説明

ボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム

【課題】 合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理を、コンピュータによる自動演算処理で実現するための、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを実現する。
【解決手段】 ボンディングパッド合成処理のためのコンピュータプログラムは、基板中心部側に配置される第1のボンディングパッドの基板外縁部側の2つの頂点と基板外縁部側に配置される第2のボンディングパッドの基板中心部側の2つの頂点との間の各距離のうち、短い距離を構成する頂点同士が一致するように第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合するステップと、この生成された結合形状に関して、第1および第2のボンディングパッド間の結合部付近に生じた凹形状を除去するための補充領域を生成するステップと、を備え、上記結合形状と補充領域とを結合した形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置されるボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PBGAやEBGAなどの半導体パッケージにおいては、半導体チップの電極端子と電気的に接続されるボンディングパッドとその周囲に設けられたビア(Via)との間あるいはビア同士の間にワイヤを配線してそれぞれ接続する。近年では、半導体パッケージに複数の半導体チップが階段状に配置される例がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20は、半導体チップが複数段配置された半導体パッケージを模式的に例示する側面図である。図示の例では、基板51上に、2個の半導体チップ52−1および52−2が階段状に配置されている。半導体チップ52−1および52−2の電極端子53から、基板51上のボンディングパッド54にそれぞれワイヤが配線される。半導体パッケージにこの半導体チップが配置される場合は、通常は基板上にボンディングパッドが1列並ぶが、半導体パッケージに複数個の半導体チップが階段状に配置される場合は、基板上にボンディングパッドが複数列並ぶことになる。
【0004】
半導体チップが複数段配置された半導体パッケージにおいて、ある半導体チップのある電極端子からのワイヤの接続先と、他の半導体チップの電極端子からのワイヤの接続先とが同一である場合は、これら各ワイヤが接続されるボンディングパッドを共通のものにすれば、基板面を有効活用することができ、実装効率が上がる。図21は、半導体チップが複数段配置された半導体パッケージを模式的に例示する上面図である。図示の例では、基板51上に、2個の半導体チップ52−1および52−2が階段状に配置されている。一般に、ボンディングパッドの形状は、長方形もしくは平行四辺形である。例えば、半導体チップ52−1の電極端子53−1からのワイヤの接続先と半導体チップ52−2の電極端子53−2からのワイヤの接続先とが同一であると仮定すると、これら2つのワイヤは共通のボンディングパッド54に接続するのが好ましい。
【0005】
【特許文献1】特開2000−164796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体パッケージの配線設計においては、設計者自身が、例えばCADシステムを用いて仮想平面上で半導体パッケージの配線のルートを自らの技量や経験や勘を頼りに試行錯誤しながら手動で設計するのが一般的である。
【0007】
特に、半導体チップが複数段配置された半導体パッケージの配線設計では、まず、半導体チップに対応するボンディングパッドを基板上に仮配置する。この仮配置では、基板上にはボンディングパッドが複数列並んでいる状態である。次に、設計データに基づき、ある半導体チップのある電極端子からのワイヤの接続先と、他の半導体チップの電極端子からのワイヤの接続先とが同一であるものについては、これら各ワイヤの接続先であるボンディングパッドを1つに合成する。合成後のボンディングパッドの形状の決定は、設計者自ら、CADシステムを用いて、ディスプレイ画面を見ながら手動で行う。ボンディングパッドを合成する際は、クリアランスルールを満たなければならないという制約はあるものの、合成の仕方そのものについてはルールが無いので、設計者は、CADシステム上で試行錯誤しながら、合成すべきボンディングパッドの辺同士を適当に合わせるのみであった。このため、合成したボンディングパッドが、基板面を有効活用する形状になっていないような場合も多々あった。
【0008】
上述のような試行錯誤しながらの手動による配線設計では、要求される設計の内容が複雑になるほど工数も多くなり、最適な配線を実現するには多大なる労力および時間を要し、難易度も増す。さらに、設計者がその都度、合成操作を手動で行うのでは、ミスも生じ易く、完成品の品質のバラツキも大きくなる。
【0009】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置されるボンディングパッドの合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理を、コンピュータによる自動演算処理で実現するための、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を実現するために、本発明の第1の態様においては、基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置される第1および第2のボンディングパッドの合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムは、
基板中心部側に配置される第1のボンディングパッドの基板外縁部側の2つの頂点と、各該頂点にそれぞれ対向する、基板外縁部側に配置される第2のボンディングパッドの基板中心部側の2つの頂点と、の間の各距離のうち、短い距離を構成する頂点同士が一致するように第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
この結合ステップで生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において凹形状が生じた場合において、当該凹形状を除去するための補充領域を生成する生成ステップと、を備え、
結合ステップで生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状と、補充領域と、を結合して生成される形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0011】
また、本発明の第2の態様においては、基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ平行四辺形状を有しかつ該平行四辺形の高さが互いに等しい第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムは、
第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップであって、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる第1のボンディングパッドおよび第2のボンディングパッドの鈍角側の頂点を含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
この結合ステップで生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において凸形状が生じた場合において、当該凸形状を除去する削除領域を決定する決定ステップと、を備え、
結合ステップで生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状から削除領域を削除して生成される形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0012】
また、本発明の第3の態様においては、基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ平行四辺形状を有しかつ該平行四辺形の高さが互いに等しい第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムは、
第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップであって、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる第1のボンディングパッドおよび第2のボンディングパッドの鋭角側の頂点を含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
この結合ステップで生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において凹形状が生じた場合において、当該凹形状を除去するための補充領域を生成する生成ステップと、を備え、
結合ステップで生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状と、補充領域と、を結合して生成される形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0013】
なお、以上の処理をコンピュータにより実行させるコンピュータプログラムを記録媒体に格納するという事項も当業者には自明であろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体チップが複数段配置された半導体パッケージの配線設計において、ボンディングパッドを合成する処理をコンピュータによる自動演算処理で実現するので、従来のように設計者の技量、経験、勘などに左右されることなく、安定した品質の合成ボンディングパッドの形状を短時間で容易に確定することができる。ボンディングパッド合成処理の自動演算処理化により、従来のような人的ミスも生じなくなり、完成品の品質のバラツキがなくなる。配線設計における工数を減らすことができるので、設計に要する作業時間が大幅に短縮され、設計者の負担も低減する。また、結果として半導体パッケージの製造コストも低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の動作フローを示すフローチャートである。本実施例では、基板中心部から基板外縁部の方向に並ぶボンディングパッドがそれぞれ長方形状を有する場合におけるボンディングパッド合成処理について説明する。また、説明を簡明にするために、ボンディングパッドが基板中心部から基板外縁部の方向に向かって2個に並んでいるものとし、基板中心部側に配置されるボンディングパッドを「第1のボンディングパッド」と称し、基板外縁部側に配置されるボンディングパッドを「第2のボンディングパッド」と称するものとする。
【0016】
まず、ステップS101において、合成対象である基板中心部側に配置される第1のボンディングパッドおよび基板外縁部側に配置される第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、各長方形状の傾き角度が一致するか否かを判定する。図2は、本発明の第1の実施例における、長方形状を有するボンディングパッドの基準座標上における傾き角度を説明する図である。長方形状を有するボンディングパッド54が図示のように基板51上に配置されている場合において、基板51上に基準座標を仮想的に設ける。本実施例では、長方形状を有するボンディングパッド54のx軸から見た角度θを、当該ボンディングパッドの傾き角度と定義する。なお、仮想的に設けられる基準座標は、図2の例に限定されるものではなく、ボンディングパッドの長方形状の傾き具合を一義的に特定できるものであればよい。
【0017】
合成対象である2つのボンディングパッドの傾き角度の大きさが一致しないとステップS101において判定された場合は、ステップS102において、第1のボンディングパッドの基板外縁部側の2つの頂点と、各該頂点にそれぞれ対向する、第2のボンディングパッドの基板中心部側の2つの頂点と、の間の各距離のうち、短い距離を構成する頂点同士が一致するように第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。
【0018】
次いで、ステップS103において、ステップS102で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの間の結合部付近に生じる凹形状を除去するための補充領域を生成する。
【0019】
そして、ステップS104において、ステップS102で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状と、ステップS103で生成した補充領域と、を結合して生成される形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0020】
一方、合成対象である2つのボンディングパッドの傾き角度の大きさが一致するとステップS101において判定された場合は、ステップS105において、第1のボンディングパッドの基板外縁部側の辺と、第2のボンディングパッドの基板中心部側の辺とが一致するように、第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。
【0021】
そして、ステップS106において、ステップS105で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0022】
本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理における上記各ステップS101〜S106は、コンピュータ等の演算処理装置により実行される。なお、ステップS101を実行する前に、ボンディングパッドの形状、座標、大きさおよび向き、半導体チップの電極端子からボンディングパッドへの配線、ならびに、必要に応じて各ビアの座標、形状、大きさおよび向き、などに関するデータを、本実施例のボンディングパッド合成処理を実行する演算処理装置に予め入力しておく。上記演算処理装置は、入力された上記データを用いて、ステップS101から処理を開始する。
【0023】
以下に、いくつか具体例を挙げる。図3は、本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の第1の具体例を説明する図である。本具体例では、図3(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置される2個のボンディングパッド、すなわち基板中心部側に配置される長方形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される長方形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPの各頂点をpa、pb、pcおよびpdとし、特に頂点paおよびpbを基板中心部側の頂点とし、頂点pcおよびpdを基板外縁部側の頂点とする。また、ボンディングパッドQの各頂点をqa、qb、qcおよびqdとし、特に頂点qaおよびqbを基板中心部側の頂点とし、頂点qcおよびqdを基板外縁部側の頂点とする。
【0024】
図3(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、各長方形状の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQの傾き角度の大きさは一致しない。
【0025】
そこで、図3(b)に示すように、ボンディングパッドPの基板外縁部側の頂点pcおよびpdと、これら頂点pcおよびpdにそれぞれ対向する、ボンディングパッドQの基板中心部側の頂点qbおよびqaと、の間の各距離「pd〜qa」および「pc〜qb」のうち、短い距離を構成する頂点pcと頂点qbとが一致するようにボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0026】
ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αには、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合部付近に、凹形状が生じる。そこで、図3(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αに関して、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近に生じる凹形状を除去するための補充領域β(図中、点線で示す。)を生成する。
【0027】
本実施例では、補充領域βを次のように生成する。すなわち、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」と、ボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」と、ボンディングパッドPの輪郭線「pa、pd」からの延長線であって当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う延長線lpと、ボンディングパッドQの輪郭線「qd、qa」からの延長線であって当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う延長線lqと、で囲まれた領域βを、補充領域として生成する。
【0028】
そして、図3(d)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αと、補充領域βと、を結合して生成される形状γを、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0029】
図4は、本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の第2の具体例を説明する図である。本具体例では、図4(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2個のボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される長方形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される長方形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図3(a)で説明したものと同様である。
【0030】
図4(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、各長方形状の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQの傾き角度の大きさは一致しない。
【0031】
そこで、図4(b)に示すように、ボンディングパッドPの基板外縁部側の頂点pcおよびpdと、これら頂点pcおよびpdにそれぞれ対向する、ボンディングパッドQの基板中心部側の頂点qbおよびqaと、の間の各距離「pd〜qa」および「pc〜qb」のうち、短い距離を構成する頂点pdと頂点qaとが一致するようにボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0032】
ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αには、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合部付近に、凹形状が生じる。そこで、図4(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αに関して、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近に生じる凹形状を除去するための補充領域β(図中、点線で示す。)を生成する。補充領域βは次のように生成する。すなわち、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pc、pd」と、ボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qb、qa」と、ボンディングパッドPの輪郭線「pb、pc」からの延長線であって当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う延長線lpと、ボンディングパッドQの輪郭線「qc、qb」からの延長線であって当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う延長線lqと、で囲まれた領域βを、補充領域として生成する。
【0033】
そして、図4(d)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αと、補充領域βと、を結合して生成される形状γを、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0034】
図5は、本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の第3の具体例を説明する図である。本具体例では、図5(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2個のボンディングパッド、すなわち基板中心部側に配置される長方形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される長方形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図3(a)で説明したものと同様である。
【0035】
図5(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、各長方形状の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQの傾き角度の大きさは一致する。
【0036】
そこで、図5(b)に示すように、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pc、pd」と、ボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qb、qa」とが一致するように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0037】
そして、図5(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αを、合成後のボンディングパッドの形状γとして確定する。
【0038】
なお、本発明の第1の実施例では、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近に生じる凹形状を除去するための補充領域βを、図3(c)および図4(c)を参照して説明したようなやり方で生成したが、これ以外のやり方であってもよい。
【0039】
本発明の第2および第3の実施例は、基板中心部から基板外縁部の方向に並ぶボンディングパッドがそれぞれ平行四辺形状を有する場合に適用するものである。図6は、平行四辺形状を有するボンディングパッドを例示する図である。また、図7は、平行四辺形状を有するボンディングパッドの基準座標上における傾き角度を説明する図である。
【0040】
ボンディングパッド54は、ワイヤを確実に接続するために、ワイヤの接続方向(図中、矢印で示す。)と直交な方向にある程度の幅hを有している必要がある。この幅hを、本願明細書では、「有効幅」と称する。ボンディングパッド54が平行四辺形状の場合は、平行四辺形の高さが、当該ボンディングパッドへのワイヤ接続に必要な有効幅hに相当することになる。ここで、図7に示すように、平行四辺形状を有するボンディングパッド54が図示のように配置される基板51上に基準座標を仮想的に設けて考え、平行四辺形状を有するボンディングパッド54に接続されるワイヤの方向の、x軸から見た角度θを、当該ボンディングパッドの傾き角度と定義する。ボンディングパッド54の基板上における配置位置により、当該ボンディングパッドの傾き角度が異なるので、ボンディングパッド54の平行四辺形状の、いわゆる「つぶれ具合」も異なってくる。例えば、ボンディングバッド54が基板51のある一辺上における中央付近に位置する場合は、図6(a)に示すように、ボンディングパッド54は、長方形に比較的近い形状の平行四辺形になる。そして、ボンディングバッド54が基板51のある一辺上において端部に近い位置に配置されるにつれ、図6(b)〜(c)に示すように、ボンディングパッド54の平行四辺形状はつぶれていく。つまり、基板51のある一辺上において端部に近い位置に配置されるボンディングパッド54ほど、ボンディングパッド54の傾き角度が大きくなる。したがって、ボンディングパッドの有効幅hはボンディングパッド54の基板51上の配置位置にかかわらず当然に一定であるので、基板51のある一辺上において端部に近い位置に配置されるボンディングパッド54ほど、ボンディングパッド54の平行四辺形状の辺の長さは長くなることになる。例えば、図6で言えば、k1<k2<k3となる。
【0041】
図8は、本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の動作フローを示すフローチャートである。本実施例では、基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並ぶボンディングパッドがそれぞれ平行四辺形状を有する場合におけるボンディングパッド合成処理について説明する。また、説明を簡明にするために、ボンディングパッドは基板中心部から基板外縁部の方向に向かって2個に並んでいるものとし、基板中心部側に配置されるボンディングパッドを「第1のボンディングパッド」と称し、基板外縁部側に配置されるボンディングパッドを「第2のボンディングパッド」と称するものとする。
【0042】
まず、ステップS201において、合成対象である基板中心部側に配置される第1のボンディングパッドおよび基板外縁部側に配置される第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。
【0043】
合成対象である2つのボンディングパッドについて、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度の大きさが一致しないとステップS201において判定された場合は、ステップS202において、第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。より具体的には、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる第1のボンディングパッドおよび第2のボンディングパッドの鈍角側の頂点を含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。
【0044】
次いで、ステップS203において、ステップS202で生成した第1のボンディングパッドの基板外縁部側の辺の長さと第2のボンディングパッドの基板中心部側の辺の長さとが一致するか否かを判定する。
【0045】
ステップS203において辺の長さが一致しないと判定された場合は、ステップS204において、ステップS202で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの間の結合部付近に生じる凸形状を除去する削除領域を決定する。削除領域は次のようにして決定する。すなわち、ステップS202で生成した第1のボンディングパッドの基板外縁部側の辺の長さおよび第2のボンディングパッドの基板中心部側の辺の長さのうち当該辺の長さの長い方のボンディングパッド中の当該辺上の鋭角側の頂点を含む領域であって、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドの当該辺上の鋭角側の頂点を通りかつ当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線からの延長線によって画定される領域を、削除領域として決定する。
【0046】
そして、ステップS205において、ステップS202で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状から、ステップS204で決定した削除領域を削除し、これにより生成された形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0047】
一方、合成対象である2つのボンディングパッドについて、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度の大きさが一致するとステップS201において判定された場合は、ステップS206において、第1のボンディングパッドの基板外縁部側の辺と、第2のボンディングパッドの基板中心部側の辺とが一致するように、第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。
【0048】
ステップS207では、ステップS206で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。また、同じくステップS207では、ステップS203において辺の長さが一致すると判定された場合にも、ステップS202で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0049】
本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理における上記各ステップS201〜S207は、コンピュータ等の演算処理装置により実行される。なお、ステップS201を実行する前に、ボンディングパッドの形状、座標、大きさおよび向き、半導体チップの電極端子からボンディングパッドへの配線、ならびに、必要に応じて各ビアの座標、形状、大きさおよび向き、などに関するデータを、本実施例のボンディングパッド合成処理を実行する演算処理装置に予め入力しておく。上記演算処理装置は、入力された上記データを用いて、ステップS201から処理を開始する。
【0050】
以下に、いくつか具体例を挙げる。図9は、本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第1の具体例を説明する図である。本具体例では、図9(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置される2つのボンディングパッド、すなわち基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPの各頂点をpa、pb、pcおよびpdとし、特に頂点paおよびpbを基板中心部側の頂点とし、頂点pcおよびpdを基板外縁部側の頂点とする。また、ボンディングパッドQの各頂点をqa、qb、qcおよびqdとし、特に頂点qaおよびqbを基板中心部側の頂点とし、頂点qcおよびqdを基板外縁部側の頂点とする。
【0051】
図9(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致しない。
【0052】
そこで、図9(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。すなわち、ボンディングパッドPとボンディングパッドとの結合部付近に位置することになるボンディングパッドPの鈍角側の頂点pcを含む部分およびボンディングパッドQの鈍角側の頂点qbを含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。より具体的に言えば、ボンディングパッドPの鈍角側の頂点pcを含む部分およびボンディングパッドQの鈍角側の頂点qbを含む部分が凸形状を構成するものとならないようにするためには、ボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdと、ボンディングパッドQの鋭角側の頂点qaとを一致させればよい。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0053】
次に、図9(b)の状態で、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとが一致するか否かを判定する。図示のとおり、これら辺の長さは一致しない。
【0054】
そこで、図9(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αに関して、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近に生じる凸形状(この場合、ボンディングパッドPの「鋭角側」の頂点pdを含む部分)を除去する削除領域δ(図中、点線で示す。)を決定する。削除領域δは次のようにして決定する。すなわち、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さおよびボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さのうち、当該辺の長さの長い方のボンディングパッドP中の当該辺「pd、pc」上の鋭角側の頂点pdを含む領域であって、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドQの当該辺「qa、qb」上の鋭角側の頂点qaを通りかつボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線「qb、qa」からの延長線によって画定される領域δを、削除領域として決定する。
【0055】
そして、図9(d)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αから、削除領域δを削除し、これにより生成された形状γを、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0056】
図10は、本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第2の具体例を説明する図である。本具体例では、図10(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2つ個ボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図9(a)で説明したものと同様である。
【0057】
図10(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致しない。
【0058】
そこで、図10(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。すなわち、ボンディングパッドPとボンディングパッドとの結合部付近に位置することになるボンディングパッドPの鈍角側の頂点pcを含む部分およびボンディングパッドQの鈍角側の頂点qaを含む部分が凸形状を構成するものとならないように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。より具体的に言えば、ボンディングパッドPの鈍角側の頂点pcを含む部分およびボンディングパッドQの鈍角側の頂点qcを含む部分が凸形状を構成するものとならないようにするためには、ボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdと、ボンディングパッドQの鈍角側の頂点qaとを一致させればよい。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0059】
次に、図10(b)の状態で、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとが一致するか否かを判定する。図示のとおり、これら辺の長さは一致しない。
【0060】
そこで、図10(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αに関して、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近に生じる凸形状(この場合、ボンディングパッドQの「鋭角側」の頂点qbを含む部分)を除去する削除領域δ(図中、点線で示す。)を決定する。削除領域δは次のようにして決定する。すなわち、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さおよびボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さのうち、当該辺の長さの長い方のボンディングパッドQ中の当該辺「qa、qb」上の鋭角側の頂点qbを含む領域であって、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドPの当該辺「pd、pc」上の鈍角側の頂点pcを通りかつボンディングパッドPに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線「pb、pc」からの延長線によって画定される領域δを、削除領域として決定する。
【0061】
そして、図10(d)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αから、削除領域δを削除し、これにより生成された形状γを、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0062】
図11は、本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第3の具体例を説明する図である。本具体例では、図11(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2個のボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図9(a)で説明したものと同様である。
【0063】
図11(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致しない。
【0064】
そこで、図11(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。すなわち、ボンディングパッドPとボンディングパッドとの結合部付近に位置することになるボンディングパッドPの鈍角側の頂点pcを含む部分およびボンディングパッドQの鈍角側の頂点qbを含む部分が凸形状を構成するものとならないように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0065】
次に、図11(b)の状態で、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとが一致するか否かを判定する。図示のとおり、これら辺の長さは一致する。
【0066】
そこで、図11(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αを、合成後のボンディングパッドの形状γとして確定する。
【0067】
図12は、本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第4の具体例を説明する図である。本具体例では、図12(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2個のボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図9(a)で説明したものと同様である。
【0068】
図12(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致する。
【0069】
そこで、図12(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。当該傾き角度が互いに一致するので、図6および7を参照して説明したことから、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとは等しいことは明白である。ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合することにより、結合形状αが得られる。
【0070】
そこで、図12(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αを、合成後のボンディングパッドの形状γとして確定する。
【0071】
図13は、本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の動作フローを示すフローチャートである。本実施例では、基板中心部から基板外縁部の方向に並ぶボンディングパッドがそれぞれ平行四辺形状を有する場合におけるボンディングパッド合成処理について説明する。また、説明を簡明にするために、ボンディングパッドが基板中心部から基板外縁部の方向に向かって2個に並んでいるものとし、基板中心部側に配置されるボンディングパッドを「第1のボンディングパッド」と称し、基板外縁部側に配置されるボンディングパッドを「第2のボンディングパッド」と称するものとする。
【0072】
まず、ステップS301において、合成対象である基板中心部側に配置される第1のボンディングパッドおよび基板外縁部側に配置される第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。
【0073】
合成対象である2つのボンディングパッドについて、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度の大きさが一致しないとステップS301において判定された場合は、ステップS302において、第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。より具体的には、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる第1のボンディングパッドおよび第2のボンディングパッドの鋭角側の頂点を含む部分が凸形状を構成するものとならないように、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。
【0074】
次いで、ステップS303において、ステップS302で生成した第1のボンディングパッドの基板外縁部側の辺の長さと第2のボンディングパッドの基板中心部側の辺の長さとが一致するか否かを判定する。
【0075】
ステップS303において辺の長さが一致しないと判定された場合は、ステップS304において、ステップS302で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において生じた凹形状を除去するための補充領域を生成する。すなわち、ステップS302で生成した第1のボンディングパッドの基板外縁部側の辺の長さおよび第2のボンディングパッドの基板中心部側の辺の長さのうち当該辺の長さの長い方のボンディングパッドの当該辺と、当該辺の長さの長い方のボンディングパッドの当該辺上の鈍角側の頂点を通りかつ当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線からの延長線と、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドの、凹形状を構成する頂点を通る輪郭線と、で囲まれた領域を、補充領域として生成する。
【0076】
そして、ステップS305において、ステップS302で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状と、ステップS304で生成した補充領域と、を結合して生成される形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0077】
一方、合成対象である2つのボンディングパッドについて、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度の大きさが一致するとステップS301において判定された場合は、ステップS306において、第1のボンディングパッドの基板外縁部側の辺と、第2のボンディングパッドの基板中心部側の辺とが一致するように、第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとを結合する。
【0078】
ステップS307では、ステップS306で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。また、同じくステップS307では、ステップS303において辺の長さが一致すると判定された場合にも、ステップS302で生成した第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの結合形状を、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0079】
本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理における上記各ステップS301〜S307は、コンピュータ等の演算処理装置により実行される。なお、ステップS301を実行する前に、ボンディングパッドの形状、座標、大きさおよび向き、半導体チップの電極端子からボンディングパッドへの配線、ならびに、必要に応じて各ビアの座標、形状、大きさおよび向き、などに関するデータを、本実施例のボンディングパッド合成処理を実行する演算処理装置に予め入力しておく。上記演算処理装置は、入力された上記データを用いて、ステップS301から処理を開始する。
【0080】
以下に、いくつか具体例を挙げる。図14は、本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第1の具体例を説明する図である。本具体例では、図14(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置される2個のボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPの各頂点をpa、pb、pcおよびpdとし、特に頂点paおよびpbを基板中心部側の頂点とし、頂点pcおよびpdを基板外縁部側の頂点とする。また、ボンディングパッドQの各頂点をqa、qb、qcおよびqdとし、特に頂点qaおよびqbを基板中心部側の頂点とし、頂点qcおよびqdを基板外縁部側の頂点とする。
【0081】
図14(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致しない。
【0082】
そこで、図14(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。すなわち、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合部付近に位置することになるボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdを含む部分およびボンディングパッドQの鋭角側の頂点qaを含む部分が凸形状を構成するものとならないように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。より具体的に言えば、ボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdを含む部分およびボンディングパッドQの鋭角側の頂点qaを含む部分が凸形状を構成するものとならないようにするためには、ボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdと、ボンディングパッドQの鋭角側の頂点qaとを一致させればよい。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0083】
次に、図14(b)の状態で、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとが一致するか否かを判定する。図示のとおり、これら辺の長さは一致しない。
【0084】
そこで、図14(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αに関して、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近において生じた凹形状を除去するための補充領域β(図中、点線で示す。)を生成する。すなわち、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さおよびボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さのうち当該辺の長さの長い方のボンディングパッドPの当該辺「pd、pc」と、当該辺の長さの長い方のボンディングパッドPの当該辺上の鈍角側の頂点pcを通りかつ当該ボンディングパッドPに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線「pb、pc」からの延長線と、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドQの、当該凹形状を構成する頂点qbを通る輪郭線「qb、qc」と、で囲まれた領域βを、補充領域として生成する。
【0085】
そして、図14(d)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αと、補充領域βと、を結合して生成された形状γを、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0086】
図15は、本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第2の具体例を説明する図である。本具体例では、図15(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2個のボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図14(a)で説明したものと同様である。
【0087】
図15(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致しない。
【0088】
そこで、図15(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。すなわち、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合部付近に位置することになるボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdを含む部分およびボンディングパッドQの鋭角側の頂点qbを含む部分が凸形状を構成するものとならないように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。より具体的に言えば、ボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdを含む部分およびボンディングパッドQの鋭角側の頂点qbを含む部分が凸形状を構成するものとならないようにするためには、ボンディングパッドPの鈍角側の頂点pcと、ボンディングパッドQの鋭角側の頂点qbとを一致させればよい。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0089】
次に、図15(b)の状態で、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとが一致するか否かを判定する。図示のとおり、これら辺の長さは一致しない。
【0090】
そこで、図15(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αに関して、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近において生じた凹形状を除去するための補充領域β(図中、点線で示す。)を生成する。すなわち、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さおよびボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さのうち当該辺の長さの長い方のボンディングパッドQの当該辺「qa、qb」と、当該辺の長さの長い方のボンディングパッドQの当該辺上の鈍角側の頂点qaを通りかつ当該ボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線「qd、qa」からの延長線と、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドPの、当該凹形状を構成する頂点pdを通る輪郭線「pa、pd」と、で囲まれた領域βを、補充領域として生成する。
【0091】
そして、図15(d)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αと、補充領域βと、を結合して生成された形状γを、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0092】
図16は、本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第3の具体例を説明する図である。本具体例では、図16(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2個のボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図14(a)で説明したものと同様である。
【0093】
図16(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致しない。
【0094】
そこで、図16(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。すなわち、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合部付近に位置することになるボンディングパッドPの鋭角側の頂点pdを含む部分およびボンディングパッドQの鋭角側の頂点qaを含む部分が凸形状を構成するものとならないように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0095】
次に、図16(b)の状態で、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとが一致するか否かを判定する。図示のとおり、これら辺の長さは一致する。
【0096】
そこで、図16(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αを、合成後のボンディングパッドの形状γとして確定する。
【0097】
図17は、本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第4の具体例を説明する図である。本具体例では、図17(a)に示すように基板中心部から基板外縁部の方向に並んで配置される2個のボンディングパッドPおよびQに関して、基板中心部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドPと基板外縁部側に配置される平行四辺形状を有するボンディングパッドQとを合成する処理について考える。ここで、ボンディングパッドPおよびQの各頂点の定義は、図14(a)で説明したものと同様である。
【0098】
図17(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドPおよびボンディングパッドQについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。図示のとおり、ボンディングパッドPおよびボンディングパッドQに接続されるワイヤの方向の傾き角度は一致する。
【0099】
そこで、図17(b)に示すように、ボンディングパッドPおよびQを相対的に移動させ、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとを結合する。当該傾き角度が互いに一致するので、図6および7を参照して説明したことから、ボンディングパッドPの基板外縁部側の辺「pd、pc」の長さとボンディングパッドQの基板中心部側の辺「qa、qb」の長さとは等しいことは明白である。これにより、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αが得られる。
【0100】
そして、図17(c)に示すように、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの結合形状αを、合成後のボンディングパッドの形状γとして確定する。
【0101】
以上説明した本発明の第1〜第3の実施例では、ボンディングパッドが基板中心部から基板外縁部の方向に向かって2列に並んでいる場合について説明したが、ボンディングパッドが複数列並んでいる場合に本発明を適用してもよい。図18は、本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理を、ボンディングパッドが基板中心部から基板外縁部の方向に向かって4列に並ぶ場合に適用した一具体例を説明する図である。本具体例では、図18(a)に示すように、基板中心部から基板外縁部の方向に、4つのボンディングパッドP、Q、RおよびSを合成する処理について考える。
【0102】
図18(a)において、まず、合成対象であるボンディングパッドP、Q、RおよびSについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する。
【0103】
次に、上記傾き角度の判定結果に応じて、図18(b)に示すように、ボンディングパッドP、Q、RおよびSを相対的に移動させ、ボンディングパッドP、Q、RおよびSを結合する。この結合処理については、図9(b)を参照して説明したとおりである。これにより、ボンディングパッドP、Q、RおよびSの結合形状αが得られる。
【0104】
次に、図18(b)の状態で、ボンディングパッドPおよびQ間、ボンディングパッドQおよびR間、ならびにボンディングパッドRおよびS間において、結合した平行四辺形状の辺の長さの大小関係を判定する。
【0105】
次に、図18(c)に示すように、ボンディングパッドP、Q、RおよびSの結合形状αに関して、ボンディングパッドPとボンディングパッドQとの間の結合部付近に生じる凸形状を除去する削除領域δ1(図中、点線で示す。)、および、ボンディングパッドRとボンディングパッドSとの間の結合部付近に生じる凸形状を除去する削除領域δ2(図中、同じく点線で示す。)を決定する。この削除領域の生成処理については、図9(c)を参照して説明したとおりである。
【0106】
そして、図18(d)に示すように、ボンディングパッドP、Q、RおよびSの結合形状αから、削除領域δ1およびδ2を削除し、これにより生成された形状γを、合成後のボンディングパッドの形状として確定する。
【0107】
上述した本発明の各実施例によるボンディングパッド合成処理は、コンピュータを用いて実現される。図19は、記録媒体に格納された、本発明によるボンディングパッド合成処理を実行するためのコンピュータプログラムの、コンピュータ上の動作を説明するシステム構成図である。
【0108】
コンピュータにボンディングパッド合成処理を実行させるコンピュータプログラムは、図19に示すように、記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM等の外部記録媒体)10に格納されており、一例として、次に説明するような構成によるコンピュータにインストールされて動作する。
【0109】
CPU11は、ボンディングパッド合成処理全体を制御する。このCPU11に、バス12を介してROM13、RAM14、HD(ハードディスク装置)15、マウスやキーボード等の入力装置16、外部記録媒体ドライブ装置17およびLCD、CRT等の表示装置18が接続されている。CPU11の制御プログラムはROM13に格納されている。
【0110】
ボンディングパッド合成処理を実行するコンピュータプログラム(ボンディングパッド合成処理プログラム)は、記録媒体10からHD15にインストール(記憶)される。また、RAM14には、ボンディングパッド合成処理をCPU11が実行する際の作業領域や、ボンディングパッド合成処理を実行するコンピュータプログラムの一部が記憶される領域が確保されている。また、HD15には、入力データ、最終データ、さらにOS(オペレーティングシステム)等が予め記憶される。
【0111】
まず、コンピュータの電源を投入すると、CPU11がROM10から制御プログラムを読み出し、さらにHD15からOSを読み込み、OSを起動させる。これによりコンピュータはボンディングパッド合成処理プログラムを記録媒体10からインストール可能な状態となる。
【0112】
次に、記録媒体10を外部記録媒体ドライブ装置17に装着し、入力装置16から制御コマンドをCPU11に入力し、記録媒体10に格納されたボンディングパッド合成処理プログラムを読み取ってHD15等に記憶する。つまりボンディングパッド合成処理プログラムをコンピュータにインストールする。
【0113】
その後、オペレータの指示により、ボンディングパッド合成処理プログラムがコンピュータ上で動作する。ボンディングパッド合成処理の結果は、所定のデータ形式で記録すればよい。
【0114】
なお、図19のコンピュータでは、記録媒体10に記憶されたボンディングパッド合成処理プログラムをHD15にインストールするようにしたが、これに限らず、LAN等の情報伝送媒体を介して、コンピュータにインストールされてもよいし、予めコンピュータに内蔵のHD15に格納されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、半導体チップが複数段配置された半導体パッケージの配線設計において、複数のボンディングパッドを1つに合成するよう設計する際に用いることができる。本発明によれば、ボンディングパッド合成処理をコンピュータによる自動演算処理で実現するので、従来のように設計者の技量、経験、勘などに左右されることなく、安定した品質の合成ボンディングパッドの形状を短時間で容易に確定することができる。ボンディングパッド合成処理の自動演算処理化により、従来のような人的ミスも生じなくなり、完成品の品質のバラツキがなくなる。配線設計における工数を減らすことができるので、設計に要する作業時間が大幅に短縮され、設計者の負担も低減する。また、結果として半導体パッケージの製造コストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の動作フローを示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施例における、長方形状を有するボンディングパッドの基準座標上における傾き角度を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の第1の具体例を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の第2の具体例を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施例によるボンディングパッド合成処理の第3の具体例を説明する図である。
【図6】平行四辺形状を有するボンディングパッドを例示する図である。
【図7】平行四辺形状を有するボンディングパッドの基準座標上における傾き角度を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の動作フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第1の具体例を説明する図である。
【図10】本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第2の具体例を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第3の具体例を説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理の第4の具体例を説明する図である。
【図13】本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の動作フローを示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第1の具体例を説明する図である。
【図15】本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第2の具体例を説明する図である。
【図16】本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第3の具体例を説明する図である。
【図17】本発明の第3の実施例によるボンディングパッド合成処理の第4の具体例を説明する図である。
【図18】本発明の第2の実施例によるボンディングパッド合成処理を、ボンディングパッドが基板中心部から基板外縁部の方向に向かって4列に並ぶ場合に適用した一具体例を説明する図である。
【図19】記録媒体に格納された、本発明によるボンディングパッド合成処理を実行するためのコンピュータプログラムの、コンピュータ上の動作を説明するシステム構成図である。
【図20】半導体チップが複数段配置された半導体パッケージを模式的に例示する側面図である。
【図21】半導体チップが複数段配置された半導体パッケージを模式的に例示する上面図である。
【符号の説明】
【0117】
10 記録媒体
11 CPU
13 ROM
15 ハードディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置される第1および第2のボンディングパッドの合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記基板中心部側に配置される前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の2つの頂点と、各該頂点にそれぞれ対向する、前記基板外縁部側に配置される前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の2つの頂点と、の間の各距離のうち、短い距離を構成する頂点同士が一致するように前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
該結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において凹形状が生じた場合において、当該凹形状を除去するための補充領域を生成する生成ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの前記結合形状と、前記補充領域と、を結合して生成される形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項2】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ長方形状を有する第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記基板中心部側に配置される前記第1のボンディングパッドおよび前記基板外縁部側に配置される前記第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、各前記長方形状の傾き角度が一致するか否かを判定する判定ステップと、
該判定ステップにおいて前記傾き角度の大きさが一致しないと判定された場合において、前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の2つの頂点と、各該頂点にそれぞれ対向する、前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の2つの頂点と、の間の各距離のうち、短い距離を構成する頂点同士が一致するように前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
該結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの間の結合部付近に生じる凹形状を除去するための補充領域を生成する生成ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの前記結合形状と、前記補充領域と、を結合して生成される形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記生成ステップは、前記結合ステップで生成された前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺と、前記結合ステップで生成された前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺と、前記結合ステップで生成された前記第1および第2のボンディングパッドの輪郭線からの各延長線であって当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う延長線と、で囲まれた領域を、前記補充領域として生成する請求項1または2に記載のボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項4】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ長方形状を有する第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記基板中心部側に配置される前記第1のボンディングパッドおよび前記基板外縁部側に配置される前記第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、各前記長方形状の傾き角度が一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記傾き角度の大きさが一致すると判定された場合、前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺と、前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺とが一致するように、前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項5】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ平行四辺形状を有しかつ該平行四辺形の高さが互いに等しい第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップであって、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる前記第1のボンディングパッドおよび前記第2のボンディングパッドの鈍角側の頂点を含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
該結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において凸形状が生じた場合において、当該凸形状を除去する削除領域を決定する決定ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの前記結合形状から前記削除領域を削除して生成される形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ平行四辺形状を有しかつ該平行四辺形の高さが互いに等しい第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記基板中心部側に配置される前記第1のボンディングパッドおよび前記基板外縁部側に配置される前記第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する第1の判定ステップと、
該第1の判定ステップにおいて前記傾き角度の大きさが一致しないと判定された場合において、前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップであって、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる前記第1のボンディングパッドおよび前記第2のボンディングパッドの鈍角側の頂点を含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
該結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺の長さと、前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺の長さと、が一致するか否かを判定する第2の判定ステップと、
該第2の判定ステップにおいて前記辺の長さが一致しないと判定された場合において、前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの間の結合部付近に生じる凸形状を除去する削除領域を決定する決定ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの前記結合形状から前記前記削除領域を削除して生成される形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記決定ステップは、前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺の長さおよび前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺の長さのうち当該辺の長さの長い方のボンディングパッド中の当該辺上の鋭角側の頂点を含んだ領域であって、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドの当該辺上の鋭角側の頂点を通りかつ当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線からの延長線によって画定される領域を、前記削除領域として決定する請求項5または6に記載のボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ平行四辺形状を有しかつ該平行四辺形の高さが互いに等しい第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップであって、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる前記第1のボンディングパッドおよび前記第2のボンディングパッドの鋭角側の頂点を含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
該結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において凹形状が生じた場合において、当該凹形状を除去するための補充領域を生成する生成ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの前記結合形状と、前記補充領域と、を結合して生成される形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ平行四辺形状を有しかつ該平行四辺形の高さが互いに等しい第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記基板中心部側に配置される前記第1のボンディングパッドおよび前記基板外縁部側に配置される前記第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する第1の判定ステップと、
該第1の判定ステップにおいて前記傾き角度の大きさが一致しないと判定された場合において、前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させて、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップであって、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合部付近に位置することになる前記第1のボンディングパッドおよび前記第2のボンディングパッドの鋭角側の頂点を含んだ部分が、凸形状を構成するものとならないように、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、
該結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺の長さと、前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺の長さと、が一致するか否かを判定する第2の判定ステップと、
該第2の判定ステップにおいて前記辺の長さが一致しないと判定された場合において、前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状に関して、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの間の結合部付近において生じた凹形状を除去するための補充領域を生成する生成ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと第2のボンディングパッドとの前記結合形状と、前記補充領域と、を結合して生成される形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記生成ステップは、前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺の長さおよび前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺の長さのうち当該辺の長さの長い方のボンディングパッドの当該辺と、当該辺の長さの長い方のボンディングパッドの当該辺上の鈍角側の頂点を通りかつ当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向に沿う輪郭線からの延長線と、当該辺の長さの短い方のボンディングパッドの、前記凹形状を構成する当該頂点を通る輪郭線と、で囲まれた領域を、前記補充領域として生成する請求項8または9に記載のボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記第2の判定ステップにおいて前記辺の長さが一致すると判定された場合において、前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺と、前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺とが一致するように、前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合するさらなる結合ステップをさらに備え、
該さらなる結合ステップで生成した形状を前記合成後のボンディングパッドの形状として確定する請求項9に記載のボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
基板中心部から基板外縁部の方向に互いに並んで配置され、それぞれ平行四辺形状を有しかつ該平行四辺形の高さが互いに等しい第1および第2のボンディングパッドの、合成後のボンディングパッドの形状を確定するボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記基板中心部側に配置される前記第1のボンディングパッドおよび前記基板外縁部側に配置される前記第2のボンディングパッドについての、基板上に仮想的に設けられる基準座標上における、当該ボンディングパッドに接続されるワイヤの方向の傾き角度が一致するか否かを判定する判定ステップと、
該判定ステップにおいて前記傾き角度の大きさが一致すると判定された場合、前記第1のボンディングパッドの前記基板外縁部側の辺と、前記第2のボンディングパッドの前記基板中心部側の辺とが一致するように、前記第1および第2のボンディングパッドを相対的に移動させ、前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとを結合する結合ステップと、を備え、
前記結合ステップで生成した前記第1のボンディングパッドと前記第2のボンディングパッドとの結合形状を、前記合成後のボンディングパッドの形状として確定することを特徴とするボンディングパッド合成処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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