説明

ボールバルブ

【課題】流体と接触するフランジ部およびボディーの流路側がチタン等のスーパーアロイにより形成されたボールバルブを提供する。
【解決手段】ボール型の弁体20と、ボディー本体30と、フランジ部40と、を備えたボールバルブ10において、前記フランジ部40は、チタン製のバルブ本体端部30aと、円筒空間を有する円筒形状のエンドフランジ50と、中空を有するチタン製の円盤状プレートであるフランジプレート60と、からなり、前記本体端部30aの外周に前記エンドフランジ50を外嵌し、前記本体端部30aの液体流入口と流出口側に前記フランジプレート60を溶接するとともに、前記本体端部30aと前記エンドフランジ50と前記フランジプレート60とがボルト42により締結されているボールバルブである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントに使用するバルブに関し、特に、流体接触部にチタンまたはチタン合金を用いたボールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールバルブは、渦流や脈流が生じにくく、流量特性に優れており、構造が単純なため、広範囲の用途に用いられるバルブである。高温・高圧プラント用のボールバルブでは、さらに耐久性が高いものが要求される。そのため、耐食性に優れており、比強度が高く、加工性も良く、耐久性に優れたチタンやチタン合金を使用したバルブが製造されている。
【0003】
フランジを設けたボールバルブでは、流路となるフランジ部や流体が接触するバルブ本体についてチタン材料を使用している。しかし、チタンは性能が優れているものの、比較的高価であるうえに、加工に費用がかかることから他の金属に比べて加工費が高く、その結果チタン製のバルブは高価になってしまうという問題があった。
【0004】
上記問題を解決するために、バルブ装置を各部品毎に分けて溶接接合することによりコストを減らす技術が開発されている。この技術によれば、材料となるチタンの使用量は減らせるものの、部品を細かく分けると組立が複雑となるという問題があった。また、バルブのフランジ部など、流体に接触しない部分にチタン材料を使用しているため、この部分への他金属の使用によりコストを抑えたバルブの開発が望まれていた。しかし、チタン同士は溶接可能であっても、ステンレス等の他の材料とは溶接することができないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2006−283913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明は、上記問題点を解消するために、流体と接触するフランジ部およびボディの流路側がチタン等のスーパーアロイにより形成されたボールバルブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のボールバルブのフランジ構造は、流体の流入を制御するボール型の弁体と、両側部に流体の流入口と流出口とを設けるとともに中央部に流入口と流出口を連通させる流通孔を貫設した弁体を回転自在に装備したボディー本体と、該ボディー本体の両側部に位置し配管に連結されるフランジ部と、を備えたボールバルブにおいて、前記フランジ部は、チタン製のボディー本体端部と、円筒空間を有する円筒形状のエンドフランジと、中空を有するチタン製の円盤状プレートであるフランジプレートと、からなり、前記ボディー本体端部の外周に前記エンドフランジを外嵌し、前記ボディー本体端部の液体流入口と流出口側に前記フランジプレートを溶接するとともに、前記本体端部と前記エンドフランジと前記フランジプレートとがボルトにより締結されている構造である。
【0008】
また、流体の流入を制御するボール型の弁体と、両側部に流体の流入口と流出口とを設けるとともに中央部に流入口と流出口を連通させる流通孔を貫設した弁体を回転自在に装備したボディー本体と、該ボディー本体の両側部に位置し配管に連結されるフランジ部と、を備えたボールバルブにおいて、前記フランジ部は、チタン製のボディー本体端部と、円筒空間を有する円筒形状のエンドフランジと、中空を有するチタン製の円盤状プレートであるフランジプレートと、中空の円盤状のガスケットと、からなり、前記ボディー本体端部の外周に前記エンドフランジを外嵌し、前記ボディー本体端部の液体流入口と流出口側に前記ガスケットを挿入して前記フランジプレートを接合するとともに、前記ボディー本体端部と前記エンドフランジと前記ガスケットと前記フランジプレートとがボルトにより締結されている構造である。
【0009】
さらに、前記フランジプレートの外周縁部は前記エンドフランジとかしめ加工により結合されている構造でもある。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述した通り、本発明に係るボールバルブのフランジ構造は、
1.ボールバルブの流体接触面にはチタンが使用され、その他の部材にはチタン以外の安価な素材が使用されているため、コストを抑えることができる。また、溶接およびボルトにより結合されているため、破損しにくく、強度・耐久性に優れている。
2.ガスケットを使用しているので、液漏れを有効に防止できるうえ、製造が容易で安価であり、よりコストを抑えることが可能である。
3.ボルトだけではなく、かしめ加工も施こせば、結合がより確実になり、部品点数を増加させることなく、コストを抑えた経済的なボールバルブを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明に係るボールバルブを図面に示す実施例により詳述する。図1は本発明のフランジを備えたボールバルブの断面図であり、図2は本発明のフランジ部の断面図である。また、図3はガスケットを介在させたフランジ部の断面図である。
本発明のボールバルブ10は、弁体20と、ボディー本体30と、フランジ部40と、からなる構造である。ボールバルブ10のボディー本体30には、両側部に流体の流路となる流入口および流出口が同軸上に設けられている。
【0012】
弁体20は、ボール形の回転型弁体で、弁の回転により開口を開閉する構造で、流入口から流入する液体の流れを弁の開閉により制御する。
【0013】
ボディー本体30は、回転弁体と流入口と流出口とからなり、その中央部には、流体の流入口と流出口とを連通させる流通孔が貫設されている。流通孔の中央付近には球状の弁体20が回転自在に設けられている構造である。
【0014】
フランジ部40は、図1に示すように、ボールバルブ10の流入、流出側にある他管との連結配管部である。フランジ部40は、ステンレスにより形成されドーナツ状に中心に円筒空を有する肉厚の円盤状プレートであるエンドフランジ50と、チタンにより形成され前記エンドフランジの流入側および/または流出側に設けられる円空を有する薄肉のドーナツ状の円盤プレートであるフランジプレート60と、チタンにより形成され円筒空を有するエンドフランジの円筒空の内部に嵌挿される略円筒形状の本体端部30aと、からなる構造である。
【0015】
エンドフランジ50は、ドーナツ状に円形の中央に円筒中空を有する円筒形の配管フランジである。円筒中空にはボディー本体30の流入口、流出口側に位置するボディー本体端部が嵌合する。エンドフランジ50の内壁側にはボディー本体と結合するためのボルト溝が設けられている。また、図示しないが、他管と結合する為の配管用のボルト孔が設けられた構造である。
エンドフランジ50は流体の接触による劣化のおそれがないため、ステンレスや鉄鋼材料等、チタンとは異なる安価な別金属が使用されている。
【0016】
フランジプレート60は、ドーナツ状の円空を中心に有する円盤状のプレートであり、エンドフランジ50の流入口側、流出口側に設けられる。フランジプレート60はチタン製であり、ボールバルブ10の流入口側および流出口側の流体による劣化を防ぐ役割を果たす。また、フランジプレート60の素材は、チタンに限らず、ハイニッケル銅、ジルコニウム等のスーパーアロイ(超合金)を使用することが可能である。
フランジプレート60は、円空の中心がエンドフランジ50の円筒空間の円筒軸と同軸を成すように装着される。
【0017】
ボディー本体30とフランジプレート60は流体に接するため、チタンにより形成されている。また、フランジプレート60に合わせて、ボディー本体30をハイニッケル銅、ジルコニウム等のスーパーアロイにより形成することも可能である。フランジプレート60は、ドーナツ状の円形中空を形成している内周壁側の接合部62に溶接加工を施すことにより、ボディー本体端部30aと結合されている。
また、チタンとステンレスは溶接することが困難であるため、図2に示すように、ボディー本体端部30aとエンドフランジ50とフランジプレート60とは、ボルト溝の設けられたボディー本体端部30aの外周側とエンドフランジ50の内周側とフランジプレートの孔にボルト42を介在させて螺合して固着結合されている。
【0018】
図3に示すように、別の実施例では、ボディー本体端部30aおよびエンドフランジ50と、フランジプレート60との接合面にガスケット70が挿入されている。ガスケットが挿入された後、エンドフランジ50およびフランジプレート60とボディー本体端部30aがボルト止めされ、強固に締結される。ガスケットを使用することにより、溶接を必要とすることなく、簡易な構造でフランジプレート60とボディー本体30を密閉させることが可能である。
フランジ部40の流入側と流出側とを、それぞれ溶接加工による結合構造またはガケット挿入による結合構造とし、異なる結合構造を組み合わせたボールバルブ10とすることも可能である。
【0019】
また、フランジプレート60の外周縁部66には、かしめ加工を施してエンドフランジ50と結合させる構成も可能である。図2に示すように、本実施例では、フランジプレート60の外周縁部66をエンドフランジの突部64が覆うようにかしめられている。ボルト止めに加え、かしめ加工を施すことで、より接続が強固となり、密封性を高めた構造である。
接合部62および外周縁部66がそれぞれ溶接及びかしめ加工により強固に結合されているため、水撃に対する耐久性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のフランジ構造を備えたボールバルブの断面図
【図2】本発明のフランジ構造の断面図
【図3】本発明の別の実施例によるフランジ構造の断面図
【符号の説明】
【0021】
10 ボールバルブ
20 弁体
30 ボディー本体
30a 本体端部
40 フランジ部
42 ボルト
50 エンドフランジ
60 フランジプレート
62 接合部
64 突部
66 外周縁部
70 ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入を制御するボール型の弁体と、両側部に流体の流入口と流出口とを設けるとともに中央部に流入口と流出口を連通させる流通孔を貫設した弁体を回転自在に装備したボディー本体と、該ボディー本体の両側部に位置し配管に連結されるフランジ部と、を備えたボールバルブにおいて、
前記フランジ部は、チタン製のボディー本体端部と、円筒空間を有する円筒形状のエンドフランジと、中空を有するチタン製の円盤状プレートであるフランジプレートと、からなり、前記ボディー本体端部の外周に前記エンドフランジを外嵌し、前記ボディー本体端部の液体流入口と流出口側に前記フランジプレートを溶接するとともに、前記本体端部と前記エンドフランジと前記フランジプレートとがボルトにより締結されていることを特徴とするボールバルブ。
【請求項2】
流体の流入を制御するボール型の弁体と、両側部に流体の流入口と流出口とを設けるとともに中央部に流入口と流出口を連通させる流通孔を貫設した弁体を回転自在に装備したボディー本体と、該ボディー本体の両側部に位置し配管に連結されるフランジ部と、を備えたボールバルブにおいて、
前記フランジ部は、チタン製のボディー本体端部と、円筒空間を有する円筒形状のエンドフランジと、中空を有するチタン製の円盤状プレートであるフランジプレートと、中空の円盤状のガスケットと、からなり、前記ボディー本体端部の外周に前記エンドフランジを外嵌し、前記ボディー本体端部の液体流入口と流出口側に前記ガスケットを挿入して前記フランジプレートを接合するとともに、前記ボディー本体端部と前記エンドフランジと前記ガスケットと前記フランジプレートとがボルトにより締結されていることを特徴とするボールバルブ。
【請求項3】
前記フランジプレートの外周縁部は前記エンドフランジとかしめ加工により結合されていることを特徴とする請求項1または2記載のボールバルブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−309224(P2008−309224A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156527(P2007−156527)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(594151162)インターバルブ テクノロジー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】