説明

ボーンプレート

ボーンプレート(1)は、「X」の形状を有している。ボーンプレートは、上側(8)、骨側の下側(9)、中央部分(2)およびそれに連続する周辺領域(3)を有し、その周辺領域が「X」の4本のアームを有し、かつその周辺領域内に4つのプレート孔(4)が設けられているものである。プレート孔(4)は、その中へ導入すべきボーンボルト(10)をしっかりと安定した角度で係止するのに適した手段(5)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の上位概念に記載のボーンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術(たとえば、特許文献1を参照)から、この種類のボーンプレートが知られている。この文書は、X字状のボーンプレートを開示しており、そのボーンプレートはその4つの末端に4つの孔を有している。この既知のX−プレートの欠点は、4つの孔が、その中に導入すべきボルトをしっかりと安定した角度でプレートと結合するための手段を有していない、という状況である。
【0003】
他の従来技術(たとえば、特許文献2を参照)からは、ダブルT字状プレートが知られており、そのプレートはねじを備えた4つのプレート穴を示し、それらのプレート穴が対応するねじヘッドボルトを収容することができる。このプレートにおける欠点は、それがX字状に形成されていないことである。従ってそのプレートは、その長手軸に沿って曲がり、あるいは捻れた場合に、良くない応力分布を有し、従って主に1つの方向にだけ、すなわち押す方向にだけしか、負荷をかけられない。
【特許文献1】米国特許明細書US5868746 SARVER
【特許文献2】ドイツ公開公報DE−A4038082 OJIMA
【発明の開示】
【0004】
ここで本発明が、欠陥を除去しようとしている。本発明の課題は、2つの骨または骨片を各観点において安定的に固定することができる、ボーンプレートを提供することである。他の課題は、最少の生体内侵襲性において、曲げおよび回転に対する抵抗と圧力負荷に対する抵抗との最適な組み合わせを得ることにある。
【0005】
本発明は、設定された課題を、請求項1の特徴を有するボーンプレートによって解決する。
【0006】
本発明によって得られる利点は、大体において、
A)H状またはダブルT状のプレートに比較して、好ましい応力分布が達成され、
B)プレート内にボルトを安定した角度で係止することによって、増大された、特にしっかりとした安定性が可能になり;かつ
C)骨ないし骨片あるいは切骨パートナー当たりそれぞれ2つのボルトを導入し、それによって回転安定性を得る可能性がある、
ことに見られる。
【0007】
好ましい実施形態において、プレート孔の少なくとも1つは、中央部分(2)上の法線に対して非平行の中心軸を有している。それによってプレート孔へ導入されたボルトが互いにぶつかることが防止される。手段を有するプレート孔の少なくとも1つが、中央部分上の法線に対して非平行の中心軸を有している。従って角度の安定したボルトの1つは、それが切骨ないし骨折に勝るようにセットすることができ、それが2つの骨片の結合に向上した安定性を与える。それによって力の状況が好ましくない場合にボーンプレートが反ってしまうことを、防止することができる。
【0008】
他の実施形態において、中央部分上の法線に対して非平行の中心軸を有する、手段を備えたプレート孔の数Nは、2、3または4である。
【0009】
プレート孔の少なくとも一部は、骨側の下側へ向かって円錐状に細くなることができるので、それによって、その中へ導入すべきボーンボルトをしっかりと安定した角度で係止するのに適した手段が実現される。しかしまた、この手段は、内ねじから形成することもできる。
【0010】
他の実施形態において、4つのプレート孔は矩形の角部に配置されている。それによって骨片当たりそれぞれ2つのボルトを挿入することによって、回転安定性の向上を実現することができる。
【0011】
プレート孔は、互いに対して非平行に延びる中心軸を有している。それが、切骨、骨折または関節を横切るために、プレート孔へ曲がった角度で挿入されたボルトを使用することができるので、ボーンボルトと結合されたボーンプレートによってだけでなく、ボーンボルト自体によっても安定性が得られる、という利点を有する。
【0012】
プレート孔の中心軸は、ボーンプレートの骨側の下側の下方で、互いに収斂することもできる。それによってボーンプレートへ導入されたボルトが、プレートが曲がった際に互いにぶつかることを、回避することができる。
【0013】
プレート孔の中心軸は、1点で交わることもできる。それによって、特殊な角度に曲げることに注意する必要なしに、ボーンプレートを各方向で使用することができる。ボーンプレートの中央部分の中心の法線が、同様にこの点を通って延びるようにすることもできる。
【0014】
他の実施形態においては、ボーンプレートは平面内にある。ボーンプレートは、さらに、互いに直交する2つの対称平面を有することができる。
【0015】
ボーンプレートと共に、少なくとも2本のボーンボルトを使用することができ、そのボーンボルトにはヘッドとシャフトが設けられており、その場合にボーンボルトの少なくとも1つのもののヘッドは、プレート孔内へしっかりと安定した角度で係止することを許す手段を有している。好ましくは、少なくとも1つのボーンボルトのヘッドを、円錐状に形成することができる。ボーンボルトのヘッドは、外ねじを有することもできる。少なくとも1つのボーンボルトのヘッドは、プレート孔の領域におけるボーンプレートよりも固い材料から形成することもでき、その場合にヘッドが外ねじを有し、その外ねじはプレート孔へねじ込まれる際にそれに対応するねじを刻む。
ボルトヘッドの3つの形態すべて(円錐、外ねじ、より固い材料)が、プレート孔内にしっかりと安定した角度で係止することを許す手段である。
【0016】
好ましくは、4つのプレート孔によって形成される四角形は、10から40mmの高さと10から40mmの幅を有している。
【0017】
「X」の4本のアームによって形成される角度の少なくとも一部を丸くすることができ、それによって応力ピークの平坦化により、より良好な応力分布が得られる。
【0018】
他の実施形態において、ボーンプレートはプレート孔の領域において、プレート孔の間の領域に比較して大きい厚みを有している。それによってボーンプレートはさらに生体内侵襲性が少なくなる。それに対してプレート孔の周りの領域においては、ボルトヘッドが円錐状であることにより、所定の最小高さを下回ることがない。他の利点は、ボーンプレートが少し曲がった場合に、プレート孔は変形されず、あるいは最小限にしか変形されないことにある。
【0019】
他の実施形態において、ボーンプレートの「X」の4本のアームは、中心部分に対して屈曲可能であるので、それを骨輪郭に適合させることができる。
【0020】
本発明および本発明の展開を、以下で、複数の実施例の一部図式的な表示を用いてさらに詳細に説明する。
【0021】
(図面の簡単な説明)
図1は、4つの円錐状のプレート穴を有するX字状のボーンプレートを示す斜視図である。
図2は、図1に示すボーンプレートの上面図である。
図3は、図1に示すボーンプレートの変形例を、その中に挿入されたボーンボルトと共に示す斜視図である。
図4は、図3に示すボーンボルトを示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1と2に示すボーンプレート1は、上側8、骨側の下側9、中央部分2およびそれに連続する周辺領域3を有しており、その周辺領域に4つのプレート孔4が設けられている。4つのプレート孔4は、その中へ導入すべきボーンボルト10をしっかりと安定した角度で係止するのに適した手段5を有している。この手段5は、プレート孔4が骨側の下側9へ向かって円錐状に細くなることにある。その場合に、それに対応して円錐状に形成されたヘッド11を有するボーンボルト10は、安定した角度でしっかりとボーンプレート1と結合することができる。
手段5は、−図3に示すように−、付加的に内ねじ14を有している。
ボーンプレート1は、「X」の形状を有しており、その場合に周辺領域3が「X」の4本のアームを有している。4つのプレート孔4は、仮想の矩形の角部において、「X」の4本のアームの端部に配置されている。「X」の4本のアームによって形成される角度は、角が丸くされている。
【0023】
4つのプレート孔4は、中心軸6を有しており、その中心軸がボーンプレート1の骨側の下側9の下方で互いに収斂し、ほぼ1点7において交わる。ボーンプレート1の中央部分2の中心における法線は、点7を通る(図3)。従ってボーンプレート1は、互いに直交する2つの対称平面を有している。
【0024】
図3に示すように、ボーンプレート1は、4本のボーンボルト10(図4)を収容することができ、そのボーンボルトにはヘッド11とシャフト12が設けられており、その場合にヘッド11が円錐状の外ねじの形状の手段13を有しており、その手段がプレート孔4内にしっかりと、安定した角度で係止することを許す。
【0025】
ボーンプレート1は、平面内にあって、ユーザーによって任意に少し曲げることができる。しかしまた、ボーンプレートをすでに予め曲げておいてユーザーへ提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】4つの円錐状のプレート穴を有するX字状のボーンプレートを示す斜視図である。
【図2】図1に示すボーンプレートの上面図である。
【図3】図1に示すボーンプレートの変形例を、その中に挿入されたボーンボルトと共に示す斜視図である。
【図4】図3に示すボーンボルトを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ボーンプレート、2 中央部分、3 周辺部分、4 プレート孔、5 手段、6 中心軸、7 点、9 下側、10 ボーンボルト、11 ヘッド、13 手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側(8)、骨側の下側(9)、中央部分(2)およびそれに連続する周辺領域(3)を有し、前記周辺領域が「X」の4本のアームを有し、かつ前記周辺領域内に少なくとも4つのプレート孔(4)が設けられている、「X」の形状を有する、ボーンプレート(1)において、
プレート孔(4)の少なくとも1つが、その中へ導入すべきボーンボルト(10)をしっかりと安定した角度で係止するのに適した手段(5)を有していることを特徴とするボーンプレート。
【請求項2】
プレート孔(4)が、中心軸(6)を有し、前記中心軸が中央部分(2)上の法線に対して非平行であることを特徴とする請求項1に記載のボーンプレート(1)。
【請求項3】
手段(5)を有する少なくとも1つのプレート孔(4)が、中央部分(2)上の法線に対して非平行の中心軸(6)を有していることを特徴とする請求項2に記載のボーンプレート(1)。
【請求項4】
中央部分(2)上の法線に対して非平行の中心軸(6)を有する、手段(5)を備えたプレート孔(4)の数Nが、2、3または4であることを特徴とする請求項3に記載のボーンプレート(1)。
【請求項5】
プレート孔(4)の少なくとも一部が、骨側の下側(9)へ向かって円錐状に細くなり、それによって手段(5)が実現されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項6】
手段(5)が、内ねじ(14)からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項7】
4つのプレート孔(4)が、矩形の角部に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項8】
プレート孔(4)が、互いに対して非平行に延びる中心軸(6)を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項9】
中心軸(6)が、ボーンプレート(1)の骨側の下側(9)の下方で、互いに収斂することを特徴とする請求項8に記載のボーンプレート(1)。
【請求項10】
中心軸(6)が、ほぼ1点(7)で交わることを特徴とする請求項9に記載のボーンプレート(1)。
【請求項11】
中央部分(2)の中心の法線が、点(7)を通って延びることを特徴とする請求項10に記載のボーンプレート(1)。
【請求項12】
ボーンプレートが、平面内にあることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項13】
ボーンプレートが、互いに直交する2つの対称平面を有していることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項14】
ボーンプレートが、少なくとも2本のボーンボルト(10)を有しており、前記ボーンボルトにヘッド(11)とシャフト(12)が設けられており、その場合にボーンボルト(10)の少なくとも1つのもののヘッド(11)が、プレート孔(4)内にしっかりと安定した角度で係止することを許す手段(13)を有していることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項15】
少なくとも1つのボーンボルト(10)のヘッド(11)が円錐状に形成されており、かつ手段(13)として作用することを特徴とする請求項14に記載のボーンプレート(1)。
【請求項16】
少なくとも1つのボーンボルト(10)のヘッド(11)が、外ねじ(13)を有し、かつ手段(13)として作用することを特徴とする請求項14に記載のボーンプレート(1)。
【請求項17】
少なくとも1つのボーンボルト(10)のヘッド(11)が、プレート孔(4)の領域におけるボーンプレート(1)の材料よりも固い材料からなり、それによって手段(13)として作用することを特徴とする請求項14に記載のボーンプレート(1)。
【請求項18】
4つのプレート孔(4)によって形成される四角形が、10から40mmの高さを有していることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項19】
4つのプレート孔(4)によって形成される四角形が、10から40mmの幅を有していることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項20】
「X」の4本のアームによって形成される角度の少なくとも一部が丸くされていることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項21】
ボーンプレートが、プレート穴(4)の領域において、プレート穴の間の領域に比較して大きい厚みを有していることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。
【請求項22】
「X」の4本のアームが、中央部分(2)に対して屈曲可能であることを特徴とする請求項1から21のいずれか1項に記載のボーンプレート(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−515191(P2007−515191A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512276(P2005−512276)
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000838
【国際公開番号】WO2005/060846
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(591073555)ジンテーズ アクチエンゲゼルシャフト クール (36)
【氏名又は名称原語表記】SYNTHES AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】