装置10の受話設定ゲインをボタン電話主装置10の受話実行ゲイン(以下、「実行設定1」という)とする(ステップS10)。他方、上記「判断2」において「条件1」を満足しない場合(ステップS9:N)には、「条件2」を満足するか否か判断(以下、「判断3」という)する(ステップS11)。ここで、「条件2」は、ボタン電話機20の受話設定ゲイン>0且つボタン電話主装置10の受話設定ゲイン<0である。また、上記「判断1」において音量アップをしない場合(ステップS8:N)にも、「条件1」を満足するか否かの判断(以下、「判断4」という)する(ステップS12)。そして、ステップS11の「判断3」において「条件2」を満足する場合(ステップS11:Y)及びステップS12の「判断4」において「条件1」を満足する場合(ステップS12:Y)には、0[dB]をボタン電話主装置10の受話実行ゲインとし、ボタン電話機20の受話設定ゲイン+ボタン電話主装置10の受話設定ゲインをボタン電話機20の受話実行ゲイン(以下、「実行設定2」という)とする(ステップS13)。
【0026】
一方、上記「判断4」において「条件1」を満足しない場合(ステップS12:N)には、「条件2」を満足するか否かの判断(以下、「判断5」という)を行う(ステップS14)。この「判断5」において「条件2」を満足しない場合(ステップS14:N)又は上記「判断3」において[条件2]を満足しない場合(ステップS11:N)には、ボタン電話機20の受話設定ゲインをボタン電話機20の実行ゲインとし、ボタン電話主装置10の受話設定ゲインをボタン電話主装置10の受話設定ゲイン、即ち、変更なし(以下、「実行設定3」という)とする(ステップS15)。また、上記「判断5」において「条件2」を満足する場合(ステップS14:Y)には、上述した「実行設定1」とする(ステップS10)。そして、これらステップS10、S13又はステップS15の後、上述したステップS2へ戻り、終話を判断する。
【0027】
上述の如く、受話音量の変更をボタン電話機20のユーザによる操作で行われる場合には、図3の「判断2」の条件には合致せず(N)、「判断3」の条件に合致する(Y)ので、図2に示す実行設定値(この場合には、ボタン電話主装置10の受話ゲインを0[dB]、ボタン電話機20の受話ゲインを+3 [dB])を各受話ゲイン制御回路15、25に設定し、音量が変化か終話されるまで保持する。これにより、無駄なノイズの増幅が抑えられるため、通常の処理に比べて良好な通話品質を得ることが可能となる。尚、終話時には、通常の設定値を各受話ゲイン制御回路15、25に設定させることにより、次の通話での音量に影響を与えることがないことに注目されたい。
【0028】
上述の如く、受話ゲイン制御回路15、25(又は送話ゲイン制御回路16、26)が、ボタン電話主装置10及びボタン電話機20の如く複数箇所に設けられている場合に、これら複数のゲイン制御回路の設定を考慮して、各ゲイン制御部のゲイン変化が最小になるように実行ゲインを決定することを特徴とする。従って、ノイズを低減させて良好な受話又は送話音質を維持することが可能である。
【0029】
以上、本発明によるボタン電話装置及びそのゲイン制御方法の好適実施例について詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨又は精神を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。
【0030】
例えば、上述の好適実施例では、通話相手先端末が外線の場合について説明したが、通話相手先端末は外線に限定されず、内線でも同様な効果が得られる。また、上述の詳細説明は、外線通話の受話に関する制御を説明したが、送話ゲインに関する制御に関しても同様方法により、受話の場合と同様の効果が得られる。更にまた、上述の説明では、ゲイン制御回路がボタン電話主装置側及びボタン電話機側の2箇所の場合を説明したが、通話路に挿入されるゲイン制御回路が3個以上の場合であっても同様方法により、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明によるボタン電話装置の好適実施例の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明によるボタン電話装置における受話ゲイン設定値例を説明する図である。
【図3】本発明によるボタン電話装置のゲイン制御方法を示すフローチャートである。
【図4】従来のボタン電話装置におけるゲイン制御の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
10 ボタン電話主装置(ME)
15、25 受話ゲイン制御回路
16、26 送話ゲイン制御回路
17、27 制御装置(CPU)
18、28 メモリ
20 ボタン電話機(TEL)
21 内線
24 音量設定入力回路
31 外線
32 交換局
33 通話相手先端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン電話主装置及び該ボタン電話主装置に内線で接続された少なくとも1台のボタン電話機により構成されるボタン電話装置において、
前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機にそれぞれ設けられた受話(又は送話)信号のゲインを制御する受話(又は送話)ゲイン制御回路を、前記ボタン電話機に設けられた音量設定入力回路の設定に応じて、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)ゲイン制御回路のゲインを連携して制御する制御装置を備えることを特徴とするボタン電話装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)設定ゲイン制御回路の設定ゲインに基づき前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)実行ゲインを決定することを特徴とする請求項1に記載のボタン電話装置。
【請求項3】
前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機は、それぞれメモリを備え、前記設定された受話(又は送話)ゲインの設定値を格納することを特徴とする請求項1又は2に記載のボタン電話装置。
【請求項4】
同じ通話相手先端末からの次回の通話時には、前記メモリに格納された前記受話(又は送話)ゲイン設定値に前記ボタン電話主装置及びボタン電話機の前記受話(又は送話)ゲイン制御回路の前記受話(又は送話)ゲインを設定することを特徴とする請求項3に記載のボタン電話装置。
【請求項5】
前記メモリは、それぞれ前記受話(又は送話)ゲインの初期値を格納し、通話相手先端末との通話が終話する毎に前記受話(または送話)ゲインを前記初期値に設定することを特徴とする請求項3に記載のボタン電話装置。
【請求項6】
ボタン電話主装置及び該ボタン電話主装置に内線で接続された少なくとも1台のボタン電話機により構成されるボタン電話装置の受話(又は送話)ゲインを制御するボタン電話装置のゲイン制御方法において、
前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機にそれぞれ設けられた受話(又は送話)ゲインを調整する受話(又は送話)ゲイン制御回路の受話(又は送話)ゲインの変更の有無を判断するステップと、変更された受話(又は送話)ゲインをメモリに格納するステップと、前記受話(又は送話)ゲインのアップか否かを判断するステップと、該判断結果に基づき予め決めた条件を満たすか否か判断するステップと、該判断結果により受話(又は送話)実行ゲインを設定するステップとを備えることを特徴とするボタン電話装置のゲイン制御方法。
【請求項7】
前記設定された受話(又は送話)実行ゲインを前記メモリに格納し、同じ通話相手先端末との次回以降の通話に使用するステップを備えることを特徴とする請求項6に記載のボタン電話装置のゲイン制御方法。
【請求項8】
通話相手先端末との通話の終話時に、前記受話(または送話)ゲインを予め設定した初期値に設定するステップを備えることを特徴とする請求項6に記載のボタン電話装置のゲイン制御方法。
【請求項9】
それぞれ受話(又は送話)ゲイン制御回路を含むボタン電話主装置及び少なくとも1台のボタン電話機により構成されるボタン電話装置の受話(又は送話)ゲインを制御するボタン電話装置のゲイン制御方法において、
前記ボタン電話機のユーザがボタン電話機に設けられた音量設定入力回路を操作したか否か判断するステップと、前記音量設定入力回路を操作して音量を変更したとき、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)ゲイン制御回路のゲインを、前記両ゲイン制御回路のゲイン変更が最小になるように変更設定するステップとを備えることを特徴とするボタン電話装置のゲイン制御方法。
【請求項10】
前記ボタン電話機のユーザによる音量設定変更がある場合には、変更された音量設定をメモリに格納するステップを備えることを特徴とする請求項9に記載のボタン電話装置のゲイン制御方法。
【請求項11】
前記ボタン電話機のユーザによる音量設定変更があった場合には、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の設定ゲインによる2条件に基づき判断して、前記ボタン電話主装置及び前記ボタン電話機の受話(又は送話)ゲインを3つの実行設定の何れかに設定するステップを備えることを特徴とする請求項9又は10に記載のボタン電話装置のゲイン制御方法。
【請求項12】
前記2条件は、前記ボタン電話機の設定ゲインが<0で前記ボタン電話主装置の設定ゲインが>0及び前記ボタン電話機の設定ゲインが>0で前記ボタン電話主装置の設定ゲイン<0であることを特徴とする請求項11に記載のボタン電話装置のゲイン制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−238262(P2006−238262A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52568(P2005−52568)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】