説明

ボトルを装着可能な水鉄砲

【課題】 従来の水鉄砲では、圧力タンクを製造する作業工程が必要であった。また、市販のペットボトル等のボトルを装着することは不可能であった
【解決手段】 この発明の水鉄砲は、筒体2と握り部3からなる本体1内に送水路6を内包し、握り部3は下端を開口させるとともに下端部にボトル5の雄ネジ50と羅着可能な雌ネジ30を設け、握り部3内部に握り部3下端に開口する送気口43を有する送気シリンダーポンプ4を設け、握り部3に装着したボトル5内に一端を開口させ他端を出水口7に接続する送水路6を設け、送水路6は引金部9を引くことによって送水路6を閉鎖している送水路押圧部8の付勢力を解除させて送水路6を開放させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ボトル、詳細には複数の種類のペットボトルと交換自在に装着が可能な水鉄砲に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、水鉄砲は、水圧を利用して径小な孔より水を飛ばす遊び道具である。基本的な水鉄砲としては筒やシリンダーの一端に孔を明けて、入水口、出水口兼用とし、筒に摺動自在なピストンを設けたものが知られている。これは、ピストンを引くことにより筒内を陰圧にして水を吸引し、ピストンを圧することにより、筒内の水に圧力を加え、水を飛ばしていた。
【0003】また、ピストル形の水鉄砲も公知であり、これはピストルの引金をピストル内のピストンと連結させ、引金を引くことによりピストンで筒内の水を押圧して水を飛ばし、引金を離すとバネの力でピストンが戻り、筒内を陰圧にして水を吸引していた。
【0004】さらに、圧力タンクを有するものも知られている。圧力タンクへ圧力を供給するシリンダーポンプを有しており、圧力タンクは、シリンダーポンプから連通する連通パイプと、分岐する連通パイプを有しており、他端を開口端として設ける。連通パイプには開閉弁を設け、開閉弁はスプリングの付勢力によって弁が閉鎖するか、あるいは直接引金部の当接部の開閉によって弁が開放していた。
【0005】また、本発明者は、圧力タンクを有する水鉄砲として特願平6−75314号(先行技術1)によって「一体的に成型する送気口を有するシリンダーポンプと、シリンダーポンプの送気口に接続する中間通路と、中間通路と通水路に接続する接続部分を一体的に成型される分岐部と、分岐部に接続する圧力タンクと、分岐部から分岐し出水口に連通する通水路と、支点により押圧部を回動させ通水路を開放する引金部と、引金部の押圧部を押圧しているバネとからなることを特徴とする水鉄砲」を提案している。
【0006】さらに本発明者は、特願平7−86354号(先行技術2)において、「一体的に成型する送気口を有するシリンダーポンプと、シリンダーポンプの送気口に接続する中間通路と、中間通路と通水路に接続する接続部分を一体的に成型される分岐部と、分岐部に接続する圧力タンクと、分岐部から分岐し出水口に連通する柔軟性のある通水路と、通水路をバネの付勢力によって押圧している押圧体と、押圧体と当接し押圧体を回動させて通水路を開放する当圧部分を有する引金部とを有していることを特徴とする水鉄砲」を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の圧力タンクを有する水鉄砲では、圧力タンクが着脱自在であっても水鉄砲の一部として製造されるため、圧力タンクを製造する作業工程が必要である課題があった。
【0008】従って、デザイン的にも同じ形状の水鉄砲が製造され、それをそのまま使用者が使用していた。
【0009】
【課題を解決する為の手段】この課題を解決する為に、筒体と握り部からなる本体内に送水路を内包し、握り部は下端を開口させるとともに下端部にボトルの雄ネジと羅着可能な雌ネジを設け、握り部内部に握り部下端に開口する送気口を有する送気シリンダーポンプを設け、握り部に装着したボトル内に一端を開口させ他端を出水口に接続する送水路を設け、送水路は引金部を引くことによって送水路を閉鎖している送水路押圧部の付勢力を解除させて送水路を開放させることを特徴とするボトルを装着可能な水鉄砲を提案する。
【0010】また、筒体と握り部を一体的に形成した本体内に送水路を内包し、握り部は下端を開口させるとともに下端部に複数の種類のペットボトルの雄ネジと交換自在に羅着可能な雌ネジを設け、握り部内部に、握り部下端に開口し逆止弁を有する送気口を有する送気シリンダーポンプを設けるとともに、握り部に装着したペットボトル内に一端を開口させ他端を出水口に接続する送水路は、握り部送水路と、復元性のある柔軟性素材からなる筒体送水路と、ペットボトル内に位置する長さがペットボトルの長さによって変更可能なるボトル内送水路と接続させてなり、かつ送水路は引金部を引くことによって送水路を閉鎖している送水路押圧部の付勢力を解除させて送水路を開放させることを特徴とするボトルを装着可能な水鉄砲を提案する。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明を実施の形態を示す水鉄砲の正面断面図である図1、ボトル(ペットボトル)を装着した状態の正面図である図2に基づいて説明する。
【0012】水鉄砲の本体1は、先端側に出水口7を有する筒体2と、筒体2の後部側に筒体2に対してほぼ直角に設けられる握り部3とを有する。筒体2と握り部3は縦割り体によって一体的に形成され、複数のネジによって2つの縦割り体を連結して中空の本体1を形成する。
【0013】本体1の握り部3内に送気シリンダーポンプ4を設ける。握り部3は下端を開口させるとともに下端部にボトル5の雄ネジ50と対応するネジ径を有して羅着可能な雌ネジ30を設けている。握り部3の雌ネジ30に羅着可能なボトル5は、一般的に市販されているペットボトル(ポリエチレンテレフタレート樹脂素材によって形成された透明または半透明ボトル)であり、そのボトル内容積の大きさに関わらず雄ネジ50のネジ径は、ほぼ統一されており大半が同一である。他の実施例としてはボトル5は、ペットボトルでなくとも雄ネジ50のネジ径が同一であればよい。握り部3の下端部にゴム、軟質合成樹脂等の弾性体からなる環状パッキング31を設け、装着したボトル5の口部端面と密着させる。ボトル5は装着されることにより圧力タンクの作用をする。
【0014】握り部3の内部に設けられた送気シリンダーポンプ4は、シリンダー43内を移動するシリンダーロット40を有し、シリンダーロッド40は上端部にポンプ把手41を設け、下端部側にシリンダーヘッド42を設ける。送気シリンダーポンプ4のシリンダー43の下流側端部は、握り部3の下端部に開口する送気口44を設ける。送気口44にはバネ体からなる逆止弁45を有し、シリンダー43へのエアの逆流を防止している。
【0015】握り部3の開口する下端近傍には、送水路6の上流端部を開口させ接続部62を設ける。送水路6は握り部3内では送気シリンダーポンプ4のシリンダー43と平行に硬質合成樹脂素材で形成される堅い細い管からなる握り部送水路60からなる。握り部送水路60は下流側端部で筒体2内に設けられ復元性のある軟質合成樹脂頭の柔軟性素材からなる細い管である筒体送水路61の上流側端部に接続する。筒体送水路61は、下流側端部で出水口7に接続する。
【0016】筒体送水路61の途中に板バネ80からなる送水路押圧部8を設け、板バネ80の一端部に設けた尖った押圧部81によって通常は送水路61を押圧して送水路61は閉鎖されている。押圧部81の位置する板バネ80端部は、引き金9の一部と当接しており、引き金9の引く作動により板バネ80の端部がバネ付勢力と逆方向に押圧され押圧部81が筒体送水路61の押圧から離れ送水路6は開放される。
【0017】送水路6の上流側端部の接続部62は、ボトル内送水路63と着脱自在に接続する。ボトル内送水路63は、復元性のある柔軟性素材からなる細い管である。ボトル内送水路63の上流側下端は、握り部3に装着されるペットボトル5の底部に届く長さである。握り部3の下端部に装着されるペットボトル5の口部から底部までの長さが長くボトル内送水路63の上流側端部が届かない場合は、ボトル内送水路63の上流側端部に第2接続部64を設け、さらに同様のボトル内送水路63を接続させることによって、ボトル内送水路63の長さを長く変更させ、装着するペットボトル5の底部にボトル内送水路63の上流側端部を位置させる。
【0018】次に、この発明の実施形態の作用について説明する。
【0019】まず、内部の飲料を使用し蓋部を取り外した市販の空のペットボトル5内に適量水等の液体を入れる。次に装着する予定のペットボトル5の高さ(長さ)に対応するボトル内送水路63を握り部送水路60の上流側端部に設けてある接続部62に接続する。装着するペットボトル5が大きい場合は、さらにボトル内送水路63に第2接続部64を設けボトル内送水路63の上流側端部をペットボトル5の底部に届くようにする。
【0020】次にボトル内送水路63を口部からペットボトル5内へ入れつつ、ペットボトル5の雄ネジ50を握り部3の雌ねじに羅着させる。このとき市販のペットボトル5の雄ネジのネジ径は、ペットボトルの高さ、大きさによって相違しない同径のものが大半であるため、多種類の様々なペットボトル5を握り部3に密着して羅着することが可能である。装着されたペットボトル5、パッキング31によってペットボトル5の口部端面が密着して装着されるので、圧力エアが漏れることがなく圧力タンクの作用を行うことが可能である。
【0021】次に、送気シリンダーポンプ4のポンプ把手41を上下移動させて、シリンダーヘッド42をシリンダー44内を摺動させてなるシリンダー作用により、送気口43から装着されたペットボトル5内へ圧力エアを送り込む。このとき送気口43にはバネ体からなる逆止弁45を設けているのでエアが逆流することを防止している。
【0022】ペットボトル5内へ送られたエアにより、ペットボトル5内の水に圧力が掛かり、ボトル内送水路63、握り部送水路60を介して筒体送水路61内へ水は上がって行く。このとき通常は、筒体送水路61は、送水路押圧部8の板バネ80の付勢力により筒体送水路61は押圧部81によって押圧され閉鎖されている。
【0023】ここで水鉄砲として水を出そうとするときは、引金部9を握り部3方向に引くと、引金部9は回動し、板バネ80に当接している部分が板バネ80を付勢力に抗して押し、押圧部81を筒体送水路61の押圧から離す。これにより筒体送水路61は開放され、ペットボトル5内の水は開放された送水路6内を通って下流側端部の出水口7から放水される。
【0024】引金部9を離すと、板バネ80の付勢力作用により、自動的に押圧部81が筒体送水路61を押圧し送水路6を閉鎖する為、放水は止まる。この引金部9の引く作用により水鉄砲として遊ぶことができる。
【0025】握り部3の下端部に装着され圧力タンクの作用をするペットボトル5は、多様な種類を交換自在に使用できるので子供の遊技心を満足させることが可能である。
【0026】
【発明の効果】この発明によれば、従来のような圧力タンクを製造する必要がなくなり製造工程を1工程減らすことが可能になった。
【0027】また、市販されている多様なボトル(ペットボトル)を圧力タンクとして使用することができるため、子供にも簡単に取り扱いができ、ボトルの変更ができる。さらに多くの種類のボトルが装着可能であるため、装着ボトルを簡単に交換でき、デザイン的にも多様な組み合わせができ、子供等の使用者の遊技心を満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態を示す水鉄砲の断面正面図
【図2】 同じくボトルを装着した状態の正面図
【符号の説明】
1 本体
2 筒体
3 握り部
30 握り部の雌ネジ
31 パッキング
4 送気シリンダーポンプ
40 シリンダーロッド
41 ポンプ把手
42 シリンダーヘッド
43 開口部
44 シリンダー
45 逆止弁
5 ボトル(ペットボトル)
50 ボトルの雄ネジ
6 送水路
60 握り部送水路
61 筒体送水路
62 接続部
63 ボトル内送水路
64 第2接続部
7 出水口
8 送水路押圧部
80 板バネ
81 押圧部
9 引金部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒体と握り部からなる本体内に送水路を内包し、握り部は下端を開口させるとともに下端部にボトルの雄ネジと羅着可能な雌ネジを設け、握り部内部に握り部下端に開口する送気口を有する送気シリンダーポンプを設け、握り部に装着したボトル内に一端を開口させ他端を出水口に接続する送水路を設け、送水路は引金部を引くことによって送水路を閉鎖している送水路押圧部の付勢力を解除させて送水路を開放させることを特徴とするボトルを装着可能な水鉄砲。
【請求項2】 筒体と握り部を一体的に形成した本体内に送水路を内包し、握り部は下端を開口させるとともに下端部に複数の種類のペットボトルの雄ネジと交換自在に羅着可能な雌ネジを設け、握り部内部に、握り部下端に開口し逆止弁を有する送気口を有する送気シリンダーポンプを設けるとともに、握り部に装着したペットボトル内に一端を開口させ他端を出水口に接続する送水路は、握り部送水路と、復元性のある柔軟性素材からなる筒体送水路と、ペットボトル内に位置する長さがペットボトルの長さによって変更可能なるボトル内送水路と接続させてなり、かつ送水路は引金部を引くことによって送水路を閉鎖している送水路押圧部の付勢力を解除させて送水路を開放させることを特徴とするボトルを装着可能な水鉄砲。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2001−241891(P2001−241891A)
【公開日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−49995(P2000−49995)
【出願日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願人】(394006989)千森産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】